鍼灸OSAKA 花粉症



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経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

質 を 向 上 させることが 医 療 経 済 の 効 率 化 につながると 思 われます( 図 1) 感 染 症 の 場 合 を 考 えてみます 早 期 に 診 断 し 適 正 な 治 療 をし 合 併 症 なく 早 期 に 治 癒 させることができれば 入 院 費 治 療 費 などを 減 少 させ

取 り 消 された 後 当 該 産 前 の 休 業 又 は 出 産 に 係 る 子 若 しくは 同 号 に 規 定 する 承 認 に 係 る 子 が 死 亡 し 又 は 養 子 縁 組 等 により 職 員 と 別 居 することとなったこと (2) 育 児 休 業 をしている 職 員 が 休 職 又

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Transcription:

中 医 学 によるアレルギー 性 鼻 炎 の 分 析 原 田 浩 一 はじめに 近 年 アレルギー 性 鼻 炎 は 日 常 とてもよくみられる 疾 患 の 一 つです が 現 在 においても 根 本 的 改 善 法 が 開 発 されていないため 罹 患 者 の 数 は 年 々 増 加 する 一 方 となっています 花 粉 症 は 毎 年 決 まった 季 節 になると 発 症 し その 花 粉 の 飛 散 の 終 了 とともに 症 状 も 消 失 するので 季 節 性 のアレルギー 性 鼻 炎 といえ ます 通 年 性 のアレルギー 性 鼻 炎 は 花 粉 よりもハウスダスト つまり 家 の 中 のほこりやちりをアレルゲンとするケースが 多 く ほかに ダニ の 死 骸 やペットの 毛 など アレルゲンは 多 岐 にわたります また これまでは くしゃみ 鼻 水 鼻 づまりという 鼻 汁 を 中 心 と した 症 状 が 主 でしたが 最 近 では 鼻 や 目 顔 のかゆみや 乾 燥 鼻 閉 を 中 心 とした 症 状 が 増 え 皮 膚 や 喉 気 管 支 の 症 状 を 訴 える 人 スギだけでなくイネ 科 や 秋 草 など 複 数 の 花 粉 に 反 応 する 人 通 年 性 と 季 節 性 の 両 方 のアレルギー 性 鼻 炎 をもつ 人 もいます さらに 食 物 アレルギーや 口 腔 アレルギーを 持 ち アレルギーのフ 1/25

ルコースと 呼 ばれるくらい 1 人 の 人 が 多 数 のアレルゲンをもつなど 症 状 の 重 症 化 がすすんでいます 食 物 アレルギーは 卵 牛 乳 大 豆 以 外 に 米 やパン ソバといっ た 主 食 もその 中 に 数 えられるようになり 多 種 多 様 な 食 品 に 広 がっ ている 一 方 口 腔 アレルギーは メロン スイカ 桃 キイウイ 胡 瓜 皮 付 きの 茄 子 などが 突 然 食 べられなくなり 食 すると 吐 き 気 を 催 したり 口 の 中 やのどがかゆくなるなどの 症 状 をもたらしま す では なぜアレルギー 性 鼻 炎 が このように 近 年 になって 急 速 に 増 加 したのでしょうか? また アレルゲンとなるものが 近 年 著 しく 増 加 したのはなぜでしょ うか アレルギー 性 鼻 炎 の 原 因 は 花 粉 やホコリなどのアレルゲンなので しょうか? それとも 私 たち 自 身 の 体 質 なのでしょうか? このようなアレルギー 性 鼻 炎 を 中 医 学 の 視 点 から 分 析 し 根 本 的 な 改 善 法 について 考 えてみます 2/25

花 粉 症 の 原 因 の 考 察 生 活 環 境 からみた 花 粉 症 の 原 因 社 会 生 活 の 視 点 からみてみると 花 粉 症 は 1955 年 昭 和 30 年 ごろ より 物 質 的 に 豊 かな 生 活 といわれるようになって 急 速 に 増 加 しま した それまでの 生 活 と 何 が 変 化 したのでしょうか? 1 多 飲 冷 飲 自 動 販 売 機 の 普 及 により お 茶 コーヒー ジュース 炭 酸 飲 料 ビールなどが いつでも 簡 単 に 手 に 入 るようになり とにかく 多 飲 になりました また 冬 でもアイスクリームを 食 したり ビールやお 茶 を 冷 やし て 飲 むなど 年 中 冷 飲 をするようになりました 3/25

2 食 生 活 の 変 化 (1) 昔 は 旬 のものといわれるように その 季 節 の 食 材 を 食 べていま した 本 来 その 地 で 取 れた 旬 の 食 材 には 勢 いがあり 夏 のものは 身 体 を 冷 やすなど 身 体 に 合 うようになっているのですが 温 室 栽 培 や 冷 蔵 庫 の 普 及 によって 一 年 中 なんでも 食 べるようになり 内 臓 に 多 くの 負 担 をかけるようになりました (2) 洋 菓 子 やケーキ スナック 類 など お 菓 子 でもバターや 砂 糖 油 脂 を 多 用 したものを 好 むようになりました 外 食 が 増 え 野 菜 不 足 となる 一 方 油 物 や 肉 類 などに 偏 った 食 生 活 となりました また 飽 食 の 時 代 と 言 われるほど 空 腹 でなくても 食 べるなど とにかく 過 食 するようになり 内 臓 に 大 きな 負 担 をかけるように なりました 3ストレス 社 会 生 活 のスピード 化 や 競 争 社 会 の 中 で 緊 張 が 増 加 し それに 伴 って 常 にストレスが 過 剰 な 状 態 になって 心 にゆとりがもてなく なり 慢 性 的 に 精 神 疲 労 がたまるようになりました 4/25

4 部 屋 の 機 密 性 が 高 くなり エアコンの 普 及 によって 冬 でも 夏 服 でいられるほどになり 体 内 の 温 度 調 節 機 能 を 低 下 させました 多 飲 や 冷 飲 食 生 活 の 変 化 ストレスの 増 加 は 脾 胃 の 働 きに 著 し く 負 担 をかけ 過 剰 負 担 による 脾 虚 を 引 き 起 こしました 生 痰 の 源 である 脾 の 失 調 は 体 内 に 水 分 を 停 滞 させ 痰 湿 を 形 成 し 貯 痰 の 器 である 肺 に 多 量 の 湿 を 貯 める 結 果 となり 同 時 に 身 体 に 必 要 なものを 作 り 老 廃 物 を 代 謝 させる 機 能 すなわち 新 陳 代 謝 機 能 を 低 下 させたのです そのため 身 体 がいつも 重 だるい 疲 れやすいなどの 症 状 がもたら されたのです アレルギー 性 鼻 炎 の 鼻 汁 のもとは 湿 であり その 本 質 は 体 内 水 分 の 代 謝 異 常 なのです 水 湿 が 停 滞 すると 身 体 は 自 然 環 境 である 暑 さや 寒 さの 影 響 をうけ やすくなります それは ため 池 の 水 が 流 れている 川 の 水 に 比 べて 暑 さ 寒 さの 影 響 を 受 けやすいのと 同 じなのです これらの 生 活 習 慣 や 環 境 の 変 化 は 私 たち 自 身 の 身 体 の 生 理 活 動 に 5/25

様 々な 負 担 をかけ 自 然 環 境 にうまく 適 応 できないような 体 質 を 作 り 上 げたのです 舌 診 と 脈 診 について 身 体 の 状 態 は 舌 と 脈 に 反 映 されます 津 液 についてみてみると 水 が 停 滞 して 水 湿 を 生 じると 舌 苔 は 水 っぽくなり また 白 い 苔 が 増 えてきます さらに 長 く 停 滞 して 痰 湿 となると ねばねばした 苔 になります また 舌 体 がふくれて 大 きくなったり 裂 紋 がみられます 体 内 水 分 が 冷 やされると 苔 は 白 く 体 内 水 分 が 熱 せられると 苔 は 段 々 黄 色 くなります また 細 濡 滑 などの 脈 は 体 内 水 分 の 停 滞 を 表 します 舌 脈 診 によって 停 滞 している 水 分 の 量 や 部 位 寒 熱 清 濁 など が ほぼ 正 確 に 判 断 できるのです 津 液 だけでなく 気 血 寒 熱 虚 実 臓 腑 の 状 態 などが 舌 脈 に 全 て 反 映 されますので 証 の 確 定 や 移 り 変 わり 治 療 効 果 の 確 認 に 舌 脈 診 は 不 可 欠 なのです 6/25

症 状 から 見 た 花 粉 症 の 原 因 今 度 は くしゃみ 鼻 水 鼻 づまり かゆみといった 症 状 から 原 因 を 分 析 してみます 1くしゃみ くしゃみは 本 来 外 邪 を 体 外 に 排 出 し 呼 吸 道 を 清 潔 に 保 つため の 肺 の 宣 散 作 用 で 防 衛 反 応 の 一 つです 何 回 も 連 発 するくしゃみは 衛 気 がスムーズに 流 れず 充 満 している ために 花 粉 などが 引 き 金 となって 外 邪 を 体 外 に 排 出 しようと して 肺 の 宣 散 作 用 が 過 剰 に 反 応 して 起 こるのです アレルギー 性 鼻 炎 におけるくしゃみは 様 々な 理 由 で 衛 気 の 宣 散 機 能 が 失 調 している 状 態 といえます 2 分 泌 物 透 明 で 水 様 性 のもの さらさらとして 多 量 に 滴 りおちる 鼻 汁 は 明 らかに 寒 証 です 白 く 透 明 で 粘 くなった 鼻 汁 は 湿 が 煮 詰 められたもので 化 熱 を 意 味 します 7/25

3 鼻 閉 鼻 閉 は 肺 気 の 充 満 や 湿 からくるむくみによって 起 こります 肺 気 が 宣 散 できずに 鬱 滞 して 鬱 熱 となり 肺 気 が 充 満 して 閉 ざさ れた 鼻 閉 の 場 合 分 泌 物 はあまり 多 くなく 透 明 でやや 粘 性 を 持 っ ています 長 期 にわたれば 熱 が 影 響 して 血 流 が 閉 ざされ 鼻 閉 は 一 層 強 ま ります 湿 からくるむくみの 場 合 は 鼻 水 が 時 々 出 るなど 鼻 閉 と 鼻 汁 が 交 互 に 起 こります 閉 はさらに 頑 固 になります 4かゆみ 乾 燥 近 年 かゆみを 主 な 症 状 として 訴 える 人 が 増 え 鼻 や 目 だけでは なく 頭 顔 面 部 や 背 中 手 足 さらに 全 身 にひろがっています かゆみは 通 常 風 によるものとしてとらえることができます 風 によるかゆみは カサカサとした 乾 燥 感 やヒリヒリした 感 じを 伴 います 突 然 かゆくなったり 消 えたりする あるいは 全 身 を 移 動 していく 8/25

かゆみは 風 邪 の 善 行 数 変 性 をよく 表 しています 風 邪 によるかゆみは その 軽 揚 性 のため 人 体 の 上 部 である 頭 顔 面 部 に 出 現 しやすいのです 肝 は 木 に 属 し 風 を 生 じます ストレスは 現 代 人 のつきものです 肝 鬱 の 長 期 化 は 風 熱 燥 などの 陽 証 を 生 みます 乾 燥 やかゆみの 原 因 に 肝 鬱 が 関 わっていることは 容 易 に 想 像 で きます 一 方 湿 の 停 滞 によるかゆみは むずがゆく 鼻 汁 や 涙 を 伴 います 9/25

五 臓 の 生 理 と 花 粉 症 アレルギー 性 鼻 炎 の 発 症 は 五 臓 の 生 理 機 能 と 関 係 しています まずは 五 臓 の 生 理 機 能 がそれぞれどのように 花 粉 症 に 関 わってい るのかみてみましょう 脾 アレルギー 性 鼻 炎 の 主 症 状 である 鼻 汁 は 湿 として 津 液 代 謝 と 関 係 が あり その 形 成 にもっとも 影 響 を 与 える 臓 は 生 痰 の 器 である 脾 であ ると 考 えられます 多 飲 や 冷 飲 肥 甘 厚 味 の 過 食 ストレスは 脾 に 負 担 をかけ 脾 気 を 損 傷 し 湿 や 痰 を 形 成 します また 脾 の 運 化 や 水 液 運 化 機 能 の 低 下 は 気 血 の 生 成 を 妨 げ 衛 気 不 足 による 衛 気 虚 を 引 き 起 こし 表 層 のガードを 低 下 させ 外 邪 を 侵 入 させやすくするのです 10/25

水 湿 の 運 化 が 弱 く 水 湿 停 滞 水 湿 外 出 飲 食 失 常 脾 胃 を 損 傷 する 衛 気 の 生 成 不 足 アレルギー 性 鼻 炎 防 衛 低 下 外 邪 侵 入 飲 食 失 常 によるアレルギー 性 鼻 炎 の 発 生 メカニズム 腎 冷 飲 食 や 加 齢 過 剰 な 精 神 活 動 などによって 腎 陽 が 不 足 し 腎 の 温 煦 機 能 が 低 下 すると 津 液 の 気 化 に 支 障 をきたします 特 に 近 年 では 過 剰 な 精 神 活 動 のために 心 火 が 上 部 に 亢 逆 し 下 降 できないために 腎 の 温 煦 機 能 が 不 足 しているといえる 症 例 がよく 見 られます 腎 は 津 液 を 温 め 蒸 化 し 再 び 肺 に 送 り 体 内 水 分 が 全 身 にめぐる よう 推 動 していますが 腎 陽 が 不 足 すると 水 湿 の 上 源 である 肺 に 湿 が 貯 まり 易 くなるのです また 仕 事 や 多 忙 による 慢 性 的 な 睡 眠 不 足 は 腎 陰 を 損 傷 し 近 年 増 加 している 燥 による 津 液 代 謝 異 常 の 形 成 に 関 わっています 肝 ( 心 ) 現 代 はストレス 時 代 と 言 われるほど 常 に 緊 張 や 不 安 を 抱 え 非 常 11/25

に 肝 鬱 となりやすい 材 料 が 蔓 延 しています 肝 鬱 により 全 身 をめぐるべき 気 の 流 れが 鬱 滞 し 内 部 にこもると 表 層 の 気 の 流 れが 滞 り 肺 の 衛 気 の 働 きにも 影 響 を 与 えます つまり 肝 鬱 によっても 外 界 の 変 化 への 適 応 がスムーズにいかな くなるということです 身 体 が 温 まると 咳 が 出 るといった 症 状 や 喉 のイガイガ 感 や 乾 燥 感 とともに 発 作 的 に 咳 が 出 るなどの 症 例 をよく 見 かけます これらの 症 状 はストレスによって 増 悪 するという 特 徴 が 見 られ 肺 や 喉 の 器 質 的 な 病 変 は 特 に 見 られません 肝 鬱 の 長 期 化 や 肝 鬱 化 熱 が 原 因 として 考 えられますが 痰 湿 がか らんでくると さらに 頑 固 な 症 状 となるのです また 肝 鬱 の 長 期 化 は 肺 陰 や 腎 陰 の 損 傷 につながり 熱 燥 風 な どの 陽 証 を 生 み 近 年 アレルギー 性 鼻 炎 に 多 くみられる 鼻 や 目 顔 の 乾 燥 やかゆみ 鼻 閉 に 大 きく 影 響 しているといえます 過 剰 な 精 神 活 動 は 心 火 を 生 じ 肝 火 は 心 火 を 伴 ってよく 上 炎 し 頭 部 に 熱 性 の 症 状 をもたらします さらに 心 火 亢 盛 となり 心 火 が 亢 逆 すると 心 火 が 下 降 できずに 腎 陽 の 不 足 を 招 きます 12/25

心 腎 が 十 分 交 通 できなくなると 腎 水 は 気 化 不 利 を 起 こし 気 化 で きない 水 分 は 下 降 して 下 半 身 の 冷 えやむくみなど 寒 性 の 症 状 を 引 き 起 こします その 結 果 本 来 あるべき 頭 寒 足 熱 とは 反 対 の 上 熱 下 寒 の 状 態 とな るのです 上 熱 下 寒 はアレルギー 疾 患 の 随 伴 症 状 としてとても 多 くみられる 証 候 なのです 春 先 に 花 粉 症 が 多 いのはなぜでしょうか? これも 肝 との 関 わりから 考 えることができます 春 先 は 肝 気 が 盛 んとなり 主 として 体 内 で 循 環 していた 陽 気 が 体 表 面 まで 上 がり それに 呼 応 するように 冬 には 沈 んでいた 脈 も 皮 膚 表 面 に 浮 いてきて めだかが 水 面 でぴちぴちと 跳 ねるような 浮 脈 と なります これは 季 節 に 応 じた 身 体 の 正 常 な 反 応 といえますが このように 体 内 の 陽 気 が 盛 んになってくる 一 方 で 外 界 はまだ 冷 たいため 暖 房 の 効 いた 室 内 のガラスが 結 露 するように 表 層 に 停 滞 していた 水 湿 が 花 粉 などの 刺 激 によって 溢 れ 出 てくるのです その 他 の 理 由 として 春 先 の 三 寒 四 温 といわれるような 大 きな 温 度 13/25

変 化 が 体 表 を 守 る 衛 気 に 著 しく 負 担 をかけ 衛 気 を 主 る 肺 の 宣 散 に 影 響 する 春 一 番 といわれるような 強 い 風 がよく 吹 き 風 邪 の 開 泄 作 用 によって 衛 気 が 破 られ 寒 冷 などの 外 邪 が 易 々と 体 内 に 侵 入 し てくる などが 考 えられます 体 内 と 外 界 の 温 度 差 により 結 露 が 生 じる 肺 アレルギー 性 鼻 炎 は 花 粉 やホコリなど 外 界 の 異 物 や 温 度 変 化 をき っかけとして くしゃみ 鼻 水 鼻 づまりなど 肺 に 関 係 する 症 状 14/25

が 引 き 起 こされます 喉 や 気 管 支 皮 膚 の 症 状 いずれも 肺 の 生 理 と 関 係 しています しかし 肺 にみられるこれらの 病 象 はあくまでも 標 証 であり 鼻 汁 のもとである 湿 の 形 成 や 衛 気 の 不 足 宣 散 の 異 常 をもたらす 根 本 的 な 原 因 には これまで 述 べてきたように 他 の 臓 腑 の 生 理 が 大 きく 関 係 しているのです ですから 根 本 的 な 改 善 を 行 うためには 個 々の 発 生 メカニズムを さかのぼり 他 の 四 臓 の 生 理 がどうなっているかを 診 て 治 療 を 施 すことが 最 も 大 切 なことであるといえるのです 15/25

アレルギー 性 鼻 炎 の 発 生 メカニズム では アレルギー 性 鼻 炎 が 実 際 に 起 こる 過 程 をまとめてみましょう 1 自 然 環 境 への 適 応 能 力 の 低 下 は 六 淫 による 肺 の 宣 散 失 調 を 引 き 起 こし 衛 気 が 鬱 滞 します 2 過 食 や 冷 飲 食 の 習 慣 は 脾 に 過 剰 な 負 担 をかけ 慢 性 的 な 脾 気 虚 を 引 き 起 こし 湿 や 痰 の 形 成 を 強 めます 生 痰 の 源 である 脾 の 障 害 は 貯 痰 の 器 である 肺 に 湿 痰 の 標 象 を 生 み 脾 の 昇 清 機 能 の 低 下 は 肺 の 宣 散 機 能 の 失 調 を 招 きます また 気 血 生 化 の 源 である 脾 の 損 傷 は 気 血 の 生 成 を 妨 げ 衛 気 不 足 によ る 衛 気 虚 を 引 き 起 こします 1 2によって 衛 気 の 鬱 滞 による 宣 散 失 調 衛 気 不 足 による 衛 気 虚 が 生 じます 3 過 剰 なストレスは 肝 気 の 鬱 滞 を 引 き 起 こします 肝 鬱 により 全 身 をめぐるべき 気 の 流 れが 鬱 滞 し 内 部 にこもると 表 層 の 気 の 流 れが 滞 り 肺 の 衛 気 の 働 きにも 影 響 を 与 えます その 結 果 外 界 の 変 化 への 適 応 がスムーズにいかなくなるのです 16/25

さらに 肝 鬱 の 長 期 化 は 肝 鬱 化 火 となり 肝 火 は 心 火 を 誘 って 上 炎 します 4 過 剰 な 精 神 活 動 は 心 に 影 響 して 心 火 を 発 生 させ 心 火 上 炎 を 引 き 起 こします 肝 火 や 心 火 は 上 炎 し 頭 顔 面 部 に 熱 証 をもたらし かゆみ 乾 燥 の 機 能 を 失 調 させるのです そのため 津 液 が 表 層 に 留 まり 湿 として 溢 れ 気 の 流 れの 滞 りによ り 生 じた 鬱 熱 が 熱 や 燥 を 形 成 するのです さらに 心 火 が 亢 逆 し 上 部 に 留 まったまま 下 降 できなくなると 腎 の 温 煦 機 能 が 不 足 して 腎 陽 不 足 となり 腎 水 が 下 部 に 停 滞 するので す 5 慢 性 的 な 過 労 や 睡 眠 不 足 などは 腎 陰 を 損 傷 し 陰 血 不 足 による 目 のかゆみや 皮 膚 の 乾 燥 などをもたらします 4 5が 関 連 して 心 腎 の 相 交 が 失 調 するのです 6 冷 飲 食 の 過 食 過 剰 な 冷 房 は 腎 陽 不 足 を 招 きます 17/25

その 結 果 蒸 騰 気 化 が 不 十 分 となり 腎 水 が 身 体 の 下 部 に 停 滞 し 下 半 身 の 冷 えやむくみを 引 き 起 こし また 全 身 をめぐるべき 津 液 が 肺 に 停 滞 し 肺 の 宣 散 失 調 を 引 き 起 こします 以 上 のようなメカニズムによって アレルギー 性 鼻 炎 が 発 症 すると 考 えられます 18/25

アレルギー 性 鼻 炎 の 発 生 メカニズムの 図 1 自 然 環 境 へ の 適 応 力 低 下 風 寒 湿 風 熱 燥 肺 の 宣 発 に 影 響 衛 気 鬱 滞 衛 気 不 足 病 邪 として 花 粉 やホコリは 侵 入 しやすい 2 過 食 冷 食 脾 の 運 化 が 低 下 する 気 血 不 足 外 因 ( 花 粉 など) 水 湿 停 滞 3ストレス 過 剰 など 肝 気 鬱 結 長 期 化 寒 湿 湿 熱 ア レ ル ギ ー 性 鼻 炎 肝 鬱 化 火 4 過 剰 な 精 神 活 動 心 火 上 炎 内 因 ( 体 質 ) 火 不 帰 元 腎 水 下 凝 心 腎 不 交 下 汲 腎 陰 5 過 労 睡 眠 不 足 房 事 過 多 など 腎 陰 不 足 6 冷 飲 の 過 食 過 剰 な 冷 房 腎 陽 不 足 気 化 不 利 宣 散 失 調 19/25

当 院 における 治 療 実 績 安 定 した 症 状 の 改 善 が 見 られるまでに 普 通 数 回 の 治 療 が 必 要 で す 根 本 的 な 改 善 に 要 する 期 間 は 個 人 差 がありますが 治 療 回 数 は 10~ 25 回 期 間 は 3~6 ヶ 月 です また 今 年 度 に 証 の 改 善 を 図 ると 次 年 度 は 症 状 が 全 く 起 こらない 人 が 70% 以 上 であり たとえ 発 症 しても 症 状 は 前 年 度 に 比 べてと ても 軽 く わずかな 回 数 で 改 善 されます 特 に 定 期 的 に 体 質 維 持 のために 治 療 を 継 続 している 人 は 症 状 の ひどかった 人 でも 以 後 発 生 がみられていないのです 改 善 に 要 する 期 間 は 証 候 の 軽 重 によって 決 まり 罹 患 した 期 間 には 関 係 ありません たとえ 10 年 15 年 と 長 く 患 っていても 証 候 が 軽 ければ 一 定 期 間 で 改 善 されるのです 20/25

結 語 本 来 アレルギー 性 鼻 炎 の 根 本 的 な 原 因 は 体 質 であり アレルゲン は 単 に 誘 因 にすぎず アレルギー 体 質 そのものを 改 善 すれば もは やアレルゲンはアレルゲンでなくなり 以 後 症 状 を 引 き 起 こすこ とはないといえます しかし アレルギー 性 鼻 炎 は 多 臓 腑 疾 患 がほとんどで 虚 実 寒 熱 が 挟 雑 し 2 種 類 あるいは 3 種 類 の 証 候 を 同 時 にもっていること が 多 いのです 特 に 湿 と 燥 にみられるように 寒 と 熱 という 一 見 相 反 するように 見 える 病 象 が 組 み 合 わさっているのが アレルギー 性 鼻 炎 の 特 徴 と もいえるので 標 本 を 見 分 けて 病 態 に 応 じた 治 療 を 施 すことがとて も 大 切 なのです 四 診 合 参 によって 証 を 正 しくとらえ 証 に 応 じた 治 療 を 施 せば ど んなに 複 雑 にからんだ 証 候 も 根 本 的 な 改 善 が 図 れるものなのです 21/25

症 例 1 男 性 55 歳 初 診 : 平 成 16 年 2 月 21 日 主 訴 : 鼻 づまり 随 伴 症 状 : 喘 息 首 肩 のこり 現 病 歴 昨 年 9 月 より 鼻 づまりが 起 こり 段 々 悪 化 し 一 日 中 口 をあけない と 息 ができなくなった 病 院 ではアレルギー 性 鼻 炎 と 診 断 され 飲 み 薬 と 点 鼻 薬 を 使 用 中 4 年 前 より 毎 年 秋 口 には 鼻 がつまっていたが 本 年 は 2 月 にな っても 改 善 しないため 根 本 的 な 改 善 法 を 求 めて 来 院 年 末 から 正 月 にかけて 喘 息 横 になっていると 胸 がつまり ヒューヒュー 音 がする 胸 がつまり 苦 しいので それを 開 こうとして 咳 が 出 る 咳 をすると 白 い 痰 が 出 る 芝 刈 を 行 うと 喘 息 が 起 きやすい 激 しいくしゃみが 4 5 回 連 続 して 起 こる 寒 さに 十 分 適 応 できない 気 がして 足 が 冷 え 顔 が 熱 くなる 22/25

飲 み 薬 は 有 効 だが 服 用 すると 頭 がボーッとする 服 用 を 止 めると 元 に 戻 る 点 鼻 薬 は 有 効 だが 2~3 時 間 で 元 に 戻 り 使 用 回 数 が 増 加 ストレスにより 鼻 づまりが 悪 化 する 脈 診 : 弦 78 回 / 分 舌 診 : 紅 絳 舌 やや 紫 舌 苔 : 薄 白 苔 やや 滑 舌 下 静 脈 怒 張 弁 証 : 肝 火 上 炎 肝 火 犯 肺 脈 弦 舌 診 紅 絳 舌 やや 紫 舌 下 静 脈 怒 張 顔 が 熱 くなる 肝 火 上 炎 ストレスにより 鼻 づまりが 悪 化 する 23/25

胸 がつまり それを 開 こうとして 咳 が 出 る 喘 息 が 起 こり 横 になっていると 胸 がつまってきて ヒューヒュー 音 がし 苦 しいので 咳 をすると 白 い 痰 が 出 る 肝 火 犯 肺 肺 失 宣 降 鼻 づまりが 起 こる 治 法 疏 肝 泄 熱 宣 肺 通 竅 理 法 穴 技 鼻 づまり 宣 肺 通 竅 風 池 魚 際 肺 兪 太 淵 瀉 肺 失 宣 降 上 迎 香 尺 沢 疏 肝 泄 熱 合 谷 太 衝 行 間 内 関 瀉 肝 火 犯 肺 滋 水 涵 木 腎 兪 ( 温 灸 ) 太 谿 ( 温 灸 ) 24/25

参 考 文 献 第 3 回 国 際 中 医 学 術 交 流 会 議 発 表 論 文 中 医 学 による 花 粉 症 の 分 析 原 田 浩 一 中 医 学 による 花 粉 症 治 療 郭 義 原 田 浩 一 共 著 ( 源 草 社 ) 花 粉 症 の 中 医 学 的 とらえ 方 と 治 療 仙 頭 正 四 郎 ( 雑 誌 中 医 臨 床 通 巻 68 号 ) 25/25