第45回日本婦人科病理学会学術集会抄録集

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32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法


第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

EBウイルス関連胃癌の分子生物学的・病理学的検討

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ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

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1)表紙14年v0

柴田, 鈴木, 木村 図 1. 腹部 CT 検査所見 : 骨盤内の右側に境界明瞭 単房性で石灰化を伴う 50mm 大の腫瘤を認めた ( 矢印 ) 図 2. 腹部 MRI 検査所見 a) 骨盤内右側に境界明瞭 単房性 T1 強調像で低信号の 50mm 大の嚢胞性腫瘤を認めた ( 矢印 ) b)t2 強

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日産婦誌61巻4号研修コーナー

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PDF/開催および演題募集のお知らせ

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

子宮・卵巣

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卵巣癌の治療

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スライド 1

図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると,

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

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cover

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

参考資料2 平成19年度被認定者に関する医学的所見等の解析及びばく露状況調査業務報告書 医学的所見等の解析調査編

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モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

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一般内科

43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

304 東京医科大学雑誌第 74 巻第 3 号 1 CT : 大 2 : MRI : TAE CT 大 170 mm17 cm 1 : 1 科 : CT 大 MRI 2 T1 号 号 2 号 T2 号 号 号 号 T2 号 号 1 flow void SFT 科

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本文/開催および演題募集のお知らせ

頭頚部がん1部[ ].indd

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

子宮頚部異型上皮および0-Ia期治療方針

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

乳腺40 各論₂ 化膿性乳腺炎 (suppulative mastitis) 臨床像 授乳の際に乳頭の擦過創や咬傷から細菌が侵入し, 乳房に感染症を生じるものである 乳汁 排出不良によって起こるうっ滞性乳腺炎とは区別する 起炎菌は連鎖球菌や黄色ブドウ球菌である 自発痛, 腫脹, 硬結, 圧痛, 発赤

れない 採取後 95% エタノールによって固定し パパニコロウ染色を実施した 標本は最初に細胞検査士によってスクリーニングされ 病理医によって確定診断された 細胞診標本の再評価は 著者と他 5 名の細胞検査士が行い病理医と評価した 判定はベセスダシステム 2001 に準拠し 上皮内腺癌の感度 scr

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

外来在宅化学療法の実際

子宮頸がんと子宮体がん 卵管 子宮体癌 子宮頸癌 子宮体癌 自覚症状初期は無症状不正性器出血 好発年齢 30~40 代 (20~30 代で急増 ) 閉経後の 50 代以降 卵巣 子宮頸癌 リスクファクター 高リスク型 HPV 感染 肥満 高血圧 糖尿病 未経産婦 エストロゲン製剤の長期使用など 腟

最初に事後指導項目規定をお示し致します これらは 陰性スメアに対して行っております まず 取り扱い項目は要医療 要治療の 2 項目あります 要医療扱いの細胞所見は 一つ目に 炎症を伴う強度細胞異型の見られるもの 二つ目として 萎縮像に炎症を伴った強度細胞異型の認められるもの 三つ目として 核異型の伴

乳癌かな?!と思ったら

!"#$%&'() FNAC) CNB) VAB MMT!

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

筆頭演者の利益相反状態の開示 すべての項目に該当なし

9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であ

4. 膵腫瘤存在診断 A) 確診 1 粋の明らかな異常エコー域 ( 注 ) 2 粋の異常エコー域が以下のいずれかの所見を伴うもの a) 尾側膵管の拡張 b) 膵内または膵領域の胆管の狭窄ないし閉塞 c) 膵の限局性腫大 B) 疑診 1 膵の異常エコー域 2 膵領域の異常エコー域 3 膵の限局性腫大

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本文/開催および演題募集のお知らせ


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5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

医療関係者 Version 2.0 多発性内分泌腫瘍症 2 型と RET 遺伝子 Ⅰ. 臨床病変 エムイーエヌ 多発性内分泌腫瘍症 2 型 (multiple endocrine neoplasia type 2 : MEN2) は甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 副甲状腺機能亢進症を発生する常染色体優性遺

48 表1 主な術前末梢 ll検査値 GPT 311U AFP ALP l8 l IU CA n9 nil 2n9 ml 2U m1 LDII 3361U CA125 Ou lni GOT 211U CEA RBC ALB 3 7g dl Ilb l2 09dl A G 1 42 Ht


性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

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206 年実施卒後教育プログラム ( 日泌総会 ) 領域等タイトル日時単位 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 0 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6

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平成14年度研究報告

『卵巣がん,子宮体がん〈40歳からの女性の医学シリーズ〉』

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背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

089 リンパ脈管筋腫症

Transcription:

第 45 回日本婦人科病理学会学術集会 2016 年 12 月 3 日 ( 土 ) 学術集会長 湘南鎌倉総合病院病理診断部 手島伸一 主題 : 子宮体部病変 会場 : 湘南鎌倉総合病院大会議室他 https://shonankamakura.or.jp 参加費 : 3,000 円 ( 昼弁当 懇親会費含む ) 問い合わせ先 : 湘南鎌倉総合病院病理診断部 247-8533 鎌倉市岡本 1370-1 TEL 0467-46-1717 (9966) e-mail steshima@shonankamakura.or.jp 手島伸一 1

湘南鎌倉総合病院へのアクセス https://shonankamakura.or.jp/access をご覧ください 最寄駅 :JR 東海道線大船駅横浜駅から 15 分品川駅から約 35 分新横浜駅から約 35 分羽田 ( 京急 ) から 48 分 ~60 分 JR 大船駅からは以下の通りです 大船駅西口をご利用ください 大船駅西口からの公共バス タクシー (730 円または 820 円 ) をご利用ください 大船駅から当院までは徒歩 20 分 -22 分です 大船駅と当院を結ぶシャトルバスがありますが 患者様専用ですので ご利用は控えてください 会場案内 当日は 病院業務は通常通り行われています 病院玄関の総合受付で日本婦人科病理 学会学術集会の学会受付をお尋ねください 学会受付 : 別館 3 階講堂前鏡検室 : 別館 1 階第一会議室理事会室 : 別館 1 階第二会議室講演会場 : 別館 3 階講堂 ( 各階への移動はエレベーターが便利です ) 懇親会場 : 別館 2 階 荷物置き場 : 別館 1 階第一会議室あるいは第二会議室 2

ご案内 検討症例が 14 例と多数集まりましたので 受付開始 鏡検開始の時刻を早めて 9:00am に開始します 同様に 鎌倉古都短時間めぐり ランチョンセミナー 症例検討 の時間を若干早めました 検討症例 14 例用の顕微鏡は 14 台用意しました 鎌倉古都短時間めぐり ( 当院マイクロバス利用のツアー ) に多少の空きがありますので 追加募集いたします 行き返りのバス内で 当病理 武田宏太郎先生 ( 鎌倉検定士 国連英検 A 級 ) の興味深いガイドがあります 参加費は無料です ( 別に大仏入場料 200 円かかります ) 弁当は当方で用意します 10 時 40 分の時間厳守で出発しますのでツアー参加者は 10 分前には鏡検室にお集まりください 渋滞がなければ 鶴岡八幡宮などにも廻る予定です ツアー参加者は出発前に午後の講演会場の席を確保します 参加費 (3,000 円 ) には 昼食 ( 弁当 ) と懇親会費が含まれます 懇親会場は当院 2 階で 行い 1 時間以内の予定です ぜひご参加ください 大船駅西口からは公共バス タクシー (730 円または 820 円 ) をご利用ください 大船駅か ら当院までは徒歩 20 分 ~22 分です 午前の外来が混雑しています 病院の総合受付で学会の受付会場をお尋ねください 受付と講演会場 休憩会場は別館 3 階 鏡検室と理事会室は別館 1 階 懇親会場は 別館 2 階です 講演の順が不揃いですが 鎌倉古都短時間めぐり が渋滞に巻き込まれた場合を考慮し ているためです 講堂では原則として飲食が禁止されていますが ランチョンセミナーで配付する弁当と飲 み物は許可されました 配付以外のコーヒー お茶などの講堂への持ち込みはご遠慮くだ さい ( 講堂以外での飲食はご自由です ) 皆様のご参加をお待ち申し上げます 3

プログラム : 9:00~ 受付開始 9:00~13:00 鏡検 (11:00-11:50 理事会会議室 2 鏡検室の隣 ) オプション 1: 10:40~12:52 鎌倉古都短時間めぐり オプション 2: 11:50~12:40 ランチョンセミナー 12:40~13:20 症例検討 1 座長 ( 長坂徹郎 ) その他 ( 卵巣 )1 卵巣奇形腫由来の腹膜偽粘液腫と考えられる 1 例 工藤まどか ( 湘南鎌倉総合病院病理診断部 ) その他 ( 卵巣 )2 セルトリ間質腫瘍に類似した類内膜腺癌の 1 例 児玉寛子 ( 順天堂大学練馬病院病理診断科 ) 主題 ( 体部 )1 稀な子宮体癌の一例藤林真理子 ( 東京女子医科大学東医療センター病理診断科 ) ( 鎌倉古都短時間めぐり参加者が症例検討に参列する際には討議を数分中断します ) 13:20~13:56 症例検討 2 座長 ( 佐藤勇一郎 ) その他 ( 卵巣 )3 子宮内膜症性嚢胞に子宮内膜異型増殖症様所見を認めた一例中嶋礼子 ( 順天堂大学附属練馬病院病理診断科 ) 主題 ( 体部 )2 子宮体部腫瘍名方保夫 ( 愛仁会千船病院病理診断科 ) 主題 ( 体部 )3 子宮内膜粘液性癌の 1 例久保田奈緒 ( 久留米大学病理学講座 ) 13:56~14:56 主題に関する特別講演 : 座長 ( 三上芳喜 ) 診断とフォローに難渋する子宮体部腫瘍( 当院例を中心に ) 古屋充子 ( 横浜市立大学病理学教室 ) 4

事務連絡 :14:56~15:06 総会 :15:06~15:20 休憩 :15:20~15:40 15:40~16:28 症例検討 3 座長 ( 名方保夫 ) その他 ( 卵巣 )4 67 歳女性の多嚢胞性卵巣腫瘍和田幸子 ( 新百合ヶ丘総合病院病理診断科 ) その他 ( 卵巣 )5 卵巣多嚢胞性病変の 1 例野坂加苗 ( 鳥取大学医学部付属病院病理診断科 病理部 ) 主題 ( 体部 )4 子宮体下部に発生した類内膜腺癌の 1 例佐藤勇一郎 ( 宮崎大学医学部附属病院病理診断科 病理部 ) 主題 ( 体部 )5 子宮体部に発生した扁平上皮化生の著明なポリープ状腫瘤の一例矢野光剛 ( 埼玉医科大学国際医療センター病理診断科 ) 16:28~17:16 座長 ( 笹島ゆう子 ) 主題 ( 体部 )6 腹水細胞診に悪性細胞が認められた異型内膜腺筋腫 (APAM) の一例棟方哲 ( 地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター病理診断科 ) 主題 ( 体部 )7 Diffuse uterine adenomatoid tumor の 1 例前田大地 ( 秋田大学大学院医学系研究科器官病態学講座 ) 主題 ( 体部 )8 原発巣の術前診断に苦慮した低悪性度子宮内膜間質肉腫 (LGESS) の一例塚田貴史 ( 国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科 ) 主題 ( 体部 )9 乳癌既往歴のある子宮体部悪性腫瘍の 1 例山田隆司 ( 大阪医科大学病理学教室 ) 17:16 閉会 17:20~18:10 懇親会 オプション 1: 古都鎌倉短時間めぐり ( 当院マイクロバス利用 : 参加費無料 弁当あり ) 10:40~12:56: 病院発 (10:40) ~ 鎌倉大仏 ~ロベルトコッホ来日記念碑 ~ 江の島海岸ドライブ~ 病院着 (12:56) オプション 2: ランチョンセミナー ; 大沼一也 ( 湘南鎌倉総合病院産婦人科 ) 11:50~12:40: 子宮内膜漿液性腺癌 It s not so easy to make the diagnosis. 5

ランチョンセミナー 子宮内膜漿液性腺癌 It s not so easy to make the diagnosis. 大沼一也 ( 湘南鎌倉総合病院産婦人科 ) 子宮内膜漿液性腺癌 ( 以下 SC) は aggressive な腫瘍であり 卵巣漿液性腺癌に類似した特徴的組織形態を呈し 容易に診断できるという Hendrickson らの報告以降 我々の経験と知識の蓄積とともに 実際は SC がかなり形態的多様性を示すことがわかってきた 特に SC の中には主に glandular structure を示し さらには典型的な高度核異型を示さず 一方 endometrioid carcinoma ( 以下 EC) の中には papillary pattern を呈し 時に高度核異型を示す症例など SC と EC( 特に FIGO1-2) との鑑別を要する悩ましい症例に直面し 形態診断の限界を経験する Soslow らは SC とECの特徴が overlap するような例があり endometial carcinoma with ambiguous morphology という概念で 形態診断の限界を述べている p53 はその鑑別に有用なマーカーであるが 単一マーカーとしての限界は否めない SC の形態学的多様性 形態診断の限界 EC との鑑別における免疫染色の活用を中心に演者らの検討 経験を踏まえて議論したい また 子宮内膜生検組織という限られた検体における SC の診断について 実際例を提示して discussion できればと思う 経験豊富な皆様からご意見をいただければ幸いである 6

主題に関する特別講演 診断とフォローに難渋する子宮体部腫瘍 ( 当院例を中心に ) 横浜市立大学医学部分子病理 古屋充子 2014 年に刊行された WHO 分類第 4 版の婦人科腫瘍分類は今日の日常診療に浸透しつつあり, 腫瘍取扱い規約も順次改訂されているが, その後も婦人科腫瘍概念の見直しにつながるようなランドマーク的研究が続々と発表されている. 今回は子宮体部 ( 上皮 間葉 ) 腫瘍の中で, 比較的頻度の低い疾患や希少腫瘍を取り上げる. 上皮腫瘍として漿液性子宮内膜上皮内癌 (SEIC: serous endometrial intraepithelial carcinoma) を, 間葉系腫瘍として子宮内膜間質腫瘍 (EST: endometrial stromal tumor), 性索間質様成分を有する子宮腫瘍 (UTROSCT: uterine tumor resembling ovarian sex cord tumor), 血管周囲性類上皮細胞腫 (PEComa: perivascular epithelioid cell tumor) を, WHO 分類に照らして概説する予定である. SEIC は WHO 分類改訂に伴い漿液性癌や明細胞癌と同等の位置づけになった. 間葉系腫瘍では形態や免疫染色性に加えて, 融合遺伝子の同定が補助診断として広く用いられるようになり, 各疾患の分子学的特徴が解かりやすくなった. 組織型確定後の治療においては, 希少疾患ゆえに定まった診療ガイドラインが存在せず, 特に転移再発例では難渋する. 演者がこの数年, 神奈川県内の医療機関で経験した症例を提示しながら, 診療に苦慮した点や未解決の疑問点を独自目線で検討し, 参加者の皆様からも忌憚ないご意見を仰ぎたい. 7

その他 ( 卵巣 )1 卵巣奇形腫由来の腹膜偽粘液腫と考えられる一例 工藤まどか 1) 武田宏太郎 1) 手島伸一 1) 中野雅行 2) 鈴木美奈子 3,4) 1. 湘南鎌倉総合病院病理診断部 2. 湘南藤沢徳洲会病院病理診断部 3. 湘南藤沢徳洲会病院放射線科 4. 藤沢市民病院放射線科 症例 : 40 代 女性 ( 湘南藤沢徳洲会病院症例 ) G4P2 ( 経腟分娩 2 自然流産 1 人工中絶 1) 主訴は腹痛 腹部膨満感 既往歴 家族歴に特記すべきことなし 現病歴は腹痛 腹部膨満感を主訴に当院内科受診し 腹部超音波検査で卵巣嚢胞性腫瘍を指摘され 婦人科対診 腹水細胞診の所見 (Class 1) から悪性の可能性は低いと考え 腹腔鏡補助下右卵巣摘出術を施行した 腹腔内に粘液性の多量の腹水がみられ 腹膜偽粘液腫の印象であった 右卵巣腫瘍は奇形腫様 腹腔内洗浄し 明らかな粘液 腫瘍遺残なし 20 日後に腹式単純子宮全摘術 + 左付属器摘出術 + 大網切除術 + 骨盤リンパ節郭清術 + 虫垂切除術を施行 病理 : 右卵巣腫瘍は約 5x4cm の奇形腫である 各構成成分に異型をみない 腹膜偽粘液腫は 950g 上部 下部消化管 虫垂に明らかな腫瘍性病変を認めないこと 奇形腫に腸管上皮を認めること 腫瘍細胞が免疫組織化学的に腸型上皮に類する染色パターンを呈することから 卵巣成熟奇形腫から発生した腹膜偽粘液腫と考えられた 問題点 : 1 成熟奇形腫由来の腹膜偽粘液腫でよいか 2 腹膜偽粘液腫の良悪性について 8

その他 ( 卵巣 )2 セルトリ間質腫瘍に類似した類内膜腺癌の 1 例 順天堂大学練馬病院病理診断科 1 順天堂大学練馬病院産婦人科 2 児玉寛子 1 小倉加奈子 1 坂口亜寿美 1 松本俊治 1 荻島大貴 2 [ 背景 ] セルトリ間質腫瘍とセルトリ間質腫瘍に類似した類内膜腺癌の鑑別は HE 染色のみで時に困難なことがあり 免疫染色が有用である 通常類内膜腺癌では Inhibinα は陰性を示すが今回我々は Inhibinα 弱陽性を示し また 迅速診断時の肉眼所見もセルトリ間質腫瘍に類似した類内膜腺癌の 1 例を経験したので 文献的考察を含め報告する [ 症例 ] [ 現病歴 ] 72 歳女性 今年 5 月に腹部膨満感を自覚し 7 月に前医を受診し CT にて腹腔内腫瘍を認め同月当院受診となった MRI および PET 施行し 骨盤内腔に径 23 cm大の充実成分と嚢胞成分の混在する巨大腫瘤を認めた 充実成分に強い集積を認め卵巣癌の疑いと診断され 両側付属器切除術 子宮全摘術および大網摘出術が施行された [ 病理所見 ] 肉眼所見 : 腫瘍は 25x21x7 cm大の黄白色 多結節状の弾性硬の充実成分でところどころ出血壊死に陥っていた 割面では 部分的に壊死に伴い 嚢胞変性をきたす部分を認めた 迅速診断所見 : 上記肉眼所見と組織像から セルトリ間質腫瘍を疑うと診断している 組織所見 : 背景に線維性間質の増生を伴い 強い異型を有した腺管構造あるいは策状構造を形成する腫瘍細胞が増生していた 迅速診断同様に セルトリ間質腫瘍を考えたが 鑑別として類内膜腺癌を挙げて免疫染色を施行した 免疫染色を施行した結果 CAM5.2(++), EMA(+), ER(+), PR(+), Inhibinα 弱陽性,CEA は部分的に陽性であった 以上より形態と EMA が強陽性の結果を加味し セルトリ間質腫瘍に類似した類内膜腺癌 (G2) と診断した また本症例では脈管侵襲がかなり目立ち 特に静脈侵襲が目立った [ 考察 ] 類内膜腺癌では精索の様な策状配列をとったり 管腔が小型化してセルトリ細胞のような管状構造をとることもある 腫瘍細胞に近接する間質細胞が莢膜細胞あるいは黄体細胞のように腫大化すると高 ~ 中分化のセルトリ間質腫瘍との鑑別が困難となる このようなし病変に対しては 免疫組織化学染色が有用であり 類内膜腺癌では Inhibinα 陰性 EMA 陽性になるのに対し セルトリ間質腫瘍では Inhibinα 陽性 EMA 陰性となる 本症例では 腫瘍細胞に Inhibinα が弱陽性を示していたが EMA 強陽性の結果と細胞の形態から類内膜腺癌と診断している 文献的考察を含め報告する 9

主題 ( 体部 )1 稀な子宮体癌の一例 東京女子医科大学東医療センター病理診断科藤林真理子 症例 65 歳 G31P 閉経 50 歳 1 か月前からの不正出血で近医を受診し EC smear EM smear 子宮頸部から突出した組織の組織診の全てが腺癌の診断であったため 当院を紹介された 当科の子宮内膜組織診では 高悪性度の内膜腺癌で明細胞癌が疑われる 前医で採取した標本は持参していない 入院後まもなく腹式単純子宮全摘 ( 右は準広汎 ) 両側付属器切除 大網部分切除 骨盤 傍大動脈リンパ節廓清が行われ さらに腹膜播種病変 腸管の漿膜面の腫瘤を含む腸管部分切除が行われた 病理所見 体部 ~ 頚部の内腔に境界明瞭な約 40(W) 60(L) 20( 厚さ )mm の隆起病変を認めた 表面は壊死性で割面は強い出血を示す この部分の組織像は巨核 多核の大きな細胞が特徴であったが 腫瘤の辺縁の非隆起性の部分に淡明な腫瘍細胞が充実性胞巣 腺管形成 嚢胞性腺管状に増殖する内膜の病変が見られ 隆起部の組織像との移行を伺う所見もある 両側付属器に転移を認めない 卵巣は 22 11 9mm, 22 13 9mm 大で ほぼ萎縮状態であった リンパ節転移は無い 腹膜や腸管の播種 転移巣の組織像は全て淡明な細胞の増殖を示していた 問題点 大きな隆起性腫瘤の組織診断 非隆起部の内膜病変の組織診断 10

その他 ( 卵巣 )3 子宮内膜症性嚢胞に子宮内膜異型増殖症様所見を認めた一例 中嶋礼子 1 小倉加奈子 1 坂口亜寿美 1 児玉寛子 1 松本俊治 1 荻島大貴 2 1 順天堂大学附属練馬病院病理診断科 2 同産婦人科 症例 症例は 52 歳 1 経妊 1 経産の女性 無症状であったが 2015 年 6 月検診で 8 cm大の左卵巣嚢腫を指摘され 同年 7 月当院婦人科に紹介受診となった MRI で右卵巣に 26mm 大 左卵巣に 89mm 大の内膜症性嚢胞を疑われ 治療は行わず 2016 年 9 月に待機的に開腹下両側附属器切除術施行した 肉眼的所見 右卵巣嚢胞は 5x4x2 cm大 左卵巣嚢胞は 9.5x6 cm大で 両側卵巣嚢胞内にタール状血液成分が認められ 嚢胞壁は茶褐色調だった 内腔に充実性成分や肥厚はみられなかった 右卵管は右卵巣との境界が癒着により不明瞭だったが 両側卵管に異常所見は認めなかった 組織学的所見 両側嚢胞内壁に出血やヘモジデリンを貪食した組織球集簇があり 内膜間質を伴った子宮内膜腺を認め 両側内膜症性嚢胞と診断した 右嚢胞内壁に一部 核異型を伴った核小体の目立つ内膜腺が 間質を伴い増生しており 子宮内膜異型増殖症のような所見を呈していた 考察 卵巣癌に異型内膜症が併存する例は多数報告がみられるが 本症例のように卵巣に局所的に子宮内膜異型増殖症様の組織のみ認める報告はない 診断名を含め 多くの先生方の意見をお聞きしたい 11

主題 ( 体部 )2 子宮体部腫瘍名方保夫 1) 成田萌 2) 岡田十三 2) 1) 愛仁会千船病院病理診断科 2) 同産科婦人科 症例 ;40 歳代後半女性 G3P3 2015 年 4 月 不正性器出血があり 筋腫分娩との診断で近医にて経過観察していたが同症状増強のため本院紹介受診 膣腔内に 4-5cm の腫瘤を確認 筋腫分娩の診断で 12 月 18 日に TCR-M 施行 切除標本組織で low-grade endometrial stromal sarcoma(less) 大阪府立成人病センターで PET-CT にて両肺多発性転移を指摘 2016 年 4 月 28 日に 再び本院にて子宮全摘出および両側附属器切除術を施行 問題点 ) 基本的に LESS に相当する像と考えられるが上皮様配列 (?) が散見され ETSCLE(endometrial Stromal tumors with sex cord-like elements との鑑別 12

主題 ( 体部 )3 子宮内膜粘液性癌の 1 例久留米大学病理学講座久保田奈緒 ( 発表者 ) 眞田咲子 ( 共同演者 ) 症例 80 代 2 経妊 2 経産 閉経 49 歳 帯下異常を主訴に前医を受診した 内診にて粘液状の帯下を認め 経腹エコーでは子宮内膜不整と貯留像を認めた 子宮内膜細胞診にて Adenocarcinoma 疑いの診断であり 子宮体癌の診断となり当院を紹介受診となった 子宮内膜吸引組織診で Endometrioid carcinoma, mucinous differentiation G1 の診断であった 類内膜癌 Stage Ⅲa の診断となり子宮内膜単純子宮全摘出術 両側付属器摘出術 骨盤リンパ節生検が施行された 病理所見 肉眼的には 明らかな腫瘤はみられなかった 組織学的には子宮体部を主座に 頸部から内膜にかけて粘液上皮化生がみられ これより癌化を呈する粘液性癌を認めた 腫瘍細胞は高円柱状で 細胞質内に粘液を有し 房状あるいは乳頭状に増殖していた また 間質反応を伴って筋層全体に浸潤し 漿膜を超えて漿膜面に露出していた 免疫染色では MUC6 +, MUC5ac +, MUC2 focally +, p16 -, p53 wild type, vimentin -であり 胃腸形質を有する粘液性癌が考えられた その他 両側付属器に特記事項は認められなかった 考察 内膜由来の粘液性癌とは異なる発生機序が示唆され 生物学的挙動としては頸部の胃腸型粘液性癌と同等の高悪性度の腫瘍と考えられた 問題点 診断について 13

その他 ( 卵巣 )4 67 歳女性の多嚢胞性卵巣腫瘍 新百合ヶ丘総合病院病理診断科和田幸子 福永眞治慈恵医大柏病院病院病理部柳沢春華 症例 67 歳女性 0 経妊 0 経産 既往歴 高血圧 高脂血症 緑内障で治療中 現病歴 1ヶ月前より下腹部膨満感あり近医受診 卵巣腫瘍指摘をされ紹介受診 エコーにて左卵巣に 14cm 大の多房性腫瘍を認め 充実成分は乏しかった ホルモン症状は認めていない 臨床的に粘液性境界悪性腫瘍が疑われ 左付属器摘出術及び大網部分切除術が施行された 術後 2か月 経過良好 肉眼像 左卵巣 : 約 14cm 大 割面は多房性で mucinous cystic tumor 様であった 内容は粘液ではなく 黄色漿液性であった 左卵管 大網 : 著変なし 組織像 大小多数の嚢胞の形成がみられ その周囲にはほぼ均一な類円形細胞の充実性 濾胞状の増殖がみられた 一部散在性に充実成分がみられ 異型の乏しい類円形細胞の管状増殖とその周囲に黄体化細胞の小集簇が観察された 腫瘍は卵巣に限局し 卵管 大網には腫瘍はみられなかった 問題点 組織診断 ( 新 WHO 分類診断では?) 14

その他 ( 卵巣 )5 卵巣多嚢胞性病変の 1 例 鳥取大学医学部付属病院病理診断科 病理部野坂加苗梅北善久同女性診療科野中道子佐藤慎也大石徹郎原田省 症例 85 歳女性. 腹部膨満感を主訴に受診, 単純 CT で腹部腫瘤を指摘された. 高血圧, 糖尿病, 不整脈, 胆石症の既往あり, 悪性腫瘍の既往無し. 家族歴に特記事項無し. 画像上は壁に造影効果を示す多嚢胞性の片側卵巣病変で, 複雑な構造が一部に見られ, 境界悪性病変疑い. 男性化徴候は明らかではないが, 高齢女性に散見される程度の髭は生えているとのこと. 病理所見 13.5cm の多嚢胞性病変で, 大型の嚢胞の壁の一部から小型の嚢胞が集簇した病変が突出していた. 内容液は古血性の色調を示す粘液であった. 組織学的には好酸性の立方状 ~ 円柱状の上皮で覆われた嚢胞で, しばしば厚い間質を軸とした乳頭状構造が散見された. 上皮は時に有毛性で, 核は円形 ~ 卵円形で異型に乏しく均一であった. 少数の核分裂像が散見された. 嚢胞壁には出血と組織球の集簇があり, 内膜症も疑われたが, ベルリン青陰性で, 慢性出血は否定的と考えた. 免疫染色では, 嚢胞上皮は CD10, CA125 にびまん性に陽性で, その他 CK7, ER, PgR, PAX-8, EMA, CAM5.2 に陽性だった.WT-1 及び Vimentin は部分陽性を示した.CK20 は陰性であった. 考察 腫瘍性増殖を思わせる領域に加え過形成的な構築が散見される病変で, 由来不明, さらに腫瘍か非腫瘍性増殖性疾患かも判断に苦慮した.2003 年 AJSP の論文で, 婦人科領域において CD10 は mesonephric remnants に常に陽性,Müllerian epithelia に基本的に陰性と報告されており, これを根拠に, さらに上皮の性状 ( 好酸性, 有毛性 ) も踏まえた上で rete ovarii 由来の病変と考えた. 問題点 由来, 悪性度共に判定に苦慮している病変です. 臨床側も治療方針の決定に難渋しており, テーマ外ではありますが, この場を借りて先生方のご意見を賜りたく提示させて頂きます. 15

主題 ( 体部 )4 子宮体下部に発生した類内膜腺癌の 1 例 佐藤勇一郎 1) 盛口清香 1) 前川和也 2) 中村恵理子 2) 魏峻洸 2) 山下篤 2) 鮫島浩 3) 2) 浅田祐士郎 1) 宮崎大学医学部附属病院病理診断科 病理部 2) 宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野 3) 宮崎大学医学部産婦人科 ( 症例 )43 歳女性 2G2P ( 既往歴 )40 歳時左下肢の悪性黒色腫の手術 48 歳時甲状腺癌 ( 乳頭癌 ) で手術 ( 家族歴 ) 特記すべき事項なし ( 病歴 ) 2004 年悪性黒色腫の化学療法中に腹部 CT で子宮筋腫指摘 (6cm 大 ) 特に症状はなく経過観察されていた 2006 年下腹部の違和感 不正出血が出現 内膜組織生検で類内膜腺癌 (G1) を診断 単純子宮摘出術 両側卵巣摘出術施行 その後当院産婦人科で経過観察 2013 年排便障害 腹痛があり 腹部 CT で 4cm 大の腫瘍と 多数の結節病変を認めた 手術をすすめられたが 本人の人工肛門に対する拒否感があり 化学療法施行 2014 年直腸転移巣の腫瘍摘出術施行 2015 年多発肝転移 2016 年永眠 ( 子宮体部癌術後 12 年 ) 肉眼所見 : 腫瘍は子宮底部 ( 峡部 ) に 1.5x1cm 大 やや外方性発育を示していた 組織像 : 管状構造を示す腺癌の像で 扁平上皮化成がやや高度であった わずかな浸潤がみられた 問題点 : 本例を子宮峡部癌としてよいか? 組織学的に予後不良を示唆する像がみられるか? 16

主題 ( 体部 )5 子宮体部に発生した扁平上皮化生の著明なポリープ状腫瘤の一例 埼玉医科大学国際医療センター病理診断科 矢野光剛, 加藤智美, 鎌倉靖夫, 吉田沙織, 榊美佳, 藤野節, 永田耕治, 新井栄一, 長谷部孝裕, 安田政実 症例 84 歳,4 経妊 3 経産, 主訴は不正性器出血. 経腟超音波で子宮内腔に 5 4 cm の充実性腫瘤を指摘された. 造影 MRI および PET-CT では, 良性腫瘍を推定するが, 悪性の可能性も否定できない所見であった. 内膜細胞診は class III で, 異型の乏しい扁平上皮細胞と配列の乱れた細胞集塊を認めた. 内膜組織診でも異型の乏しい扁平上皮を認めたが, 悪性所見はみられなかった. 臨床的に子宮体癌もしくは肉腫の疑いで, 単純子宮全摘術と両側付属器摘出術が施行された. 病理所見 肉眼的に, 体部内腔に突出する 6 5 5 cm 大のポリープ状腫瘤を認めた. 組織学的には, 広範な硝子変性を伴う線維性結合織がみられ, その表層や内部に扁平上皮化生の目立つ腺上皮を認めた. 間質の細胞には異型や核分裂像はみられず, 免疫組織化学的に平滑筋や筋線維芽細胞への分化は認めなかった. 背景の内膜にも扁平上皮化生を認めた. また, 両側卵管の拡張がみられ, 一部に扁平上皮化生を伴う卵管上皮の増生と著明な炎症細胞浸潤がみられた. 問題点 1. 腺線維 (adenofibroma) という診断は妥当か.2. 鑑別すべき腫瘍は.3. 術前の予測は可能であったか.4. 卵管病変をどう考えるか. 17

主題 ( 体部 )6 腹水細胞診に悪性細胞が認められた異型内膜腺筋腫 (APAM) の一例 地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター病理診断科 1 2 産婦人科 棟方哲 1 岩本督徳 1 2 山本敏也 抄録 : 症例 46 歳女性 未経妊 過多月経を主訴に近医を受診し 多発筋腫を指摘され当院を紹介された 経膣超音波検査にて筋層内 漿膜下筋腫を認めたほか 粘膜下にも 37 27mm の筋腫を認めた 内膜吸引組織診にて癒合した異型腺管と扁平上皮化生を認めたが 同時に平滑筋も認められたため APAM も否定できないながら endometrioid adenocarcinoma (G1) の疑いとした MRI にても子宮体癌が疑われたため 手術となった 術中の腹腔洗浄細胞診で腺癌が疑われる細胞が認められ また術中迅速組織診でも筋層浸潤が疑われたため 単純子宮全摘術 + 両側付属器切除術 + 骨盤リンパ節郭清術 + 大網部分切除術が行われた 病理所見 永久標本では子宮体下部にポリープ状の腫瘤を認め この部分では異型腺管と平滑筋の増生を伴い 筋層浸潤が認められないことから APAM と考えられた 子宮内膜を含め 子宮 大網 リンパ節などに悪性所見は認められなかった 考察 術前の内膜組織診にて endometrioid adenocarcinoma (G1) と思われる部分があり 術中細胞診も陽性のため 類内膜腺癌を合併した APAM と考えられた 問題点 1 術前の内膜組織診断は endometrioid adenocarcinoma (G1) で良いのか? その場合には 永久標本での組織診断との整合性はどう考えるか?2 術前 術後とも APAM の診断ということであれば 術中細胞診に出現した異型腺細胞はどう考えるか? 18

主題 ( 体部 )7 Diffuse uterine adenomatoid tumor の 1 例 前田大地,1 田村大輔,1,2 沖村聖人,1 後藤明輝 1 1 秋田大学大学院医学系研究科器官病態学講座 2 秋田大学医学部産婦人科 症例 44 歳, 2G1P. 24 年前に SLE と診断され, ステロイド, シクロスポリンを継続的に内服してきた. 9 年前より子宮筋腫を指摘されている. 2 年間には 58mm 大, 41mm 大, 33 mm大の筋層内筋腫が確認され, 子宮は超手拳大となっていた. その後, 子宮腫瘤は増大し続け, 最終的に子宮が臍高にまで及んだため, 子宮全摘の方針となった. 病理所見 子宮は 14.1x9.1x8.5cm 大と腫大しており, 体部筋層内に径 5.0cm 大までの白色調の結節性病変が多数認められた. それぞれの境界はやや不明瞭で, 子宮の壁全体が多結節癒合状を呈していた. 組織学的には子宮体部筋層のほぼ全域に広がる adenomatoid tumor を認めた. 考察 Diffuse uterine adenomatoid tumor は比較的稀な病態で, これまでの症例報告では, 免疫抑制状態の患者に好発するとされている. しかし, adenomatoid tumor (diffuse なものに限らず ) と免疫抑制治療の関係について詳細な検討を行った症例対照研究はない. 我々は本症例を契機に, 369 例の子宮全摘例を対象とした研究を行い, adenomatoid tumor が免疫抑制治療と密接な関係を示す腫瘍であることをつかんだので, その成果を含めて報告する. 19

主題 ( 体部 )8 原発巣の術前診断に苦慮した低悪性度子宮内膜間質肉腫 (LGESS) の一例 国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科 1) 病理 臨床検査科 2) 帝京大学医学部附属病院 病理診断科 3) 塚田貴史 1) 渡邊麗子 2) 橋本大輝 2) 吉田裕 2) 笹島ゆう子 3) 高橋健太 1) 池田俊一 1) 加藤友康 1) 症例 30 歳代後半 3 経妊 2 経産 現病歴 左側腹部痛にて施行した CT にて 左腎近傍後腹膜腫瘍を指摘された 悪性を疑う画像所見なかったため 経過フォローとなった 1 年半後の CT で造影効果が出現 左水腎症 卵巣静脈血栓も同時期に出現したため 婦人科系腫瘍由来を念頭に精査されたが 婦人科としての治療適応は無いと判断された 本人の希望で当院泌尿器科受診 放射線補助下後腹膜腫瘍針生検を施行したところ 低悪性度子宮内膜間質肉腫 (LGESS) と診断され 当科で手術 ( 後腹膜腫瘍摘出術 左腎臓摘出術 腹式単純子宮全摘術 両側付属器摘出術 後腹膜リンパ節郭清術 大網部分摘出術 ) が施行された 腫瘍は下腸管膜動脈起始部に位置し 小鶏卵大で可動性は認められたが 左尿管を巻き込み S 状結腸 腸腰筋筋膜と癒着していた 術後は補助療法なく 血栓症予防と下肢の浮腫対策を主とした外来経過観察となっている 術後半年以上が経過したが 現時点で明らかな再発兆候は認めていない 病理組織所見 子宮は 9.5 8.0 4 cm 底部漿膜下に直径 7 mm大 10 mm大の腫瘤形成を認め 術中迅速でこれらは共に紡錘形腫瘍と診断され LGESS に矛盾しないものであった 固定後標本では 腫瘍は漿膜直下 ~ 筋層に分け入るように不規則に分布し 一部は内膜に病変が及び 脈管侵襲像も認められた 密な紡錘形細胞増殖領域内に上皮成分が混在しており 背景像もあわせて考えるに腺筋症を伝わる進展様式があると思われた 後腹膜腫瘍は 6.0 4.3 3.8cm 大 左卵巣動静脈 左尿管 左腎と一塊で摘出された 尿管と癒着していたが粘膜面への腫瘍進展はなく 左腎への直接浸潤もなかった 大網に数mm大から顕微鏡的サイズまでの播種病変を複数 また傍大動脈リンパ節 ( 中 b2) にも転移が認められた 問題点 組織所見は典型と考えられるも 診断に至るまで時間を要した症例であり マクロ所見を含めて提 示する 20

主題 ( 体部 )9 乳癌既往歴のある子宮体部悪性腫瘍の 1 例 大阪医科大学病理学教室 1) 産婦人科学教室 2) 山田隆司 1) 服部公亮 1) 里見英俊 1) 廣瀬善信 1) 田中良道 2) 恒遠啓示 2) 寺井義 人 2) 大道正英 2) 症例 患者 :38 歳 女性 2 回経妊 2 回経産月経歴 : 初経 16 歳 周期 30 日型 整既往歴 :28 歳 : 甲状腺全摘 ( 線維腺腫 ) でチラージン内服中 34 歳 : 左乳癌 ( 乳頭腺管癌 ) で手術 化学療法 放射線治療 TAM を内服現病歴 :3 年前より下腹部痛と血尿が持続し GnRH 療法で症状が劇的に改善したことより子宮内膜症 ( 右尿管 ~ 膀胱 ) の診断となった 内膜症の根治術目的で 2 年前に腹式両側付属器摘出術施行したが 強固な癒着のため子宮は摘出できなかった その後外来にて経過観察されていたが 子宮頸部細胞診で陽性 (adeno) 内膜細胞診が陽性であり子宮体癌が強く疑われた 血中腫瘍マーカー値は CA 125: 14.7 U/ml ( 基準値 <35.0), CA 19-9: 5.9 U/ml ( 基準値 <37.0), CEA: <0.5 ng/ml ( 基準値 <5.0) と正常範囲だった 腹式子宮全摘術 直腸部分切除術 大網部分切除術が施行され 術中腹水迅速細胞診 子宮体部迅速組織診で悪性は判明したが 組織型 原発臓器の推定は困難であった 病理所見 子宮の大部分が腫瘍に置換されており 漿膜側にも病巣がみられた 組織学的には 壊死を伴った異型細胞の充実性増殖で 癌と肉腫の鑑別も困難であった 免疫染色では 腫瘍細胞において AE1AE3,CK7, CK20, EMA, vimentin,, chromogranin A, α SMA, desmin, caldesmon, myogenin, HMB-45, CD31, CD34, factorⅧ, D2-40, CD10, GCDFP-15, mammaglobin, ER, PgR が陰性 p53, synaptophysin が陽性 CD56 が部分的に陽性で Ki-67(MIB-1) index は 80% だったことから 子宮原発の malignant tumor with neuroendocrine features と考えた 問題点 1 組織型は何か? 2 原発臓器は子宮か乳腺か 21