FP 技能士 2 級実技試験最近の傾向と試験攻略法 全体 合格ラインは 6 割正解 実技試験では, 学科試験と同じような知識問題も出題されてきますが, 実技 ということで, 事例に沿った問題, 各種計算問題, 資料の読み取り問題など, 実務的な出題が多く見受けられます これだけを聞くと, 敷居の高い印象を受けるかもしれませんが, いずれも 定番問題 であり事前に繰り返し演習を行うことで, 十分対応することができます 一般的に実技試験のほうが学科試験より合格率が高いのは, 試験対策がしやすいということの表れです ポイントとしては, ライフプランニングと資金計画 からの出題が占める割合が非常に高いことから, この分野の学習に重点を置くことを意識すると良いでしょう また, 計算問題では, 毎回のように出題されてくるものも数多くあるので, 何度も反復演習を重ね, 出題されたら確実に得点することができるようになること, 自分にとってサービス問題化することを心がけてください 試験自体は,6 割の正解が合格ラインですが, 定番問題は確実に正解する, ということが鉄則です 最優先で仕上げましょう とにかく, 何度も繰り返す これが合格への近道です ライフプランニングと資金計画 実技試験の中心となる分野です 実に全体の4 割程度この分野から出題されています 特に, 問題の後半において 事例形式 にて様々な論点が横断的に出題されるのが特徴です しかし, やはり問題の傾向は定番化しており, 過去問題を中心とした学習が効果的です 計算問題が多く, キャッシュフロー表の金額 ( 基本生活費, 金融資産残高 ) の算出, 個人バランスシートにおける純資産の算出, 係数を使った計算問題 (3 問程度 ) は頻出問題です 最近では老齢年金や遺族年金の年金額の計算問題も頻出問題となってきていますが, 細かい数字や計算式などは問題の中で与えられ, それを使って正解を算出するという形なので, 計算の手順やルールを押さえておけば良いでしょう 住宅ローンや社会保険等については, 学科試験対策で十分対応できます リスク管理 保険証券の読み取り問題が定番問題となります 複数の保険証券から, 死亡した場合 入院等をした場合 というようなケースで, 保険金や給付金がいくら支払われるか, というような問題が出題されます 毎回同じような出題であることから, 過去問題を何 -ix-
度も演習し保険証券の読み方に 慣れる ことで得点源にすることができます 攻略ポイントは, 死亡のケースでの 特定疾病保障保険 ガン保険のガン以外での死亡, 入院のケースでの 4 日免責 および 1 入院の取り扱い です 金融資産運用 最近の傾向として, 会社四季報 や新聞等から抜粋した資料の読み取り問題が定番化しています 過去問題で確認をしたり, 日頃から新聞等でこれらの資料に慣れておくことも大切ですが, 出題数は少ないことから, このような資料の読み取りを苦手としている方は敢えて深追いしないことも一つの試験対策と言えるかもしれません それら以外の問題は全体的に学科試験対策と同じ学習で構いません 計算問題は1~2 問程度出題が予想されますが, 事例形式なので, 利回りや売買時のコストなど, 相談者が貯蓄や資産運用をする上で関心の高い論点が出題される傾向にあります 計算自体はそれほど高度なことを問われるわけではありませんが, 普段慣れている出題の視点とはちょっと変えた視点から出題される傾向もありますので, やはり過去問で慣れておきましょう タックスプランニング 実技試験では, この分野からの出題はそれほど多くはありません また, 学科試験では法人税からの出題もありますが, 実技試験では所得税からの出題がほとんどです 出題の傾向としては, 計算問題が中心で, 複数の所得がある方の損益通算を絡めての総所得金額の計算問題は頻出です 問われる内容自体はそれほど難しくはありませんので, 所得税の計算手順を何度も反復し, しっかりとマスターしましょう 確実に得点したい問題です 不動産 この分野は, 特に実技試験ならではの対策はそれほど必要ではなく, 学科試験対策で実技も対策可能です 不動産広告の読み取り問題は頻出問題です 不動産登記, 借地借家法, 不動産売買における留意点などは, まさに学科試験と同じような出題形式です 基本事項をしっかりと押さえましょう 計算問題は, 建ぺい率及び容積率に絡む問題がやはり定番問題です 過去問題を繰り返し演習することで確実に得点しましょう 最近の不動産投資利回りの計算問題が多くなっている傾向があります 不動産投資利回り, と聞くだけでパニックになる方もいるかもしれませんが, 利回り という考え方は投資元本に対してどれだけ収益が出たかという割合を表すもので, これは投資対象が不動産でも金融商品でも同様です 慣れない言葉に惑わされないよう, やはり問題演習で慣れておきましょう -x-
相続 事業承継 実技試験では, 相続税, 贈与税からの出題が中心です ポイントは所得税同様, 計算の体系をしっかりと理解しておくこと 何度も繰り返し計算演習することが対策です 相続税の課税価格, 基礎控除の計算問題が頻出, それから法定相続分を問うものも定番ですが, いずれもそれほど難しくはありません 基本知識および計算の手順をしっかりと押さえておきましょう 学科試験対策用学習で対応可能です 路線価を用いた土地の相続税評価額の計算問題も頻出問題です 過去問題演習を重ねることで, 様々な出題パターンに慣れておきましょう A 本書の利用法 見やすい項目表示重要度 本書では, 問題ごとに 大きくて見やすい 項目表示にしました 一目で出題されやすい項目が確認できます また,A B Cの重要度も表示しました Aは 必ず得点する問題,Bは できれば得点したい問題, そしてCは 正解しなくても合否に影響しない問題 です 攻略するための優先順位を考えて, 取り組みましょう -xi-
相続パーソナルファイナンス 重要度 親族各種データの活用 H24-95 CA 01 ファイナンシャル プランニングに使用する各種データに関する次の記述の空欄 ( ア ),( イ ) にあてはまる語句の組み合わせとして, 最も適切なものはどれか 老後に必要な資金を算出するために, 定年後の平均余命について, 厚生労働省が作成する ( ア ) を参考にした 老後の生活費を見込むために, 総務省が作成する ( イ ) の結果を用いて生活費を算出した 1.( ア ) 国勢調査 ( イ ) 消費動向調査 2.( ア ) 国勢調査 ( イ ) 家計調査 3.( ア ) 簡易生命表 ( イ ) 消費動向調査 4.( ア ) 簡易生命表 ( イ ) 家計調査 解説チェック ( ア ) 簡易生命表,( イ ) 家計調査 老後に必要な資金を算出するために, 定年後の平均余命について, 厚生労働省が作成する ( ア簡易生命表 ) を参考にした 老後の生活費を見込むために, 総務省が作成する ( イ家計調査 ) の結果を用いて生活費を算出した ( 注 ) 消費動向調査 : 内閣府が毎月実施し公表する 消費者の暮らし向き, 収入の 増え方, 雇用環境, 耐久消費財の購入状況等についての調査 調査により, 消費者態度指数が導出される -2- 正解 -4
複合問題 相談業務 H25-1 01 下記の ( 問 1)~( 問 7) について解答しなさい < 設例 > 野島亮さんと妻の理恵さんは, 民間企業に勤務する会社員である 亮さんと理恵さんは, 今後の資産形成や家計の見直しなどについて,FP で税理士でもある榎本さんに相談をした なお, 下記のデータはいずれも平成 25 年 1 月 1 日現在のものである < 家族構成 > 氏名 続柄 生年月日 年齢 職業等 野島亮 本人 昭和 53 年 5 月 24 日 34 歳 会社員 ( 正社員 ) 理恵 妻 昭和 54 年 8 月 6 日 33 歳 会社員 ( 正社員 ) 蓮 長男 平成 21 年 11 月 12 日 3 歳 < 収入金額 ( 平成 24 年 )> 亮さん給与収入 :450 万円 ( 手取り ) 理恵さん給与収入 :300 万円 ( 手取り ) < 自宅 > 賃貸マンション : 家賃月額 13 万円 ( 管理費込み ) 販売価格 3,500 万円のマンションを購入する予定である < 金融資産 ( 時価 )> 亮さん名義銀行預金 ( 普通預金 ) 銀行預金 ( 定期預金 ) 理恵さん名義銀行預金 ( 普通預金 ) 銀行預金 ( 定期預金 ) 150 万円 450 万円 50 万円 200 万円 < 負債 > 亮さんと理恵さんに負債はない - 244 -
複合問相談業務 住宅取得と税金 H25-1 問 1 亮さんと理恵さんは, マンション ( マイホーム ) の購入資金を下記 < 資料 >のように夫婦共同で負担することを検討している 次の記述の空欄 ( ア )~( ウ ) に入る適切な数値または語句を語群の中から選び, その番号のみを解答欄に記入しなさい なお, 持分を計算するうえで, 取得にかかった諸経費等は考慮しないものとする 題重要度 A < 資料 > 亮さんの預金からの引出し 200 万円 頭金 亮さんが父親から受ける住宅取得の資金贈与 300 万円 理恵さんが父親から受ける住宅取得の資金贈与 500 万円 住宅ローン 亮さん名義での借入れ 2,500 万円 合計 3,500 万円 住宅ローンの返済はすべて亮さんが行う 亮さんが 3,000 万円, 理恵さんが 500 万円を資金負担し, 総額 3,500 万円のマンション ( マイホーム ) を購入して, 亮さんと理恵さんの共有とし, 持分を 2 分の1ずつで所有権の登記をしたとする この場合, 亮さんから理恵さんへ ( ア ) 万円の贈与があったとみなされる 資金の負担割合に応じて, 亮さんの持分を ( イ ), 理恵さんの持分を ( ウ ) とする所有権の登記を行えば, 亮さんと理恵さんの間での贈与は生じない < 語群 > 1. 750 2. 1,250 3. 1,750 4. 7 分の1 5. 7 分の2 6. 3 分の1 7. 3 分の2 8. 7 分の5 9. 7 分の6-245 -
解説チェック ( ア ) 2 1,250( 万円 ) 理恵さんのマイホーム (3,500 万円 ) の持分が2 分の1なので, 理恵さんの財産としては,1,750 万円 実際に負担したマイホーム資金は 500 万円なので, その差額 1,750 万円 - 500 万円 = 1,250 万円の贈与があったとみなされる ( イ ) 9 7 分の6 贈与を生じさせないためには, 実質の資金負担割合の持分にすればよいので, 亮さんの持分 : 亮さんの負担額 / マイホーム購入額 = 3,000 万円 / 3,500 万円 =6/7 ( ウ ) 4 7 分の1 理恵さんの負担額 / マイホーム購入資金 = 500 万円 / 3,500 万円 =1/7-246 - 正解 -( ア )2,( イ )9,( ウ )4
金計第三分野の保険と医療特約 FP とコンプライアンス 関連法規関連業法の順守 H21 H25-51 重要度 A 02 ファイナンシャル プランナー ( 以下 FP という ) が, ファイナンシャル プ ランニング業務を行ううえでは 関連業法 を順守することが重要である FP の行為に関する次の ( ア )~( エ ) の記述について, 適切なものには, 不適切なものには を解答欄に記入しなさい 画重要度 A ライフプランニングと資( ア ) 弁護士資格を有していない FP が, 遺産分割で争っている顧客に法律判断に基づく具体的な和解案を提案して報酬を得た ( イ ) 税理士資格を有していない FP が, 無料相談会において, 相談者の具体的な納税額計算等の税務相談を行った ( ウ ) 司法書士資格を有していない FP が, 顧客の任意後見人となる契約を締結した ( エ ) 社会保険労務士資格を有していない FP が, 顧客から公的年金制度の改正に関する質問を受け, 回答した -3-
第 1 問 下記の ( 問 1),( 問 2) について解答しなさい 問 1 ファイナンシャル プランナー ( 以下 FP という) が, ファイナンシャル プランニング業務を行ううえでは 関連業法 を順守することが重要である FP の行為に関する次の ( ア )~( エ ) の記述について, 適切なものには, 不適切なものには を解答欄に記入しなさい ( ア ) 投資助言 代理業の登録をしていない FP が, 顧客の求めに応じ, 特定の会社における過去の株価の値動き等を統計化し, 具体的な投資時期や金額についての助言を行った ( イ ) 弁護士資格を有していない FP( 遺言者や公証人と利害関係はない ) が, 顧客から依頼され, 公正証書遺言の証人となった ( ウ ) 司法書士資格を有していない FP が, 顧客の任意後見人となる契約を締結した ( エ ) 保険募集人の登録をしていない FP が, 変額個人年金保険の商品説明を行った 問 2 消費者契約法 に関する次の記述の空欄( ア ),( イ ) にあてはまる語句の組み合わせとして, 正しいものはどれか 事業者が金融商品を販売する際に, 重要事項について事実と異なることを告げ, それにより消費者が, その告げられた内容が事実であると誤認して契約した場合, 消費者は ( ア ) ことができると定められている 時効の時期については, 消費者が誤認や困惑に気付いた時から6ヵ月間もしくは契約締結の時から ( イ ) を経過した時と定められている 1.( ア ) 当該契約を取り消す ( イ )5 年 2.( ア ) 当該契約を取り消す ( イ )3 年 3.( ア ) 損害賠償を請求する ( イ )5 年 4.( ア ) 損害賠償を請求する ( イ )3 年 - 390 -
2013年5月解答 解説 第 1 問 問 1 正解 ( ア ) ( イ ) 〇 ( ウ ) 〇 ( エ ) 〇 ( ア ) 投資助言 代理業, 投資運用業の登録を受けていない者 は, 具体的な投資時期 金額について助言を行うことはできない ( イ ) 公正証書遺言の証人となるために司法書士や弁護士などの資格は必要ない なお, 未成年者や遺言者, 公証人との利害関係のある者 (1 推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族, 公証人の配偶者,2 四親等内の親族, 書記および使用人等 ) は, 証人になれない ( ウ ) 任意後見人になるために, 司法書士や弁護士などの資格による制限はない なお, 未成年者 ( 欠格事由 ) などは後見人になることができない ( エ ) 単なる保険商品の説明や, 保険商品を組み入れたライフプランの提案等を行う場合には, 保険募集人の登録は必要ない 問 2 正解 1 事業者が金融商品を販売する際に, 重要事項について事実と異なることを告げ, それにより消費者が, その告げられた内容が事実であると誤認して契約した場合, 消費者は ( ア : 当該契約を取り消す ) ことができると定められている 時効の時期については, 消費者が誤認や困惑に気付いた時から6ヵ月間もしくは契約締結の時から ( イ :5 年 ) を経過した時と定められている 以上から, 肢 1が正解である < 参考 > 消費者契約法対象 : 消費者が事業者と締結したすべての契約取消し対象 : 重要な事項に関し, 事業者の不実告知, 断定的判断, 故意の不告知, 不退去や監禁により, 自由な意思決定が妨げられた ( 誤認 困惑した ) ことによって結んだ契約消費者契約法が適用され, 契約取消し対象となる勧誘 1) 不実告知重要な項目について事実と違うことを告げる 2) 断定的判断将来値が上がるなどと, 不確実な事項について, 断定的な判断を告知すること 3) 不利益事実の不告知不利益な事実を故意に言わない 4) 不退去帰ってほしいといったのに帰らない 5) 監禁帰りたいといったのに帰してくれない - 429 -