企 業 経 営 情 報 レポート ジャンル:Tax Report 平 成 28 年 度 税 制 改 正 法 人 税 所 得 税 資 産 税 消 費 税 ポ イ ン ト 平 成 28 年 度 税 制 改 正 の 基 本 的 な 考 え 方 法 人 課 税 の 改 正 個 人 所



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所令要綱

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

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1 平 成 28 年 度 税 制 改 正 の 基 本 的 な 考 え 方 安 倍 内 閣 はこの 3 年 間 デフレ 脱 却 と 経 済 再 生 を 最 重 要 課 題 とし 大 胆 な 金 融 政 策 機 動 的 な 財 政 政 策 民 間 投 資 を 喚 起 する 成 長 戦 略 の 三 本 の 矢 からなる 経 済 政 策 を 一 体 的 に 推 進 結 果 企 業 の 経 常 利 益 は 過 去 最 高 水 準 となり 企 業 収 益 の 拡 大 が 雇 用 の 増 加 や 賃 金 上 昇 につ ながりました そして それが 消 費 や 投 資 の 増 加 に 結 び 付 くという 経 済 の 好 循 環 が 大 企 業 で は 生 まれ 始 めています ただ 中 小 企 業 に 目 を 向 けてみると まだまだ 好 況 を 実 感 できていない 会 社 が 多 く 今 後 の 動 きが 期 待 されるところです このような 状 況 を 受 けて 平 成 28 年 度 税 制 改 正 は 企 業 の 収 益 力 を 高 め 前 向 きな 国 内 投 資 や 賃 金 引 上 げを 促 すこと 結 婚 子 育 ての 希 望 を 実 現 しにくい 状 況 を 克 服 し 子 育 てにやさし い 社 会 を 創 ること などを 目 指 して 決 定 されました 2 法 人 課 税 の 改 正 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げ 1 税 率 引 下 げの 背 景 法 定 実 効 税 率 の 国 際 比 較 現 在 の 日 本 の 法 定 実 効 税 率 は 31.33%で あり OECD 平 均 ( 約 25%) アジア 平 均 ( 約 22%)と 比 較 すると 非 常 に 高 い 水 準 に あり この 実 効 税 率 の 高 さが 日 本 企 業 の 海 外 流 出 の 加 速 と 立 地 競 争 力 の 低 下 の 要 因 の ひとつであるとかねてより 問 題 視 されてい ました そこで 平 成 28 年 度 税 制 改 正 では 現 在 進 行 中 の 成 長 志 向 の 法 人 税 改 革 をできるだけ 早 期 に 完 了 させることを 目 的 として 法 人 税 率 の 更 なる 引 き 下 げが 進 められました 実 効 税 率 が 20% 台 に 引 き 下 げられたことによって 日 本 経 済 の 好 循 環 への 後 押 しが 期 待 されています 2 法 人 税 の 新 税 率 現 行 改 正 後 事 業 年 度 H28.4.1~ H29.4.1~ H28.4.1~ H29.4.1~ H30.4.1~ H29.3.31 H30.3.31 H29.3.31 H30.3.31 普 通 法 人 23.9% 23.9% 23.4% 23.2% 中 小 法 人 等 ( ) 年 800 万 円 以 下 15% 19% 15% 19% 年 800 万 円 超 23.9% 23.9% 23.4% 23.2% 法 定 実 行 税 率 ( 普 通 法 人 ) 31.33% 29.97% 29.74% ( ) 中 小 法 人 とは 期 末 資 本 金 の 額 が 1 億 円 以 下 で 資 本 金 の 額 が 5 億 円 以 上 の 大 法 人 と 完 全 支 配 関 係 にある 法 人 を 除 いた 法 人 をいいます 2

3 個 人 所 得 課 税 の 改 正 住 宅 土 地 税 制 1. 空 き 家 に 係 る 譲 渡 所 得 の 特 別 控 除 の 特 例 の 創 設 1 制 度 創 設 の 背 景 平 成 25 年 の 住 宅 土 地 統 計 調 査 ( 総 務 省 )によれば 平 成 25 年 10 月 時 点 の 空 き 家 の 総 数 は 約 820 万 戸 に 達 し 中 でも 周 辺 の 生 活 環 境 に 悪 影 響 を 及 ぼし 得 る 空 き 家 の 数 は 毎 年 平 均 し て 約 6.4 万 戸 増 加 していることが 分 かっています 人 口 減 少 等 により 今 後 も 空 き 家 の 総 数 は 増 加 の 一 途 を 辿 ることが 懸 念 されており 対 策 が 急 務 とされているところです 2 制 度 の 概 要 被 相 続 人 が 生 前 居 住 していた 土 地 家 屋 等 を 相 続 により 取 得 した 人 が 平 成 28 年 4 月 1 日 か ら 平 成 31 年 12 月 31 日 までの 間 にそれらを 譲 渡 した 場 合 には 譲 渡 所 得 金 額 について 居 住 用 財 産 の 譲 渡 所 得 の 3 千 万 円 特 別 控 除 を 適 用 することができます 本 特 例 の 適 用 要 件 1 2 3 4 5 6 7 相 続 開 始 直 前 に 被 相 続 人 が 居 住 していた 家 屋 であること 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前 に 建 築 された 家 屋 であること 相 続 開 始 直 前 に 被 相 続 人 以 外 に 居 住 していた 者 がいないこと 相 続 発 生 時 から 相 続 開 始 以 後 3 年 を 経 過 する 日 の 属 する 年 の 12 月 31 日 までに 譲 渡 す ること 譲 渡 対 価 の 額 が 1 億 円 以 下 であること 家 屋 と 土 地 を 合 わせて 譲 渡 する 場 合 次 のイ ロを 満 たしていること イ) 相 続 発 生 時 から 譲 渡 するまでの 期 間 に 事 業 用 貸 付 用 居 住 用 に 使 用 されていない ロ) 譲 渡 時 において 地 震 に 対 する 安 全 性 に 係 る 規 定 又 はこれに 準 ずる 基 準 に 適 合 している 家 屋 を 除 去 し 敷 地 のみを 譲 渡 する 場 合 次 のイ ロを 満 たしていること イ) 相 続 発 生 時 から 除 去 するまでの 期 間 に 事 業 用 貸 付 用 居 住 用 に 使 用 されていない ロ) 相 続 発 生 時 から 譲 渡 するまでの 期 間 に 事 業 用 貸 付 用 居 住 用 に 使 用 されていない 4 資 産 課 税 の 改 正 農 地 保 有 に 係 る 課 税 の 強 化 軽 減 1 改 正 の 背 景 一 般 的 な 宅 地 の 場 合 固 定 資 産 税 評 価 額 には 通 常 その 土 地 の 売 買 価 格 が 用 いられます とこ ろが 農 地 については 売 買 価 格 から 45%を 割 り 引 いた 金 額 が 評 価 額 として 用 いられているため 3

固 定 資 産 税 額 が 宅 地 に 比 して 極 めて 低 額 です その 結 果 有 効 活 用 する 予 定 はないものの 耕 作 放 棄 地 を 保 有 し 続 け 結 果 として やる 気 のある 農 家 や 農 業 に 参 入 したい 新 たな 担 い 手 に 土 地 が 行 き 渡 らないという 問 題 が 起 こっています そこで 今 回 農 用 地 の 利 用 の 効 率 化 及 び 高 度 化 の 促 進 を 図 るため 農 地 保 有 に 係 る 課 税 が 強 化 軽 減 されます 2 改 正 の 概 要 平 成 29 年 度 より 一 定 の 遊 休 農 地 の 固 定 資 産 税 評 価 において 正 常 売 買 価 格 に 乗 じられてい る 割 合 (0.55)を 乗 じないこととされます 固 定 資 産 税 における 農 地 の 評 価 改 正 前 正 常 売 買 価 格 限 界 収 益 修 成 率 (0.55) 改 正 後 正 常 売 買 価 格 5 消 費 課 税 の 改 正 消 費 税 の 軽 減 税 率 制 度 1 制 度 創 設 の 背 景 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 逆 進 性 対 策 については 日 々の 生 活 において 幅 広 い 消 費 者 が 消 費 利 活 用 しているものに 係 る 消 費 税 負 担 を 軽 減 するとともに 買 い 物 の 都 度 痛 税 感 の 緩 和 を 実 感 できる という 理 由 から 軽 減 税 率 制 度 が 導 入 されることになりました 実 施 は 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられる 平 成 29 年 4 月 からで 導 入 に 当 たって 確 実 に 安 定 的 な 恒 久 財 源 を 確 保 する ことを 宣 言 しています 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 は 酒 類 及 び 外 食 を 除 く 飲 食 料 品 及 び 定 期 購 読 契 約 が 締 結 された 週 2 回 以 上 発 行 される 新 聞 とされ 書 籍 雑 誌 について 引 き 続 き 検 討 されます 2 制 度 の 概 要 1. 消 費 税 率 の 引 上 げと 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 品 目 軽 減 税 率 の 対 象 税 率 飲 食 料 品 対 象 8% 飲 食 料 品 外 食 サービス 対 象 外 10% 酒 類 対 象 外 10% 新 聞 書 籍 雑 誌 週 2 回 以 上 発 行 対 象 8% 週 1 回 発 行 対 象 外 10% 引 き 続 き 検 討 4

2.インボイス 方 式 の 導 入 複 数 税 率 に 対 応 した 仕 入 税 額 控 除 の 方 式 として 平 成 33 年 4 月 1 日 からインボイス 方 式 が 導 入 されることになりました 現 行 の 請 求 書 等 保 存 方 式 では 仕 入 税 額 控 除 の 適 用 要 件 として 取 引 の 相 手 方 が 発 行 した 請 求 書 等 の 保 存 を 義 務 付 けていますが 平 成 33 年 4 月 1 日 以 降 は 適 格 請 求 書 発 行 事 業 者 ( 仮 称 )から 交 付 を 受 けた 適 格 請 求 書 =インボイス を 保 存 することになります 3.インボイス 方 式 導 入 までの 間 の 経 過 措 置 インボイス 方 式 が 導 入 される 平 成 33 年 4 月 1 日 までは 現 行 の 請 求 書 等 保 存 方 式 が 維 持 さ れることになりました ただし 軽 減 税 率 対 象 品 目 の 譲 渡 が 含 まれる 場 合 には 請 求 書 等 に 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 の 譲 渡 等 である 旨 に 加 え 8%で 取 引 した 金 額 の 合 計 額 と 10%で 取 引 した 金 額 の 合 計 額 を 記 載 しなければなりません インボイスとは インボイスとは 発 行 事 業 者 の 登 録 番 号 適 用 税 率 消 費 税 額 等 の 一 定 の 事 項 が 記 載 され た 請 求 書 納 品 書 等 の 書 類 をいいます なお この 書 類 を 発 行 できるのは 税 務 署 へ 申 請 書 を 提 出 し インボイスを 交 付 すること のできる 事 業 者 として 登 録 を 受 けた 適 格 請 求 書 発 行 事 業 者 ( 仮 称 )に 限 られます 6 納 税 環 境 整 備 に 関 する 改 正 国 税 のクレジットカード 納 付 の 導 入 1 改 正 の 背 景 現 在 国 税 については 以 下 の 納 付 方 法 があります 1 納 付 書 による 納 付 ( 税 務 署 コンビニエンスストア 等 ) 2 預 貯 金 口 座 からの 振 替 納 税 3 ダイレクト 納 付 又 はインターネットバンキング 等 を 利 用 した 電 子 納 税 一 部 の 自 治 体 ではすでに 自 治 体 のホームページを 通 じて クレジットカードにより 地 方 税 を 納 付 することができます しかし 国 税 についてはクレジット 納 付 ができませんでした 2 改 正 の 概 要 平 成 29 年 1 月 4 日 より クレジットカードを 使 って 国 税 が 納 付 できるようになります 現 金 が 手 元 になくても 国 税 が 納 付 できるため 利 便 性 が 向 上 します ただし クレジットカード 納 付 といっても 銀 行 の 窓 口 やコンビニエンスストアのレジでカードを 使 って 納 付 できる 訳 ではな く インターネット 上 での 決 済 に 限 られるので 注 意 が 必 要 です レポート 全 文 は 当 事 務 所 のホームページの 企 業 経 営 情 報 レポート よりご 覧 ください 5

経 営 データベース 1 ジャンル: 事 業 承 継 相 続 > サブジャンル: 事 業 承 継 uestion 事 業 承 継 を 成 功 させている 社 長 の 行 動 パターン これから 事 業 承 継 を 行 おうと 考 えています 事 業 承 継 に 成 功 した 社 長 からそ のコツを 学 びたいのですが どのようなものがあるのでしょうか 事 業 承 継 を 成 功 させている 社 長 には 次 の 共 通 点 があります (1) 謙 虚 に 他 者 のアドバイスを 聞 く nswer 事 業 承 継 とは 苦 労 して 自 身 が 育 て 上 げた 会 社 を 後 継 者 に 渡 すことであり そこ には 本 当 は 渡 したくない という 感 情 論 的 問 題 が 起 こってしまうことが 往 々にしてあります このような 場 合 外 部 の 人 間 は 的 確 なアドバイスをするべきであり 社 長 はその 意 見 に 対 して 真 摯 に 耳 を 傾 けるべきでしょう 他 者 からの 冷 静 な 意 見 を 積 極 的 に 取 り 入 れ 実 行 した 社 長 が 事 業 承 継 を 成 功 させているのです (2) 後 継 者 を 褒 めて 自 信 とやる 気 を 引 き 出 す 事 業 承 継 に 成 功 している 多 くの 社 長 は その 後 継 者 をよく 褒 めています 褒 められれば 後 継 者 もやる 気 を 出 しますし その 結 果 事 業 承 継 後 の 企 業 の 経 営 も その 新 社 長 の 士 気 によってうま くいきます (3) 交 代 の 事 実 を 自 社 の 社 員 にしっかりと 認 識 させている 外 部 に 対 しては 挨 拶 状 等 により 社 長 交 代 が 行 われたことの 周 知 徹 底 を 図 っていても 肝 心 の 自 社 の 社 員 に 対 してはそこまでの 情 報 徹 底 が 行 われていないケースが 多 いようです しかし そ れでは 社 員 が どちらの 指 示 を 仰 いで 仕 事 をしたら 良 いのか 分 からない という 状 況 になってし まいます そのような 状 況 に 陥 らないためにも 社 長 交 代 の 儀 式 を 社 員 皆 の 前 でしっかりと 行 うべきであるといえます (4) 社 長 の 帝 王 学 を 後 継 者 にきちんと 伝 えている 後 継 者 が 知 りたいことは 社 長 の 経 営 ノウハウやその 価 値 観 です これをしっかりと 後 継 者 に 伝 えている 企 業 では 事 業 承 継 が 成 功 しているケースが 極 めて 多 いといえます (5) 後 継 者 に 事 業 を 継 いだ 後 は 自 分 から 決 して 出 ていかない 社 長 は 後 継 者 に 経 営 を 譲 ると 必 然 的 にやることが 少 なくなり どうしても 社 長 時 代 よりも 多 く 口 を 出 してしまいがちになるものです しかし それでは 新 社 長 がやりづらいでしょう 任 せるならば 徹 底 的 に 任 せる ことが 重 要 であるといえます 後 継 者 が 教 えを 請 うてきた 場 合 には 思 う 存 分 に 的 確 なアドバイスをしてあげると 良 いでしょう 6

経 営 データベース 2 ジャンル: 事 業 承 継 相 続 > サブジャンル: 事 業 承 継 uestion 後 継 者 を 育 成 するためのスケジュール 後 継 者 の 育 成 計 画 を 立 てようと 思 うのですが そのスケジュールについて 教 え てください (1) 引 退 時 期 を 決 める 事 業 承 継 は 社 長 がいつ 引 退 するのか を 決 定 することから 始 まります しかし nswer 中 小 企 業 の 場 合 は 社 長 が 引 退 時 期 を 決 めていない 場 合 が 極 めて 多 く これが 事 業 承 継 の 進 まない 原 因 の 一 つとしても 挙 げることができます 後 継 者 を 育 てるためにまずは 何 をした らいいのか またその 次 は 何 をすべきか ということも 逆 算 しなければなりません 社 長 の 引 退 時 期 を 決 めることは 事 業 承 継 の 全 てにおける 出 発 点 になるのです (2) 後 継 者 育 成 は 計 画 的 に 行 う 後 継 者 を 育 成 するには 10 年 程 度 の 期 間 を 想 定 しておくことが 望 ましいといえます 後 継 者 を 育 成 するスケジュールは 以 下 の 通 りです しかし 後 継 者 教 育 に 10 年 かけることのできない 場 合 もあるでしょう その 場 合 は 各 段 階 にかける 年 数 を 半 減 させ 3 年 で 全 てを 収 めます た だし あくまで 後 継 者 育 成 に 必 要 な 年 数 は 10 年 であって これは 特 例 的 措 置 であるということ を 認 識 しておかなければなりません 後 継 者 を 育 成 する10 年 計 画 スタート 段 階 社 長 の 引 退 時 期 を 決 める 0 年 目 第 1 段 階 第 2 段 階 第 3 段 階 第 4 段 階 経 理 財 務 財 務 知 識 の 習 得 総 務 的 な 仕 事 として 採 用 人 事 を 担 当 させる 社 会 保 険 関 係 の 知 識 を 習 得 させ 法 務 局 や 役 所 等 の 出 入 りに も 同 行 させる 契 約 書 作 成 就 業 規 則 作 成 等 の 法 務 知 識 を 習 得 させる 各 現 場 を 体 験 させる 現 場 体 験 を 裏 づける 経 営 の 基 礎 知 識 を 学 ばせる 知 識 と 現 場 の 両 立 を 目 指 させる 仕 入 れ 購 買 等 業 務 で 金 を 払 う 体 験 をさせる 金 融 機 関 へ 紹 介 をする 後 継 者 独 自 の 人 脈 つくりをさせる ( 青 年 会 議 所 等 に 所 属 させる) 意 思 決 定 能 力 を 伝 える 1 年 目 2 年 目 3 年 目 4 年 目 6 年 目 7 年 目 9 年 目 10 年 目 7

事 務 所 紹 介 大 分 事 務 所 870-0943 大 分 県 別 府 市 楠 町 19 番 12 号 TEL 0977-27-5670 FAX 0977-27-5680 URL:http://www.hanew.jp/ Mail:hanew@tkcnf.or.jp 福 岡 事 務 所 812-0011 福 岡 県 博 多 区 博 多 駅 前 2-5-8 ベルコモンズ 博 多 8F TEL 092-473-1133 FAX 092-473-1103 Mail : hanew@crux.ocn.ne.jp 8