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委員会の審議状況の情報提供を行った ( 山崎社長とは6 回 前田昌裕安全推進部担当部長とは2 回接触 ) 山口委員は 事実調査報告書の案 や最終の調査報告書案等のコピーを 正式公表以前にJR 西日本側に提供した 最終調査報告書案の記述内容の一部を再考してほしいとの山崎社長の要請を受け 委員会審議において同社長の意図に沿う発言を行った しかし 宮本委員や他の委員 事務局などの反対意見により 修正されず原案どおりの記述となった 山崎社長からの 調査報告書の記述では同社の担当者ができるだけ特定できないようにしてほしい との依頼について 他の事故の調査報告書を含め 委員会においては日頃から個人の責任追及とならないようその記述に注意しており 実際の調査報告書においても個人の責任を追及するような記述にはなっていなかったことから 山口委員は委員会の場において この点に関して特に発言しなかった 山口委員によれば 当時のJR 西日本は井手正敬氏の影響力が大きく 山崎社長が社内で孤立しているように思った 同社長の安全対策を積極的に指揮している姿を見て 同社の安全対策の推進のために必要不可欠の存在である同社長を助けたいと思い このような行為を行った 意見聴取会の公述人選定の審議の際に 山口委員は永瀬和彦氏について JR 西日本を擁護しすぎているのではないかと述べ 批判的スタンスをとっていた 山崎社長からの依頼に基づく修正発言のほかに 委員会審議の場において JR 西日本及び山崎社長を擁護するような山口委員の発言は確認できていない 以上の事実確認に基づいて 運輸安全委員会は 山口委員の行為について 次のような評価を下している JR 西日本からの求めに応じた情報提供や最終事故調査報告書案への修正意見は 事故調査に対する国民の信頼を失墜させるものであり 許容されるものではなく言語道断である 最終事故調査報告書案の手交等の行為があったが これらによってJR 西日本に提供された情報は 最終的には意見照会等の形で正式にJR 西日本に提供されるものであり また 山崎社長の依頼に基づく発言については採用されなかったこと等から 最終事故調査報告書への影響はなかったものと考えられる 2) 佐藤委員佐藤泰生委員の行為に関して 調査結果について が明らかにしている事実関係は 以下のとおりである 佐藤委員によれば JR 関係者との接触の事実について 記憶にない部分もあるが 大筋で JR 西日本の報告書 のとおりである 当時 審議室兼務の任にあったJR 西日本の鈴木喜也技術部マネジャーは 土屋 55

審議室長から佐藤委員に接触を試みるよう指示された また 望月康孝審議室担当室長より佐藤委員に対して確認すべき事項が記載されたメモを2 回渡され そこに記載されていた内容を確認するため 佐藤委員とコンタクトをとるようになった 佐藤委員は 鈴木氏と東京の台湾料理店で9 回にわたって面談し 事実調査報告書の案 が正式公表される前に そのコピーを提供した 9 回の面談を通じて 佐藤委員から重要な情報提供は行われなかった 佐藤委員によれば 会った目的は 日勤教育が事故の最大の原因であると考え JR 西日本が日勤教育の正当性をどこまで主張するのか また それを正当と考える勢力が会社内でどのくらいあるのかを探ることにあった また 鈴木氏の質問に対しては 教えられないことには回答しないよう留意しつつ返答をした 正式公表以前に JR 西日本に 事実調査報告書の案 のコピーを手渡したことについては マスコミに事前説明をした後なので問題ないと思った 佐藤委員は 委員会で意見聴取会の公述人が選定された際 JR 西日本関係者や同社を擁護するような学識経験者の意見は聴取する必要はないのではないかとの意見を述べるなど 委員会の審議においてJR 西日本に対し厳しい発言を行っていた 以上の事実確認に基づいて 調査結果について は 佐藤委員の行為について 次のように評価している 飲食を伴う場で継続してJR 西日本側と面会し JR 西日本に対して情報提供したことは 問題のある不適切な行為であった 意見聴取会の前に質問への返答や事実調査報告書( 事実調査報告書の案 ) の事前手交はあったが これらによってJR 西日本に提供された情報は 最終的には事実調査報告書として公表される情報であること等から 最終事故調査報告書への影響は考えられない 3) 宮本委員宮本昌幸委員の行為に関して 調査結果について は 以下のとおり事実関係を明らかにしている 宮本委員によれば JR 関係者との接触の事実について 記憶にない部分もあるが 大筋で JR 西日本の報告書 のとおりである 望月担当室長が 平成 19 年 1 月 29 日に 国鉄時代に宮本委員の同期であった B 氏の仲介により 松岡車両部担当部長 ( 当時 ) とともに明星大学の宮本研究室を訪問した その後 望月氏は単独で3 回 宮本委員を訪問した 望月氏は3000 円程度の手土産 ( 菓子 ) を持参し 宮本委員は受け取りを断ったが 望月氏から 学生さんに と言われ それならば ということで受け取っ 56

た 4 回の訪問を通して 宮本委員はただ話を聞くだけであり 望月氏は同委員から情報を入手できなかった 宮本委員は JR 西日本の安全への取り組みについて疑問があったので話を聞いた 情報漏えい等はなかったと確信している としている 宮本委員は 委員会の審議の中で 山崎社長からの依頼に応じた山口委員の発言に対し反対の意見を述べるなど JR 西日本に対して厳しい態度をとっていた 以上の事実確認に基づいて 宮本委員の行為について 調査結果について は 情報漏えい等の事実は認められないが 望月担当室長から手土産を受け取った行為は 誤解を招くおそれのある行為であった としている 4) 楠木委員楠木行雄委員の行為に関して 調査結果について が明らかにしている事実関係は以下のとおりである 楠木委員によれば JR 関係者との接触の事実について 記憶にない部分もあるが 大筋で JR 西日本の報告書 のとおりである 平成 18 年 12 月 27 日 垣内取締役が 年末の挨拶回りの際 学生時代からの友人である楠木委員に声をかけ 2 人で昼食をとった ( 昼食の費用はJR 西日本から支出され その後 楠木委員が返還 ) よもやま話がほとんどであったが 垣内取締役が当時担当していた遺族 被害者への対応問題や JR 西日本として独自に事故原因の調査を行うことの法制度上の問題点なども話題になった 楠木委員によれば 垣内取締役とは大学のサークルが一緒の友人であり 年末の挨拶廻りの際なので個人的な会食だと信じていた 楠木委員は 委員会の審議の中で JR 西日本に対して厳しい態度をとっていた 以上の事実を確認した上で 調査結果について は楠木委員の行為について 情報漏えい等の事実は認められないが JR 西日本の費用負担により昼食をとった行為は 誤解を招くおそれのある行為であった としている (2) JR 西日本からの資料未提出についてすでにⅢで記述したように 福知山事故調査の過程で JR 西日本から事故調に 2 種類の資料が提出されていなかった 一つは 平成 8 年 12 月 25 日付鉄道本部内打合せ資料 (9 枚 ) のうちのATS-P 形とATS-SW 形の機能比較を行った2 枚の付属資料で もう一つは 第 118 回安全対策委員会資料のうちの函館線事故の概要を説明した3 枚の資料である 調査結果について は 以上の2 種類の資料が事故調に提出されていなかったことを確認した上で そのことが調査報告書の内容へ影響したかどうかについて この 57

未提出資料が提出されていたとしても 最終事故調査報告書の内容に変更が必要となることはなかったものと考える とし その理由を以下のとおり挙げている 当時すでに事故調では JR 西日本から入手しなくても 国土交通省鉄道局や JR 貨物から函館線事故に係る資料を入手しており 調査報告書の180 頁にもその内容を記述している JR 西日本が当該事故情報を認知していたという点についても 事故調はJR 西日本から別途提出されていた総合安全対策委員会 ( 平成 9 年 3 月 ) の資料により把握していた 以上のように 調査結果について は 未提出資料による調査報告書の内容への影響はなかったと評価している ただし 函館線事故に関わって 前述のとおり 調査報告書の180 頁において 平成 9 年 3 月に開催された同社の総合安全対策委員会 (2.19.2.1 参照 ) の付属資料にも 他会社における事故 として記載されている と記述されていることから 平成 9 年 3 月よりも早い段階でJR 西日本が函館線事故を把握していたことが明らかであるため 上記記述にある会議に係る記述について訂正を検討することが適当であると考える と指摘している (3) 運輸安全委員会における対応策について 調査結果について は 最後に 不祥事問題が明るみに出て以降の運輸安全委員会の対応策について記述している すなわち 情報漏えいや 委員がJR 西日本側の意向に沿った発言を委員会審議において行ったことなどの問題が発生したことを踏まえて 問題のある行為や誤解を招くおそれのある行為の再発を防止するために 平成 21 年 9 月 24 日に 運輸安全委員会の委員長及び委員の倫理に関する申し合わせ ( 別紙資料 1-Ⅴ-1) 及び 運輸安全委員会の委員等の職務従事の制限に関する申し合わせ ( 別紙資料 1-Ⅴ-2) を決定し その徹底を図ったとされる 前者の 申し合わせ は その就任に国会の同意を必要とする運輸安全委員会の委員長及び委員が 公務に対する国民の信頼を確保することを目的として 職務に係る倫理の保持に資するため に定められたもので 利害関係者との関係における禁止行為などが申し合わされている また 後者は 原因に関係があるおそれのある者 と密接な関係を有する委員長及び委員 ( 専門委員も含む ) の事故調査への従事を制限したものである また JR 西日本が不適切な方法で情報を入手しようとした背景には 事故調査の状況についての情報が不足していたことや JR 西日本が原因関係者として最終の調査報告書案を受け取ってから意見を提出するまでの期間が短かったことがあったと考えられることから 今後 1 事故調査の進捗状況等に関する情報提供の充実 2 原因関係者からの意見聴取に係る期間の見直しなどの改善策を講じていくこととしている 58

3. 調査結果について の評価 検証メンバーは 調査結果について の内容について 以下のとおり評価する まず 調査の対象と範囲として1JR 西日本からの働きかけを受けた事故調委員の行為 ならびに2 事故調への資料の未提出問題の2つが設定されていることは適切である 次に 個別のそれぞれの内容については 以下のように評価する ⅰ) 山口委員の評価山口委員の行為を JR 西日本からの求めに応じた情報提供や最終事故調査報告書案への修正意見は 事故調査に対する国民の信頼を失墜させるものであり 許容されるものではなく言語道断である とした上で 最終事故調査報告書案の手交等の行為があったが これらによってJR 西日本に提供された情報は 最終的には意見照会等の形で正式にJR 西日本に提供されるものであり また 山崎社長の依頼に基づく発言については採用されなかったこと等から 最終事故調査報告書への影響はなかったものと考えられる としているが 基本的に妥当である ⅱ) 佐藤委員の評価 飲食を伴う場で継続してJR 西日本と面会し JR 西日本に対して情報提供したことは 問題のある不適切な行為であった との評価は適切である また 意見聴取会の前に質問への返答や事実調査報告書の事前手交はあったが これらによってJR 西日本に提供された情報は 最終的には事実調査報告書として公表される情報であること等から 最終事故調査報告書への影響は考えられない との評価も 基本的に妥当である ⅲ) 宮本委員の評価宮本委員の行為を 情報漏えい等の事実は認められないが 望月担当室長から手土産を受け取った行為は 誤解を招くおそれのある行為であった とした上で 情報漏えい等の事実は認められない という評価は 基本的に妥当である なお 手土産を受け取った行為を 誤解を招くおそれのある行為 としているが それよりも 福知山線事故の調査活動に従事していた事故調の委員が JR 西日本の社員と非公式に4 回も面談したことはいかにも軽率であり その問題点が指摘されるべきであろう ⅳ) 楠木委員の評価楠木委員の行為についての 情報漏えい等の事実は認められないが JR 西日本の費用負担により昼食をとった行為は 誤解を招くおそれのある行為であった という評価は妥当である なお 検証メンバーは 楠木委員が友人である垣内取締役と会食したことについて 費用負担の点を除けば 何ら問題はなかったと考える 59

ⅴ) 未提出資料の調査報告書への影響の評価 調査結果について は 2つの資料が提出されなかったことをもって 最終事故調査報告書の分析への影響は考えられない としているが これについても基本的に妥当である なお 調査報告書の内容への影響はなかったこととは別に 2 種類の未提出資料について明らかになった資料内容を 調査報告書の事実情報 ( 第 2 章 ) に追加するかどうかは 運輸安全委員会において検討すべきものと考える ⅵ) 運輸安全委員会における対応策の評価 調査結果について によれば 今回のような不祥事の再発を防止するために すでに委員の倫理や職務従事の制限に関する申し合わせが行われるとともに 事故調査の進捗状況等に関する情報提供の充実 や 原因関係者からの意見聴取期間の見直し などの改善策を講じることとされている しかし 今回の不祥事問題によって大きく揺らいだ我が国の事故調査システムに対する社会の信頼を回復し 運輸事故の再発防止に資する事故調査体制を確立していくためには ここに挙げられている改善策の実施だけでは十分とはいえない 本報告書の第 2 部において提案される 事故調査システムの改革のための提言を運輸安全委員会が受け止め 必要な対応を図っていくことが必要と考える 60