1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

Similar documents
1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

PowerPoint プレゼンテーション

2部.indd

多様な関係機関を巻き込んだ 包括的な質向上システムの構築が必要 長野県幼児教育振興基本方針 ( 仮称 ) の策定 幼児教育の質向上推進の中心的機能を担うセンターの立ち上げを視野に入れる センターの機能 ( 想定 ) 〇幼児教育関係課 団体 大学等をつなぐ 既存の枠組みを超え 幼児教育に関わる教育 行


<4D F736F F D F81798E9197BF94D48D A95CA8E B8CA782CC8EE691678FF38BB581698B6096B18B4C8DDA92F990B38CE3816A2E646

草津市 ( 幼保一体化 ) 集計表 資料 4 幼児教育と保育の一体的提供のための現況調査 ( 施設アンケート ) 速報 平成 25 年 7 月草津市 1

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

<4D F736F F D E937893FC8A778E8E8CB196E291E8>

幼稚園 保育所ができること 一緒にやりましょう! 幼稚園 保育所は 子ども同士がふれあう以外に 保護者同士が交流できる場でもあります ここでは 各幼稚園 保育所が保護者と連携するとともに 保護者同士のふれあい つながりづくりに向けた取組みを記載しています 1 ( 幼稚園 保育所 ) 幼稚園 保育所と

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

第 3 章 保護者との関わり 子育て支援 に来園する親子の平均組数は 国公立で 14.1 組 私立で 19.2 組だった ( 図 表 3-3-1) では どのようなことを親子は体験しているのだろうか 実施内容について複数回答で聞いたところ 私立幼稚園と国公立幼稚園で違いがみられた (

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

家庭における教育

流山市子ども・子育て会議

Taro-自立活動とは

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

目 次 1. 策定の趣旨 2 2. 基本理念 2 3. 計画の期間及び推進状況の把握 2 4. 計画の対象 2 5. 第 1 次計画 における成果と課題 2 (1) 成果 2 (2) 課題 3 6. 計画の全体構想図 3 7. 推進事業 4 (1) 家庭における読書活動の推進 4 (2) 地域 図書



資料3 文部科学省説明資料

< F2D318BB388E789DB92F682CC8AC7979D F >

愛媛県学力向上5か年計画

研究組織 研究代表者西山哲成 日本体育大学身体動作学研究室 共同研究者野村一路 日本体育大学レクリエーション学研究室 菅伸江 日本体育大学レクリエーション学研究室 佐藤孝之 日本体育大学身体動作学研究室 大石健二 日本体育大学大学院後期博士課程院生

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

補足説明資料_教員資格認定試験

<4D F736F F D20906C8CA08BB388E E646F63>

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターの設置及び「幼児教育アドバイザー」の育成・配置に関する調査研究 実施報告書(2年次)(4)

地域子育て支援拠点事業について

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

新しい幼稚園教育要領について

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

ぐんま幼児教育センターだより№33①

< F2D82A882A882DC82A982C897AC82EA816995BD90AC F944E>

Transcription:

第 2 章幼児教育の現状と課題 3

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ 文部科学省では 平成 18 年 10 月には 幼児教育振興アクションプログラム が策定され 幼児教育に関する総合的な行動計画として 基本的な考え方や目標及び地方公共団体において取り組むことが望まれる具体的な施策が示されました また 平成 18 年 12 月には 教育基本法が改正され 幼児期の教育 ( 第 11 条 ) が新設されました ここで 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることが示されました 次いで 平成 19 年 6 月には学校教育法においても第 1 条で 学校種の規定順で幼稚園を最初に規定し 幼稚園が学校教育の最初の段階として位置づけられました さらに 教育基本法の改正等を踏まえ 子どもたちに 生きる力 をはぐくむことを目指し 小学校学習指導要領が改訂されました このような教育関係法令の改正により 幼児教育が生涯を支えていく 生きる力 の基礎となる重要なものであることが明確になったと言えます そして 平成 21 年から幼児教育の質の向上に向け 教育内容の整合性を図った新しい幼稚園教育要領と保育所保育指針が幼稚園 保育所で実施され 子どもの発達や学びの連続性を踏まえ 幼稚園 保育所から小学校へのなめらかな接続についても重視されています 国の主な政策等 平成 9 年 11 月 時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方 ( 文部省 ) 平成 10 年 12 月 幼稚園教育要領 告示 ( 文部省 ) 平成 11 年 12 月 新エンゼルプラン ( 厚生省 ) 平成 12 年 4 月 尐子化と教育について ( 中央教育審議会 ) 平成 13 年 3 月 幼児教育振興プログラム ( 文部科学省 ) 平成 14 年 4 月 幼稚園設置基準 の改正 ( 文部科学省 ) 6 月 幼稚園教員の資質向上について - 自ら学ぶ幼稚園教員のために ( 幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議報告 ) 平成 16 年 12 月 子ども 子育て応援プラン ( 厚生労働省 ) 平成 17 年 1 月 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について ( 中央教育審議会 ) 平成 18 年 6 月 就学前の子どもに関する教育 保育等の総合的な提供の推進に関する法律 ( 文部科学省 厚生労働省 ) 10 月 幼児教育振興アクションプログラム ( 文部科学省 ) 12 月 教育基本法 の改正 ( 文部科学省 ) 平成 19 年 6 月 学校教育法 の改正 ( 文部科学省 ) 平成 20 年 3 月 小学校学習指導要領 改訂 平成 23 年 4 月実施 幼稚園教育要領 ( 文部科学省 ) 保育所保育指針 ( 厚生労働省 ) の改正 平成 21 年 4 月施行 4

2 三条市の幼児教育の現状 (1) 三条市の年齢別人口三条市の年齢別人口は 出生数の減尐により減尐傾向にあります また 3 歳児 ~5 歳児の合計は 2,549 人となります 2,549 人 口 年 齢 ( 平成 22 年 4 月 1 日現在 ) (2) 三条市の幼稚園 保育所 ( 園 ) 数 3 歳児 ~5 歳児就園 入所児数及び推移 3 歳児 ~5 歳児就園 入所児数 2,500 人と比較すると 無認可保育所 ( 大島児童館入所児数 44 人 ) や 市外への広域入所を考慮すると そのほとんどが何らかの幼児教育を受けていると言えます 1 幼稚園 保育所 ( 園 ) 数と3 歳児 ~5 歳児就園 入所児数 ( 広域入所含む ) ( 平成 22 年 5 月 1 日現在 ) 園数 ( 園 所 ) 就園 入所児数 ( 人 ) 公立幼稚園 1 12( 12) 幼稚園 8 503( 526) 私立幼稚園 7 491( 514) 保育所公立保育所 19 958(1,342) 31 1,997(2,833) ( 園 ) 私立保育園 12 1,039(1,491) 合計 2,500(3,359) 就園 入所児数には市外からの広域入所を含む ( ) 内は 全就園 入所児数 5

2 3 歳児 ~5 歳児幼稚園就園児数 保育所 ( 園 ) 入所児童数の推移 就園 入所児数 各年 5 月 1 日現在 (3) 子どもと保護者の現状 1 子どもの現状幼稚園 保育所 ( 園 ) の年長クラス担任のうちのほとんどが 文字や数の練習 ことばの習得 よりも 落ち着いて話を聞く 友だち関係( 協調性など ) 基本的生活習慣の確立 について 力を入れようと思っています 一方 小学校一年生担任の半数以上が 自分の思いを言葉で表せない 集団で話が聞けない について 小学校で入学時 (4 月 ) に児童の対応で戸惑ったと答えています ア幼稚園で就学までに力を入れようと思っていること ( 複数回答 ) 落ち着いて話を聞く 9 100.0% 友だち関係( 協調性など ) 8 88.9% 基本的生活習慣の確立 7 77.8% 時間を意識した生活 4 44.4% 集団あそび 3 33.3% 文字や数の練習 2 22.2% ことば 1 11.1% ( 幼稚園 8 園の年長クラス担任 9 名に配付し 9 名から回答 ) 6

イ保育所 ( 園 ) で就学までに力を入れようと思っていること ( 複数回答 ) 落ち着いて話を聞く 36 100.0% 友だち関係( 協調性など ) 34 94.4% 基本的生活習慣の確立 34 94.4% 時間を意識した生活 22 61.1% 集団あそび 14 38.9% ことば 11 30.6% 文字や数の練習 8 22.2% ( 保育所 ( 園 )31 園 ( 大島児童館含む ) の年長クラス担任 39 名に配付し 39 名 から回答 ) ウ小学校で入学時 (4 月 ) に児童の対応で戸惑ったこと ( 複数回答 ) 自分の思いを言葉で表せない 21 61.8% 集団で話が聞けない 19 55.9% 落ち着いて授業を受けられない 12 35.3% 友だちとの関係を作られない 6 17.6% 基本的生活習慣が身に付いていない 5 14.7% ( 小学校 24 校の一年生担任 38 名に配付し 38 名から回答 ) (4) 幼稚園 保育所 ( 園 ) と小学校の連携の現状 小学校との交流 ( 児童 先生 間 ) を行った幼稚園 保育所 ( 園 ) が 84.6% であり 残り 15.4% が交流を行っていない状況です 1 幼稚園 保育所 ( 園 ) と小学校との交流の状況 ( 幼 稚園 保育所 ( 園 )39 施設から回答 ) 7

2 保護者の現状 保護者のうちの半数以上が 自分のことは自分でやる 話が聞ける につ いて 就学に際して幼稚園 保育所 ( 園 ) に望むこととして答えています ア保護者が就学に際して 幼稚園に望むこと ( 複数回答 ) 自分のことは自分でやる 63 58.9% 話が聞ける 56 52.3% 集団行動がとれる 47 43.9% 文字や数字の練習 34 31.8% 小学校との交流 26 24.3% その他 5 4.7% 特になし 9 8.4% ( 幼稚園年長クラス保護者 166 名に配付し 107 名から回答 ) イ保護者が就学に際して 保育所 ( 園 ) に望むこと ( 複数回答 ) 自分のことは自分でやる 314 55.1% 話が聞ける 285 50.0% 集団行動がとれる 280 49.1% 文字や数字の練習 209 36.7% 小学校との交流 150 26.3% その他 13 2.3% 特になし 42 7.4% ( 保育所 ( 園 ) 年長クラス保護者 719 名に配付し 570 名から回答 ) 8

ウ子育てに関して不安を感じる割合 就学前の子どもの保護者のうちの 59.6% 近くが 子育てに関して とても不安 に感じる やや不安に感じる と答えています % 三条市次世代育成支援行動計画 ( 後期計画 ) 策定のためのアンケート調査 ( 平成 21 年 2 月実施就学前児童の保護者 1,200 名に配付し 929 名から回答 ) エ子育てについての悩み就学前の子どもの保護者で子育てについての悩みは 子どもの情緒面 が最も多く 48.9% となっています 次いで 言葉や行動など 知的 精神的な発育 が 42% 子どもの食事や栄養 が 30.9% と答えています % 三条市次世代育成支援行動計画 ( 後期計画 ) 策定のためのアンケート調査 ( 平成 21 年 2 月実施就学前児童の保護者 1,200 名に配付し 929 名から回答 ) 9

3 現状の分析と課題 三条市の幼児期の子どもの現状は 三条市の年齢別人口と3 歳児 ~5 歳児就園 入所児数から ほとんど幼稚園 保育所 ( 園 ) に通っており 幼稚園 保育所 ( 園 ) が幼児教育を担っていると言えます その実態については 幼稚園 保育所 ( 園 ) の年長クラス担任のアンケートによれば 幼稚園 保育所 ( 園 ) で就学までに力を入れようと思っていることとして ことば よりも 落ち着いて話を聞く 友だち関係 ( 協調性など ) 基本的生活習慣の確立 を半数以上の人が挙げております また 小学校一年生担任のアンケートによれば 小学校入学時 (4 月 ) に児童の対応で戸惑ったこととして 自分の思いを言葉で表わせない 集団で話が聞けない を挙げている人が多くいますが 基本的生活習慣が身に付いていない とはとらえていません さらに 幼稚園 保育所 ( 園 ) の年長クラス保護者のアンケートによれば 保護者が就学に際して 幼稚園 保育所 ( 園 ) に望むこととして 自分のことは自分でやる 話が聞ける を挙げている人が多くいます これらのアンケートの結果から 小学校以前で望まれる基本的生活習慣については 幼稚園 保育所 ( 園 ) でも力を入れ 保護者からも望まれていることから 小学校では おおよそ身につきつつあるとみることができます しかし 小学校では 自分の思いを言葉で表せない 子どもが多くいる状況があるとみることができます そこで 幼児教育においては これまで力を入れてきたものはさらにしっかり育てていき 幼児期での遊びや生活をより重視することによって 不足していると思われるものを 重点的に育てる視点を持ち 幼児教育内容の一層の充実を図っていく必要があります また 幼稚園 保育所 ( 園 ) と小学校の連携の現状は 幼稚園 保育所 ( 園 ) のアンケートによれば 84.6% が交流を行っていますが 残りの 15.4% が交流を行っていません 今後さらに 遊びを中心とした幼稚園 保育所 ( 園 ) の生活から教科学習が中心となる小学校の生活へのなめらかな接続を図るため 幼稚園 保育所 ( 園 ) と小学校の連携を進め 交流を図り 育ちのつながりを意識した指導が必要となっています また 家庭においては 子育てに不安や悩みを抱えている保護者の割合が高いことから 不安等の軽減を図るため さらに家庭への支援を充実する必要があります これらのことを踏まえると 幼児教育の課題は 次の3つに集約できると考えます 幼児教育内容の一層の充実 幼稚園 保育所 ( 園 ) から小学校へのなめらかな接続 家庭への支援の充実 10