企 業 会 計 基 準 第 1 号 自 己 株 式 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 等 に 関 する 会 計 基 準 平 成 14 年 2 月 21 日 改 正 平 成 17 年 12 月 27 日 改 正 平 成 18 年 8 月 11 日 最 終 改 正 平 成 2 7 年 3 月 2 6 日 企 業 会 計 基 準 委 員 会 目 次 項 目 的 1 会 計 基 準 3 範 囲 3 用 語 の 定 義 4 自 己 株 式 の 会 計 処 理 及 び 表 示 7 自 己 株 式 の 取 得 及 び 保 有 7 自 己 株 式 の 処 分 9 自 己 株 式 の 消 却 11 その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 になった 場 合 の 取 扱 い 12 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 13 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 に 関 する 付 随 費 用 14 連 結 財 務 諸 表 における 子 会 社 及 び 関 連 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 等 の 取 扱 い 15 資 本 金 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 の 会 計 処 理 19 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 の 禁 止 19 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 20 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 21 開 示 22 適 用 時 期 23 議 決 24-1 -
結 論 の 背 景 26 検 討 の 経 緯 26 自 己 株 式 の 会 計 処 理 及 び 表 示 29 自 己 株 式 の 取 得 及 び 保 有 29 自 己 株 式 の 処 分 34 自 己 株 式 の 消 却 44 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 47 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 に 関 する 付 随 費 用 50 連 結 財 務 諸 表 における 子 会 社 及 び 関 連 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 等 の 取 扱 い 55 資 本 金 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 の 会 計 処 理 58 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 58 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 の 禁 止 60 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 63 開 示 64-2 -
目 的 1. 本 会 計 基 準 は 以 下 の 会 計 処 理 を 定 めることを 目 的 とする (1) 自 己 株 式 の 取 得 保 有 処 分 ( 募 集 株 式 の 発 行 等 の 手 続 による 場 合 ) 及 び 消 却 (2) 資 本 金 資 本 準 備 金 及 び 利 益 準 備 金 ( 以 下 資 本 準 備 金 及 び 利 益 準 備 金 を 合 わせて 準 備 金 という )の 額 の 減 少 2. 平 成 14 年 2 月 21 日 に 本 会 計 基 準 を 適 用 する 際 の 指 針 を 定 めた 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 2 号 自 己 株 式 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 等 に 関 する 会 計 基 準 の 適 用 指 針 ( 以 下 自 己 株 式 等 会 計 適 用 指 針 という )が 公 表 されている このため 本 会 計 基 準 の 適 用 にあたっては 当 該 適 用 指 針 も 参 照 する 必 要 がある 会 計 基 準 範 囲 3. 本 会 計 基 準 は すべての 会 社 における 自 己 株 式 の 取 得 保 有 処 分 及 び 消 却 並 びに 資 本 金 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 の 会 計 処 理 に 適 用 する なお 本 会 計 基 準 は 特 に 明 示 しない 限 り 個 別 財 務 諸 表 における 会 計 処 理 を 想 定 して 定 めている 連 結 財 務 諸 表 における 会 計 処 理 は 個 別 財 務 諸 表 における 会 計 処 理 に 準 じて 行 う 用 語 の 定 義 4. 自 己 株 式 処 分 差 額 とは 自 己 株 式 の 処 分 の 対 価 から 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 を 控 除 した 額 をいう 5. 自 己 株 式 処 分 差 益 とは 自 己 株 式 処 分 差 額 が 正 の 値 の 場 合 における 当 該 差 額 をいう 6. 自 己 株 式 処 分 差 損 とは 自 己 株 式 処 分 差 額 が 負 の 値 の 場 合 における 当 該 差 額 をいう 自 己 株 式 の 会 計 処 理 及 び 表 示 自 己 株 式 の 取 得 及 び 保 有 7. 取 得 した 自 己 株 式 は 取 得 原 価 をもって 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 から 控 除 する 8. 期 末 に 保 有 する 自 己 株 式 は 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 の 末 尾 に 自 己 株 式 として 一 括 して 控 除 する 形 式 で 表 示 する 自 己 株 式 の 処 分 9. 自 己 株 式 処 分 差 益 は その 他 資 本 剰 余 金 に 計 上 する - 3 -
10. 自 己 株 式 処 分 差 損 は その 他 資 本 剰 余 金 から 減 額 する 自 己 株 式 の 消 却 11. 自 己 株 式 を 消 却 した 場 合 には 消 却 手 続 が 完 了 したときに 消 却 の 対 象 となった 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 をその 他 資 本 剰 余 金 から 減 額 する その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 になった 場 合 の 取 扱 い 12. 第 10 項 及 び 第 11 項 の 会 計 処 理 の 結 果 その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 となった 場 合 に は 会 計 期 間 末 において その 他 資 本 剰 余 金 を 零 とし 当 該 負 の 値 をその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )から 減 額 する 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 13. 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 は 会 社 の 定 めた 計 算 方 法 に 従 って 株 式 の 種 類 ご とに 算 定 する 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 に 関 する 付 随 費 用 14. 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 に 関 する 付 随 費 用 は 損 益 計 算 書 の 営 業 外 費 用 に 計 上 する 連 結 財 務 諸 表 における 子 会 社 及 び 関 連 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 等 の 取 扱 い 15. 連 結 子 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 は 親 会 社 が 保 有 している 自 己 株 式 と 合 わせ 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 に 対 する 控 除 項 目 として 表 示 する 株 主 資 本 から 控 除 する 金 額 は 親 会 社 株 式 の 親 会 社 持 分 相 当 額 とし 非 支 配 株 主 持 分 から 控 除 する 金 額 は 非 支 配 株 主 持 分 相 当 額 とする 16. 連 結 子 会 社 における 親 会 社 株 式 の 売 却 損 益 ( 内 部 取 引 によるものを 除 いた 親 会 社 持 分 相 当 額 )の 会 計 処 理 は 親 会 社 における 自 己 株 式 処 分 差 額 の 会 計 処 理 ( 第 9 項 及 び 第 10 項 参 照 ) と 同 様 とする 非 支 配 株 主 持 分 相 当 額 は 非 支 配 株 主 に 帰 属 する 当 期 純 利 益 に 加 減 する 17. 持 分 法 の 適 用 対 象 となっている 子 会 社 及 び 関 連 会 社 が 親 会 社 株 式 等 ( 子 会 社 においては 親 会 社 株 式 関 連 会 社 においては 当 該 会 社 に 対 して 持 分 法 を 適 用 する 投 資 会 社 の 株 式 )を 保 有 する 場 合 は 親 会 社 等 ( 子 会 社 においては 親 会 社 関 連 会 社 においては 当 該 会 社 に 対 して 持 分 法 を 適 用 する 投 資 会 社 )の 持 分 相 当 額 を 自 己 株 式 として 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 から 控 除 し 当 該 会 社 に 対 する 投 資 勘 定 を 同 額 減 額 する 18. 持 分 法 の 適 用 対 象 となっている 子 会 社 及 び 関 連 会 社 における 親 会 社 株 式 等 の 売 却 損 益 ( 内 部 取 引 によるものを 除 いた 親 会 社 等 の 持 分 相 当 額 )は 親 会 社 における 自 己 株 式 処 分 差 額 の 会 計 処 理 ( 第 9 項 及 び 第 10 項 参 照 )と 同 様 とし また 当 該 会 社 に 対 する 投 資 勘 定 を 同 額 加 減 する - 4 -
資 本 金 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 の 会 計 処 理 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 の 禁 止 19. 資 本 剰 余 金 の 各 項 目 は 利 益 剰 余 金 の 各 項 目 と 混 同 してはならない したがって 資 本 剰 余 金 の 利 益 剰 余 金 への 振 替 は 原 則 として 認 められない 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 20. 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 は 減 少 の 法 的 効 力 が 発 生 したと き( 会 社 法 ( 平 成 17 年 法 律 第 86 号 ) 第 447 条 から 第 449 条 )に その 他 資 本 剰 余 金 に 計 上 する 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 21. 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 は 減 少 の 法 的 効 力 が 発 生 したとき( 会 社 法 第 448 条 及 び 第 449 条 )に その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )に 計 上 する 開 示 22. 取 締 役 会 等 による 会 社 の 意 思 決 定 によって 自 己 株 式 を 消 却 する 場 合 に 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 が 貸 借 対 照 表 日 にあり 当 該 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 又 は 株 式 数 に 重 要 性 があるときであって かつ 連 結 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 又 は 個 別 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 の 注 記 事 項 として 自 己 株 式 の 種 類 及 び 株 式 数 に 関 する 事 項 を 記 載 する 場 合 ( 企 業 会 計 基 準 第 6 号 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 会 計 基 準 と いう ) 第 9 項 (1)2 及 び(2))には 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 種 類 及 び 株 式 数 を 当 該 事 項 に 併 せて 注 記 する 適 用 時 期 23. 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 公 表 日 以 後 会 社 法 の 定 めが 適 用 される 処 理 に 関 して 適 用 する ただし 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 公 表 日 前 において 会 社 法 の 定 めが 適 用 される 処 理 に 関 して 適 用 することがで きる なお 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 の 適 用 前 の 処 理 については 平 成 17 年 改 正 の 本 会 計 基 準 による ただし 会 社 法 の 定 めが 適 用 される 前 の 処 理 については 平 成 14 年 公 表 の 本 会 計 基 準 ( 平 成 17 年 12 月 27 日 改 正 前 の 本 会 計 基 準 をいう 以 下 同 じ )による 23-2. 平 成 27 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 公 表 日 以 後 最 初 に 終 了 する 事 業 年 度 の 年 度 末 に 係 る 財 務 諸 表 から 適 用 する - 5 -
議 決 24. 平 成 14 年 公 表 の 本 会 計 基 準 は 第 9 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 13 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された なお 出 席 した 委 員 は 以 下 のとおりである 斎 藤 静 樹 ( 委 員 長 ) 西 川 郁 生 ( 副 委 員 長 ) 伊 藤 進 一 郎 猪 ノ 口 勝 徳 加 藤 厚 神 田 秀 樹 小 宮 山 賢 逆 瀬 重 郎 辻 松 雄 辻 山 栄 子 都 正 二 山 田 新 一 吉 川 満 25. 平 成 17 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 第 94 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 12 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された なお 出 席 した 委 員 は 以 下 のとおりである 斎 藤 静 樹 ( 委 員 長 ) 西 川 郁 生 ( 副 委 員 長 ) 石 井 泰 次 猪 ノ 口 勝 徳 梅 山 勉 加 藤 厚 小 宮 山 賢 逆 瀬 重 郎 辻 山 栄 子 山 田 浩 史 吉 川 満 米 家 正 三 25-2. 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 第 110 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 13 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された なお 出 席 した 委 員 は 以 下 のとおりである 斎 藤 静 樹 ( 委 員 長 ) 西 川 郁 生 ( 副 委 員 長 ) - 6 -
石 井 泰 次 猪 ノ 口 勝 徳 梅 山 勉 加 藤 厚 小 宮 山 賢 神 田 秀 樹 逆 瀬 重 郎 辻 山 栄 子 山 田 浩 史 吉 川 満 米 家 正 三 25-3. 平 成 27 年 改 正 の 本 会 計 基 準 は 第 308 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 13 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された なお 出 席 した 委 員 は 以 下 のとおりである 小 野 行 雄 ( 委 員 長 ) 新 井 武 広 ( 副 委 員 長 ) 小 賀 坂 敦 ( 副 委 員 長 ) 関 口 智 和 関 根 愛 子 徳 賀 芳 弘 淵 田 康 之 正 脇 久 昌 増 一 行 弥 永 真 生 柳 橋 勝 人 吉 田 稔 渡 部 仁 - 7 -
結 論 の 背 景 検 討 の 経 緯 26. 平 成 13 年 に 商 法 等 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律 ( 平 成 13 年 法 律 第 79 号 ) 及 び 新 株 予 約 権 の 制 度 を 定 める 商 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 13 年 法 律 第 128 号 )( 以 下 合 わせて 平 成 13 年 改 正 商 法 という )が 公 布 された この 平 成 13 年 改 正 商 法 には 自 己 株 式 の 取 得 及 び 保 有 規 制 の 見 直 し 並 びに 法 定 準 備 金 の 減 少 手 続 が 含 まれ 当 該 改 正 後 は 自 己 株 式 の 取 引 が 増 加 し 会 社 の 財 政 状 態 に 与 える 影 響 が 大 きくなることが 想 定 されたこと などから 自 己 株 式 に 関 する 会 計 処 理 の 全 面 的 な 見 直 し 並 びに 資 本 金 及 び 法 定 準 備 金 の 減 少 により 生 じた 剰 余 金 及 びそれらの 処 分 の 会 計 処 理 を 定 める 必 要 が 生 じた そこで 当 委 員 会 は 平 成 14 年 2 月 21 日 に 本 会 計 基 準 を 公 表 した さらに 本 会 計 基 準 では これらの 会 計 処 理 に 関 連 する 資 本 の 部 の 区 分 についても 定 めた 27. 当 委 員 会 は 自 己 株 式 の 取 得 及 び 処 分 に 関 する 手 続 の 整 備 株 式 の 消 却 手 続 の 整 理 並 び に 剰 余 金 の 配 当 等 における 株 主 に 対 する 会 社 財 産 の 払 戻 行 為 に 関 する 統 一 的 な 財 源 規 制 の 創 設 を 含 む 会 社 法 が 平 成 17 年 7 月 26 日 に 公 布 されたことに 伴 い 本 会 計 基 準 について 所 要 の 改 正 を 行 い 平 成 17 年 12 月 27 日 に 公 表 した 28. 平 成 17 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では 資 本 の 部 の 区 分 に 関 する 定 めを 削 除 した これは 平 成 17 年 12 月 9 日 公 表 の 企 業 会 計 基 準 第 5 号 貸 借 対 照 表 の 純 資 産 の 部 の 表 示 に 関 する 会 計 基 準 において 純 資 産 の 部 の 表 示 についての 包 括 的 な 見 直 しが 行 われたことによる また 平 成 17 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では 開 示 に 関 する 定 めの 一 部 を 削 除 した これは 平 成 17 年 12 月 27 日 公 表 の 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 会 計 基 準 が 適 用 され 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 を 作 成 するときから 利 益 処 分 計 算 書 ( 又 は 損 失 処 理 計 算 書 ) 及 び 連 結 剰 余 金 計 算 書 が 廃 止 されること 当 期 未 処 分 利 益 ( 又 は 当 期 未 処 理 損 失 )の 計 算 が 損 益 計 算 書 の 末 尾 に 表 示 され なくなること また 発 行 済 株 式 及 び 自 己 株 式 に 関 する 注 記 が 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 におい て 記 載 されることによる 28-2. 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では 平 成 18 年 5 月 1 日 に 会 社 計 算 規 則 ( 平 成 18 年 法 務 省 令 第 13 号 )が 施 行 されたことなどに 伴 い 自 己 株 式 を 消 却 したときの 消 却 原 資 に 係 る 会 計 処 理 などについての 見 直 しを 行 った 28-3. 平 成 27 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では 平 成 26 年 3 月 26 日 に 単 体 開 示 の 簡 素 化 を 図 るため 財 務 諸 表 等 の 用 語 様 式 及 び 作 成 方 法 に 関 する 規 則 等 の 一 部 を 改 正 する 内 閣 府 令 ( 平 成 26 年 内 閣 府 令 第 19 号 )が 施 行 され 財 務 諸 表 等 の 用 語 様 式 及 び 作 成 方 法 に 関 する 規 則 ( 以 下 財 務 諸 表 等 規 則 という ) 等 が 改 正 されたことに 伴 い 個 別 財 務 諸 表 における 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 に 関 する 注 記 の 取 扱 い( 第 22 項 参 照 )を 明 らかにした - 8 -
自 己 株 式 の 会 計 処 理 及 び 表 示 自 己 株 式 の 取 得 及 び 保 有 29. 会 社 法 では 株 主 総 会 の 決 議 によって 以 下 の 事 項 を 定 め( 会 社 法 第 156 条 ) 分 配 可 能 額 ( 会 社 法 第 461 条 第 2 項 )の 範 囲 内 で 株 主 との 合 意 による 自 己 株 式 の 取 得 ができることと された (1) 取 得 する 株 式 の 数 ( 種 類 株 式 発 行 会 社 にあっては 株 式 の 種 類 及 び 種 類 ごとの 数 ) (2) 株 式 を 取 得 するのと 引 換 えに 交 付 する 金 銭 等 ( 当 該 株 式 会 社 の 株 式 等 を 除 く )の 内 容 及 びその 総 額 (3) 株 式 を 取 得 することができる 期 間 (ただし 1 年 を 超 えることができない ) 30. 自 己 株 式 については かねてより 資 産 として 扱 う 考 えと 資 本 の 控 除 として 扱 う 考 えがあっ た 資 産 として 扱 う 考 えは 自 己 株 式 を 取 得 したのみでは 株 式 は 失 効 しておらず 他 の 有 価 証 券 と 同 様 に 換 金 性 のある 会 社 財 産 とみられることを 主 な 論 拠 とする また 資 本 の 控 除 と して 扱 う 考 えは 自 己 株 式 の 取 得 は 株 主 との 間 の 資 本 取 引 であり 会 社 所 有 者 に 対 する 会 社 財 産 の 払 戻 しの 性 格 を 有 することを 主 な 論 拠 とする 31. 以 前 は 商 法 が 株 式 会 社 の 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 営 業 報 告 書 及 び 附 属 明 細 書 に 関 す る 規 則 により 自 己 株 式 を 貸 借 対 照 表 の 資 産 の 部 に 記 載 すべきと 定 めていたため 実 務 的 に はそれに 従 った 処 理 が 行 われていた 一 方 会 計 上 は 資 本 の 控 除 とする 考 えが 多 く 商 法 と 企 業 会 計 原 則 との 調 整 に 関 する 意 見 書 ( 昭 和 26 年 9 月 28 日 経 済 安 定 本 部 企 業 会 計 基 準 審 議 会 中 間 報 告 )においては 資 本 の 控 除 とする 考 えが 述 べられており 本 会 計 基 準 公 表 以 前 においても 連 結 財 務 諸 表 では 資 本 の 控 除 とされていた また 国 際 的 な 会 計 基 準 においても 一 般 的 に 資 本 の 控 除 とされている 平 成 14 年 公 表 の 本 会 計 基 準 では これらを 勘 案 し 資 本 の 控 除 とすることが 適 切 であるとされ 平 成 17 年 改 正 の 本 会 計 基 準 においても 同 様 の 考 えに よることとした 32. 自 己 株 式 を 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 の 控 除 とする 場 合 の 会 計 処 理 は 取 得 原 価 で 一 括 して 株 主 資 本 全 体 の 控 除 項 目 とする 方 法 以 外 に 株 主 資 本 の 構 成 要 素 に 配 分 して 直 接 減 額 する 方 法 などが 考 えられてきた 後 者 の 方 法 は 自 己 株 式 の 取 得 を 自 己 株 式 の 消 却 に 類 似 する 行 為 と する 考 えに 基 づくと 思 われるが 自 己 株 式 を 取 得 したのみでは 発 行 済 株 式 総 数 が 減 少 するわ けではなく 取 得 後 の 処 分 もあり 得 る 点 に 着 目 し 自 己 株 式 の 保 有 は 処 分 又 は 消 却 までの 暫 定 的 な 状 態 であると 考 え 取 得 原 価 で 一 括 して 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 全 体 の 控 除 項 目 とする 方 法 が 適 切 であると 考 えた 33. 自 己 株 式 は 第 29 項 に 示 した 方 法 以 外 に 例 えば 以 下 の 方 法 によっても 取 得 される( 会 社 法 第 155 条 )が 取 得 の 方 法 によって 会 計 処 理 を 区 別 する 理 由 はないと 考 え すべての 自 己 株 式 の 取 得 に 同 様 の 会 計 処 理 を 適 用 することが 適 切 であると 考 えた (1) 取 得 条 項 付 株 式 において 条 件 の 達 成 により 取 得 する 場 合 (2) 譲 渡 制 限 株 式 の 譲 渡 を 承 認 せずに 会 社 が 買 い 取 る 場 合 - 9 -
(3) 取 得 請 求 権 付 株 式 の 取 得 請 求 に 応 じる 場 合 (4) 全 部 取 得 条 項 付 種 類 株 式 を 総 会 決 議 に 基 づき 取 得 する 場 合 (5) 譲 渡 制 限 株 式 の 相 続 人 等 に 売 渡 請 求 した 場 合 (6) 単 元 未 満 株 式 の 買 取 請 求 に 応 じる 場 合 (7) 他 の 会 社 の 事 業 の 全 部 を 譲 り 受 ける 場 合 において 当 該 他 の 会 社 が 有 する 当 該 会 社 の 株 式 を 取 得 する 場 合 (8) 合 併 後 消 滅 する 会 社 から 当 該 会 社 の 株 式 を 承 継 する 場 合 (9) 吸 収 分 割 をする 会 社 から 当 該 会 社 の 株 式 を 承 継 する 場 合 なお 自 己 株 式 の 取 得 の 対 価 が 金 銭 以 外 の 場 合 の 会 計 処 理 については 自 己 株 式 等 会 計 適 用 指 針 において 定 めている 自 己 株 式 の 処 分 34. 本 会 計 基 準 では 自 己 株 式 処 分 差 額 の 基 本 的 な 会 計 処 理 と 考 えられる 募 集 株 式 の 発 行 等 の 手 続 ( 会 社 法 第 199 条 )による 処 分 に 関 する 会 計 処 理 を 取 り 扱 う なお 単 元 未 満 株 主 からの 売 渡 請 求 ( 会 社 法 第 194 条 第 3 項 )に 基 づく 自 己 株 式 の 処 分 に ついては 募 集 株 式 の 発 行 等 の 手 続 による 処 分 の 場 合 と 同 様 に 会 計 処 理 することが 適 切 と 考 えられる また 企 業 再 編 時 における 自 己 株 式 の 処 分 及 び 抱 合 せ 株 式 の 消 滅 については 平 成 17 年 12 月 27 日 公 表 の 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 10 号 企 業 結 合 会 計 基 準 及 び 事 業 分 離 等 会 計 基 準 に 関 する 適 用 指 針 新 株 予 約 権 の 権 利 行 使 時 における 自 己 株 式 の 処 分 については 平 成 17 年 12 月 27 日 公 表 の 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 11 号 ストック オプション 等 に 関 する 会 計 基 準 の 適 用 指 針 において 示 されている 35. 自 己 株 式 処 分 差 額 の 表 示 科 目 名 については 以 前 自 己 株 式 売 却 損 益 が 用 いられていた しかし 平 成 13 年 改 正 商 法 施 行 後 は 自 己 株 式 の 処 分 が 売 却 だけに 限 定 されなくなったこと から 正 の 自 己 株 式 処 分 差 額 を 自 己 株 式 処 分 差 益 とし 負 の 自 己 株 式 処 分 差 額 を 自 己 株 式 処 分 差 損 とした 36. 自 己 株 式 を 募 集 株 式 の 発 行 等 の 手 続 で 処 分 する 場 合 自 己 株 式 の 処 分 は 株 主 との 間 の 資 本 取 引 と 考 えられ 自 己 株 式 の 処 分 に 伴 う 処 分 差 額 は 損 益 計 算 書 には 計 上 せず 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 の 項 目 を 直 接 増 減 することが 適 切 であると 考 えた また 自 己 株 式 の 取 得 と 処 分 に ついては 一 連 の 取 引 とみて 会 計 処 理 することが 適 切 であると 考 えた 37. まず 自 己 株 式 処 分 差 益 については 自 己 株 式 の 処 分 が 新 株 の 発 行 と 同 様 の 経 済 的 実 態 を 有 する 点 を 考 慮 すると その 処 分 差 額 も 株 主 からの 払 込 資 本 と 同 様 の 経 済 的 実 態 を 有 すると 考 えられる よって それを 資 本 剰 余 金 として 会 計 処 理 することが 適 切 であると 考 えた 38. 自 己 株 式 処 分 差 益 については 資 本 剰 余 金 の 区 分 の 内 訳 項 目 である 資 本 準 備 金 とその 他 資 本 剰 余 金 に 計 上 することが 考 えられる 会 社 法 において 資 本 準 備 金 は 分 配 可 能 額 からの 控 除 項 目 とされているのに 対 し 自 己 株 式 処 分 差 益 についてはその 他 資 本 剰 余 金 と 同 様 に 控 除 項 目 とされていない( 会 社 法 第 446 条 及 び 第 461 条 第 2 項 )ことから 自 己 株 式 処 分 差 益 は - 10 -
その 他 資 本 剰 余 金 に 計 上 することが 適 切 であると 考 えた 39. 他 方 自 己 株 式 処 分 差 損 については 自 己 株 式 の 取 得 と 処 分 を 一 連 の 取 引 とみた 場 合 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 からの 分 配 の 性 格 を 有 すると 考 えられる この 分 配 については 払 込 資 本 の 払 戻 しと 同 様 の 性 格 を 持 つものとして 資 本 剰 余 金 の 額 の 減 少 と 考 えるべきとの 意 見 が ある また 株 主 に 対 する 会 社 財 産 の 分 配 という 点 で 利 益 配 当 と 同 様 の 性 格 であると 考 え 利 益 剰 余 金 の 額 の 減 少 と 考 えるべきとの 意 見 もある 40. 自 己 株 式 の 処 分 が 新 株 の 発 行 と 同 様 の 経 済 的 実 態 を 有 する 点 を 考 慮 すると 利 益 剰 余 金 の 額 を 増 減 させるべきではなく 処 分 差 益 と 同 じく 処 分 差 損 についても 資 本 剰 余 金 の 額 の 減 少 とすることが 適 切 であると 考 えた 資 本 剰 余 金 の 額 を 減 少 させる 科 目 としては 資 本 準 備 金 からの 減 額 が 会 社 法 上 の 制 約 を 受 けるため その 他 資 本 剰 余 金 からの 減 額 が 適 切 である なお その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 を 超 えた 自 己 株 式 処 分 差 損 が 発 生 した 場 合 は 残 高 が 負 の 値 になるが 資 本 剰 余 金 は 株 主 からの 払 込 資 本 のうち 資 本 金 に 含 まれないものを 表 すため 本 来 負 の 残 高 の 資 本 剰 余 金 という 概 念 は 想 定 されない したがって 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 になる 場 合 は 利 益 剰 余 金 で 補 てんするほかないと 考 えられる 41. その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 を 超 える 自 己 株 式 処 分 差 損 をその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 ) から 減 額 するとの 定 めについて 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 区 別 の 観 点 から 好 ましくなく 特 に 資 本 剰 余 金 全 体 の 金 額 が 正 の 場 合 は その 他 資 本 剰 余 金 の 負 の 残 高 とすべきであるとの 意 見 がある しかし その 他 資 本 剰 余 金 は 払 込 資 本 から 配 当 規 制 の 対 象 となる 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 を 控 除 した 残 額 であり 払 込 資 本 の 残 高 が 負 の 値 となることはあり 得 ない 以 上 払 込 資 本 の 一 項 目 として 表 示 するその 他 資 本 剰 余 金 について 負 の 残 高 を 認 めることは 適 当 ではない よって その 他 資 本 剰 余 金 が 負 の 残 高 になる 場 合 は 利 益 剰 余 金 で 補 てんするほ かないと 考 えられ それは 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 にはあたらないと 判 断 される し たがって その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 を 超 える 自 己 株 式 処 分 差 損 については その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )から 減 額 することが 適 切 であると 考 えた 42. また その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 を 超 える 自 己 株 式 処 分 差 損 が 発 生 した 場 合 の 会 計 処 理 につ いては 以 下 の 方 法 が 考 えられる (1) 負 の 値 となったその 他 資 本 剰 余 金 を その 都 度 その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 ) で 補 てんし その 残 高 を 確 定 する 方 法 (2) 負 の 値 となったその 他 資 本 剰 余 金 を 会 計 期 間 末 において その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )で 補 てんし その 残 高 を 確 定 する 方 法 これについては その 他 資 本 剰 余 金 の 額 の 増 減 が 同 一 会 計 期 間 内 に 反 復 的 に 起 こり 得 るこ と (1)の 方 法 を 採 用 した 場 合 その 他 資 本 剰 余 金 の 額 の 増 加 と 減 少 の 発 生 の 順 番 が 異 なる 場 合 に 結 果 が 異 なることなどを 理 由 に (2)の 方 法 が 適 切 と 考 えた したがって 例 えば 中 間 決 算 日 又 は 会 社 法 における 臨 時 決 算 日 ( 会 社 法 第 441 条 第 1 項 ) において その 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 となった 場 合 には 中 間 決 算 等 において その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )で 補 てんすることとなる また 年 度 決 算 においては 中 - 11 -
間 決 算 等 における 処 理 を 洗 替 処 理 することとなる 43. また 仮 にその 他 資 本 剰 余 金 の 負 の 残 高 を 認 めないとしても 自 己 株 式 処 分 差 損 をその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )から 減 額 した 期 の 翌 期 以 後 に 自 己 株 式 処 分 差 益 が 生 じた 場 合 は 自 己 株 式 処 分 差 損 をその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )から 減 額 した 範 囲 でその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )を 増 額 すべきであるとの 意 見 がある しかし 払 込 資 本 に 生 じ た 毀 損 を 留 保 利 益 で 埋 め 合 わせるのは その 期 に 完 結 する 処 理 であり そこで 充 当 した 留 保 利 益 を 翌 期 以 後 の 資 本 取 引 に 基 づく 剰 余 金 と 入 れ 替 えて 元 に 戻 すのは 適 切 ではないと 考 えら れる 数 期 間 を 通 算 したときに 結 果 が 変 わってしまうのは 自 己 株 式 処 分 差 損 だけに 特 有 の 問 題 ではないと 思 われる 自 己 株 式 の 消 却 44. 会 社 法 では 取 締 役 会 等 による 会 社 の 意 思 決 定 をもって 保 有 する 自 己 株 式 を 消 却 するこ とができるとされているが 会 計 上 は 自 己 株 式 処 分 差 損 の 場 合 と 同 様 に 消 却 の 対 象 となっ た 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 を 資 本 剰 余 金 から 減 額 するか 利 益 剰 余 金 から 減 額 するかが 問 題 と なる 45. 従 来 本 会 計 基 準 では 資 本 剰 余 金 又 は 利 益 剰 余 金 のいずれから 減 額 するかは 会 社 の 意 思 決 定 に 委 ねることとし 消 却 した 場 合 に 減 額 するその 他 資 本 剰 余 金 又 はその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )については 取 締 役 会 等 の 会 社 の 意 思 決 定 機 関 で 定 められた 結 果 に 従 い 消 却 手 続 が 完 了 したときに 会 計 処 理 することとしていた しかしながら 会 社 計 算 規 則 にお いて 優 先 的 にその 他 資 本 剰 余 金 から 減 額 することが 規 定 された( 会 社 計 算 規 則 第 24 条 第 3 項 ) ため 平 成 18 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では これに 合 わせることとした また 自 己 株 式 を 消 却 したことにより 会 計 期 間 末 におけるその 他 資 本 剰 余 金 の 残 高 が 負 の 値 となった 場 合 には その 他 資 本 剰 余 金 を 零 とし 当 該 負 の 値 をその 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )から 減 額 す ることとした( 第 12 項 及 び 第 42 項 参 照 ) 46. 自 己 株 式 の 消 却 の 会 計 処 理 は 消 却 手 続 が 完 了 したときではなく 取 締 役 会 等 による 会 社 の 意 思 決 定 の 段 階 で 行 うべきとの 意 見 があるが 自 己 株 式 の 消 却 を 取 締 役 会 等 で 意 思 決 定 し ただけでは 法 的 に 発 行 済 株 式 数 が 減 少 するわけではないため 消 却 手 続 が 完 了 したときに 会 計 処 理 することとした( 第 11 項 参 照 ) なお 取 締 役 会 等 による 意 思 決 定 後 消 却 手 続 が 完 了 していない 期 末 における 自 己 株 式 に 重 要 性 がある 場 合 は 注 記 することとした( 第 22 項 及 び 第 64 項 参 照 ) 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 47. 自 己 株 式 の 取 得 は 第 29 項 に 記 載 した 株 主 総 会 の 決 議 による 方 法 の 他 第 33 項 に 記 載 し た 方 法 によっても 行 うことができる 48. 以 前 は 取 得 目 的 ごとに 譲 渡 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 を 行 っていたが 平 成 13 年 改 正 商 法 によ り 取 得 目 的 を 明 示 せずに 取 得 及 び 保 有 ができることとなったため 取 得 目 的 ごとに 譲 渡 時 - 12 -
の 帳 簿 価 額 の 計 算 を 行 うことは 適 切 ではなくなった よって 自 己 株 式 の 処 分 及 び 消 却 時 の 帳 簿 価 額 の 算 定 は 株 式 の 種 類 単 位 で 行 うことが 適 切 であると 考 えた 49. また 移 動 平 均 法 等 の 計 算 方 法 については 特 に 限 定 する 必 要 はないと 考 え 会 社 の 定 め た 計 算 方 法 に 従 えばよいと 考 えた 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 に 関 する 付 随 費 用 50. 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 時 の 付 随 費 用 ( 取 得 のための 手 数 料 消 却 のための 手 数 料 処 分 時 に 募 集 株 式 の 発 行 等 の 手 続 を 行 うための 費 用 等 )は 損 益 計 算 書 に 計 上 する 考 えと 取 得 に 要 した 費 用 は 取 得 価 額 に 含 め 処 分 及 び 消 却 に 要 した 費 用 は 自 己 株 式 処 分 差 額 等 の 調 整 とする 考 えがある 51. 損 益 計 算 書 に 計 上 する 考 えは 付 随 費 用 を 財 務 費 用 と 考 え 損 益 取 引 とする 方 法 であり 本 会 計 基 準 公 表 以 前 から 消 却 目 的 の 自 己 株 式 の 取 得 に 要 した 付 随 費 用 に 用 いられていた 方 法 である この 考 えは 付 随 費 用 は 株 主 との 間 の 資 本 取 引 ではない 点 に 着 目 し 会 社 の 業 績 に 関 係 する 項 目 であるとの 見 方 に 基 づく 52. 一 方 取 得 に 要 した 費 用 は 取 得 価 額 に 含 め 処 分 及 び 消 却 時 の 費 用 は 自 己 株 式 処 分 差 額 等 の 調 整 とする 考 えは 付 随 費 用 を 自 己 株 式 本 体 の 取 引 と 一 体 と 考 え 資 本 取 引 とする 方 法 で ある この 考 えは 自 己 株 式 の 処 分 時 及 び 消 却 時 の 付 随 費 用 は 形 式 的 には 株 主 との 取 引 で はないが 自 己 株 式 本 体 の 取 引 と 一 体 であるとの 見 方 に 基 づいており 国 際 的 な 会 計 基 準 で 採 用 されている 方 法 である 53. 本 会 計 基 準 では 新 株 発 行 費 用 を 株 主 資 本 から 減 額 していない 処 理 との 整 合 性 から 自 己 株 式 の 取 得 処 分 及 び 消 却 時 の 付 随 費 用 は 損 益 計 算 書 で 認 識 することとし 営 業 外 費 用 に 計 上 することとした 54. なお この 問 題 は 新 株 発 行 費 の 会 計 処 理 と 合 わせ 資 本 会 計 の 本 質 に 関 わる 問 題 であり 今 後 その 本 質 について 十 分 な 議 論 をする 予 定 である 連 結 財 務 諸 表 における 子 会 社 及 び 関 連 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 等 の 取 扱 い 55. 連 結 子 会 社 が 保 有 する 親 会 社 株 式 ( 持 分 相 当 額 )は 企 業 集 団 で 考 えた 場 合 親 会 社 の 保 有 する 自 己 株 式 と 同 様 の 性 格 である よって 連 結 財 務 諸 表 上 では 親 会 社 が 保 有 する 自 己 株 式 と 合 算 して 表 示 することが 適 切 であると 考 えた 56. 連 結 子 会 社 における 親 会 社 株 式 の 処 分 差 額 ( 内 部 取 引 によるものを 除 いた 親 会 社 持 分 相 当 額 )についても 連 結 財 務 諸 表 上 では その 性 格 は 親 会 社 における 自 己 株 式 処 分 差 額 と 同 様 であるため 会 計 処 理 も 親 会 社 における 自 己 株 式 処 分 差 額 と 同 様 とすることが 適 切 であると 考 えた 57. 持 分 法 の 適 用 対 象 となっている 子 会 社 及 び 関 連 会 社 における 親 会 社 株 式 等 についても そ の 取 得 及 び 売 却 は 連 結 子 会 社 の 場 合 と 同 様 に 資 本 取 引 であると 考 えられる したがって 親 会 社 株 式 等 の 親 会 社 等 の 持 分 相 当 額 は 自 己 株 式 として 純 資 産 の 部 の 株 主 資 本 から 控 除 し - 13 -
投 資 勘 定 を 同 額 減 額 することが 適 切 であると 考 えた また 親 会 社 株 式 等 の 売 却 損 益 ( 内 部 取 引 によるものを 除 いた 親 会 社 等 の 持 分 相 当 額 )は 親 会 社 における 自 己 株 式 処 分 差 額 の 会 計 処 理 と 同 様 とし 投 資 勘 定 を 同 額 加 減 することが 適 切 であると 考 えた 資 本 金 及 び 準 備 金 の 額 の 減 少 の 会 計 処 理 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 58. 会 社 法 では 株 主 総 会 の 決 議 及 び 債 権 者 保 護 手 続 を 経 て 減 少 の 効 力 が 生 ずる 日 における 資 本 金 の 額 を 上 限 とする 資 本 金 の 額 の 減 少 が 可 能 となった( 会 社 法 第 447 条 ) また 準 備 金 の 額 の 減 少 についても 同 様 の 定 めがある( 会 社 法 第 448 条 ) 59. 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 は いずれも 減 額 前 の 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 持 っていた 会 計 上 の 性 格 が 変 わるわけではなく 資 本 性 の 剰 余 金 の 性 格 を 有 す ると 考 えられる よって それらは 資 本 剰 余 金 であることを 明 確 にした 科 目 に 表 示 すること が 適 切 と 思 われ 減 少 の 法 的 効 力 が 発 生 したときに その 他 資 本 剰 余 金 に 計 上 することが 適 切 であると 考 えた 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 の 禁 止 60. 従 来 資 本 性 の 剰 余 金 と 利 益 性 の 剰 余 金 は 払 込 資 本 と 払 込 資 本 を 利 用 して 得 られた 成 果 を 区 分 する 考 えから 原 則 的 に 混 同 しないようにされてきた 平 成 13 年 改 正 商 法 において 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 が 配 当 可 能 限 度 額 に 含 められること となったが この 資 本 性 の 剰 余 金 を 利 益 性 の 剰 余 金 へ 振 り 替 えることの 可 否 についての 定 め はなかった また 会 社 法 においても 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 は 分 配 可 能 額 に 含 まれることとなる ここで 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によっ て 生 ずる 剰 余 金 を 利 益 性 の 剰 余 金 へ 振 り 替 えることを 無 制 限 に 認 めると 払 込 資 本 と 払 込 資 本 を 利 用 して 得 られた 成 果 を 区 分 することが 困 難 になり また 資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 をその 他 資 本 剰 余 金 に 区 分 する 意 味 がなくなる したがって 平 成 13 年 改 正 商 法 及 び 会 社 法 における 配 当 に 関 する 定 めは 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 を 禁 止 する 企 業 会 計 の 原 則 を 変 えるものではないと 考 え 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 を 混 同 し てはならない 旨 を 定 めることとした 61. この 考 えに 基 づくと 資 本 剰 余 金 の 利 益 剰 余 金 への 振 替 は 原 則 として 認 められない ただ し 利 益 剰 余 金 が 負 の 残 高 のときにその 他 資 本 剰 余 金 で 補 てんするのは 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 にはあたらないと 考 えられる もともと 払 込 資 本 と 留 保 利 益 の 区 分 が 問 題 に なったのは 同 じ 時 点 で 両 者 が 正 の 値 であるときに 両 者 の 間 で 残 高 の 一 部 又 は 全 部 を 振 り 替 えたり 一 方 に 負 担 させるべき 分 を 他 方 に 負 担 させるようなケースであった 負 の 残 高 に なった 利 益 剰 余 金 を 将 来 の 利 益 を 待 たずにその 他 資 本 剰 余 金 で 補 うのは 払 込 資 本 に 生 じ ている 毀 損 を 事 実 として 認 識 するものであり 払 込 資 本 と 留 保 利 益 の 区 分 の 問 題 にはあたら - 14 -
ないと 考 えられる なお 会 社 法 では 株 主 総 会 の 決 議 により 剰 余 金 の 処 分 として 剰 余 金 の 計 数 の 変 更 が できることとされたが( 会 社 法 第 452 条 ) 会 計 上 その 他 資 本 剰 余 金 による 補 てんの 対 象 と なる 利 益 剰 余 金 は 年 度 決 算 時 の 負 の 残 高 に 限 られる これは 期 中 において 発 生 した 利 益 剰 余 金 の 負 の 値 を その 都 度 資 本 剰 余 金 で 補 てんすることは 年 度 決 算 単 位 でみた 場 合 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 になることがあるからである 62. また 会 社 法 では 剰 余 金 の 額 を 減 少 させて 準 備 金 の 額 を 増 加 させることができること とされた( 会 社 法 第 451 条 )が これも 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 の 混 同 を 禁 止 する 企 業 会 計 の 原 則 を 変 えるものではなく 減 少 させる 剰 余 金 と 同 一 区 分 の 準 備 金 の 額 を 増 加 させること が 適 切 と 考 えられる したがって その 他 資 本 剰 余 金 を 原 資 として 準 備 金 の 額 を 増 加 させる 場 合 には 資 本 準 備 金 の 額 を 増 加 させることになる 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 63. 会 社 法 では 株 主 総 会 の 決 議 及 び 債 権 者 保 護 手 続 を 経 て 減 少 の 効 力 が 生 ずる 日 における 準 備 金 の 額 を 上 限 とする 準 備 金 の 額 の 減 少 が 可 能 となった( 会 社 法 第 448 条 ) 利 益 準 備 金 はもともと 留 保 利 益 を 原 資 とするものであり 利 益 性 の 剰 余 金 の 性 格 を 有 するため 利 益 準 備 金 の 額 の 減 少 によって 生 ずる 剰 余 金 は その 他 利 益 剰 余 金 ( 繰 越 利 益 剰 余 金 )の 増 額 項 目 とすることが 適 切 であると 考 えた 開 示 64. 取 締 役 会 等 による 会 社 の 意 思 決 定 によって 自 己 株 式 を 消 却 する 場 合 で 意 思 決 定 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 が 貸 借 対 照 表 日 にあり 当 該 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 又 は 株 式 数 に 重 要 性 があるときは 財 務 諸 表 に 対 する 補 足 情 報 として 重 要 な 意 味 があると 考 えられる よっ て その 場 合 は 当 該 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 種 類 及 び 株 式 数 を 注 記 することとした 64-2. 前 項 に 関 連 し 平 成 26 年 3 月 に 改 正 された 財 務 諸 表 等 規 則 において 財 務 諸 表 提 出 会 社 が 連 結 財 務 諸 表 を 作 成 している 場 合 には 自 己 株 式 に 関 する 注 記 を 記 載 することを 要 しない ( 財 務 諸 表 等 規 則 第 107 条 第 2 項 )とされたことから 個 別 財 務 諸 表 における 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 に 関 する 注 記 の 取 扱 いについて 開 示 の 要 否 が 明 確 でないという 意 見 が 聞 かれた この 財 務 諸 表 等 規 則 の 改 正 を 踏 まえ 自 己 株 式 に 関 する 注 記 が 個 別 財 務 諸 表 において 開 示 されない 中 で 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 に 関 する 注 記 のみの 開 示 を 求 める 趣 旨 ではないことを 明 らかにするため 平 成 27 年 改 正 の 本 会 計 基 準 では 注 記 の 記 載 箇 所 を 貸 借 対 照 表 から 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 に 変 更 し 連 結 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 又 は 個 別 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 の 注 記 事 項 として 自 己 株 式 の 種 類 及 び 株 式 数 に 関 する 事 項 を 記 載 する 場 合 に は 決 議 後 消 却 手 続 を 完 了 していない 自 己 株 式 の 帳 簿 価 額 種 類 及 び 株 式 数 を 当 該 事 項 に 併 - 15 -
せて 注 記 することとした( 第 22 項 参 照 ) 以 上 - 16 -