スマートフォン利用が 自動車運転に与える影響について

Similar documents
PowerPoint プレゼンテーション

本章では 衝突被害軽減ブレーキ 車線逸脱警報 装置 等の自動車に備えられている運転支援装置の特性 Ⅻ. 運転支援装置を 備えるトラックの 適切な運転方法 と使い方を理解した運転の重要性について整理しています 指導においては 装置を過信し 事故に至るケースがあることを理解させましょう また 運転支援装

国土技術政策総合研究所 研究資料

21m 車両の検証項目 ダブル連結トラック実験 高速道路 3 交通流への影響 4 道路構造への影響 合流部 : 本線 合流部 : ランプ 追越時 車線変更部 検証項目 分析視点 データ等 1 省人化 同一量輸送時のドライバー数 乗務記録表 環境負荷 同一量輸送時のCO2 排出量 2 走行 カーブ (

速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1

名古屋大学.indd

事故及び渋滞対策の取り組み 福岡都市高速 北九州都市高速 福岡北九州高速道路公社

1. エージェント + とは カーナビの目的地を設定していなくても ビッグデータから今後の行先と走行ルートを 予測し ルート上の交通情報や天候 路面情報をお知らせする 先読み情報案内 サービスです 例えば 通勤 通学でいつも通る道に 渋滞や規制が発生している場合には ドライバーが早めに その情報を察

インターナビ リンク FIT EV 用 スマートフォンアプリユーザーマニュアル iphone 版 目次はじめに ( お使いになる前に ) 2 アプリのダウンロード ログイン 3 インターナビ リンクアプリ ( フィット EV 版 ) でできること 6 航続可能エリアを調べる [ 航続可能エリアマップ

ギョロモガイガー Ⅱ 操作ガイド ギョロガイガー Ⅱ 操作ガイド 本書では ギョロガイガー Ⅱ の操作方法についてご説明いたします 目次 1. 概要 コンセプト 主な機能 基本仕様 インストール 使い方...

プリント

LEXUS Apps エージェント + マニュアル 2014/08/01 作成 2018/07/19 更新 1. エージェント + とは 基本的な使い方 お好み情報の学習 生活圏内 / 生活圏外について プライバシーモードについて

Microsoft Word - Malleable Attentional Resources Theory.doc

目次 調査概要調査サマリー 歩きスマホ は危ないと思うか?/ 歩きスマホ をしたことがあるか? 歩きスマホ をしてしまう理由は? 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 歩きスマホ で最も危ないと感じたのはどのようなシーンか

高速道路への完全自動運転導入によるリスク低減効果の分析 リスク工学専攻グループ演習 10 班 田村聡宮本智明鄭起宅 ( アドバイザー教員伊藤誠 )

インターナビ リンク FIT EV 用 スマートフォンアプリユーザーマニュアル Android 版 目次はじめに ( お使いになる前に ) 2 アプリのダウンロード ログイン 3 インターナビ リンクアプリ ( フィット EV 版 ) でできること 6 航続可能エリアを調べる [ 航続可能エリアマッ

Microsoft Word - 資料6(修正).docx

Wi-Fi テザリングで使う MapFan の会員登録をする Wi-Fi テザリングで使用するためには KENWOOD MapFan Club 入会し MapFan Web で会員登録が必要です 連携するスマートフォンはテザリング契約が必要です 1 KENWOOD MapFan Club にスマート

ギョロモガイガー操作ガイド ギョロガイガー 操作ガイド 本書では ギョロガイガーの操作方法についてご説明いたします 目次 1. 概要 コンセプト 主な機能 基本仕様 インストール 使い方

事例から振り返る    調査プロセスの検証

PowerPoint プレゼンテーション

Wi-Fi テザリングで使う MapFan の会員登録をする Wi-Fi テザリングで使用するためには KENWOOD MapFan Club へ入会し MapFan Web で会員登録が必要です 連携するスマートフォンはテザリング契約が必要です 1 KENWOOD MapFan Club にスマー

JAふじかわNo43_ indd

平成 25 年度第 7 回キッズ モニターアンケート 自転車の交通ルールとマナーについて 実施報告 アンケートの実施結果は以下のとおりでした キッズ モニターのみなさん ご協力ありがとうございました アンケート概要 1 実施期間平成 25 年 12 月 13 日 ~12 月 26 日 2 回答者数

SICE東北支部研究集会資料(2014年)

ご使用の前に KENWOOD 製対応カーナビゲーション MDV-Z700W/MDV-Z700/MDV-R700/MDV-X500 MDV-X500 は Bluetooth に対応していないため Android スマートフォンは使用できません iphone はご使用になれます カーナビと接続するケーブ

<4D F736F F D AC89CA817A E63189F18E7396AF B836795F18D908F912E646F6378>


ドライブレコーダーにより記録すべき情報及びドライブレコーダーの性能要件を定める告示 ( 平成 28 年 11 月 17 日国土交通省告示 1346 号 ) ( 総則 ) 第一条一般貸切旅客自動車運送事業者が 旅客自動車運送事業運輸規則 ( 昭和 31 年運輸省令第 44 号 ) 第 38 条第 1

卒業研究発表会  メタバースアバタの属性が パーソナルスペースの形状に及ぼす効果分析

Ⅲ 調査対象および回答数 調査対象 学校数 有効回答数児童生徒保護者 (4~6 年 ) 12 校 1, 校 1, 校 1,621 1,238 合計 41 校 3,917 ( 有効回答率 96.3%) 3,098 ( 有効回答率 77.7%) Ⅳ 調査の実施時期

スライド 1

[2] [3] [4] [] TTC 2 9 SAS[6] 2 SAS 4 DS 2. SAS 28 ( 2 ) 6 ( ) (PV:Preceding Vehicle) (FV:Fo

<4D F736F F F696E74202D F817993FA967B90BB8E8695A897AC817A89DD95A892C790D F6C30362E707074>

スライド 1

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)


目次 : はじめに 2 1. 安否確認アプリについて 安否確認アプリの設定について 安否確認アプリのインストール方法について Android の場合 iOS の場合 アプリの通知設定について 7 2. メールについて 8 2-

HDMI 機器を使う 本機にポータブルビデオなどの外部映像機器を接続すると その映像を本機の AV ソース (HDMI) として見ることができます 本機に外部映像機器を接続するには 別売の HDMI 入力ケーブルと市販の HDMIケーブルが必要です 映像入力の設定をする 1 を押し 設定 編集 -

ご使用の前に カーナビと接続するケーブルについて iphone で接続する場合 : 別売の KCA-iP102 または KCA-iP212 をご使用ください [ 商品購入 ] にタッチします 画面にしたがって操作してください iphone の場合 Android スマートフォンの場合 Android

JOCAR操作マニュアル ネット掲載

結果の要約 2 NRC レポート 全国 才男 1,200 名を対象に 2016 年 2 に パソコン スマートフォンなどの情報機器 の調査を実施しました 本調査はインターネット調査ではなく 調査員による訪問留置法で実施しており パソコンやインターネットを利 していない も対象に含まれてい

アンケート内容 2

サイト名

TeamViewer 9 会議 目次 概要... 1 インスタント会議を主催する... 2 手順... 2 トラブル... 3 ミーティング日程の設定... 4 スケジュール作成... 4 会議のスタート ( マイ会議 )... 5 会議に参加する... 6 Web ブラウザーで会議に参加する...

目次 目次 2 調査概要 3 調査サマリー 4 歩きスマホ は危ないと思うか? / 歩きスマホ をしたことがあるか? 5 歩きスマホ をしてしまう理由は? 6 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 7 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 8 歩きスマホ によ

メイン表示 例 バーグラフ表示 例 平均燃費 1 一般道高速道平均燃費 1/ 移動平均燃費 1 燃料流量 1/ スロットル開度 1 燃費インジケーター 時計 スピード コンパス 2 標高 2 車両電圧 燃料流量インジケーター 瞬間燃費を表示 燃費インジケーター 今回燃費 瞬間燃費を表示 電源OFF毎

スライド 0

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

コースを使う

<4D F736F F F696E74202D CC8ED48ED48AD492CA904D82CC8EE D918CF08FC88E9197BF816A2E B8CDD8AB B8

パソコン研修資料 - カシミール 3D の使い方 年度版 倉敷ハイキング倶楽部 HP 委員会

ZERO704V

Microsoft PowerPoint - ○ITARDA H30年1~9月( )JTA改

「自動運転車」に関する意識調査(アンケート調査)~「自動運転技術」に対する認知度はドイツの消費者の方が高いことが判明~_損保ジャパン日本興亜

Microsoft PowerPoint - 口頭発表_折り畳み自転車

服薬アプリ “飲みきるミカタ”の使い方

<4D F736F F D D88C7689E68A F8C6F8DCF8CF889CA32>

Microsoft Word - 資料4(修正).docx


表紙(A4)

1-1 交通死亡事故全体の推移 10 年前と比較し の死者は 40.7% 65 歳以上の死者は 24.0% それぞれ減少 死者に占める 65 歳以上の割合は 24 年以降増加 27 年中死者の半数以上 (54.6%) を 65 歳以上が占める 10 年前と比較し 人口当たり死者数は 65 歳以上のい

スライド 1

の手引き Chapter 1 manaba へようこそ Chapter 2 ログイン方法 マイページについて Chapter 3 リマインダ設定 Chapter 4 コース登録 ( 自己登録 ) Chapter 5 manaba の機能紹介 Chapter 6 respon アプリ Chapter

neostrack manual - Japanese

平成 27 年度 輸送の安全教育計画 安全ミーティング外部講習会適性診断安全委員会社長面談 4 月 月 6 月 月 8 月 月 10 月 月 12 月 月 2 月 月 教育内容 1

3. クラスリンク ( 先生の IP アドレス >:< ポート >) を生徒と共有して生徒がブラウザーから接続できるようにします デフォルトのポート番号は 90 ですが これは [Vision 設定 ] から変更できます Netop Vision Student アプリケーションを使

                     

MS916 バッチ操作ガイド FW バージョン 0.52 向け バッチ操作の基本 MS916 のバッチ操作について バッチ操作では 読取ったバーコードデータはすべて 不揮発性のメモリ (1MB ROM JAN-13 約 50,000 件 ) に保存されます メモリに保存されたデータは任意のタイミング

取扱説明書 [F-06C]

PowerPoint プレゼンテーション

クラウドアイFAQ 修正版(2014_6_2)_docx

遠隔アプリ操作マニュアル 目次 遠隔アプリ設定編 遠隔アプリ利用編 困った時は (Q&A) P2~P8 P9~P12 P13~P14 1

資料 5 自動車検査場における OBD 検査に関する実証実験について 平成 30 年 4 月 ( 独 ) 自動車技術総合機構軽自動車検査協会 Copyright National Agency for Automobile and Land Transport Technology 1

1. コミュまっぷ とは? コミュまっぷは グループでドライブする際 お互いのカーナビゲーション ( ナビ ) の画面に 仲間の位置を確認しながら ドライブすることができるアプリです スマホ向けのアプリもありますので スマホにインストールし ご利用いただければ 車でも徒歩でもシームレスに位置の共有が

資料 -2 国道 24 号烏丸通 歩行者 自転車通行安全協議会 国道 24 号烏丸通の概要 平成 30 年 3 月 国土交通省近畿地方整備局京都国道事務所

PowerPoint プレゼンテーション

H30 年度成田空港地域交通課題調査 ご利用ガイド 1

1.はじめに

交通ミクロシミュレーションを用いた長岡まつり花火大会の交通渋滞緩和施策評価 環境システム工学課程 4 年 都市交通研究室杉本有基 指導教員佐野可寸志 1. 研究背景と目的長岡まつり大花火大会は長岡市の夏の最大イベントである 長岡まつり大花火大会は 昭和 20 年 8 月 1 日の長

第 2 版 東洋英和女学院大学大学院

302KC 取扱説明書 Chapter5

ドライビングシミュレータ用実写映像再生ソフトウェア Real Video Drive Player

ビジネス便利パック GPS MAP 業務連絡 PCサービスサイトご利用マニュアル Ver KDDI 株式会社 0 Copyright 2010 KDDI Corporation. All Rights Reserved

画像参照画像送り 5 画像下部に再生ボタンが表示されます 再生ボタンをクリックすると 自動コマ送りされます 1

目次 はじめに 2 1. 前準備 3 (1) 新規パートナー登録通知 (2) 受領確認の設定 2. 受領確認手順 受領確認の流れ ( 受信データ明細閲覧 ) 2-2. 受領確認の流れ ( ダウンロード ) 3. 送信情報検索 送信情報検索 ( 自社状況確認 ) 1

PC配信&エンコーダー設定_LINELIVEマニュアル

CARDGET アプリケーションを利用する (MC312D-A/W のみ ) CARDGET( カージェット ) アプリケーションは カーナビゲーションをさらに機能アップするためのアプリケーションです 初期状態では e 燃費 美人時計 CARDGET 管理ソフトがインストールされています アプリケー

スマートフォンを登録する スマートフォンで教員からのお知らせおよびレポート課 題の情報が得られます. スマートフォンを利用するための情報登録はパソコンを使って行います. 従来型携帯電話ユーザは 従来型携帯電話ユーザ向けガイド を参照してください. 携帯メールアドレスの登録 1 授業選

リスク分析・シミュレーション

Business English Pro FAQ

ワンタイムパスワードのご利用の流れ ソフトウェア スマートフォン専用 トークンの場合 Step トークン発行 ワンタイムパスワードの利用を開始するには 以下の Step ワンタイムパスワード アプリの設定 Stepの作業が必要です Step ワンタイムパスワード 利用開始 Step トークン発行の手

<81798AC7979D B838B92CA904D8BB388E A937393B9957B8CA B835790A78DEC D815B2E786C73>

h0104_phv

暴風雪災害から身を守るために~雪氷災害の減災技術に関する研究~

目 次 1. はじめに ソフトの起動と終了 環境設定 発助 SMS ファイルの操作 電話番号設定 運用条件 回線情報 SMS 送信の開始と停止 ファイル出力... 16

目次 ペトリネットの概要 適用事例

 

<4D F736F F D D815B A982E782CC E E646F6378>

Transcription:

自動車運転中のスマートフォン利用実態の把握とテキスト入力が運転挙動に及ぼす影響の定量的分析 リスク工学グループ演習第 9 班 山本智基中川紗菜美佐藤祥路 アドバイザー教員 : 伊藤誠 1

発表の流れ 01 研究の背景 目的 02 研究の流れ 位置づけ 03 運転中のスマートフォン利用実態把握 04 シミュレーション準備 測定方法 05 実験結果 考察 06 まとめ

背景 目的

4 背景 図 主な情報通信機器の世帯保有状況 平成22年 平成25年 急速に普及するスマートフォン 自動車運転中のスマートフォン 利用による事故の発生 ながらスマホ による 事故危険性増加

背景 5 Heads-up Cockpit and Mazda Connect http://www.axela.mazda.co.jp/interior/connect.html 試乗しました! 7 月 17 日 ( 木 )~23 日 ( 水 ) の期間に AXLEA の試乗を行った. 自動車とスマートフォンの連携は未だ試行錯誤段階であるとのこと Aha

既存研究のレビュー 6 研究者 調査者年研究内容 自動車安全運転センター 1997 NHTSA 2011 被験者 50 人を対象に実車による実験カセットや携帯電話など使用機器ごとの平均操作時間や画面確認回数を調査 アメリカ全州のドライバーを対象に 携帯電話の使用実態や使用に対する意識についてアンケート調査を実施 ソニー損保 2013 スマートフォンを対象に運転中に使用されている機能やアプリの実態調査 詳細な運転中のスマートフォン利用実態 ( 危機意識や使用頻度等 ) および使用による危険性の定量的評価が必要

本研究の位置づけ 7 背景 スマートフォンの普及に伴う交通事故の増加が懸念されている スマートフォンと車載情報システムを連携させる動きがある 課題 自動車運転中のスマートフォン利用実態や運転行動に及ぼす 影響に関する調査 研究例がほとんど実施されていない 目的 1 自動車運転中のスマートフォン利用実態を明らかにする 2 自動車運転中のスマートフォン利用によるドライバーや 運転挙動への影響を明らかにする 方法 1 アンケート調査 2 ドライビングシミュレータを用いた被験者実験

アンケート調査による実態把握

アンケート概要 9 目的 自動車 ( 及び自転車 ) 運転中のスマートフォン利用に関する 実態調査 意識調査 実施期間 2014/6/17 ~ 2014/6/26 実施 回収方法 Web 回答件数 239 名 年齢分布 10 代以下 1 人 0% 20-24 25-29 152 人 26 人 64% 11% ( 男性 183 名 女性 56 名 ) 30-34 35-39 40 代 50 代 60 代以上 20 人 8% 13 人 5% 20 人 8% 6 人 3% 1 人 0% スマートフォンを保持している人 224 名 自動車運転中にスマートフォンを使用した経験あり 90 名 自転車運転中にスマートフォンを利用した経験あり 101 名

アンケート結果 10 Q. 自動車運転中におけるスマートフォンの用途と使用頻度は?

アンケート結果 11 Q. あなたが自動車運転中にスマートフォンを利用する ( した ) 理由は何ですか?

アンケート結果 12 Q. あなたは自動車を運転する際 スマートフォンをどのように使用していますか? 手で持つ 64 人 71% ホルダー 15 人 17% その他 11 人 12% ホルダー 17% その他 12% (Bluetooth とカーナビをリンク ハンズフリーを使用など ) 手で持つ 71% Q. 自動車で移動している際に行うスマートフォンの入力操作で ストレスを感じたことはありますか? ある 61 人 68% ない 29 人 32% ない 32% ある 68%

アンケート結果のまとめ 13 自動車運転中のスマートフォン利用に関して 利用用途 受け取ったメールへの返信 地図機能によるルート検索 操作方法 64% が手で持って操作する 68% が入力に関してストレスを感じたことがある Bluetooth で自動車とリンク ハンズフリーという意見も

ドライビングシミュレータによる実験

ドライビングシミュレータ実験概要 15 実施日 2014/9/15( 月 )~10/7( 火 ) 調査対象 筑波大学の学生 年齢 20 代 サンプル数 13( 男性 12 名 女性 1 名 ) 実験時間 約 50 分

実験環境 16 本研究では フォーラムエイト社開発のドライビングシミュレータ UC/Win-road8.0 を用いて試行実験を行った シミュレーション画面 実験中 前方に 1 台 ハンドル脇に 1 台のカメラを設置し ドライバーのスマートフォン操作中の視線移動を記録する 実験の様子

コース設定 17 シミュレータのコース上にスマートフォン以外の外的要因を取り除けるような道路空間を設計した 総延長約 11km の 2 車線双方向道路で交通流や障害物などの外的要因は発生しないものとする また 被験者にハンドル操作を課すため R=200 のカーブを左右 5 回ずつ設置している

実験内容 18 実験手順 E1: テストコースでフリー走行 E2: T1のみを行いながら 実験コースを完走 E3: T1+T2を行いながら 実験コースを走行 E4: T1のみを行いながら 実験コースを完走 タスク内容 T1: 速度を一定 (60km/h) に保ち 左車線の中央を走行する T2: 発車時から常に片手にスマートフォンを持ちながら運転を実施スタート地点を過ぎたらメールに返信する

実験内容 19 被験者へのメールの文面例

ドライビングシミュレータ実験結果

分析データ概要 21 走行ログデータ 約 0.03sec 毎に走行車両に関する 53 項目のデータが記録 2 2 秒間除去 進行方向分析対象区間 E2 E3 E4 抽出区間 LS 1 分析対象データの抽出 1 E3の走行区間をE2 E4から抽出 2 2 秒間除去 LF 2 ログ開始後 2 秒 ログ終了前 2 秒を除去 LS ログ開始地点 ビデオデータ 前方 ハンドル脇からのドライバーの視線移動を記録した動画 LF ログ終了地点 ( ウィンカー点灯 )

速度変化 22 被験者ごと 実験条件ごとに平均速度と標準偏差を算出 標準偏差に対し 分散分析 (1 要因 3 水準対応あり ) を行った 実験条件間 (E2,E3,E4) において速度の標準偏差に関して有意差は見られなかった (p 値 =0.309) 被験者ごとの平均速度と標準偏差

横方向への挙動 23 オフセットの標準偏差 ( 横方向へのブレ度合い ) に着目 オフセット : 車線中心から車両中心までの距離 車線中心 E3-E2,E3-E4 の標準偏差には有意差あり (p=0.001) - + E2-E4 には有意差なし (p=0.991) E2,E4 と比較し E3 のみオフセットが大きく変化している地点が多い オフセット (+: 右,-: 左 ) 車両中心 + ある被験者の走行距離 [m]vs. オフセット [m] [m] 1.4 E2 E3 E4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 被験者ごとのオフセットの標準偏差

オフセットの絶対値 [m] 視線移動 1 24 ビデオデータから約 0.1sec 毎に視線の位置をカウント 画面を見た後にオフセットが大きく変化している E3 のオフセット スマートフォン画面を確認 時刻 [sec] ある被験者のオフセットの絶対値と視線の状態

視線移動 2 25 ビデオデータから 1sec 毎に視線の位置をカウントし 状態を記録 状態 2 1 0 被験者同士のスマートフォンへの視線挙動の比較 状態視線 0 前方注視 1 画面注視 (0~2sec 未満 ) 2 画面注視 (2sec 以上 ) 4 3 2 [sec] 1 分あたりに画面を見た回数 画面を見た総回数に対する 2 の回数の割合 平均 16.41 0.33 最大値 30.00 0.70 最小値 3.95 0.01 標準偏差 7.62 0.23 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 ヒストグラム ( 画面を見た総回数に対する 2 の回数の割合 ) 人により視線移動が異なる傾向

まとめ 26 自動車運転中のスマートフォン利用実態の調査とスマートフォン操作が自動車運転に及ぼす影響について交通シミュレータを用いて計測 分析した スマートフォン操作時の運転について 通常時と比較し 速度変化については 違いが見られなかった 横ブレについては 大きくなる傾向が見られた 視線移動について 1 1 回あたり長時間画面を見る人 2 1 回あたりは短時間だが 画面を見る回数が多い人など人により視線移動の挙動 画面注視傾向が異なることが明らかとなった

今後の課題と予定 27 被験者に行った実験前アンケートと視線移動等の実験結果を参照し 深い考察を行う 計測自動制御学会システム 情報部門学術講演会 2014 でポスター発表を実施予定

ご清聴ありがとうございました

参考資料

アンケート結果 30 Q. あなたが自動車で移動しているとき あなたがスマートフォンを使っていた ( 見ていた ) ために 接触などの事故を起こしたことがありますか? ある 1 人 1% ない 89 人 99% ない 99% ある 1% 接触などの事故の危険を感じたことがありますか? ある 9 人 10% ない 81 人 90% 前方の車の減速に気が付かず追突しそうになった 急な速度変化 信号変化に気が付かない

アンケート結果 31 Q. あなたが自動車で移動しているとき スマートフォンが何らかのメール ( メッセージ ) を受信したことに気が付いた あなたは普段どうしていますか? ( 人 ) 0 10 20 30 40 50 走りながら即座に内容の確認し 重要であればすぐに返信する 走りながら即座に内容の確認を行うが 重要であってもスマートフォンの使用を中止する 走りながら周りの状況を見渡した後 内容の確認を行い 即座に返信する 走りながら周りの状況を見渡した後 内容の確認を行うが スマートフォン使用を中止する 即座に内容の確認は行わず 信号などで停止した際に確認 返信を行う 止まって内容の確認を行い 返信する 確認しない その他 2 3 5 5 6 9 10 50

実験記録環境 32 実験中, 前方に 1 台, ハンドル脇に 1 台のカメラを設置し, ドライバーのスマートフォン操作中の視線移動を記録する. ドライバーの注意を引かないよう実験中は被験者の視界に入らないよう, また実験の説明者によってタスクの捉え方がバラつかないように, 文言の統一を行うなど, 細心の注意を払いながら実験を行った. 実験の様子 記録動画画像

画面確認傾向 画面を見た総回数に対する 2 の回数 33 状態視線 0 前方注視 1 画面注視 (0~2sec 未満 ) 2 画面注視 (2sec 以上 ) 0.80 0.70 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 0.00 0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00 35.00 1 分あたりに画面を見た回数 [ 回 /min]

視線移動 2 34 ビデオデータから 1sec 毎に視線の位置をカウントし 状態を記録 状態 2 状態視線 0 前方注視 1 画面注視 (0~2sec 未満 ) 2 画面注視 (2sec 以上 ) 1 分あたりに画面を見た回数 画面を見た総回数に対する 2 の回数の割合 平均 16.41 0.33 最大値 30.00 0.70 最小値 3.95 0.01 標準偏差 7.62 0.23 4 3 2 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 ヒストグラム ( 画面を見た総回数に対する 2 の回数の割合 ) 人により視線移動が異なる傾向 1 0 被験者同士のスマートフォンへの視線挙動の比較 [sec]