データヘルス計画の概要と目的 背景 情報化社会により 健康や医療に関する情報を活用して被保険者の健康課題の分析 保健事業の評価等を行うための基盤の整備が進んでいます 今後は データ分析により健康課題を明確にしたうえで 国民健康保険加入者のさらなる健康保持増進のため より効果的 効率的な保健事業の実施

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1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

市原市国民健康保険 データヘルス計画書

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス


目次 1. 基本事項... 1 (1) 計画策定の背景... 1 (2) データヘルス計画の位置づけ... 1 (3) 計画期間 北海道建設国民健康保険組合の特性把握... 2 (1) 被保険者の構成... 2 (2) 医療費の状況 これまでの取り組み... 6 (1

第2期データヘルス計画について

目次 1. 趣旨 2. 計画の期間 3. 兵庫県の特徴 (1) 人口 後期高齢者数について (2) 平均寿命について (3) 医療 健診 介護 ( 有病状況 ) について 4. 目標 5. 実施事業 < 参考 > 別添資料 KDB の分析帳票等について

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第2章

スライド 1

特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

~ 第 1 章計画策定にあたって ~ 1. データヘルス計画策定の背景及び位置付けこれからの高齢者の大幅な増加が見込まれる中で 高齢者ができる限り長く自立した日常生活を送ることができるよう 被保険者の健康の保持増進の取組みを支援することが重要です また 特定健康診査の実施やレセプト等の電子化の進展

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第 2 章 西東京市の現状 第 2 章 東京市の現状 1 人口等の動向 (1) 東京市の 年次推移西東京市の人口は 平成 7(1995) 年以降 一貫して増加の傾向にあり 平成 27(2015) 年の国勢調査では 20 万人を超えています 図表 2-1 西東京市人口の年次推移と伸び率 ( 人 ) 2

調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

現状分析による課題抽出のためのワークシート ( 高血圧 糖尿病 脂質異常症 ) 高血圧糖尿病脂質異常症 要介護認定を受けた被保険者の医療費の状況 ( 資料 :KDB システム 12 月末抽出分 ) 有病状況では糖尿病等の基礎疾患が約 6 割となっている 中分類別医療費 1 人当たり医療費が県と比較し

第 2 章気仙沼市の健康を取り巻く状況 - 4 -

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

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H23修正版

第1章評価にあたって

第2次「健康くるめ21」計画

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1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

目  次

(2) 傷病分類別ア入院患者入院患者を傷病分類別にみると 多い順に Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 千人となっている 病院では Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 147.

01_地域の全体像の把握

施設の種類別に年次推移をみると 入院では 病院は 8 年からほぼ横ばいであったが 20 年は減少しており 一般診療所は昭和 59 年から減少傾向にある 外来では 病院 一般診療所ともに 20 年は減少しており 歯科診療所は 14 年から増加傾向にある ( 図 1 統計表 1 2) 年齢階級別にみると

保健事業実施計画書

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目次 第 1 基本的事項 1 1. 計画策定の目的 2. 計画期間 第 2 現状と評価 2 1. 滋賀県の後期高齢者等の現状 2. 健康 医療情報の分析および結果に基づく健康課題の把握 第 3 保健事業 実施する事業 2. 実施体制 3. 実施事業の目的および概要 第 4 計画の評価方法

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

保健事業実施計画書 ( データヘルス計画 ) 平成 30 年度 ~ 平成 35 年度 長野県医師国民健康保険組合

第三期特定健康診査等実施計画 ニチアス健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 02 月 20 日

大阪府医師国民健康保険組合 特定健康診査等実施第 2 期計画 ( 平成 25 年 7 月 1 日 ) 1. 計画策定の背景昭和 36 年の国民皆保険の成立により わが国の平均寿命は飛躍的に伸び 今や世界一の長寿国となった しかし 世界に冠たるこの国民皆保険制度は 平均寿命の伸びによる高齢化の急激な進

後期高齢者医療概況

特定健康診査等実施計画(案)

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PowerPoint プレゼンテーション

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4 死亡数と死亡率の推移 4,9 4,8 4,7 4,6 4,5 実数率人口千対 4,522 4,536 4,52 4, ,4 4,3 4, 4, , 平成 18 年平成 19 年平成 年平成 21 年平成 22 年 18 年 1

平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

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21

第 1 章計画策定にあたって 1 計画策定の背景と趣旨 ( 注近年 特定健康診査 ) ( 注 ) ( 以下 特定健診 という ) の実施や診療報酬明細書等 ( 以 下 レセプト という ) の電子化の進展等により 保険者 ( 注 ) が健康や医療に関する情 報を活用して被保険者 ( 注 ) の健康課

04-4-様式1-1★変更有

調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

第 1 節人口の推移 1 総人口と世帯数の推移 平成 25 年 1 月 1 日現在 人口は 580,852 人 世帯数は 259,048 で平成 5 年から 人口 世帯数ともに増加傾向にあります 出典 : 各年 1 月 1 日現在総人口 2 段階別人口の推移と将来推計平成 17 年から 25 年まで

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3 成人保健

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第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

要因 2 全国的に 死亡原因の 6 割が生活習慣病であり 大阪市においては 特に死亡者数の最 も多い悪性新生物 ( がん ) の死亡率が高くなっている なお 心疾患および脳血管疾患 については 全国との差が年々縮まり 現在はほぼ同じ水準となっている 国 大阪府 大阪市の死亡率 H22 年 人口 10

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02 28結果の概要(3健康)(170622)

2 第 1 期データヘルス計画 ( 平成 27 年度 ~ 平成 29 年度 ) の要点 ⑴ 加入者の状況被保険者は 男性が約 85% と多く 年齢構成は 40 歳代 50 歳代が多い 被扶養者は 子供を除くと女性が多い ⑵ データに基づく健康課題 1 生活習慣病及び生活習慣病関連疾患が医療費に占める

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

平成 27 年度版 [ 人口の状況 ] の現状 人口静態 ( 平成 27 年 ) 人口動態 ( 平成 26 年 ) 総数 男 女 総数 男 女 人口 89,42 44,85 44,552 出生数 歳以上人口 22,17 1,36 11,864 死亡数

特徴計画策定時実績値増減値 健診 特定健診受診率が低く 未受診者の中に生活習慣 病重症化の恐れがある人が隠れている 男性は メタボ予備群 BMI, 腹囲の有所見者が多 い 健診受診者の服薬治療者が少ない 男女とも血糖 LDL コレステロール 拡張期血圧 尿 酸 ALT(GPT) の有所見者が多い 喫

はじめに第1章基本方針第2章岐阜市の現状第3章第4章第二次ぎふ市民健康基本計画の評価今後の取り組み第5章効果的な推進体制第6章参考資料7 第 3 章岐阜市の現状 1 岐阜市の人口統計 (1) 人口の推移 本市の人口は 昭和 60 年以降 減少傾向にあったものの 平成 18 年柳津町との合併により 一

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平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

調査の概要と対象レセプトについて本レポートは メンタルヘルスに関連する 気分 [ 感情 ] 障害 神経症性障害 ストレス関連障害及び身体表現性障害 の入院外の動向を中心に 24 年度の受診者数の推移や対前年同期比の推移を調査したものです 職場でのメンタルヘルス対策や注意喚起など 広報誌 ホームページ

10075 口頭発表 身体活動 8 月 31 日 ( 金 ) 8:30~9:20 第 8 会場 朱鷺メッセ 3F 小会議室 口頭発表 診断 -その他 8 月 30 日 ( 木 ) 11:00~12:20 第 5 会場 朱鷺メッセ 3F 中会議室

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

第三期特定健康診査等実施計画 横浜ゴム健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 10 月 16 日

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保健事業実施計画書

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1


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表 19 死亡数 ( 場所 区 ) 年次 総数 施設内 施設外 総数病院診療所老健施設助産所老人ホーム総数自宅その他 平成 23 10,380 9,363 8, , ,389 9,324 8, ,065 88


Ⅰ 目標達成

3 成人高齢保健等 -(1) 主要疾患別死亡推移 2 心疾患 全国 ( 上段 : 人 下段 : 人口 10 万対 ) 平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年平成 28 年 198, , , , ,

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

スライド 1

第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

国民健康保険制度改革の施行に向けて

脳血管疾患予防のための保健事業実施計画 データヘルス計画の目的は 脳血管疾患 虚血性心疾患等 糖尿病性腎症による新規透析患者を減らし 健康格差を縮小することにあります このうち 本市では脳血管疾患患者の入院医療費が 1 億 5,600 万円であり 生活習慣病全体の入院医療費の 33.1% と多くを占

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データヘルス計画の概要と目的 背景 情報化社会により 健康や医療に関する情報を活用して被保険者の健康課題の分析 保健事業の評価等を行うための基盤の整備が進んでいます 今後は データ分析により健康課題を明確にしたうえで 国民健康保険加入者のさらなる健康保持増進のため より効果的 効率的な保健事業の実施が求められています 計画期間 平成 27 年度から平成 29 年度までの 3 年間とします 目的 伊達市の健康増進計画である 第 2 次健康づくり伊達 21 では 市民一人ひとりが 主体的に健康づくりに取り組むとともに 地域全体で健康づくりをすすめる環境を整えることにより 健康寿命を延伸し 元気で活力あるまちづくりを目指す ことを基本理念として掲げています この目的を達成するため 以下の分析により浮き彫りとなった課題に対応した保健事業を推進します 用語の定義 1 平 均 寿 命 : その年に生まれた者が その後何年生きられるかという期待値 2 健 康 寿 命 : 健康上の理由で 日常生活が制限されない期間 KDBシステムにおいては次の計算式により健康寿命を算出しており 厚生労働省公表値とは異なります 0 歳平均余命 -65~69 歳平均余命 -(1-( 介護認定者数 40 歳 ~の人口 ) 65~69 歳定常人口 65 歳生存数 ) 3 KDBシステム : 健診や医療 介護の情報に基づき 各種統計情報や個人の健康に関するデー タを作成 集計し 効果的 効率的な保健事業の実施をサポートすることを 目的につくられた 国保データベースシステム の略称 4 Q O L:Quality of Life- 生活の質 5 レ セ プ ト : 医療機関が作成する 治療の内容や費用などが記載された 診療報酬明細書 6 総 点 数 : 医療サービスにはあらかじめ 診療報酬点数 が全国一律で定められており 1 点につき 10 円で計算されています 総点数 = 各保険者点数の合計 保険者数の値 7 千人あたり件数 : レセプト総件数 被保険者数 1,000 の値 8 1 件あたり点数 : レセプト総点数 総件数の値 [1]

1 平均寿命 健康寿命と死亡の状況 平均寿命 1 健康寿命 2 ( 平成 25 年度 ) 項目 男性女性平均寿命健康寿命差平均寿命健康寿命差 伊達市 78.3 歳 64.2 歳 14.1 歳 86.2 歳 65.6 歳 20.6 歳 同規模平均 79.2 歳 64.9 歳 14.3 歳 86.3 歳 66.6 歳 19.7 歳 北海道 79.2 歳 65.1 歳 14.1 歳 86.4 歳 66.8 歳 19.6 歳 国 79.6 歳 65.2 歳 14.4 歳 86.4 歳 66.8 歳 19.6 歳 死因別割合 ( 平成 25 年度 ) ( 資料 :KDB システム 3 ) 伊達市同規模平均北海道国 50.8% 45% 50.3% 48.3% 悪性新生物心臓病脳血管疾患糖尿病腎不全自殺 0% 20% 40% 60% 80% 100% 分析結果と課題女性の平均寿命と健康寿命の差が 国等と比較し約 1 年長くなっています 平均寿命と健康寿命の差は 介護等の手助けが必要な期間の長さを意味し 本人のQOL 4 の低下に繋がるとともに 医療費や介護給付費を押し上げる要因となるため 健康寿命を延伸し 平均寿命との差を短縮するための取り組みが求められます また 悪性新生物 心臓病 脳血管疾患 糖尿病 腎不全 自殺の合計を 100 とした場合の死因割合では 悪性新生物が多くを占めているため がん検診及び精密検査の受診率向上が求められます [2]

2 医療費分析 1 人あたり医療費の推移と内訳 450,000 円 400,000 円 350,000 円 300,000 円 250,000 円 年度別推移 ( 各年度末現在 ) 402,826 円 406,183 円 420,898 円 383,532 円 391,057 円 326,967 円 334,374 円 341,885 円 348,960 円 353,697 円伊達市 308,669 円 315,856 円北海道 281,761 円 289,885 円 299,333 円国 H20 H21 H22 H23 H24 内訳 ( 平成 24 年度 ) 伊達市 44.7% 26.5% 5.2% 20.0% 3.6% 入院入院外 北海道 40.9% 30.9% 6.8% 18.1% 3.3% 歯科 調剤 国 36.0% 35.4% 7.4% 17.3% 3.8% その他 歯科にかかる医療費 ( 平成 24 年度 ) 受診率 1 件あたり日数 1 日あたり診療費 伊達市 120.014% 2.57 日 7,138 円 北海道 142.555% 2.36 日 7,157 円 国 171.686% 2.10 日 6,480 円 ( 資料 : 国民健康保険の実態 ( 厚生労働省 ) 国民健康保険事業年報 ( 国保中央会国保連合会 )) 分析結果と課題 1 人あたり医療費は 国 北海道と比較して高い状態にあり 特に入院にかかる医療費が全体の約 45% を占めています この要因として 1 日あたり診療費は国や北海道と比較して低い一方で 受診率が高く 1 件あたりの入院日数も長いことに加え 医療施設の病床率が高いことの影響も考えられます そのため 長期入院者や高額医療の疾病状況等を分析し 予防や早期発見 重症化防止の観点からの取り組みが求められます 歯科については 国 北海道と比較して受診率が低い一方で 1 件あたり日数 1 日あたり診療費が高いため 重症化してから受診している方が多いと考えられます 歯周病が生活活習慣病の重症化に関与することがわかってきていることから 日頃の口腔ケアの重要性や早期受診等 口腔保健の啓発が求められます [3]

3 レセプト 5 分析 新生物細小医療費割合 ( 入院と外来の合計 平成 25 年度 ) 子宮頸がん, 1.3% 腎臓がん, 1.2% 喉頭がん, 1.6% 子宮体がん, 2.0% 甲状腺がん, 2.1% 卵巣腫瘍 ( 悪性 ), 3.0% 食道がん, 3.9% 膀胱がん, 4.0% 膵臓がん, 5.0% 肝がん, 6.8% 前立腺がん, 8.5% 乳がん, 9.6% 大腸がん, 26.8% 肺がん, 14.0% 胃がん, 10.2% 大腸がんによる外来 ( 男性 平成 25 年度 ) 年齢階層 6 7 8 総点数千人あたりレセプト件数レセプト1 件あたり点数伊達市北海道伊達市北海道伊達市北海道 15-39 歳 14,855 11,691 0.310 0.363 4,952 5,382 40-44 歳 192,980 8,320 2.794 0.889 21,442 5,745 45-49 歳 357,626 14,616 3.847 1.430 32,511 6,538 50-54 歳 9,714 29,448 1.464 2.210 2,429 7,835 55-59 歳 79,443 67,708 5.318 2.964 3,972 11,062 60-64 歳 1,235,843 140,509 6.125 4.643 24,232 7,558 65-69 歳 747,386 239,469 7.038 6.667 10,238 7,629 70-74 歳 814,113 315,824 8.474 9.164 8,754 7,123 疾病大分類別医療費割合 ( 平成 25 年度 ) [ 単位 : 点 件 点 ] 損傷 中毒及びその他の外因の影響 5.5% その他 23.0% 消化器系 6.7% 筋骨格系及び結合組織 10.7% 入院 精神及び行動 20.4% 循環器系 15.6% 新生物 18.1% 消化器系 6.3% 精神及び行動 6.7% 呼吸器系 7.0% 腎尿路生殖器系 9.7% その他 18.4% 外来 循環器系 13.4% 新生物 13.3% 内分泌 栄養及び代謝 14.5% 筋骨格系及び結合組織 10.7% [4]

6 ヶ月以上の入院の内訳 ( 平成 25 年度 ) 細小分類医療費割合上位 ( 平成 25 年度 ) 主病名人数割合順位疾病名割合予防の可否その他の精神及び行動の障害 2 人 2.38% 1 位統合失調症 8.3% 腎不全 2 人 2.38% 2 位糖尿病 5.8% 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 2 人 2.38% 脳梗塞 2 人 2.38% 3 位関節疾患 4.3% その他の筋骨格系及び結合組織の疾患 3 人 3.57% 4 位慢性腎不全 ( 透析あり ) 4.3% その他の心疾患 3 人 3.57% 5 位高血圧症 2.9% 肺炎 3 人 3.57% 6 位うつ病 2.9% その他の皮膚及び皮下組織の疾患 4 人 4.76% 7 位大腸がん 2.7% 気分 ( 感情 ) 障害 ( 躁うつ病を含む ) 9 人 10.71% 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害 43 人 51.20% 8 位脳梗塞 1.7% その他 11 人 13.10% 9 位骨折 1.6% 計 84 人 100% 10 位脂質異常症 1.5% 人工透析患者の年齢別有病割合 ( 平成 25 年度 ) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 15-39 歳 40-44 歳 45-49 歳 50-54 歳 55-59 歳 60-64 歳 65-69 歳 70-74 歳 高血圧症糖尿病高尿酸血症虚血性心疾患脳血管疾患動脈閉塞性疾患 分析結果と課題新生物にかかる医療費割合は 大腸がんが最も多くを占めています また 男性の大腸がんによる外来の状況をみると 40 歳未満からレセプトがあり 50 歳代前半を除くすべての年代で総点数が高くなっています 北海道と比較しても同様に高くなっており 特に 40 歳代のレセプト1 件あたり点数が高くなっています 疾病大分類別医療費割合では 入院については精神及び行動の障害が多くを占めており 6ヶ月以上の入院の内訳をみても 5 割以上が精神疾患に起因するものとなっています 細小分類医療費割合上位をみると 生活習慣病が多くを占めているため 対策が求められます また 人工透析患者の慢性腎不全が4 位となっていますが 人工透析患者の年齢別有病割合をみると すべての年代において高い割合で高血圧症を有しているため 人工透析の導入に至らないよう 主要原疾患である糖尿病や高血圧症の予防及び重症化防止が求められます さらに 高尿酸化血症が 40 歳代からみられることから 腎不全だけでなく 虚血性心疾患や脳血管疾患などの重症疾患の予防のためにも 健診項目として位置付けていく必要があります [5]

4 介護との関連 要介護者有病状況 ( 平成 25 年度 ) 1 号 (65 歳以上 ) 被保険者 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 要支援 1 要介護 1 要介護 3 要介護 5 糖尿病心臓病脳疾患悪性新生物精神疾患筋骨格系疾患難病その他 2 号 (40 歳から64 歳 ) 被保険者 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 要支援 1 要介護 1 要介護 3 要介護 5 糖尿病心臓病脳疾患悪性新生物精神疾患筋骨格系疾患難病その他 医療 介護の突合 ( 平成 25 年度 ) 80% 60% 40% 20% 0% 糖尿病高血圧症脂質異常症心臓病脳疾患筋骨格精神 伊達市同規模平均道国 分析結果と課題要介護認定者の有病状況では 重度になるに従い脳疾患の占める割合が多くなっています また 医療 介護の突合では 国や北海道 同規模平均と比較して 糖尿病 脂質異常症 筋骨格系疾患 精神疾患が多くみられます 重度認定者に多い脳疾患の発症を予防することは 健康寿命の延伸につながるとともに 医療費及び介護給付費の増加抑制にも繋がります また 糖尿病や脂質異常症は 脳血管疾患や心疾患などの重症疾患発症の要因となりますが 軽度認定者で糖尿病が多い傾向があるため その予防対策が求められます [6]

5 健診データの分析 特定健康診査受診率の比較 ( 平成 25 年度 ) 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 35.5% 33.5% 26.7% 24.9% 伊達市同規模平均道国 がん検診及び精密検査受診率 がん検診 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 胃がん 15.1% 15.4% 14.2% 14.6% 15.2% 肺がん 19.9% 20.9% 21.8% 21.8% 22.5% 大腸がん 17.3% 16.1% 20.4% 20.5% 21.7% 子宮がん 20.0% 24.6% 24.3% 23.0% 22.9% 乳がん 16.6% 21.6% 19.9% 20.1% 20.5% 精密検査 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 胃がん 84.1% 59.4% 85.6% 85.3% 84.5% 肺がん 85.6% 80.7% 90.0% 88.9% 86.2% 大腸がん 81.9% 61.0% 76.2% 77.2% 74.3% 子宮がん 100% 100% 77.8% 66.7% 93.9% 乳がん 88.0% 47.6% 87.7% 78.9% 87.5% 非肥満型高血糖割合 ( 平成 25 年度 ) 伊達市 同規模平均 北海道 国 割合 8.0% 4.9% 4.9% 5.0% ( 資料 : 地域保健事業報告 ) [7]

生活習慣データ ( 平成 25 年度 ) 伊達市同規模平均北海道国 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% % 一日飲酒量は 飲酒量の項目に回答した件数に占める割合 分析結果と課題生活習慣病の早期発見につながる特定健康診査の受診率は 平成 23 年度以降は上昇傾向にありますが 国 北海道 同規模平均と比較すると低くなっています 年代別では 男性が 40~54 歳 女性が 40 歳代で低くなっています 悪性新生物は 1 平均寿命 健康寿命 や 3レセプト分析 でも述べたとおり 死亡者数が多く 医療費割合の多くを占めています 近年は 早期発見により治る病気になりつつあるため 身体的 経済的負担を軽減するためにも 定期的な検診受診による早期発見が求められますが 各がん検診の受診率は伸び悩んでいます また 早期発見のためには精密検査の受診も重要ですが 新生物医療費割合の多くを占めている大腸がんの精密検査受診率が 80% 以下で推移しているなどの課題もあります 生活習慣については 過食につながる早食い及び間食は肥満に繋がるため 食習慣の改善が求められるとともに 高血圧や高血糖への影響を考え 適正飲酒についての啓発も求められます 保健指導については 治療中でコントロール不良の者が一定程度おり また 特定保健指導の対象とならない 非肥満型高血糖の割合が国や北海道等と比較して多いため これらの層への介入が求められます [8]

目標と対策の方向性 短期的目標 特定健康診査及び各種がん検診の受診率の向上 健診における血圧と糖代謝項目の有所見率の低下 健康的な生活習慣を身につける人の増加 治療継続者のコントロール不良割合の低下 各種健( 検 ) 診での精密検査受診率の向上 口腔保健に関心を持つ人の増加 こころの健康に関心を持つ人の増加 中長期的目標 転入以外の人工透析新規導入者が減少 高額医療費における新生物の割合の低下 医療費割合上位 10 位を占める疾患のうち 短期目標で掲げるもの以外 ( 糖尿病 高血圧 脂質異常症 ) の医療費割合の低下 うつ病の医療費割合( 入院 ) の低下 対策の方向性 啓発 飲酒 食習慣については 高血圧や糖尿病予防の観点から 正しい生活習慣を身につけるためのアプローチが必要です 歯科の一人当たり医療費は高くないものの 受診率が低く 1 件当たり日数 1 日当たり診療費が高いことから 重症化してから受診する方が考えられます 生活習慣病の重症化防止の観点からも口腔保健は重要であり 普及啓発に力を入れていく必要があります 予防 うつ病を含む気分障害は 相談体制の充実と早期治療により 重症化と長期重症化防止化を防ぐことが可能であるため こころの健康や相談事業に関する取り組みが求められます 各種がん検診について 男性の若い層は 仕事が休めない という場合が多く がん検診及び精密検査受診率向上のためには 企業と連携した取り組みが求められます 糖代謝や血圧 血中脂質が保健指導値であるにも関わらず 非肥満のため特定保健指導の対象外となっている層への保健指導実施が求められます 特定健康診査や各種がん検診の受診率向上のため 未受診者対策や継続受診の勧奨を推進する必要があります 脳梗塞や虚血性心疾患等重症疾患の医療費の割合そのものは高い状態にはなく 長期入院の疾患としても多くありませんが 介護度が重くなるに従い 脳血管疾患の有病割合が高くなるので 健康寿命の延伸のためにも 脳血管疾患の予防のための取り組みが求められます 体制整備 人工透析患者においては 高尿酸血症が男性の 40 代からみられることから 腎不全や虚血性心疾患の予防の観点から 特定健診の検査項目に尿酸値を追加する必要があります 行政や関係団体等との連携と協働による 地域全体で健康づくりに取り組むための支援体制の構築が求められます [9]

保健事業の検討と評価指標 課題に応じた具体的な事業内容 区分事業内容広報 健康課題をテーマにした生活習慣病の予防方法の普及 広報だて( 適正飲酒 正しい食習慣等 ) コミュニティFM パネル展示( こころの健康 ) 健康教育 高血圧 糖尿病予防の普及 宅配講座 講演会 正しい食習慣の普及 地区栄養教室 食に関するイベントでの情報提供 ( 食生活改善協議会との連携 ) 歯 口腔に関する情報提供 いい歯の日歯科健康教室 口腔保健講演会健 ( 検 ) 診受診勧奨 特定健康診査受診勧奨 ハガキ勧奨 電話勧奨 がん検診受診勧奨 個人通知( 年代別等 ) 企業への周知 < 新規 > 精密検査受診勧奨 特定健診及びがん検診要精密検査受診勧奨 文書 電話による勧奨 企業への協力依頼 < 新規 > 健康相談 保健指導 特定保健指導 保健 栄養指導 医師より指導指示のあった者 治療中のコントロール不良者 < 新規 > 非肥満有所見者 < 新規 > ( 指導対象の優先順位設定 ) 体制整備 特定健診検査項目の検討 < 新規 > 健康づくりサポーター事業 < 新規 > 健康づくり支援企業 団体 グループ等の登録及び活動支援 企業との連携による健康意識啓発 < 新規 > [10]

数値目標 評価指標 項目 現状値 目標値 ( 平成 29 年度 ) 健康寿命の延伸 男性 :64.2 年平均寿命の増加分を女性 :65.6 年上回る健康寿命の延伸 がん死亡者数の減少 163 人 現状より減少 胃がん 15.2% 30% 以上 肺がん 22.5% 40% 以上 がん検診受診率の 大腸がん 21.7% 40% 以上向上 子宮がん 22.9% 40% 以上 乳がん 20.5% 40% 以上 特定健康診査受診率の向上 26.8% 60% 以上 特定保健指導率 61.1% 現状維持 向上 高血圧症有病者の減少 (Ⅰ 度高血圧以上 ) 31.3% 27% 以下 糖尿病有病者の増加抑制 (HbA1c6.5% 以上 ) 9.9% 11.5% 以下 睡眠で休養がとれている人の増加 81.9% 現状より増加 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の減少 (1 日当たり男性 2 合以上 女性 1 合以上 ) 男性 :9.6% 女性 :3.3% 男性 :9.0% 以下女性 :3.0% 以下 適正体重の維持 男性 :32.3% 男性 :30.0% 以下女性 :22.0% 女性 :21.5% 以下 腹八分目の心がけ 44.9% 52.5% 正しい食習慣を身に 適正な量 組み合わせの認知 11.8% 18.5% つけている人の増加 野菜摂取量の増加 411g 現状維持 栄養成分を表示する飲食店の増加 52 店 現状より増加 運動習慣者の増加 50.0% 55.0% イベント等に参加する人の増加 119 人 現状より増加 口腔保健 歯科検診受診者の増加( 過去 1 年間 ) データなし 30.0% 以上 [11]