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目 次 Ⅰ 発 達 障 害 を 中 心 とした 分 類 と 特 徴 1 1. 発 達 障 害 2. その 他 の 障 害 Ⅱ 歯 科 健 診 時 の 注 意 事 項 4 1. 口 を 開 けるのを 嫌 がる 場 合 2. 診 査 中 に 暴 れたり 不 随 意 運 動 の 生 じる 可 能 性 がある 場 合 3. 準 備 しておくべき 器 具 Ⅲ 発 達 障 がい 者 ( 児 )に 対 する 治 療 への 導 入 5 1. 通 常 の 方 法 での 歯 科 治 療 2. 歯 科 への 受 容 トレーニング 3. パニック 時 の 対 応 4. 物 理 的 抑 制 下 での 歯 科 治 療 5. 静 脈 内 鎮 静 法 下 での 歯 科 治 療 Ⅳ 発 達 障 がい 者 ( 児 )などに 対 する 口 腔 保 健 指 導 8 1. 歯 科 医 師 歯 科 衛 生 士 が 行 う 口 腔 ケア 2. 口 腔 ケアのポイント Ⅴ フッ 化 物 の 応 用 について Ⅵ 誤 嚥 性 肺 炎 Ⅶ 義 歯 の 取 り 扱 い 11 11 12 1. 義 歯 の 使 用 2. 義 歯 の 洗 浄 管 理 3. 歯 粘 膜 の 清 掃 ハ Ⅷ みえ 歯 ートネット 13 1. みえ 歯 ートネット 協 力 歯 科 医 院 の 役 割 2. みえ 歯 ートネット 協 力 歯 科 医 院 への 登 録 と 情 報 公 開

Ⅰ 発 達 障 害 を 中 心 とした 分 類 と 特 徴 1. 発 達 障 害 (1) 自 閉 症 脳 機 能 の 障 害 で 脳 の 働 き 方 (メカニズム)の 変 化 によるものと 言 われ 社 会 性 の 障 害 ( 対 人 相 互 作 用 ) コミュニケー ション の 障 害 ( 意 思 伝 達 ) 想 像 力 の 障 害 ( 行 動 興 味 活 動 )を 併 せ 持 つといわれています 半 数 以 上 は 知 的 障 害 を 伴 いますが 知 能 に 遅 れがない 高 機 能 自 閉 症 の 方 々もいます こだわりの 行 動 により 甘 い 物 ばかりを 食 べむし 歯 が 多 くできたり 自 傷 行 為 ( 過 度 の 歯 磨 きなど)により 歯 ぐきを 傷 めることがあります 不 安 により 診 療 ( 入 室 チェアーに 座 る 器 具 の 使 用 など)が 困 難 になる 場 合 や 感 覚 異 常 ( 過 敏 ま たは 鈍 麻 ) を 原 因 とした 行 動 異 常 ( 接 触 困 難 味 がつ いたも の を 苦 手 とするなど 刺 激 に 対 して 過 敏 に 反 応 する 耳 をふさぐなど)が 見 られることが あ り ま す 言 葉 の 理 解 の 障 害 が あ り コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン が 困 難 な 場 合 反 響 言 語 ( お うむ 返 し)や 主 客 転 倒 が 生 じることがあります また 急 にパニックを 起 こし 自 傷 他 害 大 声 をあげるなどの 行 為 が 見 られることがあります (2)アスペルガー 症 候 群 アスペルガー 症 候 群 は 広 い 意 味 での 自 閉 症 に 含 まれる 一 つのタイプで コミュ ニケーションの 障 害 対 人 関 係 社 会 性 の 障 害 パターン 化 した 行 動 興 味 関 心 のかたより があります 自 閉 症 のように 幼 児 期 に 言 葉 の 発 達 の 遅 れがないため 障 害 があることが 分 かりにくいのですが 成 長 とともに 他 人 との 交 流 や 自 転 車 に 乗 る 箸 を 使 うなどの 協 調 運 動 において 不 器 用 さがはっきりすることが 特 徴 です (3)AD/HD( 注 意 欠 陥 / 多 動 性 障 害 ) 気 の 散 りやすさ 不 注 意 多 動 衝 動 性 などを 特 徴 とする 発 達 障 害 の 一 つです 注 意 力 を 維 持 しにくい 時 間 感 覚 がずれている 様 々な 情 報 をまとめるのが 苦 手 な どの 特 徴 があり 日 常 生 活 に 支 障 をきたすことがあります 多 動 のため 落 ち 着 きがなく 動 き 回 ったり 衝 動 性 により 突 如 感 情 を 高 ぶらせるこ とがあります 1

(4)LD( 学 習 障 害 ) 聞 く 話 す 読 む 書 く 計 算 する または 推 論 する 能 力 のうち 特 定 のものの 習 得 と 使 用 に 著 しい 困 難 を 示 す 状 態 を 指 すものです 言 葉 の 発 達 の 遅 れ コミュニケーションの 障 害 対 人 関 係 社 会 性 の 障 害 パターン 化 した 行 動 こだわり 自 閉 症 広 汎 性 発 達 障 害 知 的 な 遅 れを 伴 うことも あります アスペルガー 症 候 群 基 本 的 に 言 葉 の 発 達 の 遅 れはない コミュニケーションの 障 害 対 人 関 係 社 会 性 の 障 害 パターン 化 した 行 動 興 味 関 心 のかたより 不 器 用 ( 言 語 発 達 に 比 べて) 注 意 欠 陥 / 多 動 性 障 害 AD/HD 不 注 意 ( 集 中 できない) 多 動 多 弁 (じっとしていられない) 衝 動 的 に 行 動 する( 考 えるよりも 先 に 動 く) 学 習 障 害 LD 読 む 書 く 計 算 する 等 の 能 力 が 全 体 的 な 知 的 発 達 に 比 べて 極 端 に 苦 手 図 1 : 発 達 障 害 の 特 性 2.その 他 の 障 害 (1) 知 的 障 害 知 能 全 体 の 発 達 の 遅 れと 適 応 行 動 の 遅 れがみられ 口 腔 衛 生 ( 歯 磨 き)の 概 念 が 薄 いため むし 歯 や 歯 周 病 が 重 症 化 しやすい 傾 向 にあります (2)ダウン 症 候 群 口 腔 内 に 特 徴 的 な 所 見 として 巨 大 舌 や 高 口 蓋 があります 不 正 咬 合 や 歯 列 不 正 も 多 く 頭 蓋 顔 面 が 特 有 の 形 態 をしています また 口 をうまく 閉 じられずに 口 唇 の 乾 燥 亀 裂 が 見 られることがあります むし 歯 は 少 ない 傾 向 があるものの 歯 周 病 の 有 病 率 は 高 く 急 速 な 進 行 により 早 期 に 永 久 歯 を 喪 失 する 場 合 がありま す (3) 脳 性 まひ 反 射 的 に 咬 む 行 動 や 不 随 意 運 動 によって 歯 磨 きが 上 手 にできないことがあり む し 歯 や 歯 周 病 が 多 く 見 られます 抗 けいれん 剤 の 服 用 者 では 歯 肉 肥 大 が また 2

歯 列 不 正 や 歯 の 咬 耗 も 多 く 見 られます 転 倒 しやすく 歯 の 破 折 や 脱 臼 を 起 こすこ とがあります (4) 精 神 障 害 長 期 にわたり 様 々な 薬 を 服 用 している 方 が 多 く それらの 副 作 用 で 唾 液 が 減 少 す ることがあります 歯 磨 きなどのセルフケアが 十 分 に 行 えず プラークや 歯 石 など が 付 着 し むし 歯 や 歯 周 病 の 進 行 が 見 られることがあります 3

Ⅱ 歯 科 健 診 時 の 注 意 事 項 1. 口 を 開 けるのを 嫌 がる 場 合 突 然 口 を 硬 く 閉 じたり 診 査 中 でもミラーを 噛 むことがあるので 診 査 前 に 笑 顔 で 頬 や 顔 面 を 触 り 筋 肉 の 緊 張 などを 確 認 しながら 安 心 させるようにします 破 損 の 危 険 があるためガラスのミラーは 極 力 使 わず メタルミラーを 使 用 します 頭 部 を 固 定 して 人 差 し 指 を 最 後 臼 歯 後 方 に 挿 入 し 上 下 顎 間 に 指 先 を 押 し 入 れると 開 口 することが 多 く バイトブロックや 開 口 器 を 噛 ませて 診 査 します その 際 開 口 器 は 前 歯 部 ではなく 臼 歯 部 に 噛 ませるようにします 開 口 器 の 無 理 な 使 用 により 歯 の 破 折 や 脱 臼 を 起 こすことがあるので 注 意 する 必 要 があります また 歯 ブラ シの 柄 で 頬 粘 膜 や 舌 を 排 除 しながら 診 査 する 方 法 もあります かたくなに 口 を 開 け ない 場 合 脱 感 作 法 * が 有 効 な 場 合 があります * 過 敏 の 見 られる 部 位 に 手 のひらや 指 を 動 かさずに 軽 く 圧 迫 するように 触 れ 続 け 緊 迫 感 が 取 れたら 一 度 手 を 放 し また 触 れます これを 繰 り 返 すことで 脱 感 作 していきます 2. 診 査 中 に 暴 れたり 不 随 意 運 動 の 生 じる 可 能 性 がある 場 合 事 前 にわかっている 場 合 には ガラスのミラーや 探 針 などを 使 用 せず 歯 ブラシ の 柄 などで 頬 粘 膜 や 舌 を 排 除 しながら 視 診 によって 診 査 します 3. 準 備 しておくべき 器 具 ペンライト( LED など なるべく 明 るい 物 ) バイトブロック 開 口 器 手 指 保 護 具 ゴムホース( 術 者 の 指 の 保 護 ) 歯 ブラシ 舌 圧 子 よだれがひどい 場 合 や 興 奮 して 嘔 吐 や 失 禁 をする 場 合 があるので タオルや のう 盆 などは 常 に 手 元 に 準 備 しておきます 綿 球 ロールワッテなどは 誤 飲 あるいは 窒 息 の 危 険 があり 注 意 が 必 要 です 開 口 器 バイトブロック バイトブロック 手 指 保 護 具 舌 圧 子 4

Ⅲ 発 達 障 がい 者 ( 児 )に 対 する 治 療 への 導 入 歯 口 の 健 康 を 長 期 にわたって 維 持 していくことを 障 がいのある 方 の 日 常 の 生 活 支 援 として 捉 え 患 者 さんにかかわる 様 々な 職 種 の 方 々との 連 携 が 大 切 と 考 えら れます 患 者 さんの 口 腔 内 の 状 態 歯 科 治 療 の 受 け 入 れ 状 況 さらに 社 会 的 環 境 をよく 見 極 めて 治 療 を 進 めていきます また 患 者 さん 本 人 や 家 族 の 障 害 の 受 容 の 程 度 も 考 慮 し 言 葉 のかけ 方 共 感 などを 大 切 にするなど 支 援 者 としての 視 点 も 大 切 です 急 性 症 状 がなく 通 院 することが 比 較 的 容 易 な 状 況 であれば 無 理 強 いはしな いように 歯 科 に 慣 れるためのトレーニングから 始 めます それぞれの 患 者 さんで 到 達 するところは 異 なるにせよ 患 者 さんにとって 必 要 な 歯 科 治 療 を 受 容 できるのか どうかを 見 極 めていきます その 際 現 在 の 治 療 への 協 力 状 態 のほか 治 療 内 容 医 療 機 関 の 設 備 および 人 的 要 因 患 者 さんや 家 族 の 希 望 も 考 慮 に 入 れ 十 分 な 説 明 と 同 意 のもと 治 療 方 針 ( 行 動 調 整 )を 決 定 します 治 療 への 適 応 性 は 精 神 発 達 程 度 と 関 連 があるため 発 達 診 断 検 査 により 将 来 的 な 適 応 性 をある 程 度 予 測 する ことが 可 能 です 急 性 症 状 があり 実 際 に 痛 みがある 患 者 さんや トレーニングの 結 果 必 要 な 歯 科 治 療 の 受 け 入 れが 難 しい 患 者 さんの 場 合 は やむを 得 ず 危 険 を 避 けるため 抑 制 下 の 治 療 や 静 脈 内 鎮 静 法 あるいは 全 身 麻 酔 下 での 治 療 を 行 います 1. 通 常 の 方 法 での 歯 科 治 療 まず 患 者 さんの 個 性 に 合 わせた 治 療 スタイルを 考 慮 し 集 中 しやすい 雰 囲 気 や 環 境 づくり 十 分 な 説 明 治 療 を 受 けやすい 体 位 治 療 時 間 などに 留 意 します た とえば 強 いこだわりのある 自 閉 症 の 方 に 対 しては いつも 同 じ 治 療 の 場 所 で 同 じ 歯 科 医 が 担 当 するようにします また 様 々な 疾 患 によって 歯 科 治 療 が 体 に 負 担 になるような 方 は モニターで 血 圧 呼 吸 などを 確 認 しながら 治 療 を 進 めます 2. 歯 科 への 受 容 トレーニング 歯 科 治 療 への 受 け 入 れが 難 しい 場 合 で 急 いで 治 療 しなくても 良 いと 判 断 された ときにまず 選 択 されます 患 者 さんの 受 け 入 れ 状 況 と 必 要 な 歯 科 治 療 の 両 者 により 5

スタートとゴールが 決 まりますが 必 ずそれぞれが 異 なるため 個 別 にプランを 立 案 します 絵 カードを 用 いたり( 図 2 3) 様 々な 行 動 変 容 法 により 受 け 入 れを 促 していきます 図 3: 絵 カードを 用 いて 歯 科 に 慣 れる 練 習 をしています 図 2: 絵 カードは 自 閉 症 の 方 のトレーニング として 有 効 な 場 合 があります ( 絵 カードを 使 った 障 害 者 歯 科 診 療 視 覚 支 援 の 考 え 方 と 実 践 医 歯 薬 出 版 より) 行 動 変 容 法 (1)リラクセーション 法 通 常 仰 向 けに 目 を 閉 じて 寝 かせ ゆっくりした 深 呼 吸 を 促 し 筋 肉 をリラックスさ せます 術 者 による 歯 磨 きから 治 療 を 開 始 することや 診 療 中 に 好 きな 音 楽 を 流 し たり 好 きな DVD を 見 せることも 効 果 が 期 待 できます (2) 系 統 的 脱 感 作 刺 激 の 弱 いものから 強 いものへ 段 階 的 に 曝 露 させ 恐 怖 感 を 取 り 除 くものです (チェアに 座 る 歯 磨 き PMTC バキューム シリンジ タービン) 拒 否 反 応 が みられた 場 合 は それ 以 上 無 理 強 いせず 中 止 することが 大 切 です (3)エクスポージャー 法 Tell-Show-Do 法 やカウント 法 のように 実 際 に 刺 激 に 曝 露 させながら 脱 感 作 し ていくものです Tell-Show-Do 法 これから 何 をするのかを 話 して(Tell) 聞 かせ 次 いでそれに 用 いる 器 材 な ど を 見 せ て( S h o w ) 最 後 に 説 明 し た と お り の こ と を 実 際 に 試 み る( D o ) 6

ものです 脱 感 作 法 の 一 種 で 未 知 の 環 境 ( 避 けることのできない 刺 激 )に 対 する 恐 怖 心 を 取 り 除 いたり 過 剰 反 応 を 減 らしていくために 効 果 的 です 少 しずつやさしいことから 理 解 体 験 させながら 歯 科 治 療 への 適 応 行 動 を 学 習 させていくようにします カウント 法 10 数 える 間 がんばろう といいながら 治 療 器 具 を 使 用 していきます 数 える ことに 注 意 が 集 中 し 器 具 への 関 心 が 弱 まり 受 け 入 れやすくなります 治 療 が 終 わる 見 通 しがたつことも 受 け 入 れに 有 効 になります 3.パニック 時 の 対 応 パニックは 言 葉 でうまく 自 分 の 気 持 ちを 伝 えられず 行 動 で 表 現 しているもの と 考 えることができます 原 因 は 我 慢 させられる 嫌 なことをされる 音 や 光 が 我 慢 できない 指 示 が 理 解 できないなど 何 らかの 理 由 があります パニックの 原 因 を 探 り 防 止 に 努 め できるだけ 早 い 段 階 で 対 応 していきます パニックを 起 こし た 場 合 は 静 かな 環 境 で 落 ち 着 くまで 時 間 を 置 きます 理 解 力 がある 場 合 は 他 の 行 動 を 促 すことも 有 効 で 褒 めるなど 言 葉 がけも 気 持 ちの 安 定 に 役 立 ちます 4. 物 理 的 抑 制 下 での 歯 科 治 療 急 いで 治 療 しなければいけない 歯 があるものの 治 療 の 受 け 入 れが 得 られない 場 合 や 著 しい 不 随 意 運 動 などがある 場 合 で 治 療 時 に 危 険 が 伴 い 抑 制 するこ とでその 危 険 が 避 けられる 場 合 に 選 択 します この 方 法 は 人 手 やネット 等 の 抑 制 具 で 患 者 さんを 抑 えて 歯 科 治 療 を 行 います しかし 抑 制 といっても 完 全 には 難 しく さらに 非 常 に 限 定 された 状 況 で 行 うことになるため 十 分 な 歯 科 治 療 を 提 供 できる とは 限 りません 状 況 が 許 す 限 り トレーニングや 静 脈 内 鎮 静 法 全 身 麻 酔 下 での 対 応 を 考 えます 5. 静 脈 内 鎮 静 法 下 での 歯 科 治 療 歯 科 治 療 に 協 力 が 得 られず 危 険 や 困 難 を 伴 う 場 合 あるいは 疾 患 や 障 害 によっ て 治 療 を 受 けること 自 体 が 危 険 あるいは 困 難 な 場 合 に 選 択 します 静 脈 内 鎮 静 法 は 薬 剤 を 血 管 内 に 注 入 することで 歯 科 治 療 ができる 状 態 になるまで 鎮 静 を 図 るもの です 麻 酔 科 医 と 連 携 し 患 者 さんの 苦 痛 やストレスにならないよう 安 全 で 効 率 的 な 歯 科 治 療 を 行 います 7

Ⅳ 発 達 障 がい 者 ( 児 )などに 対 する 口 腔 保 健 指 導 1. 歯 科 医 師 歯 科 衛 生 士 が 行 う 口 腔 ケア 歯 と 口 の 専 門 家 である 歯 科 医 師 歯 科 衛 生 士 が 行 う 口 腔 ケアは 以 下 のようなも のです 1 本 人 介 助 者 に 対 する 口 腔 衛 生 指 導 2 口 腔 清 掃 3 義 歯 の 清 掃 取 り 扱 いについての 指 導 4 歯 石 除 去 薬 物 塗 布 など 口 腔 疾 患 の 予 防 処 置 5 口 腔 疾 患 の 発 見 および 治 療 に 対 しての 適 切 なアドバイス( 歯 科 医 師 ) 6 義 歯 の 調 整 その 他 の 処 置 治 療 ( 歯 科 医 師 ) 7 場 合 によっては 摂 食 嚥 下 訓 練 準 備 するもの 歯 ブラシと 補 助 清 掃 用 具 (フロス 歯 間 ブラシ ワンタフトブラシなど) スポンジブラシ( 舌 口 蓋 など 粘 膜 部 分 の 清 掃 ) 義 歯 用 ブラシ 舌 ブラシ 保 湿 剤 舌 ブラシ 吸 引 器 付 き 歯 ブラシ 保 湿 剤 絵 カード フロス 球 状 ブラシ 歯 間 ブラシ 360 度 歯 ブラシ 義 歯 用 ブラシ スポンジブラシ ワンタフトブラシ 吸 引 器 付 き 歯 ブラシ 8

2. 口 腔 ケアのポイント (1) 自 閉 症 間 食 や 甘 味 食 品 の 過 剰 摂 取 を 防 ぐようにします 歯 や 口 腔 内 を 触 れられることに 慣 れるため 定 期 的 な 健 診 を 勧 めます 絵 カードなどの 使 用 が 効 果 的 です 家 庭 では テレビなどの 刺 激 のない 一 定 の 場 所 で 決 まった 時 間 に 歯 磨 きをする よう 習 慣 づけます (2)AD/HD( 注 意 欠 陥 / 多 動 性 障 害 ) 家 庭 での 歯 磨 きに 集 中 できなかったり 忘 れたりすることがあるので 生 活 の 流 れを 決 めて 手 順 通 り 行 動 するよう 工 夫 します 歯 磨 きをする 場 所 に 時 計 やタイマーを 置 くなど 集 中 しやすくします 歯 磨 きが 習 慣 化 するまで 周 りの 方 が 声 かけや 手 伝 いをするように 勧 めます できないからと 叱 ると 自 己 肯 定 感 を 喪 失 させるので できたことを 褒 めるように 指 導 します どうしても 歯 磨 きを 忘 れる 場 合 歯 磨 きチェック 表 を 作 るなどの 工 夫 をします (3)LD( 学 習 障 害 ) 他 人 からの 聞 き 取 りや 短 期 記 憶 にも 弱 い 場 合 があるので 保 健 指 導 は 意 識 を 集 中 させつつ 気 長 に 覚 えさせるようにします 多 くの 情 報 から 重 要 なものを 注 目 する 力 が 弱 く また 空 間 の 認 識 がうまくいかな いことがあるので 歯 ブラシを 本 人 に 持 たせて 口 腔 清 掃 部 位 を 指 示 しながら 実 践 するようにします 対 人 関 係 が 苦 手 な 場 合 は 挨 拶 や 会 話 を 積 極 的 に 行 い できるだけ 担 当 を 決 め て 指 導 するのが 望 ましいです 指 を 使 う 細 かい 動 きが 苦 手 な 場 合 は ブラッシング 指 導 は 時 間 をかけてゆっくり 気 長 に 対 応 します 叱 ったりすると 情 緒 不 安 定 になり 二 次 的 な 症 状 が 現 れることがあります 9

(4) 自 分 で 歯 磨 きができない 場 合 誤 嚥 を 防 ぎ 疲 労 を 軽 減 するために 以 下 のような 安 全 な 姿 勢 で 行 うことが 重 要 です 1 座 位 姿 勢 がとれない 場 合 ファーラー 位 ( 背 中 の 角 度 が 45 ~ 60 度 誤 嚥 しにくいがやや 疲 労 しやすい)( 図 4) セミファーラー 位 ( 背 中 の 角 度 が 約 30 度 ほぼ 寝 たきりの 患 者 では 口 腔 ケア に 適 した 姿 勢 )( 図 5) 2 座 位 : 誤 嚥 しにくいが 疲 れやすいので クッションや 固 定 具 を 用 いで 安 定 させます 3 歩 行 可 能 な 状 態 :できるだけ 鏡 の 前 に 移 動 し 後 方 から 補 助 します * 歯 磨 きをする 際 の 注 意 点 義 歯 を 装 着 している 場 合 は 必 ず 外 してから 行 います 歯 間 ブラシは 効 果 的 ですが 無 理 に 挿 入 すると 破 折 し 誤 飲 の 可 能 性 があるので 注 意 が 必 要 です 歯 ブラシの 使 用 が 不 可 能 な 場 合 は スポンジブラシやガーゼで 代 用 します (ただし 清 掃 能 力 は 弱 いので 導 入 や 多 くの 食 物 残 渣 などの 除 去 に 使 用 します) (5) 嚥 下 障 害 がある 場 合 嚥 下 障 害 のある 方 は 誤 嚥 による 肺 炎 の 危 険 性 が 高 いため 口 腔 ケアが 特 に 重 要 です 経 口 摂 取 をしていない 方 でも 口 の 中 は 1 日 約 1 リットルの 唾 液 が 分 泌 さ れ 常 に 嚥 下 が 行 われていることから 口 腔 ケアが 必 要 です また 口 腔 内 を 刺 激 す ることにより 間 接 的 な 嚥 下 の 訓 練 にもなります ケアを 行 うときの 体 位 は ファー ラー 位 またはセミファーラー 位 で 顔 面 の 健 側 を 下 にして 横 に 向 け 顎 を 少 し 引 い た 姿 勢 をとります 手 順 は ケースにより 異 なりますが 一 般 的 には 歯 ブラシやス ポンジブラシを 用 いて 清 掃 します 図 4:ファーラー 位 図 5:セミファーラー 位 10

Ⅴ フッ 化 物 の 応 用 について 発 達 障 がい 者 ( 児 )は 歯 磨 きが 上 手 にできないこともあり 口 腔 疾 患 のリスクが 高 まります また 治 療 の 受 け 入 れが 難 しい 場 合 があることを 考 慮 すると 予 防 が 特 に 大 切 です う 蝕 予 防 にはフッ 化 物 の 応 用 が 効 果 的 です フッ 化 物 応 用 法 の 種 類 フッ 化 物 配 合 歯 磨 剤 子 どもから 大 人 まで 手 軽 に 活 用 できます 大 人 の 根 面 う 蝕 や 二 次 う 蝕 の 予 防 効 果 もあります フッ 化 物 配 合 スプレー 自 分 でうがいのできない 方 にも 使 用 できます フッ 化 物 洗 口 永 久 歯 が 生 え 始 める 4 5 歳 ごろから 生 えそろう 中 学 生 くらいまで 行 います フッ 化 物 歯 面 塗 布 乳 歯 萌 出 直 後 から 定 期 的 に 年 3 4 回 程 度 塗 布 します Ⅵ 誤 嚥 性 肺 炎 誤 嚥 性 肺 炎 は 基 礎 疾 患 による 摂 食 嚥 下 障 害 があり 全 身 状 態 の 低 下 した 方 に 発 症 しやすくなります いったん 発 症 すると 繰 り 返 すことが 多 く 生 命 に 関 わることも 少 なくありませんが 口 腔 ケアやリハビリテーションによる 予 防 の 有 効 性 が 明 らか になってきています 誤 嚥 性 肺 炎 のおもな 発 症 リスクとしては 1 口 腔 内 細 菌 の 増 加 2 口 腔 機 能 および 嚥 下 反 射 の 低 下 3 背 景 として 疾 病 加 齢 免 疫 力 の 低 下 などが 挙 げられ これらの 因 子 が 重 なることで 発 症 率 が 高 くなります 上 記 のリスク 因 子 は 逆 にいえば 予 防 のポイントで 口 腔 内 の 細 菌 を 除 去 し 口 腔 機 能 を 維 持 回 復 することが 重 要 です 細 菌 除 去 に 効 果 のある 清 掃 法 や 用 具 の 知 識 をもち 口 腔 機 能 の 回 復 によって 経 口 摂 取 を 可 能 にするためのケア 法 を 知 るこ と が 必 要 と な り ま す ま た 口 腔 機 能 の 回 復 は 誤 嚥 の リ ス ク を 軽 減 す る だ け で な く 口 から 食 べることによる 栄 養 摂 取 や 免 疫 の 観 点 からも 大 変 意 義 のあることです 11

Ⅶ 義 歯 の 取 り 扱 い 障 害 の 程 度 は 様 々であり 義 歯 を 使 用 されている 方 もいます 義 歯 の 取 り 扱 い 方 法 については 本 人 だけでなく 家 族 や 施 設 職 員 等 にもよく 説 明 することが 重 要 です 1. 義 歯 の 使 用 義 歯 の 下 の 粘 膜 に 安 静 と 回 復 を 与 えるため 就 寝 時 は 義 歯 を 外 すよう 指 導 します 障 がいのある 方 の 中 には 痛 みを 訴 えることが 困 難 な 場 合 があることから 定 期 的 な 観 察 が 必 要 です 2. 義 歯 の 洗 浄 管 理 洗 浄 は 義 歯 用 ブラシを 使 用 し 義 歯 を 外 して 表 面 のぬるぬる 感 がなくなるまで 行 います その 際 落 として 破 損 したり 排 水 口 に 流 さないよう 水 を 張 った 洗 面 器 な どを 下 に 置 くようにします 歯 磨 剤 は 義 歯 が 磨 耗 することがあるので 使 用 しません 義 歯 洗 浄 剤 も 効 果 的 ですが 汚 れがついたまま 洗 浄 液 に 浸 けても 効 果 は 弱 いの で 必 ずブラシで 磨 いてから 使 用 します 義 歯 は 乾 燥 すると 変 形 することがあるので 水 に 浸 けて 保 管 します 保 管 場 所 を 決 め 紛 失 破 損 に 注 意 します 3. 歯 粘 膜 の 清 掃 口 腔 内 の 粘 膜 は やわらかい 歯 ブラシ スポンジなどで 清 掃 します 残 っている 歯 は 通 常 どおり 歯 磨 きをしますが クラスプ 等 のかかる 歯 は 特 に 念 入 りに 磨 く 必 要 があります 12

ハ Ⅷ みえ 歯 ートネット みえ 歯 ートネットでは 地 域 で 障 がい 者 ( 児 ) 歯 科 治 療 に 取 り 組 む 歯 科 医 院 (みえ 歯 ー トネット 協 力 歯 科 医 院 )と 障 がい 者 歯 科 センターが 連 携 することにより 障 がいの ある 方 々がより 良 い 環 境 で 歯 科 治 療 を 受 け ることができるようサポートしています また 三 重 県 歯 科 医 師 会 は 毎 年 協 力 みえ 歯 ートネット 診 療 ネットワーク 病 院 歯 科 全 身 麻 酔 が 必 要 な 方 障 がい 者 歯 科 センター 対 応 が 難 しい 方 協 力 歯 科 医 院 歯 科 医 院 向 けに 障 がい 者 歯 科 に 関 する 研 修 会 を 開 催 しています 治 療 後 の 管 理 治 療 後 の 管 理 定 期 健 診 1.みえ 歯 ートネット 協 力 歯 科 医 院 の 役 割 (1) 相 談 窓 口 障 がいのある 方 の 歯 科 治 療 などに 関 する 相 談 に 応 じていただきます (2) 定 期 的 な 口 腔 ケア 障 がいのある 方 の 定 期 健 診 や 予 防 処 置 歯 科 保 健 指 導 などを 行 っていただきます (3) 歯 科 治 療 障 がいのある 方 が 地 域 で 利 便 性 よく 歯 科 治 療 を 受 療 できるよう 可 能 な 範 囲 の 治 療 を 行 っていただきます (4) 地 域 の 障 がい 者 ( 児 ) 福 祉 施 設 での 歯 科 保 健 指 導 地 域 の 障 がい 者 ( 児 ) 福 祉 施 設 などから 歯 科 保 健 指 導 等 の 依 頼 があった 時 に 担 当 をお 願 いすることがあります 2.みえ 歯 ートネット 協 力 歯 科 医 院 への 登 録 と 情 報 公 開 登 録 登 録 内 容 変 更 登 録 削 除 の 手 続 きは 随 時 行 っております 詳 しくは 三 重 県 歯 科 医 師 会 までお 問 い 合 わせください 協 力 歯 科 医 院 については 障 がい 者 ( 児 )の 歯 科 診 療 が 可 能 な 歯 科 医 院 として 三 重 県 歯 科 医 師 会 のホームページで 公 開 しています 三 重 県 歯 科 医 師 会 HP http://www.dental-mie.or.jp/heartnet/index.html 13

みえ 歯 ートネット 協 力 歯 科 医 院 への 受 診 について 1 協 力 歯 科 医 院 を 参 考 に 受 診 を 希 望 する 歯 科 医 院 を 決 めます 2 事 前 に 電 話 などで 直 接 歯 科 医 院 に 問 い 合 わせます < 障 害 の 程 度 や 受 診 の 理 由 などを 伝 えるとよいでしょう > 3 健 康 保 険 証 福 祉 医 療 費 受 給 資 格 証 身 体 障 害 者 手 帳 療 育 手 帳 薬 剤 情 報 提 供 書 (お 薬 手 帳 )を 持 って 受 診 します 留 意 点 協 力 歯 科 医 院 では 受 診 時 に 障 害 の 程 度 やお 口 の 中 の 状 況 をみて 自 分 の 歯 科 医 院 で 治 療 が 行 えるかどうかを 判 断 します 自 分 の 歯 科 医 院 で 治 療 が 行 えない 場 合 は 別 の 歯 科 医 院 や 障 がい 者 歯 科 センターを 紹 介 することがあります 障 がい 者 歯 科 センターにおいて 治 療 が 行 えない 場 合 は 病 院 歯 科 口 腔 外 科 に 紹 介 することがあります 参 考 文 献 すぐに 役 立 つ 学 校 歯 科 医 の 活 動 マニュアル 特 別 支 援 学 校 編 ( 社 ) 東 京 都 学 校 歯 科 医 会 障 害 のある 児 童 生 徒 に 対 する 学 校 歯 科 保 健 ( 社 ) 日 本 学 校 歯 科 医 会 障 がい( 児 ) 者 の 方 の 口 腔 ケアハンドブック 長 崎 県 ( 社 ) 長 崎 県 歯 科 医 師 会 障 害 のある 方 を 地 域 歯 科 医 院 でみるための 障 害 者 歯 科 ガイドブック 静 岡 市 静 岡 市 障 害 者 歯 科 保 健 センター 発 達 障 害 の 人 たちをよろしくお 願 いします 平 成 20 年 度 厚 生 労 働 省 自 閉 症 知 的 障 害 発 達 障 害 児 者 の 医 療 機 関 受 診 支 援 に 関 する 研 究 発 達 障 がい 児 ( 者 ) 高 次 脳 機 能 障 がい 者 施 設 を 対 象 とする 口 腔 保 健 活 動 手 引 書 大 阪 府 大 阪 口 腔 衛 生 協 会 スペシャルニーズデンティストリー 障 害 者 歯 科 医 歯 薬 出 版 絵 カードを 使 った 障 害 者 歯 科 診 療 視 覚 支 援 の 考 え 方 と 実 践 医 歯 薬 出 版 平 成 25 年 3 月 編 集 発 行 : 三 重 県 公 益 社 団 法 人 三 重 県 歯 科 医 師 会 14