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2016 年 8 月 7 日 ~ 指定難病医療講演会 ~ 京都府難病相談 支援センター主催 IgA 腎症およびその他腎疾患の 病態と治療について 京都大学医学部附属病院腎臓内科 横井秀基

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群など

腎臓は尿をつくる臓器です 腎不全の治療選択

1 つの腎臓に 100 万個の ネフロンがあります 腎不全の治療選択

老廃物は糸球体 ( しきゅうたい ) で濾過されます 尿は 150L 作られ 99% 再吸収されます 糸球体で 老廃物が血液から濾過されて 原尿になります 原尿は尿細管で 99% 濃縮され 残った 1% が尿として排出されます

腎臓が行っている役割 老廃物の排泄 水の排泄 電解質 ( ナトリウム カリウムなど ) の調節 酸の排泄 赤血球をつくるホルモン ( エリスロポエチン ) を作る ビタミンDを作る

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群

検尿 : 血尿 蛋白尿 血尿 急性腎炎 慢性腎炎など 腎結石 膀胱癌など 蛋白尿 0.15g 以下 : 正常 0.2-1g: 腎炎の初期 安定期 1-3.5g: 重篤な腎炎 3.5g 以上 : ネフローゼ症候群 尿糖血糖値 >170 で陽性

尿沈査 ( にょうちんさ ): 血尿 顕微鏡でみた 1 視野 ( 強拡大 ) に赤血球 (RBC) が何個あるかを /high power field(hpf) で表します 赤血球 0-1/hpf 赤血球 1-4/hpf 赤血球 5-9/hpf 赤血球 10-19/hpf 赤血球 20-29/hpf 赤血球 30-49/hpf 赤血球 50-99/hpf 赤血球 >100/hpf 正常ほぼ正常尿潜血少量尿潜血少量尿潜血中等量尿潜血中等量尿潜血多量尿潜血多量

血尿も大事ですが 内科では蛋白尿をさらに重視します 特に量が大事です

検尿 : たんぱく尿 1 日蓄尿した蛋白尿で検査します 0.15g 以下 : 正常 0.15-0.5 g: 腎炎の初期 安定期 0.5-3.5g: 腎炎 3.5g 以上 : ネフローゼ症候群

検尿 : たんぱく尿 しかし 畜尿するのは大変なので 来院時の尿 ( 随時尿 ) や早朝尿で代用します クレアチニン補正といって 尿蛋白量 (mg/dl) を尿クレアチニン (mg/dl) で割ることで おおよその蛋白尿を推定します 尿蛋白 120 (mg/dl) 尿クレアチニン 100 (mg/dl) 尿蛋白 / 尿クレアチニン 1.2 (g/gcr) ( 尿 PC 比 ) 尿蛋白 / 尿クレアチニン比がおおよそ 1 日の尿蛋白量を示します

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群

クレアチニン (Cr) 基準値 : 男性 0.65~1.06 mg/dl 女性 0.46~0.78 mg/dl 1. 筋肉の老廃物 2. 個々の人によって一日産生量は一定 3. 腎機能の指標になる 腎機能悪化で上昇 4. 筋肉量 運動量 性差 発育により影響を受ける

血液尿素窒素 (BUN) 基準値 :8~22 mg/dl 1. 蛋白質の終末代謝産物 2. 肝臓で産生 3. 腎臓から排泄 ; 腎機能の指標腎機能悪化で上昇 4. 脱水や出血 ステロイド治療などで変動

カリウム (K) 基準値 :3.5~4.8 meq/l 1. 果物や生野菜に多い 2. 腎臓から排泄される 腎障害で上昇する 3. 高カリウム血症は致死的不整脈の原因になる

糸球体濾過量 (GFR ジーエフアール ) のイメージ GFR 100 ml/ 分 GFR 50 ml/ 分 GFR 20 ml/ 分

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群など

慢性腎臓病 (chronic kidney disease:ckd) 1 尿異常 画像診断 血液 病理で腎障害が明らか 2GFR < 60 ml/ 分 /1.73 m 2 1 2 いずれか または両方の状態が 3 ヵ月以上持続する 原疾患が IgA 腎症でも ネフローゼ症候群でも 糖尿病性腎症でも 基準をみたせばすべて CKD と呼びます KRM-0268 CKD 診療カ イト より

CKD ステージ分類 原疾患蛋白尿区分 A1 A2 A3 様々な腎臓病 尿蛋白 正常 0.15 未満 軽度タンパク尿 0.15~ 0.49 高度タンパク尿 0.50 以上 G1 正常もしくは高値 >90 G2 正常もしくは軽度低下 60~89 GFR 区分 (ml/min/ 1.73 m 2 ) G3a G3b 軽度 ~ 中等度低下 中等度 ~ 高度低下 45~59 30~44 G4 高度低下 15~29 G5 末期腎不全 <15 低リスク群中リスク群高リスク群超高リスク群

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群など

IgA 腎症 (IgA 腎炎 ) 概要 1968 年フランスの腎病理学者 Jean Berger によって報告された疾患 日本では慢性糸球体腎炎のうち成人では 30% 以上 小児では 20% 以上 症状健診での無症候性蛋白尿 血尿が約 70% 大部分は無症候 時に肉眼的血尿あり 上気道感染 ( 扁桃腺炎など ) 後に肉眼的血尿が出現しやすい 診断腎生検が必須である

IgA 腎症の方の経過 ( 仮定の人物です ) 20 歳男性 幼少時から年に 1 回程度扁桃腺炎をおこすことがあった 中学 高校の検診で 時々尿潜血を指摘されたが 精査の結果問題ないと説明を受けていた 大学入学後の検診で 尿潜血 (2+) 尿蛋白 (2+) を指摘され来院した

A さんの診察 検査 問診 診察の後 血液検査と尿検査を受けることになりました 血液検査 Cr egfr BUN K IgA 0.84 99 18 4.0 328 mg/dl ml/ 分 /1.73m 2 mg/dl meq/l mg/dl (0.65-1.04) (60-120) (8-22) (3.5-4.8) (150-410) 全て正常範囲でした

A さんの尿検査 尿検査 尿潜血尿蛋白尿 RBC( 赤血球 ) 尿 RBC 形態円柱尿蛋白 / 尿クレアチニン比 2+ 2+ 10-19/hpf Dysmorphic 顆粒円柱 0.67 g/gcr 尿潜血 変形赤血球 腎炎の活動性がありそう 0.5g を超えているので蛋白尿が多い 医師 A さんは糸球体腎炎の可能性があります 診断に腎生検が必要です

腎生検 腎臓病の診断と治療法の決定のために 腎臓の一部の組織を採取し 顕微鏡で評価する検査

腎生検の合併症 1 検査後出血 ( 腎周囲への出血 血尿 ) 2 感染 3 麻酔薬アレルギー 4 静脈血栓

IgA 腎症 (A さん ) の腎生検所見 医師 腎生検の結果は 糸球体のメサンギウムに IgA が沈着しています 蛍光抗体法メサンギウム領域を主体とする顆粒状の IgA の沈着 IgA 腎症診療ガイドライン 2014 腎生検病理アトラス

抗体 私たちの体には IgA IgG IgM IgD IgE といわれる抗体があります 抗体は本来 外敵 ( ウイルスや細菌 ) にくっついて外敵を処理する能力があります IgA 腎症では抗体の糖鎖の異常が報告されている 糖鎖 エビデンスに基づく IgA 腎症診療ガイドライン 2014

IgA 腎症 (A さん ) の腎生検所見 医師 顕微鏡写真で全糸球体のうち 10% の糸球体に半月体があって 20% の糸球体が硬化 ( こうか ) しています 活動性は高いです 正常糸球体 半月体 ( はんげつたい ) 形成 光顕所見メサンギウム増殖性変化が主体であるが 半月体 分節性硬化 全節性硬化など多彩な病変がみられる IgA 腎症診療ガイドライン 2014 腎生検病理アトラス

IgA 腎症 (A さん ) の腎生検所見 メサンギウム増殖基質増加 硬化 IgA 腎症診療ガイドライン 2014 腎生検病理アトラス

A さんの腎生検の結果 医師 腎生検の結果 IgA 腎症と診断しました 半月体や硬化が多く H グレードは 2 になります また蛋白尿も多いので C グレードも 2 になります

IgA 腎症の診断基準 日腎会誌 2011;53(2):123-135

IgA 腎症の診断基準 日腎会誌 2011;53(2):123-135

IgA 腎症の重症度分類 組織学的重症度 (H グレード ) 臨床的重症度 (C グレード ) 糸球体病変の割合 尿蛋白 (g/ 日 ) egfr H グレード 1 0-24.9% C グレード 1 0.5g 未満 - H グレード 2 25-49.9% H グレード 3 50-74.9% C グレード 2 C グレード 3 0.5g 以上 60 以上 60 未満 H グレード 4 75% 以上 糸球体病変としては 半月体 糸球体硬化をカウントする 日腎会誌 2011;53(2):123-135

IgA 腎症の透析導入リスク H グレード 1 H グレード 2 H グレード 3+4 C グレード 1 低リスク中等リスク高リスク C グレード 2 中等リスク中等リスク高リスク C グレード 3 高リスク高リスク超高リスク 低リスク群 : 透析療法に至るリスクが少ないもの中等リスク群 : 透析療法に至るリスクが中程度あるもの高リスク群 : 透析療法に至るリスクが高いもの超高リスク群 :5 年以内に透析療法に至るリスクが高いもの 注 : 低リスク群は 72 例中 1 例 (1.4%) が 18.6 年で透析に 中等リスク群は 115 例中 13 例 (11.3%) が平均 11.5 年で透析に 高リスク群は 49 例中 12 例 (24.5%) が平均 8.9 年で透析に 超高リスク群は 34 例中 22 例 (64.7%) が平均 5.1 年で透析となっている

IgA 腎症の治療指針 RA 系阻害薬 : 腎保護作用のある降圧薬 (ARB ACE 阻害薬 ) ただし妊婦には不可その他の治療 : 口蓋扁桃摘出術 +ステロイドパルス 免疫抑制剤抗血小板薬 n-3 系脂肪酸 エビデンスに基づく IgA 腎症診療ガイドライン 2014

IgA 腎症の治療指針 そのほか高血圧の加療食塩制限脂質異常症の加療糖尿病の加療禁煙蛋白制限などを行います

食塩制限塩分 3g から 6g の制限 生活指導 (CKD 全般 ) 蛋白制限個人の年齢 活動度 腎機能 体格によって指示量が変わります 一般的に CKDステージG1-G2,G3a タンパクが多くならないように CKDステージ (G3a),G3b,(G4) 0.8~1.0 g/kgbw CKDステージG4,G5 0.6~0.8 g/kgbw ただし患者さんの状態によって変わりますので主治医に確認を 禁煙 アルコールは少量ビール 350ml ぐらい

ステロイド プレドニン メドロール リンデロン など ステロイドはもともと体の中の副腎という臓器で産生され 血圧や血糖を維持したり電解質の調節をしており 体にとって必須のホルモンです ステロイドは炎症や免疫を抑える作用があります アレルギーを抑える作用もあります 現在 IgA 腎症をはじめとする糸球体腎炎 ネフローゼ症候群で最も有効とされている薬です

ステロイドの注意事項 1. 症状に応じて 内服量や飲み方が異なります 自分の判断で急にやめないこと 反発的な重い症状がでることがあります 2. 本剤の免疫抑制作用により感染症にかかりやすくなります 感染を予防するため うがいや手洗いを習慣づける 清潔な環境を保つ ストレスをためないなど心掛けてください 3. 他院 ( 歯科を含めて ) を受診するときは 必ずこの薬を内服していることを伝えてください

ステロイドの注意事項 4. ステロイドを長期間服用すると骨がもろくなります 少しでもその危険性を軽減するために以下の注意をお守りください 運動や散歩など日常生活動作の維持に努める 十分なカルシウム摂取を心がける ビタミン D やその他の骨粗鬆症の予防薬が処方されていれば必ず服用する 禁煙を心がける 5. ステロイドを大量にまたは長期間にわたり使用する場合は 白内障を起こすことがあります 眼科での検診をお勧めすることもあります 6. 予防接種を受けられる際には ステロイドを服用していることを医師に伝えてください

ステロイドの副作用 頻度が高いものとして不眠 いらいら感 食欲増進などムーンフェイスといって 顔が丸くなったり 肩やおなかに脂肪がつく状態 これらはステロイド剤を減量することで改善することがほとんどです

ステロイドの副作用 感染症 のどの痛み 発熱 咳や痰 口内炎 発疹 尿の回数が増える糖尿病 副腎皮質機能不全 のどが渇く 水をよく飲む 多尿 だるい 嘔気消化管潰瘍 消化管穿孔 消化管出血 腹痛 吐血 下血 貧血膵炎 腹痛 嘔気など抑うつ 憂鬱 気分が落ち込む骨粗しょう症 大腿および上腕骨などの無菌性骨頭壊死 骨がもろくなる目の症状 ( 緑内障 白内障 網膜脈絡膜症 網膜色素上皮症 ) みえにくい血栓症 手足の痛み はれ しびれ 胸の痛み 突然の息切れ

ステロイド投与スケジュール ステロイドパルス ( 大量のステロイドを点滴で投与する方法 ) には仙台方式とPozzi( ポッツィ ) 方式があります ( 扁桃摘出 ) 3 日間のステロイドパルス ( 点滴 ) を 3 クール 入院 Pozzi 方式 2 か月 2 か月 2 日に 1 回もしくは連日のステロイド内服徐々に減量 10 か月 -2 年程度 ( 扁桃摘出 ) 1 週ごとに 3 日間のステロイドパルス ( 点滴 ) を 3 クール 仙台方式 2 日に 1 回もしくは連日のステロイド内服徐々に減量 1-2 年程度

ステロイド投与スケジュール 高用量ステロイド内服のケースもあります ( 扁桃摘出 ) 入院 2 か月 2 日に 1 回もしくは連日のステロイド内服徐々に減量 10 か月 -2 年程度 現在のところ 特定の投与方法が有用という結果が出ておらず 自施設で行っている投与方法で行うのが現実的です

尿所見の寛解 ステロイドパルス治療による IgA 腎症の寛解率は 30-70% と報告されています 口蓋扁桃摘出術も一緒に行った方がよいかについては様々な報告があり 現在は Dr によって判断が分かれます 血尿の寛解と蛋白尿の寛解の 2 つがあります 血尿の寛解 : 尿潜血 (-)~(±) もしくは尿赤血球 5 以下蛋白尿の寛解 : 尿蛋白 (-)~(±) もしくは 0.3g/gCr 未満 血尿も蛋白尿も寛解するケースを臨床的寛解といいます ただし 完全に治っているわけではありませんので 引き続き外来通院が必要です

尿所見の改善 しかしながら 寛解率の報告からわかるように 半分以上の方は寛解しません ただし 治療開始前よりは尿蛋白や尿潜血が減少しているケースがほとんどで 治療により腎機能の悪化速度を抑えられることができます

免疫抑制剤の使用 ネオーラル エンドキサン ミゾリビン イムラン プログラフ セルセプト などが使用されます 使用例や報告例が少なく 決まった投与方法は確立してませんが ステロイドを早急にへらさないといけないケースや 難治性の蛋白尿 進行性の腎機能障害の時に使用されます 副作用は個々の薬で異なりますが 感染症 高血圧 腎機能障害 多毛 神経障害 肝障害 骨髄抑制 間質性肺炎 消化管潰瘍 出血性膀胱炎 性腺抑制 など様々です

指定難病の臨床調査個人票 (IgA 腎症 ) 腎生検の結果記入が必要です

IgA 腎症診療ガイドライン 2014 医療費助成の対象 < 重症度分類 > 以下のいずれかを満たす場合を対象とする A. CKD 重症度分類ヒートマップが赤の部分の場合 B. 蛋白尿 0.5g/gCre 以上の場合 C. 腎生検施行例の組織学的重症度 (H グレード ) Ⅲ もしくは Ⅳ 症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない場合であるが高額な医療を継続することが必要なものについて医療費助成の対象とする

紫斑病性腎炎 病気について腎臓の病変は IgA 腎症とほぼ同一 糸球体内のメサンギウムに IgA が沈着する 腎外病変として 紫斑などの皮膚症状 腹部症状 関節症状などがみられる

紫斑病性腎炎 治療について血尿のみか蛋白尿が軽度 (0.5g/gCr 未満 ) であれば 経過観察か RA 系阻害薬 抗血小板薬を使用する 蛋白尿が多いケースや腎機能障害を認めるケースは腎生検を行い 活動性に応じて ステロイド 免疫抑制剤を中心とした治療を行う

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群など

腎不全 腎機能の低下に応じて 尿毒素や電解質異常 貧血や骨 カルシウム異常に対して投薬などを行っていきますが さらに腎機能が低下すると透析が必要になります

透析をいつ始めるか? クレアチニン 5 以上に腎機能が低下してきて 尿毒症症状がでたり 水分貯留がみられるときに開始する GFR では 10 未満 クレアチニン 8 前後での導入が多い

腎代替療法 腎移植 血液透析 腹膜透析

2013 年末総数 ;314,438 名 導入 ;38,327 人 死亡 ;30,707 人 2014 年末総数 ;320,448 名 末期腎不全 ; 透析を必要とする患者さんはまだまだ増加している http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html

導入原因の第 1 位は糖尿病 http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html

血液透析と腹膜透析の比較 血液透析 腹膜透析 透析の場所病院 クリニックなど自宅 仕事先など 透析に必要な時間 週 3 回 1 回 4 時間 + 通院時間 毎日 6 時間毎 ( バッグ交換に約 30 分 / 回 ) 透析を操作する人医療スタッフ本人 家族など 透析中の活動拘束される活動できる 通院回数週 3 回月 1-2 回 透析準備シャント造設手術カテーテル留置術 感染対策シャント部カテーテル出口部 腹膜炎 入浴可能カテーテル保護が必要 スポーツ 旅行 可能 可能 ( 長期の場合は透析施設の予約 ) 食事制限必要必要 費用の自己負担なし関連機器購入 可能 ( 腹圧のかかる運動は避ける ) 可能 ( 透析液 器材の携行 )

腎移植は年間 1500 例程度です 夫婦間移植が多いです 日本移植学会 http://www.asas.or.jp/jst/ ファクトブック 2014

本日の内容 1. 腎臓の機能 2. 尿検査 3. 血液検査 4. 慢性腎臓病 5.IgA 腎症 6. 透析療法 7. ネフローゼ症候群など

ネフローゼ症候群 多量の蛋白尿が出現し 体の中の蛋白 ( アルブミン ) が低下する病態 下肢がむくんだり 胸に水 ( 胸水 ) がたまったり おなかに水 ( 腹水 ) がたまったりします 成人の診断基準 1) 蛋白尿 3.5 g/ 日以上 2) 低アルブミン血症血清アルブミン値 3.0 g/dl 以下 小児の診断基準 1) 蛋白尿 2.0 g/gcr 以上 2) 低アルブミン血症 2.5 g/dl 以下

主な 1 次性ネフローゼ症候群 1) 微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) 2) 膜性腎症 (MN) 3) 巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS or FGS) 4) 膜性増殖性糸球体腎炎 (MPGN) 注 :2 次性ネフローゼ症候群 ( 他の疾患によるネフローゼ症候群 ) としてループス腎炎 アミロイドーシス クリオグロブリン 糖尿病性腎症 感染後腎炎 腫瘍による腎障害 薬剤による腎障害などがある

微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) 疫学発生頻度は小児に高い 成人でもネフローゼ症候群の約 30% 程度を占める 症状急速に浮腫が増強する 乏尿 全身倦怠感 腹痛などを伴うこともある 病因原因は不明 治療ステロイド剤によく反応するが 再発しやすい 免疫抑制剤 ( シクロスポリン シクロフォスファミド ) アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) ACE 阻害薬腎機能は悪化しないケースが多い

膜性腎症 (MN) 疫学膜性腎症は加齢とともに増加する傾向にあり 男女比 2 ~3:1 と男性に多い 成人のネフローゼ症候群の約 30% 程度を占める 症状無症候性に下腿の浮腫とタンパク尿で発現 病因特発性が約 70% を占める 続発性としては 感染症 自己免疫疾患 腫瘍 薬剤などが報告されています 治療ステロイド剤 免疫抑制剤 アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) ACE 阻害薬 10 年腎生存率が 65~75% と報告されている

巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS) 疫学発生頻度は小児に高い 成人でネフローゼ症候群の約 5% 程度を占める 症状急速に浮腫が増強するケースと タンパク尿が徐々に増加するケースがある 病因原因は不明 肥満 高血圧に関連することもある 治療 予後ステロイド剤 免疫抑制剤 ( シクロスポリン シクロフォスファミド ) ARB ACE 阻害薬ステロイド抵抗性の FSGS は数年で腎不全となるケースもある

膜性増殖性糸球体腎炎 (MPGN) 疫学ネフローゼ症候群の 10% 程度 発症年齢は若い 病因原因は不明 低補体に関連した免疫異常による免疫複合体腎炎と考えられているが 詳細については不明 症状半数以上はネフローゼ症候群を呈する 治療 予後背景に HBV 感染 HCV 感染などがある場合その治療を優先させる ステロイド剤 抗凝固薬 抗血小板薬 ARB ACE 阻害薬 免疫抑制薬

急速進行性糸球体腎炎 ( 半月体形成性糸球体腎炎 ) 疫学成人発症例が多く 高齢者に多い 病因 ANCA という自己抗体が関与するケースが多い 症状急速に腎機能が低下し 尿潜血 尿蛋白が認められる 腎外病変として 肺胞出血 消化管出血 皮膚の紫斑 上強膜炎 末梢神経障害などを生じる 治療 予後ステロイド 免疫抑制剤 抗凝固療法 血漿交換 透析療法

さいごに 腎臓病では尿検査が診断 経過観察に重要です ステロイドを含む免疫抑制療法は薬の副作用が出現することもあり 定期的な検査や診察が必要です 腎臓病は経過の長い病気です 定期的な外来受診を続けてください

ご清聴ありがとうございました