摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 1.はじめに 近 年 プロ 野 球 人 気 の 陰 りが 指 摘 されているが 現 在 でも 数 多 くの 人 が 球 場 に 足 を 運 んでい る 1 観 客 動 員 数 でみると 来 場 客 数 の 公 表 が 実 数 で 行



Similar documents
2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

スライド 1

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

平成24年度 業務概況書

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

調 査 結 果 トピック1: 性 年 代 別 利 用 率 の 利 用 率 は 男 女 ともに 各 年 代 で 大 きく 伸 長 している 2011 年 9 月 の 調 査 では の 年 代 別 利 用 率 は 男 女 とも が 最 も 高 く が 23.9% が 20.5%だったが 今 年 の 調

m07 北見工業大学 様式①


2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

公表表紙

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

波佐見町の給与・定員管理等について

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

Taro-H19退職金(修正版).jtd

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

< CA8CF C58E5A92E88C8B89CA C8E8CF6955C816A2E786C73>

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです


子ども手当見直しによる家計への影響~高所得者層の可処分所得は大幅減少に

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ. は じ め に 27 年 か ら の 不 況 の 影 響 で 不 動 産 競 売 物 件 が 増 加 し て い る 29 年 9 月 は 全 国 で 8 件 を 超 え た ( 前 年 同 月 は 約 6 件 ) ま た 不 動 産 競 売 の 情 報 が イ ン タ ー ネ ッ ト で 公

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

これまでの 課 題 の 検 討 状 況 の 整 理 地 震 保 険 制 度 に 関 するプロジェクトチーム 報 告 書 ( 平 成 24 年 11 月 30 日 ) ( 附 属 物 の 損 害 査 定 ) 地 震 保 険 においては 迅 速 性 の 観 点 から 主 要 構 造 部 を 対 象 とし

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

Microsoft Word - 目次.doc

別紙3

財政再計算結果_色変更.indd

<4D F736F F D208C6F D F815B90A BC914F82CC91CE899E8FF38BB582C982C282A282C42E646F63>

<81696D373188A E58A77816A E93788D9191E5834B C8EAE82502E786C73>

Microsoft Word - N 容積率.doc

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

<91E682548FCD91E DF F323731>

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

概 要 近 年 研 究 者 としてのキャリアの 入 り 口 として 広 く 認 識 されつつあるポストドクターは 任 期 付 の 職 位 である 本 稿 ではポストドクターから 任 期 のない 正 規 の 雇 用 ( 正 規 職 )への 移 行 状 況 及 び 移 行 パターンを 文 部 科 学 省

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Microsoft Word - Ⅱ章.doc

1 はじめに 財 政 の 役 割 資 源 配 分 ( 公 共 財 供 給 ) 所 得 再 分 配 経 済 安 定 化 ( 景 気 調 整 ) 地 方 自 治 体 の 役 割 は 資 源 配 分 ( 公 共 財 の 安 定 供 給 )とされる ( 所 得 再 分 配 や 経 済 安 定 化 は 国 の

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1) 一 般 行 政 職 福 島 県 国 類 似 団 体 平 均 年 齢 平


(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

平成22年度

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

1. 本 市 の 保 育 所 運 営 費 と 保 育 料 の 現 状 2 (1) 前 回 (5/29 5/29) 児 童 福 祉 専 門 分 科 会 資 料 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区 分 別 軽 減 率 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区

【 新 車 】 新聞・チラシ広告における規約遵守状況調査結果

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

タイトル

申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

第4回税制調査会 総4-1

Microsoft Word - A04◆/P doc

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

目 次 1 報 酬 給 与 額 事 例 1 報 酬 給 与 額 に 含 める 賞 与 の 金 額 が 誤 っていた 事 例 1 事 例 2 役 員 退 職 金 ( 役 員 退 職 慰 労 金 )を 報 酬 給 与 額 として 申 告 して いなかった 事 例 1 事 例 3 持 株 奨 励 金 を

一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (4 年 4 月 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 級 級 級 4 級 5 級 号 給 の 給 料 月 額 5, 85,,9,9 89, 最 高 号 給 の 給 料 月 額 4,7 7,8 54,7 88, 4, ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

別紙3

 

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

Microsoft PowerPoint - 総合型DB資料_県版基金説明用.pptx


(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

Microsoft Word - H25年度の概要

市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

電力自由化に関する認知度6割超えるも意向低く 既存電力会社のWeb施策、節電意識高める

Microsoft Word - 答申第143号.doc

職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 () 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 ( 年 4 月 日 現 在 ) 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 44. 歳 6,4, 歳,44 4,7 7,6 4. 歳 7,

(1) 社 会 保 険 等 未 加 入 建 設 業 者 の 確 認 方 法 等 受 注 者 から 提 出 される 施 工 体 制 台 帳 及 び 添 付 書 類 により 確 認 を 行 います (2) 違 反 した 受 注 者 へのペナルティー 違 反 した 受 注 者 に 対 しては 下 記 のペ

Microsoft Word - 通達(参考).doc

文化政策情報システムの運用等

Transcription:

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014),33-50ページ プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 研 究 ノート プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 -オリックス バファローズを 事 例 として- 持 永 政 人 西 川 浩 平 The Analysis of Buying Behavior -Cases of Orix Buffaloes- Masato Mochinaga Kohei Nishikawa 33

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 1.はじめに 近 年 プロ 野 球 人 気 の 陰 りが 指 摘 されているが 現 在 でも 数 多 くの 人 が 球 場 に 足 を 運 んでい る 1 観 客 動 員 数 でみると 来 場 客 数 の 公 表 が 実 数 で 行 われるようになった 2005 年 の 数 値 が 約 2,000 万 人 に 対 し 2013 年 は 約 2,200 万 人 と 10% 程 度 の 増 加 を 記 録 している 2 しかし 少 子 高 齢 化 の 進 展 により 多 くの 市 場 と 同 様 プロ 野 球 市 場 においても 来 場 者 数 の 減 少 が 予 想 される このような 状 況 において 各 球 団 が 現 在 と 同 程 度 の 収 益 を 確 保 するとなる と チケット 価 格 を 上 昇 させるか チケット 販 売 の 減 少 分 を 他 の 収 益 で 補 うなど 何 らかの 方 策 が 必 要 とされる 3 前 者 を 実 施 するか 否 かは プロ 野 球 チケットの 需 要 の 価 格 弾 力 性 の 大 きさに 依 存 する ただし 同 財 の 需 要 の 価 格 弾 力 性 は 非 常 に 大 きいことが 指 摘 されているため 収 益 確 保 に 向 けたチケット 価 格 の 値 上 げは 結 果 として 収 益 減 少 につながる 可 能 性 が 高 い 4 したが って プロ 野 球 球 団 が 今 後 直 面 するであろう 来 場 者 減 少 に 伴 うチケット 収 入 の 減 少 について は 他 の 収 益 で 補 うことが 現 実 的 である プロ 野 球 球 団 の 収 入 源 はチケット グッズ 飲 食 物 広 告 放 映 権 と 言 われている 5 つまり チケット 販 売 からの 収 益 の 減 少 分 については グッズ 飲 食 物 の 販 売 量 の 増 大 広 告 収 入 の 増 大 放 映 権 料 の 増 大 のいずれかで 補 うことになる うち 広 告 や 放 映 権 は 相 手 企 業 等 との 関 係 が あるため 球 団 側 の 戦 略 意 向 が 完 全 に 反 映 されるとは 限 らない 他 方 グッズ 飲 食 物 の 販 売 については 消 費 者 の 嗜 好 に 合 致 すれば 良 いだけなので 球 団 側 の 戦 略 意 向 を 反 映 させる ことが 比 較 的 容 易 な 分 野 といえるだろう そこで 本 稿 ではプロ 野 球 市 場 におけるグッズ 飲 食 物 に 焦 点 を 当 て 来 場 者 の 消 費 金 額 と 属 性 との 関 係 について 分 析 を 行 う ただし 後 述 するデータの 制 約 上 消 費 金 額 を 把 握 できるのは 飲 食 物 のみなので 本 稿 では 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 に 限 定 し 先 の 関 係 を 分 析 する そ の 上 で 補 助 的 な 分 析 として 来 場 者 が 飲 食 物 に 抱 いている 印 象 と 関 係 する 個 人 属 性 の 探 索 も 行 う 同 調 査 を 用 いた 分 析 より 次 の 2 点 が 明 らかとなった 第 1 は 球 場 内 の 飲 食 物 への 消 費 金 額 において 所 得 来 場 の 際 の 同 伴 者 の 重 要 性 が 確 認 できた 具 体 的 には 所 得 階 級 700 万 円 以 上 の 回 答 者 は 所 得 階 級 300 万 円 未 満 の 回 答 者 と 比 較 して 平 均 で 406.7 円 1 人 で 来 場 した 回 答 者 は 友 人 同 僚 などと 来 場 した 回 答 者 よりも 平 均 320.8 円 多 く 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 していた 第 2 は 球 場 内 で 販 売 している 飲 食 物 に 対 して 年 齢 の 高 い 高 齢 者 ほど 良 い 印 象 を 抱 いていない 現 状 が 明 らかとなった 以 降 の 構 成 は 次 の 通 りである 第 2 節 では 本 稿 で 用 いる プロ 野 球 観 戦 に 関 する 調 査 を 紹 介 し 分 析 に 用 いる 主 な 質 問 事 項 の 集 計 結 果 を 示 す 第 3 節 で 分 析 手 法 を 説 明 し 推 定 結 果 を 示 す 第 4 節 はまとめである 1 大 坪 (2011)を 参 照 2 2004 年 に 起 こったプロ 野 球 の 再 編 問 題 の 影 響 もあり 2005 年 は 一 時 的 に 観 客 動 員 数 が 低 迷 した 可 能 性 がある 2006 年 から 2013 年 にかけての 観 客 動 員 数 の 平 均 値 は 約 2,140 万 人 になっている 3 その 他 として 値 下 げによる 来 場 者 数 の 拡 大 来 場 者 のリピーター 化 などが 挙 げられる 4 摂 南 大 学 経 済 学 部 が 2011 年 にオリックス バファローズと 共 同 で 実 施 した 調 査 より 5 摂 南 大 学 経 済 学 部 で 開 講 されている BBE(ベースボールエコノミクス)の 講 義 内 容 より 34

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 2. 調 査 の 概 要 本 稿 の 分 析 には 摂 南 大 学 経 済 学 部 が 2013 年 にオリックス バファローズと 共 同 で 行 った プロ 野 球 観 戦 に 関 する 調 査 を 用 いる 同 調 査 は 摂 南 大 学 経 済 学 部 2 年 生 を 中 心 に 9 月 7 日 京 セラドーム 大 阪 にて 主 にヒアリング 調 査 として 実 施 された ( 調 査 実 施 時 間 は 16:00~18:00 の 2 時 間 ) 調 査 対 象 は 京 セラドームへの 来 場 者 で 495 名 より 有 効 回 答 を 得 た 6 調 査 事 項 は 性 別 年 齢 収 入 といった 来 場 者 の 属 性 球 場 内 での 飲 食 物 の 購 入 状 況 チケットの 評 価 など 多 岐 に 亘 る 7 実 数 ( 人 ) 図 表 1 性 年 齢 別 回 答 者 数 男 女 男 女 計 構 成 比 (%) 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 20 歳 未 満 46 9.3 17 3.4 63 12.8 20 歳 以 上 30 歳 未 満 87 17.6 31 6.3 118 23.9 30 歳 以 上 40 歳 未 満 66 13.4 29 5.9 95 19.3 40 歳 以 上 50 歳 未 満 103 20.9 31 6.3 134 27.2 50 歳 以 上 60 歳 未 満 38 7.7 11 2.2 49 9.9 60 歳 以 上 70 歳 未 満 9 1.8 8 1.6 17 3.4 70 歳 以 上 9 1.8 8 1.6 17 3.4 合 計 358 72.6 135 27.4 493 100.0 調 査 回 答 者 の 属 性 をまとめるに 次 となる まず 性 年 齢 別 に 集 計 した 図 表 1をみると 回 答 者 の 7 割 以 上 が 男 性 であることが 確 認 できる 年 齢 階 級 については 最 も 回 答 したのは 40 歳 以 上 50 歳 未 満 の 27.2%で 20 歳 以 上 30 歳 未 満 (23.9%) 30 歳 以 上 40 歳 未 満 (19.3%)が 続 き これら 年 代 で 全 体 の 70.4%を 占 める 6 ヒアリング 調 査 の 実 施 場 所 が1 塁 側 内 外 野 入 口 ということもあり 回 答 者 の 多 くがオリックス バフ ァローズ ファンと 予 想 される したがって 分 析 結 果 については オリックス バファローズ ファン に 限 定 されたものと 予 想 される 7 付 録 Ⅰに 調 査 票 を 記 しているので 詳 細 はそちらを 参 照 するとよい 35

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 図 表 2 年 齢 所 得 別 回 答 者 数 300 万 円 未 満 300 万 円 以 上 500 万 円 未 満 500 万 円 以 上 700 万 円 未 満 700 万 円 以 上 1,000 万 円 未 満 1,000 万 円 以 上 20 歳 未 満 (n=48) 91.7 2.1 6.3 20 歳 以 上 30 歳 未 満 (n=114) 74.6 21.9 1.8 30 歳 以 上 40 歳 未 満 (n=89) 28.1 37.1 19.1 12.4 3.4 40 歳 以 上 50 歳 未 満 (n=129) 21.7 24.8 27.1 22.5 3.9 50 歳 以 上 60 歳 未 満 (n=47) 21.3 12.8 40.4 17.0 8.5 60 歳 以 上 70 歳 未 満 (n=17) 58.8 35.3 5.9 70 歳 以 上 (n=14) 64.3 28.6 7.1 全 回 答 者 (n=458) 46.1 23.4 17.0 10.7 2.8 0% 20% 40% 60% 80% 100% その 他 来 場 者 の 所 得 来 場 の 際 の 同 伴 者 に 関 する 設 問 を 年 齢 階 層 別 に 集 計 したものが 図 表 2 図 表 3 である 年 齢 別 に 所 得 の 分 布 をまとめた 図 表 2 に 着 目 すると 年 収 300 万 円 未 満 と 回 答 した 個 人 が 46.1%と 全 体 の 半 数 弱 を 占 めている 年 齢 別 では 30 代 40 代 50 代 の 年 収 が 比 較 的 高 く 50 代 では 約 4 割 が 年 収 500 万 円 以 上 700 万 円 未 満 と 回 答 している 次 に 来 場 の 際 の 同 伴 者 に 関 する 設 問 を 集 計 した 図 表 3 をみると 全 体 で 最 も 大 きな 割 合 を 占 めるのは 友 人 の 37.2%で 家 族 の 35.6% 1 人 の 21.4%が 続 く 年 齢 別 でみると 70 歳 以 上 を 除 いて 年 齢 層 が 上 がるにつれ 1 人 で 来 場 すると 回 答 した 人 が 増 加 する 傾 向 にある また 30 歳 未 満 につい ては 友 人 との 来 場 の 割 合 が 最 も 大 きく 6 割 を 30 歳 以 上 70 歳 未 満 では 家 族 との 来 場 が 4 割 を 超 えている 36

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 図 表 3 年 齢 同 伴 者 別 回 答 者 数 一 人 家 族 友 人 職 場 関 係 者 その 他 20 歳 未 満 (n=61) 4.9 27.9 63.9 1.6 1.6 20 歳 以 上 30 歳 未 満 (n=117) 12.8 12.8 66.7 2.6 5.1 30 歳 以 上 40 歳 未 満 (n=93) 19.4 44.1 26.9 4.3 5.4 40 歳 以 上 50 歳 未 満 (n=132) 28.0 49.2 18.2 2.3 2.3 50 歳 以 上 60 歳 未 満 (n=49) 36.7 46.9 14.3 2.0 60 歳 以 上 70 歳 未 満 (n=17) 47.1 41.2 11.8 70 歳 以 上 (n=17) 29.4 29.4 35.3 5.9 全 回 答 者 (n=486) 21.4 35.6 37.2 2.5 3.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図 表 4 プロ 野 球 観 戦 回 数 ( 昨 年 度 )の 分 布 確 率 密 度 0.05.1.15.2 0 10 20 30 40 来 場 回 数 ( 昨 年 度 ) 37

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 回 答 者 の 昨 年 度 のプロ 野 球 観 戦 回 数 をみていく 本 稿 ではこの 変 数 をプロ 野 球 への 関 心 を 示 す 代 理 指 標 として 扱 う 昨 年 度 の 観 戦 回 数 を 集 計 すると 平 均 値 が 7.2 回 に 対 し 標 準 偏 差 が 9.4 回 とバラつきが 大 きい 状 況 が 窺 える この 状 況 は 昨 年 度 の 観 戦 回 数 の 分 布 を 示 す 図 表 4 か らも 確 認 でき 20% 近 くの 回 答 者 が 2 回 以 下 と 回 答 しているのに 対 し 30 回 以 上 と 回 答 したの も 28 人 と 全 体 の 6.5%を 占 めている なお 来 場 回 数 をファンクラブ 加 入 の 有 無 別 でみると フ ァンクラブ 加 入 者 の 平 均 値 13.0 回 に 対 し 未 加 入 者 の 平 均 値 は 4.4 回 と 3 分 の 1 程 度 である 図 表 5 飲 食 物 への 1 人 あたり 支 出 ( 予 定 ) 額 確 率 密 度 0 5.0e-04.001.0015.002 0 1000 2000 3000 4000 1 人 あたり 消 費 ( 予 定 ) 金 額 ( 円 ) 調 査 回 答 者 の 球 場 内 における 飲 食 物 の 購 入 状 況 に 目 を 向 けると 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 する と 回 答 したのは 有 効 回 答 者 462 人 中 373 人 と 80.7%であった 8 この 373 人 を 対 象 に 1 人 あ たりの 消 費 ( 予 定 ) 金 額 の 分 布 を 示 したのが 図 表 5 である 同 図 からも 分 かるように 2,000 円 以 内 の 回 答 者 が 9 割 近 くを 占 め 特 に 1,000 円 周 辺 に 多 くの 回 答 者 が 集 まっている なお 1 人 あたりの 消 費 ( 予 定 ) 金 額 の 平 均 値 は 1489.6 円 標 準 偏 差 は 730.7 円 である 8 まだ 購 入 していないが これから 購 入 する 予 定 の 回 答 者 73 人 も 373 人 に 含 まれている 38

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 図 表 6 飲 食 物 に 抱 く 印 象 ラインナップ 価 格 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 多 い 70 15.9 安 い 7 1.6 普 通 295 67.1 ちょうどよい 183 41.3 少 ない 75 17.1 高 い 252 56.9 量 味 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 実 数 ( 人 ) 構 成 比 (%) 少 ない 93 21.0 美 味 しい 93 21.0 ちょうどよい 335 75.6 普 通 331 74.7 多 い 14 3.2 美 味 しくない 19 4.3 最 後 に 回 答 者 が 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 に 抱 いている 印 象 を 確 認 する 確 認 する 内 容 は 飲 食 物 のラインナップ 価 格 量 味 の 4 つの 属 性 で それぞれ 3 段 階 で 評 価 している これらをまとめたものが 図 表 6 である ラインナップ 量 味 に 着 目 すると 普 通 もしく は ちょうどよい との 回 答 が 70% 前 後 を 占 めている 他 方 価 格 については 56.9%が 高 い に 対 し ちょうどよい が 41.3%と 他 の 属 性 と 比 較 してネガティブな 印 象 を 抱 いてい る 回 答 者 が 多 い これら 質 問 事 項 については 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 しない 人 も 回 答 者 も 含 まれているため 価 格 に 関 する 印 象 のみ 実 際 に 購 入 した もしくは 購 入 予 定 に 対 象 を 限 定 した 集 計 も 追 加 的 に 行 った ただし 対 象 を 限 定 した 集 計 においても 高 い と 感 じている 回 答 者 が 54.6%に 対 し ちょうどよい が 43.7%と 大 きな 違 いは 見 受 けられない 以 上 摂 南 大 学 経 済 学 部 がオリックス バファローズと 共 同 で 行 った プロ 野 球 観 戦 に 関 す る 調 査 の 集 計 結 果 より 多 様 な 属 性 の 個 人 が 球 場 に 足 を 運 び 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 してい る 状 況 が 確 認 できた 次 節 では 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 への 消 費 金 額 および 印 象 と 回 答 者 の 属 性 に 着 目 し どのような 属 性 の 回 答 者 が 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 について 1 より 多 く 消 費 しているのか 2より 良 い 印 象 を 抱 いているのかを 計 量 経 済 学 の 手 法 を 用 いて 明 らかにする 39

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 3. 推 定 本 節 では 第 1 項 で 1 人 当 たり 消 費 金 額 と 各 種 属 性 との 関 係 飲 食 物 に 抱 く 印 象 と 属 性 の 関 係 を 分 析 するためのモデルを 紹 介 し 第 2 項 で 推 定 結 果 を 示 す 3-1 推 定 モデル 1 人 当 たり 消 費 金 額 と 回 答 者 の 各 種 属 性 の 関 係 を 検 証 するモデルでは 消 費 ( 予 定 ) 金 額 が 0 円 になる 標 本 が 多 数 存 在 する 点 に 注 意 する 必 要 がある 前 節 の 集 計 結 果 からも 明 らかなように プロ 野 球 観 戦 に 関 する 調 査 の 有 効 回 答 数 462 人 中 89 人 つまり 19.3%が 京 セラドーム 内 で 飲 食 物 を 購 入 しないと 回 答 しており これら 回 答 者 の 消 費 ( 予 定 ) 金 額 は 当 然 ながら 0 円 であ る このように 臨 界 値 である 0 円 と 回 答 した 個 人 が 多 い 状 況 で OLS を 用 いるとバイアスを 持 っ た 推 定 値 が 計 算 されることになる そこで 本 稿 では 臨 界 値 で 切 断 されたデータの 推 定 に 対 応 す る Tobit Model を 用 いる Tobit Model の 推 定 式 は 下 の 式 (1)である (1) 0, は 潜 在 変 数 で 回 答 者 が 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 すると 答 えた 場 合 は 1 人 当 たりの 消 費 ( 予 定 ) 金 額 購 入 しないと 答 えた 場 合 は 0 となる X は 1 人 当 たりの 消 費 ( 予 定 ) 金 額 に 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 回 答 者 の 各 種 属 性 であり 具 体 的 には 性 別 年 齢 所 得 来 場 の 際 の 同 伴 者 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 を 含 む なお 実 際 の 推 定 において 年 齢 は 対 数 値 を 用 いる および は 推 定 するパラメータ ε は 0, に 従 う 誤 差 項 を 示 している 9 なお 上 で 示 した 説 明 変 数 のほか 本 稿 では 滞 在 時 間 ファンクラブへの 加 入 の 有 無 を 説 明 変 数 に 加 えたケースについても 推 定 を 行 う 両 変 数 ともに 摂 南 大 学 経 済 学 部 で 開 講 された BBE (ベースボールエコノミクス)にて 1 人 当 たりの 消 費 ( 予 定 ) 金 額 との 関 係 が 言 及 された 変 数 である 滞 在 時 間 については 滞 在 時 間 の 長 い 人 ほど 消 費 機 会 が 増 えるため 正 ファンクラブ への 加 入 についてはファンクラブ 加 入 者 ほど 球 場 での 購 入 機 会 が 多 いため 負 の 符 号 が 予 想 され る 各 変 数 の 記 述 統 計 量 は 図 表 7 にまとめている 次 に 回 答 者 が 飲 食 物 に 抱 く 印 象 とその 属 性 の 関 係 を 分 析 するモデルを 提 示 する 図 表 6 から も 分 かるように 来 場 者 が 飲 食 物 に 抱 く 印 象 については ラインナップ 価 格 量 味 それぞ れに 3 つの 離 散 的 な 評 価 を 設 けている したがって 推 定 には OLS ではなく 順 序 ある 離 散 値 の 推 定 に 対 応 した Ordered Logit Mocel を 用 いる 推 定 モデルは 下 の 式 (2)である 上 記 の 通 り 飲 食 物 に 対 する 印 象 については ラインナップ 価 格 量 味 の 4 つの 属 性 があるため それぞれの 属 性 に 対 して 式 (2)を 推 定 することになる 9 Tobit Model の 尤 度 関 数 は Winkelmann and Boes(2006) Wooldrige(2010)を 参 照 するとよい 40

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 (2) 式 (2) 左 辺 の は 潜 在 変 数 で 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 の 属 性 (ラインナップ 価 格 量 味 )についての 回 答 者 の 印 象 を 示 す この 潜 在 変 数 については 下 に 示 す cut point で ある に 従 い 0 1 2 の 値 を 取 る 例 えば ラインナップであれば は 多 い 普 通 少 ない の 3 つの 値 を 取 り 多 い=2 普 通 =1 少 ない=0 として 扱 う 0 1 2 if if if 右 辺 の Z は 説 明 変 数 を 示 し 飲 食 物 の 各 種 属 性 への 印 象 に 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 回 答 者 の 属 性 が 含 まれる 具 体 的 には 性 別 年 齢 所 得 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 を 用 いる なお 年 齢 は 対 数 値 とする δ は 推 定 するパラメータ は 0, に 従 う 誤 差 項 を 示 している 変 数 の 定 義 及 び 記 述 統 計 量 は 図 表 7 にまとめている 図 表 7 記 述 統 計 量 変 数 定 義 観 測 値 平 均 標 準 偏 差 1 人 あたり 消 費 金 額 球 場 内 での 飲 食 物 の 購 入 費 ( 連 続 値 ) 420 1170.345 886.2523 ラインナップに 対 する 印 象 多 いと 回 答 した 場 合 は2 普 通 は1 少 ないは0となる 離 散 値 440 0.989 0.5746 価 格 に 対 する 印 象 安 いと 回 答 した 場 合 は2 普 通 は1 高 いは0となる 離 散 値 442 0.446 0.5285 量 に 対 する 印 象 多 いと 回 答 した 場 合 は2 普 通 は1 少 ないは0となる 離 散 値 442 0.821 0.4589 味 に 対 する 印 象 美 味 しいと 回 答 した 場 合 は2 普 通 は1 美 味 しくないは0となる 離 散 値 443 1.167 0.4748 性 別 男 性 の 場 合 1となるダミー 変 数 493 0.274 0.4464 年 齢 回 答 した 年 齢 ( 連 続 値 ) 485 35.643 14.0587 所 得 Ⅰ 年 収 300 万 円 未 満 の 場 合 1となるダミー 変 数 458 0.461 0.4990 所 得 Ⅱ 年 収 300 万 円 以 上 500 万 円 未 満 の 場 合 1となるダミー 変 数 458 0.234 0.4236 所 得 Ⅲ 年 収 500 万 円 以 上 700 万 円 未 満 の 場 合 1となるダミー 変 数 458 0.170 0.3763 所 得 Ⅳ 年 収 700 万 円 以 上 の 場 合 1となるダミー 変 数 495 0.125 0.3313 同 伴 者 Ⅰ 1 人 で 来 場 した 場 合 1となるダミー 変 数 490 0.212 0.4093 同 伴 者 Ⅱ 家 族 と 来 場 した 場 合 1となるダミー 変 数 490 0.353 0.4784 同 伴 者 Ⅲ 友 人 同 僚 などと 来 場 した 場 合 1となるダミー 変 数 495 0.422 0.4944 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 回 答 した 観 戦 回 数 ( 連 続 値 ) 433 7.268 9.3790 滞 在 時 間 球 場 に 滞 在 した 時 間 ( 連 続 値 ) 459 415.939 90.2220 ファンクラブ 加 入 ファンクラブに 加 入 している 場 合 1となるダミー 変 数 495 0.374 0.4843 41

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 3-2. 推 定 結 果 まず 球 場 内 での 飲 食 物 への 消 費 金 額 と 来 場 者 の 属 性 の 関 係 を 推 定 した 式 (1)の 結 果 をみてい く( 図 表 8) 図 表 8 推 定 結 果 (1) (1) (2) (3) (4) 推 定 値 t 値 推 定 値 t 値 推 定 値 t 値 推 定 値 t 値 性 別 -38.703-0.280-36.472-0.270-29.721-0.220-30.111-0.220 年 齢 ( 対 数 値 ) 193.528 1.130 179.562 1.050 195.331 1.140 86.750 0.510 所 得 Ⅱ 144.781 0.960 159.263 1.050 147.191 0.970 84.463 0.560 所 得 Ⅲ 160.348 0.870 173.781 0.940 168.727 0.910 196.205 1.090 所 得 Ⅳ 406.704 ** 2.010 413.319 ** 2.040 410.012 ** 2.020 340.541 * 1.670 同 伴 者 Ⅱ -138.906-0.870-117.923-0.740-132.608-0.830 87.053 0.560 同 伴 者 Ⅲ -320.836 ** -1.980-293.741 ** -1.790-307.396 ** -1.870-200.944-1.260 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 -2.860-0.460-2.229-0.360-4.516-0.660 滞 在 時 間 ( 対 数 値 ) -94.384-0.330 ファンクラブ 加 入 75.477 0.570-55.579-0.470 切 片 589.157 0.980 1174.388 0.630 555.840 0.920 774.809 1.280 対 数 尤 度 標 本 数 -2463.47 350-2444.58 347-2463.30 350-2676.07 388 注 )***は1% **は5% *は10% 水 準 で 有 意 を 示 す 図 表 8 推 定 結 果 (2) 被 説 明 変 数 : ラインナップ 価 格 量 味 (5) (6) (7) (8) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.333 1.210-0.256-0.990 0.946 *** 2.840-0.134-0.450 年 齢 ( 対 数 値 ) -0.796 ** -2.490-0.564 * -1.850 0.109 0.310-1.221 *** -3.420 所 得 Ⅱ 0.085 0.270 0.255 0.860 0.277 0.790 0.137 0.410 所 得 Ⅲ 0.329 0.920-0.143-0.420 0.556 1.330-0.229-0.550 所 得 Ⅳ 0.168 0.430 0.018 0.050 0.300 0.690-0.582-1.230 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 -0.016-1.320 0.010 0.810-0.002-0.150 0.014 1.090 対 数 尤 度 -301.24-274.82-229.10-234.17 標 本 数 368 369 370 370 注 )***は1% **は5% *は10% 水 準 で 有 意 を 示 す 42

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 図 表 8 推 定 結 果 (3) ファンクラブ 加 入 者 被 説 明 変 数 : ラインナップ (9) 価 格 (10) 量 (11) 味 (12) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.057 0.110-0.322-0.630 1.118 1.620 0.265 0.500 年 齢 ( 対 数 値 ) -0.302-0.560 0.095 0.180 0.092 0.140-1.119 ** -1.970 所 得 Ⅱ -0.092-0.180 0.083 0.160 0.080 0.130 0.539 1.020 所 得 Ⅲ -0.472-0.750 0.183 0.290-0.216-0.300 0.342 0.510 所 得 Ⅳ -0.389-0.620-0.365-0.600 0.090 0.120-0.363-0.520 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 -0.035 ** -2.070 0.016 0.950 0.020 0.980-0.005-0.310 対 数 尤 度 標 本 数 -108.35 127-96.51 127-79.61 128-94.31 128 ファンクラブ 未 加 入 者 被 説 明 変 数 : ラインナップ (13) 価 格 (14) 量 (15) 味 (16) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.492 1.480-0.251-0.810 0.967 ** 2.500-0.222-0.590 年 齢 ( 対 数 値 ) -1.008 ** -2.500-1.004 *** -2.610 0.002 0.000-1.400 *** -2.920 所 得 Ⅱ 0.129 0.320 0.378 1.030 0.377 0.860-0.066-0.150 所 得 Ⅲ 0.752 * 1.710-0.295-0.700 1.001 1.900-0.530-0.950 所 得 Ⅳ 0.455 0.900 0.290 0.620 0.449 0.810-0.665-1.020 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 0.007 0.310-0.018-0.860-0.044 * -1.850 0.019 0.790 対 数 尤 度 標 本 数 -189.51 241-173.79 242-146.01 242-135.27 242 注 )***は1% **は5% *は10% 水 準 で 有 意 を 示 す ベースとなるモデル(1)をみると 統 計 的 に 有 意 な 推 定 値 が 得 られた 変 数 は 所 得 Ⅳおよび 同 伴 者 Ⅲである 所 得 Ⅳは 所 得 階 級 700 万 円 以 上 の 回 答 者 が 属 しており 推 定 値 は 406.7 である この 結 果 については 所 得 階 級 700 万 円 以 上 の 回 答 者 は 所 得 階 級 300 万 円 未 満 の 回 答 者 と 比 較 して 平 均 値 で 406.7 円 多 く 消 費 していることを 示 す ただし 所 得 Ⅱ 所 得 Ⅲの 推 定 値 につ いては 値 は 正 ではあるが 統 計 的 な 有 意 性 は 確 認 できない したがって 所 得 が 高 い 個 人 ほど 球 場 内 で 多 く 消 費 するとまでは 言 えない 他 方 同 伴 者 Ⅲには 友 人 同 僚 などと 来 場 した 回 答 者 が 含 まれる この 変 数 の 推 定 値 は-320.8 なので 1 人 で 来 場 した 人 が 含 まれる 同 伴 者 Ⅰと 比 較 して 友 人 同 僚 などと 来 場 した 人 と 比 較 して 球 場 内 での 飲 食 物 への 消 費 金 額 が 平 均 320.8 円 少 ない 状 況 を 示 す 他 方 家 族 と 来 場 し た 回 答 者 が 含 まれる 同 伴 者 Ⅱの 推 定 値 は 統 計 的 に 有 意 ではないため 1 人 で 来 場 した 回 答 者 と 家 族 と 来 場 した 回 答 者 において 飲 食 物 への 消 費 金 額 に 違 いがあるとは 言 えない 次 に 球 場 内 の 滞 在 時 間 ファンクラブ 加 入 を 説 明 変 数 に 加 えたモデル(2) (3)の 結 果 を 確 認 す る 球 場 内 での 滞 在 時 間 を 加 えたモデル(2)をみると 滞 在 時 間 ( 対 数 値 )の 推 定 値 は 統 計 的 に 有 意 ではない つまり 球 場 内 の 滞 在 時 間 が 長 いほど 消 費 金 額 が 高 まるという 状 況 は 確 認 でき ず 当 初 の 想 定 とは 異 なる 結 果 となった このような 結 果 となった 理 由 として 調 査 を 行 った 時 間 帯 の 影 響 が 考 えられる 第 2 節 で 記 し 43

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) た 通 り 今 回 の 調 査 を 行 った 時 間 帯 は 16:00~18:00 で 回 答 者 の 多 くが 試 合 終 了 まで 観 戦 すると 回 答 した 同 日 の 試 合 開 始 時 刻 が 18:00 で 終 了 時 刻 が 22.00 だったことを 考 えると 回 答 者 の 大 半 は 4 時 間 以 上 球 場 内 に 滞 在 していることになる 図 表 7 の 滞 在 時 間 をみても 平 均 値 が 415 分 なので 回 答 者 は 平 均 6 時 間 55 分 に 亘 って 球 場 に 滞 在 したことになる 多 くの 来 場 者 は 各 自 の 予 算 制 約 のもと 飲 食 物 を 購 入 すると 考 えられるため 7 時 間 近 く 滞 在 していれば 予 定 した 金 額 を 使 用 しきっている 人 が 大 半 と 予 想 される 予 算 制 約 が 所 得 に 依 存 すると 仮 定 すると 所 得 の 影 響 をコントロールしているので 滞 在 時 間 と 消 費 金 額 の 間 に 明 確 な 関 係 が 見 いだせないのは 当 然 かもしれない ファンクラブ 加 入 を 説 明 変 数 に 加 えたモデル(3)をみると こちらでもファンクラブ 加 入 の 推 定 値 は 統 計 的 に 有 意 ではない 前 項 では ファンクラブ 加 入 者 ほど 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 機 会 が 多 いため 消 費 金 額 は 少 なくなると 想 定 したが 他 の 要 因 をコントロールすると ファンク ラブ 加 入 の 有 無 による 消 費 金 額 の 違 いは 見 いだせなかった ただし 前 節 で 確 認 したように ファンクラブ 加 入 者 ほど 球 場 への 来 場 回 数 ( 昨 年 度 )が 多 い 状 況 にある プロ 野 球 観 戦 回 数 ( 昨 年 度 )とファンクラブ 加 入 が 強 く 相 関 する 可 能 性 がある ため この 点 を 考 慮 し 昨 年 度 のプロ 野 球 観 戦 回 数 を 説 明 変 数 から 除 いたモデル(4)を 推 定 した しかし ファンクラブ 加 入 の 推 定 値 が 統 計 的 に 有 意 という 結 果 は 得 られなかった 次 に 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 に 抱 いている 印 象 と 属 性 の 関 係 を 推 定 した 式 (2)の 結 果 を 示 す 図 表 9 をみていく 図 表 9 推 定 結 果 (2) 被 説 明 変 数 : ラインナップ 価 格 量 味 (5) (6) (7) (8) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.333 1.210-0.256-0.990 0.946 *** 2.840-0.134-0.450 年 齢 ( 対 数 値 ) -0.796 ** -2.490-0.564 * -1.850 0.109 0.310-1.221 *** -3.420 所 得 Ⅱ 0.085 0.270 0.255 0.860 0.277 0.790 0.137 0.410 所 得 Ⅲ 0.329 0.920-0.143-0.420 0.556 1.330-0.229-0.550 所 得 Ⅳ 0.168 0.430 0.018 0.050 0.300 0.690-0.582-1.230 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 -0.016-1.320 0.010 0.810-0.002-0.150 0.014 1.090 対 数 尤 度 -301.24-274.82-229.10-234.17 標 本 数 368 369 370 370 注 )*** は 1% ** は 5% * は 10% 水 準 で 有 意 を 示 す 44

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 まず 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 のラインナップへの 印 象 を 分 析 したモデル(5)を 確 認 す ると 年 齢 の 推 定 値 のみマイナスの 値 で 統 計 的 に 有 意 という 結 果 が 得 られた この 結 果 は 年 齢 の 高 い 回 答 者 ほど 飲 食 物 のラインナップに 対 して 良 い 印 象 を 抱 いていない 傾 向 を 示 している 年 齢 が 高 まるほど 多 様 な 飲 食 物 を 購 入 する 機 会 が 増 えるので こういった 年 齢 層 の 回 答 者 は 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 に 物 足 りなさを 感 じているのかもしれない 同 様 の 傾 向 は 価 格 味 に 関 する 印 象 を 分 析 したモデル(6) (8)にも 当 てはまる これらモデルでも 年 齢 の 推 定 値 のみ がマイナスの 値 で 統 計 的 に 有 意 である この 結 果 についても ラインナップ 同 様 多 様 な 飲 食 物 を 購 入 する 機 会 が 多 い 高 い 年 齢 層 の 人 ほど 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 の 価 格 味 に 物 足 りなさを 感 じていることを 示 唆 している 最 後 に 飲 食 物 の 量 に 関 する 印 象 を 分 析 したモデル(7)をみると 性 別 の 推 定 値 のみプラスで 統 計 的 に 有 意 である これは 女 性 と 比 較 して 男 性 の 回 答 者 の 方 が 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 の 量 が 多 いと 感 じる 傾 向 を 示 している 一 般 的 には 男 性 よりも 女 性 の 方 が 食 べる 量 が 少 ない ので 女 性 の 方 が 多 いと 感 じていると 考 えられるため この 分 析 結 果 は 一 般 的 な 感 覚 と 異 なっ ている このような 結 果 となった 明 確 な 理 由 を 今 回 の 調 査 から 見 出 すことは 難 しいが 男 性 と 女 性 で 購 入 する 飲 食 物 に 違 いがあり この 違 いが 今 回 の 結 果 に 影 響 したのかもしれない つまり 男 性 は 弁 当 等 のしっかりとした 飲 食 物 を 購 入 する 一 方 女 性 は 甘 味 などの 軽 食 を 中 心 に 飲 食 物 を 購 入 する 傾 向 にあり 弁 当 等 の 量 は 多 いが 軽 食 の 量 は 少 ないならば 今 回 のような 結 果 にな る 可 能 性 は 十 分 に 考 えられる ただし 今 回 用 いた 調 査 から 回 答 者 が 購 入 した 飲 食 物 の 内 容 ま で 把 握 することはできない これまで 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 に 関 する 印 象 について 全 回 答 者 のデータを 用 いて 分 析 結 果 を 示 してきた ただし 回 答 者 の 属 性 に 応 じて 標 本 を 分 割 することで 全 標 本 を 用 い た 分 析 からは 見 えてこなかった 側 面 を 把 握 できるかもしれない そこで 先 の 球 場 内 での 飲 食 物 への 消 費 金 額 と 来 場 者 の 各 種 属 性 に 関 する 分 析 で 説 明 変 数 に 用 いたファンクラブ 加 入 の 有 無 で 標 本 を 分 割 し 各 標 本 について 同 様 の 推 定 を 行 ってみる 推 定 結 果 は 図 表 10 に 示 している 45

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 図 表 10 ファンクラブ 加 入 の 有 無 別 推 定 結 果 ファンクラブ 加 入 者 被 説 明 変 数 : ラインナップ 価 格 量 味 (9) (10) (11) (12) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.057 0.110-0.322-0.630 1.118 1.620 0.265 0.500 年 齢 ( 対 数 値 ) -0.302-0.560 0.095 0.180 0.092 0.140-1.119 ** -1.970 所 得 Ⅱ -0.092-0.180 0.083 0.160 0.080 0.130 0.539 1.020 所 得 Ⅲ -0.472-0.750 0.183 0.290-0.216-0.300 0.342 0.510 所 得 Ⅳ -0.389-0.620-0.365-0.600 0.090 0.120-0.363-0.520 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 -0.035 ** -2.070 0.016 0.950 0.020 0.980-0.005-0.310 対 数 尤 度 -108.35-96.51-79.61-94.31 標 本 数 127 127 128 128 ファンクラブ 未 加 入 者 被 説 明 変 数 : ラインナップ 価 格 量 味 (13) (14) (15) (16) 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 推 定 値 z 値 性 別 0.492 1.480-0.251-0.810 0.967 ** 2.500-0.222-0.590 年 齢 ( 対 数 値 ) -1.008 ** -2.500-1.004 *** -2.610 0.002 0.000-1.400 *** -2.920 所 得 Ⅱ 0.129 0.320 0.378 1.030 0.377 0.860-0.066-0.150 所 得 Ⅲ 0.752 * 1.710-0.295-0.700 1.001 1.900-0.530-0.950 所 得 Ⅳ 0.455 0.900 0.290 0.620 0.449 0.810-0.665-1.020 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 0.007 0.310-0.018-0.860-0.044 * -1.850 0.019 0.790 対 数 尤 度 -189.51-173.79-146.01-135.27 標 本 数 241 242 242 242 注 )*** は 1% ** は 5% * は 10% 水 準 で 有 意 を 示 す まずファンクラブ 加 入 者 を 対 象 とした 推 定 したモデル(9)~(12)をみていく 全 体 的 に 統 計 的 に 有 意 な 推 計 値 は 少 なく 有 意 となったのはモデル(8)の 昨 年 度 のプロ 野 球 の 観 戦 回 数 モデル (12)の 年 齢 のみである このうち 新 たな 示 唆 が 得 られる 結 果 は 前 者 である 先 の 飲 食 物 への 消 費 金 額 に 関 する 分 析 では ファンクラブ 加 入 の 有 無 で 消 費 金 額 に 違 いが 見 いだせず 当 初 の 想 46

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 定 とは 異 なる 結 果 になっていた しかし この 結 果 を 踏 まえると ファンクラブ 加 入 者 で 観 戦 回 数 が 多 くなることで 飲 食 物 への 消 費 に 負 の 影 響 を 及 ぼすことが 予 想 される ファンクラブ 加 入 者 で 観 戦 回 数 の 多 い 回 答 者 は それだけ 京 セラドームに 足 を 運 んでいる 人 と 考 えられる 観 戦 回 数 の 多 い 人 ほど 飲 食 物 のラインナップに 良 い 印 象 を 抱 いていないのであれば 飲 食 物 へ の 関 心 が 低 下 し 結 果 として 球 場 内 での 飲 食 を 控 える 可 能 性 は 十 分 に 考 えられる したがって 飲 食 物 への 消 費 金 額 とファンクラブ 加 入 の 関 係 を 直 接 捉 えることはできなかったが この 結 果 は 間 接 的 に 支 持 するものと 理 解 できる ファンクラブ 未 加 入 者 を 対 象 に 分 析 を 行 ったモデル(13)~(16)に 注 目 すると 全 回 答 者 の 分 析 と 同 様 ラインナップ 価 格 味 については 年 齢 が 高 いほど 量 については 男 性 よりも 女 性 の 方 が 良 い 印 象 を 抱 いていない 傾 向 にある その 他 モデル(13)の 所 得 Ⅲの 推 定 値 において モデル(16)の 昨 年 度 のプロ 野 球 観 戦 回 数 の 推 定 値 で 統 計 的 な 有 意 性 が 確 認 できた 4.まとめ 本 稿 では 摂 南 大 学 経 済 学 部 がオリックス バファローズと 共 同 で 行 った プロ 野 球 観 戦 に 関 する 調 査 を 用 いて どのような 属 性 の 個 人 が 球 場 内 で 販 売 されている 飲 食 物 について 1よ り 多 く 消 費 しているのか 2より 良 い 印 象 を 抱 いているのかを 分 析 した 分 析 結 果 より 次 の 2 点 が 明 らかとなった 第 1 は 球 場 内 の 飲 食 物 への 消 費 金 額 において 所 得 来 場 の 際 の 同 伴 者 の 重 要 性 が 確 認 でき た 具 体 的 には 所 得 階 級 700 万 円 以 上 の 回 答 者 は 所 得 階 級 300 万 円 未 満 の 回 答 者 と 比 較 して 平 均 で 406.7 円 1 人 で 来 場 した 回 答 者 は 友 人 同 僚 などと 来 場 した 回 答 者 よりも 平 均 320.8 円 多 く 球 場 内 で 飲 食 物 を 購 入 していた 第 2 は 球 場 内 で 販 売 している 飲 食 物 に 対 して 年 齢 の 高 い 回 答 者 ほど 良 い 印 象 を 抱 いていな い 点 である 今 後 の 高 齢 化 の 進 展 を 踏 まえると 来 場 者 の 高 齢 化 を 否 定 できない このような 状 況 で 飲 食 物 からの 収 益 を 向 上 させるには 高 い 年 齢 層 の 来 場 者 へ 良 い 印 象 を 与 える 飲 食 物 の 用 意 が 不 可 欠 と 言 える 最 後 に 本 稿 の 課 題 を 示 す まずは 収 集 したデータの 代 表 性 である 本 稿 の 分 析 に 用 いたデー タは 先 に 示 した 通 り 摂 南 大 学 経 済 学 部 がオリックス バファローズと 共 同 で 行 った プロ 野 球 観 戦 に 関 する 調 査 である 同 調 査 は 主 にヒアリングを 通 じて 調 査 票 の 回 収 がなされたが ヒアリングの 実 施 場 所 が 1 塁 側 (オリックス バファローズ 側 )スタンドおよび 入 場 口 に 限 定 されていた 従 って 調 査 結 果 は 球 場 全 体 を 示 すものではなく オリックス バファローズに 関 心 ある 来 場 者 に 関 するものといえる ただし 同 調 査 の 結 果 がオリックス バファローズに 関 心 のある 来 場 者 を 代 表 しているかも 疑 わしい 上 記 の 通 り 同 調 査 はヒアリング 調 査 である 以 上 回 答 者 の 偏 り すなわちサンプ ル セレクションが 生 じている 可 能 性 を 否 定 できない 10 従 って 同 調 査 の 回 答 者 に 偏 りが 生 じている 可 能 性 が 高 い 以 上 同 調 査 より 得 られた 結 果 および その 解 釈 については 十 分 な 留 10 特 定 の 属 性 を 持 つ 個 人 に 回 答 者 が 偏 ることを 指 す 例 えば オリックス バファローズに 好 意 的 な 個 人 ほど 調 査 に 協 力 するなど 47

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) 意 が 必 要 と 言 わざるを 得 ない 他 の 課 題 として 推 定 方 法 の 問 題 が 挙 げられる 今 回 の 推 定 に 用 いた 説 明 変 数 の 中 には 外 生 的 に 決 定 していると 仮 定 できるものがある 一 方 ファンクラブへの 加 入 を 示 す 変 数 などは 内 生 変 数 として 扱 う 方 が 適 切 である 11 このような 内 生 性 の 疑 いのある 変 数 を 含 むモデルの 推 定 には 一 般 的 に 操 作 変 数 を 用 いた 操 作 変 数 法 を 用 いる しかし 本 稿 で 用 いたアンケート 調 査 票 より 適 切 な 操 作 変 数 の 候 補 をみつけられなかったため 同 手 法 を 用 いることができなかった したがって 本 稿 で 提 示 した 推 定 結 果 において 推 定 値 にバイアスが 生 じている 可 能 性 を 否 定 できない 参 考 文 献 大 坪 正 則 (2011) パ リーグがプロ 野 球 を 変 える 6 球 団 に 学 ぶ 経 営 戦 略, 朝 日 新 聞 出 版. Winkelmann, R. and Boes, S.(2010) Analysis of Microdata, Springer. Wooldridge, J. (2010) Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data, MIT Press. 11 ファンクラブへの 加 入 の 有 無 については 回 答 者 は 把 握 しているが 分 析 者 が 把 握 できない 要 因 と 相 関 し それら 要 因 が 誤 差 項 に 含 まれている 可 能 性 がある このような 状 況 が 想 定 できる 変 数 は 内 生 変 数 とし て 扱 う 必 要 がある 48

プロ 野 球 来 場 者 の 飲 食 物 購 買 行 動 に 関 する 考 察 参 考 資 料 Ⅰ( 表 面 ) 49

摂 南 経 済 研 究 第 4 巻 第 1 2 号 (2014) ( 裏 面 ) 50