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1. 留学概要フィンランドのトゥルク応用科学大学の環境 ビジネス学科 (Turku University of Applied sciences,environment and Business) へ,2011 年 9 月 1 日から 9 月 30 日までの 1 か月間にわたって留学した.1 か月間の主な活動内容を表 1 に示す. フィンランドへ到着してから 1 週間は主にオリエンテーションや留学生向けのイベントに参加した. オリエンテーションでは図書館の利用方法や学内のコンピュータの利用方法,Web メールの登録や留学の手続きなどを実施した. 5 日からはフィンランドでの研究の進め方や進行中のプロジェクトなどについて説明を受けた後, プロジェクトマネージャーと留学中の研究内容について話し合い, テーマを決定してから研究を開始した. 留学中の学習としては主に研究を実施することとし, 短期留学であることから授業に参加できる日数が少ないため, 授業の履修などは特に行わなかった. 研究は主に研究室へ行って実施した.14 日には自分と同様のプロジェクトを進行させている学生とミーティングを行い, 情報を交換することでその後のプロジェクトの方向性などについて検討した. また, フィンランドでは複数の学校と企業が共同でプロジェクトを進行させることから, プロジェクトにかかわる他大学の学生とコンタクトを得ることができた. 平日の過ごし方について, 一日の代表的なタイムテーブルを図 1 に示す. 研究を行う時間や場所については特に指定されなかったものの, フィンランドでは一般的な仕事時間が午前 8:30 から午後 4:30 程度であるため, およそこの時間帯は主に研究室で研究活動を実施した. 研究の終了後は市内の美術館や博物館に行くなどして観光を楽しむか, 市場やスーパーマーケットで食材を購入するなどして過ごした. 美術館や博物館は必ず学割が効くため, 市内全域を格安で観光することができた. いずれにおいても, 休日でなくても様々な場所へ出かけることができたことには, 観光名所やスーパーマーケットは徒歩で移動できる範囲にまとまって存在しているため, 移動にはさほど時間がかからなかったという背景がある. 帰宅後はアパートのシェアメイトの 2 人とともに夕食の準備をし, 食事をとった. 就寝前にはシャワーを浴びた後, 英語の勉強をして過ごすことが多かった. 留学中は特に英語によるコミュニケーション能力の必要性を痛感していたためである.

表 1 留学スケジュール 日 曜日 活動内容 1 木 アパートへの入居 2 金 オリエンテーション 3 土 交換留学生向けパーティ 4 日 5 月 研究に関する説明 6 火 研究内容の決定, 交換留学生向け観光案内 7 水 研究の実施 8 木 9 金 10 土 11 日 12 月 研究の実施 13 火 14 水 研究内容に関するミーティング 15 木 16 金 17 土 18 日 19 月 研究の実施 20 火 21 水 22 木 23 金 24 土 25 日 26 月 研究の実施 27 火 28 水 29 木 30 金 研究報告書の提出 24:00 21:00 勉強 入浴等 夕食 睡眠 19:00 観光 買い出し等 起床 朝食 登校 7:00 15:30 研究 昼食 研究 8:30 13:30 12:30 図 1 一日のタイムテーブル

2. 留学先での学習内容留学前の準備から留学中の学習内容まで, 留学に関して学習した内容には様々なものがある. 主なものとしては, 留学先の文化, コミュニケーションツールとしての英語, 留学先での研究に関する学習があり, ここではそれらの詳細について報告する. 2.1 留学前に準備したこと留学前には留学先での研究テーマなどが未定だったこともあり, 専門分野に関する予備知識を得るための学習は実施していなかった. ただし, 日本語や英語で書かれた書籍を利用し, フィンランドの文化や国土, 歴史についての概要を学ぶことで人々の気質や習慣, および生活面での特徴に対して理解を深めることに努めた. また, 英語については日常会話を中心に参考書や CD, 海外ドラマなどを利用してコミュニケーションを円滑にとるための勉強を実施した. 特に, 海外ドラマを利用した勉強ではドラマを鑑賞すること自体も楽しみとなり, 結果としてリスニング力の向上, 日常的によく使う英語表現の習得につながり, 効果的な学習となった. 2.2 学習内容および学習結果留学中の主な学習内容として, 研究を実施した. 研究内容についてプロジェクトマネージャーと話し合った結果, 日本では木材に関する研究をしていることから, フィンランドでも木材に関する研究を実施することとなった. 研究テーマは木材加工のロボット化に関して, すでに実施されてきたことと未来の可能性について調査することであった. このようなテーマに決定した背景としては, トゥルク応用科学大学をはじめとした複数の大学および企業が連携して行うプロジェクトが計画されていたことが挙げられる. このプロジェクトは 2011 年の 10 月から本格的な計画段階に入るものであり, テーマは木材加工ラインのロボット化であった. そのため, プロジェクトに関する事前情報として既往の論文などの調査を任せられたものである. 基本的な作業内容としては, 木材のロボット加工に関する文献の調査があり, 具体的には図書館, 書店, 論文検索サイトについて調査を実施した. いずれにおいても言語は英語あるいはフィンランド語であるため, 英語論文に関しては様々な専門用語を含む論文の熟読と要約, フィンランド語論文に関しては英語への翻訳を主に実施した. 最終的には調査した内容を報告書としてまとめ, 指導教官へ提出することで 1 ヶ月間の学習成果とした. 研究結果報告書の内容としては, 木材の切削形態には主に milling と carving があること, およびそれらの切削メカニズムについて述べ, それぞれの場合において産業用ロボットによる切削制御について記述されている既往の論文から利点や問題点, 制御方法などについて論じた.

3. フィンランドでの日常生活移動手段としては, 路線や本数が充実しているバスの定期券を購入し, それによって登校や買い物に行くことができた. ただし, 留学先のトゥルクは学校や店, 観光名所がまちの中心に集まっており, 宿泊先と学校の距離も歩いて 25 分程度であるため, 買い出しや観光は徒歩によることが多かった. 食生活について, 朝食と夕食は自炊とし, 昼食は学校のカフェテリアで取ることが多かった. 校内のカフェテリアは半バイキング方式となっており, 高額な料理を取らなければ, 量にかかわらず一律 2.55 ユーロであるため, 安く多量の食事をとることができた. 自炊に関しては, 市内の市場やスーパーマーケットで食材を購入し, それらを調理することでまかなった. フィンランドでは食品類の税率が低いため, 食材はかなり安く購入できた. ただし, 野菜は低価格であるものの, 魚や肉類はやや割高であったため, 主に野菜中心の食事となった. 主食はパンやパスタ, ジャガイモとすることが多かったが, 日本食を作るときにはタイ米を炊いて食べることも多かった. フィンランドの環境について特筆すべきこととして, 治安の良いことおよびフィンランド人の英語習熟度の高さが挙げられる. そのため, 盗難の被害にあう危険性は極めて低く, 夜間でも安心して市内を歩き回ることができる. また, 一部の年輩の方々を除けばほとんどすべてのフィンランド人は英語が通じ, また親切であるため, 道や買い物の仕方など, わからないことがあればすぐに訪ねることができる. ほかにも, 市街地であっても緑が多く, 人々が森林や樹木を大切にしていることがうかがえる. 4. フィンランド人学生および海外留学生との交流留学生向けのパーティーや観光案内など, 様々なイベントが催されており, そのいくつかに参加することで他国の留学生と交流することができた. また, 現地で知り合った留学生やフィンランド人学生をアパートに招き, 国の文化やそれぞれの専攻分野, また研究内容などについて会話することができた. いずれにおいても, 他国の留学生は日本に対して興味を抱いており, 日本の文化や技術に関して会話することが多かった. 他国の留学生に紹介した日本の文化としては書道がある. 書道を紹介した理由として, 書道は小学生のころから学び始め, 現在では有段者となり指導者としての資格も有しているため, 文化を伝えられる自信があったためである. 持参した半紙に様々な字を書いてプレゼントすると, 皆一様に喜んでくれたことが特に印象に残っている. このような経験から, 日本の伝統的な文化について学ぶ意義は, 日本国内よりも海外において強く意識することができると感じた. 日本人として誇れる技能を持っていれば, それは海外の人々の興味を引く格好のツールとなり, また自身も生粋の日本人としての誇りを持って海外の人々と触れ合うことができる. これは留学するうえで自身のアイデンティティともなるため, 日本人としての自身の源となる. また, 現地で交流した学生の一部とは Facebook を通じて現在でも連絡を取り合うことが

できる状態にある. フィンランドで知り合ったすべての留学生が Facebook の利用者であっ たことからも, 留学においては Facebook が友好関係を結ぶための重要なツールであったこ とは決して見過ごせるものではない. 5. 留学による成果および感想留学を志願した動機としては, 海外へ行くことによって貴重な経験ができると考えたこと, また自らの価値観や考え方を拡張できる可能性が高いと考えたことが挙げられる. 近年, 日本では留学を志願する学生が少ないという社会背景もあったため, そのような需要に応えられる人材を志したことも動機の一つである. 実際に留学したことによる成果としては, 世界の広さを痛感し, 自らの価値観の拡張 向上につながったこと, 様々な文化に刺激されることで国際的な視点からの日本の立ち位置や日本人としての立場を理解することができたこと, 他国からの留学生の意識や考えに触れることができたことなどが挙げられる. 特に, 言葉による意志の疎通がままならない環境において, 他人とのコミュニケーションを取るために努力した経験から, 日本国内では当たり前のように円滑に言葉によるコミュニケーションをとることができるという事実を再発見し, 言葉が通じる以上, コミュニケーションを阻害する要因はほとんどすでに克服されていることに感銘を受けた. 一方で, 研究を実施した感想としては, 先進的な研究をするためには必ずしも海外へ行く必要性がないと感じたことが挙げられる. これは, 日本の研究設備や専門書が充実しているためであり, また母国語による学習のほうが外国語による学習に比べて高効率であると考えられるためである. しかしながら, 真に先進的な技術は国際的な情報交換の必要性を伴うものであることから, 留学することによって情報交換のしやすい環境をつくることは技術者にとって必須の条件であるとともに, 厳しい環境に身を置くことで技術者としてのみならず人間としても成長できると考えられる. 以上のように, 今回の留学は非常に貴重な経験となった半面,1 か月の留学では得られるものに限界があることも痛感した. 基本的な文化や生活様式に触れることはできたが, 人々の考え方や, 日本人との意識の違いなどはあまり多くを理解できなかったためである. そのため, 今後は次回の留学のチャンスに備え, 英語によるコミュニケーション能力をより一層高めることに努めたい. なぜなら, 留学においてはコミュニケーションを円滑に取れるかどうかで留学の意義が決定されることを痛感したためである. また, 他国の留学生は自分の国以外の国に対する関心が非常に高かったことから, 今後は海外のニュースや文化に対し, 興味を持って向き合いたいと考えている.