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29 術の開発できると考えられる. 本研究では, オワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質 (EGFP) と Candida antarctica 由来脂質加水分解酵素リパーゼ B (CALB) をモデルタンパク質とした検討を行ったので報告する. 2. 実験方法 手順 2.1 EGFP ならびに CALB 生産大腸菌の作成 EGFP ならびに CALB をコードする DNA 断片をそれぞれプラスミド pegfp (Clontech Laboratories Inc.) ならびに puc19-procalb CBS6678 6) を鋳型として polymerase chain reaction にて増幅した. 増幅した DNA 断片をプラスミド pet16-b 中の T7 プロモーター下流にそれぞれ挿入し EGFP ならびに CALB 発現プラスミドを作製した. これらを大腸菌 (Escherichia coli BL21(DE3)pLysS) にそれぞれ導入することで EGFP ならびに CALB 生産大腸菌を作製した. 2.2 EGFP ならびに CALB インクルージョンボディの調整 EGFP または CALB 生産大腸菌をアンピシリン (100 l/ml) を含む LB 培地 ( ペプトン 1% (w/v), 酵母エキス 0.5%, NaCl 1%) を用い 37 で OD 660 =0.7 0.8 程度まで培養後, 遺伝子発現誘導剤としてイソプロピル- -チオガラクトピラノシドを添加 ( 終濃度 0.8 mm) し,27 で 4 h EGFP または CALB 生産を行わせた. 菌体を遠心分離 (8,000 g, 10 min, 4 ) により回収, 蒸留水で洗浄後, 蒸留水に再懸濁した. 菌体を超音波破砕し遠心分離 (10,000 g, 10 min, 4 ) により分離 蒸留水で洗浄することで得られた不溶性画分を蒸留水に懸濁し EGFP ならびに CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質とした. 2.3 高電圧パルス発生装置および PEF 処理槽高電圧パルス発生装置は前報 5) と同じ装置を用い, ピーク電圧 5, 7 kv, 周波数 50 Hz にて処理槽に PEF を印加した.PEF 処理槽は円盤型のステンレス (30 mm, 厚さ 3 mm) を用いた平板対平板電極, 電極間距離 5 mm, 処理容量 4.8 ml の処理槽を用いた ( 図 1). 2.4 PEF による可溶化 リフォールディング試験 EGFP または CALB のインクルージョンボディを含む不溶性タンパク質を蒸留水中に 1, 2, 3mg/ml となるように懸濁し, 処理槽内へ注入した後 PEF を印加した. 経時的にサンプリングを行い遠心分離 (10,000 g, 10 min, 4 ) により得られた上清中に含まれるタンパク質について分析を行った. 2.5 タンパク質濃度 蛍光強度 リパーゼ活性の測定タンパク質濃度測定には Pierce BCA Protein Assay Kit (Thermo Fisher Scientific Inc.) を用い, 不溶性タンパク質については懸濁液を可溶化剤 ( ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 3.6%, 2-メルカプトエタノール 5 10-5 %) と当量混合し可溶化した後に濃度測定を行った. また, 目的タンパク質の可溶化を SDS-PAGE 電気泳動 銀染色により確認した. EGFP の蛍光強度は励起波長 489 nm, 蛍光波長 508 nm の波長にて蛍光分光光度計 RF-1500( 島津製作所 ) で測定した. CALB の活性は p-ニトロフェニルブチレイトを基質に用い, 分解によって生じる p-ニトロフェノールを定量することで 30 にて測定した. 酵素活性は 1 min に p-ニトロフェノールを 1 mol 生成する酵素量を 1 U と定義した. 図 1 PEF 処理槽の概略図 Fig. 1 Schematic illustration of PEF react 3. 実験結果および考察 3.1 PEF による EGFP インクルージョンボディを含む 不溶性タンパク質の可溶化 : 3 mg/ml, : 2 mg/ml, : 1mg/ml 図 2 可溶性タンパク質濃度の経時変化 Fig. 2 Time courses of soluble protein concentration EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質に対し PEF による可溶化効果を確認した ( 図 2). 実験は印加電

30 37 1 2013 圧 5 kv,egfp への露光を防ぐため暗所にて行った.EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質に PEF を印加することで, 処理時間の経過と共に可溶性タンパク質濃度が増加することが確認された. いずれの初発不溶性タンパク質濃度においても 20 min の処理で可溶性タンパク質濃度は最大となり, 初発不溶性タンパク質濃度 1, 2, 3mg/ml においてそれぞれ可溶性タンパク質濃度は 102, 174, 269 g/ml となった. また,20 min 以上の処理では可溶性タンパク質濃度は低下することが確認された. 処理 24 min 後の処理液温度は 6 6 に達しており PEF の印加による処理液温度の上昇により一度可溶化したタンパク質が変性し再び不溶性となったためであると考えられる. 初発不溶性タンパク質濃度が PEF による可溶化率に与える影響を明らかとするため, 不溶性画分を蒸留水に懸濁した際に可溶化したタンパク質量を差し引き PEF 処理により 可溶化した EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化率を求めた ( 図 3). 可溶化率は初発タンパク質濃度に対する PEF 処理により可溶化したタンパク質の百分率と定義する. EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質には大腸菌由来タンパク質も含まれるため,EGFP インクルージョンボディの可溶化が起きていることを確認するため可溶性画分を用いた SDS-PAGE 電気泳動を行った ( 図 4).PEF 処理時間の増加に伴い EGFP の存在を示す 29.5 kda 付近のバンド強度の増加がみられ,PEF 処理によりインクルージョンボディとなった EGFP が可溶化していることが確認された. また E GFP に比べればわずかではあるが,PEF 処理時間の増加と共に大腸菌由来と考えられる他の夾雑タンパク質のバンド強度も増加しており,PEF 処理は EGFP インクルージョンボディのみを選択的に可溶化しているわけではないことが確認された. 42.7 kda 34.6 kda EGFP 27.0 kda Treatment time (min) 0 4 8 12 16 20 24 図 4 可溶性画分の SDS-PAGE 電気泳動結果 Fig. 4 SDS-PAGE electrophoresis analysis of soluble protein fractions : 3 mg/ml : 2 mg/ml : 1 mg/ml 3.2 PEF 処理による EGFP インクルージョンボディのリフォールディング PEF 処理により EGFP インクルージョンボディから可溶化された EGFP タンパク質は, 可溶化のみならずリフォールディングされていることをタンパク質可溶性画分の蛍光強度の測定を行い確認した ( 図 5). 図 3 PEF 処理による EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化率経時変化 Fig. 3 Time courses of percentage solubilization by PEF treatment of insoluble protein containing EGFP inclusion body : 3 mg/ml : 2 mg/ml : 1 mg/ml 可溶化率の増加傾向は初発タンパク質濃度によらず一定であり, 初発不溶性タンパク質濃度が増加するに従いわずかに増加が見られ初発不溶性タンパク質濃度 3 mg/ml で最も高い可溶化率 5.5% となった. これらの結果より, 本実験で検討した EGFP インクルージョンを含む不溶性タンパク質濃度範囲においては, 初発タンパク質濃度が高い方が一回の処理で得られる可溶性タンパク質量が多く可溶化率も高いため, PEF 処理により高効率の可溶化が行えることが明らかとなった. 図 5 可溶性画分の蛍光強度経時変化 Fig. 5 Time courses of fluorescence intensity of soluble protein fraction

31 PEF 処理時間の増加に伴う可溶性画分の蛍光強度の増大が 確認され,PEF 処理によって可溶化した EGFP は蛍光を発色 する本来の立体構造にリフォールディングさることが確認された. 初発不溶性タンパク質濃度 1 mg/ml では可溶性画分の蛍光強度の増加は微量であったが, 初発不溶性タンパク質濃度を上げることで蛍光強度は増加し, 初発不溶性タンパク質濃度 3 mg/ml では可溶性画分の蛍光強度に大きな増加がみられた.PEF 処理 20 min 後の初発不溶性タンパク質濃度 1, 2, 3 mg/ml 溶液における可溶性画分の蛍光強度は 45.1, 776, 294 0 [-] であり可溶化したタンパク質量 (102, 174, 269 g/ml) とは比例しておらず, この結果から可溶化したタンパク中に含まれる蛍光を発色できるまでに正しくリフォールディングされる EGFP 量は初発不溶性タンパク質濃度に影響されることが明らかとなった. 一般的にタンパク質は濃度が低い場合にはウシ血清アルブミン (BSA) などを夾雑タンパク質としてタンパク質溶液に添加することで安定化することが知られている. 初発不溶性タンパク質濃度が高い場合には, 多くのタンパク質が可溶化しすることでリフォールディングされた E GFP を安定化し蛍光強度が大きく増加したものと推察される. 3.3 PEF による CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化 CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質に対し PEF による可溶化効果の検討を印加電圧 5 kv で行った.PEF 処理により可溶化した CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化率の経時変化を図 6に示す. : 3 mg/ml, : 2 mg/ml, : 1mg/ml 図 6 PEF 処理による CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化率経時変化 Fig. 6 Time courses of percentage solubilization by PEF treatment of insoluble protein containing CALB inclusion body PEF を CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパクに印加した場合にも処理時間の経過と共に不溶性タンパク質の可溶化が確認された. しかしながら, 得られた最大の可溶化率は初発不溶性タンパク質濃度 1%,PEF 処理時間 12 mi n の時に 4.0% であった.CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質に PEF を印加した場合では,EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質に同条件の PEF を印加した場合 ( 図 3) に比べ可溶化率は低く, 初発不溶性タンパク質濃度の増加にともない可溶化率も低下した.EGFP と CALB では最大の可溶化率を得られるまでに必要となる P EF 処理時間も異なり, タンパク質ごとに可溶化に最適な PEF 処理時間は異なることが明らかとなった. また 可溶化率の増加は確認されたが可溶性画分のリパーゼ活性の上昇も確認されなかった. これらの原因として,CALB と EGFP のタンパク質分子量はそれぞれ 34,29.5 kda であり,EGFP に比べ CALB の分子量は大きいためインクルージョンボディ同士がより複雑に絡み合っているため,PEF によるタンパク質の立体構造変化にともなう可溶化が起こりにくく, タンパク質濃度が増加した場合には分子間の影響がより大きくなったのではないかと考えられる. また EGFP の立体構造は二次構造である -シート構造が円筒を形成するように規則的に配向したバレル構造と呼ばれるタンパク質の中でも比較的単純で安定な立体構造であり, 蛍光を発するための発色団を形成するアミノ酸残基は Ser65,Tyr66,Gly67 と隣接している 7,8). 一方で CALB は二次構造である -ヘリクスと シートが活性中心の周りに複雑に配向した立体構造を有し, 活性中心を形成するアミノ酸残基 Ser105,Asp187,His224 はタンパク質内で離れた位置に存在する 9,10). このように EGFP と CALB の立体構造は大きく異なり, 複雑な立体構造を有する CALB ではリフォールディングが起こりにくかったのではないかと推察される. 3.4 界面活性剤が CALB インクルージョンボディの可溶化とリフォールディングに及ぼす影響水中ではタンパク質の親水性のアミノ酸残基は分子表面に, 疎水性のアミノ酸残基は分子内部に配向しており, 不溶性となっているタンパク質では分子間で疎水性部分が凝集を起こしている. 界面活性剤は疎水性アミノ酸残基と結びつき疎水性部分の水中への分散を容易とすることでタンパク質の凝集を緩め可溶化する働きがある. 本研究では界面活性剤として非イオン性界面活性剤である Triton-X100 を用い, 処理溶液中への界面活性剤の添加が PEF 印加による CALB インクルージョンボディの可溶化に及ぼす影響を

32 37 1 2013 検討した. 初発不溶性タンパク質濃度 1 mg/ml,triton-x100 濃度 0.1% の懸濁液へ印加電圧 5 kv にて PEF 処理を行った ( 図 7).Triton-X100 を 0.1 % となるように CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質懸濁液へ添加するのみでタンパク質の溶化が確認され,PEF のみを印加する場合とほぼ同等の可溶化効果が確認された. しかしながらその後 PEF を印加せずにインキュベートしたのみでは可溶性タンパク質濃度の変化は確認されなかった. 一方, TritonX-100 を添加した不溶性タンパク質懸濁液に PEF を印加することで処理時間の経過と共に可溶性タンパク質量の大幅な増加が確認され,8 min の処理で最大となり可溶性タンパク質濃度 117 mg/ml, 可溶化率 7.4% となった. この結果より,Triton-X100 を添加し PEF を印加した場合には, それぞれの効果を足し合わせたよりも大きな効果が得られ, PEF と界面活性剤の組み合わせではタンパク質可溶化において相乗効果が得られることが示された. : PEF, : 0.1% TritonX-100, : PEF+0.1% TritonX-100 : PEF, : 0.1% TritonX-100, : PEF+0.1% TritonX-100 図 8 可溶性画分のリパーゼ活性経時変化 Fig. 8 Time courses of Lipase activity of soluble protein fraction 3.5 印加電圧が CALB インクルージョンボディの可溶化とリフォールディングに及ぼす影響 PEF 印加電圧が CALB インクルージョンボディの可溶化に及ぼす影響を検討した. 初発不溶性タンパク質濃度 1 mg/ml,triton-x100 濃度 0.1% の不溶性タンパク質懸濁液への PEF 処理を印加電圧 5, 7kV にて行った ( 図 9). 印加電圧 7 kv では処理時間 4 min で可溶性タンパク質濃度は最大となり可溶性タンパク質濃度 127 mg/ml, 可溶化率 8.7% となった. 印加電圧 7 kv では 5 kv に比べ可溶化率はわずかしか上昇しなかったが, 最大の可溶化率を得るために必要な時間が短くなることが確認された. これは印加する電圧が大きくなることで不溶性タンパク質凝集体内で分子が大きく動くことで迅速に可溶化したためだと考えられる. 図 7 界面活性剤が CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化に及ぼす影響 Fig. 7 Effect of surfactant on time courses of solubilized protein concentration by PEF また, 可溶化したタンパク質についてリパーゼ活性の測定を行った ( 図 8).PEF 単独で可溶化したタンパク質とは異なり,Triton-X100 の添加のみにより可溶化したタンパク質ではわずかながら活性を示すことが明らかとなった. Triton-X100 を添加した不溶性タンパク質懸濁液に PEF を印加した場合では可溶性タンパク質濃度の増加に伴いリパーゼ活性が増加し,CALB のリフォールディングが起きていることが確認された. これらの結果より界面活性剤を併用することで PEF のみでは可溶化 リフォールディングを起こしにくいタンパク質であっても可溶化 リフォールディングが可能となることが示された. : 5 kv : 7 kv 図 9 印加電圧が CALB インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質の可溶化に及ぼす影響 Fig. 9 Effect of applied voltage on time courses of solubilized protein concentration by PEF

33 また可溶化したタンパク質についてリパーゼ活性の測定を行った ( 図 10). 印加電圧 7 kv でもタンパク質濃度の増加に伴うリパーゼ活性の増加が確認され, 迅速に可溶化が起こっていても 5 kv の場合と同様にリフォールディングも起きていることが確認された. これらの結果から印加電圧を高くすることで迅速に高いタンパク質の可溶化 リフォールディングが行える可能性が示唆された. : 5 kv : 7 kv (1) PEF 処理により EGFP インクルージョンボディを含む不溶性タンパク質を可溶化可能であり, 初発不溶性タンパク質濃度が高いほうが可溶化率は高くなることが示された. (2) 可溶化された EGFP は蛍光を発することからリフォールディングが起きていることが示された. (3) PEF 処理により CALB インクルージョンボディを含む不溶性たんぱく質を可溶化可能であったが可溶化率は低く, 初発不溶性タンパク質濃度が高くなると可溶化率が低下することが明らかとなった. また 可溶化したCALBは活性を有するまでリフォールディングされなかった. (4) PEF と界面活性剤の併用により可溶化率が相乗的に向上することが明らかとなった. また CALB の活性が確認されリフォールディングが起きていることが示された. (5) PEF 印加電圧を高くすることで可溶化率が向上し, 可溶化率が最大に達するまでに必要な時間が短くなることが明らかとなった. 図 10 印加電圧が可溶性画分のリパーゼ活性に与える影響 Fig. 10 Effect of applied voltage on time courses of lipase activity of soluble protein fraction 本研究では EGFP および CALB の二種類のタンパク質について PEF 処理によるインクルージョンボディの可溶化 リフォールディングを試みた.EGFP は PEF 処理のみで 10% 前後のリフォールディングが 20 min 程度の短時間の処理で可能であった. また CALB に関しても界面活性剤 (Triton-X100) と併用することにより有意なリフォールディング促進効果が確認できた. これらの結果から溶液環境を含めた処理条件の最適化により,PEF 処理によるインクルージョンボディの迅速なリフォールディングの可能性が示された. タンパク質の種類と PEF リフォールディング促進効果の関係を明らかとするためには, 今後種々のタンパク質に対しての知見を集積する必要があるが,PEF 処理は広くリフォールディングに利用できる技術であり, タンパク質生産における新たな可溶化 リフォールディング技術として更なる研究の価値があるものと考えられる. 4. 結言 PEF によるインクルージョンボディタンパク質のリフォールディングの検討を行い, 以下の結果を得た. 謝辞本研究の一部は科学研究費補助金 基盤研究 C(22510082) を受けて行われたものであり 深く感謝いたします 参考文献 1) J.F. Kane, D.L. Hartley: Formation of recombinant protein inclusion bodies in Escherichia coli. Trends Biotechnol., 6 (1988) 95 2) B. Fahnert, H. Lile, P. Neubauer: Inclusion bodies: formation and utilization. Adv. Biochem. Eng./Biotechnol., 89 (2004) 93 3) E.D. Clark: Refolding of recombinant protein. Curr. Opin. Biotechnol., 9 (1998) 157 4) S.M. Singh, A.K. Panda: Solubilization and refolding of bacterial inclusion body proteins. J. Biosci. Bioeng., 99 (2005) 303 5) T. Ohshima, T. Tmura and M. Sato: Influence of pulsed electric field on various enzyme activities. J. Electrostat., 65 (2007) 156 6) T. Tanino, T. Ohno, T. Aoki, H. Fukuda and A. Kondo: Development of yeast cells displaying Candida Antarctica lipase B and their application to ester synthesis reaction. Appl. Microbiol. Biotechnol., 75 (2007) 387 7) F. Yang, L.G. Moss and G. N. Jr. Phillips: The molecular structure of green fluorescent protein. Nat Biotechnol., 14 (1996) 1246 8) Protein Data Bank (http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do) ID: 1GFL 9) J. Uppenberg, M.T. Hansen, S Patker and T.A. Jones: The sequence, crystal structure determination and refinement of two crystal forms of lipase B from Candida antarctica. Structure, 2 (1994) 293 10) Protein Data Bank (http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do) ID: 1TCA