信 州 公 衆 衛 生 雑 誌,:~, 長 野 県 南 部 地 域 における 在 宅 難 病 患 者 に 対 する 災 害 時 支 援 の 必 要 性 についての 検 討 1) 1) 1) 中 村 香 子 中 村 恵 子 宮 島 里 美 白 上 むつみ 1) 1) 1) 三 石 聖 子 金 本 直 子 1) 1) 2) 石 田 香 栄 子 佐 々 木 隆 一 郎 田 中 由 嘉 里 3) ) ) 高 田 千 恵 子 安 田 貴 恵 子 御 子 柴 裕 子 ) 下 原 千 恵 子 ) 長 野 県 飯 田 ) 長 野 県 伊 那 ) 長 野 県 松 本 ) 長 野 県 看 護 大 学 Astudyonneedsofhelpforpatientswithintractablediseasesatthetime ofdisasterinsouthareaofnagano KyokoNAKAMURA 1),KeikoNAKAMURA 1),SatomiMIYAJIMA 1) MutsumiSHIRAKAMI 1),SeikoMITSUISHI 1),NaokoKANEMOTO 1) KaekoISHIDA 1),RyuichiroSASAKI 1),YukariTANAKA 2) ChiekoTAKADA 3),KiekoYASUDA ),YukoMIKOSHIBA ) ChiekoSHIMOHARA ) )NaganoPrefecturalIidaPublicHealthCenter )NaganoPrefecturalInaPublicHealthCenter )NaganoPrefecturalMatsumotoPublicHealthCenter )NaganoColegeofNursing 目 的 : 在 宅 で 生 活 する 難 病 患 者 は 地 震 発 生 時 に 自 力 で 避 難 所 への 移 動 が 困 難 な 人 が 多 く 発 災 時 に 有 効 な 支 援 体 制 を 構 築 することが preventabledeath( 防 ぎうる 死 亡 )を 減 少 させることに 寄 与 する そこで 在 宅 難 病 患 者 が 大 規 模 災 害 発 生 時 に 避 難 所 への 移 動 に 関 して 支 援 の 必 要 度 必 要 とする 支 援 の 内 容 を 把 握 すること 及 び 必 要 な 支 援 を 満 たすために 地 域 で 課 題 となる 点 について 若 干 の 検 討 を 行 った 方 法 : 平 成 年 月 から 月 の か 月 間 に 郵 送 法 で アンケート 方 式 による 調 査 を 行 った 調 査 対 象 者 は 飯 田 伊 那 管 内 の 特 定 疾 患 医 療 受 給 者 証 更 新 対 象 者, 人 である 今 回 は 回 答 者, 人 の うち 在 宅 療 養 者, 人 ( 回 答 率. %)を 分 析 の 対 象 とした 結 果 : ) 避 難 所 への 移 動 支 援 に 関 する 事 項 : 支 援 を 必 要 とする 人 は 人 (. %)であった 避 難 所 への 移 動 支 援 が 必 要 な 人 中 移 動 支 援 を 既 に 誰 かに 依 頼 している 人 は 人 (. %)であった ) 災 害 時 に 必 要 とする 支 援 についての 事 項 : 在 宅 難 病 患 者 の 中 で 避 難 場 所 を 知 らないと 答 えた 人 は 人 (. %)であった また 災 害 に 対 しての 備 えをしていないと 答 えた 人 は 人 (. %)であった 結 論 : 今 回 の 調 査 で 移 動 支 援 が 必 要 であるが 未 だ 手 助 けを 依 頼 していない 人 と 災 害 に 対 する 備 えをし ( 年 月 日 受 付, 年 月 日 受 理 ) 別 刷 り 請 求 先 : 中 村 香 子 飯 田 市 追 手 町 長 野 県 飯 田 No.2, 35
中 村 中 村 宮 島 ら ていない 人 がそれぞれ 半 数 いることがわかった 今 後 は 地 域 で 支 援 を 必 要 とする 難 病 患 者 について 必 要 となる 支 援 の 質 と 量 を 把 握 し 個 々の 難 病 患 者 の 支 援 計 画 を 積 み 重 ねることによって 地 域 の 支 援 体 制 の 構 築 につなげていくことが 重 要 であると 痛 感 した Keywords: 大 規 模 災 害 (A large-scaledisaster) 難 病 患 者 (anintractablediseasepatient) 支 援 の 必 要 性 (needofhelp) Ⅰ. 諸 言 阪 神 淡 路 大 震 災 以 降 大 規 模 災 害 時 における 要 支 援 者 対 策 は 保 健 師 が 検 討 すべき 対 策 の 一 つとして 様 々 の 方 向 から 検 討 されている 1-3) しかし 災 害 時 におい て 個 々の 要 支 援 者 に 対 し 具 体 的 にどのように 支 援 を 行 うかについての 検 討 は 中 越 沖 地 震 の 際 の 柏 崎 保 健 ) 所 の 対 応 報 告 を 除 けば 極 めて 少 ない 長 野 県 南 部 地 域 は 東 海 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 に 指 定 されており 大 規 模 災 害 の 被 災 の 可 能 性 が 高 い 地 域 で ある この 地 域 では 平 成 年 度 から 地 域 の 包 括 医 療 協 議 会 ( 医 師 会 歯 科 医 師 会 薬 剤 師 会 等 )や 医 療 機 関 地 区 看 護 協 会 及 び 地 域 住 民 等 が 協 力 して 大 規 模 自 然 災 害 に 対 する 緊 急 医 療 体 制 等 の 構 築 を 図 っている ) また 毎 年 災 害 時 対 応 マニュアル に 基 づいて 地 域 関 係 者 が 一 体 となってシミュレー ション 訓 練 を 行 い 体 制 の 改 善 を 行 っている, ) こう した 活 動 の 中 で 在 宅 で 生 活 する 災 害 時 要 支 援 者 特 に 重 症 で 運 動 障 害 などのために 移 動 困 難 な 難 病 患 者 の 支 援 体 制 の 整 備 が 十 分 でないことが 明 らかになった ) そこで 災 害 時 の preventabledeath( 防 ぎうる 死 亡 ) を 減 少 させることを 目 的 に 在 宅 の 難 病 患 者 に 対 する 有 効 な 支 援 体 制 を 検 討 構 築 することとした 今 回 は 在 宅 の 難 病 患 者 への 支 援 体 制 を 構 築 するた めの 基 礎 資 料 を 得 るために 大 規 模 災 害 発 生 時 に 自 宅 から 避 難 所 への 移 動 する 時 の 支 援 内 容 及 び 避 難 時 必 要 とする 支 援 支 援 を 行 うときに 課 題 になる 点 につい て 調 査 を 行 ったので 報 告 する Ⅱ. 研 究 方 法. 調 査 時 期 及 び 調 査 対 象 者 平 成 年 月 から 月 の か 月 間 に 郵 送 法 で ア ンケート 方 式 による 調 査 を 行 った 今 回 調 査 対 象 とし たのは 飯 田 及 び 伊 那 管 内 に 居 住 する 特 定 疾 患 医 療 受 給 者 ( 難 病 患 者 ) 証 更 新 対 象 者 全 員 である 表 に 対 象 者 の 疾 患 群 別 の 人 数 と 在 宅 療 養 者 数 の 回 答 数 ( 回 答 率 )を 示 した. 調 査 方 法 特 定 疾 患 受 給 者 証 更 新 のお 知 らせの 通 知 とともに 本 調 査 に 対 する 説 明 文 とアンケート 用 紙 を 同 封 して 対 表 疾 患 別 対 象 者 数 在 宅 療 養 者 の 回 答 者 数 及 び 回 答 率 受 給 者 数 ( 人 )H 年 月 現 在 在 宅 療 養 者 の 回 答 者 数 ( 人 ) 回 答 率 (%) 疾 患 分 類 伊 那 飯 田 合 計 伊 那 飯 田 合 計 伊 那 飯 田 全 体 パーキンソン 病 関 連 疾 患... 潰 瘍 性 大 腸 炎.. 全 身 性 エリテマトーデス... 脊 髄 小 脳 変 性 症.. 神 経 系. 免 疫 系.. 消 化 器 系... 骨 関 節 系... 血 液 系... その 他.. 合 計... 36 信 州 公 衆 衛 生 雑 誌 Vol.3
災 害 時 の 要 支 援 者 への 支 援 象 者 に 郵 送 した アンケートは 受 給 者 証 更 新 書 類 と 同 封 して への 郵 送 あるいは へ 来 所 して 書 類 を 提 出 する 際 に 持 参 してもらうことで 回 収 した 説 明 文 には 災 害 時 の 支 援 体 制 の 構 築 を 目 的 に 行 うこと を 明 記 した. 調 査 項 目 難 病 患 者 が 最 寄 りの 避 難 所 へ 移 動 する 時 の 支 援 の 必 要 度 については 以 下 の 項 目 を 調 査 した 質 問 最 寄 りの 避 難 所 を 知 っているか ( 以 下 避 難 場 所 ) 質 問 避 難 場 所 までの 移 動 はどうするか ( 以 下 移 動 手 段 ) 質 問 避 難 場 所 までの 移 動 を 他 人 の 手 を 借 りるつもりでいるか ( 以 下 移 動 支 援 者 ) の 項 目 である この 中 で 質 問 に 手 立 てがない あるい は 他 人 の 手 を 借 りるつもりでいる と 答 えた 者 を 今 回 分 析 に 当 たっては 支 援 が 必 要 である 人 とした 災 害 時 に 必 要 とする 支 援 の 内 容 などについては 以 下 の 項 目 の 質 問 を 行 った 質 問 避 難 場 所 に 移 動 する 時 に 困 ることは 何 か ( 以 下 移 動 時 に 困 ること) 質 問 災 害 時 に 困 ると 思 われることは 何 か ( 以 下 災 害 時 に 困 ること) 質 問 災 害 に 対 して 備 えてい ることがあるか ( 以 下 災 害 への 備 え)の 項 目 であ る 質 問 はいずれも 選 択 肢 を 用 意 し 該 当 する 項 目 を 選 択 するようにした. 分 析 方 法 調 査 対 象 とした, 人 の 中 で 今 回 調 査 に 協 力 が 得 られたのは, 人 ( 回 答 率. %)であった 回 答 者 の 中 で 入 院 または 施 設 に 入 所 中 の 患 者 人 は 解 析 対 象 から 除 き 最 終 的 に 在 宅 の 患 者, 人 ( 全 対 象 者 の. %)を 分 析 の 対 象 とした 分 析 に 当 たり 対 象 患 者 数 が 多 かったパーキンソン 病 と 潰 瘍 性 大 腸 炎 全 身 性 エリテマトーデス 脊 髄 小 脳 変 性 症 はそれぞれ 一 つの 病 気 として 扱 い 対 象 者 の 少 ない 疾 患 は 神 経 系 疾 患 群 免 疫 系 疾 患 群 消 化 器 系 疾 患 群 骨 関 節 系 疾 患 群 血 液 系 疾 患 群 及 びそ の 他 の 疾 患 群 の 疾 患 群 のいずれかに 分 類 して 扱 った 神 経 系 疾 患 群 には 多 発 性 硬 化 症 重 症 筋 無 力 症 筋 萎 縮 性 側 策 硬 化 症 多 系 統 萎 縮 症 ベーチェット 病 を 含 んでいる 強 皮 症 皮 膚 筋 炎 多 発 性 筋 炎 結 節 性 動 脈 周 囲 炎 大 動 脈 炎 症 候 群 ビュルガー 病 悪 性 関 節 リウマチ ウェゲナー 肉 芽 腫 症 は 免 疫 系 疾 患 群 に 分 類 した 消 化 器 系 疾 患 群 には クローン 病 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 が 骨 関 節 系 疾 患 群 には 後 縦 靭 帯 骨 化 症 広 範 脊 柱 管 狭 窄 症 特 発 性 大 腿 骨 骨 頭 壊 死 症 が 含 まれている 再 生 不 良 性 貧 血 特 発 性 血 小 板 減 少 性 表 解 析 対 象 者 の 背 景 (n=, ) 項 目 カテゴリー 人 数 % 別 伊 那. 飯 田. 性 別 男 性. 女 性. 年 齢 - -. -. -. - 疾 患 群 別 パーキンソン 病. 潰 瘍 性 大 腸 炎. 全 身 性 エリテマトーデス 脊 髄 小 脳 変 性 症 神 経 系. 免 疫 系. 消 化 器 系 骨 関 節 系 血 液 系 その 他 紫 斑 病 溶 血 性 貧 血 などは 血 液 系 疾 患 群 に 分 類 した その 他 の 疾 患 群 には 膿 疱 性 乾 癬 サルコイドーシス アミロイドーシス 網 膜 色 素 変 性 症 モヤモヤ 病 特 発 性 拡 張 型 心 筋 症 原 発 性 肺 高 血 圧 症 を 含 んでいる Ⅲ. 研 究 結 果. 対 象 者 の 背 景 表 に 分 析 対 象 者 の 背 景 を 示 した 二 つの 別 の 患 者 数 は 伊 那 人 (. %) 飯 田 人 (. %)であった 性 別 には 男 性 人 (. %) 女 性 人 (. %)であった 年 齢 別 に みると - 歳 が 人 (. %)と 最 も 多 く 以 下 - 歳 人 (. %) - 歳 人 (. %) の 順 であった 疾 患 別 にみると パーキンソン 病 患 者 が 人 (. %)と 最 も 多 く 次 いで 潰 瘍 性 大 腸 炎 人 (. %) 神 経 系 人 (. %) 免 疫 系 人 (. %)の 順 であった. 避 難 所 への 移 動 支 援 に 関 する 事 項 質 問 避 難 場 所 では 知 っている が 人 (. %)で 知 ら な い が 人 (. %)であっ た 質 問 移 動 手 段 では 自 分 で 対 応 できる と した 人 は 人 (. %)であったが 支 援 が 必 要 で ある 人 も 人 (. %)いることが 明 らかになっ た No.2, 37
中 村 中 村 宮 島 ら 質 問 避 難 場 所 までの 移 動 を 他 人 の 手 を 借 りるつ もりでいる と 答 えた 人 に 対 して 移 動 支 援 者 その 協 力 者 に 既 に 協 力 を 依 頼 しているか ( 以 下 移 動 支 援 の 依 頼 ) について 複 数 回 答 可 として 質 問 し た 移 動 支 援 者 は 同 居 の 家 族 が 人 (. %) と 最 も 多 かった 次 いで 近 所 の 友 人 知 人 が 人 (. %)であり 施 設 病 院 の 職 員 は 人 (%)であった この 中 で 協 力 者 に 既 に 協 力 を 依 頼 している 人 は 人 (. %)であり まだ 依 頼 していない 人 は 人 (. %)であった. 災 害 時 に 必 要 とする 支 援 についての 事 項 質 問 移 動 時 に 困 ること では 困 ることはな い とした 者 は 人 (. %)であった 困 ること の 内 容 は 身 体 が 不 自 由 である が 人 (. %) と 最 も 多 く 医 療 機 器 を 使 用 している は 人 (%)であった その 他 の 自 由 回 答 では 家 族 が 不 在 のときに 困 る 家 族 への 連 絡 ができない 目 が 見 えない などの 回 答 があったが 自 由 回 答 で 一 番 多 かったものは 歩 行 困 難 で 避 難 場 所 まで 行 けな い という 内 容 だった 質 問 災 害 時 に 困 ること では 避 難 所 での 生 活 が 不 安 人 (. %) 薬 のことが 心 配 人 (. %)の 二 つの 回 答 が 多 いという 結 果 であった 停 電 により 医 療 機 器 が 動 かなくなる とする 者 は 人 (%)であった その 他 の 自 由 回 答 では トイ レが 心 配 食 事 が 心 配 ( 刻 み 食 があるかなど) 避 難 しても 避 難 所 では 生 活 できない などの 回 答 が あった 運 命 であり 避 難 するつもりはない という 回 答 もあった 質 問 災 害 への 備 え という 質 問 では 備 えを してある が 人 (. %) 備 えをしていない が 人 (. %)であった ( 表 ) Ⅳ. 考 察 今 回 の 調 査 では 特 定 疾 患 受 給 者 証 更 新 通 知 と 一 緒 に 郵 送 し 回 収 も 更 新 申 請 書 の 回 収 に 合 わせて 行 った これは アンケートを 配 布 対 象 者 に 確 実 に 配 布 するこ と 及 び 回 収 率 を 高 めることになると 考 えたからである ただし 個 人 のアンケートへの 協 力 意 思 を 尊 重 するた めに 催 促 は 行 わなかった 今 回 の 調 査 の 回 答 率 を 伊 那 と 飯 田 で 比 較 してみると 伊 那 管 内 の 方 が 回 答 率 が 高 い 表 災 害 時 に 関 する 難 病 患 者 の 状 況 質 問 項 目 カテゴリー 人 数 % 避 難 場 所 知 っている 知 らない.. 移 動 手 段 自 分 で 対 応 できる 他 の 人 の 手 を 借 りるつもりでいる 手 立 てがない.. 移 動 支 援 者 同 居 の 家 族 施 設 病 院 の 職 員 近 所 の 友 人 知 人 その 他.. 移 動 支 援 の 依 頼 依 頼 している まだ 依 頼 していない... 移 動 時 に 困 ること 困 ることはない 身 体 が 不 自 由 である 医 療 機 器 を 使 用 している.. 災 害 時 に 困 ること 医 療 機 関 が 遠 い 薬 のことが 心 配 避 難 場 所 での 生 活 が 不 安 停 電 により 医 療 機 器 が 動 かなくなる 病 気 の 症 状 の 悪 化 が 心 配 家 族 との 連 絡 がつくか 心 配..... 災 害 への 備 え 備 えをしてある 備 えをしていない.. 38 信 州 公 衆 衛 生 雑 誌 Vol.3
災 害 時 の 要 支 援 者 への 支 援 という 結 果 であった 疾 患 別 の 回 答 率 を 見 ても 全 身 性 エリテマトーデスと 脊 髄 小 脳 変 性 症 以 外 のすべての 疾 患 カテゴリーで 回 答 率 が 高 い 回 答 率 の 差 には 保 健 所 や 自 治 体 による 地 域 の 保 健 活 動 などの 要 因 が 関 連 すると 考 えられる 今 回 の 調 査 では この 回 答 率 の 差 を 説 明 できる 資 料 は 得 られなかった 今 回 の 検 討 対 象 地 域 である 長 野 県 南 部 地 域 は 山 間 部 で 高 齢 化 率 が 高 く 災 害 時 に 支 援 者 を 確 保 すること が 困 難 な 地 域 である また 医 療 資 源 も 多 くはない こうした 限 られた 人 的 資 源 の 中 で 災 害 要 支 援 者 に 対 する 支 援 を 行 うためには 事 前 に 効 率 的 な 体 制 を 十 分 準 備 することが preventabledeath( 防 ぎうる 死 亡 ) を 減 少 させるために 不 可 欠 であると 考 えている 今 回 のような 災 害 時 の 要 支 援 者 に 対 する 基 礎 資 料 を 得 るための 地 域 調 査 は 平 成 年 度 に 三 重 県 津 で 今 回 の 調 査 と 同 様 に 在 宅 難 病 患 者 を 対 象 に 行 わ れている ) 津 の 調 査 結 果 では 避 難 する 時 に 自 分 で 対 応 できる(%) 他 の 人 の 手 を 借 りる (%) 手 立 てがない( %) という 結 果 であり 今 回 の 調 査 結 果 とほぼ 同 様 であった 今 後 更 に 他 の 地 域 の 調 査 結 果 を 待 つ 必 要 があるが 今 回 二 つの 調 査 で 同 様 の 傾 向 がみられたことは 地 理 的 な 違 いがあっても 対 策 の 方 向 性 はある 程 度 一 致 し ていることを 示 唆 しているのではないかと 考 えた 今 回 の 調 査 結 果 から 移 動 支 援 が 必 要 であるがまだ 手 助 けを 依 頼 していない 人 が 半 数 いることが 明 らか になった また 災 害 に 対 する 備 えをしていない 人 も 半 数 いることが 分 かった これは はまず 支 援 が 必 要 となる 人 を 対 象 に 災 害 時 への 意 識 を 高 め 事 前 の 備 えの 必 要 があることを 啓 発 していくことが 必 要 であることを 示 唆 する 結 果 であると 考 えた また 在 宅 難 病 患 者 が 災 害 時 に 困 ることとして 薬 のこと が 心 配 病 気 の 悪 化 が 心 配 と 回 答 する 人 が 多 いこ とが 分 かった これは 今 後 啓 発 する 際 には 薬 を 平 常 時 から 余 分 に 準 備 しておくこと など 身 近 でかつ 具 体 的 な 準 備 内 容 を 啓 発 することの 重 要 性 を 示 す 結 果 であると 考 えた 更 に 発 災 後 に 適 切 な 医 療 を 受 けら れるような 支 援 体 制 の 構 築 を 地 域 で 検 討 されている 災 害 時 の 緊 急 医 療 体 制 に 組 み 入 れてゆくことが 必 要 で あることを 示 唆 している 結 果 であると 考 えた 今 回 の 調 査 から 個 々の 難 病 患 者 が 必 要 とする 支 援 の 内 容 は 多 様 であることも 認 識 できた しかし 地 域 で 災 害 時 に 支 援 が 必 要 な 人 全 てに 同 時 期 に 必 要 な 支 援 を 行 うことは 地 域 の 支 援 の 質 と 量 の 面 から 考 える と 非 常 に 困 難 である そこで 限 られた 人 的 資 源 を 有 効 に 活 用 しつつ 要 支 援 者 の 多 様 なニーズに 答 えるこ とが 必 要 となる そのためには まず 地 域 で 支 援 を 必 要 とする 難 病 患 者 一 人 ひとりについて 必 要 となる 支 援 の 質 と 量 を 把 握 すること それに 基 づいて 災 害 時 に 対 応 可 能 な 個 別 支 援 計 画 を 立 てていくことが 必 要 であ る こうした 個 別 支 援 計 画 を 積 み 重 ね 地 域 全 体 で 必 要 となる 支 援 の 質 の 階 層 別 に 必 要 な 支 援 量 を 確 保 で きるような 活 動 が 必 要 であることを 痛 感 した 謝 辞 本 研 究 を 行 うに 当 たって 調 査 に 協 力 いただいた 患 者 さんに 深 謝 いたします 文 献 ) 奥 田 博 子 : 災 害 時 に 保 健 医 療 従 事 者 は 何 をすべきか 自 然 災 害 時 における 保 健 師 の 役 割, 保 健 医 療 科 学,Vol., No :,. ) 佐 々 木 隆 一 郎, 中 村 恵 子 : 健 康 危 機 管 理 としての 震 災 への 備 え 保 健 師 への 期 待, 保 健 師 ジャーナル :,. ) 佐 々 木 隆 一 郎, 堀 井 淳 一, 寺 井 直 樹, 他 : 中 越 沖 地 震 対 応 現 地 調 査 報 告, 平 成 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 地 域 健 康 危 機 管 理 研 究 事 業 健 康 危 機 管 理 体 制 の 評 価 指 標, 効 果 の 評 価 に 関 する 研 究 報 告 書 :,. ) 西 口 裕 : 大 規 模 ( 自 然 ) 災 害 時 の 地 域 健 康 危 機 管 理 情 報 提 供 人 材 育 成 システムの 構 築 事 業, 平 成 年 度 地 域 保 健 総 合 推 進 事 業 大 規 模 災 害 や 新 感 染 症 等 における 健 康 危 機 管 理 体 制 の 構 築 と 機 能 の 検 討 事 業 報 告 書,,. ) 佐 々 木 隆 一 郎 : 飯 田 地 域 における 災 害 時 医 療 体 制 の 構 築 についての 検 討, 平 成 年 度 地 域 保 健 総 合 推 進 事 業 大 規 模 災 害 や 新 感 染 症 等 における 健 康 危 機 管 理 体 制 の 構 築 と 機 能 の 検 討 事 業 報 告 書 :,. ) 佐 々 木 隆 一 郎, 宮 下 修 一, 唐 沢 幹 雄, 他 : 飯 田 地 域 における 地 震 に 備 えた 健 康 危 機 管 理 体 制 の 改 善 について, 平 成 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 地 域 健 康 危 機 管 理 研 究 事 業 健 康 危 機 管 理 体 制 の 評 価 指 標 効 果 の 評 価 に 関 する 研 究 報 告 書 :,. No.2, 39