脳 神 経 外 科 と 漢 方 細 辛 湯 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 等 が 使 われます 初 めの 3 つの 処 方 には 麻 黄 が 入 っています 漢 方 の 中 で 飲 むと 胃 を 傷 める 生 薬 があり その 一 つが 麻 黄 もう 一 つが 地 黄 です 地 黄 は 体 が 比



Similar documents
一般用漢方製剤の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について_3

Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>


スライド 1


診療行為コード

Microsoft Word - 2章.doc

首 は 下 あ ご の 骨 の 下 か ら 鎖 骨 の 上 ま で 自 分 の 首 を 両 手 で は さ ん で お さ え て み ま し ょ う 師 首 っ て ど ん な 仕 事 を し て い る か な 子 頭 を の せ て い る 頭 を お さ え て い る 頭 を 動 か し

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

Microsoft Word - conference

<4D F736F F F696E74202D C928D4E C182C4967B939682C991CC82C982A282A282CC F4390B394C529>

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

スライド 1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

51 胃 腸 薬 3-2 胃 腸 鎮 痛 剤 3 号 A 52 胃 腸 薬 4-2 胃 腸 鎮 痛 剤 4 号 A 53 胃 腸 薬 5-1 健 胃 消 化 剤 1 号 A 54 胃 腸 薬 6-2 胃 腸 鎮 痛 剤 5 号 A 55 胃 腸 薬 7-1 センブリ 重 曹 散 56 胃 腸 薬 8

( 別 添 )インフルエンザに 伴 う 異 常 な 行 動 に 関 する 報 告 基 準 ( 報 告 基 準 ) ( 重 度 調 査 )インフルエンザ 様 疾 患 と 診 断 され かつ 重 度 の 異 常 な 行 動 を 示 した 患 者 につき ご 報 告 ください ( 軽 度 調 査 )インフ

目次

<タイトル>DES被害の軌跡(1)

5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

tokutei2-7.xls

_si00421

スライド 1

スライド 1

Microsoft Word - 通知 _2_.doc

< F2D A C5817A C495B6817A>

各論_1章〜7章.indd

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症

5

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

平成24年度 福島県患者調査の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課 保健統計室:H )

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

伊勢崎市職員職場復帰支援制度

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

Taro-iryouhoken

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

2-1膠原病.doc

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

(現行版)工事成績書と評定表をあわせた_docx

(Microsoft Word - \213\213\227^\201E\222\350\210\365\212\307\227\235\214\366\225\\\201iH \)\201iHP\227p\201j.doc)

( 減 免 の 根 拠 等 ) 第 1 条 こ の 要 綱 は, 地 方 税 法 第 条 の 規 定 に 基 づ く 市 税 条 例 第 6 9 条 の 2 の 規 定 を 根 拠 と す る 身 体 障 害 者 等 に 対 す る 軽 自 動 車 税 の 減 免 の 具 体 的 な 対

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

全設健発第     号

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

定款  変更

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

後期高齢者医療制度

PowerPoint プレゼンテーション

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

vol.54.pmd

syounin385

栄養管理手順について

 

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

越前米

<4D F736F F D20328FCD5F8F5A82DC82A282DC82BF82C382AD82E882CC89DB91E8>

Taro-29職員退職手当支給規程


経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

Microsoft PowerPoint - エントリー04_結婚TextVoice

第37回 漢方で見える!聞こえる!(漢方)

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ


地域支援心理研究センター 紀要 第10号

○00表紙

Microsoft Word - 【HP用】運営状況(~H27)

01.活性化計画(上大久保)

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

5 月 19 日 5 新 生 児 の 呼 吸 障 害 GIO: 新 生 児 期 に 生 じる 呼 吸 障 害 の 病 態 の 特 徴 を 説 明 でき 胸 部 XPから 診 断 できる SBO: 1. 新 生 児 呼 吸 障 害 の 病 態 に 基 づく 症 状 の 特 徴 を 説 明 できる 2.

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

47 高 校 講 座 モ オ モ 圏 比 較 危 述 覚 普 第 章 : 活

職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 () 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 ( 年 4 月 日 現 在 ) 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 44. 歳 6,4, 歳,44 4,7 7,6 4. 歳 7,


富士山チェックリスト

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

フ ェ ネ ル ミ ン 錠 鉄 5 0 m g F プ リ ン ド リ ル 細 粒 1 % C リ ザ ス ト 錠 3 m g F

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

Microsoft PowerPoint  22日修正最終確定.ppt

10w.xdw

Transcription:

特 別 講 演 Ⅱ 症 状 に 基 づく 漢 方 処 方 清 水 弘 之 清 水 クリニック 院 長 漢 方 の 診 断 としては まず 患 者 の 体 質 を 全 体 的 につかんで さらにその 体 質 から 臨 床 症 状 を 生 理 機 能 の 歪 みとしてとらえる その 際 に 気 血 水 という 3 つの 概 念 のうち どの 歪 みであるのかをとらえることが 薬 方 を 決 定 するのに 便 利 になるのではないかと 思 います 患 者 さんを 見 た 場 合 まず 実 証 と 虚 証 ということを 考 えないといけません 実 証 ですが がっちりして 筋 骨 たくましい 声 に 力 がある 皮 膚 につやがある 血 色 がよい 汗 が 出 ない 無 汗 便 秘 傾 向 力 のある 脈 腹 診 で 弾 力 性 がある これらが 実 証 の 特 徴 です 典 型 的 な 人 はあまり 来 ませんが 虚 証 の 典 型 としては 非 常 に 痩 せて 声 も 小 さい 皮 膚 が 乾 いている 疲 れやすい 自 然 に 汗 が 出 る 自 汗 という 傾 向 下 痢 軟 便 力 のない 弱 々しい 脈 腹 診 で 弱 々しく 力 がない 等 です 患 者 さんを 見 た 場 合 虚 実 を 明 確 に 分 けられるわけではなくて その 中 間 の 証 の 人 もいます 感 覚 的 に -2 から+2 の 5 段 階 位 で 把 握 してとらえていいのではないかと 思 います 結 構 がっしりしているようで 非 常 に 虚 証 的 な 人 もいますし 体 はがっちりしているけれども 下 痢 をするとか 弱 々しいけれども 便 秘 がちだとか 虚 実 混 じった 患 者 さんがいくらでもいます 私 も 自 分 で 漢 方 を 愛 用 していますが 虚 証 的 の 漢 方 薬 が 合 うな という 日 もあれば 少 し 実 証 的 な 漢 方 薬 がいいなという 日 もあります 基 本 的 に 実 証 の 患 者 さんは 瀉 剤 によって 余 分 なものを 体 から 奪 います 例 えば 大 黄 で 瀉 下 したり 石 膏 で 熱 を 奪 ったり 等 です それに 対 して 虚 証 は 補 う 補 気 薬 例 えば 人 参 とか 血 を 養 うようなもの 四 物 湯 に 代 表 される 当 帰 川 芎 地 黄 等 を 用 います まず 風 邪 等 の 気 道 感 染 を 例 に 虚 実 の 処 方 の 例 を 示 してみたいと 思 います 条 件 反 射 で 風 邪 に 葛 根 湯 といいますが 実 際 には 実 証 には 麻 黄 湯 中 間 から 実 証 にかけては 葛 根 湯 虚 証 には 桂 枝 湯 が 基 本 的 な 処 方 になります 麻 黄 は 中 枢 性 の 興 奮 作 用 があり 気 道 感 染 いろいろな 体 の 痛 み 喘 息 等 に 用 いる 製 剤 に 入 っています 3 つ 挙 げた 風 邪 の 漢 方 薬 に 加 え もう 一 つよく 使 うのが 麻 黄 と 附 子 の 入 った 麻 黄 附 子 細 辛 湯 です お 年 寄 りで 体 が 冷 え 冷 えして 寒 い 際 に 非 常 によく 使 われます これは 麻 黄 が 含 まれているにもかかわらず 比 較 的 虚 証 の 患 者 さんに 使 われる 薬 です 気 道 感 染 ( 風 邪 など)の 例 証 方 剤 実 麻 黄 湯 中 間 葛 根 湯 虚 桂 枝 湯 麻 黄 を 含 む 方 剤 麻 黄 湯 葛 根 湯 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 麻 黄 附 子 細 辛 湯 小 青 竜 湯 麻 杏 甘 石 湯 五 虎 湯 神 秘 湯 越 婢 加 朮 湯 薏 苡 仁 湯 風 邪 にはいろいろな 随 伴 症 状 が 出 ますが 例 えば 鼻 水 には 小 青 竜 湯 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 麻 黄 附 子 117

脳 神 経 外 科 と 漢 方 細 辛 湯 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 等 が 使 われます 初 めの 3 つの 処 方 には 麻 黄 が 入 っています 漢 方 の 中 で 飲 むと 胃 を 傷 める 生 薬 があり その 一 つが 麻 黄 もう 一 つが 地 黄 です 地 黄 は 体 が 比 較 的 弱 い 人 や 高 齢 者 に 使 いますが 私 のように 胃 の 弱 い 人 が 飲 むと 胃 がやられてしまうので 麻 黄 と 地 黄 の 入 った 処 方 を 出 す 場 合 は 胃 が 丈 夫 かどうか 確 認 すべきですし 食 前 服 用 の 際 は 胃 薬 を 一 緒 に 出 すのが 親 切 かなと 思 います 随 伴 症 状 に 対 する 処 方 - 鼻 水 小 青 竜 湯 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 麻 黄 附 子 細 辛 湯 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 咳 痰 麦 門 冬 湯 麻 杏 甘 石 湯 小 青 竜 湯 半 夏 厚 朴 湯 竹 筎 温 胆 湯 清 肺 湯 小 青 竜 湯 はご 存 じのように ぽとぽと 垂 れるような 鼻 水 に 用 いますが 咳 や 痰 に 使 うこともあります 麦 門 冬 湯 は 非 常 に 有 名 ですが 比 較 的 体 力 のない 人 で 激 しい 咳 痰 が 粘 稠 の 場 合 によく 使 われま す 中 間 証 でゼーゼーと 激 しくて 咳 が 止 まらない 場 合 は 麻 杏 甘 石 湯 を 飲 むと 驚 くようによく 止 まります 小 児 の 喘 息 にも 用 います 麻 杏 甘 石 湯 に 鎮 咳 作 用 のある 桑 白 皮 を 加 えたものが 五 虎 湯 ですが 麻 杏 甘 石 湯 と 五 虎 湯 は 同 じような 形 で 使 うことができます 一 般 の 風 邪 の 人 でなかなか 咳 や 痰 が 取 れない 場 合 は 竹 筎 温 胆 湯 が 比 較 的 中 間 証 的 な 薬 ですから 誰 にでも 使 えます なかなか 痰 が 切 れない 場 合 は 清 肺 湯 等 に 切 り 替 えるとよいと 思 います 桔 梗 湯 という 甘 草 と 桔 梗 だけの 漢 方 薬 があります 甘 草 ともう 1 種 類 だけを 加 えた 漢 方 薬 は 喉 の 痛 みを 取 る 桔 梗 湯 と 筋 肉 のこむら 返 りを 取 る 薬 甘 草 湯 便 秘 に 使 う 大 黄 甘 草 湯 の 3 つがあります 桔 梗 湯 も 急 性 期 の 喉 の 痛 みに 非 常 に 有 効 です 慢 性 化 したら 小 柴 胡 湯 加 桔 梗 石 膏 等 を 使 います 喉 の 痛 み 桔 梗 湯 慢 性 化 したら 小 柴 胡 湯 加 桔 梗 石 膏 桔 梗 湯 桔 梗 甘 草 風 邪 などの 慢 性 化 に 使 用 する 柴 胡 剤 大 柴 胡 湯 実 証 四 逆 散 小 柴 胡 湯 柴 胡 桂 枝 湯 柴 胡 桂 枝 乾 姜 湯 補 中 益 気 湯 虚 証 柴 胡 剤 は 漢 方 のステロイドと 呼 ばれるぐらいに 慢 性 的 な 状 況 においては 非 常 に 有 効 な 薬 で 多 くの 柴 胡 剤 があります ただし 柴 胡 というと 小 柴 胡 湯 があまりにも 有 名 で すぐに 小 柴 胡 湯 を 追 加 することになり がちですが 柴 胡 剤 にも 実 証 のものから 一 番 虚 証 的 な 補 中 益 気 湯 まであります 従 いまして 柴 胡 剤 と 症 状 に 対 応 する 薬 とを 併 用 する 形 がよいと 思 います 例 えば 咳 が 取 れないで 慢 性 化 していたら 実 証 や 中 間 証 には 麻 杏 甘 石 湯 や 五 虎 湯 と 小 柴 胡 湯 や 大 柴 胡 湯 を 組 み 合 わせる もう 少 し 中 間 証 的 になってくると 竹 筎 温 胆 湯 と 小 柴 胡 湯 あるいはちょっと 強 い 麻 杏 甘 石 湯 とちょっと 弱 めの 柴 胡 桂 枝 湯 を 加 えて 中 和 する 118

実 中 間 咳 きがとれず 慢 性 化 中 間 証 咳 痰 がとれず 慢 性 化 麻 杏 甘 石 湯 + 小 柴 胡 湯 五 虎 湯 + 大 柴 胡 湯 竹 茹 温 胆 湯 + 小 柴 胡 湯 麻 杏 甘 石 湯 + 柴 胡 桂 枝 湯 虚 証 の 場 合 麦 門 冬 湯 と 柴 胡 桂 枝 乾 姜 湯 にする この 組 み 合 わせは 非 常 に 有 名 な 組 み 合 わせで 虚 し た 人 のなかなか 取 れない 咳 や 喘 息 には 極 めて 有 効 です 虚 証 咳 がとれず 慢 性 化 麦 門 冬 湯 + 柴 胡 桂 枝 乾 姜 湯 滋 陰 至 宝 湯 + 人 参 養 栄 湯 老 人 虚 証 咳 がとれず 慢 性 化 食 欲 もない 滋 陰 降 火 湯 + 補 中 益 気 湯 麦 門 冬 湯 + 人 参 養 栄 湯 漢 方 を 学 び 始 めたときに 滋 陰 至 宝 湯 とか 滋 陰 降 火 湯 とか 何 が 何 だかよく 分 からなくなりますが 滋 陰 至 宝 湯 は 比 較 的 虚 証 の 人 に 使 うもので これに 人 参 養 栄 湯 を 組 み 合 わせる これも 長 引 いた 痰 咳 に 効 果 があります 虚 証 の 場 合 は 滋 陰 至 宝 湯 を 使 いますが 年 を 取 っている 老 人 の 虚 証 には 滋 陰 降 火 湯 と 補 中 益 気 湯 あるいは 麦 門 冬 湯 と 人 参 養 栄 湯 の 組 み 合 わせが 可 能 となります 小 柴 胡 湯 は 肝 炎 にもよく 使 いますが 中 間 証 的 な 小 柴 胡 湯 は 思 っている 以 上 に 強 い 薬 です ですから 状 況 に 応 じて 柴 胡 桂 枝 湯 非 常 に 虚 していれば 補 中 益 気 湯 を 使 う 等 の 配 慮 が 必 要 になってきます 気 道 感 染 を 例 に 虚 証 と 実 証 の 薬 を 挙 げてきましたが 後 半 では 気 血 水 の 異 常 に 対 する 処 方 を 考 え てみたいと 思 います まず 気 ですが 気 は 上 に 上 ることが 多 く 上 衝 している 状 態 次 に 気 のめぐりが 悪 くなっている 状 態 それ から 完 全 に 気 が 虚 している 状 態 に 分 けて 考 えます 大 塚 敬 節 先 生 の 一 文 に 気 が 上 衝 すれば 桂 枝 を 用 いる と 書 かれています 気 が 上 ると 足 が 冷 えて のぼせ 頭 痛 めまい 動 悸 等 が 起 こるので このような 場 合 には 桂 枝 の 配 合 されている 桂 枝 湯 苓 桂 朮 甘 湯 五 苓 散 桂 枝 加 竜 骨 牡 蛎 湯 等 が 用 いられます 桂 枝 は 抗 炎 症 抗 アレルギー 発 汗 解 熱 鎮 静 鎮 痙 作 用 があり これらの 作 用 が 上 衝 の 気 を 抑 える 役 目 を 持 っていると 思 います 私 自 身 てんかんを 長 いこと 専 門 にしてきましたが てんかんも 上 衝 の 気 と 合 致 するのかもしれません 慶 應 大 学 外 科 出 身 で 偉 大 な 漢 方 医 の 相 見 三 郎 先 生 が 漢 方 の 知 恵 という 本 の 中 で 私 は 柴 胡 桂 枝 湯 によるてんかん 治 療 をすでに 1000 例 以 上 実 施 していますが この 漢 方 薬 でてんかんのほとんど 全 部 を 治 癒 または 軽 くすることができました と うらやましいような 内 容 が 書 いてあります 柴 胡 桂 枝 湯 を 続 けてい ると 発 作 が 起 きなくなるばかりでなく 性 格 の 変 化 が 目 立 ちます という 一 文 があります その 後 相 見 先 生 は 柴 胡 桂 枝 湯 は 小 柴 胡 湯 と 桂 枝 湯 の 合 方 で 私 は 本 方 に 薬 を 増 量 したものを 用 いて 効 果 を 上 げています とあります 要 するに 柴 胡 桂 枝 湯 の 薬 をさらに 増 やすために 小 柴 胡 湯 合 桂 枝 加 薬 湯 つまり 桂 枝 湯 ではなくて 桂 枝 加 薬 湯 を 足 すと 薬 の 量 を 増 やすことができる これが 相 119

脳 神 経 外 科 と 漢 方 見 先 生 の 有 名 な 処 方 です 相 見 処 方 と 芍 薬 柴 胡 桂 枝 湯 日 局 サイコ 5.0g 日 局 シャクヤク. 2.0g 日 局 ハンゲ 4.0g 日 局 タイソウ. 2.0g 日 局 オウゴン..2.0g 日 局 ニンジン 2.0g 日 局 カンゾウ 2.0g 日 局 ショウキョウ 1.0g 日 局 ケイヒ. 2.0g 小 柴 胡 湯 日 局 サイコ 7.0g 日 局 ハンゲ 5.0g 日 局 オウゴン 3.0g 日 局 タイソウ 3.0g 日 局 ニンジン 3.0g 日 局 カンゾウ 2.0g 日 局 ショウキョウ 1.0g 桂 枝 加 芍 薬 湯 日 局 シャクヤク 6.0g 日 局 ケイヒ 4.0g 日 局 タイソウ 4.0g 日 局 カンゾウ 2.0g 日 局 ショウキョウ 1.0g ( 株 式 会 社 ツムラ ) 芍 薬 の 用 途 感 冒 --- 桂 枝 湯 葛 根 湯 鎮 痛 鎮 痙 --- 芍 薬 甘 草 湯 桂 枝 加 芍 薬 湯 婦 人 病 --- 当 帰 芍 薬 散 四 物 湯 細 菌 感 染 症 --- 荊 芥 連 翹 湯 大 柴 胡 湯 薬 がなぜそんなに 効 果 があるかですが ペンチレンテトラゾールで 誘 発 した 痙 攣 に 対 して 効 果 がある ことが 薬 理 学 的 にも 示 されています 薬 は 非 常 に 多 くの 婦 人 病 にも 使 われていますが 鎮 痛 鎮 痙 筋 肉 のこむら 返 り 等 に 用 いる 薬 甘 草 湯 ぐずり 腹 便 が 一 定 していなかったりする 場 合 に 用 いる 桂 枝 加 薬 湯 等 多 くの 漢 方 薬 で 使 われています 私 が 実 際 にてんかんに 使 った 例 を 示 します 普 段 はもちろん 西 洋 薬 のてんかん 薬 を 使 っているのですが 中 にはどうしても 西 洋 薬 でアレルギーが 出 る 人 がいます 28 歳 の 女 性 は 15 歳 の 時 にデジャヴュで 発 症 して 24 歳 で 就 職 した 途 端 に 発 作 が 悪 化 して 実 際 に 複 雑 部 分 発 作 が 起 きるようになり 脳 波 では 左 の 側 頭 部 の 後 半 から 両 側 の 後 頭 部 で 左 の 側 頭 葉 の 後 半 部 にα 波 が 反 復 して 見 られています 西 洋 薬 のどれも 結 局 合 わなくて 26 歳 から 相 見 処 方 である 小 柴 胡 湯 合 桂 枝 加 薬 湯 を 投 与 して それに 抑 肝 散 を 加 えました 1 日 2 回 で 開 始 したところ 服 薬 後 1~2 ヶ 月 で 徐 々に 効 果 を 感 じ その 後 しょっちゅうあったデジャヴュの 前 兆 も 含 め てんかん 発 作 の 症 状 が 消 失 して 現 在 は 1 年 8 ヶ 月 経 ちますが まったく 発 作 がない 状 態 が 続 いています これは 相 見 処 方 を 使 って 劇 的 に 効 いた 1 例 です 症 例 報 告 28 歳 女 性 15 歳 で déjà vu で 発 症 24 歳 で 就 職 したら 発 作 が 悪 化 意 識 減 損 が 出 現. テグレトール エクセグラン ダイアモックスなどですべて 薬 疹 が 出 現. 脳 波 では 左 側 頭 部 後 半 から 両 側 後 頭 部 に 波 及 する 鋭 波 が 反 復 してみられた. 26 歳 から 小 柴 胡 湯 合 桂 枝 加 芍 薬 湯 ( 相 見 処 方 ) と 抑 肝 散 を 一 日 2 包 分 2で 開 始. 本 人 の 感 じでは 服 薬 後 1-2ヶ 月 で 徐 々に 効 果 を 感 じ 始 めた. その 後 déjà vu の 前 兆 も 含 めててんかん 症 状 が 消 失. 現 在 まで1 年 は8ヶ 月 全 く 発 作 がない 状 態 で 経 過 している. 仕 事 も フルタイムの 事 務 職 を 継 続 している. その 他 のてんかんに 用 いられる 漢 方 ( 柴 胡 桂 枝 湯 ) 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 抑 肝 散 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 甘 麦 大 棗 湯 大 柴 胡 湯 小 柴 胡 湯 てんかんに 用 いられる 漢 方 薬 は 柴 胡 桂 枝 湯 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 抑 肝 散 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 甘 麦 大 棗 湯 大 柴 胡 湯 小 柴 胡 湯 等 です このうち 抑 肝 散 が 非 常 に 近 年 注 目 されている 漢 方 薬 で 大 塚 敬 節 先 生 の 漢 方 医 学 の 中 に 小 児 麻 痺 に 限 らず 小 児 の 痙 攣 発 作 発 育 不 良 くる 病 チック 病 神 経 質 等 にも この 抑 肝 散 という 薬 方 は 不 思 議 とよく 効 くと 記 載 があります この 抑 肝 散 の 中 の 釣 藤 鈎 が 重 要 な 役 割 を 果 たしているのではないかと 述 べていま す 抑 肝 散 は 確 かに 患 者 さんに 投 与 してみると 中 枢 神 経 の 抑 制 作 用 が 見 られます 釣 藤 鈎 以 外 にも 柴 胡 当 帰 川 芎 等 中 枢 神 経 に 関 係 すると 思 われる 生 薬 が 入 っています 体 力 中 等 度 の 人 の 神 経 過 敏 興 奮 イライラ 不 安 等 の 精 神 神 経 症 状 に 効 果 があります 抑 肝 散 に 陳 皮 と 半 夏 を 加 えたものが 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 です 抑 肝 散 よりちょっと 胃 が 弱 いとか 体 力 が 低 120

下 した 人 に 使 えますので 基 本 的 には 抑 肝 散 と 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 はほぼ 同 等 に 使 ってもよいと 思 います 抑 肝 散 が 世 間 で 注 目 されるようになったのが 認 知 症 の 周 辺 症 状 BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)です 昔 は 抑 肝 散 というと 小 児 の 疳 の 虫 を 抑 える 薬 と 考 えられていたのが 認 知 症 の 周 辺 症 状 に 対 し 非 常 に 効 果 があるということで 一 躍 世 間 の 注 目 を 浴 びたわけです これは 私 が 時 々 試 みているのですが いわゆる ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder) 最 近 は 大 人 にでもあるといわれていますが これにもかなりの 効 果 が 見 られます 私 は 抑 肝 散 だけではなく こ れに 甘 麦 大 棗 湯 を 加 えて 使 うことが 多 いのですが 非 常 に 有 効 です 何 よりもてんかんの 治 療 をして 困 るのは 側 頭 葉 てんかんの 場 合 に 発 作 が 起 きる 直 前 になってきますと どういうわけかイライラ 攻 撃 性 が 非 常 に 高 まってくるのです 発 作 が 起 きて 放 電 してしまうと 嘘 のように 元 の 本 来 の 性 格 に 戻 る なかなかこのイライラ 攻 撃 性 は 止 めるのが 難 しいのです ところが 抑 肝 散 を 使 ってみると 驚 くほど 効 果 があるのです 私 は 抑 肝 散 を 加 える 場 合 と 抑 肝 散 に 甘 麦 大 棗 湯 を 足 して 治 療 する 場 合 と 両 方 やっています 側 頭 葉 てんかんで 困 ってしまった 患 者 がたくさん 来 られる ので 統 計 を 取 ってみました 実 に 自 分 が 診 ている 患 者 の 4 分 の 1 が 抑 肝 散 を 飲 んでいるのでちょっと 驚 き ました どうしても 効 果 がなかったら リスペリドンやハロペリドール 等 西 洋 薬 に 移 っていくわけですが そうなる とどうしても 眠 気 が 出 て 抑 肝 散 のように 眠 気 なしに 精 神 症 状 を 抑 えることはできません 側 頭 葉 てんかんの 精 神 症 状 に 対 する 処 方 抑 肝 散 ( 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 ) 抑 肝 散 + 甘 麦 大 棗 湯 気 うつ 半 夏 厚 朴 湯 咽 頭 部 の 異 常 感 が 使 用 目 標 となる 香 蘇 散 体 力 の 弱 い 人 感 冒 の 初 期 の 抑 うつ 柴 朴 湯 ---- 小 柴 胡 湯 + 半 夏 厚 朴 湯 次 に 気 うつに 対 しては 半 夏 厚 朴 湯 香 蘇 散 柴 朴 湯 等 を 用 います 漢 方 薬 の 向 精 神 薬 は 半 夏 厚 朴 湯 というイメージがありますが そういうつもりで 半 夏 厚 朴 湯 を 使 うとそんなには 効 かないのです やはり 患 者 さんの 症 状 をよく 見 て なんとなく 気 うつで 喉 のあたりの 違 和 感 とか 咽 頭 部 の 異 常 感 とかがある 場 合 に 半 夏 厚 朴 湯 の 決 め 手 になるようで ただ 精 神 症 状 だから 半 夏 厚 朴 湯 が 効 くかというと なかなかそうではな いのです 気 虚 易 疲 労 感 慢 性 的 倦 怠 感 意 欲 障 害 食 欲 低 下 など 補 中 益 気 湯 十 全 大 補 湯 気 が 虚 している 場 合 ですが 現 在 気 分 障 害 でうつの 人 が 非 常 に 多 く うつの 中 でも 何 もやる 気 がしない という 強 いうつ 病 の 人 に 思 い 切 って 十 全 大 補 湯 等 を 出 してみると 意 外 と 効 果 があるのです 漢 方 薬 はい ろいろな 意 味 で 気 と 関 係 していますので 予 想 外 の 利 用 の 仕 方 がすごい 効 果 を 示 すことがあります 私 は 121

脳 神 経 外 科 と 漢 方 補 中 益 気 湯 をやる 気 のない 人 に 盛 んに 使 用 しています それから 気 血 水 の 血 ですが 血 には 瘀 血 という 静 脈 還 流 の 異 常 の 概 念 血 虚 という 血 が 虚 する 状 態 低 栄 養 の 状 態 の 概 念 があります 瘀 血 は 簡 単 にいうと 静 脈 の 還 流 が 悪 いわけです 女 性 の 下 肢 静 脈 瘤 に 駆 瘀 血 剤 の 桂 枝 茯 苓 丸 を 使 っ たら 治 った 症 例 報 告 等 がありますし 門 脈 系 の 静 脈 の 戻 りが 悪 くなっていることが 多 いので 小 柴 胡 湯 に 桂 枝 茯 苓 丸 を 加 えることも 慢 性 肝 炎 の 治 療 法 の 一 つとして 用 いられています 瘀 血 の 腹 症 で 有 名 なのは 骨 盤 のすぐ 上 の 腹 部 不 快 感 や 圧 痛 です おそらくこれは 骨 盤 内 の 静 脈 還 流 の 異 常 を 示 していると 考 えられています 瘀 血 症 状 は 舌 の 裏 側 の 静 脈 うっ 血 皮 膚 粘 膜 の 暗 赤 色 等 様 々な 形 で 診 断 できます また 月 経 異 常 や 無 月 経 と 関 連 していることが 多 く 代 表 的 治 療 薬 は 婦 人 の 代 表 三 剤 であるツムラの 23 24 25 番 です 虚 証 には 23 当 帰 薬 散 中 間 証 からやや 実 証 には 25 桂 枝 茯 苓 丸 ヒステリックでうるさか ったら 24 加 味 逍 遥 散 というように 使 い 分 けますが 外 れても 大 きくは 外 れないという 意 味 で 非 常 に 使 いや すい 便 利 な 漢 方 薬 です しかし 漢 方 薬 が 女 性 に 優 しいといわれるように 婦 人 に 使 う 血 の 道 症 の 漢 方 薬 は 他 にもたくさんあります 月 経 異 常 更 年 期 障 害 婦 人 の 代 表 三 薬 当 帰 芍 薬 散 ----- 虚 証 加 味 逍 遙 散 ----- 虚 証 多 愁 訴,ヒステリック 桂 枝 茯 苓 丸 ----- 中 間 ー 実 証 血 の 道 症 の 漢 方 大 黄 牡 丹 皮 湯 桃 核 承 気 湯 桂 枝 茯 苓 丸 女 神 散 加 味 逍 遙 散 温 経 湯 当 帰 芍 薬 散 四 物 湯 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 実 証 虚 証 それから 血 虚 ですが 栄 養 状 態 が 悪 くなってきて 疲 労 感 が 強 い 倦 怠 感 が 強 い 貧 血 や 低 栄 養 の 状 態 です 血 虚 の 代 表 的 な 処 方 に 四 物 湯 があり 当 帰 薬 川 芎 地 黄 が 構 成 生 薬 です 血 虚 には 四 物 湯 十 全 大 補 湯 さらに 出 血 等 が 止 まらない 時 によく 使 われる 芎 帰 膠 湯 等 当 帰 薬 川 芎 地 黄 を 含 む 処 方 を 使 います さらに 補 気 作 用 が 強 く しかも 血 虚 にも 有 効 である 薬 として 人 参 と 黄 耆 を 含 む 参 耆 剤 があります 黄 耆 は 補 血 剤 か 補 気 剤 かと 議 論 のあるところですが 基 本 的 には 気 剤 のほうに 属 するのかもしれませ ん 参 耆 剤 強 い 補 気 作 用 とともに 血 虚 に も 有 効 体 力 が 著 しく 低 下 した 状 態 外 科 手 術 後 慢 性 疾 患 による 衰 弱 ( 癌 ) うつ 病 三 薬 の 構 成 生 薬 補 中 益 気 湯 黄 耆 当 帰 人 参 蒼 朮 柴 胡 大 棗 陳 皮 甘 草 升 麻 生 姜 十 全 大 補 湯 黄 耆 当 帰 人 参 桂 皮 芍 薬 川 芎 蒼 朮 地 黄 茯 苓 甘 草 人 参 養 栄 湯 : 黄 耆 当 帰 人 参 地 黄 白 朮 茯 苓 桂 皮 遠 志 芍 薬 陳 皮 甘 草 五 味 子 体 力 が 著 しく 低 下 した 場 合 外 科 手 術 後 に 体 が 弱 っている 場 合 がんがあるけれども 高 齢 のため 手 術 を しないで 漢 方 薬 で 治 療 してみたい 場 合 等 には 非 常 に 適 しています 参 耆 剤 の 代 表 が 補 中 益 気 湯 十 全 大 補 湯 人 参 養 栄 湯 です この 三 剤 のどれかを 選 択 して 使 うと 低 122

栄 養 で 疲 労 し 切 った 状 態 の 時 には 極 めて 有 効 です それから 最 後 に 水 の 異 常 です 水 の 異 常 はいろいろなものがあります 例 えば 尿 量 の 異 常 で 五 苓 散 鼻 水 で 小 青 竜 湯 めまいで 苓 桂 朮 甘 湯 さらに 水 毒 による 頭 痛 では 今 日 の 講 演 で 何 回 も 出 てきました 五 苓 散 等 が 有 効 です サルノコシカケ 科 に 属 する 茯 苓 や 猪 苓 が 水 毒 に 用 いる 代 表 的 な 生 薬 です 茯 苓 は 強 い 利 水 作 用 を 持 ち 桂 枝 茯 苓 丸 五 苓 散 猪 苓 湯 柴 朴 湯 茯 苓 飲 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 等 に 使 われます 茯 苓 を 含 む 方 剤 桂 枝 茯 苓 丸 五 苓 散 柴 苓 湯 柴 朴 湯 茯 苓 飲 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 猪 苓 湯 猪 苓 を 含 む 方 剤 猪 苓 湯 五 苓 散 柴 苓 湯 胃 苓 湯 茵 陳 五 苓 散 猪 苓 湯 合 四 物 湯 水 毒 治 療 薬 の 代 表 が 五 苓 散 です 利 水 作 用 を 持 つ 代 表 的 な 四 生 薬 の 茯 苓 猪 苓 沢 瀉 蒼 朮 が 入 り さらに 桂 皮 が 加 わり 五 苓 散 を 構 成 しています 面 白 いのは 低 気 圧 の 通 過 前 雨 が 降 る 前 に 頭 痛 が 起 こりやすい 人 は 五 苓 散 を 使 ってみると 非 常 によ い 効 果 があります さらに これから 非 常 に 役 に 立 つのが 二 日 酔 いです 以 前 私 はお 酒 を 飲 みすぎて 夜 中 の 午 前 2 時 か 3 時 くらいにすごい 二 日 酔 いで 目 が 覚 めました 引 き 出 しの 中 をかき 回 していたら 五 苓 散 が 出 てきたので 飲 んだのですが 本 当 にびっくりするほど 短 い 時 間 で 痛 みが 取 れたので こんなによく 効 くものかと 改 めて 五 苓 散 の 効 果 を 見 直 しました また 江 戸 時 代 から 漢 方 医 は 浮 腫 が 出 たら 五 苓 散 をとにかく 使 うことが 慣 習 的 に 行 われています それから 下 痢 にもいろいろな 種 類 の 下 痢 がありますが 水 様 性 下 痢 にはまず 五 苓 散 を 使 うのが 普 通 です あるいは 柴 苓 湯 等 も 使 われます 五 苓 散 の 効 能 浮 腫 水 様 性 下 痢 頭 痛 ( 低 気 圧 で 悪 化 する) 二 日 酔 い ネフローゼ めまい その 他 の 水 毒 に 使 用 される 漢 方 柴 苓 湯 --- 水 様 性 下 痢 むくみ 猪 苓 湯 --- 尿 道 腎 臓 小 青 竜 湯 --- 鼻 水 小 半 夏 加 茯 苓 湯 ---つわり 半 夏 白 朮 天 麻 湯 --- めまい 頭 痛 防 已 黄 耆 湯 ---- 水 太 り 真 武 湯 ---- 下 痢 めまい その 他 尿 道 疾 患 に 関 しては 猪 苓 湯 鼻 水 の 小 青 竜 湯 つわりの 小 半 夏 加 茯 苓 湯 これはつわりに 限 ら ず 気 持 ちが 悪 い 吐 き 気 がするという 人 に 投 与 してみると 非 常 に 効 果 があります それから 水 太 りの 場 合 の 防 己 黄 耆 湯 等 です 次 に 日 頃 ちょっと 使 うと 便 利 がよい 漢 方 薬 をいくつか 示 してみます 花 粉 症 のシーズンの 時 によく 使 われる 小 青 竜 湯 は 麻 黄 により 胃 をこわすことがあります 対 策 として 胃 薬 と 一 緒 に 出 す 方 法 もありますが 119 番 の 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 という 茯 苓 甘 草 生 姜 五 味 子 細 辛 半 夏 からなる 漢 方 薬 を 使 います これも 結 構 よく 効 きます 123

脳 神 経 外 科 と 漢 方 また 小 青 竜 湯 が 去 年 までは 効 いたが 今 年 は 効 かないという 人 は 麻 黄 附 子 細 辛 湯 や 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 等 を 証 にこだわらず 出 しても 結 構 効 果 があります 花 粉 症 まず 小 青 竜 湯 を 試 みる 麻 黄 剤 で 胃 をこわす 人 は 苓 甘 姜 味 辛 夏 仁 湯 小 青 竜 湯 に 反 応 しなくなったら 麻 黄 附 子 細 辛 湯 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 背 景 にH1 受 容 体 拮 抗 薬 を 服 用 し 屯 用 時 に PL 顆 粒 を 追 加 する 方 法 も 有 効 冷 え 強 い 冷 え --- 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 下 半 身 の 冷 え --- 苓 姜 朮 甘 湯 女 性 の 三 剤 当 帰 芍 薬 散 加 味 逍 遥 散 桂 枝 茯 苓 丸 風 邪 の 冷 え --- 麻 黄 附 子 細 辛 湯 それから 冷 えは 漢 方 のかなり 得 意 分 野 の 一 つですが 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 が 非 常 に 冷 えによく 効 きます 下 半 身 だけが 強 く 冷 える 場 合 には 苓 姜 朮 甘 湯 苓 桂 朮 甘 湯 もありますが 苓 姜 によって 下 半 身 の 冷 えがよく 取 れます 冷 えは 必 ずしも 虚 証 だけではなく 中 間 証 の 人 でも 冷 えを 訴 えることも 多 く 女 性 の 代 表 的 な 三 剤 23 当 帰 薬 散 24 加 味 逍 遙 散 25 桂 枝 茯 苓 丸 もよく 効 きます さらに 風 邪 でぞくぞくする 時 には 麻 黄 附 子 細 辛 湯 を 用 います 次 は 便 秘 についてです 開 業 すると 女 性 というのはこんなに 便 秘 なのかと 思 うくらい 便 秘 ばかり 来 るの ですが とにかく 大 黄 甘 草 湯 が 一 番 使 いやすい 処 方 です 甘 草 により 効 果 がマイルドになり 大 黄 だけより はずっと 使 いやすくなります 量 を 調 整 することでほとんどの 人 の 便 秘 に 対 応 できます 寝 る 前 に 1 包 飲 ん でおくだけで 快 便 が 得 られる 場 合 が 多 く それでもどうしても 効 かない 場 合 は 大 承 気 湯 を 用 います また 体 力 があまりない 人 の 便 秘 には 潤 腸 湯 や 麻 子 仁 丸 を 用 います 漢 方 の 便 秘 治 療 で 便 利 がよいのは カマと 一 緒 に 飲 むと 効 果 が 倍 増 することです 漢 方 薬 の 効 きが 不 十 分 の 時 には 錠 剤 のマグラックスと 混 ぜてみるとよいと 思 います 便 秘 証 に 関 わらず 大 黄 甘 草 湯 をまず 試 みる さらに 強 い 便 秘 --- 大 承 気 湯 老 人 虚 弱 者 の 便 秘 潤 腸 湯 麻 子 仁 丸 * 漢 方 の 便 秘 薬 にはカマ ( 酸 化 マグネ シウム)との 併 用 が 有 効 腰 痛 下 肢 痛 疎 経 活 血 湯 しばしば 著 効 する 牛 車 腎 気 丸 ---- 下 肢 にむくみがあるときなど 冷 えに 伴 う 痛 み 桂 枝 加 朮 附 湯 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 それからペインクリニックではよく 使 っている 疎 経 活 血 湯 ですが 腰 痛 の 時 に 処 方 すると ほとんどの 人 が 良 くなったと 喜 びます 疎 経 活 血 湯 を 補 うものとして 牛 車 腎 気 丸 冷 えに 伴 って 痛 みが 出 てくる 場 合 は 桂 枝 加 朮 附 湯 や 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 を 用 います 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 は 冷 えてくると 腹 部 や 腰 の 周 りが 痛 くなる 等 の 腰 痛 によく 効 きます 過 敏 性 大 腸 症 候 群 (IBS)ですが 相 見 処 方 で 使 った 桂 枝 加 薬 湯 が 実 に 一 番 の 基 本 薬 になります 過 敏 性 大 腸 症 候 群 で 便 秘 が 顕 著 の 時 には 桂 枝 加 薬 大 黄 湯 または 桂 枝 加 薬 湯 を 基 本 に 大 黄 甘 草 湯 を 加 減 する 方 法 もあります 腹 痛 の 時 には 小 建 中 湯 腹 がゴロゴロする 時 には 外 科 手 術 後 の 漢 方 薬 として 最 近 注 目 されている 大 建 中 湯 等 も 有 効 です 124

過 敏 性 腸 症 (IBS) 桂 枝 加 芍 薬 湯 が 基 本 便 秘 が 顕 著 桂 枝 加 芍 薬 大 黄 湯 腹 痛 が 顕 著 小 建 中 湯 鼓 腸 腸 管 の 蠕 動 亢 進 大 建 中 湯 頭 痛 五 苓 散 低 気 圧 で 悪 化 川 芎 茶 調 散 生 理 中 の 痛 み 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 呉 茱 萸 湯 冷 えを 伴 う 頭 痛 葛 根 湯 神 経 痛 筋 緊 張 性 頭 痛 頭 痛 には 呉 茱 萸 湯 ということに 漢 方 ではなっているのですが 呉 茱 萸 湯 を 使 ってもなかなか 簡 単 に 頭 痛 は 取 れません 頭 痛 一 つに 対 しても いろいろと 工 夫 してみないといけないと 思 います 低 気 圧 で 悪 化 するような 場 合 は 五 苓 散 のほうが 非 常 によく 効 きますし 生 理 中 に 頭 痛 が 強 くなる 場 合 は 川 芎 茶 調 散 がかなりの 効 果 を 示 します 特 に 呉 茱 萸 湯 が 効 くのは 冷 えを 伴 った 人 の 頭 痛 で さらに 冷 え の 強 い 人 には 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 を 使 うとよいと 思 います また 葛 根 湯 も 神 経 痛 筋 緊 張 性 頭 痛 等 急 性 期 的 な 痛 みには 非 常 によく 効 果 を 示 します 筋 肉 痛 は 生 薬 2 つから 成 る 薬 甘 草 湯 を 用 います 朝 起 きた 時 に 筋 肉 がこむら 返 りをして 痛 くてしよう がないという 高 齢 者 がよくいますが 寝 る 前 に 一 包 だけ 薬 甘 草 湯 を 服 用 すると 起 きた 時 に 全 然 筋 肉 の 痛 みがないといいますので 非 常 に 便 利 です 薬 甘 草 湯 を 頓 用 でなくて 継 続 して 出 すことも 可 能 なので すが 甘 草 の 量 が 非 常 に 多 く 高 齢 者 は 偽 アルドステロン 症 にすぐになってしまいますから 気 をつける 必 要 があります 筋 肉 痛 には 疎 経 活 血 湯 や 薏 苡 仁 湯 も 使 われます 筋 肉 痛 芍 薬 甘 草 湯 筋 肉 痛 内 臓 痛 ともに 有 効 屯 用 でも 継 続 投 与 でも 可 起 床 時 の 筋 肉 痛 には, 眠 前 に 一 包 疎 経 活 血 湯 薏 苡 仁 湯 老 化 現 象 八 味 地 黄 丸 夜 間 頻 尿 腰 が 痛 い 足 が 弱 って 冷 える 疲 労 倦 怠 感 地 黄 で 胃 腸 障 害 のある 場 合 六 君 子 湯 と 合 方 泌 尿 器 症 状 には 清 心 蓮 子 飲 を 代 用 老 化 現 象 一 般 に 対 して 八 味 地 黄 丸 を 長 期 的 に 服 用 していくと 効 果 がよいと 思 います 自 分 の 感 じです が 八 味 地 黄 丸 を 服 用 している 人 は 長 生 きする 気 がします 八 味 地 黄 丸 も 地 黄 が 入 っているため 胃 が 弱 いと 服 用 しにくい 場 合 があり その 場 合 六 君 子 湯 との 合 方 がよいと 成 書 に 書 かれていますが 四 君 子 湯 や 人 参 湯 でもよいのではないかと 思 います それから 大 塚 恭 男 先 生 が 好 まれて 使 われていた 印 象 がありますが 八 味 地 黄 丸 で 胃 をやられる 人 の 代 用 薬 として 泌 尿 器 症 状 には 清 心 蓮 子 飲 が 使 われます おしっこが 出 にくい 場 合 や 頻 尿 に 有 効 です 以 上 漢 方 は 症 状 に 基 づく 投 与 でも 虚 実 の 判 断 ということはやはり 抜 くことはできない それで 体 質 病 態 の 全 体 像 と 局 所 所 見 の 両 方 から 把 握 する その 時 に 気 血 水 という 観 点 で 見 ると 意 外 とその 処 方 薬 が 見 つけやすい 従 って 生 薬 や 基 本 方 剤 をよく 理 解 して これらから 体 系 的 に 広 げていくと 意 外 と 漢 方 は 縦 横 につながりがありますので 興 味 が 出 てくるかと 思 います 125

脳 神 経 外 科 と 漢 方 質 疑 応 答 特 別 講 演 Ⅱ 座 長 : 大 野 喜 久 郎 質 問 てんかんの 子 ども1 例 だけを 漢 方 で 治 療 していますが 小 学 校 1 年 生 の 時 に 初 めて 発 作 を 起 こし そ の 後 半 年 に1 回 ぐらい 発 作 が 起 きて 脳 波 は 異 常 脳 波 が 出 ていました 先 生 が 先 ほどおっしゃったように 発 作 が 起 きる 前 に 非 常 に 興 奮 して 騒 ぎまくります しかし 小 児 神 経 の 先 生 は 子 どもだからというので 何 も 薬 を 出 さずにずっと 様 子 を 見 ているのです 母 親 から 漢 方 でと 相 談 を 受 けたので 異 常 に 興 奮 する 状 態 を 少 し 抑 えれば けいれんも 起 こらなくなるか もねといって 最 初 に 抑 肝 散 を 出 しました 1 年 ほどしたら 脳 波 異 常 も 取 れ 発 作 も 起 きなくなって 抑 肝 散 から 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 に 切 り 替 えました それでずっと 順 調 で 小 児 神 経 の 先 生 はもう 来 なくてよいとい うのです そこで 漢 方 をいつやめるかということを 先 生 にアドバイスしていただきたいのです 私 も 初 めての 症 例 で よく 分 からないので 何 を 指 標 に いつやめたらよいか 今 悩 んでいます 清 水 非 常 に 重 要 な 問 題 に 触 れられていると 思 います 相 見 三 郎 先 生 の 本 を 読 むと 漢 方 薬 と 西 洋 薬 によ るてんかん 治 療 の 違 いは 西 洋 医 学 では 止 めるだけの 効 果 しかないが 漢 方 治 療 ではてんかんそのものを 根 治 的 に 治 すことができると 書 いているんですね 僕 はそれを 読 んで 本 当 かなと 思 いました というのは てんかんをやる 人 間 にとって てんかん 原 性 epileptogenicityを 取 り 除 くことは 本 当 に 大 きな 問 題 であっ て それをもし 漢 方 で 取 れるのであれば これは 本 当 に 画 期 的 なことになるわけです てんかん 原 性 が 取 れ るのかどうかに 関 しては 正 直 言 って 私 にはほとんど 経 験 がありません そこで 先 生 が 何 か1つの 道 筋 を 見 つけていただければと 思 います 質 問 子 どもの 場 合 は 異 常 脳 波 を 発 達 脳 波 だからというので 神 経 内 科 の 先 生 も 実 際 にけいれんは 起 き ているのですが 西 洋 薬 を 一 切 出 さずに 経 過 観 察 だけでした 私 は 母 親 に 相 談 を 受 けて 症 状 から 非 常 に 過 興 奮 の 状 態 になってから 発 作 を 起 こすので それを 抑 えれば 何 とか 起 きなくなるのではないかという 東 洋 医 学 的 な 観 点 から 出 して うまくいったのか 自 然 に 治 ったのかはよく 分 かりません だから 今 度 漢 方 をいつやめたらいいかと 母 親 にこの 間 も 相 談 を 受 けて うーんという 感 じなんです やめてみて 少 し 様 子 を 見 るというのは どうなんでしょうか 清 水 やめてみて 様 子 を 見 るというのもあるし 少 し 量 を 減 らして 経 過 を 見 るとかいかがでしょうか 質 問 いま 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 を1 日 5g 朝 晩 2.5gを1 包 ずつです 清 水 それだけで 止 まっているのですか 質 問 はい 清 水 すごいですね 質 問 自 分 自 身 経 験 がないですし 西 洋 医 学 の 先 生 に 聞 いても これは 分 からないので 漢 方 医 学 てん かんに 特 に 造 詣 の 深 い 先 生 に 今 日 はぜひ 聞 いて 帰 らなければと 思 っています 126

清 水 西 洋 医 学 のてんかん 薬 でも いつ 切 るかというのは 非 常 に 難 しい 問 題 ですよね だから 単 に 機 械 的 なものでなくて てんかんが 起 きる 前 の 発 作 の 程 度 がどの 程 度 かとか 発 作 が 再 発 した 場 合 に 本 人 に 対 してどの 程 度 の 身 体 的 な 危 険 性 があるかとか 結 局 いろいろな 要 素 を 考 えながら 少 しずつ 減 らしてい くのが 漢 方 でも 西 洋 医 学 でも 共 通 したものではないかなとは 思 います 万 が 一 発 作 が 再 発 した 時 に 本 人 に 危 害 が 加 わるとか あるいは 社 会 的 に 非 常 に 大 きなマイナスがある 時 は 私 は 原 則 的 に 切 らないように しています 質 問 ほとんどは 起 こす 時 間 帯 が 明 け 方 なんです ですから もしかしたら 減 量 して 夜 1 回 だけ 飲 ませても いいかなと 思 っています 清 水 そうですね それはいい 方 法 かもしれないですね 覚 醒 時 大 発 作 みたいなものであれば 昼 間 に 起 きる 可 能 性 が 非 常 に 少 ないですから 夜 間 だけにしてみるというのは 1つのよい 方 法 かもしれないです ね 質 問 ありがとうございました 127