長野県上田市の取組み -ヒアリング調査結果-

Similar documents
<4D F736F F F696E74202D208F E7382C982A882AF82E98CF68BA48CF092CA90AD8DF482CC8EE C982C282A282C42E B8CDD8AB7838

コンパクトシティ構想 2つの柱 ( 郊外の開発抑制 + 中心市街地の活性化 ) まちなか住み替え事業 や 家賃補助制度 を行っているが 借りたい人はいるが 貸したい人がいない という状況 コンパクトシティという構想だけでは 民間資本は動かない (= 補助金などのインセンティブが必要 ) 中心市街地活


目次

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

8略都市スライド東北(郡山市)全部 [互換モード]

TRY TRY TRY TRY TRY 5

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

2

Taro-全員協議会【高エネ研南】

<819A819A94928E E738C7689E F E6169>

計画書

阿賀野市の発展と市民福祉の向上を図ることを目的とした 行政運営の指針となる 阿賀野市総合計画 に定める本市の将来像 人 まち 自然が輝く幸福祉都市阿賀野 の実現に向けて また こよなく愛するふる里創造のため 全力を上げ取り組んでいるところでございます 国から地方への事務 権限移譲や三位一体改革が加速

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

長岡市立地適正化計画概要版目次 1. 立地適正化計画制度の概要... 1 (1) 立地適正化計画策定の背景と目的... 1 (2) 立地適正化計画制度... 1 (3) 立地適正化計画の位置付け... 2 (4) 計画の対象区域... 2 (5) 計画期間 長岡市の現状と将来見通し.

1-2 立地適正化計画の役割 立地適正化計画は 都市全体の観点における居住機能や都市機能の立地 公共交通の充実に関する包括的なマスタープランであり 以下のような役割があるとされています 1 都市全体を見渡したマスタープラン 立地適正化計画は, 居住機能や医療 福祉 商業, 公共交通等のさまざまな都市

地域公共交通確保維持改善事業 事業評価 ( 生活交通ネットワーク計画に基づく事業 ) ( 別紙 1) 資料 3 平成 23 年度 平成 24 年 4 月 23 日 協議会 構成員 上田市公共交通活性化協議会 上田市 上田バス 千曲バス 事業名 補助対象事業者等 事業概要 1 事業実施の適切性 2 目

( 様式 -2a 調査概要 ) Ⅰ 調査概要 1 調査名称 : 平成 26 年度神埼市総合都市交通体系調査 2 報告書目次 1. 業務概要 (1) 都市計画道路見直しの必要性 (2) 都市計画道路見直しのスキーム (3) 検討結果の分類 2. 路線の抽出 (1) 都市計画道路の整理 抽出 (2) 検

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

Microsoft Word - さいたま市都市計画道路見直し指針1/3.doc

< 青森市 > 2 バスロケーションシステムの導入 ( 国土交通省総合政策局補助事業 ) 積雪寒冷地特有のバス遅れ情報の提供によりバス待ち環境の改善のため運用 乗車バス停 降車バス停をクリック 検索 をクリック 現在の運行情報と 選択バス停での発車 到着予想時刻を表示 バスの現在地を表示 予定時刻検

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

計画の目的 多様化する生活交通ニーズへの対応 効率的 効果的な生活交通サービスの構築 山陽小野田市では 生活交通バス路線維持 通学児童定期補助 福祉タクシー券の発行等 上記の施策が行われており 生活交通の確保を図っている 行政負担 サービスの地域間格差 交通活性化計画 生活交通の現状と問題点の把握

4. 都市機能誘導区域 4.1 都市機能誘導区域設定の基本的な考え方 (1) 都市機能誘導区域とは医療 福祉 商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域のことです 原則として 居住誘導区域内において設定します これらの都市機能は

<4D F736F F F696E74202D20362E8E9197BF E738DC490B693C1915B964089FC90B38E9197BF>

市町合併という基本的枠組みの変更に対応した 市全域を対象とした計画の見直し 少子高齢化をはじめとする本市を取り巻く社会経済情勢の変化に対応した計画づくり 総合計画や都市計画区域マスタープランなど 上位関連計画との整合 調整の必要性 都市計画マスタープランは 都市計画法第 18 条の 2 に基づいて策

コンパクト プラス ネットワークの形成 1

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

01_表紙

都市再生整備計画の目標及び計画期間 都道府県名 茨城県 市町村名 坂東市 ( 旧猿島町 ) 地区名 猿島地区 面積 800 ha 計画期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 交付期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 目標 地域資源を活用した交流人口の拡大と良好な居住環境を形成するまちづ

4. 基本的な方針太田市が目指す将来像や公共交通が果たすべき役割を踏まえて 以下の4つを計画の基本的な方針とし 太田市にふさわしい公共交通ネットワークの形成を図ります 公共交通の役割取組みの方向性市民の移動手段の確保 おうかがい市バスによる高齢者 障がい者等の通院 買物等の移動手段の確保 学生 生徒

スライド 1

イメージ図 ( 医療施設の場合 ) イメージ図 ( 誘導施設 : 地域医療支援病院の場合 ) 5 届出を要しない軽易な行為などについて都市再生特別措置法第 108 条並びに都市再生特別措置法施行令第 35 条 第 36 条の規定により 以下の行為は届出の対象となりません 軽易な行為その他の行為で政令

大阪府営門真住宅まちづくり基本構想 平成 25 年 6 月 大阪府 門真市

目 次 1 背景 目的 1 2 計画の位置付け 2 (1) 計画の位置付け 2 3 現状の問題と課題 3 (1) 現状の問題 3 (2) 課題 3 4 市街化調整区域における土地利用方針 5 (1) ゾーンにおける土地利用方針 6 (2) 各ゾーンのイメージ 10 5 土地利用現況図 11 6 土地

国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

PowerPoint プレゼンテーション

[ 概要版 ] 倉吉都市計画 マスタープラン素案 鳥取県倉吉市

目 次 1 目指すべき方向の策定に当たって 背景 目的 2 山梨県内の公共交通の現状と課題 本県を取り巻く環境 本県のバス交通の現状等 観光客と利用する交通手段等 3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 背景と課題 基本的な考え方 基本理念 実現する将来像 基本目標 4 広域的な路線 5 地域内路線

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

2 N バスで要件②を満たす系統 1 補助対象地域間幹線バス系統のフィーダー系統 N バスが接続する他市の路線の中において 補助対象地域間幹線系統の指定を受けた 路線は 下記の日進市の路線である 日進市くるりんばす 五色園線 N バスと長久手古戦場駅で接続 上記の路線に接続するN バスの中央循環線

スライド 1

スライド 1

Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

<第1回> 帯広市都市計画審議会 第二次 都市計画マスタープラン検討                   専門部会

構想 とは 都市の郊外化を抑制し 都市機能の中心部への集積の推進と 都市機能の中心部集積に伴う中心市街地活性化を図るものである この構想の中では 基本的な考え方として 自家用自動車に過度に依存することのないコンパクトシティの形成を図る交通体系の確立 が定められている このことからも 公共交通機関を主

<8ED089EF8E91967B90AE94F5918D8D878CF095748BE0955D89BF88CF88F589EF2E786477>

Microsoft Word - 概要版.doc

4. 地区計画の基本的な考え方 1. 市街化を抑制すべき区域 という市街化調整区域の基本理念は 地区計画の策定によってその性格が変わるものではないこと 2. 開発行為を伴う地区計画については いたずらに市街地を拡大しないよう その必要性 周辺の公共施設の整備状況 自然環境 景観や農林業との調和等の観

3 検討プロセス 3-1 県計画案を策定するねらい 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画を着実に実施していくための総合的な交通体系のビジョンを示した 沖縄県総合交通体系基本計画 において 県土の均衡ある発展を支える利便性の高い公共交通ネットワークの構築が位置づけられている 同計画を踏まえ 県では 南北骨

Microsoft Word - 01_計画書180111修正版

< C55F8E738A5889BB92B290AE8BE688E682C982A882AF82E E FB906A2E786477>

総合交通計画 ( 仮称 ) の策定について 背景 人口減少と超高齢化が同時に進行する中 自動車を使えない県民の移動手段を確保しなければ 経済活動の低迷 人口の流出 財政支出の増加などの問題が深刻化し 持続可能なまちづくりが困難になる恐れがある 平成 年度に実施したパーソントリップ調査の結

untitled

スライド 1

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

総合計画及び国土利用計画アンケート調査結果 平成 20 年度 地域別構想 土地利用の方向性について 上位3つ ①無秩序な開発を抑制し 農地等は極力保全する ②主要な沿道等への店舗の立地を進め 利便性を高める ③身近な公園 生活道路 下水道などの生活環境基盤を整備する 住みよい 25.6% 22.9%

1 はじめに

第 1 章基本計画の策定 1 策定の趣旨 総合計画基本構想では 豊かな自然と歴史 文化につつまれ人と人がつながる市民創造都市高岡 をまちの将来像に掲げ 17 のめざすまちの姿を目標として設定しています 第 3 次基本計画は 基本構想で示した市の基本的な取り組みの方向性に基づき 中期的な視点に立って

Copyright 2008 All Rights Reserved 2

ハピタス のコピー.pages

相続支払い対策ポイント

150423HC相続資産圧縮対策のポイント

( 新 ) 藤沢都市計画住宅市街地の開発整備の方針 平成年月 神奈川県 藤沢 住宅 -1


Microsoft Word - H180119コンパクトシティ説明用_仙台市_.doc

スライド 1

区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分


Microsoft PowerPoint - 潟上市地域公共交通網形成計画(最終)

1. 目的 本町の第 3 次総合計画において 本町の将来像である ( みんなが主役 やすらぎと健康福祉のまち ) の実現に寄与すべく 本町の市街化調整区域における地区計画の運用にかかる基本的な方針を示すため 市街化調整区域における地区計画運用指針 ( 以下 運用指針 という ) を策定しました この

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

01 【北海道】

Microsoft Word - 平成27年度報告書.docx

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環


数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

<91E682548FCD5F8AEE967B8D5C917A2E786477>

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

<81798E9197BF FCD817A8CF092CA82DC82BF82C382AD82E88D7393AE8C7689E62E786477>

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

渋川市都市計画マスタープラン意見シート

また, 区域外の道路部分については, 区域内の道路の整備後に, 交通量等の利用状況をみて, 検討していきます 4 常磐自動車道の側道沿いの一方通行の道路について, 一方通行の制限を解除できないのか また, この道路の交通量についても調査を実施した上で, 区域外の道路の整備をしなければならないのではな

区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

一宮市住宅マスタープラン ~ 住み続けたいまち 住んでみたいまち 人々が生き生きと暮らせるまち ~ 概要版 平成 2 5 年 3 月 一宮市

<303195F18D908E9197BF2E786C73>

目次 1 背景 目的 方針の位置づけ 現状の問題と課題 今後の方針

郊外への市街地の拡大により, 鉄道やバス等公共交通のサービスが十分受けられない地域が拡大し, その結果, 車に依存せざるを得ないまちになってきています このため, これからの人口減少時代の到来や急速な少子高齢化の進展などを踏まえ, 新たな郊外開発を抑制し, 公共交通が利用しやすい, まとまりのある市

(Microsoft Word p55\201`61\201E\221\3464\217\315.doc)

総合交通メールマガジンとは 総合交通メールマガジンは 交通基盤整備や地域交通に関する最新の取り組みを幅広く紹介することを目的として 月一回を目処に発行しているメールマガジンであり 主な購読者は都道府県 市町村等の交通施策担当者となっております 当メールマガジンで紹介させていただく記事は 執筆者が任意

スライド 1

Transcription:

青森県青森市の取組み - ヒアリング調査結果の概要 - 都市自治体における地域公共交通のあり方に関する研究会日本都市センター石田雄人 Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 1

ヒアリング調査について 実施日平成 26 年 11 月 7 日 ( 金 ) 調査先青森市都市整備部都市政策課 調査者板谷委員 ( 運輸調査局情報センター主任研究員 ) 事務局 ( 日本都市センター ) <JR 青森駅前の様子 > <JR 青森駅前バスターミナルの様子 > < 青森市役所柳川庁舎の外観 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 2

青森県青森市の概要 1 人口 ( 世帯数 ) 1 296,293 人 (136,612 世帯 ) 面積 2 824.62 平方キロメートル 一般会計 3 歳入 1,349 億 44 百万円歳出 1,329 億 46 百万円 都市制度中核市 ( 平成 18 年 10 月 1 日移行 ) 合併の経緯 ( 平成以降 ) 平成 17 年 4 月 1 日青森市 南津軽郡浪岡町による新設合併 < 青森県における青森市の位置 > 出典 : 青森市 HP 1 青森市 青森市住民基本台帳人口 ( 男女別 ) 及び世帯数 ( 平成 26 年 10 月 1 日 ) 2 国土交通省国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 ( 平成 25 年 10 月 1 日 ) 3 青森県 平成 25 年度青森市一般会計 特別会計歳入歳出決算書 Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 3

青森県青森市の概要 2 都市の特徴 世界有数の豪雪都市 年間の累計降雪量は約 300~1,000cm 除排雪に毎年 20 億程度を要する 都道府県庁所在地で唯一全域が特別豪雪地帯に指定 雪の影響で交通環境が悪化 積雪 除雪により 車線や幅員の減少し渋滞を招く 交通事故の原因になる場合もある < 青森市の最深積雪深 累計降雪量と除排雪経費の推移 > < 青森市内を走る国道 4 号線の様子左 : 春 ~ 秋期右 : 積雪期 > < 除雪により幅員が狭くなった道路 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 4

公共交通の現状 1 市内を運行する公共交通 [ バス ] 市営バス ( 青森市交通局 ;36 路線 ) 市民バス (13 路線 ) JR バス東北 弘南バス [ 鉄道 ] JR 東日本 ( 東北新幹線 津軽海峡線 奥羽本線 津軽線 ) 青い森鉄道 ( 旧 JR 東北本線 ) 路線バスの状況 利用者は減少傾向 昭和 44 年頃をピークに 7 割程度の減少 赤字経営 49 路線中 39 路線が赤字 ( 平成 24 年度時点 ) 一般会計から約 7 億円 / 年の繰り出しても赤字が続く 累積欠損金は約 16 億円 4 4 平成 25 年度決算 < 青森市営バス路線図と赤字路線の様子 > < 青森市営バスの経常収支の推移 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 5

公共交通の現状 2 充実したバス路線網 バス路線による公共交通利用圏域 5 は人口割合で約 96% を占める 鉄道と合わせて 97% 残る 3% は道路が狭隘でバスが運行できない地区がほとんど 鉄道路線網 都市内交通として利便性向上対策が急務 市街化区域内には青森駅と東青森駅 青森駅と東青森駅は 5.8km 離れている 路線バスは積雪期の重要な移動手段 他都市と同様に自家用自動車へ依存する 積雪期になると 通勤 通学におけるバスの交通分担率が高まる 通常期 :8.1% 積雪期 :19.4% 自家用車や徒歩自転車からの転換である 5 公共交通を利用するために 駅やバス停まで歩いていくことができる地域 バス停から半径 500m または 鉄道駅から半径 1Km の距離 < 青森市の公共交通利用可能圏域の様子 > < 青森市の通勤通学時主要交通分担率 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 6

青森市のまちづくり 1 都市計画マスタープラン ( 平成 11 年 6 月策定 ) 20 年後の青森市の将来の都市像として目指すべき方向性を示す 雪に強い 高齢 福祉社会への対応 環境調和型 災害に強い等 基本理念 コンパクトシティの形成 都市構造の基本的考え方 無秩序な市街地の拡大抑制 と 街なかの再生 ( 中心市街地の活性化 ) 3 区分のエリアの特性に応じた土地利用の配置方針インナー 都市整備を重点的に行い 市街地 ( 約 2,000ha) の再構築を進め 集約化するミッド 低層低密度 戸建て住宅主体の居 ( 約 3,000ha) 住エリアとして 良好な居住環境の整備 充実を図るアウター 農地や周辺の自然を保全し 市街 ( 約 6,000ha) 地の拡大を抑制する < 都市構造に関する 3 区分の配置イメージ > 出典 : 青森市 青森市総合都市交通戦略 Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 7

青森市のまちづくり 2 エリア別の交通体系に関する整備方針 自家用自動車に過度に依存することのないコンパクトシティの形成を図る交通体系の確立インナー 徒歩 公共交通による移動を支援するミッド 公共交通による移動を支援するアウター 公共交通と自家用自動車による交通をバランスさせる < 交通体系に関する整備方針図 > 出典 : 青森市 都市計画マスタープラン Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 8

取組みの概要 1 - 計画 体制 - 青森市総合都市交通戦略 ( 平成 21 年 10 月策定 ) 市民の安全で円滑な交通の確保に関する各種整備の促進を目的とする 公共交通体系の基本理念 コンパクトシティを支える公共交通の整備 ~ 人と環境に優しい公共環境の形成 ~ 戦略の概要 市民のみならず来街者にとっても便利なバスとするため 乗りやすい わかりやすい バス交通ネットワークへの再編 都市構造 ( 土地利用 人口分布 ) に対応したバス交通ネットワークの整備 新幹線新青森駅や青い森鉄道駅との連携による公共交通ネットワークの形成 持続可能な路線バス運営 都市政策課 平成 26 年度より交通政策課を併合して再編成 都市政策の一環として交通政策を行うことを目的とする 交通政策と土地利用とを連携させて 一体的に検討していきたい 企業局交通部 市長部局との間で事務系職員の人事異動があり 協議しやすい環境にある Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 9

取組みの概要 2 - バス路線の再構築 - バス路線再編の必要性 国道等の放射軸に沿って分布する都市構造への対応 シームレスで遅延の少ないバスネットワークの構築 多様な利用者ニーズへの対応 都市機能の集積する中心市街地への円滑な移動の確保 路線を 3 区分に分類骨格路線 中心市街地を中心とする東西南北方向の交通軸幹線路線 骨格路線を補完し市街地を広域的にカバーフィーダー路線 少ない需要にも対応できる郊外路線 運行方法の見直し 利用者ニーズに対応 赤字路線は青森市が受け入れし コミュニティバス等へ事業転換 < 青森市バス路線再編のイメージ > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 10

取組みの概要 3 - 市民バスの実施 - 市民バスの概要 市営バスの路線の休廃止を契機に 地域内のフィーダーバスとして平成成 24 年 10 月から 市民バス を実施 運営体制の変更 これまでは 青森市が市営バスの運営補助を行うことで生活交通を維持 これからは 地域が運行計画を策定し 青森市と協働による生活交通の確保 バスの運営委託は青森市が行う 地域住民は利用促進や運行計画の策定を行う 住民懇話会 地域住民と青森市のワークショップを開催し ルートやダイヤ等を検討した アンケート調査や乗降調査を実施し ニーズの分析等を行った 住民懇話会での決定後 6 か月程度の社会実験を経て本格運行に移行 現在も年 1 回開催し 見直しを図る 便数も少ないため なかなか議論にならない < 青森市民バス の運営体制の概要 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 11

取組みの概要 4 - 市民バスの成果 課題 - 利用者数の減少 導入から 2~3 年経過したため検証をしたところ 利用者数が減少した 理由として サービスの低下が考えれる 廃止路線の代替ではなく フィーダー路線になった ( 目的地までの直通運行ではなく 乗継が生じる ) 運行本数の減便 乗継の接続の悪さ ( 乗継への抵抗感 ) など 課題 ハブターミナルの充実強化を図る 青森駅を中心拠点としたい 乗継移動を前提とした路線網への再編 これまで路線網については 大きな変更はなかった 市営バスが路線網の骨格を担う フィーダー部分は市民バスだけでなく デマンドタクシーも検討する 住民懇話会を 当初は住民との協働の場と位置づけていたが 運営していく過程で意見ヒアリングの場に変わった Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 12

取組みの概要 5 - 青い森鉄道 - 青い森鉄道の概要 青森県や周辺市町等の出資による第 3 セクター 東北新幹線の延伸とともに並行在来線となった JR 東北本線 ( 目時 - 青森間 ) を JR 東日本より移管された 上下分離方式の運営 車両の保有 運行 青い森鉄道 鉄道施設及び設備等の保有 青森県 2 つの新駅の開業 鉄道の公共交通利用可能圏域の拡大を目的として 新駅を整備した 通学 通勤の利便性を向上させた 筒井駅の乗降者数 :58,000 人 ( 平成 26 年 4~6 月 ) さらに 青森 - 筒井間に新駅を計画 完成すると 鉄道沿線が全て公共交通利用圏域となり 充実が図れる 新駅開業の費用負担 約 7 億円のうち市が 1/3( 残りは国と青森県 ) < 青い森鉄道の新駅整備状況 > Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 13

その他ヒアリング結果 (1) 路線バスの利用促進における課題について これまでは ほとんど利用促進の工夫をしてこなかった 路線図やマップの整備も充実していない 普段利用する住民にとっては 特に問題にならない 今後は 路線の再編や利用促進のために バスマップ作成など わかりやすい バス路線を目指す バス路線の再編について 利便性が悪くなったことに対する不満が出てこない 路線バスを必要としない 代替手段がある市民が多いのだろう 交通戦略の目的のひとつに 環境配慮からの自動車依存の抑制があるため 路線バスの廃止の影響による自家用車への転換は望ましくない 路線バスの公共交通利用圏域人口 96% を維持したい 市営バスについて 赤字や一般会計の繰入が恒常化しているので 今後の運営をどのようにするか考えなければならない 黒字路線がある間でないと民営化も難しい 市内の鉄道について JR 東日本のころに比べて 青い森鉄道になったことで協力しやすい環境にある Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 14

その他ヒアリング結果 (2) コンパクトシティについて 既存の都市のストックを維持 有効活用していく 都市計画上でコントロールし 都市の拡大を防ぐ 居住地区の縮小 ( シュリンク化 ) は検討していない 人口減少が進んだ後は 居住誘導区域の設定等を検討する必要があるだろう 郊外部には主に農業従事者が住んでおり 移住は難しい 都市整備やまちづくりと関連した交通政策について 立地適正化計画 と調和した 地域公共交通網形成計画 を策定することにしている 組織や人材育成 専門性について 青森市では専門性を活かした配置よりも 幅広く業務を経験できるように定期的に異動するようにしている 青森県は専門性を高めるように特定の部署を巡るような異動 関係部署の職員を集めた まちづくりに関する研究会を検討している 職員間で課題の共有を図りたい 県との関係性について 青森県では 市町村を横断する路線を支援している 青森市には 他市へ運行する市営バスはないので補助金を受けていない Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 15

参考資料 青森市 HP 青森市総合都市交通戦略 https://www.city.aomori.aomori.jp/view.rbz?cd=3104 青森市 HP 市民バス http://www.city.aomori.aomori.jp/view.rbz?cd=16495 青森市提供資料 青森市 HP Copyright 2014 The Authors. Copyright 2014 Japan Center for Cities. All Rights Reserved. 16