平成20年度海外研修…オーストラリア・パース

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問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に


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医師等の確保対策に関する行政評価・監視結果報告書 第4-1

私たちの人生 病気やケガのリスクと 経済的影響は? 50 ( 千人 ) 1, 通院入院 ( 歳 )

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リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

特別養護老人ホーム 優雅 社会福祉法人 桜寿会 ( 特別養護老人ホーム優雅 ) 福島県南会津郡南会津町田島字北下原 111 番 TEL: FAX: ( 郡山オフィス ) 福島県郡山市菜根一丁目 22 番 10 号 T

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

訪問審査当日の進行表 審査体制区分 1: 主機能のみ < 訪問 2 日目 > 時間 内容 8:50~9:00 10 分程度休憩を入れる可能性があります 9:00~10:30 薬剤部門 臨床検査部門 画像診断部門 地域医療連携室 相談室 リハビリテーション部門 医療機器管理部門 中央滅菌材料部門 =

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

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地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

第1回 障害者グループホームと医療との連携体制構築のための検討会

一般会計負担の考え方

II 章. 都道府県別 二次医療圏別データ 1. 北海道 宗谷 後志 札幌 留萌 南空知 上川北部 北空知上川中部中空知 富良野 十勝 遠紋 北網 釧路 北渡島檜山 西胆振 東胆振 日高 南檜山 南渡島 32

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第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

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○国民健康保険税について

山梨県地域医療再生計画 ( 峡南医療圏 : 救急 在宅医療に重点化 ) 現状 社保鰍沢病院 (158 床 ) 常勤医 9 名 実施後 社保鰍沢病院 峡南病院 (40 床 ) 3 名 市川三郷町立病院 (100 床 ) 7 名 峡南病院 救急の重点化 県下で最も過疎 高齢化が進行 飯富病院 (87 床

制度 後期高齢者医療制度とは 3 資格 被保険者 4 被保険者証 保険証 5 保険料の算定 6 保険料の納付方法 7 保険料の軽減と納付相談 8 お医者さんにかかるときの自己負担割合 10 療養費 12 接骨院 整骨院 柔道整復 のかかり方 13 訪問看護療養費 移送費 13 高額療養費 14 特定

ポートフォリオ分析レポート 2018/1/12 調査名 患者満足度調査 ( 病院 - 入院 ) KPI 7. 家族や知人に当院を紹介したいと思いますか 対象集団 施設名大阪みなと中央病院 分析対象 入院環境について (1) 人数 77 名男性 37 名女性 30 名 A B C D E F G H

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

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届出上の注意 1 届出前 1 ヶ月の各病棟の勤務計画表 ( 勤務実績 ) 及び 2 つの勤務帯が重複する各勤務帯の申し送りの時間が分かる書類を添付すること 2 7 対 1 特別入院基本料及び 10 対 1 特別入院基本料を算定する場合には 看護職員の採用活動状況等に関する書類を添付すること

高齢者を取り巻く状況 将来人口 本市の総人口は 今後も減少傾向で推移し 平成32年 2020年 には41,191人程度にまで減少し 高齢 者人口については 平成31年 2019年 をピークに減少に転じ 平成32年 2020年 には15,554人程度 になるものと見込まれます 人 第6期 第7期 第8

2018 年 3 月 15 日 株式会社千早ティー スリー 代表取締役谷口仁志 平成 30 年度診療報酬改定における重症度 医療 看護必要度関連の変更について 拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます さて 平成 30 年度診療報酬改定における施設基準等が 3 月 5 日に公開され 重症度

医科診療報酬点数表関係 別添 1 在宅患者支援療養病床初期加算 在宅患者支援病床初期加算 問 1 療養病棟入院基本料の注 6の在宅患者支援療養病床初期加算及び地域包括ケア病棟入院料の注 5の在宅患者支援病床初期加算の算定要件に 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 等の

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地域医療連携部

事業番号 3-1 事業概要説明書 1 事務事業名 ひとり暮らし高齢者の安否確認 関連事業 1 在宅高齢者緊急通報サービス事業 担当部局福祉保健部担当所属長寿福祉課担当班 係 事業開始年度昭和 63 年度根拠法令等 実施方法 直接実施 高齢者福祉サービス担当班 大分市在宅老人コミュニケーションシステム

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書類が整理できない ~ 書類 書類棚の 5S~ 書類が整理できない 岐阜赤十字病院看護部係長会小柳葉子村瀬彩はじめに当院は 平成 25 年度より 業務 KAIZEN 活動 (QC サークル活動 ) を開始し 毎年 20 前後のチームが活動に取り組んでいる 看護部係長会も 当初から 5S 班 を結成し

生活保護医療券 財務経理部医事室 受給者の確認 登録 1 住所 2 氏名 3 生年月日 4 公費番号 国立長寿医療研究センターで生活保護医療を受けた患者様 行政機関からの通知 ( 所在地 ) 愛知県大府市森岡町源吾 35 訂正及び利用停止について 他の法律又はこれに基づく命令の規定に

【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

別表 有料老人ホームの類型及び表示事項 類型介護付有料老人ホーム ( 一般型特定施設入居者生活介護 ) 介護付有料老人ホーム ( 外部サービス利用型特定施設入居者生活介護 ) 住宅型有料老人ホーム ( 注 ) 健康型有料老人ホーム ( 注 ) 類型の説明介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設で

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各論第 3 章介護保険 保健福祉サービスの充実

221 新潟県長岡市 齋藤氏【自治体における組織横断的な連携~精神障害者の地域移行を通して~】

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Ⅰ 通所リハビリテーション業務基準 通所リハビリテーションのリハビリ部門に関わる介護報酬 1. 基本報酬 ( 通所リハビリテーション費 ) 別紙コード表参照 個別リハビリテーションに関して平成 27 年度の介護報酬改定において 個別リハビリテーション実施加算が本体報酬に包括化された趣旨を踏まえ 利用

しぶや高齢者のしおり

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

ンパ浮腫外来業務および乳腺外来業務で全日および半日をそれぞれ週に 2 日に変更する さくら 9 は現状の外来業務として平日の全日に 4 名を助勤しているが これに加え さらに輸血業務として 1 名を助勤し 計 5 名を助勤していきたいと考えている さくら 8 は新たに児童精神科外来業務として全日を週

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第 2 部 医療圏と基準病床数 ( 第 1 章医療圏 ) 第 2 部 医療圏と基準病床数 医療圏とは 地域の医療需要に対応して包括的な医療を提供していくための区域であり 具体的には 医療資源の適正な配置と医療提供体制の体系化を図るための 地域的単位のこ とです 医療圏は 医療法により 初期の診断 治

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評価チームの職種別人数グラフ ( 人 ) 看護 472 医師 事務 介護 リハビリ MSW 106 栄養士 薬剤師 その他 47

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平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討について H29/1/16WG 厚労省提出資料 平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討の方向性 平成 30 年度診療報酬改定に向けて 以下の遠隔医療形態モデルも参考に 委員からご指摘のあった初診に関する取扱いも含め 対面診療に比べて患者に対する医療サービスの

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スライド 1

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リハビリテーションマネジメント加算 計画の進捗状況を定期的に評価し 必要に応じ見直しを実施 ( 初回評価は約 2 週間以内 その後は約 3 月毎に実施 ) 介護支援専門員を通じ その他サービス事業者に 利用者の日常生活の留意点や介護の工夫等の情報を伝達 利用者の興味 関心 身体の状況 家屋の状況 家

クラウド型健康支援サービス「はらすまダイエット」のラインアップに企業の健康保険組合などが行う特定保健指導を日立が代行する「はらすまダイエット/遠隔保健指導」を追加

総合診療

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第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

別紙 常勤医師等の取扱いについて 1. 一日平均患者数の計算における診療日数 (1) 入院患者数ア通常の年は 365 日である イ病院に休止した期間がある場合は その期間を除く (2) 外来患者数ア実外来診療日数 ( 各科別の年間の外来診療日数で除すのではなく 病院の実外来診療日数で除すこと ) イ

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

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高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

第3章 指導・監査等の実施

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平成 27 年 1 月から難病医療費助成制度が変わりました! (H26 年 12 月末までに旧制度の医療費助成を受けている人は 3 年間の経過措置 を受けられます ) 分かり難い場合は協会又は自治体の窓口へお問い合わせください H27 年 1 月からの新制度 1. 難病医療費助成の対象は ALS 重

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

正誤表 正誤箇所 誤 正 医科 - 基本診療料 -35/47 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注の見直し 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学管理等の 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学

麹町 2 級以上 介護職員初任者研修 介護福祉士のいずれかあれば尚可 神田佐久間町 2 級以上 介護職員初任者研修 介護福祉士のいずれかあれば尚可 社会福祉法人新生寿会ありすの杜きのこ南麻布 麹町 2 級以上 介護職員初任者研修 介護福祉士のいずれかあれば尚可

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

別表第 17( 第 21 条関係 ) 種類支給される職員の範囲支給額 1 放射線業務手当 2 病棟指導手当 3 死後処置手当 4 夜間看護等手当 循環器 呼吸器病センター及びがんセンターに所属する職員 ( 放月額 7,000 円射線科医師及び診療放射線技術者を除く ) がエックス線の照射補助作業に従

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300401採用公募・HP原稿

地域における終末期ケアの意向と実態に関する調査研究(Ⅱ)報告書

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平成 24 年度診療報酬説明会リハビリテーション関連 平成 24 年 4 月 21 日 公益社団法人 高知県理学療法士協会 医療部

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

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豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

新間外対応加算 1の施設基準に係る届出書の写し なお 届出予定の場合は 当該施設基準の整備及び当該届出書の提出を行う旨の確約書 ( 任意様式 ) 並びに届出予定の申出書の写し 4 救急医療の推進に必要な診療所の場合は道に提出した救急告示に係る申出書の写し又は当該申出の認定要件に係る人員体制及び機器の

平成19年度 病院立入検査結果について

医療機能分化連携推進事業 1 対象事業者 病床を有する医療機関 2 支援対象 既存病床を回復期病床に転換する際に必要となる施設 設備整備費 設備整備 H27~ 継続対象リハビリを行うための治療機器や訓練機器等の導入経費 物理療法を実施するための 超音波治療器や温浴療法用装置の導入事業例 運動療法を実

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つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

政策課題分析シリーズ14(本文2)

同一建物に居住する利用者の減算 特別地域加算 前年度の 1 月あたりの平均実利用者数の分かる書類 ( 地域に関する状況 ) 1 訪問看護ステーション ( 規模に関する状況 ) 前年度の 1 月あたりの平均延訪問回数の分かる書類 13 訪問看護 2 病院又は診療所 3 定期巡回 随時対応サービス連携

障害厚生年金 厚生年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に 厚生年金保険法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です なお 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害

Microsoft PowerPoint - ④-2【資料2 松田先生】

Transcription:

平成 20 年度海外研修 主催 : 医療実務研究会報告者栄養士 : 吉積玲子薬剤師 : 大月則雄研修日程 : 平成 21 年 2 月 17 日 ~22 日研修国 : オーストラリア ( パース ) 医療実務研究会で初めて企画したオーストラリア パースへの4 泊 6 日の海外研修 (2 月 17 日より22 日 ) に9 名が参加した ( 芳野病院から3 名参加 ) 病院見学が Royal Perth Hospital Fremantle Hospital の2カ所 施設見学が Swan CARE Ventry Park Silver Chain 本部の2か所を訪問した 特に 病院見学では限定された場所と時間制限での見学となったが 日本では立ち入ることができない場所まで見学することができ 非常に有意義な見学となった 今回訪れたパースは オーストラリアで3 分の1を占める西オーストラリア州の州都である 通常日本から観光で行く東部のシドニーやケアンズほど観光地化されていないのも非常に新鮮であった 1 年中気候がよく今回訪れた日も31 から36 の真夏日であったが 日本の蒸し暑さは全くなく日陰に入ると涼しい程である パースではこの数年で移住者が急増し 住宅建設ラッシュで物価が急上昇している パースの街中でアパートメントビルや周辺では一般住居建築中の風景がいたるところで見られ 特に高級住宅地の値段は8 億から8 8 億までと 世界は広く 桁違いのお金持ちがいることを目の当たりにすることとなった オーストラリアと日本の相違日本とオーストラリアの違いは なんと言っても広大な土地の広さだろう 面積は20.34 倍であるが人口は日本の15% 程度である 2008 年調査によると 日本は1km2あたり335 人が住んでいるが オーストラリアは2.5 人である 特に西オーストラリア州になると0.6 人程度と想像がつかないような広大な国である 地平線と道路また パース近郊と言っても九州一円がすっぽり入るくらい広い 西オーストラリア州の端からパースまで緊急事態でもヘリコプターで12 時間以上かかる状況で 急病人が出たから救急車で迎

えに行くというようなことでは 救急救命はできないのが現状である オーストラリアの保健制度は Medicare( 国民皆保険制度 ) が基本となり 1 984 年発足された 全て税収入で医療費を賄い 課税対象所得 1.5% をメディケア税として徴収し 他の一般税収と合算して連邦政府が管理している 日本の社会保険形式とは違うため 一律ではないが1 人当たり30% から40% の税を毎月払っている オーストラリアの病院の60%~70% は公費病院で 連邦政府が州政府に Pinnacles 砂丘 ( 手前 ) と奥の白い砂丘対して財政援助を行い 州政府はそれぞれの公費病院へ援助を行っている 従って 公費病院と州政府はそれぞれに対して説明責任を果たさなければならない 患者にとっては 税方式の援助のもと公費病院にかかれば自己負担金は発生しない仕組みとなっている 公費援助による公的病院の他に勿論民間病院も存在するが 公費での治療が受けられない為非常に高い そのため民間保険に加入して対応することとなる 連邦政府は1993 年以降 DRGによる平均的疾病費用をもとに補助金を算出して支給援助している そのため 入院期間が短縮され 急性期ケア病床数が1,000 人当たり4.1% から2.9% へ減少した しかし 日本ほど高齢化率は急激ではないが 65 歳以上が270 万人で総人口比 13% を占めている高齢者の病院利用が増加し そのことが問題となった そこで 地域の急性期後ケアアクセス プロジェクトを立ち上げ ACAT( 高齢者ケア評価チーム ) と共同で高齢者ケア改革 (ACRT) を行っている ACATとは Aged CARE Assessment Team の略称で 高齢者ケア改革として地域ケア重視政策の一環として活動している メンバーは連邦政府により委託された医師 看護師 SW PT OTなどで構成された医療専門職チームで ケアマネージメント手法による地域高齢者パッケージと長期在宅高齢者ケアプログラムを基本としている 評価の過程は1 初期クライアント評価とニーズの明確化 2ケアプランの立案 3ケアプランの一環としての効果的な照会 4ケアプランの実施 5ケアプランの再検討のサイクルで実施され 日本のケアプランの一連の流れとほぼ一緒である 現在 急性期 回復期 慢性期の切れ目ない医療連携構築が課題となってい Boab Tree るようだ 施設は通常ローケアとハイケアの2 種類に分かれ ローケア施設とは通称ホステルと呼ばれ 日本のケアハウスに相当する 自宅での自立生活困難者であるが看護 介護は不要な高齢者で食事 洗濯 掃除などの家事サービスを受けることかできる また ハイケア施設とは通称ナーシングホームと呼ばれ 日本の特別養護老人ホームに相当する ここでは24 時間体制で看護 介護専門職がケアを提供している

Silver Chain 1905 年 地域社会の健康と福利の責任を共有する事を目的として設立された慈善団体で 地域社会の中で医療やケアサービスの提供を主な事業としている 西オーストラリア州パース首都圏及び20 箇所の首都圏外地区と12ヶ所のへき地を主な活動地区としている 職員数は2,535 名で 他にボランティアを 700 名も抱えている 本部前にて昨年度のサービス実績は160 万回以上のサービスを実施 時間にして130 万時間以上のケア時間を提供し 39, 000 名以上の患者とその家族 友人がサービスを受け 生活に変化が生まれた 過去 6ヶ月に受けたポケットベルの件数は月平均 57,500 回にも上っている Silver Chain には利用する為の 電話 FAX 等での問合せ や サービスの選択 をはじめとする10のステップがあるが これらの取り組みが評価され 世界でも有数な ワールドアワード賞 で第 3 位を受賞している 他の医療機関とも提携して医療サービスも行なっていて 提携先には今回の視察先のRoyal Perth HospitalやSwan Careをはじめオーストラリアの赤十字病院などとも提携して受付と表彰状いる Royal Perth Hospital 西オーストラリア州第一の教育医療機関であるとともに 救急 感染 熱傷 外傷 に対して特長のある病院である この病院では救急部 感染症 熱傷センター 外傷部 薬剤部 集中治療室を見学し いずれも医師に説明 対応してもらった 病院外観 救急部ここは主に胸部 腹部の重症患者でモニター管理が必要な患者を収容するメインエリア 24 時間以内に治る見込みの方の点滴や安静を必要とするオブザベーションエリア 即時対応が必要な患者を収容するラビットアセスメントエリアの三つに分かれている 受付にはトリアージ看護師が配置されていて どのエリアに該当するのかを見極めている 感染症 熱傷センター病床は15 床で見学当日は10 床が使用されていた 職場での事故 バーベキューをしていての爆発事故 アボリジニ ( 原住民 ) が飲酒のうえ焚き火に間違って入るような事故が多いという 完全に個室化しており二重の扉で仕切られ 陰陽圧管理がなされている 日本でも入室できない場所に入ることができたのは驚きであった 重症の熱傷はほとんどがここに集められている 感染症病室内

外傷部センター化され シャワー室もあり 部屋は全てに大きくゆったりと作られている また 感染症 熱傷センター側からも病室に入れるようになっており 一部の部屋は両方で共有し 外部との遮断が諮れるようになっている 双方からの管理が必要な場合も便利がよいということだ 重症者室は10 床でICU 救急部と同様に常に2 対 1 看護である 患者のデータはシステム化されており 通路のいたるところにパソコンが配置され 患者データの閲覧 入力ができるようになっている 薬剤部 5,000 種以上の薬剤を取り扱っている 職員は70 名以上 ここでは入院中の患者の薬剤と退院時処方を取り扱っている 専門資格を持った管理薬剤師の他にテクニシャン アシスタント 事務員がいて他に病棟担当薬剤師は14 名いる 無菌室が3 室あり 40 種類以上の抗がん剤を調合している 抗がん剤の他リウマチ用の薬剤の調合も行なっている 複合外用薬は専用の調剤室がある 薬剤棚 集中治療室手術室は16 室 年間 15,000 例の手術を実施 骨折専用などの部屋もある 麻酔医は44 名で このほかに26 名の研修医がいる 感染症の隔離個室は8 床でRSVや結核の患者を収容 呼吸器が必要なほどの重症な患者を収容している 患者の記録はA3 版の4 倍ほどの大きさのフローチャートに記載されている 1 日分の記録が全て一覧できるように作成されており その中にスタッフが手廊下に配置されたPC 書きで記録をする 患者の記録は 患者情報など一部システム化されているが 薬剤はシステム化されていないので手書きが必要 1 枚で2 日分であり 膨大な記録が残されているが 集中治療室を出るときにサマリーを作成しカルテにはサマリーのみファイリングするシステムになっている フローチャートは集中治療室に保管することになっている アボリジニ ( 原住民 ) は床に寝る習慣からベッドに寝るのを嫌がり 食生活も違うため特別の配慮がなされている また オーダリーといって ベッドの搬送や食事の世話だけをする病院用務員といわれる専門の職員がいる 病院のシステムも特化しているが 職員の業務内容も特化している 1 日分の記録用紙患者が中心だが研修施設である為 専用の部屋も作られているなど 職員が動きやすい動線でシステム化され安全面の配慮等が印象深かった Swan Care Ventry Park SWAN CARE の経営する Ventry Park は一つの集合体として形成され 街の一角として溶け込んでいる その中には通常の住宅と施設が混在し 入居者の状態に応じた場所で生活している 一般住宅には高齢者が賃貸か買い取りで生活している 今回は築 35 年の古い施設と今年 3 月よりオープンする新しい施設の両方を見学することができた SWAN CARE

での個人負担は 各個人の資産で金額が変わるが基本的に年金の 85% を徴収し運営している 入居時はかかりつけ医師に診て貰い 各部屋に医師が往診に来る 必要時以外は 6 週間ごとに健診を実施してい る 薬は 6 週間分処方されるが 薬剤師が 1 週間ごとに調剤して渡している ジャックセンタージャックとは入居者の名前から名付けたもので築 35 年の古い建物ではあるが きれいに整備され それなりの重厚感がある 前述したACATシステムにそって利用者の入居が決定されるのは同様である この施設は日本の特養に該当するハイケア施設で 2 階建てプラス1 階の作りで1 階 49 人 2 階 53 人 プラス1 階 44 人 計 146 人が収容できる 勤務者はワンフロア平均 7 名の看護師とユニットマネジャー ( 監督者 )1 名他に11 名の職員ジャックセンター中庭が配置され 8:1 看護である 各部屋入り口に入居者の写真が貼られ 誰でも判別できるように工夫されている 本人の顔に変化が生じれば撮り直している 庭には池があり鯉が泳ぎ 家族との団らんの場となっている 食堂 浴室 トイレ 図書室等が配備され 日本の施設と変わりはない ギンギア 3 月 16 日オープン予定のこの施設は 社交的な場を持てるように ひきこもらないようにというコンセプトで建築された施設である 窓全体を青くして紫外線対策を施し エレベーターも非常にカラフルな色づかいで年中気候のよさが想像できる どの場所からでも望める中庭が数カ所あり 映画鑑賞もできるセミナールームや食堂 談話室等もいたるところに設置されている 青いガラスと中庭最近オーストラリアでも個室志向が強くなり全室個室づくりとなっている 全体的に木目調作りを意識し 高級家具を配置したためかなり建築コストは高くなっている Fremantle Hospital 第 3 次病院で24 時間の緊急部門による450ベッドを有し 短期ケア教育研究病院で核医学学部があり 潜水 高圧医療が特徴で 精神医療も行っている 今回は栄養部 診療記録部 薬剤部を見学した Fremantle Hospital の広報部に対応していただいたが 日本からの訪問者として栄養部と薬剤部での集合写真を院内の広報誌に掲載するとともに 地域で発行される紙面にも掲載されることになりそうである 栄養部栄養士はフルタイム9 名 事務 1 名で 西オーストラリアでは唯一 救急部にも栄養士を配置している病院である 小児科 一般 特別 手術後 ICU 心臓 リハビリ 腎臓 メンタルをカバーし チームで栄養の評価 啓蒙 広報 治療を行っている 栄養室や各病棟にオーダーパソコンを設置し どこからでも入力できるようにしている 入院患者の食種決定は医師でなく栄養士が行っている点は日本とは大 栄養部と

きく異なる 診療記録部パスカード管理され 一般職員は入室できない 定員は12 名で現在 10 名勤務 午後から2 名帰宅し 夜勤は2 名体制 週末は1 名が勤務している 患者 1 コードで2 年間はここで保存した後 倉庫に2 年間 さらに外部に保存する形で基本は20 年保存としているが 患者カルテは廃棄していない 病棟から戻ったカルテはバーコード管理され MEDISプログラムを使用してコーディングを8 名で奥の別室にて行っている カルテ庫 薬剤部 外来処方箋は 1 日数百枚 薬材料は 1 年間で 2,500 万 AU$ 種類は 2,000 種類以上 薬剤師は 51 名で 12 名 ~13 名が常勤勤務している 最後に今回のオーストラリア パース訪問を通じて 医療に携わる各資格者の専門性が確立していると感じた それぞれの専門職が責任を持って指示や指導を行えるような制度の上で充実した業務を行っていることは日本とは大違いである このことは各資格者の更なる専門性を高めることにつながっているようである また 今の日本の社会保険方式と 税収によるヨーロッパと同様の老後の保障を提供している点でも大きな差がある 税金が高くとも医療 介護で将来の不安が解消されれば 日本でよく話で出てくる箪笥貯金もなくなり 消費拡大につながるような気がする 意見の相違はあろうが 長寿世界一の日本こそ少子高齢化対策として今問題となっている税率をあげて 老後の保障を早急に解決しなければ 若い人も含めすべての日本国民が夢を失ってしまうのではないだろうか 今回オーストラリア入出国に際し 立ち寄ったシンガポール チャンギ空港でよく話題に出てくる新型インフルエンザのことを思い浮かべた 24 時間眠らない世界一大きいハブ空港内を行き交う多数の多民族の人々を見ていると パンデミックが懸念されていることを実感する いずれも日本を出て初めて理解できるものでもある ( 参考資料 ) http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/18715008.pdf 高齢者ケア評価チームを中心としたオーストラリアの高齢者ケアの概観と医療との連携の現状