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93 エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 特 集 放 射 性 物 質 と 放 射 線 その 基 礎 から 除 染 まで 放 射 線 放 射 能 の 発 見 利 用 の 歴 史 と 放 射 線 衛 生 学 Radiation History, Units, Effects and Health 欅 田 尚 樹 * Naoki Kunugita 1.はじめに 2011 年 3 月 11 日 の 震 災 から3 年 を 迎 え, 震 災 を 話 題 にす る 機 会 がずいぶんと 少 なくなってきているように 思 われ る.しかし, 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 により, 環 境 中 に 大 量 の 放 射 性 物 質 が 放 出 され, 飲 食 品 の 放 射 能 汚 染, 低 線 量 放 射 線 被 ばくに 対 する 不 安 の 声 が 今 も 続 いている.ここでは, 放 射 線 放 射 能 にまつわ る 歴 史, 単 位, 生 物 学 的 影 響, 管 理 などについて 基 本 的 な 情 報 を 整 理 し, 今 後 の 対 応 における 理 解 の 一 助 としたい. 2. 放 射 線 放 射 能 の 歴 史 1895 年 のレントゲン 博 士 のX 線 発 見 の 報 告 後,その 利 用 は 医 学 領 域 を 含 め 瞬 く 間 に 世 界 中 に 広 まった.レントゲン 博 士 は,その 功 績 で1901 年 に 第 1 回 ノーベル 物 理 学 賞 を 受 賞 している. 一 方, 当 初 は 今 で 考 えれば 適 切 でない 利 用 も あったため, 表 1に 示 すように, 発 見 の 翌 96 年 には 手 の 皮 膚 炎, 眼 痛, 脱 毛 症,など 多 くの 急 性 放 射 線 障 害 も 既 に 報 告 された.あわせて,ベクレルによる 放 射 能 の 発 見 や,98 年 のキューリー 夫 妻 によるラジウムの 発 見,など 輝 かしい 発 見 が 続 く 中 で,1902 年 にはX 線 による 慢 性 潰 瘍 からの 発 がんも 報 告 され, 放 射 線 利 用 における 管 理 対 策 も 早 い 段 階 で 系 統 的 に 試 みられてきた.その 成 果 は,15 年 には 英 国 で X 線 技 術 者 の 防 護 に 関 する 勧 告 が 出 され,25 年 には 第 1 回 国 際 放 射 線 会 議 (ロンドン)の 開 催,28 年 の 国 際 X 線 ラジウム 防 護 委 員 会 の 設 立 と, 戦 後 の50 年 の 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 ICRP(International Commission on Radiological Protection)へと 続 いている.これらの 動 きは, 化 学 物 質 などの 管 理 より 圧 倒 的 に 早 くから, 生 物 学 的 影 響 と 曝 露 の 定 量 的 な 評 価 を 導 入 して 実 施 されてきた. こ の 間, 医 療 面 で の 利 用 は 拡 大 を 続 け,68 年 のX 線 CTの 発 見 は 放 射 線 診 断 に 革 命 を も た ら し た ほ かPET (Positron Emission Tomography; 陽 電 子 放 射 断 層 撮 影 ) -CTも 普 及 してきた.また,がん 放 射 線 治 療 においてもラ * 国 立 保 健 医 療 科 学 院 生 活 環 境 研 究 部 長 351-0197 埼 玉 県 和 光 市 南 2-3-6 E-mail:kunugita@niph.go.jp イナック( 線 形 加 速 器 ),ガンマナイフの 普 及,コンピュ ータ 技 術 の 進 展 に 伴 う 強 度 変 調 放 射 線 治 療 法 (IMRT)の 導 入, 重 粒 子 線 治 療 の 開 始 など 管 理 下 における 放 射 線 の 有 効 利 用 は 広 く 拡 大 してきた.そのほか 非 破 壊 検 査 などでも 使 用 される. 残 念 ながら 原 子 力 の 利 用 は 平 和 利 用 だけにとどまらず, 45 年 には 広 島 長 崎 に 原 子 爆 弾 が 投 下 され,その 熱 線 およ び 急 性 の 放 射 線 障 害 だけでなく, 後 述 するように 発 がんを 主 とした 晩 発 障 害 が 観 察 され, 放 射 線 影 響 研 究 所 を 中 心 に 現 在 も 大 規 模 な 疫 学 調 査 が 実 施 されている.また54 年 には 水 爆 実 験 に 伴 う 第 五 福 竜 丸 の 被 ばく 事 件 が 発 生 し,これを 契 機 に 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 が 設 立 されることとなった. 国 内 での 原 子 力 発 電 は,55 年 に 原 子 力 基 本 法 が 制 定 され, 63 年 に 動 力 試 験 炉 による 初 発 電 が 開 始 された. 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 は71 年 に1 号 炉 の 稼 働 が 始 まった.そ の 後 平 和 利 用 においても 国 内 外 でいくつかの 大 きな 事 故 を 経 験 し,そのたびに 種 々の 規 制 対 応 なども 取 られてきた. 代 表 的 なものとして79 年 には 米 国 スリーマイル 島 原 子 力 発 電 所 事 故 が 発 生 し,これを 受 けて 国 内 では 原 子 力 安 全 委 員 会 において 原 子 力 施 設 等 の 防 災 対 策 について いわゆる 防 災 指 針 が 策 定 され,それを 受 け86 年 に 緊 急 時 医 療 活 動 マニュアル が 作 られた.これは86 年 4 月 のチェルノブイ リ 原 発 事 故 の 発 生 後, 改 訂 見 直 しが 図 られ 緊 急 時 医 療 の 知 識 として 出 されている.95 年 には, 阪 神 淡 路 大 震 災, 地 下 鉄 サリン 事 件,もんじゅナトリウム 漏 洩 事 故 など 大 き な 災 害 事 故 が 相 次 ぎ 国 全 体 の 防 災 関 係 の 法 体 系 の 見 直 し が 始 められた.また97 年 には 国 内 においても 放 射 性 物 質 に よる 汚 染 の 発 生 があり 得 ることを 想 起 させる 東 海 村 アスフ ァルト 固 化 施 設 火 災 爆 発 事 故 の 発 生,さらには 国 内 で 初 め ての 放 射 線 被 ばく 事 故 による2 名 の 死 亡 を 伴 う99 年 の 東 海 村 の 株 式 会 社 ジェー シー オー(JCO) 東 海 事 業 所 にお ける 臨 界 事 故 を 受 けて, 原 子 力 災 害 特 別 措 置 法 が 同 年 12 月 に 公 布 された. 同 法 では, 自 然 災 害 と 異 なり, 専 門 的 な 知 見 と 特 別 な 装 備 が 求 められるといった 特 殊 性 から,1) 防 災 対 策 上 の 事 業 者 の 責 務 義 務 の 明 確 化,2) 原 子 力 災 害 の 特 殊 性 に 応 じた 国 の 緊 急 時 対 応 体 制 および 権 限 の 強 化, 3) 初 動 の 迅 速 化, 国 と 地 方 自 治 体 との 連 携 強 化 がうたわ 16

エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 94 表 1 放 射 線 の 発 見 と 原 子 力 防 災 上 転 機 となった 事 故 災 害 等 の 歴 史 れ,この 拠 点 としてオフサイトセンターの 設 置 などが 定 め られた. さらに 今 般 の 震 災 のような 市 町 村 の 機 能 が 広 範 に 喪 失 す る 状 況 下 における 対 応 策 の 強 化 を 含 め 防 災 対 策 の 全 般 的 な 見 直 しが 図 られ, 災 害 対 策 基 本 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 が2012 年 6 月 および13 年 6 月 に 公 布 施 行 された. 放 射 線 防 護 に 関 する 国 際 的 枠 組 みとして, 現 在 多 く の 国 際 機 関 が 放 射 線 の 健 康 影 響 と 防 護 に 係 わっている. UNSCEAR(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation: 原 子 放 射 線 の 影 響 に 関 する 国 連 科 学 委 員 会 )は, 加 盟 各 国 および 各 国 際 機 関 の 専 門 家 が 参 加 し, 放 射 線 の 線 源 と 影 響 に 関 する 数 多 くの 科 学 論 文 をレビューし 科 学 的 知 見 の 取 りまとめを 行 っている. これを 受 けてICRPが 防 護 の 枠 組 を 定 め, 各 種 勧 告,ガ イダンスを 発 行 している.IAEA(International Atomic Energy Agency: 国 際 原 子 力 機 関 )は, 国 際 基 本 安 全 基 準 BSS(Basic Safety Standards) 等 を 策 定 し 国 際 的 な 安 全 基 準 指 針 の 作 成 を 行 っており, 各 国 国 内 法 令 の 整 備 に 貢 献 している.さらに,WHO, OECD, ILOなども 各 々の 分 野 で 連 携 しながら 関 与 している. 3. 放 射 線 放 射 能 の 単 位 一 般 に 放 射 線 という 場 合 は 電 離 放 射 線 を 指 し,この 中 に は 電 磁 波 の1 種 であるX 線,γ 線 と, 粒 子 線 である 電 子 線, β 線, 陽 子 線,α 線, 中 性 子 線, 重 粒 子 線 などがある.ま た 放 射 能 とは, 放 射 性 物 質 がこれらの 放 射 線 を 出 して 壊 変 する 性 質 能 力 をいう. 放 射 能 の 強 さの 単 位 としては, 以 前 はラジウム1gが 有 する 放 射 能 を1キューリー(Ci)と 定 義 していたが, 現 在 ではSI 単 位 に 基 づき,1 秒 間 に1 個 の 放 射 性 物 質 が 壊 変 す ることを1ベクレル(Bq)と 定 義 している. 従 って,1Ciは, 3.7 10 10 Bqに 相 当 し,ベクレルで 表 現 すると 非 常 に 大 きな 数 値 になる. 放 射 線 が 組 織 に 照 射 されるとエネルギーを 与 えるが, 単 位 質 量 の 組 織 に 吸 収 されるエネルギーを 吸 収 線 量 とい い,グレイ[Gy:J/kg]で 表 される. 一 方, 吸 収 線 量 は 同 じでも, 放 射 線 の 種 類 とエネルギーによって 生 物 学 的 影 響 は 異 なる.たとえば1GyのX 線,γ 線 の 影 響 に 比 べ,1 Gyの 中 性 子 線 やα 線 の 生 物 学 的 影 響 は 大 きくなる.そこ で,すべての 放 射 線 の 影 響 を 同 じ 尺 度 で 評 価 する 指 標 とし て 放 射 線 の 線 質 に 応 じた 放 射 線 加 重 係 数 を 臓 器 の 平 均 吸 収 線 量 に 乗 じて 等 価 線 量 を 計 算 しシーベルト[Sv]と いう 単 位 で 表 す.この 係 数 は,X 線,γ 線, 電 子 線 は1で あり,エネルギーにもよるが 中 性 子 線 なら10,α 線 なら20 などとなる. 従 って 同 じ1Gyの 被 ばくであってもX 線 の 場 合 は1Svであり,α 線 なら20Svとなる.また 被 ばくし た 個 体 の 影 響 は 全 身 均 等 被 ばくと 部 分 被 ばくでは 当 然 異 な る.また 臓 器 器 官 の 種 類 によってもその 生 物 学 的 影 響 は 17

95 エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 異 なる.そこで 放 射 線 のリスクに 関 連 した 線 量 概 念 として 実 効 線 量 が 定 義 され, 各 臓 器 の 等 価 線 量 にその 臓 器 の 組 織 加 重 係 数 を 乗 じてすべての 臓 器 について 合 計 したもの が 使 用 され, 単 位 としてはこれもシーベルト[Sv]が 用 いられる.この 実 効 線 量 を 用 いれば, 放 射 線 の 種 類 や 外 部 被 ばく, 内 部 被 ばくなどの 被 ばく 形 態 部 位 に 依 存 せず, 放 射 線 被 ばくの 影 響 を 評 価 することができる.いずれも 放 射 線 研 究 のパイオニアの 名 前 が,その 功 績 を 称 え 単 位 名 称 に 用 いられている. 放 射 性 ヨウ 素 による 内 部 被 ばくの 場 合,ヨウ 素 は 甲 状 腺 に 特 異 的 に 取 り 込 まれるため 生 体 影 響 の 主 なターゲットは 甲 状 腺 になる.そのため, 甲 状 腺 の 等 価 線 量 としてのシー ベルト 表 記 か, 実 効 線 量 に 換 算 されたシーベルトなのかは 注 意 しなければならない. 4. 身 の 回 りの 放 射 線 日 ごろ 身 近 な 生 活 の 中 でも 我 々は 種 々の 放 射 線 源 により わずかながら 被 ばくしている.これらを 自 然 放 射 線 と 呼 び, 1) 大 地 放 射 線 ( 地 球 の 大 地 に 含 まれる 放 射 性 物 質 からの 放 射 線 ),2) 宇 宙 線,3) 自 然 に 存 在 する 放 射 性 同 位 体 の 摂 食 ( 主 にカリウムK-40,ポロニウムPo-210),4)ラ ドン 及 びその 娘 核 種 による 内 部 被 ばくなどに 分 類 される. ただし 大 地 放 射 線 などは 地 域 差 があり, 国 内 でも 西 日 本 が 高 く, 関 東 ローム 層 に 覆 われている 東 日 本 の 方 が 一 般 的 に 低 値 を 示 す. 図 1に 示 すように 年 間 の 日 本 全 国 の 平 均 は1) から3)の 合 計 が 約 1.6mSv,そのほか4)のラドン 分 が 0.47mSv, 合 計 で 自 然 放 射 線 由 来 で1 年 間 2.1mSvの 被 ばく となる. 世 界 平 均 値 はUNSCEARより 年 間 2.4mSvと 報 告 されている. 地 球 規 模 でみた 場 合, 大 地 放 射 線 による 外 部 被 ばくがブラジル,インド, 中 国 などの 一 部 の 地 域 では 日 本 の10 倍 以 上 の 値 を 示 し,1 年 に10mSv 程 度 の 所 もある. 一 方, 人 工 放 射 線 源 からの 被 ばくは1) 医 療 被 ばく( 医 療 における 患 者,ボランティア 等 の 被 ばく),2) 過 去 の 核 実 験 に 伴 う 放 射 性 降 下 物,3) 原 子 力 発 電 に 伴 う 放 射 線 などに 分 類 され, 平 均 被 ばく 線 量 としては 医 療 被 ばくが 大 半 をしめる. 世 界 各 国 での 一 人 当 り1 年 間 の 平 均 は 医 療 水 準 により 大 きく 異 なり0.5~2.0mSv 程 度 であるが, 日 本 に おいて 医 療 被 ばく 線 量 は 高 く3.87mSv 前 後 になる. 自 然 放 射 線 と 合 計 すると 日 本 人 の 場 合, 事 故 に 関 係 なく 通 常 の 生 活 で 国 民 平 均 として 年 間 約 6mSvの 放 射 線 を 被 ばくして いる. 医 療 被 ばくの 問 題 については,2004 年 1 月 に 医 学 専 門 誌 Lancetに 掲 載 された 論 文 に 記 述 された 内 容 の 一 部 が 日 本 人 のがんの3.2%が 診 断 被 ばくが 原 因, 診 断 用 X 線 によるがんリスクの 増 加 といった 形 でマスメディアによ り 報 道 され, 一 般 の 人 々の 不 安 を 助 長 する 結 果 となったこ とがある.ただし, 医 療 被 ばくにおいては, 被 ばく 対 象 者 が 病 気 の 診 断 治 療 に 利 用 されるメリットを 受 けることか らその 利 用 は 正 当 化 され, 使 用 においても 医 療 従 事 者 によ り 被 ばく 線 量 をできる 限 り 軽 減 するように 最 適 化 されてい ることなどから 線 量 限 度 は 設 けられていない. 5. 放 射 線 の 生 物 影 響 放 射 線 被 ばくによる 人 体 への 影 響 は, 妊 娠 中 の 母 体 の 胎 児 を 含 め 被 ばくした 本 人 に 影 響 が 認 められる 身 体 的 影 響 (somatic effects)と, 子 どもを 作 る 可 能 性 のある 世 代 の 人 が 生 殖 腺 を 含 む 被 ばくを 受 け,その 後 被 ばくした 人 の 子 孫 に 影 響 の 認 められる 遺 伝 的 影 響 (hereditary effects)の 2つに 大 きく 分 けられる. さらに 放 射 線 の 生 体 影 響 は, 放 射 線 防 護 の 観 点 からは, しきい 値 のある 確 定 的 影 響 と,しきい 値 の 無 い 確 率 的 影 響 に 分 けて 考 えられる( 図 2).すなわち, 確 定 的 影 響 は, それぞれの 症 状 においてある 一 定 レベルの 線 量 までは 影 響 の 発 生 はないが,しきい 線 量 を 越 えると 組 織 損 傷 として 種 々の 発 生 確 率 が 増 加 し, 重 篤 度 も 高 くなる. 従 って 防 護 の 目 的 としては 放 射 線 利 用 にあたって 線 量 をしきい 値 以 下 に 抑 え 発 生 を 防 止 することにある. 不 妊 や 白 血 球 数 の 減 少, 脱 毛, 皮 膚 の 紅 斑 など 放 射 線 による 急 性 症 状 として 認 図 1 事 故 前 の 日 本 の 環 境 放 射 線 図 2 放 射 線 の 影 響 の 分 類 18

エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 96 められる 身 体 的 影 響 がこれに 含 まれる.これらの 多 くは1 度 に1Sv,すなわち1,000mSvを 超 えるような 高 い 線 量 を 受 けた 際 にこのような 症 状 が 観 察 され 得 る.なお, 胎 児 に おける 奇 形 発 生 などの 影 響 に 関 するしきい 線 量 は,100~ 200mSvと 報 告 されている. 影 響 の 最 も 大 きいものとして 急 性 放 射 線 症 候 群 による 致 死 がある. 急 性 照 射 で 全 身 に 被 ばくした 際 に 積 極 的 な 治 療 を 施 さなければ 集 団 の 半 数 が 死 に 至 る 線 量,すなわち 半 致 死 線 量 (LD50)は,ヒトでは3~4Gyといわれてい る. 先 の 単 位 でのべたようにX 線,γ 線 などでは3~4Sv (3,000~4,000mSv)となる.86 年 のチェルノブイリの 原 子 力 発 電 所 事 故 で 消 火 活 動 等 にあたった 人 の 中 で30 名 程 度, あるいは99 年 の 茨 城 県 東 海 村 の JCOでの 臨 界 事 故 におい ては2 名 の 方 が 非 常 に 高 線 量 を 被 ばくして 残 念 ながら 死 に 至 った.いずれの 事 故 でも, 全 身 に6~7Sv(6,000~ 7,000mSv) 以 上 を 一 度 に 被 ばくしたことが 報 告 されてお り, 図 2に 示 す 急 性 放 射 線 症 候 群 による 骨 髄 ( 造 血 系 ) 障 害, 消 化 管 障 害 等 を 呈 し 死 に 至 った. なお,がん 放 射 線 治 療 の 際 には,できるだけ 正 常 組 織 へ の 副 作 用 をなくし, 治 療 効 果 を 高 めるために 照 射 する 範 囲 をがん 組 織 に 絞 り 込 み,がん 組 織 にもよるが 多 くの 場 合 1 日 2Gyを 週 5 日 間,6~7 週 間 で 合 計 70Gy 程 度 照 射 する. 半 致 死 線 量 をほかのエネルギーで 表 現 すると, 体 重 70kgの 人 が 全 身 に4Gy(J/kg) 被 ばくすると,その 吸 収 エネルギーは 全 身 で280Jということになる.これは 熱 量 に 換 算 すると 約 67cal(カロリー),すなわち60 のホットコ ーヒー3mlを 飲 んだときの 熱 量 になる((60-37) 3ml =69cal). 位 置 エネルギーにすると70kgの 人 を40cm 持 ち 上 げることに 相 当 する.エネルギー 換 算 でこれほどわずかで 死 に 至 るのは, 放 射 線 による 生 物 影 響 の 現 れ 方 の 特 徴 であ る.すなわち 熱 エネルギーのように 組 織 からだに 均 等 に エネルギーを 付 与 し 細 胞 を 死 に 至 らしめるのではなく, 放 射 線 が 通 過 する 際 に 生 体 内 の 分 子 と 相 互 作 用 し 局 所 的 に 電 離 を 引 き 起 こし,その 結 果 としてDNAの2 重 鎖 切 断 など を 引 き 起 こすことにより 細 胞 組 織 に 障 害 をきたすことに 基 づくためにエネルギーとしては 非 常 に 小 さくても 死 に 至 る 特 徴 を 持 つ.あわせてこのようなメカニズム 故, 生 体 影 響 が 現 れるまで, 急 性 影 響 においても 潜 伏 時 間 を 要 する. JCO 事 故 の 被 ばく 者 の 場 合, 事 故 直 後 に 嘔 吐 を 引 き 起 こし 一 時 的 に 意 識 消 失 をきたすが,その 後 病 院 に 搬 送 された 際 には 意 識 も 清 明 であり 外 見 上 は 被 ばく 者 とはわからない 状 況 であった.しかしながら,その 後, 日 を 追 うごとに 全 身 組 織 の 障 害 が 現 れ 死 に 至 った 経 緯 が 記 されている 1). 今 回 の 福 島 原 発 事 故 においては, 高 い 被 ばく 線 量 が 懸 念 される 原 子 力 発 電 所 サイト 内 で 働 く 労 働 者 においても, 250mSvを 超 過 した 人 が6 名 であり, 最 も 被 ばく 線 量 の 高 い 方 が 内 部 被 ばく, 外 部 被 ばく 線 量 の 合 計 で678.8mSvと 推 定 されている.また 住 民 の 被 ばく 線 量 は,99.9% 以 上 が 10mSv 未 満 である. 従 って, 作 業 者 や 妊 娠 中 の 胎 児 を 含 め て 急 性 影 響 を 呈 する 人 は 認 められていない. 一 方 で, 確 率 的 影 響 は, 被 ばくにより 細 胞 のDNAに 損 傷 が 生 じることに 起 因 するものと 考 え, 体 細 胞 に 損 傷 が 生 じたことによる 発 がん,および 生 殖 細 胞 に 生 じた 損 傷 に 起 因 する 遺 伝 的 影 響 が 含 まれる.これらは 被 ばく 後 すぐに 症 状 が 発 生 するものでないので, 集 団 での 発 生 率 を 観 察 調 査 する 疫 学 研 究 によって 評 価 されてきた. 最 も 多 くの 情 報 は, 広 島 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 に 対 して, 放 射 線 影 響 研 究 所 を 中 心 に 今 も 継 続 して 行 われている 調 査 から 寄 せられている. 確 率 的 影 響 のうち 遺 伝 的 影 響 は, 動 物 実 験 等 では 観 察 さ れているが, 上 記 の 原 爆 被 爆 者 のデータを 含 めヒトでは 観 察 されていない. 今 後 結 婚 妊 娠 出 産 を 迎 える 若 い 世 代 が, 真 剣 に 放 射 線 影 響 について 悩 んでいる 声 なども 報 道 さ れるが, 現 在 の 線 量 下 において 全 く 心 配 ないものであり, 福 島 県 内 だけでなく, 全 国 の 住 民 の 正 しい 理 解 が 求 められる. 従 って, 低 線 量 被 ばくでの 健 康 影 響 で 懸 念 されるの は, 晩 発 性 障 害 としての 発 がんということになる. 最 近 の Ozasaらによる 原 爆 被 爆 者 の 疫 学 調 査 においても, 固 形 が ん 死 亡 リスクは 線 形 の 線 量 - 反 応 関 係 を 呈 し, 生 涯 にわた って 増 加 していることが 確 認 されている 2).がん 死 亡 リス クのしきい 値 に 関 して 疫 学 調 査 では100~200mSv 程 度 以 下 においては 対 照 集 団 と 比 較 し 有 意 な 増 加 が 観 察 されてい ないが, 放 射 線 防 護 の 観 点 からは,100mSv 程 度 以 下 にお いても,がんリスクは 被 ばく 線 量 に 比 例 して 増 加 すると 仮 定 し,しきい 値 無 し 直 線 モデル(Linear Non-Threshold: LNTモデル)に 基 づき 対 策 を 取 ることとしている.ただ しICRPは,LNTモデルは 放 射 線 防 護 の 実 用 的 な 目 的,す なわち 低 線 量 放 射 線 被 ばくのリスク 管 理 に 対 する 慎 重 な 根 拠 を 提 供 し,どの 程 度 のリスクなら 避 けるべきかの 慎 重 な 判 断 に 使 用 するものであり,ごく 微 量 な 個 人 線 量 から 集 団 実 効 線 量 に 基 づきがん 死 亡 数 を 算 出 するなどは 避 けるべき としている 3). 表 2 放 射 線 によって 誘 発 される 健 康 影 響 の 要 約 (ICRP Pub96) 19

97 エネルギー 資源 Vol. 35 No. 2 2014 これら放射線による健康影響と被ばく線量の関係は表2 在するものとして さらに流通食品における汚染割合を50 に示すように要約することが出来る 今回の福島原発事故 と仮定してセシウムの基準値が設定された また各年代 は 非常に大きな事故であったが 幸いにして健康影響と 層の食品の摂取量と代謝の相違を考慮して1年間の摂取 してがんを含め明確なヒトへの影響は検出されない範囲と で介入線量レベル 1mSv に相当することとなる食品 考えられるが 後述する県民健康管理調査など幅広く調査 1kg当たりの放射能の濃度を限度値として算出し 全年 の体制をつくり 取り組んでいるところである 齢層でのもっとも低値を基準値としている この基準値に基づく自治体によるモニタリング結果の集 6 飲食品の基準値とモニタリングおよび内部被ばく 計は図3に示すとおりである 全体として基準値を超えた 厚生労働省は 2011年3月17日に 食品衛生法の観点か 割合 汚染割合 は基準値設定の際に考慮した50 に比し ら 当分の間 原子力安全委員会が 原子力施設等の防災 低く1 以下である 事故初期には葉物野菜を中心に放射 対策等について において定めた飲食物摂取制限に関する 性物質の沈着による汚染が多く検出され出荷制限 摂取制 指標等を食品衛生法に基づく暫定規制値とし これを上回 限がなされたが現在はほとんど基準値超過は無い 検体数 る食品について 食品衛生法第6条第2号に当たるもの としては畜産物が最も多いが これは汚染された稲わらで として食用に供されることがないよう 地方公共団体に 飼養され基準値を超過した牛肉が2011年7月に検出され出 対し通知した この考え方は 放射性ヨウ素については 荷制限措置が取られたことによる その後餌の管理ととも ICRP Pub63等をふまえ 甲状腺の等価線量50mSv/年を に全頭検査が実施され 基準値を超えないことが確認され 放射性セシウムについては 実効線量として5mSv/年を 再び出荷されるようになった 現在基準値超過は 野生鳥 基礎としている その後 食品安全委員会は 同年10月27 獣肉やキノコ類で高く 一部の水産物でも基準を超えるも 日に 食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価 のが検出されている 水産物では海底に棲息する一部の魚 結果を厚生労働省へ通知した これを受け厚生労働省では 介類で高い傾向など魚種による特徴も把握されてきてお より一層 食品の安全と安心を確保する観点から 翌12年 り 汚染の心配がないことが確認されたものから福島沿岸 4月から食品衛生法第11条に基づく基準として 食品の国 沖でも慎重なモニタリング下に漁業が再開されつつある 際規格を作成しているコーデックス委員会の指標等から年 飲料水については事故初期には3月23日に首都圏でも乳 間1mSvに基づく新基準値に引き下げることとした 飲料 児の飲用制限が実施されることとなり混乱をきたした し 水 牛乳 乳児用食品を除く一般食品の新基準値が放射性 かしその後濃度は急速に低下し 同年4月1日までに1水 セシウム100Bq/kgである 道事業者を除いて制限は解除となり 最後の事業者も11年 新基準値においては 半減期が1年以上の核種を対象と 5月10日には制限解除となり その後超過は観察されてい して 放射性ストロンチウム ルテニウム等も一定比率内 ない 図3の飲料水の超過は 一部の茶葉由来のものであ 図3 飲食品の新規制値における検査結果の概要 20

エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 98 り 水 道 水 の 超 過 はその 後 全 く 無 いが, 事 故 直 後 の 飲 用 制 限 のインパクトが 強 く, 現 在 全 く 心 配 ない 状 況 においても 保 育 園, 学 校 等 での 水 道 の 使 用 に 対 する 懸 念 や 給 食 の 食 材 に 対 する 懸 念 の 声 が 寄 せられているのが 実 情 である. これら 事 故 後 各 自 治 体 等 において 分 析 した 食 品 中 の 放 射 性 物 質 の 検 査 結 果 を 厚 生 労 働 省 がとりまとめ 公 表 して いるデータは 食 品 中 の 放 射 性 物 質 検 査 データ (http:// www.radioactivity-db.info)において 検 索 が 可 能 である. 同 様 に 事 故 以 前 からの 飲 食 品 に 限 らず 環 境 放 射 線 放 射 能 の 測 定 に 関 する 膨 大 な 情 報 は 日 本 の 環 境 放 射 能 と 放 射 線 (http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_ s_index)データベースにおいてグラフ 化 など 可 視 化 して 検 索 できる. 図 3の 右 の 棒 グラフは, 先 に 示 した 自 然 放 射 線 による 被 ばく 線 量 を 世 界 平 均 と 日 本 の 比 較 として 示 したものであ る. 事 故 に 基 づく 国 民 の 飲 食 品 由 来 の 内 部 被 ばく 線 量 は 事 故 後 1 年 間 において 約 0.1mSv 以 下 と 評 価 されている( 図 3).また 家 庭 の 食 事 での 調 査 ( 陰 膳 調 査 )および 流 通 食 品 での 調 査 (マーケットバスケット 調 査 )など, 我 々の グループを 含 めたその 後 の 調 査 結 果 が 厚 生 労 働 省 から 公 表 されているが 4), 現 在 福 島 県 内 でも 住 民 の 放 射 性 セシウ ムの 一 日 摂 取 量 は 大 半 が1Bq 以 下 であり, 飲 食 品 を 介 し た 内 部 被 ばく 線 量 は1 年 間 1mSvの 基 準 値 上 限 の 水 準 の 1% 以 下 と 推 計 されており, 前 述 の 自 然 放 射 線 による 被 ば く 線 量 と 比 較 しても 事 故 後 の 飲 食 品 を 介 しての 内 部 被 ばく 線 量 の 増 加 は 限 定 的 であることが 分 かる. 7. 県 民 健 康 管 理 調 査 福 島 県 が, 全 県 民 を 対 象 として 実 施 している 県 民 健 康 管 理 調 査 によれば, 住 民 の 被 ばく 線 量 は, 先 に 述 べたように 外 部 被 ばく 線 量 として99.9% 以 上 が10mSv 未 満 である.ま た 内 部 被 ばく 線 量 に 関 しても, 初 期 の 放 射 性 ヨウ 素 による 甲 状 腺 の 等 価 線 量 として, 避 難 を 強 いられた 地 域 において も99% 以 上 が30mSv 未 満 と 評 価 されている. 一 方 で,2013 年 11 月 12 日 開 催 の 県 民 健 康 管 理 調 査 第 13 回 検 討 委 員 会 において, 甲 状 腺 検 査 の 結 果 として,2011~13 年 度 合 計 として,59 例 が 悪 性 ないし 悪 性 疑 いと 診 断 され, そのうち27 例 が 手 術 を 実 施 し,1 例 が 良 性 結 節,26 例 が 乳 頭 がんであったと 報 告 公 開 されている(http://www.pref. fukushima.jp/imu/kenkoukanri/251112siryou2.pdf).これ らの 結 果 に 対 して 非 常 に 心 配 の 声 も 上 がっている. 現 在 実 施 している 甲 状 腺 検 査 は,がん 発 生 の 病 態 およびチェルノ ブイリの 観 察 結 果 などを 考 慮 して, 今 回 の 原 発 事 故 の 影 響 が 現 れる 前 のベースラインの 調 査 として 実 施 している 先 行 検 査 である. 前 述 の 被 ばく 線 量 評 価 からは, 福 島 原 発 事 故 に 基 づく 甲 状 腺 がんの 増 加 はおそらくないであろうと 考 えられるが, 数 年 後 に 増 加 が 懸 念 されたときに 比 較 対 照 となるものとして 実 施 されている. 懸 念 される 事 故 被 ばく による 甲 状 腺 がんの 増 加 の 有 無 を 検 討 するための 本 格 検 査 は2014 年 4 月 から 先 行 検 査 の 対 象 者 に 今 後 繰 り 返 し 実 施 していくことにより 評 価 される. 現 在 実 施 しているよう な 高 精 度 な 超 音 波 エコー 検 査 を 一 般 住 民 に 幅 広 く 実 施 した 例 は 世 界 的 にも 過 去 になく,しかも 通 常 においても 甲 状 腺 がんは 非 常 に 経 過 が 緩 やかながんであり, 成 人 の 場 合 には 他 疾 患 で 亡 くなった 際 に 詳 しく 検 査 すると10% 以 上 に 甲 状 腺 がんが 見 つかるなどの 報 告 もある. 現 在 先 行 検 査 で 見 つかっている 甲 状 腺 がんは,これらを 先 取 りして 見 つけ ているものであり, 被 ばくとの 関 連 はないであろうと 評 価 されている.しかしながら, 診 断 を 受 けた 本 人 家 族 にと っては 非 常 に 不 安 なものであり, 丁 寧 な 対 応 を 継 続 してい く 必 要 がある. 8. 今 後 の 対 策 今 回 の 事 故 対 応 においては, 非 難 の 声 も 多 いが, 事 故 初 期 の 避 難 措 置, 飲 食 品 の 規 制 などの 対 応 が 有 効 に 機 能 し, 事 故 の 規 模 に 対 して 住 民 の 被 ばく 線 量 は 幸 いにして 限 定 的 である. 一 方 で, 上 述 の 内 部 被 ばくにおける 各 種 検 査 など においては, 摂 食 が 制 限 されている 野 生 のキノコや 野 生 鳥 獣 肉 を 食 した 方 など 特 定 の 生 活 習 慣 の 方 に 若 干 ホールボデ ィカウンタなどで 検 査 値 が 高 値 側 にテールを 引 くような 分 布 の 方 が 出 現 している. 今 後 も 長 期 的 に 検 査 の 体 制 とそれ らを 受 けられる 環 境 整 備 を 行 い,このような 個 別 生 活 習 慣 を 含 めた 個 人 の 評 価 と 管 理 が 求 められると 思 う. 現 状 では 先 に 述 べたように 発 がんリスクも 十 分 に 低 く, 適 切 に 対 策 を 取 ればリスクは 回 避 できる. 放 射 線 リスクを 過 度 に 回 避 しようと 避 難 生 活 を 継 続 すると 地 域 社 会 の 崩 壊, 経 済 的 な 負 担, 家 族 の 分 断, 種 々の 精 神 的 なストレス など 新 たなリスク 要 因 が 増 加 してくる.また 子 供 たちに 対 して 余 分 な 被 ばくを 避 けようと 屋 外 活 動 を 制 限 し 過 ぎる と, 肥 満 の 増 加 など 二 次 的 な 健 康 影 響 が 既 に 幅 広 く 顕 在 化 して 起 きている.これらは 常 にトレードオフの 関 係 にある. この 悩 ましい 問 題 に 対 応 するためには, 現 状 の 理 解 を 促 す 情 報 の 開 示 と 関 係 者 間 の 信 頼 の 元 での 合 意 形 成 が 不 可 欠 で ある. 2002 年 に 当 時 の 原 子 力 安 全 委 員 会 では, 今 回 のような 事 故 時 のリスク 認 知 のずれとリスクコミュニケーションの 困 難 さ, 課 題 について 検 討 し, 図 4のようにまとめている. この 検 討 からも,まさに 今 回 の 事 故 後 においても 指 摘 され ている 内 容 がすべてあてはまることがわかる 5). さらに, 前 述 のように 現 在 おかれている 環 境 における 放 射 線 リスクは 限 定 的 なものであるが, 一 次 予 防 としてほん の 少 し 生 活 習 慣 全 体 としてのリスク 低 減 を 心 がけることで 21

99 エネルギー 資 源 Vol. 35 No. 2(2014) 図 4 リスク 認 知 : 客 観 的 リスクと 主 観 的 リスクのずれ 放 射 線 リスクを 打 ち 消 し,より 良 い 健 康 を 確 保 することが 可 能 である.これらの 環 境 を 整 備 するためにも, 被 災 県 だ けでなく 全 国 民 の 理 解 と 継 続 した 対 策 が 重 要 である. 最 後 に, 本 稿 に 関 連 して, 事 故 当 初 の 現 状 と 当 時 の 規 制 に 関 する 情 報 および 生 物 影 響 等 についてのまとめ 6),およ び 飲 食 品 の 規 制 値 の 考 え 方 とモニタリングの 現 状 などを 中 7) 心 に 記 した 拙 稿 を 参 照 いただければと 思 います.また 放 射 線 の 健 康 影 響, 飲 食 品 の 基 準 値 の 考 え 方 と 現 状,リス クコミュニケーションに 関 する 課 題 など 幅 広 くまとめた 記 事 を 当 院 の 雑 誌 でも 特 集 しています 8,9).ウェブサイトよ り 閲 覧 可 能 ですのでご 一 読 いただければと 思 います. 参 考 文 献 1)NHK 東 海 村 臨 界 事 故 取 材 班 ( 編 集 ); 朽 ちていった 命 被 曝 治 療 83 日 間 の 記 録,(2006),221, 新 潮 社. 2)K. Ozasa, Y. Shimizu, A. Suyama, F. Kasagi, M. Soda, E.J. Grant, R. Sakata, H. Sugiyama and K. Kodama; Studies of the mortality of atomic bomb survivors, Report 14, 1950-2003: an overview of cancer and noncancer diseases, Radiat Res, 177-3(2012), 229-243. 3)International Commission on Radiological Protection; 2007 Recommendations of the ICRP, Publication 103.(2007) Oxford: Pergamon Press.( 日 本 語 訳 版 : 日 本 アイソトープ 協 会 訳.ICRP Publ. 103 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 の2007 年 勧 告. 東 京 : 丸 善 ;2009) 4) 厚 生 労 働 省 ; 東 日 本 大 震 災 関 連 情 報 食 品 中 の 放 射 性 物 質 への 対 応,http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html 5) 内 閣 府 原 子 力 安 全 委 員 会 安 全 目 標 専 門 部 会 ; 原 子 力 は,ど のくらい 安 全 なら, 十 分 なのか,(2002).http://www.nsr. go.jp/archive/nsc/anzen/sonota/panel/panel002/03.pdf 6) 欅 田 尚 樹 ; 放 射 線 被 曝, 特 に 低 線 量 の 長 期 間 被 曝 の 健 康 影 響 に 関 して, 健 康 管 理,59-2(2012),3-17. 7) 欅 田 尚 樹 ; 乳 幼 児 期 の 生 活 と 放 射 線 放 射 能 について,こど もの 栄 養,12-2(2013),4-10. 8) 保 健 医 療 科 学 ; 特 集 東 日 本 大 震 災 特 集 放 射 性 物 質 の 健 康 影 響. 保 健 医 療 科 学,60-4(2011),285-331.http://www. niph.go.jp/journal/data/60-4/j60-4.html 9) 保 健 医 療 科 学 ; 特 集 現 存 被 ばく 状 況 下 における 放 射 線 リス クコミュニケーション. 保 健 医 療 科 学,60-2(2013),123-203.http://www.niph.go.jp/journal/data/62-2/j62-2.html 22