カンパニーアシスト 株 式 会 社 ヒヤリ ハット 事 例 検 証 クリニックの 医 薬 品 安 全 対 策 ポイント 1 法 令 で 義 務 化 された 医 薬 品 安 全 対 策 2 処 方 に 関 するヒヤリ ハットの 実 態 と 安 全 対 策 3 薬 局 事 例 からみる 連 携 強 化 による 防 止 策 カンパニーアシスト 株 式 会 社
法 令 で 義 務 化 された 医 薬 品 安 全 対 策 重 大 なアクシデントに 直 結 する 医 薬 品 のリスク 医 薬 品 に 関 する 事 故 のリスクは 医 療 行 為 の 中 でも 高 く 医 師 薬 剤 師 はもちろんのこと 実 際 の 投 与 に 関 わる 看 護 師 の 責 任 は 重 大 です そうしたリスクを 低 減 させるためには 医 師 や 看 護 師 は 薬 に 関 する 情 報 と 患 者 の 情 報 ( 疾 患 やアレルギー 等 )を 把 握 し 処 方 ミスや 与 薬 ミスに 十 分 対 応 しなければなりません 薬 剤 師 においても 同 様 に 処 方 監 査 や 調 剤 鑑 査 体 制 を 徹 底 し 調 剤 過 誤 を 減 らす 努 力 を 粘 り 強 く 継 続 する 必 要 があります (1) 医 薬 品 に 関 するインシデント 報 告 厚 生 労 働 省 の 医 薬 品 医 療 機 器 等 対 策 部 会 では 発 生 したインシデント 事 例 について 定 期 的 に 検 討 および 調 査 を 実 施 しており 直 近 では 平 成 23 年 1 月 1 日 ~6 月 30 日 の 間 に 報 告 された 事 例 の 情 報 を 公 開 しています 調 査 対 象 となった 全 198 の 事 例 では 以 下 のとお り 全 体 の 81.8%が 人 に 起 因 する 結 果 となっています 医 薬 品 安 全 使 用 対 策 調 査 結 果 ~ 厚 生 労 働 省 : 医 薬 品 医 療 機 器 等 対 策 部 会 による 調 査 結 果 事 例 件 数 割 合 医 薬 品 の 安 全 使 用 に 関 して 製 造 販 売 業 者 等 による 対 策 が 必 要 又 は 可 能 と 考 えられた 事 例 2 1.0% 製 造 販 売 業 者 等 により 既 に 対 策 がとられているもの もしくは 対 策 を 既 に 検 討 中 の 事 例 5 2.5% ヒューマンエラーやヒューマンファクターに 起 因 すると 考 えられた 事 例 162 81.8% 情 報 不 足 等 のため 製 造 販 売 業 者 による 対 策 が 困 難 と 考 えられた 事 例 29 14.7% 合 計 198 100% (2) 事 故 およびヒヤリ ハットの 実 態 ヒューマンエラーやヒューマンファクターに 起 因 すると 考 えられる 事 例 を 整 理 すると 下 記 のような 傾 向 に 分 類 できます 1
ヒューマンエラー ヒューマンファクター 起 因 のインシデント 件 数 項 目 件 数 比 率 確 認 不 足 112 69.1% 観 察 不 足 13 8.0% 説 明 不 足 4 2.5% 判 断 誤 り 1 0.6% 思 い 込 み 1 0.6% 連 携 不 足 3 1.9% 知 識 不 足 9 5.6% 心 理 的 状 況 ( 慌 てていた) 15 9.3% 技 術 未 熟 1 0.6% 誤 入 力 誤 記 載 3 1.9% 合 計 162 100.0% インシデント 発 生 の 状 況 では 医 師 自 らのエラー( 誤 入 力 誤 記 載 ) および 看 護 師 によ るエラー( 実 施 の 誤 り) そして 二 者 間 の 連 携 ミスに 大 別 されますが 実 施 者 である 看 護 師 のヒューマンエラーが 大 きな 割 合 を 占 めていることがわかります しかし 処 方 を 含 め 医 師 の 指 示 間 違 いは 重 篤 なアクシデントに 直 結 するリスクが 高 い ため 慎 重 な 対 応 が 求 められます 医 師 の 指 示 過 誤 によるアクシデントの 状 況 医 療 機 関 や 調 剤 薬 局 では ダブルチェック 体 制 やシステムの 強 化 運 用 マニュアルの 徹 底 などの 取 組 みを 行 っていますが それでもアクシデントは 発 生 していることがわかりま す 2
医 療 法 に 定 められている 医 薬 品 安 全 基 準 医 療 事 故 防 止 を 目 的 とし 第 5 次 医 療 法 改 正 ( 平 成 19 年 )では 医 療 機 関 における 安 全 管 理 体 制 の 整 備 が 義 務 化 されました その 中 には 保 健 所 の 立 ち 入 り 検 査 時 の 重 点 項 目 であ る 医 薬 品 及 び 医 療 機 器 に 係 る 安 全 管 理 体 制 が 含 まれています (1) 医 薬 品 に 係 る 安 全 管 理 体 制 医 薬 品 の 安 全 管 理 について 医 療 法 では 病 院 診 療 所 または 助 産 所 の 管 理 者 は 医 薬 品 の 使 用 に 際 して 次 に 掲 げる 体 制 を 確 保 し 医 薬 品 に 関 わる 安 全 確 保 に 努 めなければならない と 定 めています 医 薬 品 の 安 全 管 理 をめぐる 整 備 項 目 医 薬 品 に 係 る 安 全 管 理 体 制 病 院 有 床 診 療 所 無 床 保 険 薬 局 医 薬 品 安 全 管 理 責 任 者 の 配 置 管 理 者 兼 務 管 理 者 兼 務 管 理 者 兼 務 管 理 ( 医 師 歯 科 医 師 薬 剤 師 看 護 師 等 ) 不 可 可 可 責 任 者 医 薬 品 の 安 全 使 用 のための 業 務 手 順 書 の 作 成 及 び 活 用 厚 労 省 資 料 厚 労 省 資 料 厚 労 省 資 料 薬 剤 師 会 資 準 拠 準 拠 準 拠 料 準 拠 医 薬 品 安 全 使 用 の 研 修 の 実 施 ( 他 の 医 療 安 全 の 研 修 との 併 催 も 可 ) 〇 〇 〇 安 全 確 保 の 研 修 手 順 書 の 業 務 実 施 定 期 的 な 確 認 記 録 ( 医 薬 品 安 全 管 理 責 任 者 ) 医 薬 品 の 安 全 使 用 に 必 要 な 情 報 の 収 集 ( 添 付 文 書 メーカー 行 政 学 術 誌 等 ) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 参 考 : 厚 生 労 働 省 ( 平 成 19 年 4 月 ) 上 記 の 整 備 項 目 に 従 って 各 医 療 機 関 では 医 薬 品 安 全 管 理 責 任 者 を 選 任 し 具 体 的 な 取 り 組 みを 進 めることが 求 められています しかし スタッフの 少 ない 無 床 診 療 所 において は 院 長 あるいは 看 護 師 が 管 理 責 任 者 となっているケースが 多 く 日 常 業 務 のほかにマニ ュアルの 整 備 や 院 内 医 薬 品 集 の 作 成 職 員 研 修 会 の 企 画 立 案 など 実 際 には 安 全 管 理 責 任 者 としての 役 割 が 負 担 となっていると 想 定 されます 3
(2) 医 薬 品 管 理 責 任 者 の 業 務 医 薬 品 の 安 全 管 理 を 担 う 医 薬 品 管 理 責 任 者 の 具 体 的 な 業 務 には 大 きく 以 下 の4 点 が 定 められています 医 薬 品 管 理 責 任 者 が 担 う 具 体 的 業 務 1 薬 品 の 安 全 使 用 のための 業 務 に 関 する 手 順 書 の 作 成 ( 記 載 義 務 項 目 < 抜 粋 >) 医 薬 品 の 採 用 ( 医 薬 品 の 選 定 採 用 医 薬 品 情 報 の 作 成 提 供 ) 医 薬 品 の 購 入 ( 医 薬 品 の 発 注 入 庫 管 理 と 伝 票 管 理 ) 調 剤 室 における 医 薬 品 の 管 理 ( 保 管 管 理 品 質 管 理 ) 各 部 門 への 医 薬 品 の 供 給 ( 定 数 配 置 薬 消 毒 薬 処 置 薬 皮 内 反 応 液 等 ) 外 来 患 者 への 医 薬 品 の 使 用 ( 患 者 情 報 の 収 集 と 管 理 検 査 処 置 薬 処 方 調 剤 観 察 等 ) 医 薬 品 情 報 の 収 集 管 理 提 供 事 故 発 生 時 の 対 応 2 従 事 者 に 対 する 研 修 医 薬 品 の 有 効 性 安 全 性 に 関 する 情 報 使 用 方 法 業 務 手 順 書 の 周 知 副 作 用 等 が 発 生 した 場 合 の 対 応 ( 施 設 内 での 報 告 体 系 行 政 機 関 への 報 告 ) 3 医 薬 品 の 業 務 手 順 に 基 づく 業 務 の 実 施 医 薬 品 安 全 管 理 責 任 者 に 対 して 従 業 者 の 業 務 が 手 順 書 に 基 づき 行 われているか 定 期 的 に 確 認 させ その 内 容 を 記 録 させること 4 医 薬 品 の 安 全 使 用 のために 必 要 となる 情 報 の 収 集 等 情 報 収 集 と 管 理 ( 添 付 文 書 医 薬 品 製 造 販 売 会 社 業 績 機 関 学 術 誌 ) 副 作 用 等 必 要 な 情 報 に 係 る 迅 速 かつ 確 実 な 周 知 徹 底 ( 厚 労 省 医 薬 品 製 造 販 売 会 社 ) 近 年 では ジェネリック 医 薬 品 の 使 用 推 進 による 取 扱 品 目 の 増 加 や これに 伴 う 一 般 名 処 方 などの 新 たな 情 報 管 理 の 問 題 など 処 方 に 関 するリスクは 増 大 傾 向 にあるといえます そのため 医 療 法 に 定 められた 安 全 管 理 項 目 の 遵 守 だけにとどまらず 積 極 的 なリスク 管 理 に 取 り 組 むことが 求 められています 4
処 方 に 関 するヒヤリ ハットの 実 態 と 安 全 対 策 薬 剤 処 方 をめぐるヒヤリ ハット クリニックと 調 剤 薬 局 との 間 で 日 常 的 に 発 生 するものに 疑 義 照 会 があります これは クリニックの 薬 剤 処 方 ミスについて 薬 局 が 気 付 いた 事 例 であり 未 然 に 防 止 した 点 ではチ ェック 機 能 が 働 いたケースであるともいえます しかし クリニック 側 のミスが 薬 局 での チェックに 漏 れ 患 者 に 処 方 されてしまった 場 合 はアクシデントになります また 正 しい 処 方 せんが 発 行 されていても 薬 剤 師 が 調 剤 ミスを 犯 すケースもあります (1) 処 方 過 誤 が 起 因 となるアクシデント クリニックが 発 行 した 処 方 せんにミスがあったものの 薬 局 でも 見 逃 され そのまま 処 方 薬 が 患 者 に 渡 ってしまったケースは 処 方 過 誤 によるアクシデントです 処 方 過 誤 のパターン クリニック 調 剤 薬 局 医 師 事 務 薬 剤 師 Miss 患 者 Miss Miss アクシデント! リスクの 比 較 的 高 い 処 方 過 誤 1 規 格 違 い 単 位 間 違 い 用 法 用 量 違 い 2 不 要 な 薬 が 出 ていた 必 要 な 薬 を 出 さなかった 3 似 たような 名 称 の 薬 を 処 方 した 4 他 院 受 診 による 投 薬 の 事 実 を 確 認 しなかったため 重 複 投 与 となったり 禁 忌 薬 を 処 方 した 5 事 務 で 処 方 せん 入 力 の 際 に 誤 入 力 した 特 に4のような 他 院 受 診 の 情 報 は お 薬 手 帳 の 確 認 等 を 怠 ると 直 ちにアクシデントに つながるため 格 段 の 注 意 を 払 うべき 項 目 だといえます 5
(2) 調 剤 ミス 等 が 起 因 となるアクシデント クリニックから 発 行 された 処 方 せんに 問 題 がなくても 薬 局 側 でミスが 発 生 するとアク シデントとなる 可 能 性 が 高 まります 調 剤 等 のミス クリニック 調 剤 薬 局 医 師 事 務 薬 剤 師 Right 患 者 Right Right アクシデント! Miss! (3) 薬 局 で 処 方 過 誤 に 気 づいた 事 例 ~ヒヤリ ハット 処 方 過 誤 は 薬 局 の 監 査 によって 患 者 が 処 方 薬 を 受 け 取 る 前 に 気 付 いた 場 合 インシ デントに 該 当 するというケースです これは 事 前 に 把 握 できた 良 い 事 例 であり なぜア クシデントに 至 らなかったかが 以 降 の 防 止 徹 底 に 向 けた 重 要 なファクターになります その 後 処 方 医 に 確 認 し 正 しい 処 方 に 変 更 してもらう 仕 組 みが 疑 義 照 会 であり そ の 意 味 で 事 務 手 続 からみると 保 険 証 の 記 号 番 号 間 違 いも 疑 義 照 会 の 対 象 となります 疑 義 照 会 の 流 れ クリニック 調 剤 薬 局 医 師 事 務 薬 剤 師 Miss Right 患 者 インシデント Miss Miss 訂 正 重 大 な 事 故 に 繋 がる 可 能 性 があ る 出 来 事 Right インシデントは アクシデントに 至 る 前 に 気 付 くことができたため チェック 体 制 が 機 能 している 結 果 でもあります したがって この 機 能 の 強 化 がアクシデント 減 少 の 重 要 な カギであり 併 せてその 発 生 の 根 源 を 改 善 する 機 会 にもなります 6
(4) 処 方 に 関 するヒヤリ ハットの 実 例 処 方 に 関 するヒヤリ ハット 数 は 疑 義 照 会 件 数 に 比 例 します 下 記 は あるクリニックにおける1か 月 の 院 外 処 方 における 外 来 の 疑 義 照 会 の 発 生 状 況 を 調 査 し 内 容 別 に 分 類 して 集 計 した 詳 細 です 1 発 生 状 況 院 外 処 方 の 疑 義 照 会 内 容 と 件 数 (1か 月 分 ) 照 会 内 容 件 数 1. 用 法 用 量 の 確 認 13 件 2. 一 包 化 指 示 が 付 いていない 13 件 3. 投 薬 日 数 確 認 11 件 4. 患 者 からみて 不 要 な 薬 が 出 ている 8 件 5. 患 者 からみて 必 要 な 薬 が 出 ていない 8 件 6. 軟 膏 のg( 容 量 用 量 )と 本 数 ( 数 量 )の 誤 り 7 件 7. 湿 布 軟 膏 の 適 用 部 位 が 記 載 されていない 7 件 8. 保 険 確 認 4 件 9. 新 薬 の 投 与 量 制 限 超 過 4 件 10. 薬 品 名 の 間 違 い 3 件 11.その 他 11 件 合 計 89 件 この 事 例 では 1か 月 あたり 89 件 外 来 実 日 数 では1 日 あたり 3.7 件 ほど 発 生 していま す また 当 月 の 発 生 件 数 が 偶 然 多 かったのではなく 毎 月 ほぼ 同 数 の 疑 義 照 会 が 発 生 し ており そしてこうした 状 況 はどのクリニックでも 起 こりうることを 認 識 しておくべきで す 2 照 会 内 容 疑 義 照 会 は 事 務 手 続 きで 発 生 する 保 険 確 認 を 除 くと すべて 処 方 医 によるミスが 原 因 と 推 測 されます そのうち 用 法 用 量 の 間 違 いや 投 与 量 の 制 限 超 え 薬 品 名 間 違 い などはアクシデントに 直 結 する 重 要 なインシデントであることから こうした 処 方 ミスが 発 生 した 要 因 を 調 査 分 析 し 疑 義 照 会 を 減 らす 取 組 みに 努 めなければなりません しかし 実 際 にはその 場 限 りの 対 応 にとどまっており 以 降 の 防 止 策 の 検 討 に 結 び 付 け られないクリニックが 多 いという 現 状 です 7
安 全 対 策 活 動 のポイント (1) 主 な 分 析 手 法 安 全 対 策 活 動 における 最 初 の 取 り 組 みは 院 内 で 発 生 した 事 例 を 取 り 上 げ 発 生 原 因 に ついて 分 析 したうえで 再 発 防 止 に 向 けた 対 応 策 を 行 うことであり 疑 義 照 会 における 過 誤 についても 同 様 です そして このような 根 本 的 原 因 の 分 析 手 法 としては 次 に 挙 げる SHELLモデル 4M-4Eマトリクスなどがあります 1SHELLモデル 航 空 業 界 において Edwards が 1987 年 に 基 本 モデルを 提 案 し KLMオランダ 航 空 の Hawkins が 改 良 した 要 因 分 析 手 法 であり Software(ソフトウェア) Hardware(ハードウ ェア) Environment( 環 境 ) Liveware( 人 間 )の 各 境 界 面 に 存 在 する 要 因 を 見 つけようと するものです Event SHELL 要 因 対 応 策 S 運 用 マニュアル 等 発 生 した H 機 器 材 料 等 インシデント E 状 態 体 調 等 L(L) 当 事 者 第 三 者 等 24M-4Eマトリクス NASA( 米 国 航 空 宇 宙 局 )で 開 発 された 分 析 手 法 で 下 記 の4つのMで 要 因 分 析 を 行 い 4つのEで 対 策 を 立 てることを 目 的 としています Man ( 人 間 ) Machine ( 物 機 械 ) Media ( 手 段 方 法 環 境 ) Management ( 管 理 ) 具 体 的 要 因 対 策 Engineering ( 技 術 工 学 ) Enforcement ( 強 化 徹 底 ) Education ( 教 育 訓 練 ) Example ( 模 範 事 例 ) 8
薬 局 事 例 からみる 連 携 強 化 による 防 止 策 調 剤 薬 局 におけるヒヤリ ハット 公 益 財 団 法 人 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 が 実 施 する 薬 局 ヒヤリ ハット 事 例 収 集 分 析 事 業 の 平 成 22 年 年 報 によると 12,904 件 (3,458 施 設 )が 報 告 されています (1) 繁 忙 時 間 に 集 中 するヒヤリ ハット ヒヤリ ハット 事 例 の 発 生 状 況 をみると 月 ~ 木 曜 日 では 16%~18% 程 度 金 曜 日 だけ 20%を 超 えており さらに そのうちの 36%が 繁 忙 時 間 の2 時 間 ( 午 前 10 時 から 12 時 ) に 集 中 している 状 況 です 発 生 曜 日 発 生 曜 日 件 数 比 率 日 曜 日 43 0.3% 月 曜 日 2,329 18.0% 火 曜 日 2,383 18.5% 水 曜 日 2,103 16.3% 木 曜 日 2,167 16.8% 金 曜 日 2,625 20.3% 土 曜 日 1,254 9.7% 合 計 12,904 100.0% 発 生 時 間 帯 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 9
(2) 実 施 の 有 無 事 例 の 概 要 報 告 された 12,904 件 のうち 実 際 に 薬 を 患 者 に 交 付 した 実 施 あり の 事 例 は 2,002 件 (15.5%) うち 後 日 患 者 が 軽 微 な 治 療 を 要 した 事 例 が 168 件 (1.3%)です 実 施 の 有 無 治 療 の 程 度 実 施 の 有 無 治 療 の 程 度 件 数 実 施 あり 軽 微 な 治 療 168 実 施 あり 治 療 なし 880 実 施 あり 不 明 954 実 施 なし 10,902 1% 7% 7% 実 施 あり 軽 微 な 治 療 実 施 あり 治 療 なし 実 施 あり 不 明 実 施 なし 合 計 12,904 *ヒヤリ ハットの 定 義 参 照 (p.3) 85% 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 事 例 の 概 要 別 の 報 告 件 数 とその 割 合 は 調 剤 では 12,222 件 (94.7%) 医 師 への 疑 義 照 会 事 例 は 656 件 (5.1%)となっていますが 調 剤 過 程 において 処 方 せん 鑑 査 の 問 題 で 疑 義 照 会 を 行 わなかった 事 例 は 調 剤 に 集 計 されているため 実 際 の 疑 義 照 会 はさら に 多 いと 推 測 されます 事 例 の 概 要 事 例 の 概 要 件 数 調 剤 12,222 疑 義 照 会 656 特 定 保 険 医 療 材 料 23 医 薬 品 の 販 売 3 合 計 12,904 0.2% 5.1% 調 剤 疑 義 照 会 特 定 保 険 医 療 材 料 薬 品 の 販 売 94.7% 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 (3) 疑 義 照 会 の 概 要 報 告 された 疑 義 照 会 656 件 について 46.0%(302 件 )が 患 者 に 健 康 被 害 があったと 推 測 される ものであり また 残 る 54.0%(354 件 )についても 健 康 被 害 は 生 じなかった が 医 師 の 意 図 した 薬 効 が 得 られなかったと 推 測 される となっており 被 害 の 大 小 はあ るものの 疑 義 照 会 のすべてがアクシデントに 直 結 する 内 容 であることがわかります 結 果 としては 照 会 後 に 薬 局 側 で 薬 剤 変 更 を 伴 ったケースが 27.3%と 最 も 多 く 次 に 分 量 変 更 が 15.9%となっています 10
疑 義 照 会 に 関 する 概 要 変 更 前 の 処 方 のとおり に 服 用 した 場 合 の 影 響 件 数 患 者 に 健 康 被 害 があっ たと 推 測 される 302 46.0% 患 者 に 健 康 被 害 があった と 推 測 される 患 者 に 健 康 被 害 が 生 じ なかったが 医 師 の 意 図 した 薬 効 が 得 られなか ったと 推 測 される 354 54.0% 患 者 に 健 康 被 害 が 生 じな かったが 医 師 の 意 図 し た 薬 効 が 得 られなかった と 推 測 される 合 計 656 疑 義 照 会 後 の 対 応 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 変 更 内 容 件 数 薬 剤 変 更 179 用 法 変 更 78 用 量 変 更 74 19.1% 27.3% 薬 剤 変 更 用 法 変 更 用 量 変 更 分 量 変 更 104 薬 剤 削 除 96 14.6% 11.9% 分 量 変 更 薬 剤 削 除 その 他 その 他 125 合 計 656 15.9% 11.3% 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 具 体 的 事 例 と 連 携 強 化 による 改 善 (1)ヒヤリ ハットの 具 体 的 事 例 1 名 称 類 似 名 称 類 似 を 原 因 とするエラーは 処 方 調 剤 とも 発 生 件 数 が 多 いため 特 に 注 意 が 求 め られます さらに 薬 効 が 大 きく 違 う 場 合 には 重 篤 なアクシデントに 結 びつくリスクが 高 くなることから より 慎 重 な 対 応 が 必 要 です 医 薬 品 には 下 記 のような 名 称 類 似 例 があります 医 薬 品 の 組 み 合 わせ( 販 売 名 およびその 薬 効 ) ムコダイン 錠 500mg ムコスタ 錠 100mg 薬 効 呼 吸 器 官 用 薬 去 たん 剤 薬 効 消 化 器 官 用 薬 消 化 性 潰 瘍 用 剤 クラビット 錠 薬 効 化 学 療 法 剤 合 成 抗 菌 剤 クラリシッド 錠 200 mg 薬 効 抗 生 物 質 製 剤 主 としてグラム 陽 性 菌 マ イコプラズマに 作 用 するもの 11
薬 効 医 薬 品 の 組 み 合 わせ 件 数 2 文 字 のみ 一 致 (25 件 ) マグミット 錠 330 mg マグラックス 錠 330 mg 10 同 じ ベザテートSR 錠 200 ベザトールSR 錠 200 mg 4 MS 冷 シップ タイホウ MS 温 シップ タイホウ 2 メバロチン 錠 5 メバン 錠 5 1 ムコダイン 錠 500 mg ムコスタ 錠 100 mg 6 異 なる クラビット 錠 クラリシッド 錠 200 mg 1 ユリノーム 錠 25 mg ユリーフ 錠 4 mg 1 2ハイリスク 薬 ハイリスク 薬 をめぐるヒヤリ ハット 事 例 は 全 体 に 占 める 割 合 が 11.3%と 決 して 低 く ないことを 十 分 に 認 識 する 必 要 があります 件 数 ヒヤリ ハット 事 例 12,904 ハイリスク 薬 に 関 する 事 例 1,467 調 剤 に 関 する 事 例 ( ハイリスク 薬 に 関 する 事 例 の 内 数 ) 1,374 疑 義 照 会 に 関 する 事 例 ( ハイリスク 薬 に 関 する 事 例 )の 内 数 93 ともに 出 典 :( 公 財 ) 日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 (2)アクシデント 防 止 のための 連 携 強 化 ヒヤリ ハットの 発 生 件 数 をゼロにすることは 不 可 能 に 近 いものの エラーをなくす 取 り 組 みを 通 じて アクシデント 件 数 を 減 らすことはできます そのためには 日 常 的 に 発 生 するエラー( 処 方 調 剤 ミス)を 認 識 することから 始 めなければなりません そして 処 方 医 においては 疑 義 照 会 について 場 当 たり 的 に 対 応 するのではなく 内 容 を 把 握 し 原 因 分 析 を 通 じて 改 善 と 再 発 防 止 に 向 けて 薬 局 と 共 同 した 取 り 組 みを 徹 底 しな ければなりません 具 体 的 には 毎 月 の 疑 義 照 会 について 薬 局 にレポート 作 成 を 依 頼 し これに 基 づき 院 内 で 安 全 対 策 委 員 会 を 開 催 することで 職 員 と 情 報 を 共 有 化 し リスクの 高 い 項 目 については 発 生 原 因 を 分 析 するとともに 改 善 行 動 に 結 びつけるサイクルを 確 立 す る 活 動 を 進 めることが 望 ましいでしょう 12
2012 年 6 月 号 ヒヤリ ハット 事 例 検 証 クリニックの 医 薬 品 安 全 対 策 ポイント 編 集 カンパニーアシスト 株 式 会 社 発 行 者 平 川 昌 彦 発 行 カンパニーアシスト 株 式 会 社 432-8041 静 岡 県 浜 松 市 中 区 菅 原 町 15-20 第 一 堀 留 ビル2 階 TEL:(053)454-9151 FAX:(053)454-9152 本 書 に 掲 載 されている 内 容 の 一 部 あるいは 全 部 を 無 断 で 複 写 することは 著 者 および 発 行 者 の 権 利 の 侵 害 となりま す ( 法 律 で 認 められた 場 合 を 除 く) 掲 載 内 容 の 使 用 許 諾 につきましては 予 め 弊 社 までお 問 合 せください 13