学生によるパソコン教室の企画と運営 1
目次 1. 本プロジェクト選定理由 2. 年間スケジュール 3. 企画の選定 4. 夏季講座 パソコンで絵日記を作ろう 4.1. 事前の準備 4.1.1. 開催日の決定 4.1.2. 内容の検討と教材の作成 4.1.3. 参加者の募集 4.1.4. その他の準備 4.2. 当日の様子 4.2.1. 準備 4.2.2. 講座開催中の様子 4.2.3. 終了後の片づけと反省 5. 冬季講座 パソコンで年賀状を作ろう 5.1. 事前の準備 5.1.1. 開催日の決定 5.1.2. 内容の検討と教材の作成 5.1.3. 参加者の募集 5.1.5. その他の準備 5.2. 当日の様子 5.2.1. 準備 5.2.2. 開催中の様子 5.2.3. 参加者の感想と学生の反省 6. まとめ 7. 担当教員による講評 担当教員 : 田島祥 参加学生学籍番号 氏名 2 年 1 年 21212024 21312001 21312093 21212026 21312009 21312111 21212113 21312044 21312113 21212122 21312087 21312117 21312128 2
1. 本プロジェクト選定理由 IT マネジメントコースでは IT や経営についての専門的知識を身に付けることに加え ヒューマンスキルを高めることで社会に必要とされる人材を育成することを目標としている そのための 1 つの機会として 本プロジェクトにおいて 学生が主体となって地域住民を対象としたパソコン講座を企画 運営する 学生の成長だけでなく 地域貢献にもつながる活動であり 今年度で 3 年目となるプロジェクトである 学生の到達目標は次の 4 点などを挙げることができる 1) これまでに身につけてきた IT スキルをさらに高め 人に教えられるだけのスキルを獲得すること 2) 計画の立案 遂行の過程でゼミ生同士 1 2 年生同士の交流を深め ヒューマンスキルを高めること 3) 年齢層の異なる地域住民と交流するという 普段の大学生活からは得られない経験を通して ヒューマンスキルを高めること 4) 講座で使用するテキストの作成や中間報告 最終報告のスライドやレポートの作成を通して 作文力やプレゼン力を高めること 2. 年間スケジュール本プロジェクトでは 地域住民を対象としたパソコン講座を 夏季及び冬季の 2 度開催する計画であった 年間スケジュールを表 1 に示す 表 1. 年間スケジュール 5 6 月年間計画の立案 (2 度の講座のテーマ決定と役割分担 ) 7 月夏季講座の準備 ( 内容の検討 教材作成 参加者募集の広報活動等 ) 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 夏季講座の準備 ( 内容の確定 教材作成 リハーサル等 ) 20 日に夏季講座 パソコンで絵日記を作ろう を開催 2 3 4 日に 2 泊 3 日で静岡県熱海市にて合宿 ( 夏季講座の報告と反省 冬季講座の計画立案など ) 冬季講座の準備 ( 内容確定 教材作成 参加者募集の広報活動等 ) 三松祭でのプロジェクト型授業中間発表の準備と発表 (27 日 ) 冬季講座の準備 ( 内容の検討 教材作成 リハーサル等 ) 30 日に冬季講座 パソコンで年賀状を作ろう を開催冬季講座の学生アンケート 参加者アンケートの集計と分析プロジェクト型授業成果発表会の準備 1 月プロジェクト型授業成果発表会の準備 発表 (22 日 ) 3
3. 企画の選定自分たちの PC スキルや参加者のニーズを考えて どのような講座を開催することができるのかを考えた 企画の候補として タイピング ペイントを使って絵を描く Microsoft Word の使い方 Microsoft Excel を使って家計簿づくり Microsoft Power Point を使ってアニメーションづくり が挙げられた このうち 開催時期や想定する参加者の年齢を考慮し 講座後に学んだ知識を活用してほしいという思いも込め ペイントを使って絵を描く ことと Microsoft Word の使い方 を組み合わせ 絵日記と年賀状を題材とした講座を企画することした 4. 夏季講座 パソコンで絵日記を作ろう 4.1. 事前の準備 4.1.1. 開催日の決定昨年度の夏季講座では 開催予定日が近隣の小学校の登校日と重なってしまい 2 日間開催する予定を 1 日のみに変更したという反省点があった そこで事前に近隣の 4 つの小学校 ( 沢野小 太田小 宝泉小 宝泉東小 ) に登校日を問い合わせ 8 月 20 日 ( 火 ) に実施することに決定した 4.1.2. 内容の検討と教材の作成講師を務める学生を中心に内容を検討し 教材を作成した 講座では はじめにペイントの基本操作を学び 次に自由に絵日記を作成する作業時間を設ける構成にした ペイントの学習においては 共通の題材を用いて 絵を描きながらそれぞれに設定された学習のポイントを学んだ まず りんごを題材に 図形を描く 消す 色を塗る エアブラシで書く 方法を学んだ 次に 風船を題材に 色の編集 と ペンの種類の選択 を学んだ 最後にパンダを題材に 余分な線を消す 拡大 縮小 画像の保存 Word への貼り付け の方法を学んだ ( 図 1) 自由時間を使ってオリジナルの絵を作成した後 絵日記のテンプレートに画像を挿入し 文章を添えて絵日記を完成させることとした テンプレートはインターネット上に公開されているものを修正して用いた ( 図 2) これらの内容については 手順をまとめた教材を Power Point で作成し 配布することにした ( 図 3) ペイントを学んだ後の自由作成時間は 75 分とした 当日の流れを表 2 に示す 図 1. ペイントの使い方に関する講座の内容 4
図 2. 絵日記のテンプレート ( 左 ) と学生が作成したサンプル ( 右 ) 図 3. 教材の一部分 : 黄色のペンの選択 ( 左 ) 色の編集 ( 右 ) 表 2. タイムスケジュール 13:00-13:05 開講式 13:05-13:35 講座 1りんご ( 図形を描く 消す 色を塗る エアブラシで書く ) 13:35-13:45 休憩 13:45-14:15 講座 2 風船 ( 色の編集 ペンの種類の選択 ) 14:15-14:25 休憩 14:25-14:50 講座 3パンダ ( 余分な線を消す 拡大と縮小 画像の保存 Word への貼り付け ) 14:50-15:00 休憩 15:00-16:15 自由に作成 16:15-16:30 閉講式 アンケート記入 5
4.1.3. 参加者の募集今回の講座では 参加者の年齢制限等は考えず 子どもから高齢者まで 関心のある方にはどなたでも参加してもらいたいと考えていた そこで 1 太田市の広報 広報おおた と2 関東学園大学の HP のニュース トピックスに記事を掲載し 参加者を募集することとした おおた広報 には 6 月下旬に電話にて記事の掲載を依頼し 8 月 1 日号に記事を掲載してもらった ( 右図 ) 大学の HP には 7 月中旬に依頼し 7 月 19 日から記事を掲載してもらった また 昨年度の冬季講座 パソコンでカレンダーを作ろう の参加者に対し 講座開催のお知らせ ( ポスター ) を郵送した ( 図 4) 図 4. 昨年度の講座の参加者に送付したポスター 6
おおた広報 や HP への記事掲載やポスターを送付した時点から参加申し込みの受付を開始した 申し込みや問い合わせの電話は教務グループ 事務グループに対応を依頼した その結果 22 名の申込みがあった 4.1.4. その他の準備申し込み者に対し 当日のスケジュールや駐車場の場所などの案内状を作成し 郵送した また 当日使用する案内用の看板や名札 講座の最後に参加者全員に授与する修了証の準備をした これらの作業は 2 年生を中心に行った 4.2. 当日の様子 4.2.1. 準備当日の準備は 1 年生を中心に行い 受付 案内 設定 板書 買い物等の作業を分担した 受付係は 受付用の机や椅子を設置したり 到着した参加者に名札に名前を書いてもらうための準備をした また 実際の受付作業も担当した 案内係は 駐車場から会場とまで 参加者が迷わないようにするために看板を外に設置したり 道順が書いてある紙 ( 矢印 ) を廊下に一定間隔で貼っていった 設定係は 事前に申請しておいた本講座用の ID とパスワードを用いて使用する PC すべてにログインし 講座の準備をした 板書係はホワイトボードに講座のタイムスケジュールを板書した 買い物係は 休憩中に参加者に提供するための飲み物を買いに行った 当初 会場は C-3 教室を使用する予定だったが 準備の段階でペイントのバージョンが異なることがわかり 急きょ C 演習室に変更するトラブルが発生した 事前に PC ソフトのバージョンを確認すべきであるという反省点となった 4.2.2. 講座開催中の様子プログラムに沿って講師役が進行し その他の学生は参加者のそばで質問に答えたりアドバイスをしたりした ( 図 5) 講座開催中は適宜休憩をはさみ 交流を深めた 図 5. 講座開催中の様子 7
閉講式の後 参加者にアンケートを配布し 講座についての感想をうかがったところ 次のような感想などが得られ 今後の課題点が確認された 夏休みの良い思い出になりました パソコンのことも分かるようになってきてとてもうれしかったです 2 回目ですが とても便利で役立つテクニックを教えて頂き 早速 家でも作画してみたいと思います 大きな声ではっきりと説明してほしかった 自由に作品を作る時間を もっと長くしてほしい 4.2.3. 終了後の片づけと反省講座終了後には 事前準備と同様に分担して片づけをした その後 全員で今回の講座の反省をした 自分自身の働きについて 次のような感想や反省点が挙げられた 教えること 人に説明することの大変さを知った 相手ができると思って接してはいけないと思った (2 年生 ) 聞かれそうなことを事前に調べておいた方がよかったと思った (1 年生 ) あまり分かりやすい説明ができなかったことが残念だった 話し方もはっきりしていなかったので相手に伝わるよう聞きやすい大きさの声で話せるようになりたい (1 年生 ) 5. 冬季講座 パソコンで年賀状を作ろう 冬季講座では パソコンで年賀状作ろう と題した講座を開催した 夏季講座と同様に Microsoft Word とペイントを使う内容だが Microsoft Word の差し込み文書を使う点に新しい学びがある 5.1. 事前の準備 5.1.1. 開催日の決定これまで冬季講座は 12 月下旬に開催していたが 今回は年賀状がテーマであり できることなら 2014 年の年賀状作成に活かしてもらいたいという思いがあったことから 11 月 30 日 ( 土曜日 ) に実施することに決定した 5.1.2. 内容の検討と教材の作成今回の講座では 夏季講座に参加した人はペイントの基本操作を学習済みであり 今回初めて参加する人はペイントを初めて扱う可能性があることから どのように内容を構成すべきか検討した 基本的な流れは夏季講座と同様であり 初めに共通の題材を用いてペイントの基本操作 8
を確認した後 Microsoft Word の差し込み文書の使い方を学習し 最後に自由時間を設けて絵を描き 年賀状の形式に仕上げることにした 題材には 講座の時期やテーマを踏まえ 鏡餅とクリスマスツリーを選んだ ( 図 6) これらの内容については 手順をまとめた教材を Power Point で作成し 配布することにした 当日の流れを表 3 に示す 図 6. ペイントの使い方に関する講座の内容 表 3. タイムスケジュール 13:00-13:10 開講式 13:10-13:50 講座 1 ペイントの基本操作 13:50-14:00 休憩 14:00-14:40 講座 2 ペイントの練習 ワードへの挿入 文面の作成 14:40-14:50 休憩 14:50-16:15 年賀状作り ( 自由に作成 ) 16:15-16:30 閉講式 アンケート記入 5.1.3. 参加者の募集夏季講座と同じように 1 太田市の広報 おおた広報 への記事掲載 2 関東学園大学の HP のニュース トピックスへの記事掲載 3 夏季講座の参加者へのお誘い の 3 つの方法で参加者を募集した また 関東学園本学では後期に公開講座を開催していることから 受付にチラシを置いてもらうことにした ( 図 7) 広報おおた には 9 月末に電話で記事の掲載を依頼し 11 月 10 日号に記事を掲載してもらった 大学の HP には 11 月上旬に依頼し 11 月 8 日から掲載してもらった 申し込みや問い合わせの受付は 夏季講座と同じように教務グループ 事務グループに依頼した その結果 広報おおた が配布された 11 月 10 日から 2 日間で定員 30 名の申込みがあった 定員を満たすことができたのは初めてのことだった しかし反省すべき点が 1 点あり わたしたちは 広報おおた に記事が掲載された時点から申し込みを開始しているつもりでいたため 申込み締切日のみを記載していたのだが この日だけ受け付けをしていると思った参加希望者が数名いたことがわかった その方には定員を満たしていると 9
いう理由でお断りせざるを得なかったため 今後は申込み開始日もきちんと告知すべきであると反省した 図 7. 公開講座の参加者に配布したチラシ 5.1.4. その他の準備夏季講座と同じように 申し込み者への案内状を作成して郵送 案内用の看板や名札 修了証の準備をした 10
5.2. 当日の様子 5.2.1. 準備今回も 1 年生を中心に行い 受付 案内 設定 板書 買い物等の作業を分担した なお 夏季講座での反省点となったペイントのバージョンについては事前に確認を済ませておいた 5.2.2. 開催中の様子欠席者がいたため 最終的には 25 名が参加してくださった 講師役が壇上で説明をし その他の学生が参加者のそばで質問に答えたりアドバイスをしたりしながら進めていった ( 図 8) 図 8. 講座中の様子 11
5.2.3. 参加者の感想と学生の反省講座終了後に 参加者にアンケートに答えていただいた 結果の一部を図 9 に示す 図 9. 参加者のアンケートの結果の一部 また 次のような感想などが得られた サポートスタッフの方が 多くて大変良かった 全体的な雰囲気として優しい空気で受講し易かった パソコン操作がよくできないので 今後もいろいろ教えてください 市民として 大学で勉強できるのが心強いです 教え方のテンポが 受講者とのタイミングと同調させる工夫が欲しい 12
図 9 の Q1 より 広報おおた を見て参加してくださった方が一番多いことがわかった 今後も多くの方に参加してもらうためには この手段が効果的であるといえる また 教え方については わかりやすかった という回答が多く得られ 楽しんでいただけたこともわかった コメントから次回に向けた課題が見いだされるので 工夫していきたい また 学生の反省として 次のような内容が挙げられた 相手のやりたいことを聞いて 1 番分かりやすいと思う説明ができたが 自分が分からないことも多かったので勉強が必要だと思いました 知らない人とのコミュニケーションも重要なこと 人に教えることの大変さを知った 13
6. まとめ本プロジェクトでは 学生によるパソコン教室の企画と運営 と題して夏季 冬季の 2 講座を企画 運営した 今回はこれまで以上に多くの参加者が得られ 初めて定員 30 名を満たすこともできた しかし 今年度の 2 回を合わせるとこれまでに 5 回の講座を開催してきたことになるが それでも準備段階の反省点がみつかった 慣れてしまうことなく 気を引き締めて取り組む必要があることを強く感じた 学生のアンケート結果からは 事前準備の大切さや教えたり説明したりすることの大変さ コミュニケーションの大切さなどを学んだことが分かった 参加者からはおおむね好評価を得ることができているが 引き続き真摯に取り組んでいきたいと考えている 7. 担当教員による講評昨年度に比べると主力となる 2 年生の人数が少なかったことからやや心配な面もあったが ひとりひとりが役割を分担し 自分の仕事に責任を持って取り組めていた また 2 年生全員が講師役を務め 事前準備の大切さや人前で説明することの難しさなど身を持って学ぶことができたことも 少人数ならではの利点であったといえる 1 年生は初めての参加だったが 臆することなく参加者に対応できていた点が非常によかった ただし 講座が始まり時間が経つにつれて慣れが出てしまい 参加者への対応に緊張感がなくなってしまう様子が散見され 課題であると感じた また プロジェクト開始から 3 年が経ち 参加者の中には本プロジェクトの講座に何度も参加してくださっているリピーターもいらっしゃる 単発の企画ではなく 継続した企画であることを意識し 学生にとっては初めての機会でも参加者にとってはそうではないことも念頭に 講座の質を上げていくことが今後の課題であると感じた 14