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February 20, 2015 1 ベトナム: 現 地 法 人 設 立 前 の 親 会 社 立 て 替 え 金 の 取 り 扱 い 2.スリランカの 新 しい 土 地 譲 渡 制 限 法 の 外 資 への 影 響 3.フィリピン: 就 任 4 年 半 を 迎 えるベニグノ アキノ 大 統 領 4. 政 治 経 済 産 業 トピックス 5. 主 要 各 国 の 経 済 指 標 1. ベトナム: 現 地 法 人 設 立 前 の 親 会 社 立 て 替 え 金 の 取 り 扱 い 概 要 親 会 社 がベトナム 現 地 法 人 ( 子 会 社 ) 設 立 前 に 支 払 った 設 立 費 用 について ベトナムにおける 法 人 税 付 加 価 値 税 (VAT)および 外 国 契 約 者 税 に 係 る 取 り 扱 い および 親 会 社 への 海 外 返 済 送 金 に 関 する 問 題 をその 打 開 策 を 含 め 解 説 する Q: 現 地 法 人 設 立 前 の 親 会 社 による 立 て 替 え 金 の 取 り 扱 いについて 教 えてほしい A:はじめに 現 地 法 人 ( 以 下 子 会 社 )が 設 立 されて 現 地 決 済 が 可 能 になるまでは 海 外 の 投 資 家 ( 以 下 親 会 社 )が 子 会 社 の 設 立 や 開 業 の 準 備 に 要 する 諸 費 用 を 立 て 替 えることが 一 般 的 である ところが 実 務 においてこの 立 て 替 えに 関 し 望 ましい 処 理 をしていないため 子 会 社 が 親 会 社 に 立 て 替 え 金 を 返 済 ( 海 外 送 金 )できない 事 例 や 費 用 が 法 人 税 上 損 金 算 入 できない 事 例 などが 多 く 発 生 している 本 リポートでは 子 会 社 設 立 時 の 親 会 社 によ る 立 て 替 え 金 に 関 する 問 題 およびそれを 解 決 するために 必 要 な 手 続 きについて 解 説 する 立 て 替 え 金 の 事 例 および 実 務 上 の 問 題 親 会 社 が 子 会 社 の 代 わりに 立 て 替 えることが 一 般 的 な 費 用 などの 事 例 として 以 下 のような 項 目 がある 事 務 所 や 土 地 リースの 保 証 金 事 務 所 賃 料 土 地 リース 料 会 社 設 立 代 行 報 酬 (コンサルティング 会 社 への 支 払 い) 会 社 設 立 活 動 に 要 した 交 通 費 ( 航 空 運 賃 タクシー 運 賃 ) 宿 泊 代 や 食 事 代 その 他 本 来 現 地 法 人 が 負 担 すべき 費 用 子 会 社 の 設 立 運 営 全 般 に 及 ぶこれら 費 用 や 支 出 をどのように 判 断 するかについては 個 々の 企 業 の 経 営 判 1

断 や 日 本 の 税 務 上 の 判 断 などが 考 慮 されるが 会 計 や 税 務 上 しかるべき 処 理 を 失 念 したことにより 下 記 の ような 問 題 が 発 生 する 可 能 性 がある 子 会 社 において 付 加 価 値 税 (VAT)が 控 除 できない 費 用 が 法 人 税 上 損 金 算 入 できない 子 会 社 が 親 会 社 に 立 て 替 え 金 を 返 済 ( 海 外 送 金 )できない 仕 入 れ VAT の 税 額 控 除 仕 入 れ VAT を 税 額 控 除 するためには 以 下 の 2 条 件 を 満 たす 必 要 がある 1 1 購 入 した 物 品 やサービスの 公 式 インボイス(ベトナム 子 会 社 の 会 社 名 住 所 税 コードなどが 明 記 さ れているもの)を 提 出 できること 2 購 入 した 物 品 やサービスの 銀 行 送 金 書 類 を 提 出 できること ただし 1 回 当 たりの 購 入 物 品 やサービ スの 総 額 (VAT 込 み)が 2,000 万 ベトナムドン 未 満 の 場 合 は 銀 行 送 金 書 類 の 提 出 不 要 2 子 会 社 設 立 費 用 については 通 常 公 式 インボイスの 宛 先 が 親 会 社 となるため1の 要 件 を 満 たさないこと になるが 公 式 インボイスの 宛 先 が 親 会 社 ( 親 会 社 の 委 任 状 がある 場 合 親 会 社 以 外 の 法 人 あるいは 個 人 で も 可 能 )であっても 仕 入 れ 税 額 控 除 ができることが 明 らかになった 3 また 上 記 2の 通 り 2,000 万 ベトナ ムドン 以 上 の 支 払 いの 場 合 ベトナム 子 会 社 から 日 本 親 会 社 への 銀 行 送 金 書 類 も 仕 入 れ 税 額 控 除 の 要 件 とな る 従 って 仕 入 れ VAT の 税 額 控 除 のために 子 会 社 設 立 後 以 前 行 っていたような 公 式 インボイスの 宛 先 修 正 手 続 きは 不 要 となったが 親 会 社 への 返 済 送 金 が 難 しい 昨 今 銀 行 送 金 書 類 の 入 手 が 難 しいため 依 然 と して 仕 入 れ VAT の 税 額 控 除 は 難 しいといえよう 法 人 税 上 の 損 金 算 入 要 件 法 人 税 法 上 企 業 の 通 常 の 生 産 経 営 活 動 に 直 接 関 連 する 費 用 であり 親 会 社 との 費 用 立 て 替 え 合 意 書 (あ るいはローン 契 約 書 ) 適 切 な 領 収 書 および 取 引 額 が 2,000 万 ベトナムドン 以 上 の 場 合 銀 行 送 金 書 類 が 入 手 できれば 損 金 算 入 が 可 能 である 4 日 本 語 で 発 行 された 領 収 書 については ベトナム 語 への 翻 訳 が 必 要 であ る 日 本 で 発 行 される 領 収 書 は 通 常 ベトナムの 公 式 インボイスに 含 まれるような 情 報 が 十 分 に 含 まれてい ないため 税 務 調 査 でその 損 金 性 について 問 題 視 されることが 多 い 従 って 当 該 費 用 を 損 金 算 入 するために は ベトナム 語 訳 された 関 連 契 約 書 など 当 該 費 用 が 子 会 社 の 設 立 に 直 接 関 連 する 費 用 であることを 当 局 に 説 得 できる 十 分 な 資 料 を 事 前 に 準 備 しておく 必 要 がある また VAT の 項 でも 触 れた 通 り 親 会 社 への 返 済 送 金 が 難 しい 現 在 子 会 社 から 親 会 社 への 銀 行 送 金 書 類 1 通 達 第 06/2012/TT-BTC 第 15 条 2 ただし 同 日 内 で 同 一 の 取 引 先 と 2,000 万 ベトナムドン 未 満 の 取 引 を 複 数 回 行 った 場 合 に その 日 の 当 該 取 引 先 との 取 引 合 計 額 が 2,000 万 ベ トナムドン 以 上 になる 場 合 には 銀 行 送 金 書 類 が 必 要 となる( 通 達 第 06/2012/TT-BTC 第 15 条 第 2 項 e) 3 通 達 第 06/2012/TT-BTC 第 14 条 第 11 項 b 4 通 達 第 123/2012/TT-BTC 第 6 条 第 1 項 決 定 第 218/2013/ND-CP 第 9 条 第 1 項 c 2

の 入 手 が 難 しい その 他 の 要 件 を 満 たしていても 2,000 万 ベトナムドン 以 上 の 費 用 の 場 合 損 金 算 入 要 件 を 満 たさない 可 能 性 があるので 留 意 が 必 要 である 外 国 契 約 者 税 が 賦 課 される 場 合 の 取 り 扱 い 当 該 費 用 が 外 国 法 人 または 外 国 人 が 行 った 役 務 提 供 に 対 する 支 払 いの 立 て 替 え 払 いである 場 合 外 国 契 約 者 税 の 課 税 対 象 となる 5 付 随 する 実 費 ( 航 空 運 賃 宿 泊 代 など)も 課 税 対 象 となる 親 会 社 と 外 国 法 人 または 外 国 人 間 で 締 結 された 契 約 上 外 国 契 約 者 税 の 記 載 がない 場 合 当 該 契 約 金 額 は 外 国 契 約 者 税 抜 きのネット 金 額 として 取 り 扱 い 外 国 契 約 者 税 上 グロスアップ 計 算 した 金 額 について 外 国 契 約 者 税 を 計 算 する 必 要 があるので 注 意 が 必 要 である その 場 合 ベトナム 子 会 社 で 外 国 契 約 者 税 を 負 担 す ることになり 当 該 法 人 税 部 分 は 法 人 税 上 損 金 算 入 が 可 能 であり VAT 部 分 は 外 国 契 約 者 税 の 銀 行 送 金 書 類 を 証 憑 として 仕 入 れ 税 額 控 除 が 可 能 である 親 会 社 と 外 国 法 人 または 外 国 人 間 で 締 結 されたサービス 契 約 については 外 国 契 約 者 税 上 税 務 局 に 登 録 することが 必 要 なため ベトナム 語 翻 訳 版 を 用 意 することも 忘 れてはならない 通 常 当 該 サービス 契 約 の 登 録 期 日 は 契 約 締 結 後 10 営 業 日 と 規 定 されているが 6 ベトナム 子 会 社 設 立 に 関 するサービス 契 約 の 場 合 ベトナム 子 会 社 設 立 後 に 遅 滞 なく 登 録 する 場 合 現 時 点 で 罰 金 は 科 されていない 立 て 替 え 金 の 返 済 送 金 処 理 手 続 き ベトナムでは 元 来 海 外 送 金 が 難 しく 子 会 社 設 立 費 用 の 親 会 社 への 返 済 送 金 も 同 様 であった ところが 昨 今 大 量 の 書 類 を 提 出 し 中 央 銀 行 の 送 金 許 可 を 得 ることが 求 められるようになっており 親 会 社 への 送 金 が さらに 難 しくなっている なお 2014 年 9 月 25 日 以 降 に 親 会 社 が 子 会 社 設 立 費 用 を 立 て 替 える 場 合 には 親 会 社 がベトナム 国 内 の 銀 行 にベトナムドン 以 外 の 外 貨 建 て 経 常 取 引 用 非 居 住 者 口 座 を 開 設 し 当 該 口 座 を 経 由 してベトナム 国 内 の サプライヤーに 支 払 いを 行 う 必 要 が 生 じることになった 7 親 会 社 立 て 替 え 設 立 費 用 を 返 済 する 場 合 には 当 該 規 定 への 順 守 が 前 提 となるので 留 意 が 必 要 である 取 扱 銀 行 ごとに 対 応 が 異 なるため 親 会 社 立 て 替 え 設 立 費 用 がある 場 合 には 事 前 に 取 扱 銀 行 に 返 済 送 金 ができるのか できる 場 合 にはその 送 金 方 法 および 必 要 書 類 を 確 認 することが 重 要 である 最 近 では 子 会 社 設 立 費 用 の 返 済 送 金 が 手 続 き 的 に 煩 雑 な 上 中 央 銀 行 より 単 なる 設 立 立 て 替 え 費 用 の 返 済 送 金 としては 許 可 されない 例 が 多 いため 別 途 必 要 書 類 を 準 備 した 上 で 親 会 社 立 て 替 え 金 を 資 本 勘 定 に 振 り 替 えたり 親 子 ローンの 返 済 として 送 金 したりする 例 がある 5 通 達 第 60/2012/TT-BTC 第 1 条 第 1 項 6 通 達 第 80/2012/TT-BTC 第 4 条 7 通 達 第 19/2014/TT-NHNN 第 10 条 3

親 子 ローンの 返 済 として 返 済 送 金 する 場 合 親 子 ローン 契 約 を 別 途 締 結 し 親 会 社 立 て 替 え 金 をベトナム 子 会 社 への 貸 付 債 権 として 取 り 扱 い ベトナム 子 会 社 はその 借 入 金 の 返 済 として 親 会 社 立 て 替 え 額 を 日 本 へ 返 済 送 金 する ただし 親 会 社 立 て 替 え 金 がローンとして 取 り 扱 われるのか 法 律 上 には 明 記 されていない 親 子 ローンとして 取 り 扱 う 場 合 立 て 替 え 期 間 が 1 年 以 上 にわたる 場 合 には 長 期 ローンとして 中 央 銀 行 へ 登 録 する 手 続 きも 必 要 となるが 弊 社 クライアントの 事 例 では 中 央 銀 行 に 親 会 社 立 て 替 え 金 をローンとし て 認 められた 事 例 も 認 められなかった 事 例 もある もし 親 会 社 立 て 替 え 金 がローンとして 取 り 扱 うことが 認 められる 場 合 には 将 来 の 子 会 社 への 仕 入 れ 債 務 (ベトナム 現 地 法 人 にとっては 親 会 社 への 売 上 債 権 )と 相 殺 する 方 法 も 考 えられる すなわち 通 達 第 219 /2013/TT-BTC 上 以 下 の 書 類 がそろう 場 合 には 税 務 上 ローン 債 務 と 売 上 債 権 の 相 殺 は 銀 行 送 金 として 取 り 扱 うことができる 8 1 親 子 ローン 契 約 書 2 相 殺 処 理 について 明 記 した 親 会 社 と 子 会 社 間 の 売 買 契 約 書 3 親 会 社 と 子 会 社 間 の 相 殺 合 意 書 輸 出 取 引 には 原 則 として VAT 税 率 0%が 適 用 され その 必 要 書 類 としても 銀 行 送 金 書 類 が 要 求 される 相 殺 する 場 合 には 銀 行 送 金 書 類 が 入 手 できないが 上 記 1~3の 書 類 がそろう 場 合 には 輸 出 取 引 の VAT 税 率 0%が 適 用 できると 考 えられている なお 親 会 社 立 て 替 え 金 がローンとして 認 められず 返 済 送 金 あるいは 売 上 債 権 との 相 殺 ができなかった 場 合 の 処 理 としては 以 下 の 三 つのケースが 想 定 できる 1 親 会 社 に 対 する 売 上 債 権 がある 場 合 には 当 該 債 権 と 相 殺 するが 銀 行 送 金 書 類 が 入 手 できないため 法 人 税 上 当 該 立 て 替 え 費 用 は 損 金 不 算 入 として 取 り 扱 い 売 上 債 権 について VAT10%を 支 払 う 2 取 扱 銀 行 に 確 認 の 上 資 本 勘 定 に 振 り 替 える 3 親 会 社 で 負 担 する いずれにせよ 親 会 社 への 設 立 前 立 て 替 え 金 に 係 る 送 金 は 煩 雑 な 手 続 きが 必 要 となるので 可 能 な 限 り 親 会 社 で 負 担 し 最 低 限 請 求 せざるを 得 ない 費 用 項 目 だけについて 海 外 送 金 するのが 現 実 的 な 解 決 策 になるの ではないかと 考 える 記 事 提 供 :I-GLOCAL CO.,LTD 本 コラムは I-GLOCAL(アイ グローカル 旧 SCS (VIETNAM) CO.,LTD. 日 系 資 本 初 のベトナムにおける 監 査 法 人 をグループ 会 社 に 擁 し ハノイとホーチミン ブノンペン に 事 務 所 を 有 する 会 計 事 務 所 系 コンサルファーム)において 作 成 されています (2014 年 12 月 15 日 作 成 ) 8 通 達 第 219/2013/TT-BTC 第 16 条 第 3 項 b 4

2. スリランカの 新 しい 土 地 譲 渡 制 限 法 の 外 資 への 影 響 スリランカにおける 外 資 の 投 資 事 業 活 動 に 大 きな 影 響 を 与 えうる 法 律 2014 年 土 地 ( 譲 渡 制 限 ) 法 ( 英 語 名 :Land (Restrictions on Alienation) Act, 2014)が 2014 年 10 月 29 日 に 成 立 した この 法 律 は 外 国 人 によるスリランカ 国 内 の 土 地 の 所 有 権 取 得 を 原 則 として 禁 止 するものである スリランカは 観 光 資 源 が 豊 富 で 風 光 明 媚 な 場 所 としても 知 られているが その 地 政 学 的 な 重 要 性 も 相 まっ て 近 年 注 目 が 集 まっている スリランカ 政 府 は 現 在 外 資 誘 致 に 積 極 的 だが 新 法 は 逆 に 外 資 規 制 保 護 主 義 に 向 かっているようにみえる 本 稿 では 新 法 の 内 容 を 簡 単 に 紹 介 し 実 務 上 の 懸 念 について 触 れたい 旧 法 の 仕 組 みと 実 務 的 対 応 新 法 成 立 以 前 スリランカでは 外 国 人 外 国 法 人 は 土 地 所 有 権 の 取 得 は 認 められていたものの 取 引 には 100%の 税 金 が 課 せられていた そのため 旧 法 下 では この 100%の 課 税 を 免 れるため 一 般 的 に 以 下 のス キームが 利 用 されてきた まず スリランカ 人 オーナーが その 所 有 する 土 地 をスリランカ 法 人 に 現 物 出 資 して 株 式 を 取 得 する その 後 そのスリランカ 法 人 の 株 式 を 外 国 人 に 譲 渡 する しかし 後 で 述 べるとおり 新 法 成 立 に 伴 い このスキームは 使 えなくなった 新 法 の 概 要 新 法 が 定 める 外 国 人 外 国 法 人 によるスリランカ 国 内 の 土 地 の 所 有 権 1 の 取 得 に 関 するルールの 概 要 は 以 下 のとおりである 1 外 国 人 外 国 法 人 および 外 国 人 により 直 接 間 接 に 50% 以 上 支 配 されているスリランカ 法 人 は スリ ランカ 国 内 の 土 地 の 所 有 権 の 取 得 が 原 則 禁 止 される 2 同 じく 外 国 人 外 国 法 人 および 外 国 人 により 直 接 間 接 に 50% 以 上 支 配 されているスリランカ 法 人 は 土 地 賃 貸 借 が 最 長 99 年 までしか 認 められない 3 土 地 賃 貸 借 に 対 しては 契 約 期 間 中 の 賃 料 総 額 の 15%( 一 定 の 場 合 には 7.5%)を 原 則 とする 新 しい 税 金 が 適 用 される 4 スリランカ 人 およびスリランカ 国 内 株 主 割 合 が 50% 超 のスリランカ 法 人 が 国 有 地 を 購 入 賃 貸 借 する 場 合 には 25% 割 引 価 格 が 適 用 される 2 1 スリランカ 法 上 土 地 の 利 用 処 分 権 限 の 代 表 的 な 例 として Freehold と Leasehold が 存 在 している 2 なお 新 法 では 私 有 地 の 地 価 は 免 許 を 有 する 評 価 人 の 評 価 により 決 定 され 賃 料 もかかる 評 価 額 を 前 提 に 計 算 すべきものとされている 5

上 記 1について より 具 体 的 には 新 法 の 2 条 1 項 において 以 下 の 者 に 対 するスリランカ 国 内 の 土 地 の 譲 渡 は 原 則 として 認 められないと 定 めている 外 国 人 スリランカ 会 社 法 に 基 づいて 設 立 された 法 人 (スリランカ 法 人 )のうち 直 接 間 接 の 外 国 株 主 が 50% 以 上 である 者 外 国 法 人 したがって スリランカ 法 人 を 箱 として 用 いる 場 合 には 譲 受 人 たるスリランカ 法 人 の 外 国 人 株 主 割 合 は 50% 未 満 でなければならない というルールに 服 することになる ここで 旧 法 で 用 いられた スリランカ 法 人 に 土 地 を 取 得 させた 後 で 外 国 人 がその 法 人 の 株 式 を 取 得 する というスキームを 自 由 に 認 めると 容 易 にルールが 潜 脱 されてしまう そこで 新 法 は 土 地 を 取 得 したスリ ランカ 法 人 は 土 地 の 譲 受 後 最 低 20 年 間 は 外 国 人 株 主 割 合 50% 以 下 という 状 態 を 維 持 しなければならな いと 定 め 潜 脱 の 防 止 策 を 講 じている 仮 に 土 地 を 購 入 した 後 になって 譲 受 人 であるスリランカ 法 人 の 外 国 人 株 主 割 合 が 50% 以 上 となった 場 合 3 当 該 土 地 取 得 は 法 的 に 効 力 を 失 い 閾 値 を 越 えた 時 点 から 無 効 となってしまう 4 ただし 閾 値 を 越 え た 後 に 6 ヶ 月 以 内 ( 上 場 会 社 の 場 合 は 12 ヶ 月 以 内 )に 外 国 人 株 主 割 合 を 50% 未 満 に 戻 せば 閾 値 を 下 回 っ た 時 点 から 再 び 土 地 取 得 が 法 的 に 有 効 なものとして 復 活 するとされている また 外 資 規 制 の 例 外 として 内 閣 の 事 前 承 認 を 受 け かつ 各 担 当 大 臣 との 協 議 の 上 で 財 務 大 臣 は 銀 行 金 融 保 険 海 運 航 空 先 端 技 術 または 2008 年 の 戦 略 的 開 発 プロジェクト 法 に 基 づいて 戦 略 的 開 発 プロ ジェクトとして 指 定 されたインフラ 開 発 プロジェクトに 従 事 する 外 国 法 人 に 対 し 上 記 外 資 規 制 の 個 別 解 除 を 認 めることができるという 規 定 が 存 在 する なお この 個 別 解 除 は 国 際 的 な 事 業 に 従 事 する 外 国 法 人 が スリランカ 国 内 でその 世 界 的 または 地 域 的 事 業 展 開 のための 拠 点 を 設 ける 場 合 にも 適 用 され 得 る 新 法 が 実 務 に 及 ぼす 影 響 懸 念 について 新 法 によって スリランカにおける 土 地 所 有 権 の 取 得 を 伴 う 投 資 プロジェクトにこれから 新 規 参 入 しようと 考 える 日 系 企 業 は そのスキームの 再 考 を 迫 られることになる 新 法 のルールを 潜 脱 回 避 する 新 しい 投 資 ス キームが 求 められるが 実 務 や 裁 判 所 の 判 断 が 安 定 するまでは とりわけ 慎 重 な 対 応 が 求 められる (1) 不 動 産 市 場 全 体 への 影 響 新 法 は 2013 年 1 月 1 日 までに 土 地 を 取 得 した 外 国 人 に 対 しては 適 用 されないとされているため そ れ 以 前 に 取 得 した 場 合 には 新 法 による 直 接 の 影 響 はない しかし 新 法 施 行 より 買 い 手 の 質 と 量 が 変 容 3 これには 直 接 間 接 の 所 有 者 変 更 による 場 合 や 個 人 株 主 の 死 亡 による 相 続 の 場 合 すら 含 まれる 4 無 効 となった 場 合 の 権 利 関 係 の 処 理 は 新 法 上 明 確 ではないものの おそらく 所 有 権 が 譲 渡 人 の 下 に 戻 るという 趣 旨 と 考 えられる 6

する 結 果 不 動 産 市 場 全 体 の 流 動 性 が 低 下 するという 影 響 は 避 けられないだろう 2013 年 1 月 1 日 以 降 に 土 地 を 取 得 した 場 合 には 新 法 の 影 響 について 慎 重 に 分 析 する 必 要 がある (2) 外 国 人 によるスリランカ 法 人 の 株 式 取 得 への 影 響 また 通 常 の M&A やスリランカ 法 人 への 投 資 の 場 面 においても 注 意 が 必 要 となる 外 国 人 が 株 式 を 取 得 する 結 果 外 国 人 株 主 割 合 が 合 計 50% 以 上 になる 場 合 には 対 象 会 社 の 事 業 にとって 重 要 な 土 地 の 取 得 時 期 を デューデリジェンスを 通 じて 確 認 する 必 要 があるだろう 新 法 適 用 下 5 で 取 得 された 土 地 の 場 合 土 地 取 得 が 事 後 的 に 無 効 とされるリスクがあるためである 他 方 こうした 重 要 な 土 地 が 旧 法 下 で 有 効 に 取 得 されている 場 合 には 新 法 による 直 接 の 障 害 はない ただし スリランカ 法 人 の 株 式 の 譲 渡 に 際 しては 印 紙 税 の 納 付 が 必 要 となるところ 今 後 実 務 が 安 定 するまでの 間 外 国 人 がスリランカ 法 人 の 株 式 を 取 得 する 場 合 における 印 紙 税 の 担 当 官 の 対 応 が 必 要 以 上 に 慎 重 となる 可 能 性 は 考 えられる こうした 点 も 含 めて 今 後 の 実 務 運 用 を 注 視 する 必 要 がある だろう (3) 土 地 の 長 期 利 用 に 関 する 留 意 点 新 法 が 外 資 誘 致 という 政 策 と 矛 盾 するのではないか という 指 摘 に 対 し スリランカ 政 府 は 新 法 は 外 国 投 資 に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼすものではない との 立 場 を 貫 いている これは 所 有 が 原 則 禁 止 とな っても 最 長 99 年 の 長 期 賃 貸 借 は 認 められるという 点 を 論 拠 としているようである ただし 英 国 などでは 一 定 の 条 件 を 満 たす 場 合 に 法 的 な 更 新 権 が 発 生 するなど 超 長 期 の 賃 貸 借 に 対 し 土 地 所 有 権 と 類 似 の 保 護 を 与 える という 法 理 が 発 展 しているといわれているが スリラ ンカでは まだかかる 法 理 は 確 立 していない そこで 賃 貸 借 や 転 貸 借 に 関 する 契 約 書 を 締 結 する 場 合 には 法 律 を 順 守 しつつも 自 らの 権 利 を 最 大 限 確 保 すべく しっかりとした 法 的 アドバイスを 受 けるこ とが 重 要 である 記 事 提 供 : 松 田 綜 合 法 律 事 務 所 弁 護 士 久 保 達 弘 本 稿 は スリランカの 現 地 法 律 事 務 所 John Wilson Partners のパートナー ジョン ウィルソン 弁 護 士 の 提 供 資 料 情 報 に 基 づいて 作 成 している (2014 年 12 月 14 日 作 成 ) 5 2013 年 1 月 1 日 以 降 に 土 地 を 取 得 した 場 合 には 注 意 が 必 要 である 7

3. フィリピン: 就 任 4 年 半 を 迎 えるベニグノ アキノ 大 統 領 内 外 から 高 く 評 価 されるアキノ 大 統 領 の 政 策 運 営 2010 年 6 月 にフィリピン 共 和 国 第 15 代 大 統 領 に 就 任 したベニグノ アキノ 3 世 ( 以 下 アキノ 大 統 領 )は 2014 年 12 月 末 で 就 任 4 年 半 となる 大 統 領 任 期 を 6 年 とし 再 選 を 禁 ずる 憲 法 の 規 定 により アキノ 大 統 領 に 残 された 時 間 は 任 期 の 4 分 の 1 となる 1 年 半 である アキノ 大 統 領 の 政 策 運 営 に 対 する 国 民 の 評 価 は 2013 年 後 半 以 降 においてはやや 低 下 傾 向 にある 1 ものの 故 マルコス 大 統 領 による 長 期 独 裁 政 権 (1965 年 ~1986 年 ) 崩 壊 後 に 誕 生 したどの 政 権 よりも 高 く( 図 表 1) アキノ 政 権 の 政 策 運 営 への 評 価 からフィリピンに 対 する 国 際 的 な 評 価 も 高 まっている( 図 表 2) 1 2013 年 後 半 以 降 において アキノ 政 権 の 評 価 がやや 低 下 傾 向 にある 事 由 は 以 下 2 点 12013 年 3 月 以 降 国 会 議 員 の 裁 量 によって 使 途 が 決 定 される 優 先 開 発 支 援 基 金 (PDAF)の 不 正 流 用 事 案 が 次 々と 発 覚 し 政 界 を 揺 るがすスキャンダルに 発 展 したこと 2アキノ 政 権 において 導 入 した 支 出 迅 速 化 プログラム(DAP)について 大 統 領 府 の 裁 量 権 限 の 大 きさへの 批 判 が 高 まり 2014 年 7 月 に DAP に 基 づいて 実 施 された 措 置 の 一 部 を 違 憲 とする 最 高 裁 判 決 が 下 されたこと 8

格 付 け 機 関 Moody s および S&P は 2013 年 に 揃 ってフィリピンのソブリン 格 付 けを 投 資 適 格 級 に 格 上 げ し 翌 2014 年 もそれぞれ 1 段 階 格 上 げした アキノ 大 統 領 就 任 後 の 4 年 半 において 両 社 ともに ほぼ 毎 年 計 4 段 階 もの 格 上 げを 行 ったことになる 格 上 げ 事 由 としては 高 い 経 済 成 長 の 実 現 財 政 健 全 化 の 進 展 政 治 安 定 とガバナンス 向 上 の 3 点 に 概 ね 集 約 される 最 重 要 課 題 として 取 り 組 む 腐 敗 対 策 アキノ 大 統 領 は いずれも 故 マルコス 長 期 独 裁 政 権 と 戦 った 故 ベニグノ アキノ ジュニア 元 上 院 議 員 (1983 年 暗 殺 )と 故 コラソン アキノ 元 大 統 領 の 長 男 として 1960 年 に 生 まれた サラリーマン 生 活 を 経 て 1998 年 に 下 院 議 員 となり 政 治 の 世 界 に 足 を 踏 み 入 れると コラソン アキノ 元 大 統 領 逝 去 (2009 年 ) 後 周 囲 に 推 されて 2010 年 5 月 の 大 統 領 選 挙 に 出 馬 し 国 民 による 直 接 選 挙 で 多 くの 支 持 を 得 て 大 統 領 に 就 任 した アキノ 大 統 領 が 選 挙 公 約 にも 掲 げ 最 重 要 課 題 として 大 統 領 就 任 以 来 注 力 してきたのが 腐 敗 対 策 である ドイツの NGO トランスペアレンシー インターナショナルが 毎 年 公 表 する 腐 敗 認 識 指 数 (Corruption Perceive Index)によると フィリピンはアキノ 大 統 領 が 就 任 した 2010 年 の 134 位 から 毎 年 順 位 を 上 昇 させ 2014 年 には 85 位 (175 ヵ 国 中 )となった 腐 敗 認 識 指 数 は 国 家 の 腐 敗 レベルを 数 値 化 し 腐 敗 レベルの 低 い 国 家 が 上 位 となるようにランキングにしている フィリピンがこの 4 年 間 に 上 昇 した 順 位 (49 位 )は 対 象 175 ヵ 国 において 最 大 であり 改 善 余 地 はなお 大 きいものの 成 果 は 着 実 に 表 れていると 言 えよう こうした 腐 敗 対 策 の 進 展 ならびに 継 続 は 国 民 の 政 治 への 不 満 を 相 当 程 度 解 消 し 治 安 の 改 善 2 政 治 の 安 定 化 に 繋 がって いる フィリピンはもともとポテンシャルの 高 い 国 だ 1 億 の 人 口 は ASEAN の 中 でインドネシアに 次 いで 多 い 国 民 の 平 均 年 齢 は 23 歳 と 若 く ASEAN 主 要 国 の 中 で 最 も 長 く 人 口 ボーナスを 享 受 できる 人 口 動 態 を 有 する 英 語 に 堪 能 な 労 働 力 の 確 保 が 容 易 であり 賃 金 水 準 は 比 較 的 低 位 にとどまる こうしたポテンシャルの 存 在 に もかかわらず 20 年 に 亘 るマルコス 長 期 独 裁 政 権 下 において 政 治 腐 敗 と 治 安 悪 化 が 進 み それ 以 降 の 政 権 に おいてもこうした 課 題 を 解 決 できず 政 治 の 安 定 性 を 確 保 できなかった この 結 果 海 外 からフィリピンへの 直 接 投 資 が 進 まず ASEAN 主 要 国 との 比 較 において 雇 用 創 出 力 の 大 きな 製 造 業 が 育 たず 成 長 機 会 を 逸 して いた 国 内 での 雇 用 機 会 不 足 により 事 実 上 国 策 として 推 進 している 労 働 力 輸 出 は ポテンシャルを 活 かし 切 れ ていないフィリピンの 現 状 を 映 している 海 外 労 働 者 (OFW:Overseas Filipino Workers)の 数 はフィリピ ンの 人 口 の 1 割 を 上 回 る また 海 外 労 働 者 からフィリピン 国 内 への 送 金 額 (2013 年 は 230 億 ドル)は GDP 比 8.4%に 相 当 し フィリピン 国 内 における 個 人 消 費 を 下 支 えするとともに 経 常 収 支 の 黒 字 化 に 寄 与 してい る( 図 表 3) 2 フィリピン 政 府 は かつてミンダナオ 島 にて 反 政 府 武 装 勢 力 として 活 動 していたモロ イスラム 解 放 戦 線 (MILF)との 間 で 和 平 に 向 けた 協 議 を 粘 り 強 く 続 けてきた 結 果 最 終 和 平 への 道 筋 を 示 した 枠 組 み 合 意 (2012 年 10 月 ) 包 括 和 平 合 意 書 署 名 (2014 年 3 月 ) 地 域 復 興 / 開 発 を 推 進 する バンサモロ 開 発 計 画 公 表 (2014 年 11 月 )など 最 終 和 平 実 現 に 向 けた 作 業 が 本 格 化 している こうした 動 きも 治 安 の 改 善 に 対 する 評 価 から フィリピンへの 投 資 拡 大 に 寄 与 しているものと 思 われる 9

(10 億 ドル) 30 図 表 3: 国 際 収 支 20 10 0-10 -20-30 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 出 所 )フィリピン 中 央 銀 行 第 二 次 所 得 収 支 第 一 次 所 得 収 支 サービス 収 支 貿 易 収 支 経 常 収 支 海 外 労 働 者 送 金 は 第 二 次 所 得 収 支 に 含 まれる アキノ 大 統 領 が 腐 敗 対 策 とともに 推 進 する 財 政 規 律 の 強 化 や 対 外 負 債 削 減 についても 成 果 が 表 れている 政 府 は 中 期 的 に 財 政 赤 字 を GDP 比 2%に 抑 える 方 針 を 打 ち 出 している また 税 収 基 盤 拡 大 と 徴 税 強 化 に 加 えて 負 債 削 減 を 通 じた 利 払 い 負 担 軽 減 により インフラ 整 備 に 充 当 する 財 政 資 金 の 拡 大 を 図 っている 経 済 は 好 調 を 維 持 するも 一 層 の 投 資 環 境 改 善 が 持 続 的 成 長 に 不 可 欠 アキノ 政 権 の 政 策 運 営 を 受 けて フィリピン 経 済 は 好 調 を 維 持 している 経 済 成 長 率 は ASEAN 主 要 国 の なかで 2012 年 (+6.8%) 2013 年 (+7.2%)と 2 年 連 続 で 最 も 高 い 数 値 となり 2014 年 についても IMF の 経 済 見 通 し(2014 年 10 月 )では+6.2%と 2013 年 より 減 速 するものの ASEAN 主 要 国 トップの 成 長 率 を 維 持 する 見 込 みである( 図 表 4) 海 外 労 働 者 送 金 に 支 えられた 個 人 消 費 に 加 えて 投 資 や 輸 出 も 底 堅 く 推 移 している インフレ 圧 力 上 昇 に 対 する 予 防 的 措 置 として フィリピン 中 銀 は 2014 年 7 月 および 9 月 に 利 上 げを 行 ったが 足 元 の 原 油 価 格 の 下 落 により インフレリスクは 後 退 している 一 方 失 業 率 は 7% 前 後 に 高 止 まりし 経 済 成 長 率 との 比 較 でみ ると 貧 困 の 解 消 についてあまり 進 展 がみられない 3 持 続 的 な 成 長 をより 確 かなものとするためには イン フラ 整 備 などを 通 じて 投 資 環 境 の 一 層 の 改 善 を 図 るとともに 国 内 への 投 資 誘 致 を 積 極 化 し 雇 用 創 出 力 の 大 きな 製 造 業 を 育 成 するなどの 取 組 が 不 可 欠 であろう 3 貧 困 率 ( 全 国 )の 推 移 2006 年 21.0% 2009 年 20.5% 2012 年 19.7%(フィリピン 国 家 統 計 調 整 委 員 会 ) 10

すでに 始 まっている 次 期 大 統 領 選 挙 に 向 けた 動 き 一 般 的 に 特 に 新 興 国 において 政 権 交 代 のスケジュールが 近 づいてくると 政 策 変 更 リスクが 意 識 され 海 外 からの 投 資 が 抑 制 されることがあり 得 るとされる アキノ 大 統 領 が 進 めてきた 反 腐 敗 キャンペーンや 改 革 路 線 をアキノ 大 統 領 退 任 後 も 継 続 することができるのか 次 期 大 統 領 は 誰 になるのか 誰 もが 気 になるところ である 次 期 大 統 領 選 挙 は 2016 年 5 月 に 実 施 予 定 であり すでにメディアにて 報 じられ 始 めた 次 期 大 統 領 の 有 力 候 補 者 に 関 する 複 数 の 世 論 調 査 の 結 果 によると 現 時 点 で 次 期 大 統 領 に 相 応 しいと 考 えられている 候 補 者 の 先 頭 にはジェジョマール ビナイ 副 大 統 領 が 立 つ( 図 表 5) ビナイ 副 大 統 領 は 2010 年 5 月 に 大 統 領 選 挙 と 一 緒 に 行 われた 副 大 統 領 選 挙 において 野 党 陣 営 から 出 馬 し 大 統 領 候 補 者 のアキノ 大 統 領 とタッグを 組 んで 副 大 統 領 選 挙 に 臨 んだロハス 内 務 自 治 大 臣 ( 当 時 は 上 院 議 員 )を 破 って 副 大 統 領 に 就 任 した 人 物 であり アキノ 大 統 領 が 望 む 自 らの 後 継 者 候 補 にはなり 得 ない アキノ 大 統 領 の 後 継 候 補 となり 得 るロハス 内 務 自 治 大 臣 に 対 する 次 期 大 統 領 候 補 者 としての 支 持 はあまり 広 がりを 見 せておらず 与 党 からビナイ 副 大 統 領 に 対 抗 できる 有 力 候 補 はまだ 現 れていない 11

こうしたなか 大 統 領 の 再 選 を 禁 ずる 現 在 の 憲 法 を 改 正 し アキノ 大 統 領 に 大 統 領 再 選 を 目 指 すよう 求 める 声 が 多 方 面 から 上 がり 2014 年 8 月 にはアキノ 大 統 領 自 身 も 国 民 の 意 思 に 従 う という 表 現 にて 大 統 領 再 選 を 前 向 きな 姿 勢 を 初 めて 示 した しかしその 後 の 世 論 調 査 などにおいて 大 統 領 再 選 にあくまでも 慎 重 な 国 民 の 意 思 が 示 されたこともあり 母 である 故 コラソン アキノ 大 統 領 が 主 導 して 制 定 した 現 在 の 憲 法 を 改 正 し てまで 再 選 に 挑 む 意 思 は 現 在 ではなくなったようだ これにより 次 期 大 統 領 選 は すでに 大 統 領 選 出 馬 を 表 明 しているビナイ 副 大 統 領 と 今 後 アキノ 大 統 領 が 指 名 するであろう 与 党 後 継 候 補 を 軸 に 展 開 することが 確 実 になったものと 思 われる アキノ 大 統 領 がいつ 誰 を 後 継 者 に 指 名 するのかが 注 目 される 2015 年 末 には ASEAN 経 済 共 同 体 (AEC)が 発 足 し 経 済 一 体 化 を 進 展 させる 取 組 を 強 化 する 予 定 であり ASEAN 各 国 どうしの 投 資 環 境 整 備 に 係 わる 競 争 も 激 化 することが 予 想 される アキノ 大 統 領 退 任 後 の 政 策 継 続 性 への 不 透 明 感 はあるものの 大 統 領 選 の 行 方 にかかわらず 周 辺 国 との 投 資 環 境 整 備 に 係 わる 競 争 や 国 内 外 の 改 革 継 続 への 期 待 がフィリピンの 経 済 改 革 の 継 続 を 後 押 しする 結 果 フィリピン 経 済 は 今 後 も 比 較 的 高 い 成 長 が 期 待 できよう 以 上 ( 参 考 文 献 ) 記 事 提 供 : 公 共 財 団 法 人 国 際 通 貨 研 究 所 開 発 経 済 調 査 部 上 席 研 究 員 加 藤 淳 アジア 経 済 研 究 所 アジア 動 向 年 報 2008 年 ~2014 年 WORLD BANK GROUP DOING BUSINESS 2009 年 ~2015 年 World Economic Forum The Competitiveness Report 2014-2015 パルス アジア リサーチ Pulse Asia Research s November 2014 Nationwide Survey on the May 2016 Elections 2014 年 IMF WORLD BANK UNCTAD フィリピン 中 央 銀 行 フィリピン 国 家 統 計 局 フィリピン 国 家 統 計 調 整 委 員 会 Social Weather Stations 外 務 省 JETRO 各 ホームページ 12

2013.1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2014.1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 4. 政 治 経 済 産 業 トピックス インドネシア -2014 年 の 国 内 自 動 車 販 売 台 数 は 前 年 比 1.8% 減 少 インドネシア 自 動 車 協 会 (Gaikindo)が 発 表 した 2014 年 のインドネシアの 国 内 自 動 車 販 売 台 数 は 120 万 8,019 台 前 年 比 1.8% 減 少 した 上 期 は 堅 調 に 推 移 したが 下 期 に 景 気 減 速 により 落 ち 込 んだ ( 台 ) インドネシア: 国 内 自 動 車 販 売 台 数 推 移 150,000 100,000 50,000 0 ( 出 所 )ガイキンド インドネシア -2014 年 の 二 輪 車 販 売 台 数 は 前 年 比 1.6% 増 加 インドネシア 二 輪 車 協 会 (AISI)が 発 表 した 2014 年 のインドネシアの 二 輪 車 国 内 販 売 台 数 は 786 万 7,195 台 前 年 比 1.6% 増 加 した 生 産 台 数 は 792 万 6,104 台 前 年 比 2.5% 増 加 ( 万 台 ) 1,000 800 600 468.8 400 200 インドネシア: 国 内 二 輪 車 販 売 台 数 801.3 736.9 706.4 621.6 585.2 774.4 786.7 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ( 出 所 )AISI 資 料 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 国 際 業 務 部 作 成 13

インド -2014 年 10-12 月 期 7.5% 成 長 1 月 9 日 インド 中 央 統 計 局 発 表 2014 年 10-12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 7.5% 中 国 の 成 長 率 は 7% 程 度 に 低 下 しつつあり インドの 成 長 率 は 中 国 を 上 回 っている また 今 回 から GDP 計 算 の 金 年 度 が 2004/05 年 度 から 2011/12 年 度 に 変 更 された このため 2014 年 1-3 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 が 6.5%( 修 正 前 5.7%) 4-6 月 期 8.2%( 修 正 前 5.3%)に 上 方 修 正 されている インド - 原 子 力 発 電 所 建 設 に 向 け 米 国 と 合 意 1 月 25 日 米 国 のオバマ 大 統 領 とインドのモディ 首 相 は ニューデリーで 首 脳 会 談 を 実 施 会 談 後 の 記 者 会 見 で オバマ 大 統 領 は 原 子 力 協 力 推 進 の 障 害 となっていた 2 つの 問 題 について 画 期 的 な 合 意 が なされた と 発 言 した 詳 細 は 明 らかにされていないが 現 地 報 道 によると これまで 米 国 がインドに 要 求 していた 輸 入 核 燃 料 の 第 三 国 への 輸 出 を 監 視 するための 追 跡 を 米 国 が 取 り 下 げた 他 インドが 原 発 メーカーの 賠 償 責 任 をカバーする 保 険 制 度 を 創 設 した 模 様 これまで 原 子 力 発 電 所 に 事 故 が 発 生 した 場 合 原 発 メーカーに 賠 償 責 任 が 生 じるとするインドの 法 律 がネックとなり 米 国 企 業 のイン ドにおける 原 子 力 発 電 所 建 設 は 進 んでいなかった オーストラリア - 政 策 金 利 0.25% 引 下 げ 2.25%に 2 月 3 日 オーストラリア 準 備 銀 行 (RBA)は すでに 史 上 最 低 となっている 政 策 金 利 をさらに 0.25% 引 2.25%にすると 発 表 した 主 力 輸 出 品 である 石 炭 や 鉄 鉱 石 の 国 際 価 格 の 下 落 経 済 成 長 率 の 低 下 失 業 率 の 上 昇 および 物 価 上 昇 率 が 低 くなっていることを 考 慮 し 景 気 刺 激 を 行 う 14

5. 主 要 各 国 の 経 済 指 標 マレーシア 単 位 2013 2014 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 % 4.7 6.5 5.6 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 2.1 3.1 3.3 3.0 2.8 3.0 2.7 消 費 者 物 価 指 数 (CPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル 22,265 25,266 5,709 5,259 6,317 3,324 2,642 経 常 収 支 百 万 米 ドル 12,601 4,947 2,379 市 場 金 利 % 3.32 3.86 3.55 3.74 3.86 3.82 3.86 3.85 銀 行 間 (3カ 月 物 ) 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 3.1507 3.2726 3.2347 3.1923 3.3654 3.3473 3.4799 3.5808 期 中 平 均 株 価 1,867.0 1,761.3 1,882.7 1,846.3 1,761.3 1,820.9 1,761.3 1,781.3 クアラルンプール 総 合 指 数 期 末 値 ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 マレーシア 中 銀 など) タイ 単 位 2013 2014 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 % 2.9 0.7 0.4 0.6 2.3 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 2.2 1.9 2.5 2.0 1.1 1.3 0.6-0.4 消 費 者 物 価 指 数 (CPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル 6,661 24,582 5,887 4,780 7,636 1,914 3,640 経 常 収 支 百 万 米 ドル -2,452 14,231-552 -526 9,815 1,664 5,523 政 策 金 利 % 2.25 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 翌 日 物 レポ 金 利 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 30.72 32.48 32.45 32.11 32.71 32.79 32.89 32.74 期 中 平 均 株 価 1,298.7 1,497.7 1,485.8 1,585.7 1,497.7 1,593.9 1,497.7 1,581.3 SET 指 数 期 末 値 ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 タイ 中 央 銀 行 国 家 経 済 社 会 開 発 委 員 会 など) インドネシア 単 位 2013 2014 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 % 5.6 5.0 5.0 4.9 5.0 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 6.4 6.4 7.1 4.4 6.5 6.2 8.4 7.0 消 費 者 物 価 指 数 (CPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル -4,077-1,886-2,198-539 -218-425 187 経 常 収 支 百 万 米 ドル -29,102-8,689-6,836 政 策 金 利 % 7.50 7.75 7.50 7.50 7.75 7.75 7.75 7.75 BI 金 利 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 10,449 11,868 11,623 11,764 12,249 12,170 12,434 12,579 期 中 平 均 株 価 4,274.2 5,226.9 4,878.6 5,137.6 5,226.9 5,149.9 5,226.9 5,289.4 インドネシア 総 合 指 数 期 末 値 ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 インドネシア 中 央 銀 行 など) ベトナム 単 位 2013 2014 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 % 5.4 6.0 5.3 6.1 7.0 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 6.6 4.1 4.7 4.3 2.6 2.6 1.8 0.9 消 費 者 物 価 指 数 (CPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル 0 1,984 390 443-728 438-1,162-500 経 常 収 支 百 万 米 ドル 9,471 政 策 金 利 % 7.00 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 リファイナンスレート 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 21,030 21,199 21,158 21,218 21,324 21,340 21,378 21,365 期 中 平 均 株 価 504.63 545.63 578.13 598.80 545.63 566.58 545.63 576.07 VN 指 数 (ホーチミン) 期 末 値 ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 ベトナム 統 計 局 中 央 銀 行 IMFなど) フィリピン 単 位 2013 2014 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 % 7.2 6.1 6.4 5.3 6.9 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 3.0 4.2 4.4 4.7 3.6 3.7 2.7 2.4 消 費 者 物 価 指 数 (CPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル -5,713 265 23 272 経 常 収 支 百 万 米 ドル 10,391 3,004 3,036 市 場 金 利 % 0.00 1.42 1.04 1.24 1.42 1.30 1.42 TB 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 42.45 44.39 44.13 43.77 44.81 44.95 44.68 44.60 期 中 平 均 株 価 5,889.8 7,230.6 6,844.3 7,283.1 7,230.6 7,294.4 7,230.6 7,689.9 フィリピン 総 合 指 数 期 末 値 ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 IMFなど) インド 単 位 2012 年 度 2013 年 度 2014/2Q 2014/3Q 2014/4Q Nov-14 Dec-14 Jan-15 備 考 実 質 GDP 成 長 率 * % 5.1 6.9 6.5 8.2 7.5 前 年 ( 同 期 ) 比 インフレ 率 % 7.4 6.0 5.8 3.9 0.0 0.1 卸 売 物 価 指 数 (WPI) 前 年 ( 同 期 ) 比 貿 易 収 支 百 万 米 ドル -190,336-136,086-34,331-38,887-15,996-9,435 経 常 収 支 百 万 米 ドル -87,843-32,358-7,837-10,103 政 策 金 利 % 7.50 8.00 8.00 8.00 8.00 8.00 8.00 7.75 レポレート 期 末 値 外 国 為 替 相 場 対 米 ドル 54.41 60.47 59.81 60.60 61.95 61.73 62.74 62.24 期 中 平 均 株 価 18,836 22,386 25,414 26,631 27,499 28,694 27,499 29,183 ムンバイSENSEX 指 数 期 末 値 * 実 質 GDP 成 長 率 は 新 (2011 年 ) 基 準 且 つ 市 場 価 格 ベース ( 作 成 日 :2015 年 2 月 16 日 ) ( 出 所 : 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 RBI 中 央 統 計 局 など) 15

( 編 集 発 行 ) 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 国 際 業 務 部 ( 照 会 先 ) 北 村 広 明 (e-mail): hiroaki_2_kitamura@mufg.jp 本 資 料 は 情 報 提 供 を 唯 一 の 目 的 としたものであり 金 融 商 品 の 売 買 や 投 資 などの 勧 誘 を 目 的 としたものではありません 本 資 料 の 中 に 銀 行 取 引 や 同 取 引 に 関 連 する 記 載 がある 場 合 弊 行 がそれらの 取 引 を 応 諾 したこと またそれらの 取 引 の 実 行 を 推 奨 することを 意 味 するものではなく それらの 取 引 の 妥 当 性 や 適 法 性 等 について 保 証 するものでもありません 本 資 料 の 記 述 は 弊 行 内 で 作 成 したものを 含 め 弊 行 の 統 一 された 考 えを 表 明 したものではありません 本 資 料 は 信 頼 できると 思 われる 情 報 に 基 づいて 作 成 されていますが その 正 確 性 信 頼 性 完 全 性 を 保 証 するものではあ りません 最 終 判 断 はご 自 身 で 行 っていただきますようお 願 いいたします 本 資 料 に 基 づく 投 資 決 定 経 営 上 の 判 断 そ の 他 全 ての 行 為 によって 如 何 なる 損 害 を 受 けた 場 合 にも 弊 行 ならびに 原 資 料 提 供 者 は 一 切 の 責 任 を 負 いません 実 際 の 適 用 につきましては 別 途 公 認 会 計 士 税 理 士 弁 護 士 にご 確 認 いただきますようお 願 いいたします 本 資 料 の 知 的 財 産 権 は 全 て 原 資 料 提 供 者 または 株 式 会 社 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 に 帰 属 します 本 資 料 の 本 文 の 一 部 または 全 部 について 第 三 者 への 開 示 および 複 製 販 売 その 他 如 何 なる 方 法 においても 第 三 者 への 提 供 を 禁 じます 本 資 料 の 内 容 は 予 告 なく 変 更 される 場 合 があります 16