平成 24 年 12 月 文部科学省は 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果 を公表し 知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が 6.5% の割合で存在するとの調査結果を示しました 小 中学校の通常学級に

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3 学びのユニバーサルデザイン化 合理的配慮は 障がいのある生徒の能力を最大限に伸長させるとともに 障がいのない生徒と共に学ぶことができるようにするための必要な支援です また ホームルームや一斉授業において 学びのユニバーサルデザイン化 を図るなど 個別の支援 と 全体への配慮 の両面で支援を考える

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

010国語の観点

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース


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生活単元学習指導案 日時 : 平成 27 年 11 月 17 日 ( 火 ) 授業者 : 谷麻紗美 1. 単元名 校内販売を成功させよう 2. 単元について本学級は平成 27 年度より設置された特別支援学級 ( 知的 ) である 現在 1 年生の男子 3 名が在籍しており 障害の程度はさまざまである

1 対象児童 省略 2 児童の実態 省略 発達障害 情緒障害通級指導教室自立活動学習指導案 コミュニケーションに課題のある児童の指導 平成 30 年 11 月 6 日 ( 火 ) 第 5 校時 3 指導観これまでに通級指導教室では 落ち着いた環境の中で 精神的安定を図り 本来持っている能力を発揮し

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3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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学校評価保護者アンケート集計結果 2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

第 2 部 東京都発達障害教育推進計画の 具体的な展開 第 1 章小 中学校における取組 第 2 章高等学校における取組 第 3 章教員の専門性向上 第 4 章総合支援体制の充実 13

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( 生活単元学習 ) 学習指導案 日時 :2016 年 10 月 14 日 ( 金 ) 場所 : 多目的教室 2 階児童 :5 学年 3 名 6 学年 3 名計 7 名指導者 : 山田由加里介助者 : 遠藤千尋横田真弓 1. 題材名 テレビ局を紹介しよう (STV テレビ局 UHB テレビ局 レスト

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

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小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

2 平成 27 年度に終了した研究課題について 研究成果報告書サマリー集や研究成果 ( 別紙 1 参照 ) の内容は 例えば下記のような場面で用いられ 貴機関や学校等での課題の改善に活用できましたか? 活用の場面研修会やセミナー所管する学校 教職員への情報提供関係機関 ( 医療 保健 福祉 教育 労

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英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

人的環境の整備 教師 友達 分かりやすい説明の手本となるように, 話す速さや声の大きさを意識して簡潔に話したり, 話すポイントを視覚的に示したりする 道案内の手順を知ることや説明原稿の作成に時間が掛かった場合は, 教師間で役割分担しながらアドバイスする グループ内での自分の役割が明確になるように,

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授業の主となる教材は教科書ですが ねらいに即して学習プリント ( ワークシート ) を活用することで 子供たちの学習の効果を高めることができます 学習プリント ( ワークシート ) の作成において 次の 3 つのポイントに留意しましょう ポイント 下関スタンダード 4 ワークシートで学習効果を高めよ

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総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

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(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

Transcription:

すべての子どもの わかる できる を増やすための環境整備 大阪市では 大阪市教育振興基本計画 において そのめざすべき目標像として 全ての子どもたちが学力を身に付けながら健やかに成長し 自立した個人として自己を確立し 他者とともに次代の社会を担うようになること を掲げています 本リーフレットは これらの趣旨を踏まえ 特別支援教育の視点から 全市校園のすべての子どもにとって学びやすく 居心地の良い安心感に包まれた校内環境 教室環境 学習環境づくりを進めるために作成しました 主に大阪市立小学校の取組を紹介します 近年 全国の小学校などを中心に 障がいの有無にかかわらず すべての子どもの わかる できる をめざした 授業のユニバーサルデザイン 化の教育実践が進められています ユニバーサルデザイン とは 年齢や性別 国籍 障がいの有無などの条件によって対象を限定することなく すべての人にとって使いやすく 理解しやすいデザインであること といった考え方です このような考え方を学校教育の中心である授業に活かそうという取組が 授業のユニバーサルデザイン 化です ユニバーサルデザイン 化された授業を実践するためには まず その基盤として 子どもが安心して過ごせ 授業に集中できる環境づくりが必要になります それぞれの学校園で学ぶ子どもにあわせた校園内 教室内の環境づくりを行い 子どもの わかりたい できるようになりたい という願いや意欲を大切にした授業づくりを進めるために ぜひご活用ください 大阪市教育センター 平成 26 年 (2014 年 )3 月

平成 24 年 12 月 文部科学省は 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果 を公表し 知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が 6.5% の割合で存在するとの調査結果を示しました 小 中学校の通常学級には 学習の習熟の程度が違う 人とうまくかかわることが難しいなど 実に多様な教育的ニーズのある子どもが在籍しています 先生には そのような実態を踏まえた学級経営とともに 子どもが自ら学び 主体的に判断し 行動することができるための 確かな学力 の育成が一層求められています 近年 これらの教育的ニーズへの対応として 特別支援教育の知見を活かし すべての子どもが わかる できる をめざす 授業のユニバーサルデザイン 化の必要性が高まっています 特別支援教育の視点から行うこの支援は 特別な支援を必要とする子どもにとっては ないと困る支援 なくてはならない支援 であり また 他の子どもにとっても あると助かる支援 あると便利な支援 となることから すべての子どもに 役立つ支援 と考えられます 授業のユニバーサルデザイン 化は 学校生活の中心となる授業を すべての子どもによりわかりやすく より意欲的に参加できるように改善しようという取組です 誰もが わかる できる 授業を行うには その基盤として 居心地が良く 安心でき 学びやすい環境が必要となります 本リーフレットは 次の5つの観点から校内環境 教室環境 学習環境づくりを紹介します もの 情報 ( 刺激 ) 1 視覚的な刺激 2 聴覚的な刺激 1 整理整頓 2 教材 教具等 座席 学びやすさへの配慮 予定 見通し 自主性 ルール 社会性の育成

された 写真 もの 1 整理整頓 ( 物の位置を決める ) 学級経営の基本の一つとしての 整理整頓 は プリント類や文具などを探す時間を減らし 学習を効率的に進める効果があります 校内 教室内の物を置く場所を決めることが整理整頓の第一歩です そのためには 何を どこに どのように 置けばよいのかを誰が見てもすぐにわかるように 視覚的に伝える工夫 配慮をすることが必要です 靴のかかとをそろえるための工夫掃片づけかたの見本 除用具入れに掲示ケースごとに出席番号を明示して整理! もの 2 教材 教具等 小学校低学年では 読み書きの習得を進めるために ひらがな カタカナ表が一人に一枚用意されている環境 実物投影機やプロジェクターなどの ICT 機器が使える環境

面に! 情報 ( 刺激 ) 1 視覚的な刺激のコントロール 示物は教室の後面や側... 掲示物には 子どもに興味や関心をもってほしい情報を 示し続ける という役割があ ります 黒板の周辺にさまざまな掲示物を貼ることは 学習への集中を妨げる視覚的な刺 激となってしまうこともあります 視覚的な刺激に反応しやすい子どもには 黒板周辺の 掲示物の精選とともに掲示位置の工夫などが有効であると考えられ 刺激の低減は 学び やすい学習環境づくりにとって非常に重要な視点です すっきりとした黒板周辺!掲いつも全員で共有したい 学級目標 を明示する 情報 ( 刺激 ) 2 聴覚的な刺激のコントロール 教室内は 先生の説明や指示 子どもの話し声のほか 学習に伴う作業の音や机 イスが動 く音など いろいろな音があります そのような声や音が多い環境では 他者に聞こえるよう に自然に声のボリュームを上げてしまいます 音が音を呼ぶ と言われる理由です 教室内 ではこうした音が比較的コントロールしやすいのに対し 校内を集団で移動する際の足音や運 動場で流す音楽などは 教室の外から音が入ってくるため 音のコントロールが困難です 大切なことは そのような音への意識を高めてまわりに配慮できるように 学校全体で共通 の理解を持って取り組むことです 自分の発する音や声が 周囲に対してどれくらい影響を及 ぼしているかを自覚できるように 音のない静かな環境で学習する経験を重ねる必要がありま す このような経験は公共の場などでのマナーや礼儀の習得にもつながるものです 状況に適した声の大きさを学べるように 視覚的 に示してわかりやすく! 静かになるのを うちわを活用何度も お話をやめなさい! と注意をするよりも これらを提示した方が 子どもにメッセージが伝わりやすい場合があります

席配置の一例教室両側の机を少に向ける 座席 学びやすさへの配慮 教室には 黒板の文字が見えにくい 先生の話が聞き取りにくい さまざまな刺激に反応しやすいなど 座席を決めるうえで配慮の必要な子どもがいます 特に 人からの 話しかけ などの刺激に反応しやすい子どもの場合は そのような相手が視界に入らないようにしたり 先生の説明や指示が伝わりやすくするなどの工夫 配慮が必要です 次の図のように 話しかけ などの刺激に反応しやすい子どもが 今 何を どのように するかをわかりやすくするために 周囲に 姿勢が良い 上手な聞き方や話し方ができる などの行動の基準になる子ども ( モデル ) を配置することも工夫 配慮の一つです また 廊下側や窓側の机を黒板の中央に少しだけ向けることで 子どもは板書の内容 行動の基準になる子ども ( モデル ) が見えやすくなり 先生からは子どものようすが確認しやすくなります 座配慮が必要な子ども 人からの刺激に反応しやすい 先生の指示を聞き逃しやすいなど 実際に先生が子どもの席に座り 目線を合わせてみることも大切です 板書や資料提示の位置などについて貴重なヒントが得られます 放課後などに一度試してみてください 利き手が異なる子どもが隣り合って座る場合 字を書く時などに肘が当たることもあります 字の書きにくさやトラブルのもとになることもあるので このような状況に気づく視点も大切にしたいものです し斜め協同学習を進める際のグループ分けでは 学習に対する理解度のほか 子どもの人間関係などにも配慮が必要です 座席配置の一例

されている が示の日の時間割と内容 場所中行事そ 予定 見通し 自主性 言葉だけの指示では取り組むことが苦手な子どもや 初めて経験する活動に対して不安やとまどいを感じる子どもに対しては いつ どこで 何を どのように するのかを 見える形 で提示することが有効です このような配慮は 月中行事や週の予定表とともに 一日のスケジュールや授業の流れなども見える形で提示することで 子どもが分かりやすく安心して自主的に行動できます また 予定とあわせて 準備物などの情報も加えるとより有効です 急な予定変更に強い不安やとまどいを感じる子どもには 全体への指示 説明だけでなく 個別的な支援として変更した内容を記したプリントやメモなどを渡すことも効果があります 季節感のある装飾と月ワークシートやドリルなどの課題は やり終える時間が子どもによって違います 早く終わった子どもが時間を有効に使えるように あらかじめ 終わったら何をするのか を伝えておくことが大切です 終わったら カードを黒板に掲示! 3 時間目音楽 体育体育館 ( 体育館シューズ ) 予定の変更を伝える掲示です 繰り返し使用できるように ラミネート加工すると便利です この部分に水性ペンで書きこむ! このようなデジタルタイマーを全教室に設置している学校もあります 活動の残り時間の提示や速さを競う活動などに使用すると 子どもの意欲が高まります

員室に出入りする時の挨拶の ルール 社会性の育成 学校には 集団生活を安全 安心に過ごすためのルールがあります ルールが明確に示され しっかりと守られている学級では 子どもが安心して過ごすことができるとともに 授業をはじめ集団活動をスムーズに進めることができます 子どもが学校生活のさまざまな場面に応じたルールをしっかりと身につけるためには どのような場面で どのようにすれば良いのか といったことを具体的に知らせる必要があります そのためには ルールを明確に示すとともに 望ましい行動をした際には必ずその場でほめることが重要です 聞き方 話し方のルー仕方などを明示した掲示ル職物子どもたちがルールの内容について話し合ったうえで決めると ルールをより意識するようになり 守れることが多くなります

大阪市の学校園では 子どもの学びや育ちを支える環境づくりの取組がたくさん行われていますが このリーフレットでは 大阪市立小学校で取り組まれている実践の一部を紹介しました このような実践を進めるうえで大切なことは まず 先生が子どもの困っている状況に 気づく ことです 子どもの授業の様子や友だちとのかかわり方などから その理由を考えることが 気づく ことにつながっていきます 最初は 紹介した取組をそのまま実践していただくのも良いでしょう 実践を進める中で 先生が子どもの状況に的確に 気づく ことによって どの子にとっても 学びやすい 過ごしやすい 環境整備のあり方が見つかることでしょう このように特別支援教育の視点を 事前的 かつ 積極的 に取り入れた取組を進めることにより 教育的課題に対して 予防的 に対応することができると考えられます ユニバーサルデザイン 化の取組は 学級の子ども全員を対象にした一次的な支援ですので 効果を感じにくい 状況が改善されにくい場合があります そのような場合は 二次的な支援として 個別の対応が必要になります 参考図書 資料 小学校ユニバーサルデザインの授業づくり 学級づくり 花熊曉編著高槻市立五領小学校著東京書籍 通常学級での特別支援教育のスタンダード 東京都日野市公立小中学校全教師 教育委員会 with 小貫悟編東京書籍 特別支援教育研究第 652 号 /12 月号 全日本特別支援教育研究連盟編集東洋館出版社 通常学級の授業ユニバーサルデザイン 全日本特別支援教育研究連盟編佐藤愼二 漆澤恭子責任編集日本文化科学社 通常学級の特別支援今日からできる!40 の提案 佐藤愼二著日本文化科学社 特別支援教育どの子も 安心 できる学級づくり授業づくり 田中博司著学事出版 視覚シンボルで楽々コミュニケーション ドロップレット プロジェクト編エンパワメント研究所 このリーフレットに関するご質問 お問い合わせは 大阪市教育センター教育振興担当特別支援教育推進ルームまでどうぞ! 06-6572-0567 552-0007 大阪市港区弁天 1 丁目 1 番 6 号 校内及び教室内環境のユニバーサルデザイン化のためのリーフレット ( 平成 25 年度 特別支援教育体制整備の推進 事業 )