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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

日本内科学会雑誌第104巻第11号

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

肺炎球菌感染症とワクチン 走査型電子顕微鏡 グラム陽性双球菌 表面は莢膜多糖体 ( ホ リサッカライト ) で覆われている ホ リサッカライト の抗原性による少なくとも 90 種類の血清型が存在 血清型特異抗体と補体が同一血清型あるいは交差血清型の肺炎球菌に対する感染防御を担っている

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

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感染症学雑誌第77巻第8号


卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

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糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

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論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

% ORG/WIKI/FILE:SALKWS.JPG 1. ORG/WIKI

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

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病原性真菌 Candida albicans の バイオフィルム形成機序の解析および形成阻害薬の探索 Biofilm Form ation Mech anism s of P at hogenic Fungus Candida albicans and Screening of Biofilm In


研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

医学部医学科 2 年免疫学講義 10/27/2016 第 9 章 -1: 体液性免疫応答 久留米大学医学部免疫学准教授 溝口恵美子

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

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ルス薬の開発の基盤となる重要な発見です 本研究は 京都府立医科大学 大阪大学 エジプト国 Damanhour 大学 国際医療福祉 大学病院 中部大学と共同研究で行ったものです 2 研究内容 < 研究の背景と経緯 > H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスは 1996 年頃中国で出現し 現在までに

家畜における薬剤耐性菌の制御 薬剤耐性菌の実態把握 対象菌種 食中毒菌 耐性菌の特徴 出現の予防 79

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報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効


( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

埼玉県調査研究成績報告書 ( 家畜保健衛生業績発表集録 ) 第 55 報 ( 平成 25 年度 ) 11 牛呼吸器病由来 Mannheimia haemolytica 株の性状調査 および同定法に関する一考察 中央家畜保健衛生所 荒井理恵 Ⅰ はじめに Mannheimia haemolytica

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

TDMを活用した抗菌薬療法

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

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医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

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耐性菌届出基準

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なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

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2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

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小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい


東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

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ファイザー KK 社内勉強会 肺炎球菌ワクチンと マクロライド耐性マイコプラズマ 肺炎球菌はどのように進化していくのか? マクロライド耐性マイコプラズマは何故発生するか? 東栄病院小児科菊田英明平成 28 年 9 月 8 日

肺炎球菌 : Streptococcus pneumoniae 肺炎球菌はどのように進化していくのか?

莢膜による免疫機構の回避 肺炎球菌 莢膜 肺炎球菌 莢膜 補体 抗体 食細胞 食細胞 莢膜を構成する高分子が親水性であること 表面が負の電荷を帯びていることで 食細胞から認識されにくくなる 菌体表面蛋白への補体や抗体の結合を抑制しオプソニン化を防ぐ

オプソニン化 2 つのオプソニン化の経路 1. Immunoglobin G (IgG) 2. Complement: C3b 莢膜多糖体抗原 ( 莢膜型抗原 ):97 種類の違い 補体結合性の違い (Inf Immune 2010; 78: 5262 5270) オプソニン化に差 病原性に差

肺炎球菌の貪食には 莢膜に対する抗体が必要 莢膜多糖体は T 細胞非依存性抗原で 膜型免疫グロブリン (B 細胞レセプター ) と直接結合し B 細胞を直接刺激する しかし乳児の B 細胞は未熟で 多糖体抗原の刺激に対する免疫応答が十分ではなく 莢膜多糖体に対する抗体が作られにくい キャリア蛋白 ( ジフテリア CRM 197 ) 結合型肺炎球菌ワクチンの莢膜多糖体は T 細胞依存性抗原に変換され 乳児に接種しても莢膜多糖体に対する抗体が産生される 肺炎球菌 莢膜 抗体 好中球 オプソニン化 補体 肺炎球菌の多糖体 大腸菌リポ多糖体等で 直鎖状に繰り返し配列された抗原性決定基をもつ高分子であり 体内の酵素に対して高度に抵抗性である T 非依存性抗原は 主に IgM 応答を引き起こす

病原性の強い肺炎球菌とは? 病原性の強い肺炎球菌 ( 真に病原性があるのは 20-30 個?) = 侵襲性の強い肺炎球菌 (IPD を起こしやすい莢膜型 ) = 健康保菌者が保有する莢膜型の頻度より IPD を起こす頻度が高い莢膜型の肺炎球菌 OR >1: IPD との関連性が強い OR <1:IPD との関連性が弱い PCV-7 13 の莢膜型を決定 ( 国による違い )

PCV-7 後 IPD-13 前 (2008/2009) の肺炎球菌の病原性 高病原性 低病原性 Vaccine 2015, 33, 6178 6185

病原性の報告 Reference High Virulence Low Virulence Chang Gung Med J 2008;31:117-24 1, 3 CID 2010: 51;692-699 3, 6A, 6B, 9N, and 19F CHEST 2012; 142: 482 491 3, 6A, 6B, 9N, 19F 1, 7F, 8 Vaccine 2015, 33, 6178 6185 24F, 12F 11A, 23B 確かに病原性が強い型は存在するが 年代 報告 ( 国 ) による違いも見られる インフルエンザ菌のタイプ b のように 病原性に大きな差はない

モグラたたき ワクチン株 非ワクチン株 インフルエンザ菌のように型による大きな病原性の違いはない ワクチン株は減少し 非ワクチン株の耐性菌が増加

Vaccine pressure Serotype replacement ( 血清型置換 ) の機序 非ワクチンタイプの選択 ( 免疫学的圧力 ) ワクチンタイプの莢膜型変化 Capsular switching ( 非ワクチンタイプの transformation による莢膜遺伝子 capsule polysaccharide synthesis (cps) locus の recombination) 莢膜のみ変化

Transformation ( 形質変換 ): DNA fragment 病原遺伝子の獲得 = 遺伝子導入 Transduction ( 形質導入 ): Bacteriophage Comjunction ( 接合 ):plasmid: Cell to cell contact

cps loci from S. pneumoniae serotypes cps のプローター : 莢膜の発現を促進 cps 3 (Serotype 3) は例外 cps 33F, 37 も例外

Serotype 11A Type specific Serotype 3 Clin Microbiol Rev. 2015; 28: 871 899

Recombination ( 組み換え )of cps locus 組み換え cps locus of 19F 9N 19F cps は 19F で 莢膜以外は 9N

IPDから分離した肺炎球菌のcps プロモーター領域の遺伝子配列 Sci Rep 2016; 6 莢膜は一番の病原因子 = 発現量が多いと病原性が強い 莢膜の発現量を調節しているのは cps プロモーター (A) 血清型により プロモーター領域の遺伝子配列が異なる (B) 同じ血清型 6B でも プロモーター領域の遺伝子配列が異なるものがある (C) 血清型が異なっていても プロモーター領域の遺伝子配列が同じものがある 莢膜の血清型だけで 病原性が言えない可能性 IE: insertional element, RUP: repeat unit of pneumococcus, SS: spacing sequence, core promoter sequence

何故 cps プロモーターのこのような多様性があるのか? Sci Rep 2016; 6 Transformation: 形質変換 cps locus 遺伝子組み換え 莢膜型は変化し厚い 莢膜型は変化しないで厚い 莢膜型は変化し薄い

Penicillin binding protein gene (pbp) pbp1a, pbp2x が cps の近くに存在 PLoS Pathog 2007; 3: e168

Genetic changes leading to capsular switching within clonal complexe (CC) 66 pbp2x dexb cps alia pbp1a cps の組み換えと一緒に耐性化も一緒に移動する coloring: 組み換えの遺伝子. J Infect Dis 2013;207:439 49

環境により同じプロモーターでも莢膜発現量が変化 ー莢膜の Phase variation ー Transparent 型 ( 透過型 ) 莢膜の発現が減少 莢膜が薄い 鼻咽頭 : 上皮細胞への接着因子が表面に出ており 上皮に付着しやすい Opaque 型 ( 不透明型 ) 莢膜の発現が増加 莢膜が厚い 全身感染時の血中 : 補体結合性が低くオプソニン化貪食に抵抗 Lancet Infect Dis 2004; 4: 144 54

肺炎球菌は 1 つの血清型しか検出できないのか? 組み換えの起きる可能性?

健康小児 鼻咽頭からの肺炎球菌の 型別の検出率 ( 従来の方法 +PCR) Pediatr Infect Dis J 2016;35:477 480 保菌率単一の型複数の型 389/514 (75.7%) 297/514 (57.8%) 92/514 (17.9%) BMC Infectious Diseases 2012; 12: 69 94/105 (89.5%) 53/105 (50.4%) 41/105 (39.1%) 健康保菌者は複数の莢膜型の肺炎球菌を保菌している 組み換えの起こる環境がある

Japan in 2012 2014 IPD isolates Non-IPD isolates NT? Vaccine 2016; 34: 67 76

Non-typable (NT) Streptococcus pneumoniae NT はキャリアー 結膜炎患者 non IPV からの分離が多い IPD では稀 (1% 以下 ) NT という名称は不適切 莢膜は存在するが 今まで発見されなかった莢膜の可能性 (98, 99,100 ) 別の Streptococcus: Streptococcus pseudopneumoniae, Streptococcus mitis 真に莢膜が存在しない = 真の NT cps 領域の完全または部分欠損 : 一番多い (Group I ) :IPD からの検体に多い 別の表面蛋白を持つ (Group II ) : cps loci が他の遺伝子に置き換わり 莢膜に非依存性に生存 NCC1:pspK gene (pneumococcal surface protein Korea, also referred to as nspa, nontypeable pneumococcal surface protein A) NCC2: alic (alib-like ORF1) と alid (alib-like ORF2) genes 特徴 上皮細胞への接着の上昇 バイオフィルム形成能の上昇 形質変換による遺伝子導入の亢進 形質変換による遺伝子導入が亢進している NT は recombinant DNA の受け渡しの主な貯蔵場所となっている

PCV-7, -13 の効果のまとめ 健康保菌者 ワクチン株が減少し 一時的に保菌率は減少 非ワクチン株が増加し 保菌率は元にもどった IPD ワクチン株による IPD は減少 非ワクチン株による IPD が増加し IPD の減少は頭打ち ワクチン株は 非ワクチン株の薬剤耐性より高かったため 薬剤耐性率は減少 ( 但し 一時的かも?: 非ワクチン株の耐性化率が上昇してきている ) 肺炎 肺炎による入院は減少 この減少は ワクチンというより新しい抗菌薬による 中耳炎 重症 ( 鼓膜切開 チューブ留置 ) は減少

肺炎球菌の生き残り戦略 Drug pressure Immunological (vaccine) pressure インフルエンザワクチンのように莢膜株の追加と地域 年による選択? 抗菌薬の適正使用 耐性化 血清型置換 薬剤耐性の非ワクチン株が生き残る

マクロライド耐性マイコプラズマ マクロライド耐性マイコプラズマは何故発生するか?

マイコプラズマ感染症 肺炎だけでない上気道炎気管支炎肺炎

Worldwide macrolide-resistant M. pneumoniae (MRMP) rates. マクロライド耐性マイコプラズマ Front Microbiol. 2016; 7: 329

北海道の 4 市 (2009 年 11 月 ~2011 年 8 月 ) のマクロライド耐性マイコプラズマ 耐性 :A2063G 1/19 (5.3%) 21/38 (55.3%) 29/29 (100%) 0/9 (0%) Jpn J Infect Dis 2016; 69: 186 190

病院と診療所 外来患者と入院患者のマクロライド耐性マイコプラズマの頻度 病院は診療所より耐性が多い 入院患者は外来患者より耐性が多い Jpn J Infect Dis 2016; 69: 186 190

Prevalence of macrolide-resistant M. pneumoniae in patients pre-administered macrolide 前投薬があれば 耐性率が高い 前投薬で耐性になったというより 耐性株に感染したことを意味する Jpn J Infect Dis 2016; 69: 186 190

リボソームと抗菌薬

リボソーム http://www.drgelo.club/?p=453

各種抗菌薬のリボソームに作用する部位の違い 薬剤によりリボソームの作用部位が異なる http://www.slideshare.net/rahul44201/macrolide-l

マクロライドの作用機序

タンパク合成のための 3 個の RNA の働き Molecular Cell Biology. 4th edition. Section 4.4 The Three Roles of RNA in Protein Synthesis. 蛋白合成の場 ( ribozyme:rna 酵素 ) 運搬 遺伝情報 ( 設計図 )

マクロライドの作用部位 マクロライドの作用機序 : マクロライドは細菌の 50S リボソームの構成要素である 23s rrna に結合することにより Peptidyltransferase 機能 [transpeptidation ( ペプチド転移 ) と translocation ( 移動 )] を抑制し 細菌のタンパク質合成を阻害し増殖を抑える リボゾームの 23s rrna が変異することにより マクロライドが結合できなくなり マクロライドに対して耐性となる

マクロライド耐性機序

細菌のマクロライド耐性機序 外来から耐性遺伝子を獲得 : 短期間の Drug-selective pressure で耐性となる erm(a), erm(b): リボソーム RNA の転写後修飾メチル化酵素による 23Sr RNA の特定アデニン塩基のメチル化 (plasmids, transposons, integrative and conjugative elements (ICEs)) mef(a): 排出型タンパク質 (mefa 遺伝子保有 ) による薬剤の汲み出し (bacteriophages) 遺伝子 (DNA) の変異 : 長期間の Drug-selective pressure が耐性に必要 rdna( リボゾーム DNA) の変異 23S rrna の点突然変異 ( マイコプラズマ ) 50S リボソームタンパクの変異

マクロライド耐性マイコプラズマに 見られる遺伝子変異は?

Microbiol. Mol. Biol. Rev. 2005;69:101-123 Structures of the 23s rrna 23S リボソーム RNA ドメイン Ⅴ 2063 番目のアデニン (A) がグアニン (G) に置換 (A2063G) が多い 2064 番目の A が G へ置換 (A2064G)

変異により マイコプラズマの複製 ( 増殖 ) はどうなるか?

マクロライド耐性マイコプラズマが 1 個出現し た後 どうなるか? 耐性株の Growth advantage マクロライドの使用 耐性株 + - + - A2063G 変異耐性株が増加するためにはマクロライドが必要 A2064G 変異など 2000 年以前に存在しなかったことより 否定的 + - 早期に全て耐性株耐性株の割合は増加耐性株のみ普通に増加耐性株の割合は変わらない減少 or 消失耐性株は増えられない

Ribosomal RNA の変異は何故起きるのか?

変異の本質は ribosomal DNA の変異 変異 ribosomal RNA (rrna) の変異 mrna trna rrna 複製 (DNA Polymerase) 転写 (RNA Polymerase) 翻訳 マイコプラズマの複製時に ribosomal DNA (rdna) に変異を起こし生じる rdna からの転写時に rrna に変異を起こし生じたものではない

rrna Operon (rdna) ribosomal DNA; rdna Biophysic property M. pneumoniae E. coli number of ribosomes 300 6,800-72,000 number of rrna operons 1 7 rrna Operon は 1 個のため rdna の変異は決定的 他の細菌より変異が起きると rrna に反映しやすい

1 回の細胞分裂 ( 複製 ) での変異の数 RNA 10 4 ~10 6 塩基に 1 塩基の変異 DNA 10 7 ~10 11 塩基に 1 塩基の変異 Biophysic property M. pneumoniae E. coli total number of DNA bases 1,632,788 9,279,350 doubling time (hours) 8 0.33 変異は at random に起き 抗菌薬 抗ウイルス薬の違いで起きるものではない DNA 塩基数が少なく Doubling time も 8 hrs と マイコプラズマはウイルスや他の細菌と比べ DNA の変異は起こりにくい

rdna の変異から rrna の変化にどのくらい時 間がかかるか?

rdna の変異 rrna の変異 Science 2009; 326; 1268-1271 Biophysic property M. pneumoniae number of ribosomes 300 Half-life of rrna 3-7.5 days 5 日 10 日 15 日 20 日 rdna の変異が起こった後に すべての rrna が変異を獲得するのに時間がかかる

300 個の ribosomal RNA

300 個の ribosomal RNA 始めにマイコプラズマの複製の過程で rdna が変異 rrna は変異を起こしていない

rrna の半減期 : 3-7.5 日 Ribsomal DNA+Ribosomal RNA の変異

300 個の rrna 中で何個の rrna が変異したら 耐性になるかは不明

300 個の全ての rrna が変異し耐性が完成

Quasispecies( 多種性 ) 類似した (=Quasi)+ 種 (=species) ゲノムに変異が入り同じ環境下で増殖しても, 異なる特徴を示す集団が存在するようになる

Quasispecies マイコプラズマの複製の過程で rdna が変異

Quasispecies 1 個のマイコプラズマが完全な耐性になる

Quasispecies 耐性株が存在していても 感受性株より増えるためには マクロライドが必要

マイコプラズマ感染で Quasispecies はあるのか?

感度よく Quasispecies を検出する方法 Pyrosequencing Pyrogram

マイコプラズマ肺炎患者 -Pyrosequencing 法によるマイコプラズマ耐性遺伝子変異の Quasispeciesの検出 - Quasispecies が多数存在 耐性化率 0% 10% 25% 50% 100% ML 感受性 ML 耐性 21/88 (21.2%) 33/88 6/88 2/88 26/88 (29.5) Pyrosequencing 法で 78.8% に Quasispecies を検出 従来の Sanger sequencing 法または Simple Probe PCR 法では 29.5% しか変異を検出できなかった J Clin Micro 2013; 51: 2592 2598

耐性マイコプラズマが生まれる場所は? 長年 マイコプラズマ肺炎の治療では 耐 性は起きてこなかったのはなぜか? では どこで生まれたか?

耐性マイコプラズマが生まれる場所は? 小児の reservoir 多くが小児が感染を受けている 流行期には健康人の 13.5% から検出 (Scan J Infect Dis 1992; 24: 161-4) 家族の 15% から M. pneumoniae を検出 ( 家族の 75% は 15 歳以下 ) (J Infect Dis 2001; 183: 675 678) 小児は無症状が多い (J Infect Dis 2001; 183: 675 678;PLOS Medicine 2013; 10: e1001444) 検出された約 50% は無症状 長期間 保有している 平均 7 週間 (2 日 ~7 か月 ) (Scan J Infect Dis 2014; 46: 315-9) 小児の reservoir に対する 長期間のマクロライド投与で 耐性は生じる

小児マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方のポイント日本小児科学会治療指針日本マイコプラズマ学会治療指針 第一選択薬 : マクロライド系薬 効果は 投与後 2~3 日以内の解熱で概ね評価できる 最小発育阻止濃度 (MIC) は極めて低値であり 治療終了時には気道から除菌される マクロライド系薬の前投薬与がないときの耐性率は 50% 以下である マクロライド系薬の前投薬与がなければ マクロライド系薬が推奨される マクロライド系薬が無効の肺炎 トスフロキサシン テトラサイクリン系薬 :8 歳未満には 原則禁忌 トスフロキサシン テトラサイクリン系薬の最小発育阻止濃度 (MIC) は比較的高く 治療終了時には一部の症例で気道に菌が残り感染を広げる可能性がある 投与期間は それぞれの薬剤で推奨されている期間を遵守する 重篤な肺炎症例には ステロイドの全身投与が考慮される

小児マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方のポイント日本小児科学会治療指針日本マイコプラズマ学会治療指針 第一選択薬 : マクロライド系薬 効果は 投与後 2~3 日以内の解熱で概ね評価できる 投与後 2~3 日以内の解熱しないのは 耐性株と判断する ことを意味している 投与後 2~3 日の短時間でマイコプラズマは耐性を獲得できない はじめから 耐性株に感染してマイコプラズマ肺炎になった と判断できる マイコプラズマ肺炎にマクロライド投与して耐性になる可能性は非常に低い

マイコプラズマ肺炎の治療に使用するおもな抗菌薬の用法 用量 投与期間日本小児科学会治療指針 トスフロキサシン肺炎で保険適応 長くても 7 日が良い MINO の使用期間は通常 3 日, 長くても 5 日以内とし, その後は自然治癒力に期待した方がよい?

1 回のマクロライド治療では 生じないのでは? rrna の half-life は 3-7.5 日と長い 300 個の rrna が変化するのに時間がかかる rdna の変異 rrna の変異 Quasispecies の時期がある 1 回の細胞分裂で 10 7 ~10 11 塩基に 1 塩基の変異 rdna の変異は起こりにくい Doubling time は 8 時間 マクロライドがない限り Quasispecies の比率は変わらない 耐性株が増えていくためには 長期間のマクロライド使用が必要 一人のマイコプラズマ肺炎からは発症できない Quasispecies の感染を受ければ 一人の患者で発症できる

1 回のマクロライド治療では 生じないのでは? 肺炎になりにくい乳幼児の保菌者 長期間のマクロライド耐性マイコプラズマ Quasispecies( 少量の耐性マイコプラズマ ) 短期間のマクロライド 耐性マイコプラズマ肺炎 ( 使用前から耐性 ): 多い 耐性マイコプラズマ肺炎 ( 使用後に耐性にみえる ) 一見 de novo( 始めて )

マクロライド耐性が生じた原因? マクロライドが長い間使用されてきたが 何故 2000 年まで発症してこなかったか? エリスロマイシン錠剤 :1955 年発売 エリスロマイシン ドライシロップ :1966 年発売 耐性株が最初に発見されたのが AZM 市場販売開始の 2000 年と一致 マイコプラズマ肺炎に対する短時間の使用で 耐性マイコプラズマは発生しない 1991 年 DPB に合併していない慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法の有用性が報告 (1990 年くらいから使用増加 ) マイコプラズマ肺炎以外の小児の保菌者に対して マクロライドの長期少量療法が行われるようになってから発生した可能性が高い

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