米 国 の 新 政 権 の 通 商 政 策 に 関 する 調 査 研 究 第 Ⅰ 報 告 市 場 の 上 向 き 傾 向 の 継 続 12 月 上 旬 機 関 投 資 家 やアセットマネージャーは 年 末 をネガティブな 打 撃 に 見 舞 わ れずに 迎 えることばかりを 考 えているように 見 える 彼 らの 関 心 は 主 に その 年 の 利 益 を 計 上 することと 賞 与 を 確 保 することに 集 中 しているようである 彼 らは 市 場 の 天 井 打 ち が 示 すネガティブな 兆 候 を 明 らかに 認 めたがらないでいる 中 国 の 話 題 は 中 国 とアジアは 欧 米 の 弱 い 経 済 回 復 の 影 響 を 受 けていない ため アジアが 欧 米 に 代 わって 世 界 経 済 成 長 の 原 動 力 となるということについての 確 信 を 強 めて いるように 見 える 債 券 市 場 の 混 乱 11 月 26 日 の ドバイ ショック には 債 券 市 場 のほとんどの 投 資 家 が 驚 かされた 報 道 機 関 の 報 道 は 混 乱 し アブダビとドバイの 政 府 およびUAE 中 央 銀 行 による 救 済 措 置 についてしばしば 誤 解 を 与 えた それよりも この 状 況 をより 適 切 に 描 写 しているのは 債 務 不 履 行 に 類 似 した 再 構 築 過 程 である アブダビとドバイの 指 導 者 間 の 長 年 にわたる 緊 張 が 現 在 のドバイ 指 導 部 に 深 刻 かつ 持 続 的 なダメージを 与 えながら ドバイの 強 制 的 な 降 服 において 頂 点 に 達 した と 我 々は 考 えている ドバイ ショックは それ 自 体 では 世 界 市 場 を 混 乱 させるほどの 規 模 があるようには 見 えなかった 一 部 のアナリストはドバイ 問 題 を ギリシャの 巨 額 の 公 的 債 務 あるいは ラトビア リトアニア ハンガリー 等 の 東 欧 諸 国 の 国 債 への 注 目 を 集 めるための 新 たな 理 由 と 見 なした 12 月 1 日 に 新 たなショックが 生 じた アイルランド 最 大 の 銀 行 である アライド アイリッシュが 一 部 の 債 券 の 利 子 支 払 いと 優 先 株 の 配 当 支 払 いを 停 止 すると 発 表 したのである 欧 州 委 員 会 によるこの 措 置 は 政 治 的 には 理 解 可 能 であるが 大 手 銀 行 は 自 己 資 本 比 率 を 高 める 努 力 を 今 強 化 すべきであるという 大 多 数 の 欧 州 および 北 米 の 財 務 省 の 意 向 に 全 く 反 している 大 手 銀 行 の 債 券 や 優 先 株 を 行 政 措 置 によって 停 止 することができるなら 金 融 機 関 の 債 券 市 場 は 信 用 できないものになる アライド アイリッシュ ショックは まだ 値 が 付 けられていない 債 券 市 場 における もう 一 つの 危 機 を 警 告 するものである 銀 行 と 保 険 会 社 はまた 公 的 債 務 と 商 業 債 務 の 両 方 に 関 するクレジット デフォルト スワップ(CDS)の 広 範 な 取 引 のリスクにも 晒 されている 来 年 度 は 銀 行 保 険 会 社 主 権 を 有 する 政 府 の 直 接 的 および 間 接 的 なリスクの 監 視 が 強 化 されるため CDSスプ レッドは 急 激 に 上 昇 する 可 能 性 がある
中 国 の 貸 し 付 けショック 11 月 末 に また 別 の 大 きなショックが 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 から 生 じた 同 委 員 会 は 中 国 の 大 手 11 銀 行 は 資 本 組 み 入 れを 大 幅 に 増 やして 自 己 資 本 比 率 を 世 界 基 準 にま で 高 めるべきであると 発 表 したのである 中 国 政 府 高 官 は 国 内 の 中 国 株 式 市 場 と 不 動 産 市 場 を 落 ち 着 かせるため 財 政 および 通 貨 刺 激 策 はそのまま 継 続 するという 心 強 い 公 式 声 明 を 発 表 した しかしながら 特 定 された 大 手 銀 行 は たとえ 株 式 発 行 を 増 やしたとしても 要 求 される 程 度 まで 資 本 を 増 やすことが できる 見 込 みがほとんどなかった したがって 政 府 は 銀 行 を 支 援 するための 異 例 の 方 法 を 策 定 するか または 銀 行 が 貸 し 付 けを 減 らすことができるようにしなければならない 中 国 の 銀 行 に 対 する 新 たな 規 制 の 結 果 の 一 つは オーストラリアおよび 中 南 米 からの 原 材 料 輸 入 注 文 の 停 止 であった 商 品 に 対 する 中 国 の 貸 し 付 けの 引 き 締 めがもたらした 深 刻 な 結 果 は 金 属 や 燃 料 を 含 む 数 多 くの 重 要 な 商 品 に 対 する 全 世 界 の 需 要 のペースが 低 下 したことであろう ネガティブ な 商 品 市 場 の 修 正 は 中 国 内 部 や 輸 出 国 の 鉱 業 地 全 世 界 の 燃 料 貯 蔵 設 備 ( 停 泊 中 のタン カーを 含 む)における 在 庫 の 蓄 積 によって 拡 大 する 可 能 性 がある 株 式 商 品 および 石 油 の 高 い 相 関 関 係 今 年 は 株 式 商 品 および 石 油 市 場 がそれぞれ 高 い 相 関 関 係 を 示 し 米 ドルに 対 しては 逆 相 関 関 係 を 示 した ネガティブな 市 場 の 修 正 が 密 接 な 相 関 関 係 を 示 す 株 式 商 品 および 石 油 市 場 間 で 広 範 に 生 じるなら 売 却 において 多 くの 有 形 資 産 および 株 式 の 流 動 性 が 比 較 的 低 くなる 可 能 性 もある その 場 合 全 世 界 において 新 たに 非 流 動 的 な 資 産 を 手 に 入 れるよりも 最 も 流 動 的 な 市 場 へ 乗 り 換 える 動 きが 見 られることが 予 測 され 得 る このような 乗 り 換 えの 動 きに よって ドル ポンドおよび 円 の 需 要 が 増 加 するだろう 日 本 円 への 乗 り 換 えが 持 続 するかどうかは 疑 問 である 現 在 の 日 本 経 済 は 不 況 の 再 開 を 伴 ったデフレの 見 通 しである 円 が 弱 くなるか あるいは 日 本 経 済 が 複 合 的 なデフレと 深 刻 な 不 況 に 突 入 するだろう オバマ 大 統 領 のアジア 訪 問 中 国 を 中 心 としたアジアを 今 は 米 国 の 外 交 政 策 の 主 な 焦 点 とするべきであるという オ バマ 大 統 領 のアジア 訪 問 のこのような 解 釈 は 意 図 されたものではないと 後 に 述 べられた しかしながら オバマ 大 統 領 は 彼 の 党 の 主 要 な 政 治 家 達 と 相 談 したわけではなく 地 域 統 合 への 彼 の 関 心 表 明 に 関 して 議 会 の 支 持 を 実 質 的 に 得 ていなかった 米 国 議 会 も 韓 国 議 会 も 再 交 渉 された 二 国 間 自 由 貿 易 協 定 を 検 討 する 準 備 ができていない 大 統 領 のアジア 訪 問 中 と 訪 問 後 米 国 報 道 機 関 の 解 説 者 達 はこの 訪 問 の 根 底 にある 重 要 な テーマを 必 死 で 突 きとめようとした メディアや 他 国 の 政 府 から 多 くの 質 問 が 投 げかけられた 増 え 続 ける 質 問 に 答 えて オバマ 大 統 領 は この 訪 問 は 貿 易 に 関 するものであったと 公 に 説 明 しようと 試 みた
太 平 洋 を 横 断 する 貿 易 の 力 関 係 を 変 えたいという 願 望 に 当 てられたこのような 焦 点 には 輸 出 によって 米 国 は 景 気 停 滞 から 抜 け 出 すことができるというオバマ 大 統 領 の 個 人 的 希 望 が 反 映 されている 貿 易 が 新 たな 雇 用 創 出 を 可 能 にするという 期 待 へのオバマ 大 統 領 の 意 識 集 中 に 我 々は 根 本 的 な 欠 陥 を 見 出 している 米 国 にとって 輸 出 はGDPの 比 較 的 小 さな 部 分 を 占 める にすぎない 世 界 貿 易 は 成 長 を 止 め 長 期 間 抑 制 され 続 けるかもしれない 米 国 の 輸 出 を 増 やす 唯 一 の 方 法 は 世 界 中 の 他 の 輸 出 国 から 市 場 占 有 率 を 奪 うことであろう ドルがさらに 弱 くなれば おそらく 全 世 界 に 二 度 目 のさらに 強 力 な 不 況 と 失 業 が 襲 いか かり 米 国 輸 出 産 業 にとって 不 確 かではあるがネガティブな 結 果 がもたらされるだろう さらに オバマ 大 統 領 が 弱 いドルを 望 んでいると 全 世 界 が 確 信 すれば 諸 外 国 政 府 および 実 業 家 はドルを 投 げ 売 り 他 の 通 貨 か 商 品 金 に 乗 り 換 えるだろう 第 Ⅱ 報 告 失 業 率 と 景 気 見 通 し 12 月 に 企 業 調 査 が 示 したところでは 雇 用 の 純 喪 失 数 はたったの85,000だった 一 方 労 働 統 計 局 (BLS)のプレスリリースは 中 小 企 業 間 の 就 業 者 数 を 取 り 上 げる 世 帯 調 査 に 基 づいて 推 計 された589,000の 雇 用 の 喪 失 という 衝 撃 的 なほど 大 きな 数 字 を 実 質 上 無 視 した BLSの 労 働 者 統 計 は 661,000 人 の 労 働 者 が12 月 に 労 働 市 場 から 投 げ 出 されたことにより 求 人 市 場 の 全 体 的 規 模 が 実 質 的 に 縮 小 したことを 明 らかにしなかった 労 働 市 場 全 体 の 規 模 が 一 定 のままだったなら 失 業 率 は10.4パー セントまで 上 昇 しただろう 高 い 失 業 率 と 住 宅 市 場 における 軟 調 の 継 続 といったこの 状 況 において 貯 蓄 率 は 上 昇 し 消 費 は2010 年 の 間 ずっと 低 迷 するだろうと 我 々は 見 ている 世 帯 のレバレッジ 解 消 は 継 続 し 世 帯 への 貸 付 金 額 はさらに 減 少 するだろう 消 費 が 強 い 反 発 力 を 示 さなければ 株 式 と 商 品 の 相 関 した 市 場 が 強 気 を 継 続 するのは 困 難 だろう 一 方 市 場 の 勢 いが 上 昇 の 一 途 をたどり 続 けるなら 政 策 がそれに 歯 止 めをかけるだろう 経 済 が 抑 制 されず 上 昇 す る 姿 を 思 い 描 くのは 実 に 困 難 である 財 政 赤 字 2007 年 に 具 体 的 な 形 を 取 り 始 め 2008 年 後 半 に 金 融 市 場 の 臨 界 へと 展 開 した 大 不 況 により 税 収 が 急 激 に 減 少 した 財 政 赤 字 が 至 る 所 で 異 常 な 速 度 で 増 えているのは 明 らか である GDPの 比 率 としての 財 政 赤 字 に 関 するEUのマーストリヒト 条 約 の 制 限 に 違 反 し ているのは ギリシャ スペイン ポルトガルのような 国 のみでなく 実 質 上 その 他 全 ての EU 加 盟 国 も 同 様 である 英 国 政 府 の 財 政 赤 字 がGDPの100%まで 急 増 したことにつ いて 世 界 中 の 報 道 において 警 告 が 行 われたが GDPに 対 する 財 政 赤 字 の 比 率 は 米 国 を 含 むその 他 多 くの 諸 政 府 において 同 じ100% 以 上 のレベルに 向 かって 上 昇 している このような 国 家 の 財 政 赤 字 は 米 国 やその 他 多 くの 国 においては 地 方 自 治 体 レベルで
の 赤 字 の 影 にしっかりと 隠 されている 結 論 は 多 くの 州 および 地 方 自 治 体 が 収 支 を 調 整 するために 支 出 を 大 幅 に 減 らす 必 要 があるだろうということである このことは 失 業 率 にとってさらにもう 一 つのネガティブな 要 素 となるだろう 州 および 地 方 自 治 体 はもちろん 米 国 連 邦 政 府 も 財 政 赤 字 は 増 える 一 方 であり 政 府 のあ らゆる 水 準 での 借 り 入 れを 大 いに 増 やす 必 要 があるだろう このことは 政 府 内 での 投 資 家 獲 得 競 争 を 激 化 させるだろう スプレッドが 拡 大 し 全 ての 公 的 な 借 り 手 にとって 借 り 入 れコストが 上 昇 する 可 能 性 がある 多 くの 民 主 党 員 は 選 挙 で 敗 北 することに 恐 れを 募 らせている 再 出 馬 しないと 決 めて いる 議 員 もいる 一 方 留 まるために 別 の 政 党 に 移 ろうとする 議 員 もいる このような 力 関 係 は オバマ 大 統 領 の 議 会 における 自 身 の 党 への 影 響 力 を 表 明 する 力 が 2010 年 には おそらく 衰 える 一 方 だろうということを 意 味 している 気 候 変 動 イニシアティブ オバマ 大 統 領 は 炭 素 キャップ アンド トレード イニシアティブが 2009 年 1 1 月 のコペンハーゲン 気 候 変 動 会 議 よりも 前 に 議 会 により 制 定 されることを 望 んだ 下 院 はワックスマン マーキー 炭 素 キャップ アンド トレード 法 案 を 可 決 したが 上 院 は すべての 措 置 に 反 対 した 高 い 失 業 率 が 続 く 中 で 鉱 業 および 石 油 ガス 生 産 に 依 存 する 州 はもちろん 鉄 鋼 自 動 車 製 紙 セメント 産 業 等 新 たな 炭 素 制 限 によりネガティブ な 影 響 を 受 けると 思 われる 産 業 や 地 理 的 地 域 との 戦 いを 選 択 することに 民 主 党 上 院 議 員 達 は 懸 念 を 抱 いたのである したがって オバマ 大 統 領 は 炭 素 イニシアティブに 関 す る 新 たな 制 限 への 議 会 の 支 持 を 得 ることなく コペンハーゲン 会 議 に 出 席 した 2009 年 12 月 中 国 首 相 温 家 宝 は ブラジル 南 アフリカ インドおよび 中 国 から 成 り やがてその 頭 文 字 を 取 って BASIC と 呼 ばれるようになった 新 興 市 場 経 済 大 国 の 新 たな 核 となるグループを 組 織 する 主 導 権 を 静 かに 握 った このグループは 炭 素 または 他 の 排 出 に 対 する 特 定 の 制 限 に 関 する 公 約 をせず 善 意 という 声 明 を 巧 みに 作 り 出 した オバマ 大 統 領 が 温 家 宝 首 相 との 対 話 を 求 めたとき 中 国 首 相 は 中 国 の 立 案 であ るBASICの 宣 言 に 米 国 を 同 調 させる 機 会 をオバマ 大 統 領 に 提 供 した 手 ぶらで 米 国 に 戻 るか 善 意 の 新 たな 声 明 に 加 わるかどちらかの 選 択 肢 を 与 えられたオバマ 大 統 領 は 中 国 の 立 案 に 賛 同 することを 受 け 入 れた 中 国 主 導 のBASICイニシアティブを 採 用 する 際 オバマ 大 統 領 は ヨーロッパの 指 導 者 達 と 国 際 的 に 合 意 された 炭 素 排 出 制 限 のポスト 京 都 体 制 のためのEUの 枠 組 みを 無 視 した また 北 半 球 の 多 くの 地 域 にわたって 冬 の 雪 や 氷 氷 点 下 の 気 温 が 厳 しく 期 間 が 長 いことから 地 球 温 暖 化 は 現 実 にある のかということについて 公 開 討 論 において 疑 問 が 投 げかけられた 今 年 の 冬 の 厳 しさは 予 想 外 だったため 米 国 およびその 他 多 くの 先 進 工 業 諸 国 における 気 候 変 動 策 は 大 幅 に 変 更 された コペンハーゲン 会 議 の 持 続 する 教 訓 は 米 大 統 領 の 注 目 が 中 国 指 導 部 との 協 定 へと 劇 的 に 移 り 変 わったことであった コペンハーゲン 会 議 は 今 後 数 十 年 間 の 経 済 の 力 関 係 す なわちどのコストが 誰 によって 負 担 されるのかに 関 するものだった ほとんどの 政 府 は
強 いられる 巨 額 のコストと 経 済 成 長 の 制 限 を 受 け 入 れる 準 備 が 整 っていなかった 大 多 数 の 政 府 そして 特 に 政 治 家 と 議 会 は 雇 用 や 資 源 を 外 国 の 当 局 へ 譲 り 渡 すことに 対 し て 大 幅 な 国 内 の 支 援 を 見 出 すことができない アフガニスタン 急 増 するアフガニスタンへの 米 軍 の 関 与 にかかるコストは 現 在 の 公 式 予 算 見 積 もりを はるかに 上 回 るだろう 極 限 の 土 地 および 気 候 は イラクで 見 られたそれらを 大 きく 上 回 る 困 難 さを 提 示 している オバマ 大 統 領 は 軍 隊 およびその 装 備 と 支 持 の 構 造 を 輸 送 する ための 資 金 提 供 が 不 十 分 なため 彼 の 予 定 通 りに 段 階 的 拡 大 が 進 まないことにすでに 気 付 いていた これは 軍 事 計 画 の 失 敗 ではなく 米 国 政 府 の 予 算 配 分 の 失 敗 である 最 大 の リスクは アフガニスタンの 結 果 自 体 にあるのではなく 別 の 国 または 地 理 的 地 域 (イラ ン パキスタン 中 東 における 石 油 輸 送 または 生 産 の 防 衛 テロリストの 挑 発 等 )におけ る 軍 事 的 対 応 に 関 して 別 の 要 件 が 生 じた 場 合 に 起 こることにある 第 Ⅲ 報 告 ユーロ 圏 の 課 題 ユーロは 最 近 最 高 値 をつけた 時 期 からドルに 対 して10% 下 落 した ますます 多 くの 投 資 家 が 現 在 ユーロを 売 却 しているが これはPIIGS(ポルトガル アイルランド イタ リア ギリシャおよびスペイン)の 公 的 債 務 問 題 がユーロ 圏 の 金 融 市 場 の 機 能 を 脅 かす 可 能 性 があると 予 想 してのことである 欧 州 の 指 導 者 達 は ギリシャ 危 機 への 解 決 策 を 策 定 するのに 苦 労 している ギリシャ 政 府 は 大 幅 な 支 出 削 減 を 提 唱 し その 中 には 公 務 員 および 年 金 の 大 幅 な 削 減 や 大 学 および 大 学 生 への 支 援 の 削 減 が 含 まれていたが 全 国 ストライキが 政 府 の 実 行 を 妨 げると 予 想 されている EUの 高 官 は EUの 支 援 が 行 われると 宣 言 したが ドイツおよびオランダの 政 府 はギリシャへの 財 政 支 援 を 公 然 と 認 めなかった ユーロ 圏 の 債 務 問 題 は PIIGSを 越 えて 拡 大 している 格 付 け 機 関 は 今 後 の 大 規 模 な 国 の 借 入 額 を 前 提 として 経 済 の 減 速 の 継 続 と 失 業 率 の 上 昇 を 考 慮 し すでに 全 16の 加 盟 政 府 の 債 券 を 見 直 している 今 年 のフランス イタリアおよびドイツの 借 入 額 は ユーロ 圏 資 本 市 場 全 体 に 暗 雲 を 投 げ 掛 けている 進 行 中 の 赤 字 を 補 うための 新 たな 債 券 発 行 の 必 要 性 に 加 え て これら3カ 国 だけで1 兆 2000 億 ユーロ 以 上 になる 既 存 の 短 期 公 的 債 務 のロールオー バーが 必 要 である EU 全 体 のGDPに 対 する 財 政 赤 字 の 平 均 比 率 は 6~7%の 範 囲 であり フランスとイタリアは 平 均 以 上 ドイツはマーストリヒトの 制 限 をはるかに 超 えている ユーロ 圏 の 諸 政 府 が 互 いに 資 本 を 争 うにつれて より 弱 い 加 盟 政 府 のクラウディングア ウトが 発 生 し その 結 果 政 府 の 公 的 債 務 の 借 り 入 れコストまたは 利 回 りが 上 昇 するだろ う 世 界 的 な 生 産 過 剰 の 中 でユーロ 圏 経 済 が 長 期 にわたる 景 気 停 滞 の 中 に 留 まっている 間 このクラウディングアウトは 民 間 の 借 り 手 に 悪 影 響 を 与 えるだろう したがって ギリシャ の 公 的 債 務 への 信 用 の 崩 壊 は ドルに 対 してのユーロの 価 値 下 落 の 継 続 を 伴 った ユーロ 圏 の 多 くの 分 野 の 公 的 債 務 および 民 間 債 務 における 信 用 低 下 の 最 初 の 兆 しにすぎない
中 国 の 見 通 しの 不 確 実 さ まだ 公 には 述 べられていないが 中 国 の 並 はずれた 経 済 成 長 率 は 欧 米 の 失 業 率 および 低 成 長 という 犠 牲 の 下 に 成 り 立 っているのだという 感 情 が 欧 米 の 政 治 家 達 の 間 に 高 まりつつある 中 国 における 高 い 経 済 成 長 率 の 持 続 可 能 性 に 対 する 疑 念 もまた 特 に 金 融 バブルに 直 面 して 高 まりつつある いくつかの 主 要 な 商 品 を 輸 出 している 経 済 圏 の 諸 政 府 は 信 用 が 尽 きるとともに 中 国 からの 原 材 料 注 文 が 大 幅 に 減 少 したことにすでに 気 付 いている 米 中 間 の 緊 張 の 高 まり 米 中 関 係 は 辛 辣 なものになり 米 高 官 は 進 行 中 の 二 国 間 対 話 における 中 国 の 反 応 を ま すます 好 戦 的 かつ 横 柄 なものになりつつあると 特 徴 づけている 経 済 の 諸 分 野 を 横 断 する 米 国 の 利 権 に 対 する 中 国 の 報 復 への 要 求 が 高 まっている EU 諸 政 府 もまた 中 国 からの 輸 入 に 対 するダンピング 防 止 措 置 を 広 範 に 取 るようにと 産 業 界 から 圧 力 をかけられている ワシントンと 欧 州 の 各 首 都 間 では 通 貨 価 値 を 高 めるよう 中 国 をどのように 説 得 するか そして 中 国 商 品 のダンピングにどのように 対 処 するかについて 議 論 が 行 われている 高 まる 緊 張 の 中 で 貿 易 摩 擦 が 貿 易 戦 争 に 発 展 することが 考 えられる 一 方 中 国 の 指 導 者 達 が 金 融 市 場 に 歯 止 めをかけたことによる 中 国 経 済 の 弱 さと 外 需 の 弱 さを 恐 れているなら 他 国 との 貿 易 戦 争 は 政 治 的 に 役 立 つ 牽 制 とみなされ 国 内 の 弱 さが 外 国 の 責 任 にされる 可 能 性 が 考 えられる 米 国 政 府 における 政 治 的 力 関 係 の 変 化 マサチューセッツの 民 主 党 上 院 議 員 ケネディが 何 十 年 も 占 めていた 議 席 をあまり 知 られ ていない 共 和 党 員 が 獲 得 したという 選 挙 結 果 は 議 会 の 現 職 の 民 主 党 員 を 驚 かせた これ に 続 いて ニュージャージー 州 およびバージニア 州 の 最 近 の 知 事 選 挙 では 共 和 党 が 勝 利 した これらの 選 挙 結 果 の 裏 側 で 世 論 調 査 は 有 権 者 の 姿 勢 に 大 きな 変 化 があることを 示 した 無 党 派 層 の 投 票 者 達 の 間 に オバマ 大 統 領 と 現 職 の 民 主 党 員 から 離 れていく 重 大 な 転 換 が 見 られた 民 主 党 員 は 上 院 下 院 の 両 方 で 多 数 の 議 席 を 失 うだろうと 今 では 広 く 考 えられており 多 くの 民 主 党 員 は 自 分 達 は 大 統 領 と 党 の 指 導 部 から 独 立 していると 位 置 付 けることによって 備 えようとしている オバマ 大 統 領 のカリスマ 性 と チェンジ の 期 待 が 弱 まるにつれ 大 統 領 の 世 界 情 勢 への 注 目 は 大 幅 に 減 り その 代 わりに 国 内 での 政 治 的 生 存 と2012 年 の 再 選 の 見 通 しに 意 識 を 集 中 するようになった これは 多 国 間 協 調 主 義 にとって 良 い 兆 候 ではない 第 Ⅳ 報 告 攻 撃 を 受 けるユーロ ますます 多 くの 外 国 人 投 資 家 が ユーロは 下 落 すると 予 想 している 中 には ユーロが 存 続 可 能 な 通 貨 であり 続 けるか 疑 問 を 持 つ 投 資 家 もいる 報 道 機 関 の 注 目 はギリシャ 危 機 に 集 中 し
ているが 投 資 家 はギリシャ 危 機 を 全 ユーロ 加 盟 国 間 の 一 連 の 公 的 債 務 および 民 間 債 務 の 危 機 の 始 まりにすぎないと 見 ている 投 資 家 は 全 加 盟 国 の 経 済 および 金 融 の 見 通 しの 悪 化 を 予 想 しており 諸 政 府 が 互 いに 助 け 合 うことは 経 済 的 には 不 可 能 であり 政 治 的 には 気 が 進 まない でいると 思 っている なぜなら 全 ての 国 が 大 規 模 な 借 り 入 れを 必 要 としているため 互 いに 競 い 合 って 自 国 の 債 務 を 見 せつけるだろうからである 欧 州 の 指 導 者 達 はギリシャを 支 援 する と 約 束 したが ドイツが 先 頭 に 立 って 救 済 措 置 に 反 対 を 表 明 していて いかなる 財 政 支 援 も 行 われないであろうことは 今 や 明 らかである EUの 指 導 者 達 は IMFの 支 援 を 自 分 達 の ユーロ 問 題 であると 考 えているものへの 余 計 な 介 入 であるとして 認 めなかった ユーロの 根 底 にある 重 大 な 欠 陥 一 つ 目 の 重 大 な 欠 陥 は 世 界 貿 易 が 今 もなお 縮 小 している 中 で ユーロ 圏 が 成 長 の 主 な 原 動 力 として 輸 出 に 依 存 していることである また ユーロ 圏 の 輸 出 は 世 界 的 な 生 産 過 剰 と 資 本 財 への 需 要 薄 の 中 で 資 本 財 および 自 動 車 に 大 幅 に 集 中 している 二 つ 目 の 欠 陥 は 加 盟 国 が 互 いに 財 政 支 援 を 行 う 気 がないことである 三 つ 目 の 欠 陥 は 財 政 政 策 と 通 貨 政 策 が 分 離 し 各 加 盟 国 が 独 自 の 予 算 を 決 定 しているということである 唯 一 の 規 律 が 安 定 成 長 協 定 のガイドラインであり これは 財 政 赤 字 をGDPの3% 以 内 に 制 限 しているが 今 では 実 質 的 に 全 ての 加 盟 国 がこの 制 限 に 違 反 し 平 均 7% 以 上 で ある 四 つ 目 の 欠 陥 は 欧 州 中 央 銀 行 (ECB)によって 設 定 された 通 貨 政 策 と 挙 国 一 致 政 府 によって 維 持 される 規 制 政 策 の 分 離 が 継 続 していることにあり ECBはECBから 資 本 を 引 き 出 す 個 別 の 銀 行 の 個 別 の 問 題 を 扱 うことができない 挙 国 一 致 政 府 は 銀 行 の 整 理 の 延 期 を 選 択 したため ユーロ 圏 の 銀 行 制 度 は ユーロ 圏 内 のみならず 東 欧 ロシア およびその 他 の 地 理 的 地 域 における 不 動 産 およびその 他 のバブルにおける 高 レバレッジの リスクに 晒 され 続 けている 五 つ 目 の そして 最 も 根 本 的 な 欠 陥 は 加 盟 国 が 互 いに あ るいは 監 督 機 関 に 重 要 な 主 権 を 譲 る 気 がない 状 態 が 続 いているということであり その ため 金 融 危 機 に 対 して 協 調 的 に 対 応 することができない これらの 欠 陥 そしてユーロ 圏 の 経 済 および 財 政 見 通 しの 悪 化 を 考 慮 すると 次 の 疑 問 が 生 じる 弱 いユーロは 有 益 であるか? ユーロはドルに 対 してすでに 約 10% 下 落 している さらに 下 落 すれば ユーロ 圏 の 輸 出 は 世 界 市 場 のシェアをさらに 占 めることができるかもしれないが 世 界 貿 易 の 成 長 が 弱 いため ユーロ 圏 の 成 長 への 利 益 は 限 定 的 なものになるだろう したがって ユーロがさ らに 弱 くなれば 世 界 的 生 産 過 剰 の 中 で 全 世 界 の 工 業 製 品 価 格 が 下 がる 一 方 輸 入 材 料 食 品 および 製 品 コストの 上 昇 の 結 果 として ユーロ 圏 内 にインフレ 圧 力 が 生 じる 可 能 性 が ある さらに 大 きな 危 険 は 米 国 欧 州 英 国 中 国 日 本 および 他 の 主 要 な 国 々がすべ て 自 国 の 通 貨 の 下 落 または 少 なくとも 上 昇 の 回 避 への 期 待 を 少 なくとも 部 分 的 に 当 てに し 輸 出 を 強 化 しようと 努 めるだろうということである 結 果 は 重 商 主 義 の 予 期 せぬ 復 活 だったかもしれないが それは 全 世 界 の 貿 易 相 手 国 が 輸 出 を 増 やし 輸 入 を 減 らすために 互 いに 締 め 出 し 合 っていた1930 年 代 における 不 況 の 深 刻 化 の 原 因 だった