桑 名 市 民 病 院 の 白 内 障 手 術 における 点 眼 指 導 正 しい 点 眼 方 法 は 治 療 効 果 を 十 分 に 発 揮 するだけでなく 副 作 用 の 防 止 につながる 白 内 障 手 術 に 関 る 使 用 薬 剤 ( 点 眼 液 内 服 薬 )は 一 定 という 特 徴 を 活 かし 点 眼 表 点 眼 箱 を 一 新 し また 点 眼 指 導 時 の 説 明 ポイント 注 意 点 を 基 本 事 項 ~0 0に まとめ それぞれに 解 説 を 加 えた 点 眼 指 導 時 の 患 者 説 明 用 手 引 き を 作 成 した 院 内 ではこれらを 活 用 して 点 眼 指 導 の 標 準 化 を 行 っている しかしながら 院 内 での 点 眼 指 導 では 以 下 のことが 問 題 点 となっている 白 内 障 手 術 患 者 は 概 ね 高 齢 であり 入 院 中 の 薬 剤 師 による~ 回 の 点 眼 指 導 では 理 解 が 難 しい 入 院 中 における 指 導 は 限 られた 時 間 内 で 行 われるため 点 眼 手 技 の 習 得 に 重 点 が 置 かれてしまうことが 多 い 調 剤 薬 局 との 連 携 点 眼 指 導 の 標 準 化 は 点 眼 継 続 の 意 義 や 必 要 性 などを 指 導 し 有 効 な 治 療 効 果 を 上 げていくためには 非 常 に 有 意 義 であると 考 える 今 回 調 剤 薬 局 との 指 導 の 連 携 を 深 めるため 桑 名 薬 剤 師 会 の 協 力 を 得 て 薬 剤 師 会 のホームページに 点 眼 指 導 時 の 患 者 説 明 用 手 引 き を 収 載 して 頂 き 病 院 内 での 指 導 内 容 を 紹 介 することになった 桑 名 市 民 病 院 薬 剤 部
白 内 障 手 術 翌 日 点 眼 表 桑 名 太 郎 様 クラビット 点 眼 液 抗 菌 作 用 リンデロンA ステロイド 剤 抗 炎 症 剤 3 ジクロード 点 眼 液 4 抗 炎 症 剤 ミドリンP 癒 着 を 防 ぐ 散 瞳 剤 時 間 8 時 0 時 時 午 後 時 午 後 4 時 午 後 6 時 午 後 8 時 右 眼 3 3 3 3 4 4 4
点 眼 箱 に 点 眼 液 をセッティングした 写 真
病 室 において ベッド 脇 の 見 やすい 場 所 にセッティングした 写 真 手 術 翌 日 午 前 8 時 点 眼 開 始 点 眼 表 点 眼 箱 の 使 い 方 を 説 明 する
白 内 障 手 術 翌 々 日 以 降 点 眼 表 退 院 時 リーフレット 桑 名 太 郎 様 クラビット 点 眼 液 リンデロン 点 眼 液 点 眼 液 抗 菌 作 用 リンデロンA ステロイド 剤 抗 炎 症 作 用 3 ジクロード 点 眼 液 4 ミドリン 点 眼 液 非 ステロイド 性 抗 炎 症 剤 ミドリンP 散 瞳 剤 癒 着 を 防 止 リンデロンA ジクロード 点 眼 液 は 遮 光 袋 に 入 れて 保 管 して 下 さい 点 眼 は 指 示 通 り 行 ない 勝 手 にやめたりしないように して 下 さい 点 眼 指 示 表 時 間 右 眼 8 時 時 午 後 4 時 午 後 8 時 3 3 3 3 4 点 眼 時 の 注 意 点 点 眼 前 に 手 を 清 潔 にする 薬 液 は 滴 で 十 分 です 点 眼 容 器 の 先 がまぶたや 眼 に 触 れないように 点 眼 する 点 眼 後 は 瞬 きをせずにしばらく 目 を 閉 じている (~ 分 間 ) あふれた 液 はクリーンコットンを 使 って 拭 き 取 る 点 眼 間 隔 は5 分 間 内 服 薬 フロモックス 錠 抗 生 剤 感 染 を 予 防 日 3 回 毎 食 後 服 用 ムコスタ 錠 胃 薬 5 日 間 エンピナースP 錠 消 炎 剤 飲 み 切 り 終 了 です
入 院 中 における 白 内 障 手 術 患 者 への 点 眼 指 導 日 程 日 目 日 目 3 日 目 入 院 手 術 日 内 服 開 始 点 眼 開 始 退 院 点 眼 指 導 薬 剤 師 点 眼 手 技 の 確 認 自 己 点 眼 の 可 否 判 定 看 護 師 実 際 に 点 眼 してもらう( 時 に 実 演 してみせる) 口 頭 説 明 だけでは 不 十 分 なことが 多 い 患 者 個 々に 合 わせた 指 導 が 必 要 看 護 師 と 連 携 夕 食 後 薬 剤 師 or 看 護 師 8 時 0 時 点 眼 箱 点 眼 表 設 置 看 護 師 薬 剤 師 点 眼 手 技 の 確 認 自 己 点 眼 時 の 注 意 点 再 度 説 明 点 眼 継 続 の 必 要 性 説 明 + 4 日 目 以 降 点 眼 表 点 眼 回 数 変 更 説 明
点 眼 指 導 時 の 患 者 説 明 用 手 引 き
患 者 説 明 用 手 引 き 点 眼 液 の 薬 効 術 後 には 感 染 予 防 や 合 併 症 予 防 のため 4 種 類 の 点 眼 液 を 使 用 している キャップの 色 クラビット 点 眼 液 リンデロンA ジクロード 点 眼 液 抗 菌 剤 感 染 予 防 ステロイド 剤 抗 炎 症 作 用 非 ステロイド 剤 プロスタグランディン 合 成 抑 制 ( 嚢 胞 様 黄 斑 浮 腫 CME 発 生 予 防 ) ミドリンP *CME= 術 後 の 炎 症 が 原 因 で 術 後 ~3ヶ 月 以 内 に 黄 斑 部 網 膜 に 小 嚢 胞 様 の 浮 腫 が 生 じるもの 散 瞳 剤 紅 彩 と 人 工 レンズの 癒 着 防 止 * 散 瞳 作 用 により まぶしさや 焦 点 が 合 わな いことによる 違 和 感 を 生 ずることがある
患 者 説 明 用 手 引 き き 白 内 障 手 術 後 の 内 服 薬 手 術 当 日 の 夕 食 後 から 内 服 開 始 となる 錠 剤 の 一 包 化 を 施 行 している フロモックス 錠 抗 生 剤 ( 軟 便 化 することがある 旨 説 明 する ) エンピナースP 錠 消 炎 酵 素 剤 ムコスタ 錠 胃 粘 膜 保 護 剤 日 3 回 毎 食 後 の 服 用 で5 日 間 の 飲 み 切 り 終 了 説 明 手 術 後 に 眼 圧 が 高 い 場 合 にはダイアモックス 錠 の 服 薬 が 追 加 される クレアチニンクリアランス(CCr)を 確 認 する 腎 機 能 低 下 がある 場 合 には 抗 生 剤 (フロモックス)の 半 減 期 の 延 長 を 伴 うことから 通 常 CCr をもとに 投 与 の 調 節 を 行 う 必 要 がある CCr 0 日 回 日 錠 へ 減 量 する
患 者 説 明 用 手 引 き 点 眼 表 点 眼 液 の 容 器 箱 の 使 い 方 薬 の 効 果 を 最 大 限 に 引 き 出 せるように 点 眼 液 を 使 用 する ためには 患 者 に 点 眼 の 手 技 回 数 点 眼 間 隔 などの 注 意 点 を 理 解 してもらう 必 要 がある 説 明 用 リーフレットで は 点 眼 回 数 を 把 握 してもらうために それぞれの 点 眼 剤 をキャップの 色 で 区 別 し 点 眼 回 数 を 示 した 点 眼 表 を 記 載 している 異 なる 種 類 の 点 眼 液 を5 分 の 時 間 間 隔 をあけながら 使 用 する 際 に 高 齢 者 では さし 忘 れ 重 複 を 起 こしてしまう 危 険 性 が 高 い これらを 防 ぐ 方 法 として まず 使 用 する 点 眼 液 をよく 確 認 した 後 点 眼 箱 の 手 前 の 列 に 揃 えてお き 点 眼 し 終 わった 容 器 を 後 の 列 に 移 動 させるなどの 方 法 をとっている 患 者 の 理 解 度 に 合 わせた 指 導 が 必 要 である
患 者 説 明 用 手 引 き3 点 眼 前 に 手 を 洗 い 清 潔 にする 手 を 洗 う( 必 要 によって 石 鹸 で 十 分 に 洗 う) 必 要 性 を 説 明 指 導 する 手 についた 雑 菌 からの 手 術 後 の 感 染 や 点 眼 液 の 汚 染 を 防 ぐためであることを 説 明 する 手 の 皮 膚 表 面 や 爪 などには 周 囲 の 環 境 から 付 着 した 大 腸 菌 黄 色 ブドウ 球 菌 などの 雑 菌 がつねに 存 在 している これらは 流 水 と 石 鹸 でほとんど 除 去 することができる 点 眼 液 が 汚 染 される 経 路 として 手 指 結 膜 点 眼 液 のルートが 多 いとされる
患 者 説 明 用 手 引 き4 点 眼 液 本 あたりの 点 眼 可 能 回 数 ( 総 滴 数 )が 点 眼 液 ごとに 異 なることを 伝 える 4 種 類 の 点 眼 液 の 終 了 日 が 異 なる 場 合 が 発 生 する こ れにより 患 者 がさし 忘 れたと 勘 違 いして 余 った 点 眼 液 の 過 剰 な 点 眼 を 誘 発 する 可 能 性 も 考 えられる 容 量 容 量 / 滴 総 滴 数 クラビット 点 眼 液 5ml 40μl/ 滴 5 滴 リンデロンA 5ml 40μl/ 滴 5 滴 ジクロード 点 眼 液 5ml 37μl/ 滴 35 滴 ミドリンP 5ml 33μl/ 滴 50 滴
患 者 説 明 用 手 引 き5 点 眼 液 の 容 器 の 先 が 眼 に 触 れないようにする 点 眼 液 の 容 器 の 先 が 眼 に 触 れないようにする 必 要 性 を 説 明 する 点 眼 時 に 容 器 の 先 が 眼 瞼 に 触 れたり 涙 液 に 接 したりし て 菌 や 涙 液 が 点 眼 液 の 中 へ 入 ってしまい 汚 染 される 可 能 性 がある また 点 眼 液 の 容 器 の 先 が 手 に 触 れて 容 器 が 汚 染 されると 容 器 内 の 点 眼 液 まで 汚 染 される 心 配 がある
患 者 説 明 用 手 引 き6 点 眼 する 液 量 は 滴 で 十 分 下 瞼 を 軽 く 引 き 滴 を 確 実 に 点 眼 するように 指 導 する 点 眼 液 滴 は30~50µlであるのに 対 し 結 膜 嚢 の 最 大 容 量 は 約 30µlであるため 点 眼 された 点 眼 液 は 涙 液 と 混 じり 合 い その 後 大 部 分 は 涙 点 を 通 って 眼 外 へ 排 出 さ れる 点 眼 滴 数 を 増 やしても 眼 外 へあふれ 出 てしまい 無 駄 になってしまう また 点 眼 量 が 多 くなると それに 伴 う 刺 激 によって 涙 液 の 分 泌 量 が 増 えて 点 眼 液 が 希 釈 されてしまい かえって 効 果 が 減 ることにもなりかねない
患 者 説 明 用 手 引 き7 点 眼 後 は 瞬 きをせずにしばらく 眼 を 閉 じる 点 眼 された 点 眼 液 は 目 頭 に 集 まり その 後 瞬 きに 伴 い 涙 点 から 排 出 される 点 眼 直 後 に 何 回 も 瞬 きをしたりする と 点 眼 液 の 眼 からの 排 出 を 早 めてしまい 逆 効 果 であるこ とを 説 明 する 軽 く 眼 を 閉 じることで 薬 物 が 眼 の 中 に 停 滞 し 効 果 を 十 分 に 発 揮 できる
患 者 説 明 用 手 引 き8 あふれた 液 は 清 浄 綿 などで 拭 き 取 る 眼 瞼 皮 膚 は 薬 剤 に 起 因 する 過 敏 反 応 が 発 生 しやすい 部 位 である 点 眼 液 が 眼 からあふれ 出 ると 点 眼 液 に 含 まれている 成 分 や 防 腐 剤 によっては 眼 の 周 囲 の 皮 膚 に 炎 症 やただれを 起 こすこともあるので あふれ あふれ 出 た 液 はすぐ に 清 浄 綿 などで 拭 き 取 ることが 必 要 なことを 説 明 する 患 者 説 明 用 手 引 き9 点 眼 間 隔 は5 分 間 とする 一 般 に 最 初 に 点 眼 された 薬 液 は 後 に 点 眼 した 点 眼 液 によっ て 洗 い 流 される このため 個 々の 点 眼 液 は 他 の 点 眼 液 の 影 響 を 受 けないように5 分 以 上 の 点 眼 間 隔 をとることで 相 互 の 影 響 はほとんど 無 くなる
患 者 説 明 用 手 引 き0 点 眼 継 続 の 必 要 性 を 説 明 指 導 する 患 者 は 術 後 の 経 過 が 良 好 で 視 力 回 復 が 得 られると 点 眼 を 自 己 判 断 で 中 止 したり 回 数 を 減 らしてしまうことがある 視 力 が 回 復 した 場 合 でも 術 眼 では 炎 症 が 残 っていたり 創 部 が 完 治 に 至 っていない 可 能 性 がある 点 眼 液 は 医 師 の 指 示 があるまで 継 続 する 必 要 性 を 説 明 指 導 する クラビット 点 眼 液 は 創 傷 治 癒 が 完 成 し 創 が 安 定 する~ヶ 月 間 (ヶ 月 を 目 安 ) 投 与 を 継 続 する 炎 症 対 策 として 術 後 リンデロンAとジクロード 点 眼 液 を3ヶ 月 を 目 安 に 併 用 するが リンデロンAは 眼 圧 上 昇 などの 副 作 用 が 懸 念 されるため 他 剤 に 切 り 替 わったり 中 止 になっ たりする ミドリンPは 週 間 を 目 安 に 投 与 される