『やさしい相続のススメ』

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相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

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原稿4.xls

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

相続税に関するチェックリスト

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

2011年税制改正のポイント

相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

例えば毎年 子供 2 人に対し110 万円づつ贈与し続けるのであれば 10 年間で2,200 万円の財産を無税で子供に移すことができます 贈与税の基礎控除額を上手く活用する方法だけでも 計画的に行うことがどれだけ大切なのかご理解いただけると思います とにかく財産を所有している人が高齢になればなるほど

一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

第 5 章 N

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

スライド 1

2.配偶者控除の特例の適用を受ける場合(暦年課税)編

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

2.配偶者控除の特例の適用を受ける場合(暦年課税)編

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

2.配偶者控除の特例の適用を受ける場合(暦年課税)編

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

Microsoft Word 常発041号 改正相続税法等の周知について(・

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

1.修正申告書を作成する場合の共通の手順編

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

相続対策としての土地有効活用

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

110 万円を加えると 1610 万円まで非課税となります < 住宅取得資金に対する贈与税の非課税枠 > 2012 年 2013 年 2014 年 一般住宅 1000 万円 700 万円 500 万円 省エネ 耐震住宅 1500 万円 1200 万円 1000 万円 < 贈与税の計算例 1> 201

(3) 年金所得者公的年金等の収入金額が400 万円以下であり かつ その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万円以下である場合には 確定申告の必要はありません また 上記 (2) 又は (3) に該当する方であっても 医療費控除や住宅借入金

自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人のデータ 自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人の 法定相続人の数と相続財産および債務のデータから相続税を試算します 賃貸マンションについては全室が賃貸用かどうか 駐車場については舗装がしてあるかどうかで評価額が違ってくることがあります また

課税遺産総額 = 各人の課税価格 ( ア ) の合計額 - 遺産に係る基礎控除額ウ相続税の総額の計算 1 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し 各人ごとの取得金額を計算する 2 1に税率をかけ 各人の税額を合計する (= 相続税の総額 ) エ各人の相続税額の計算相続税の総

Ⅰ ワンルームマンション経営と節税 税務署 確定申告 税金還付 20 万 ~30 万円 ワンルーム家賃収入ローン元利返済サラリーマンマンション A 氏 1 戸所有月 70,000 円月 60,000 円 銀行 年 30,000 円 月 8,000 円 固定資産税 管理会社 1 ワンルームマンション投

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相続税を計算してみましょう!

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

相続税の総額の計算法定相続分であん分課税遺産総額実際の相続割合であん分超過累進税率の適用税価格の合計額の総額税額 基礎控除額遺産に係る相続税の基礎知識 (1) 相続税の計算過程 相続人が配偶者と子 2 人の場合課法定相続分 法定相続分 税額 算出税額 法定相続分 税額 相続税算出税額 税額控除相続人

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

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4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

配偶者居住権の相続税評価額について 2018/12/28 田口税理士事務所 平成 30 年の民法改正により 配偶者の居住権を保護するために配偶者居住権が新設されましたが 相続税の評価にどう影響させるかについて 今回の税制改正大綱に記載されています まず 前提となる配偶者居住権について 説明します 1

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

Microsoft Word - 平成15年税制改正(2).doc


平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

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土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

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相続診断士試験

スライド 1


相続財産の評価P64~75

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

Japan Tax Newsletter

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図 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度 平成年,00万円 700万円 平成6年,000万円 00万円 そして 相続発生時にこれまでの贈与額 を 遺 産 と 合 算 し て 相 続 税 を 計 算 し 支 払 済みの贈与税とで差額を精算します が 歳未満であっても特例を利用すること が可能 平成 年

債務控除できるもの できないもの 1. 概要相続税の申告で 債務控除できるものや葬式費用には 被相続人名義の銀行借入金や未納の所得税等の公租公課 未払医療費等のいわゆる債務の金額 葬式費用が挙げられます ( 相法 13) 斎場へのタクシー代や式後の飲食代なども含みますが 通常必要とされる範囲内とされ

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

Aさん : 何ですか 課税の繰り延べ課税の繰り延べって? 減税とは違うのですか? 税理士 : はい 買換特例には 根本的には税金は減らす効果はなく あくまで納税時期を遅らせることしかできないのです 課税の繰り延べの意味 税理士 : 今お持ちの駅前にある不動産を 2 億円で売却し 郊外の賃貸用マンショ

資産運用として考える アパート・マンション経営

金融商品と資金運用

cf 遺贈 : 遺言によって財産が移転 遺贈者 贈与税の対象となる贈与 死亡時 遺言 一方的な意思表示 受遺者 相続税 財産を取得した受贈者 ( 個人 ) にかかる税金 贈与者 財産 受贈者 個人 個人 贈与税 法人 個人 所得税 ( 一時所得か給与所得 ) 個人 法人 法人税 2

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贈与税 相続税計算ツール 注 : マクロを使用しない方は下の タブ ( シート名 ) をご使用下さい 番号 内容 下記の矢印をクリック 項目名 1 財産目録の不動産入力 資産 2 財産目録の動産入力 資産 3 死亡保険金 死亡退職金 弔慰金の入力 資産 4 金融資産 負債 費用の入力 資産 5 相続

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

⑷ 納税猶予の打ち切り P. 49 Q. 納税猶予の対象の農地を売却する場合 納税猶予が打ち切られてしまうのですか ⑸ 市町村合併と納税猶予 P. 54 Q.B 町が平成 3 年 1 月 1 日現在特定市であるA 市に合併される場合 旧 B 町の農地等は生産緑地の指定を受けていないと納税猶予の特例は

役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

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1. 贈与税のながれ はじめに行う作業 1 データの 新規追加 2 税理士登録 3 受贈者登録 4 贈与者登録 贈与税申告書の作成 5 贈与税申告書 の作成 その他の帳票作成 印刷 6 税務代理権限証書 の作成 印刷 2

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団体信用生命保険はどんなときに免責となりますか? 質問団体信用生命保険に加入しても 保険金が支払われないケースもあると聞きまし た どのような場合に保険金の支払が免責となるのですか 住宅ローン契約者に万一のことがあった際には 団体信用生命保険に加入していれば通常はローン残額は保険金で完済できますが

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

服部法律事務所ニュース 遺言書について その4(相続税)

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

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税金について詳しくない方でも 相続税と言えば お金持ちが払うもの というイメージを持っています なぜこんなイメージが定着しているのでしょうか? それは 相続税の基礎控除額が影響しています 財産の合計が基礎控除額以内なら相続税はかかりませんし 申告も必要ありません 今まで 基礎控除額は 5,000 万円 +1,000 万円 法定相続人の数 で計算していました 妻と子ども 2 人の家族なら 基礎控除額は 5,000 万円 +1,000 万円 3=8,000 万 円となります かなりの金額ですよね? このため相続税がかかる割合は相続発生件数の 4~5% 程度 に過ぎず 大半の家庭は相続税とは無縁で済んだのです しかし 平成 27 年以降の相続からこの基礎控除額が大幅に縮小されることとなりました 3,000 万円 +600 万円 法定相続人の数 先ほどと同じ条件ならば 3,000 万円 +600 万円 3=4,800 万円となり 今までの6 割しかありません この金額 特別な財産がなくてもそれなりの自宅を持ち 退職金をもらい コツコツと老後の蓄えをしていた家庭なら 全く関係ない と言い切れる額ではないでしょう 相続税の基礎控除は相続人ひとりひとりにあるものではなく 亡くなった人の財産全体に対するものなので この場合亡くなった人の財産の合計が 4,800 万円を超えると相続税の申告が必要となります 1

みなさんからは 私が預金を 円もらったら相続税はかかるの? だいたいいくらになるの? という聞かれ方をします 実はこの情報だけでは相続税の計算はできません 相続税はちょっと変わったやり方で計算します かなり難解なので流れだけつかみましょう 亡くなった人の財産に値段をつけ その合計額から債務や葬式費用を引いて正味の財産価格を出す ここで注意してほしいのは相続税の計算は亡くなった人の財産の 合計 を基礎に行うということです 全体で考えてから個々に割り振るといったイメージを持って下さい STEP1で出した価格から基礎控除額を引き 残りの部分を法定相続分で配分したものとみなしてその配分額に応じた税率をかけて税額を出し その税額を合計してトータルの相続税額を出す 非常に分かりにくいところです 実際の取得分ではなく 法定相続分に税率をかけるところがポイントです STEP2で出したトータルの税額を実際の取得割合に応じて配分して各人の税額を出し 各種税額控除を加味して最終的な納付税額を出す このように相続税は ひとりひとりが単独で ( 各人のもらった財産の金額 - 基礎控除額 ) 税率といった計算をして出すものではありません ちょっと前に相続のあった隣の家のAさんは 2,000 万円の預金をもらって税額ゼロ 同じ金額もらった私はなぜか税額 500 万円!? なんてことが普通に起こるのが相続税の不思議なところです 2

意外と大変な作業です亡くなった人にどんな財産があるのか 残された人は意外と知らないものです 遺産分割 相続税の計算はこれを基礎に行われますので 漏れがあると色んなトラブルが生じます 普段からコミュニケーションを取っておくことを意識しましょう 借金も財産? 原則として相続します相続する財産は預貯金等のプラスの財産ばかりではありません 亡くなった人に借金などのマイナスの財産があればそれも相続しなければなりません プラスのものだけもらう というわけにはいかないのです 場合によっては相続放棄の選択をでは マイナスの財産がプラスの財産より多いときはどうしましょう? こんな場合には 相続しない という選択も出来ます もちろんこの選択をすればプラスの財産も一切受け取れません これを 相続放棄 といい相続開始後 3か月以内に家庭裁判所へ一定の手続きを行う必要があります そのため亡くなった人の財産の把握は遅くとも3か月以内に済ませておく必要があります memo 連帯保証にご注意亡くなった人が連帯保証人になっていた場合 その連帯保証人としての地位も相続されます つまり相続人が連帯保証人となってしまうのです また 連帯保証は遺言や合意と関係なく法定相続分で相続されます そのため財産を一切もらわなかった人でも請求があれば返済しなければなりません さらに 相続時点では返済義務が実際に生じているわけではないので 相続税の計算をするときマイナスできません このように連帯保証は残された人の生活をめちゃくちゃにしかねません しかも亡くなった人が連帯保証人になっているかどうかは非常に把握しづらいので 気付いた時には相続放棄が不可能な状況だったという場合が多々あります 連帯保証の有無は生前にはっきりと話し合っておくべきです memo 相続放棄の場合の生命保険金相続放棄をしてしまうと生命保険金も受け取れなくなるような気がします でも これは大きな誤解です 受取人 に特定の人が指定されている場合または単に 相続人 となっている場合 生命保険金は受取人固有の財産となり 相続放棄しても受け取れるのです ただし 受取人が 亡くなった人自身 になっているときは注意! 相続財産となってしまうので放棄した場合は受け取れません 事前に契約内容を確認してみましょう なお どの場合も 税法上は みなし相続財産 として相続税の対象になります 3

相続税の計算をするには 財産に値段をつけなくてはなりません この作業を 財産評価 といいます 評価は原則として亡くなった日の時価で行いますが 時価と言われても 預金や上場株式なら簡単に分かりますが不動産などはっきりしないものもありますよね 当然ですが 自分だったらこれくらいで売買するかなぁ では決められません 値段をつける人によって不公平にならないように 統一したルールが決められています そして そのルールに従ってつけた値段を 相続税評価額 と言います ここでは土地の相続税評価額の出し方の基礎の基礎をご紹介しておきます 1. 財産評価の花形! 土地の値段は? 相続税が気になる方なら必ず土地をお持ちですよね 財産評価 = 土地と言えるくらい その値段つけのルールは高度で広範なものです そのルールに従うと 通常の売買価格 > 相続税評価額 > 固定資産税評価額になると言われます カネで持つより不動産 が相続税の節税の王道と言われるのはこのためです 1 億円の現金で土地を買えば一般に7 8 千万円に評価を下げることができます なお 土地の評価と言えば固定資産税評価額と思い 固定資産税の納付書の明細を見て 良かった 基礎控除の範囲内 と安心している方も多いようですが 通常 相続税評価額のほうが高いので その点は要注意です 2. 土地評価の2つの方法土地の評価方法には路線価方式と倍率方式があります 路線価方式路線価が定められている地域はこの方法で評価します 路線価とは国税庁がそれぞれの道路につけた値段です これは国税庁のホームページで調べることができます この値段に面積を掛けてその土地の値段を出します 路線価は毎年変わり 公示価格の8 割程度が目安と言われています 倍率方式路線価が定められていない地域はこの方法で評価します その土地の固定資産税評価額に決められた倍率を掛けて値段を出します 倍率は地域により異なり こちらも国税庁のホームページで調べることができます 3. さまざまな減額のルール上記の方法で出した値段は 土地の形状等が変わっていて使い勝手が悪かったり 人に貸していたりするとさらに安くなります 土地の減額のルールはとにかくたくさんあります それだけ税金を安くできる余地がたくさんあるということなので 土地持ちの方はきちんと税理士に相談することをおススメします 4

相続税の計算上 亡くなった人の財産には 亡くなった人の本来の財産の他に次のものが含まれます 1. みなし相続財産 死亡保険金 死亡退職金 2. 相続開始前 3 年以内にした贈与財産 相続時精算課税を利用して贈与した財産 ( 贈与編参照 ) 相続税の計算にはたくさんのお得な決まりがあります ここでは最も効果が大きい2つの決まりを挙げておきます 1. 配偶者の税額軽減 配偶者が財産を取得する場合は法定相続分か1 億 6 千万円のどちらか大きい金額まで無税になります ただし配偶者へ財産を持って行きすぎると二次相続の時に大変になりますので二次相続まで含めて検討するが重要です 2. 小規模宅地等の特例 自宅の土地等を一定の要件を満たす人が取得した場合 その土地 ( 面積上限あり ) の価格を80%( 土地の種類により50%) 減額できます 3. 申告しないとダメ! 1や2が使える場合 結果として無税となったり税額がうんと安くすんだりしますが 申告をしてこの決まりを使いますよ という意思表示をしなくてはなりません つまり 税額がゼロでも申告は必ずしなければならない のです!! また これらの決まりは遺産分割が完了していないと使えませんので要注意です 相続税といえば節税のことばかりに目が行きますが 実は最も大事なのは納税資金の確保です 財産の大半を不動産など現金化しにくいものが占めてはいませんか? 財産はあるから税金がかかる でも払うだけの現金がない! ということは実際によく起こります 相続税は 申告期限 ( 亡くなった日の翌日から10か月 ) までに現金で一括納付が大原則です 納税に耐えうるだけの現金の準備はできますか? 相続税の対策では 節税と納税資金の確保をバランス良く進めることが大切です 5

ご家族に財産をあげるには 相続を待つだけでなく 贈与 という方法もあります この贈与 上手く使えば相続税対策にも抜群に効果を発揮します 子どもや孫などに生前に移転することで相続時の財産が減っていれば 必然的に相続税も減るからです とはいえ 気になるのが 贈与税 贈与税は日本で一番高い税金と言われるくらい負担が大きいものです では 贈与をどのように利用すれば良いのでしょうか? 贈与税の基礎控除額は 110 万円 です 相続税の基礎控除額に比べればいかに小さいかお分かりです ね 最高税率は同じなのに贈与税のほうが相続税より負担が重いと言われる理由がここにあります た だし 贈与と相続のしくみの違いを利用すれば そんな贈与で立派に節税できちゃうのです 基礎控除は 毎年 利用できる 孫や嫁など法定相続人以外の誰にでも利用できる この 2 点が相続とは異なる贈与の特徴 少しずつ 長い年月をかけて たくさんの人に渡す! これ が贈与による節税対策の基本になります 6

贈与税の計算にもお得な決まりがあります これらが使える場合 さらに大きな節税効果が期待できます 1. 贈与税の配偶者控除 婚姻期間が 20 年以上の配偶者への居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与は 2,000 万円まで贈与税がかかりません 2. 住宅取得資金贈与の非課税特例 予定 平成 27 年 3 月に国会の審議を経て正式決定一定の要件を満たす人が父母や祖父母などの直系尊属から住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合 平成 27 年中の贈与なら 1,000 万円まで非課税となります ( 良質な住宅に該当する場合は 1,500 万円まで非課税 ) また非課税枠は変わるもののこの制度は平成 31 年 6 月 30 日まで適用が可能です 3. 注意事項これらを使う場合 税額がゼロでも申告が必要 です また 実際の要件はもっと複雑なので 必ず事前に専門家に相談してください 本来 贈与は基礎控除が小さく税率も高いため 適用ミスは取り返しのつかないことになりかねません なお不動産の贈与は不動産取得税や登録免許税も高額になりますので総合的な判断が重要です 贈与税の非課税制度には 教育資金贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 ( 新設予定 ) がありますが 個人的にお勧めしない制度ですので ここでは紹介いたしません 7

1. 生前贈与加算相続開始前 3 年以内にした贈与をなかったものとするルールです その間の贈与は相続財産に加算され その贈与で払った税額がある場合は相続税の額から引きます 基礎控除額の範囲内で贈与税がかからなかったものも加算の対象となりますので注意です ただし 先に挙げた2つの特例に相当する金額は生前贈与加算の対象とはなりません なお 孫や嫁など相続人以外の人への贈与には生前贈与加算のルールは適用されません 2. 贈与と認めてもらえない?? 色々と注意点はあるものの やはり節税に効果アリの贈与 そのため税務署側は贈与の事実そのものを認めない場合があります 1 あげる もらう の合意が必要 2 客観的証拠 ( お互いの口座を通す 契約書をつくる 申告をする ) を残す 3 管理 運用はもらった人がする贈与の際 この3つは押さえておきたいところ 物事をまだ良く理解できない年頃の子どもに 現金で 110 万円贈与して 基礎控除の範囲内だから申告せず その後この現金を入金した通帳を親が預かる こんな場合は贈与があったと認められない可能性が高いので注意です 生前贈与は税務調査でのポイントとなりやすいため 慎重に進めていきたいですね memo 相続時精算課税制度贈与には年間 110 万円の基礎控除がある 暦年贈与 の他に 相続時精算課税 という方法もあります 簡単にいえば 2,500 万円までの贈与はいったん無税としますよ ただし相続税の計算の際 全て加算して精算してくださいね というもの 2,500 万円まで無税 が独り歩きして 制度の中身を良く知らないまま利用しているケースが見受けられますが メリットもあればデメリットもあり 最終的に吉と出るか凶と出るか 判断は極めて難しい制度です また要件も複雑であるため 自己判断や専門家以外のアドバイスによる安易な利用は絶対に避けてください 無断複製 転載禁止村田鮎子税理士事務所村田鮎子 8