❶ 社 会 保 険 労 務 士 とは 社 会 保 険 労 務 士 ( 以 下 社 労 士 )とは 厚 生 労 働 省 が 所 管 する 国 家 資 格 であり 企 業 の 人 事 労 務 管 理 の 支 援 等 に 携 わる 専 門 職 です 根 拠 法 令 は 1968 年 ( 昭 和 43 年 )に 制 定 された 社 会 保 険 労 務 士 法 ( 以 下 社 労 士 法 )で その 冒 頭 には 以 下 のような 法 の 目 的 が 明 示 されています 社 会 保 険 労 務 士 法 1 条 この 法 律 は 社 会 保 険 労 務 士 の 制 度 を 定 めて その 業 務 の 適 正 を 図 り もって 労 働 およ び 社 会 保 険 に 関 する 法 令 の 円 滑 な 実 施 に 寄 与 するとともに 事 業 の 健 全 な 発 達 と 労 働 者 等 の 福 祉 の 向 上 に 資 することを 目 的 とする 社 労 士 として 名 乗 り その 業 務 を 行 っていくためには 前 提 として 全 国 社 会 保 険 労 務 士 会 連 合 会 ( 以 下 連 合 会 )の 社 会 保 険 労 務 士 名 簿 に 所 定 の 事 項 ( 氏 名 生 年 月 日 住 所 など)を 登 録 する 必 要 があります( 社 労 士 法 14 条 の2 第 1 項 ) この 社 労 士 登 録 を 行 うためには その 時 点 で 社 労 士 の 有 資 格 者 になっていなければなりません 有 資 格 者 となるための 原 則 的 要 件 は 1 社 会 保 険 労 務 士 試 験 ( 年 に1 回 以 上 行 われる 国 家 試 験 / 以 下 社 労 士 試 験 )に 合 格 し かつ 2 通 算 2 年 以 上 の 労 働 社 会 保 険 諸 法 令 に 関 する 実 務 経 験 ( 特 別 な 判 断 を 要 しない 単 純 な 事 務 の 経 験 は 除 きます)を 経 ていることです( 社 労 士 法 3 条 1 項 ) 単 に 国 家 試 験 に 合 格 しているというだけでは 社 労 士 の 有 資 格 者 とは 認 められません なお 2の 実 務 経 験 の 要 件 に 関 しては 厚 生 労 働 大 臣 がこれと 同 等 以 上 の 経 験 を 有 すると 認 めるもの については 不 要 とされています 具 体 的 には 連 合 会 が 毎 年 1 回 実 施 している 労 働 社 会 保 険 諸 法 令 関 係 事 務 指 定 講 習 ( 以 下 事 務 指 定 講 習 )を 修 了 した 者 が これに 該 当 し ます この 事 務 指 定 講 習 は 4ヶ 月 間 の 通 信 教 育 ( 労 働 社 会 保 険 関 係 の 各 種 書 式 を 作 成 の 上 提 出 ) と4 日 間 の 集 合 研 修 ( 正 式 には 面 接 指 導 と 称 していますが その 実 質 は 講 義 の 聴 講 です) によって 構 成 されています 資 料 : 社 労 士 への 道 1 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編
社 労 士 試 験 合 格 者 の 多 くは 実 務 経 験 に 欠 けています そのため 試 験 合 格 後 事 務 指 定 講 習 を 経 て 登 録 している 者 が 多 数 を 占 めています 連 合 会 の 平 成 23 年 度 事 業 報 告 によれば 同 年 度 の 事 務 指 定 講 習 の 申 込 者 数 は2,181 名 となっています この 年 の 国 家 試 験 の 合 格 者 数 が3,855 人 ですから 合 格 者 の 半 数 以 上 が 事 務 指 定 講 習 を 受 けていることになります 労 働 社 会 保 険 諸 法 令 社 労 士 が 業 務 上 取 り 扱 うことが 想 定 されている 法 令 の 総 称 を 意 味 します 具 体 的 には 社 労 士 法 別 表 第 一 に 労 働 基 準 法 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 健 康 保 険 法 など 全 部 で54の 法 令 が 列 挙 されています 労 働 法 と 社 会 保 険 に 関 する 諸 法 令 がほぼ 網 羅 されています が 労 働 組 合 法 労 働 関 係 調 整 法 など いわゆる 集 団 的 労 働 関 係 法 令 は この 中 に 含 まれていません これは かつて 社 労 士 法 で 社 労 士 による 労 働 争 議 への 介 入 が 禁 止 されて いたことに 対 応 していると 思 われますが この 禁 止 条 項 は2005( 平 成 17) 年 の 法 改 正 で 既 に 撤 廃 されています 近 年 個 人 加 入 の 合 同 労 働 組 合 ( ユニオン と 称 していること が 多 い)が 台 頭 してきており 社 労 士 が 業 務 の 中 で 労 働 組 合 とかかわる 機 会 は 増 えていくも のと 考 えられます そのため 今 後 は 集 団 的 労 働 関 係 法 令 についても 労 働 社 会 保 険 諸 法 令 に 含 めるべし という 声 が 強 くなってくるのではないでしょうか 社 労 士 の 総 数 は 連 合 会 の 会 報 誌 である 月 刊 社 労 士 で 毎 月 最 新 の 数 値 が 公 表 されて います 2012 年 8 月 号 によると 社 労 士 の 総 数 は 2012 年 ( 平 成 24 年 )6 月 末 日 現 在 37,047 人 と なっています 長 い 間 漸 増 傾 向 が 継 続 しており 前 年 同 時 期 (35,969 人 )に 比 べると 1,078 人 増 加 しています これは 新 規 登 録 者 と 登 録 抹 消 者 の 差 です 参 考 までに2011 年 ( 平 成 23 年 ) 度 の 新 規 登 録 者 数 は2,468 人 登 録 抹 消 者 数 は1,419 人 となっています 廃 業 ( 開 業 社 労 士 の 場 合 ) や 退 職 ( 勤 務 社 労 士 の 場 合 )によって 登 録 を 抹 消 する 人 も 結 構 多 いというのがわかります 月 刊 社 労 士 連 合 会 が 毎 月 発 行 している 会 報 誌 です 2010( 平 成 22) 年 の12 月 号 までは 月 刊 社 会 保 険 労 務 士 というタイトルで 発 行 されていましたが 2011( 平 成 23) 年 1 月 号 から 誌 面 の 大 幅 なリニューアル 判 型 の 変 更 (B5 A4)を 行 い 誌 名 も 月 刊 社 労 士 に 改 称 されました ここには 連 合 会 からの 伝 達 事 項 のほか 法 改 正 の 動 向 など 実 務 に 役 立 つ 情 報 が 盛 り 込 まれています 社 労 士 登 録 者 には 毎 月 送 付 されていますが それ 以 外 の 方 でも 購 読 料 ( 年 間 7,200 円 ) を 払 えば 入 手 することができます 資 料 : 増 え 続 ける 社 労 士 32,693 人 100 33,899 人 103.7 34,988 人 107.0 36,019 人 110.2 37,047 人 113.3 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編 2
社 会 保 険 労 務 士 ❷ 社 労 士 の 業 務 形 態 社 労 士 が 業 務 を 遂 行 する 形 態 としては 従 来 から 開 業 社 労 士 と 勤 務 社 労 士 という2つの 形 態 が 認 められてきました また 最 近 では 社 会 保 険 労 務 士 法 人 制 度 の 創 設 に 伴 い 法 人 社 員 という 形 態 を 取 ることも 可 能 です ⑴ 開 業 社 労 士 と 法 人 社 員 開 業 社 労 士 は 個 人 事 業 主 として 事 務 所 を 自 ら 開 設 し 顧 客 から 依 頼 を 受 け 報 酬 を 得 て 社 労 士 業 務 を 遂 行 することができます 事 務 所 に 関 しては 自 宅 を 事 務 所 として 使 用 することも 可 能 であり 新 規 開 業 者 の 多 くは そのようなかたちからスタートしています 2003 年 ( 平 成 15 年 ) 度 から 社 労 士 事 務 所 の 法 人 化 が 認 められました つまり 2 人 以 上 の 社 労 士 が 共 同 で 社 会 保 険 労 務 士 法 人 ( 以 下 社 労 士 法 人 )を 設 立 することにより 法 人 社 員 ( 法 人 の 共 同 経 営 者 という 意 味 であり 従 業 員 とは 異 なります)というかたちで 業 務 を 遂 行 すること が 可 能 になったということです この 場 合 は 法 人 そのものが 顧 客 から 社 労 士 業 務 の 委 託 を 受 ける というかたちになります 2012 年 ( 平 成 24 年 )6 月 末 日 現 在 個 人 事 業 主 として 開 業 している 社 労 士 は22,156 人 法 人 社 員 は1,001 人 となっています( 月 刊 社 労 士 2012 年 8 月 号 ) 開 業 社 労 士 や 法 人 社 員 が 業 務 を 遂 行 する 事 務 所 に 関 しては 社 労 士 法 で 以 下 のような 規 制 が 行 われています 社 労 士 事 務 所 に 関 する 法 規 制 開 業 社 労 士 の 事 務 所 ( 社 労 士 法 18 条 ) 複 数 の 社 労 士 事 務 所 を 設 けることは 原 則 禁 止 ( 例 外 : 特 に 必 要 がある 場 合 において 厚 生 労 働 大 臣 の 許 可 を 得 たとき) 社 労 士 法 人 の 事 務 所 ( 社 労 士 法 25 条 の16) 複 数 事 務 所 ( 主 たる 事 務 所 を1ヵ 所 従 たる 事 務 所 を1ヵ 所 以 上 )の 設 置 が 認 められるが いずれの 事 務 所 にも 常 駐 の 社 員 ( 法 人 の 共 同 経 営 者 )を 置 くことが 必 要 開 業 社 労 士 や 社 労 士 法 人 が 顧 客 を 獲 得 して 社 労 士 業 務 を 行 う 場 合 の 受 注 の 方 法 としては 事 業 主 ( 会 社 など)との 間 で 顧 問 契 約 ( 継 続 的 な 業 務 委 託 契 約 )を 結 んで 一 定 範 囲 の 業 務 を 継 続 的 に 請 け 負 う 場 合 と 単 独 で 個 々の 業 務 ( 例 えば 就 業 規 則 の 作 成 )を 請 け 負 う 場 合 の2つ 形 態 があります 後 者 は 俗 に スポットの 業 務 などと 呼 ばれています 顧 問 契 約 は 安 定 した 収 入 につながりますが 近 年 では 競 争 が 激 化 していることもあり 契 約 の 打 ち 切 りや 顧 問 料 の 引 き 下 げ 要 求 の 不 安 にさられることも 少 なくありません なお 顧 問 先 から 依 頼 された 業 務 であっても 顧 問 契 約 の 内 容 に 含 まれない 業 務 に 関 しては スポット 的 に 行 うことになります 3 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編
資 料 : 顧 問 契 約 のイメージ 社 会 保 険 の 手 続 きや 労 務 管 理 の 指 導 相 談 など 幅 広 く 対 応 ( ) 手 続 き 中 心 で 労 務 管 理 に 関 しては 日 常 的 な 指 導 相 談 に 限 定 労 務 管 理 の 指 導 相 談 に 特 化 開 業 社 労 士 や 社 労 士 法 人 が 顧 客 から 受 け 取 る 報 酬 に 関 する 取 扱 いについて かつては 報 酬 基 準 ( 一 種 のガイドライン)が 各 社 労 士 会 の 会 則 で 定 められていましたが これは 2002 年 ( 平 成 14 年 )11 月 27 日 をもって 撤 廃 されています この 報 酬 基 準 の 撤 廃 は 当 時 の 政 府 が 強 力 に 推 進 していた 規 制 緩 和 の 流 れに 対 応 した 措 置 です 報 酬 の 現 状 社 労 士 会 の 報 酬 基 準 が 存 在 したときも 実 際 には その 基 準 よりはやや 低 めの 報 酬 で 業 務 を 行 う 社 労 士 が 相 当 多 かったといわれています 近 年 では ホームページなどで 事 務 所 の 報 酬 基 準 を 公 開 している 例 が 多 いのですが 従 前 の 社 労 士 会 の 報 酬 基 準 をふまえた 基 準 ( 同 額 かやや 低 め)を 示 している 事 務 所 が 少 なくありません 他 方 実 際 の 報 酬 額 に 関 しては か なりバラつきがあり 従 来 の 常 識 から 考 えると 驚 くような 低 価 格 ( 例 えば 就 業 規 則 の 新 規 作 成 を50,000 円 )で 業 務 を 受 注 している 事 務 所 もあるようです なお 消 費 者 保 護 の 観 点 から 近 年 社 労 士 法 施 行 規 則 が 改 正 され 開 業 社 労 士 社 労 士 法 人 には 業 務 の 依 頼 を 受 任 しようとする 場 合 あらかじめ 依 頼 者 に 対 し 報 酬 額 の 算 定 方 法 等 を 明 示 すべきことが 義 務 付 けられました( 社 労 士 則 12 条 の10) ⑵ 勤 務 社 労 士 勤 務 社 労 士 は 会 社 や 各 種 団 体 などに 従 業 員 として 勤 務 し 自 社 に 関 する 社 労 士 業 務 を 行 い ます 一 般 企 業 における 勤 務 社 労 士 の 活 用 方 法 はまちまちです かつては 人 事 部 門 で 事 務 的 な 業 務 ( 社 会 保 険 手 続 き 給 与 計 算 など)のリーダーを 務 めることが 多 かったようです しかし 最 近 では 人 事 企 画 的 な 業 務 ( 人 事 制 度 の 改 革 など)や 労 務 関 係 のトラブル 対 応 に 腕 をふるう 勤 務 社 労 士 も 増 えてきています 開 業 社 労 士 や 社 労 士 法 人 の 事 務 所 に 従 業 員 として 勤 務 し 社 労 士 業 務 に 従 事 する 場 合 (この 場 合 は 事 務 所 が 顧 客 から 受 託 した 業 務 を 担 当 することが 可 能 です)も 勤 務 社 労 士 としての 業 務 形 態 に 含 まれます ただ 社 労 士 事 務 所 の 現 状 を 見 てみますと 社 労 士 の 有 資 格 者 であっ ても 社 労 士 登 録 をさせることなく かたちの 上 では 補 助 者 的 な 立 場 で 業 務 に 従 事 させている こちらの 方 が 多 いのではないでしょうか 勤 務 社 労 士 は 開 業 社 労 士 や 法 人 社 員 と 比 べると 社 会 保 険 労 務 士 会 ( 以 下 社 労 士 会 ) に 納 入 する 年 会 費 の 負 担 が 相 当 軽 くなっていることが 少 なくありません ただ 地 域 によっては 開 業 社 労 士 等 と 同 額 のこともあるようです 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編 4
社 会 保 険 労 務 士 資 料 : 社 労 士 が 負 担 する 年 会 費 の 額 ( 東 京 都 社 労 士 会 の 例 ) 96,000 円 (1 月 当 たり 8,000 円 ) 42,000 円 (1 月 当 たり 3,500 円 ) 研 修 や 会 報 ( 連 合 会 の 会 報 + 社 労 士 会 の 会 報 )により 法 改 正 情 報 や 実 務 の 動 向 など 業 務 に 役 立 つ 情 報 提 供 を 継 続 的 に 受 けられることを 考 えると 東 京 会 などの 会 費 の 額 は 決 して 高 い 水 準 とは 言 えないでしょう 社 会 保 険 労 務 士 会 社 労 士 として 登 録 すると 自 動 的 に 都 道 府 県 のエリア 単 位 で 組 織 されている 社 労 士 会 に 入 会 することになります( 社 労 士 法 25 条 の29 第 1 項 本 文 ) かつては 登 録 のみ 行 い 社 労 士 会 には 入 会 しない という 取 扱 いが 認 められ 未 入 会 の 登 録 者 がかなり 存 在 していました しかし 1993( 平 成 5) 年 の 第 4 次 社 労 士 法 改 正 によって 現 行 の 登 録 即 入 会 という 制 度 に 移 行 しました どの 都 道 府 県 の 社 労 士 会 に 入 会 するかという 点 については 社 労 士 法 で 以 下 のように 規 定 されており( 社 労 士 法 25 条 の29 第 1 項 1 号 2 号 ) 各 人 が 任 意 に 選 択 することはできません 開 業 社 労 士 法 人 社 員 事 務 所 所 在 地 を 管 轄 する 社 労 士 会 勤 務 社 労 士 勤 務 する 事 業 所 の 所 在 地 を 管 轄 する 社 労 士 会 また 各 社 労 士 会 には 地 域 ごとに 区 分 された 支 部 が 設 置 されており 会 としての 日 常 活 動 を 推 進 していくための 基 礎 組 織 として 機 能 しています 開 業 後 間 もない 社 労 士 にとっては この 支 部 の 会 合 ( 研 修 的 な 要 素 を 兼 ねることもあります )に 出 席 して 情 報 収 集 人 脈 作 りに 励 むことが 社 労 士 生 活 の 第 一 歩 といえます ⑶ その 他 登 録 社 労 士 の 登 録 上 の 種 別 としては 既 に 紹 介 した1 開 業 社 労 士 2 法 人 社 員 3 勤 務 社 労 士 の ほかに 4 その 他 登 録 というユニークな 形 態 も 認 められています これは いわば 純 然 た る 個 人 としての 資 格 で 社 労 士 の 登 録 を 行 う( 仮 に 会 社 等 に 勤 務 していたとしても 勤 務 先 につ いては 登 録 しない)というものです もちろん 顧 客 を 獲 得 して 報 酬 を 得 て 社 労 士 業 務 を 行 うことはできませんが 社 労 士 として の 肩 書 きを 活 用 して 原 稿 執 筆 や 講 演 を 行 うこと(これらは 社 労 士 本 来 の 業 務 ではありません) は 可 能 です また 社 労 士 会 が 主 催 する 各 種 研 修 を 受 講 したり( 基 礎 的 な 研 修 は 無 料 で 受 講 することができます) 会 報 誌 などを 通 じて 情 報 提 供 を 受 けることができます さらに 行 政 協 力 というかたちで 例 えば 年 金 相 談 のような 業 務 に 従 事 することも 可 能 です 5 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編
行 政 協 力 社 労 士 に 限 らず 専 門 士 業 では 行 政 官 庁 等 から 各 種 の 協 力 の 依 頼 を 受 けることが 多 く これを 行 政 協 力 などと 呼 んでいます 行 政 協 力 に 関 する 具 体 的 な 情 報 ( 日 時 場 所 協 力 の 内 容 報 酬 など)は 社 労 士 会 の 支 部 の 会 合 や 社 労 士 会 からのEメールなどを 通 じて 社 労 士 に 提 供 されます 将 来 社 労 士 会 の 幹 部 として リーダーシップを 発 揮 しようと 考 えて いる 人 にとっては 行 政 協 力 での 実 績 の 積 み 重 ねは 必 須 の 前 提 条 件 といえます 近 年 社 労 士 試 験 の 合 格 者 の 中 には 今 すぐ 独 立 開 業 する 予 定 はないが 将 来 的 には 開 業 を 考 えている という 開 業 予 備 軍 とでもいうべきスタンスの 人 が 増 えてきています 開 業 に 踏 み 切 ることによって 背 負 うリスクは 相 当 高 い というのが 現 状 ですから このような 状 況 は やむを 得 ないでしょう ただ この 人 たちは 将 来 的 には 開 業 を 考 えているのですから 専 門 情 報 のメインテナンス( 法 改 正 のフォローなど)や 将 来 をにらんだ 人 脈 づくりなどを 希 望 しており そのための 手 段 として その 他 登 録 を 行 うケースがかなりあるようです なお その 他 登 録 の 場 合 には 現 住 所 を 管 轄 する 社 労 士 会 に 入 会 することになります( 社 労 士 法 25 条 の29 1 項 3 号 ) また 会 費 の 額 については 勤 務 社 労 士 と 同 様 の 低 めの 水 準 とさ れることが 多 いようです 資 料 : 社 労 士 登 録 の 種 別 (まとめ) 個 人 事 業 主 として 事 務 所 を 開 設 のうえ 顧 客 を 獲 得 して 社 労 士 業 務 を 遂 行 社 労 士 法 人 の 共 同 経 営 者 として 法 人 の 名 で 法 人 のために 社 労 士 業 務 を 遂 行 一 般 企 業 に 勤 務 : 自 社 内 の 社 労 士 業 務 を 従 業 員 としての 立 場 で 遂 行 社 労 士 事 務 所 に 勤 務 : 事 務 所 のスタッフとして 事 務 所 が 受 注 した 社 労 士 業 務 を 遂 行 社 労 士 としての 肩 書 を 活 かした 講 演 や 執 筆 行 政 協 力 が 可 能 ❸ 社 労 士 制 度 の 歴 史 ⑴ 社 労 士 制 度 が 誕 生 するまで 第 二 次 世 界 大 戦 終 了 後 日 本 国 憲 法 27 条 で 保 障 された 国 民 の 勤 労 の 権 利 を 具 体 化 するた めに 労 働 基 準 法 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 ( 労 災 保 険 法 ) 失 業 保 険 法 ( 現 在 の 雇 用 保 険 法 の 前 身 となる 法 律 ) 等 労 働 関 係 法 令 の 整 備 が 急 速 に 進 みました また 1954 年 ( 昭 和 29 年 )の 厚 生 年 金 保 険 法 全 面 改 正 などを 通 じて 社 会 保 険 制 度 も 拡 充 されてきました このような 時 代 の 流 れを 受 け 各 種 の 団 体 や 個 人 が 企 業 の 労 務 管 理 や 社 会 保 険 の 手 続 きなど に 関 する 事 業 主 のサポートをビジネスとして 行 うようになってきました ただ その 中 には 事 業 主 に 対 して 著 しく 高 額 な 報 酬 を 請 求 したり 労 働 争 議 に 不 当 に 介 入 するなど 社 会 的 に 問 題 を 引 き 起 こす 者 も 含 まれていました そこで 業 界 団 体 を 結 成 し 業 界 の 健 全 化 を 図 る 必 要 性 が 認 識 されるようになってきました このようなニーズに 対 応 すべく 労 務 管 理 士 社 会 保 険 士 といった 民 間 資 格 が 登 場 し 社 労 士 制 度 誕 生 までの 間 一 定 の 役 割 を 果 たしました 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編 6
社 会 保 険 労 務 士 資 料 : 労 務 管 理 士 の 歩 み 労 務 関 係 の 代 行 業 者 らが 東 京 都 労 働 事 務 管 理 団 体 連 合 会 を 設 立 上 記 連 合 会 を 社 団 法 人 労 務 管 理 協 会 に 改 組 (その 後 全 国 で 労 務 管 理 士 協 会 を 名 乗 る 団 体 が 乱 立 ) 日 本 労 務 管 理 士 連 合 会 が 設 立 され 労 務 管 理 士 の 資 格 の 検 定 と 付 与 を 実 施 社 団 法 人 日 本 労 務 管 理 協 会 設 立 ( 社 団 法 人 労 務 管 理 士 協 会 と 日 本 労 務 管 理 士 連 合 会 を 統 合 ) 社 団 法 人 日 本 労 務 管 理 士 協 会 発 足 ( 社 団 法 人 日 本 労 務 管 理 協 会 の 定 款 変 更 ) 資 料 : 社 会 保 険 士 の 歩 み 社 会 保 険 の 専 門 家 によって 東 京 都 社 会 保 険 士 協 会 が 設 立 (その 後 大 阪 北 海 道 にも 社 会 保 険 士 協 会 が 設 立 ) 3つの 協 会 を 統 合 した 社 団 法 人 日 本 社 会 保 険 士 協 会 が 設 立 され 各 都 道 府 県 に 支 部 を 設 置 このような 民 間 資 格 を 統 合 し 新 たな 公 的 資 格 を 制 度 化 すべく 1966 年 ( 昭 和 41 年 ) 以 降 法 制 化 の 動 きが 現 実 化 しました そして 行 政 書 士 や 税 理 士 など 既 存 の 士 業 者 との 調 整 を 経 た 上 で 1968 年 ( 昭 和 43 年 )5 月 に 議 員 立 法 のかたちで 社 労 士 法 が 制 定 され 同 年 12 月 2 日 に 施 行 さ れました 他 の 士 業 と 比 較 すると 社 労 士 制 度 の 歴 史 は 比 較 的 浅 いと 言 えます 社 会 保 険 労 務 士 という 資 格 の 名 称 は 既 にあった 労 務 管 理 士 と 社 会 保 険 士 を 合 体 したものです ここに 新 たな 公 的 ライセンスとしての 社 労 士 制 度 が 誕 生 しました ⑵ 全 国 団 体 の 統 合 社 労 士 資 格 の 誕 生 は 既 存 の 民 間 資 格 の 統 合 というプロセスを 経 ていたために 社 労 士 を 束 ね る 団 体 の 統 合 を 実 現 するためには かなりの 年 月 がかかりました まず 1976 年 ( 昭 和 51 年 )に 社 団 法 人 全 国 社 会 保 険 労 務 士 会 が 認 可 され その 後 1978 年 ( 昭 和 53 年 )の 社 労 士 法 改 正 に よって 都 道 府 県 社 会 保 険 労 務 士 会 全 国 社 会 保 険 労 務 士 会 連 合 会 という 現 行 の 組 織 へ の 移 行 が 実 現 しました ⑶ 社 労 士 の 権 限 拡 大 の 歴 史 社 労 士 制 度 が 発 足 してから 40 年 以 上 の 年 月 が 経 過 しましたが その 間 に7 回 の 社 労 士 法 改 正 が 行 われています そして 現 在 連 合 会 は 第 8 次 法 改 正 に 向 け 動 いています この 法 改 正 の 歴 史 は 社 労 士 の 権 限 拡 大 の 歴 史 であったと 言 っても 過 言 ではありません 社 労 士 制 度 発 足 当 初 の 権 限 1 労 働 社 会 保 険 諸 法 令 に 基 づく 帳 簿 や 書 類 の 作 成 ( 社 労 士 法 2 条 1 項 1 号 2 号 ) 2 労 働 7 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編
社 会 保 険 に 関 する 事 項 についての 相 談 指 導 ( 社 労 士 法 2 条 1 項 3 号 )のみが 社 労 士 の 業 務 として 認 められていました 提 出 手 続 き 代 行 と 事 務 代 理 1978 年 ( 昭 和 53 年 )の 第 1 次 社 労 士 法 改 正 で 行 政 官 庁 等 ( 労 働 基 準 監 督 署 公 共 職 業 安 定 所 など)への 書 類 提 出 手 続 きの 代 行 権 ( 社 労 士 法 2 条 1 項 1 号 の2)が 認 められました 1986 年 ( 昭 和 61 年 )の 第 3 次 法 社 労 士 改 正 においては 各 種 手 続 き( 申 請 届 出 報 告 など) や 行 政 官 庁 等 の 調 査 処 分 に 対 して 社 労 士 が 代 理 人 として 対 応 する 権 限 (いわゆる 事 務 代 理 )が 認 められました( 社 労 士 法 2 条 1 項 1 号 の3) 紛 争 解 決 手 続 き 代 理 業 務 の 登 場 2005 年 ( 平 成 17 年 )の 第 7 次 社 労 士 法 改 正 では 特 定 社 会 保 険 労 務 士 制 度 の 創 設 とワンセ ットで 紛 争 解 決 手 続 き 代 理 業 務 (いわゆるADR 代 理 権 )の 拡 充 が 図 られています( 社 労 士 法 2 条 1 項 1 号 の4~1 号 の6) この 紛 争 解 決 手 続 き 代 理 業 務 については 法 的 色 彩 の 強 い 業 務 であることから 特 定 社 会 保 険 労 務 士 ( 以 下 特 定 社 労 士 と 略 します )に 限 って 行 うことができます( 社 労 士 法 2 条 2 項 ) 特 定 社 労 士 になるためには 1 社 労 士 が 連 合 会 が 主 催 する 所 定 の 研 修 ( 全 63.5 時 間 の 特 別 研 修 )を 受 講 し 2 特 別 研 修 の 最 終 日 に 実 施 される 試 験 ( 紛 争 解 決 手 続 き 代 理 業 務 試 験 )に 合 格 した 上 で 3 社 労 士 名 簿 に 特 定 社 労 士 である 旨 を 付 記 する 必 要 があります 2012 士 業 最 前 線 レポート 社 会 保 険 労 務 士 編 8