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Transcription:

3 次元 GlobalMHD シミュレーションの 磁力線追尾可視化技術 久保田康文 1 村田健史 1 山本和憲 1 深沢圭一郎 2 坪内健 3 1 NICT 2 九州大学 3 東京大学

話す内容 磁力線追尾について 磁場凍結の評価 拡散領域とリコネクションの対応 拡散領域の可視化

はじめに磁力線追尾の必要性 磁気圏対流を理解することは 太陽風 - 磁気圏 - 電離圏のエネルギー輸送を知る上で重要である 特に北向き IMF の時 磁気圏の対流は複雑である [Tanaka et al., 1999] [Watanabe et al., 2009] 電離圏のポテンシャル 太陽方向 IMF 南向き IMF 南向きの場合の Dungey type の対流 IMF 北向き

はじめに磁力線追尾の必要性 グローバル MHD シミュレーションの結果から磁力線を可視化し 磁気圏の対流を調べたい ある点 ( 始点 ) から 磁場に沿って積分し磁力線を描く 始点を固定した可視化ではどこから来た磁力線なのか分からない IMF 北向きの場合のリコネクションの概念図 [Watanabe et al., 2009]

はじめに磁力線を追尾するためには Frozen-in が成り立つ必要がある Frozen-in が成り立たない場合は磁場が拡散し 磁力線を追尾することができない Global MHD シミュレーションでは 安定に計算をするため 数値的な拡散項を付加しており 実際の惑星間空間より磁気レイノルズ数が小さい B t 2 ( V B) B 0 物理的な拡散 2 B シミュレーションを安定に解くための拡散 追尾をすると同時に 磁束の保存を調べる必要がある

目的 磁力線追尾の手法を確立する 磁力線を追尾するためには 磁場凍結が成り立っている必要があり 磁束の保存を確かめることで検証する また磁場の拡散領域を可視化する

プラズマの磁力線凍結 (Frozen-in) の検証方法 Frozen-in が成り立っているか調べる方法 Frozen-in が成り立つ プラズマのある面を通過する磁束が時間方向に一定 B n S B t ( V B) 0 2 B d dt 0 2 B n( S) 拡散項が 0 なら磁束は一定 ある面を通過する磁束 (φ) が時間的に保存されているか?φ(T1) = φ(t2)? fluxtube を追尾する t=t2 t=t1 Δt

MHD シミュレーションの Flux tube の追尾 30 点の始点 29 個の三角形 x t dt x t v t dt 30 点の始点 ( 流体要素 ) を MHD シミュレーションの時間発展する速度場にそって追尾する ( 流跡線 ) 精度よく追尾するために MHD シミュレーションの全時間ステップデータを用いた Flux tube

大規模データの並列分散処理過程 シミュレーションデータ全ステップを出力 1.3GB 14400 個ファイル (0.5s 刻みで 2 時間 )= 約 20TB HDF フォーマットに変換 HDF データ 流跡線追尾 追尾点データ Pwrake Parallel Workflow extension for Rake 分散ワークフロー実行ツール Rake= Ruby 版 make Ruby 言語による柔軟なワークフロー記述が可能 バーチャルオーロラ可視化 HDF_object データ node1 node2 node3 node バーチャルオーロラ GFA ファイルに結合 Client machine 使用したマシン 8 台クラスタ seg-gfarm-n01~n08 + 6 台クラスタ seg-gfarm-n73~n78

MHD シミュレーション MHD 方程式 解像度デカルト座標系 : 450(x) 300(y) 300(z) 等方格子 dx=0.2re 境界条件外側境界太陽風側 : 太陽風の値で固定テール側 : 自由境界内側境界 :4Re 以内は初期値 4-5Reで初期値と計算値をマージ 太陽風パラメータ 8/cc, 720 km/s, 10 7 K, Bz=-12nT, By=5nT 磁場の拡散係数は一定

大規模 3D オブジェクト 2000stepGFA(3GB) の紹介 8:21:00.000 UT から 8:37:40.000 UTまで0.5 秒刻みで16 分 昼側でリコネクション 拡散領域の幅 flank 側でKHによるリコネクションが見える 磁力線追尾ができているのか 64bitGFAプレーヤー ( 展開するのに時間がかかる 展開後 12GB) 緑 : detached 赤 : closed 黄 : open

プラズマの磁力線凍結 (Frozen-in) の検証例 T=0s のスナップショット 初期状態からの変化率 半径 1Re 半径 0.1Re 面積 磁束 法線方向の磁場強度

Flux tube 追尾 太陽風パラメータ 昼側リコネクション ローブ プラズマシート通過

Fluxtube 追尾 緑 : closed 赤 : open 黄 : detached

昼側リコネクション Flux tube Subsolar z=0 Subsolar z=6 磁束法線方向の磁場強度面積 Subsolar z=-6 磁束保存しない T=0s のスナップショット T=370s のスナップショット リコネクションする fluxtube で 拡散領域を通過する微小面の磁束は時間に対して初期からの変化率が 100% を超える 磁場凍結が成り立たない リコネクションする fluxtube で 拡散領域を通過しない微小面の磁束は変動が 20% 程度

どの程度拡散するとリコネクションするか 20 15 6 5 4 7 10 9 8 3 2 1 点番号 1 について初期からの変化が 70% になった時の点から磁力線を引いた 磁力線がリコネクションをしかけている 70% 以上でリコネクションする

拡散領域の可視化 前面から たくさんの点 (900 30 個 ) を流し込み 初期からの変化率がある % 以上の領域を可視化した 100% 80% 60% 40% 太陽から地球を見た図 変化率が大きい領域は面積が小さくなる 80% 程度でリコネクションが起きる 80% の図で昼側マグネットポーズで down-dusk 方向に拡散領域が分布する 拡散領域を磁力線が通過すると リコネクションをする Frank に不連続に分部している拡散領域は KH 不安定と対応する

拡散領域の IMF 依存性 Bz=-12nT, By=5nT B Z =5 nt, B Y =-5 nt IMF 南向き IMF 北向き IMF の向きによって 拡散領域が変化する IMF 南向きの場合 低緯度に分布する IMF 北向きの場合 高緯度に分布する 拡散領域内でリコネクションする 変化率 80%

夜側の Flux tube Plasma sheet lobe 磁束法線方向の磁場強度面積 T=0s のスナップショット T=370s のスナップショット プラズマシートを通過する微小面の磁束は時間に対して初期からの変化率が 60% ある 磁場凍結が成り立たない ローブ領域の微小面の磁束は変動が 5% 以下である

まとめ 磁力線を追尾し 磁束の保存を調べることで 昼側の拡散領域を 3 次元的に可視化することに成功した 拡散領域をモニターして磁力線を追尾することでリコネクションの可視化が可能となる IMF 北向きの場合 夜側のリコネクションの可視化を行い 磁気圏の対流を調べる予定である

太陽風パラメータ

地球磁気圏 Global MHD シミュレーション MHD 方程式 磁場の拡散係数一定 解像度デカルト座標系 : 450(x) 300(y) 300(z) 等方格子 dx=0.2re dt=0.5sec 追尾 時系列可視化

シミュレーションから可視化まで これまでの一般的な手法 (70 日 ) サイエンスクラウド高速処理技術 (8 日 ) スパコンシミュレーション (14400 ステップ ) 1 週間 スパコンシミュレーション (14400 ステップ ) 1 週間 スパコンディスク 解析ディスク伝送 1 週間 スパコンディスク 解析ディスク伝送 0 時間 標準データ形式 (HDF5) 変換 30 日間 磁力線追尾 (14400 ステップ ) 10 日 合計 26 日 標準データ形式 (HDF5) 変換 0 時間 磁力線追尾 (14400 ステップ ) 10 時間 合計 14 時間 時系列 3 次元可視化 16 日 時系列 3 次元可視化 4 時間 3000 ステップの場合は 5.5 日 3000 ステップの場合は 3 時間 23

KH によるリコネクションの可視化 磁気圏の flank でリコネクションをする

1 磁力線追尾可視化手法 Δt 3 Δt Δt 2 4 1 任意時刻 場所のプラズマ要素 ( 点 ) を選択する 2 要素点を通る磁力線を 3D 可視化する 3 プラズマ速度により Δt 後の要素点の位置を求める 4 要素点を通る磁力線を 3D 可視化する

磁力線追尾可視化 前例がない可視化技法のため 試行錯誤中 1. プラズマの磁力線凍結 (Frozen-in) を仮定してもよいか? 2. 数値誤差 ( シミュレーション誤差 可視化誤差 ) による 磁力線可視化のずれ はあるか? 3. 磁力線 で可視化するか? 磁束管 ( チューブ ) で可視化するか? 4. リコネクション ( 交差する 2 本の磁力線のつなぎ換え ) は可視化できるか? 26

一本の磁力線上に複数点始点を置き追尾した T=0s のスナップショット T=240s のスナップショット シース内では磁束がほぼ保存するが ( 初期からの磁束の変化が 5% 以内 ) 磁力線上で始点を追尾すると磁力線が数 Re 程度にばらけてしまう 磁束の保存と磁力線がばらけることについて結果が矛盾しているように見える理由は 磁力線を書く際に磁場に沿って積分していくので 積分した距離だけ磁場の誤差 ( 拡散や divb など ) がたまっていくためと考えられる

3 次元可視化 : 磁束管 か? 磁力線 か? t=t1 Δt t=t2 Φ(T1) φ(t2) 管内に磁場の散逸 ( 数値粘性 数値誤差 リコネクションなど ) があるために 磁束が保存しない 管の面積を小さくする 管の面積を小さくする t=t1 Δt t=t2 Φ(T1) = φ(t2) 管内の磁束が保存している Frozen-in が仮定できる 磁束管 を可視化する 管の面積を無減小にする どちらでもよい B t=t1 Δt t=t2 B B(T1) B (T2) Frozen-in が仮定できる 管中心を通る 磁力線 を可視化する

T=0sからの物理量の変化率初期状態の面積依存性 半径 0.05Re 半径 0.1Re 磁束法線方向の磁場強度面積半径 1Re T=0s のスナップショット T=480s のスナップショット どの面積の磁束も時間に対して初期からの変化率が 5% 以内である ほぼ磁場凍結が成り立っている 一番変化率が小さいのは半径 0.1Re の場合である ( 計算格子と同程度の面積 )

リコネクション ( 磁力線のつなぎ換え ) を可視化できるか?( 例 : 南向き IMF の場合 ) t=t1 t=t2 プラズマ要素の追尾 IMF 地球磁場 プラズマ要素の逆追尾? IMF でリコネクション点を 挟む 2 点を選択できるか? 逆追尾 は容易ではない つなぎ換わる地球磁場 は予測が難しい

時間 流跡線追尾方法 1ある時間 T 0 の 追尾する点 x 0 とシミュレーションデータを読み込む 2シミュレーションデータから追尾する点の速度を線形に補間 3 時間方向に発展させる 4 次の時間 T 1 の 点を求める v シミュレーションデータの HDF 変換 流跡線追尾ともに I/O に時間がかかる 処理ノードが 4 つで 追尾点が 200 個 ( 全点 ) それぞれが処理するデータが 8 個 (8step1~8) の場合の処理の流れ ( 例 ) サイクルノード #1 ノード #2 ノード #3 ノード #4 備考 読み込み 1 読み込み 2 読み込み 3 読み込み 4 全点計算 1 読み込み 5 前提待ち時間 全点計算 2 待ち時間前提 待ち時間 読み込み 6 全点計算 3 前提 全点計算 5 前提全点計算 6 読み込み 7 前提 全点計算 4 読み込み 8 全点計算 7 前提 全点計算 8

Galaxy15 の MHD シミュレーション MHD 方程式 解像度デカルト座標系 : 450(x) 300(y) 300(z) 等方格子 dx=0.2re 境界条件外側境界太陽風側 : 太陽風の値で固定テール側 : 自由境界内側境界 :4Re 以内は初期値 4-5Reで初期値と計算値をマージ 太陽風パラメータ Galaxy10 の時 (8:00 から 10:00 UT) の太陽風を 5 分値で入れてシミュレーションをした fluxrope 生成と昼側リコネクションを可視化した 磁場の拡散係数は一定

磁気圏で計算された沿磁力線電流から電気伝導度と電離層の電場ポテンシャルを求める 電離層の電場ポテンシャルから磁気圏のポテンシャルを求め 磁場と垂直方向の運動量を求める 磁場と平行方向の運動量は自由境界 沿磁力線電流 電気伝導度

Merging cells : open-closed 境界を 2 回横切る Lobe cells : open 領域 Viscous cells : closed 領域 round cells : a merging cell and a lobe cell crescent cells : a merging cell and viscous cell Siscoe et al., 2001b Separator line: dayside reconnection was expected to occur along a field line on the separatrix : open-closed field line boundary surface connecting the magnetic null in one hemisphere and the ionosphere in the other hemisphere Field aligned potential drop

拡散領域とリコネクションの対応関係 磁束の変化が 70%~80% の間はリコネクションする閾値がある 磁束の変化が 80% 以上の領域 この領域を通過すると リコネクションする リコネクションは拡散領域全体で磁力線が繋ぎ変わる

4 3 1 2 25 26 27 42 line1s70.gfa の図 70% 以上の点から磁力線を引いた 点番号 1 の磁力線がリコネクションをしかけている

1 70% 以上 点番号 1 の磁力線 detached 1 80% 以上 点番号 1 の磁力線 closed 70%~80% の間でリコネクションする閾値がある

PS ファイルと点番号の対応 時間 {(step-2521)*0.5 秒後 }, 点番号, x, y, z, 初期からの変化率 PS ファイルがあるディレクトリ 2529 42 0.5846867085E+001 0.3218153000E+001-0.1049670982E+002 0.7502177429E+002 ショック通過による 2649 2 0.7461172104E+001-0.1155396029E+000 0.1062803030E+001 0.7077864075E+002 最初のリコネクション領域通過 2650 25 0.7434258938E+001 0.3616333008E+000-0.1207507968E+001 0.7016730499E+002 2651 1 0.7522755146E+001 0.1038341969E+000-0.8811950684E-002 0.7044766235E+002 2666 26 0.7064517975E+001 0.6422882080E+000-0.2675322056E+001 0.7013359833E+002 2672 3 0.7033833027E+001-0.4208754897E+000 0.2721842051E+001 0.7013373566E+002 2796 27 0.3143332005E+001 0.1065680027E+001-0.6868597031E+001 0.7142364502E+002 カスプ 2804 4 0.2892777920E+001-0.8661766052E+000 0.7060239792E+001 0.7122463226E+002 nidl3_ 点番号.ps 3868 44-0.5850888062E+002 0.1014957047E+002-0.2766995049E+002 0.1997906860E+004 テールへ流される 3885 24-0.5862622070E+002-0.9660490036E+001 0.2790712929E+002 0.2115540039E+004 3889 43-0.5856842041E+002 0.9989152908E+001-0.2751299095E+002 0.1442674072E+004 3908 23-0.5863343811E+002-0.9518825531E+001 0.2766810036E+002 0.3401620117E+004 3930 22-0.5866619110E+002-0.9445301056E+001 0.2742439079E+002 0.3723012451E+004 上から磁束の変化が 70% 以上になった step( 時間 ) 順

1

3

5

7

10

15

20

48

これまでの 3 次元時系列可視化 (Global MHD) 49

磁力線追尾 3D 可視化 ( 本研究開発 ) Global MHD simulation Crown Milk 可視化 64bit 3D player developed by NICT