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syndrome と呼んだ 4) 典型的な神経所見から診断が比較的容易な症例もあるが 軽症例から重症例まで神経所見は多彩であり 臨床症状からだけでは診断に苦慮する症例も少なくない 3) 親指から薬指半分までの手のひらのシビレや痛みで特に夜間や手を使用した後に悪化する しびれは手を振ると改善するようで

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なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

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My DIARY ベンリスタをご使用の患者さんへ

別記様式第 8 号 ( 第 11 条関係 ) 身体障害者診断書 意見書 ( 聴覚 平衡 音声 言語又はそしゃく機能障害用 ) 総括表 氏 名 大正 昭和 年 月 日生 ( ) 歳 平成 男 女 住所 ( ) 1 障害名 ( 部位を明記 ) 2 原因となった疾病 外傷名 交通 労災 その他の事故 戦傷

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様式第 1 号 (2)( 第 2 条関係 ) 総括表 身体障害者診断書 意見書 聴覚 平衡 音声 言語又はそしゃく機能障害用 氏名年月日生男 女 住所 1 障害名 ( 部位を明記 ) 2 原因となった交通 労災 その他の事故 戦傷 戦災 自然災害疾病 外傷名疾病 先天性 その他 ( ) 3 疾病 外

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ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

す ウイルスの中で検出頻度の高いものはライノウイルス コロナウイルスが多く これに続くのが RS ウイルス インフルエンザウイルス パラインフルエンザウイルス アデノウイルスです また これらのウイルスには季節的流行の特徴があり ライノウイルスは春と秋 RS ウイルス コロナウイルス インフルエンザ

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

通常の単純化学物質による薬剤の約 2 倍の分子量をもちます. 当初, 移植時の拒絶反応抑制薬として認可され, 後にアトピー性皮膚炎, 重症筋無力症, 関節リウマチ, ループス腎炎へも適用が拡大しました. タクロリムスの効果機序は, 当初,T 細胞のサイトカイン産生を抑制するということで説明されました

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疾患カード * 注意事項 この書類は 東北福祉大学健康科学部医療経営管理学科の学生向け講義資料として作成したものです 他の目的への流用を厳禁します

3 中枢神経系の疾患 (2) 炎症性疾患 細菌性髄膜炎 (bacterial meningitis) 1. 概念 : くも膜 軟膜の細菌感染症 2. 症状 : 急な頭痛 発熱 項部痛 ( 腫れ ) 意識障害 * 死亡率 15-30% 3. 病態生理 : 細菌の直接侵襲や産生物質による 免疫応答 4. 原因 : 大腸菌 インフルエンザ菌 肺炎球菌 髄膜炎菌など 5. 治療 : 抗生物質の投与 * 神経疾患としての症状は 炎症 ( 腫れ ) による脳の圧迫や脳血流量の低下によって発現

3 中枢神経系の疾患 (2) 変性疾患 ハンチントン病 (Huntington s disease) 1. 概念 : 不随意運動と認知症を特徴とし 常染色体優性遺伝する疾患 2. 症状 : 舞踏運動 その他の運動障害うつ 知能の悪化 ( 認知症 ) 3. 病態生理 : 線条体の萎縮 ( 神経細胞の脱落 ) 4. 原因 : IT15 遺伝子の異常 5. 治療 : 薬物による対症療法のみ * 一つの遺伝子の異常が 多彩で深刻な病態を作り出している

4 中枢神経系の疾患 (3) 脱髄疾患 多発性硬化症 (Multiple sclerosis) 1. 概念 : 炎症と脱髄による病巣が中枢神経に散在し 症状の寛解と再発を繰り返す 2. 症状 : 運動障害 視力障害 しびれ 知能の悪化 等 3. 病態生理 : 髄鞘 ( グリア細胞 ) の変性 脱落 4. 原因 : 不明 ( 自己免疫説とウイルス感染説 ) 過労 ストレス 感染により発症? 5. 治療 : 対症療法 ( ステロイド 免疫抑制剤 ) とリハビリ * 髄鞘 ( グリア細胞 ) による神経機能のサポートが失われるため 症状が現れる

4 中枢神経系の疾患 (3) 発作性疾患 てんかん (epilepsy) 1. 概念 : 大脳神経細胞の過剰興奮による 反復性の発作性障害 2. 症状 : 主に痙攣と意識障害 3. 病態生理 : 大脳の神経回路において 興奮 >> 抑制となっている状態 4. 原因 : 突発性 不明 ( 遺伝子が関与?) 症候性 外傷 感染 腫瘍など 5. 治療 : 抗てんかん薬による対症療法 外科治療 ( 切除 ) 症候性てんかんでは 原因治療 * 脳の器質的変化が 発作の原因なのか結果なのかは不明

5 末梢神経の障害 三叉神経痛 (Trigaminal neuralgia) 1. 概念 : 三叉神経の単神経障害 2. 症状 : 主に顔面の ( 刺すような鋭い ) 痛みの発作 3. 病態生理 : 動脈 静脈による神経線維の圧迫 4. 原因 : 老化 ( 動脈硬化 静脈の蛇行 ) 外傷 感染 ( 炎症 ) 腫瘍など 5. 治療 : 対症療法 鎮痛薬 血管減圧手術 原因疾患のある場合 個別の治療

5 末梢神経の障害 ベル麻痺 (Bell s palsy) 1. 概念 : 顔面神経の突発性の運動麻痺 2. 症状 : 一側の顔面表情筋の全てが麻痺 3. 病態生理 : 不明 4. 原因 : 不明 ( 自己免疫 血流障害 ウイルス感染?) 5. 治療 : ステロイド剤投与 リハビリテーション

5 末梢神経の障害 手根管症候群 (Carpal tunnel syndrome) 1. 概念 : 正中神経の圧迫性神経障害 2. 症状 : 母指 示指 中指 環指橈側の痺れ痛み母指球筋の筋力低下 3. 病態生理 : 圧迫による髄鞘の物理的破壊 血管の圧迫による虚血 など 4. 原因 : 橈骨骨折 腫瘍 手首の骨折 脱臼など 5. 治療 : 副木による固定 ステロイド剤注入 手術 等

5 末梢神経の障害 シャルコー マリー トゥース病 (CMT) 1. 概念 : 遺伝性の運動 感覚障害 2. 症状 : 四肢の遠位部における筋力低下 筋委縮 3. 病態生理 : 髄鞘形成不全 脱髄 軸索の変性 肥厚 神経伝導速度の低下 4. 原因 : 髄鞘の形成 維持に関与する遺伝子の変異? 5. 治療 : 見つかっていない

5 末梢神経の障害 ギラン バレー症候群 (Guillain-Barre syndrome) 1. 概念 : 自己免疫による運動 感覚障害 2. 症状 : 風邪様の症状 ( 下肢から ) 上肢の筋力低下 感覚障害は軽度 自律神経症状 3. 病態生理 : 運動神経の伝導阻害 4. 原因 : 前駆症状をもたらす微生物への免疫応答 自己抗体により活性化された補体が運動神経の軸索の膜を障害 5. 治療 : 軽症 自然治癒重症 各種自律神経症状への対応 免疫グロブリン投与 など

6 神経 - 筋の障害 重症筋無力症 (Myasthenia gravis) 1. 概念 : 自己免疫による運動機能障害 2. 症状 : 易疲労性 脱力 初発症状として眼瞼下垂 3. 病態生理 : アセチルコリン受容体に対する自己抗体が受容体に結合して 神経筋伝達を阻害 4. 原因 : 胸腺機能の異常 自己抗体の産生? 5. 治療 : 胸腺の摘出 ( 手術 ) ステロイドの投与免疫グロブリン大量投与 など

6 神経 - 筋の障害デュシェンヌ型筋ジストロフィー (Duchenne muscular dystrophy) 1. 概念 : 遺伝性の骨格筋 心筋の進行性委縮のひとつ 2. 症状 : 男児にのみ発症 2-4 歳で歩行遅延 転び やすい など 各種反射の消失 筋力低下 筋委縮 生命予後不良 (20 歳位で死亡 ) 3. 病態生理 : ジストロフィン ( タンパク ) の異常による筋の壊死 4. 原因 : X 染色体にあるジストロフィン遺伝子の異常 5. 治療 : ステロイドによる筋力低下の遅延 人工呼吸による延命措置 など

7 眼の疾患 視覚の障害 麦粒腫 霰粒腫 (Hordeolum/Chalazion) 1. 概念 : 眼瞼の炎症麦粒腫 : 脂腺 汗腺などの細菌感染 霰粒腫 : マイボーム腺開口部封鎖 ( 無菌性 ) 2. 症状 : 麦粒腫 : 眼瞼皮膚の発赤 腫脹 疼痛 化膿 膿点 自壊 ( 自然排膿 ) 霰粒腫 : 眼瞼に無痛性の硬結 3. 治療 : 麦粒腫 : 抗生物質の点眼 膿点あり 切開排膿 霰粒腫 : 切開 内容物を掻爬 摘出

7 眼の疾患 視覚の障害 結膜炎 (Conjunctivitis) 1. 概念 : 結膜の炎症非感染性 : アレルギー性など 感染性 : ウイルス性 細菌性 2. 症状 : 非感染性 : ( 強い ) かゆみ 刺激感 腫れなど感染性 : 眼脂 異物感 流涙 リンパ節腫脹 3. 治療 : 非感染性 : 抗アレルギー薬 ステロイド薬の点眼 感染性 : ウイルス性 対症療法のみ 細菌性 抗生物質の点眼

7 眼の疾患 視覚の障害 白内障 (Cataract) 1. 概念 : 水晶体の混濁 混濁の程度 部位 原因により様々に分類 2. 症状 : 視力低下 まぶしさ ( 羞明 ) 3. 治療 : 手術 超音波乳化吸引 眼内レンズ挿入

8 眼の疾患 視覚の障害 硝子体出血 (Vitreous hemorrhage) 1. 概念 : 網膜血管からの血液が硝子体に侵入 2. 症状 : 急激な視力低下 3. 治療 : 絶対安静 出血吸収 硝子体切除手術

8 眼の疾患 視覚の障害裂孔原性網膜剥離 (Rhegmatogenous retinal detachment) 1. 概念 : 網膜の一部に裂孔が生じ 網膜が色素上皮から剥離した状態 2. 症状 : 光視症 飛蚊症 視野欠損 視力低下 放置すると 失明 眼球委縮 3. 治療 : 手術 裂孔の閉鎖 硝子体手術

8 眼の疾患 視覚の障害 緑内障 (Glaucoma) 1. 概念 : 眼圧の下降によって 改善や進行の阻止 遅延がみられる眼の構造的機能的異常 眼圧による視神経の圧迫 2. 症状 : 眼性疲労 盲点の拡大 視野欠損 ( 急性 眼痛 頭痛 悪心など ) 3. 治療 : 1 薬剤による眼圧の調節 2 レーザーによる切開 房水の排出

8 眼の疾患 視覚の障害 視神経炎 (Optic neuritis) 1. 概念 : 視神経の炎症 変性 脱髄の総称視神経症 (Optic neuropathy) ともいう 2. 症状 : 視力の急激な低下 視野障害 眼球運動に伴う眼痛 3. 治療 : 原因疾患がある場合は原因疾患の治療それ以外は対症療法 ( ステロイド薬の全身投与 ビタミン B1 B12 投与など )

8 眼の疾患 視覚の障害 斜視 (Strabismus) 1. 概念 : 眼位のずれによる両眼視機能の異常共同性斜視 左右眼の外眼筋活動の協調欠如 麻痺性斜視 外眼筋支配神経の麻痺 2. 症状 : 共同性 : 眼位のずれ ( 眼球運動は正常 ) 麻痺性 : 眼位のずれ 複視 めまい 頭位異常 3. 治療 : 原因疾患のある場合 疾患の治療それ以外 視能訓練 眼鏡装用 手術

9 耳の疾患 聴覚 平衡感覚の障害 中耳炎 (Otitis media) 1. 概念 : 急性化膿性 細菌感染 ( 耳管経由 鼓膜穿孔 ) 慢性化膿性 急性の繰り返し等滲出性 ( 非化膿性 ) アレルギー? 2. 症状 : 急性 痛み ( 発熱 ) 難聴 耳漏慢性 難聴 耳漏滲出性 難聴 耳閉塞感 3. 治療 : 抗生物質 消炎鎮痛剤の投与急性 + 鼓膜切開 排液慢性 + 清掃 ( 鼓膜形成 ) 滲出性 + 換気チューブ留置

9 耳の疾患 聴覚 平衡感覚の障害 中耳真珠腫 (Cholesteatoma of middle ear) 1. 概念 : 上皮組織の蓄積によるコレステリン結晶形成先天性 上皮組織の奇形後天性 脱落表皮の蓄積 上皮組織の進入 2. 症状 : 進行性の難聴 耳漏内耳炎 顔面神経麻痺 髄膜炎等に進展 3. 治療 : 鼓室形成術 ( 真珠腫の除去と耳小骨連鎖の再建 )

9 耳の疾患 聴覚 平衡感覚の障害 突発性難聴 (Sudden idiopathic hearing loss) 1. 概念 : 原因不明の突然の高度難聴と耳鳴り症状 2. 症状 : 難聴 耳鳴り ( めまい約 30%) 3. 治療 : 確立されていない ( ステロイド剤 血流改善剤の投与などを 2 週間以内に行う )

9 耳の疾患 聴覚 平衡感覚の障害 メニエール病 (Ménière s disease) 1. 概念 : 内リンパ水腫による前庭機能障害 2. 症状 : 回転性めまい 難聴 ( 特に低音域 ) 耳鳴り 3. 治療 : 1 保存的療法 入院 心身の安静発作時 鎮静剤 抗めまい剤間欠期 高浸透圧利尿剤 ステロイド 2 手術 迷路破壊 前庭神経切断 など

9 耳の疾患 聴覚 平衡感覚の障害 1. 概念 : アブミ骨前脚部を中心とした病的骨増殖アブミ骨の固着 遺伝性か? 2. 症状 : 両側性の難聴 耳鳴り 混合性難聴 3. 治療 : アブミ骨置換術 耳硬化症 (Otosclerosis)