実践 資料編 第 3 部キャリア発達を促す指導 支援の基本的な在り方 ( 第一次案 ) 資料 2 3 WISC-Ⅲ の数値の意味 (1) 全検査 IQ(FIQ) 全般的な知的発達の水準を把握するものです WISC-ⅢのIQは全て偏差 IQで, 平均が100, 標準偏差 が15に設定されています 知能

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Transcription:

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実践 資料編 第 3 部キャリア発達を促す指導 支援の基本的な在り方 ( 第一次案 ) 資料 2 3 WISC-Ⅲ の数値の意味 (1) 全検査 IQ(FIQ) 全般的な知的発達の水準を把握するものです WISC-ⅢのIQは全て偏差 IQで, 平均が100, 標準偏差 が15に設定されています 知能水準の段階としては 表 3 のとおりです 実際の解釈には, 測定標準誤差を考 慮する必要があります また, 言語性 IQ(VIQ) と動作性 IQ(PIQ) の間に著しい差, 下位検査の評価 点 (SS) に著しいばらつきがある場合は, 慎重に解釈します 表 3 知能水準の分類 IQ 分 類 理論上の割合 (%) 130 以上 非常に優れている 2.2 120~129 優れている 6.7 110~119 平均の上 16.1 90~109 平均 50.0 80~89 平均の下 16.1 70~79 境界線 6.7 69 以下 精神遅滞 2.2 (2) 言語性 IQ(VIQ) と動作性 IQ(PIQ) 言語性 IQ(VIQ) は, 主に言語性の能力や聴覚 - 音声処理過程の能力を測定する指標であり, 過去の学習経験を得られた判断力や習慣などの結晶性知能との関係が深いとされています 動作性 IQ(PIQ) は, 動作性能力や視覚 - 運動処理過程の能力を測定する指標で, また, 新しい状況に適応する流動性知能との関係が深いとされています言語性 IQ(VIQ)> 動作性 IQ(PIQ) 言語性優位の可能性 (VC>PO で確定 ) 言語性 IQ(VIQ)< 動作性 IQ(PIQ) 動作性優位の可能性 (VC<PO で確定 ) (3) 群指数 知能のより分析的な解釈を可能にする指標であり, 以下の4つがあります 表 4 4つの群指数と, 各群指数で測定される主な能力 群指数 構成する下位検査 測定される主な能力 言語理解 知 識 言語的な情報や, 自分自身がもつ言語的な知識を状況に合わせて応用できる能 (VC) 類 似 力 単 語 [ 言語意味理解, 言語的知識, 言語的推理, 言語表現 ] 理 解 知覚統合 絵画完成 視覚的な情報を取り込み, 各部分を相互に関連付け全体として意味あるものへ (PO) 絵画配列 まとめ上げる能力 積木模様 [ 視覚的刺激の統合, 非言語的思考, 非言語的推理, 同時処理 ] 組合せ 注意記憶 算 数 注意を持続させて聴覚的な情報を正確に取り込み, 記憶する能力 (FD) 数 唱 [ 注意の範囲, 聴覚的な短期記憶, 聴覚的な系列化, 継時処理, 聴覚的情報の記号化 ] 処理速度 符 号 視覚的な情報を, 事務的に数多く, 正確に処理していく能力 (PS) 記号探し [ 反応の速さ, 視覚的短期記憶, 視覚的情報の記号化 ] 図書紹介 -49-

資料 2 3 WISC-Ⅲ の概要, 検査結果を指導 支援に活用するために <WISC-Ⅲ 知能検査の結果を指導 支援に活用するために > 資料 3 ーー学習面における支援ーー 1 言語理解 (VC) が弱い子どもへの学習面の支援 ことばを理解することが苦手 ことばで表現することが苦手 ことばを使って考えることが苦手 指示の理解が難しい あることばを間違った意味で使うことがある 文法的に不正確な言い方をする 音読はできても内容を理解していないことがある 作文を書く際 内容的に乏しい 文章題を解くのが難しい 時間の概念を表す言葉の理解が難しい 言語指示はやさしいことばで簡潔に, ゆっくり, はっきり伝える 一度で理解できない時には指示を繰り返す 集団指示を理解できない時には個別に言う 絵や図, 文字やモデルを示して伝える 実際の生活や場面と結び付ける 文章の内容を絵で示す 作文を書く際, 写真や資料などを手がかりとして与える 文章題を解く際, キーワード ( 例 : 合わせて のこりは ) に注目させる 文章題の内容を絵や図で示す 2 知覚統合 (PO) が弱い子どもへの学習面の支援 目で見たことを理解することが苦手 動作で表現することが苦手 物事を空間的 総合的に処理することが苦手 聞いた内容を頭の中でまとめることが難しい ( なぞなぞ ) 話している内容がまとまりにくい 文章を要約することが難しい 量を比較することが難しい 形を弁別したり 構成したりすることが難しい 図形の見取り図や展開図を描くことが難しい 表やグラフにまとめることが難しい ことばで説明する ひとつひとつ順を追って説明する 部分から全体へ説明する ( 例 : 段落をおさえてから文章全体へ ) 頭の中で操作させるのではなく, 具体物を用いる 図形の特徴などは, ことばで定義付ける モデルを提示するときには, ことばを添えて説明する 位置や場所などは上下左右, 順序, 方向, 目印などを言語化して確認する ( 例 : 上から 段目, 右から 番目 ) -50-

実践 資料編 第 3 部 キャリア発達を促す指導 支援の基本的な在り方 資料 3 3 注意記憶 (FD) が弱い子どもへの学習面の支援 ことばや数をすぐに覚えることが苦手 数の操作が苦手 注意の集中や持続が困難 聞き間違いがある 聞いたことをすぐに忘れる ちょっとした雑音でも注意がそれやすい 促音や拗音などの特殊音を書き誤る 書けないひらがなやカタカナがある 簡単な計算や暗算ができない 九九が暗唱できない 注意の集中を促してから話しかける 一度で理解できない時には指示を繰り返す 絵や図, 文字やモデルを補助的に用いる 紙を使って計算させる メモを活用する 言語指示や説明は簡潔に行う 集団指示を理解できないときには個別に言う 覚える事柄を意味付けして覚えやすくする 九九を覚えられない場合は, 九九表を使っても良いことにする 4 処理速度 (PS) が弱い子どもへの学習面の支援 目で見たことをすぐに覚えることが苦手 形を正確にとらえることが苦手 物事を素早く処理することが苦手 ( 目と手の協応の力 ) 書くのが遅い 文字を視写することが難しい 書くときの姿勢や 鉛筆等の用具の使い方がぎこちない 音読が遅い 形態的に似た漢字と読み誤る 演算記号 (+,-,, 等 ) の理解が難しい 計算が遅い ことばで説明する 図形の特徴などは, ことばで定義付ける 課題に費やす時間を十分にとる 覚える事柄を, 意味付けして, 覚えやすくする 文章を分かち書きにして示す 使いやすい筆記用具 ( 鉛筆, 消しゴムなど ) を用意する 写すべき見本をなるべく子どもの近いところに置く 視写する量を減らす ( 例 : ワークシートの利用 ) ーー行動面 社会性への支援ーー 1 言語理解 (VC) が弱い子どもへの行動面 社会性への支援 ことばを理解することが苦手 ことばで表現することが苦手 ことばを使って考えることが苦手 認知特性から生じる行動や社会性の困難例 言語的な指示が理解できず集団行動からはずれてしまいやすい 日時や場所, やりとりなどの理解と表現が不正確でトラブルになる 事の流れや感情などをことばで説明できず誤解されやすい 会話に参加することが難しい 集団指示を理解できない時には個別に言う 言語指示はやさしいことばで簡潔に, ゆっくり, はっきり伝える 一度で理解できない時には指示を繰り返す 絵や図, 文字やモデルを示して伝える 約束は紙に書いて確認する 絵や写真などを見ながらマンツーマンで会話の練習をする あいさつや約束の取り決めなど, ロールプレイをとおして練習をする -51-

資料 2 3 WISC-Ⅲ の概要, 検査結果を指導 支援に活用するために 資料 3 2 知覚統合 (PO) が弱い子どもへの行動面 社会性への支援 目で見たことを理解することが苦手 動作で表現することが苦手 物事を空間的 総合的に処理するこが苦手 認知特性から生じる行動や社会性の困難例 場面や状況, 相手の表情を理解できずその場にあった行動ができない 位置や方向, 場所などを間違えてトラブルになる 持ち物の整理や分類がしにくい 社会的なルールが理解しにくい 場面や状況, その時の気持ちなどをわかりやすいことばで伝える ロールプレイを通して対人的な行動について練習する 位置や場所などは上下左右, 順序, 方向, 目印などを言語化して確認する ( 例 : 上から2 段目, 右から3 番目のロッカー ) 持ち物はしまう場所ごとに色分けした目印を付けておく ルールはことばを用いて一つずつ確認する 3 注意記憶 (FD) が弱い子どもへの行動面 社会性への支援 ことばや数をすぐに覚えることが苦手 数の操作が苦手 注意の集中や持続が困難 認知特性から生じる行動や社会性の困難例 友だちの名前が覚えられない 約束を覚えていられずトラブルが生じやすい 相手の話を最後まで集中して聞いていられない 注意の集中を促してから話しかける 言語指示や説明は簡潔に行う 覚える事柄を意味付けして覚えやすくする 絵や図, 文字やモデルを補助的に用いる 覚えておくべき事をメモする習慣を形成する あいさつやよく用いる言い回しなどはロールプレイをとおして練習する 4 処理速度 (PS) が弱い子どもへの行動面 社会性への支援 目で見たことをすぐに覚えることが苦手 形を正確にとらえることが苦手 物事を素早く処理することが苦手 ( 目と手の協応の力 ) 認知特性から生じる行動面 社会性の困難例 必要な物がすぐに見つけられない 授業の準備が間に合わない 授業時間内に課題が終わらない 板書を写し終えることができない 活動のペースがゆっくりで, 同学年集団の遊びについていけない 授業によって必要な準備や用具のチェックリストを作る 使う用途によって持ち物に色分けした目印を付けておく ( 例 : 図工の時間に使う物に赤いシールを貼っておく ) 課題の優先順位を考え, 授業時間内に行う課題を厳選する 学校全体で異年齢集団での活動を積極的に取り入れる -52-

実践 資料編 第 3 部 キャリア発達を促す指導 支援の基本的な在り方 資料 4 <K-ABC 心理 教育アセスメントバッテリーの紹介 > K-ABC 検査器具等 1 K-ABC の下位検査項目と検査の概略 下位検査概略測定される主な固有の能力 継 手の動作 げんこつや手がたななどの一連の動作を見せ, 同じ順序でその動連続刺激の運動による再生 次 作を再現させる 処 数唱 一連の数字を聞かせ, 同じ順序で数字を復唱させる 自動的聴覚 - 音声記憶 理 尺 語の配列 複数の単語を聞かせ, 次ページで一連の絵から, 聞いたとおりの聴覚 - 視覚の統合 認度 順序で絵を指ささせる 聴覚 - 運動記憶 知 魔法の窓 円盤を回転させながら小さな窓から一つの絵を連続的に見せ, そ継次的に提示された視覚刺激の統 処 の絵の名前を言わせる 合 理 顔さがし 一人か二人の顔写真を見せ, 次ページの集合写真の中からその人視覚的探索と走査の方略 過同 を見つけさせる 顔の知覚, 顔の再認 程時 絵の統合 インクブロット絵を見せ, その絵の名前を言わせる 知覚的統合 知覚的推論 尺処 抽象的刺激から具体物への転換 度理 模様の構成 所定の数の三角形を使い, 見本と同じ模様を作らせる 非言語的概念形成 尺 度 視覚類推 条件となる絵や図の関係を見せ, 同様の条件に基づいた絵や図を推理的思考選択肢の中から選ばせる 位置探し 無作為に配置された絵の場所を再生する 空間配置 表現ごい身近にある物の写真を見せ, その名前を言わせる音声による名称の再生 算数 絵を見せながら算数の問題に答えさせる 基本的数概念と計算能力 習得 なぞなぞ 3つのヒントからなるなぞなぞに答えさせる 継次的に提示された聴覚刺激の統 度 合 概念的推論 尺 ことばの読み ひらがな, カタカナ, 漢字を読ませる 文字の呼称 単語の再認 度 文の理解 動作を指示する文を見せ, 表現させる 読解 身振りによるコミュニケーション 2 子どもの主な認知処理様式パターンの解釈と指導の方針 3つの尺度の結果のパターン 解 釈 指導の方針 継次処理尺度 > 同時処理尺度 > 習得度尺度 数や言語に関する知識 能力の獲得に 学習への意欲, 興味, 学習習慣, 教育環 際して, 継次処理能力及び同時処理能力境の整備などの側面からの援助とともに, を十分に応用していない 継次処理型指導方略を取り入れる 同時処理尺度 > 継次処理尺度 > 習得度尺度 数や言語に関する知識 能力の獲得に 学習への意欲, 興味, 学習習慣, 教育環 際して, 継次処理能力及び同時処理能力境の整備などの側面からの援助とともに, を十分に応用していない 同時処理型指導方略を取り入れる 継次処理尺度 > 習得度尺度 > 同時処理尺度 数や言語に関する知識 能力の獲得に 指導では継次処理型指導方略を重視する 際して, 継時処理能力を十分に応用してとともに, 子どもにも継次処理様式が得意 いない であることに気づかせる 同時処理尺度 > 習得度尺度 > 継次処理尺度 数や言語に関する知識 能力の獲得に 指導では同時処理型指導方略を重視する 際して, 同時処理能力を十分に応用してとともに, 子どもにも同時処理様式が得意 いない であることに気づかせる -53-

資料 4 K-ABC 心理 教育アセスメントバッテリーの紹介 3 認知処理様式に基づく指導方略 資料 4 継次処理型指導方略 同時処理型指導方略 段階的な教え方 部分から全体へ 順序性の重視 聴覚的, 言語的手がかり 時間的, 分析的手がかり 全体をふまえた教え方 全体から部分へ 関連性の重視 視覚的, 運動的手がかり 空間的, 統合的 4 指導例の紹介 ( 木工作業の指導 ) (1) 木工作業 ( カセット入れの製作 ) の指導 における指導内容とその主な指導方略 指導内容主として継次的な指導方略主として同時的な指導方略 1 用具の用途を理 用具の用途を一つずつ言語化して, 聴覚的な手が 作業工程ごとに使う用具をまとめて, 絵カードによ解するかりによっておぼえさせるって, 視覚的に理解させる 2 作業の工程を理 各工程を数字で示した工程表を使い, 数字を強調 各工程ごとの作業内容を表す絵を見せて, 視覚的に解するして, 作業工程の順序を理解させる工程の流れを理解させる 3 必要な用具を準備 使用する用具の名前と番号を書いた, 用具カード 絵カードを使って, 作業内容と用具の用途を思い出するの番号に注目させ, 準備させるさせて, 準備させる 4 ー (1) 手順を理解して 手順を示すカードを使用して, 数字の順に作業を 色分けしたシールやカードで, ボール盤の使い方や製作する : 穴あけさせる穴の種類を視覚的に理解させる 4 ー (2) 手順を理解して 手順をカードで示し, 接合を 2 段階に分けて, 組 手順を示す絵カードと, 部品を置く位置を色分けし製作する : 組立て合せ方を理解させるた補助具を使用させる 5 出来映えを点検 数字を書いたシールを接合面に貼らせて, 順番に 接合面を示す印をつけたアクリル板を上から重ねて, する点検させる点検させる (2) 指導内容 1 用具の用途を理解する における具体的な指導例 主として継次的な指導方略 主として同時的な指導方略 1 のこぎりで木を切る けがき針で印をつける という 1 絵カードによって用具の用途を視覚的に理解させるように, 用具の用途を言語化して, 聴覚的な手がかかりに 2 作業工程ごとに使う用具のいくつかをまとめて, どよって覚えさせるのような作業内容のときに使うものか を教える 2 作業工程の流れに沿って, 一つずつ, 用具の用途を覚える 指導の展開 指導の展開 1. 用具を使う 1 けがき針の使い方を教える 教師が演示しながら, 次のような手順で けがき の工程で使用す けがき針の名称と安全な運び方を教え, 実際にけがき針で部品に印 るいくつかの用具を実際に使って作業をさせる をつけてみせる 1 部品に型を重ねて, 型の穴の部分にけがき針で穴をあけるための 2 用途を覚える 用具一覧表 印をつける 右図の用具一覧表を見て, 実際に部品 番号 用 具 使い方 2 鉛筆で型をなぞって, 切断するための線を書く に印をつけた様子を思い出させながら, 1 のこぎり 木を切る 2. 絵カードを見せて, 用具の用途を理解する けがき針で印をつける と音読させる 2 けがき針 印をつける 右図のような絵カードを見ながら, 同様に他の用具についても音読させる 3 ボール盤 穴をあける 実際の作業の中で用具をどのように 3 用具を使う 4 げんのう くぎを打つ 使ったか, 何のために使ったかを思い 実際にけがきをさせながら, けがき針で印をつける というように, じぶんがしていることを何回か言語化させ, 用途を覚えさせる 図書紹介 出させる * 絵カードは作業工程ごとに使う用具のいくつかをまとめて示す * 絵カードは用途を理解させるために使わせるので, 必要のない用具は, 子どもの見えないところに置く -54-