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第 102 回次世代大学教育研究会, 株式会社ディスコ西部支社会議室,. インタラクションによる意図せざる結 果の招来 : 発話行為理論の破たんと場 における意図と解釈の創発 Ver. 1.3 Ver. 1.0 2014 年 12 月 21 日 阪井和男 ( 明治大学 ) 井出祥子( 日本女子大学 ) 原田康也 ( 早稲田大学 ) 片桐恭弘( 公立はこだて未来大学 ) 場の言語学研究会, 科研費挑戦的萌芽研究 場の言語学の構築 : 場と意味の創発, 早稲田大学,2014 年 12 月 21 日. 本研究は平成 24 年度科学研究費助成事業 [ 基盤研究 (C) 24530491] および平成 26 年度科学研究費助成事業 [ 挑戦的萌芽研究 26580074] の助成を受けたものです. 資料 URL: https://dl.dropboxusercontent.com/u/12166972/ne102-linguistics_of_ba-sakai-20150221.pdf

https://dl.dropboxusercontent.com/u/12166972/sakai-who.pdf 略歴 < 役職等 > (2014 年 12 月 22 日現在 ) 阪井和男 Kazuo Sakai 明治大学法学部教授 ( 理学博士 ) sakai@meiji.ac.jp facebook.com/saka1kaz < 研究テーマ > 人 組織 社会の情報学 経営学 死生学 < 略歴 > 1952 年和歌山県和歌山市生まれ 1971 年和歌山県立桐蔭高校卒業 1977 年東京理科大学理学部物理学科卒業 1979 年同大学院理学研究科修士課程物理学専攻修了 1985 年同大学院理学研究科博士課程物理学専攻退学 (6 年間在籍 ) ソフトハウスに勤務 1987 年理学博士 ( 論文, 東京理科大学 ) 取得 サイエンスライター ( フリー ) 1990 年明治大学法学部専任講師 1993 年明治大学法学部助教授 1998 年明治大法学部教授 < インターネット公開授業 > 2014 年度情報組織論 II( 秋学期 ) の試聴用 URL http://exserver.muc.meiji.jp/mediasite/catalog/catalogs/sakai_2014f ( 明治大学サービス創新研究所客員研究員を主とした社会人講義 ) 2014 年度情報組織論 I( 春学期 ) の試聴用 URL http://ex-server.muc.meiji.jp/mediasite/catalog /catalogs/sakai_2014s ( さまざまな形式のワークショップを取り入れた授業 ) 明治大学専任教授連合会幹事長明治大学震災復興支援センター ( センター員 ) 明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表明治大学文明とマネジメント研究所所長明治大学サービス創新研究所所長明治大学社会イノベーション デザイン研究所副所長明治大学死生学 基層文化研究所研究者 < 公職等 > 私立大学キャンパスシステム研究会会長情報コミュニケーション学会顧問電子情報通信学会思考と言語研究会 (TL) 顧問ドラッカー学会理事サービスデザイニング研究所所長イシス アカデミア代表幹事次世代大学教育研究会副代表新世代デジタル教育研究会代表幹事オープンソース & リソース戦略研究会共同代表 DPC マネジメント研究会理事早稲田大学グローバルエデュケーションセンター非常勤講師早稲田大学情報教育研究所招聘研究員共愛学園前橋国際大学グローバル人材育成協議会委員サービス学会 (Society for Serviceology) 設立時発起人大学情報サミット初代代表幹事有限会社想隆社顧問 ( 科学技術担当 ) Why Work イニシアティブプロジェクト幹事会代表幹事 <NPO 等 > 一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会 (JMOOC) 理事ネクストワールド サミット大会審査委員長 ( 一般社団法人一般社団法人日本経営イノベーション協会 ) 一般社団法人 CS スペシャリスト検定協会理事 NPO 実務能力認定機構理事 NPO 法人人材育成マネジメント研究会理事 NPO 法人日本地域活性力創出機構評議員特定非営利活動法人防災 市民メディア推進協議会

スピーチアクト ( 発話行為 ) 理論 による解釈不可能性 発話行為理論話し手中心的な理論 ( 他の語用論理論も同様 ) これまでの言語学のスピーチアクト ( 発話行為 ) 理論では 話し手の intension ( 意図 ) があり 加えて話し手の implicature ( 含意 ) が議論されてきた しかし 聞き手がその発話をどのように解釈するか についての議論はなかった 阪井 井出 原田 片桐 3

朝の食卓での夫婦の会話 おさんとおさんは どこかへ出かける予定がある そして 朝食をとっている 食卓で向い合せに座っている おさん 雨が降ってきたようだね おさん 行くの やめましょうか? おさん そうしようか おさん ええ おさんおさん 行きたかった 行きたくなかった 計 行きたかった行きたくなかった 計 石井淳蔵, ビジネス インサイト ( 創造の知とは何か ), 岩波新書 1183, 岩波書店,p. 216, 2009 年 4 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 4

結晶化ワールドカフェ 0. ワークショップの理念とテーマ 隣の学生が最大の教育資源 ( 原田康也 早稲田大学 ) 今回のテーマは 1. 交流セッション (10 分 )3~4 名 / グループ はじめに挨拶をして, 簡単な自己紹介をする 紙の中央にテーマを書いて丸で囲む 自由に意見交換をする 批判や論評は一切しない. 多様な意見を聞くことが目的! 周りにコメント キーワードを自由に書き加える 阪井 井出 原田 片桐 5

結晶化ワールドカフェ 2. メンバーチェンジ 終了後, ホスト役を決める ( ホスト役は紙をもって立ち上がる ) ホスト役とは, 新しく迎えるメンバーに説明する役のこと ジャンケン以外の方法で決めること (Decision-making without Janken( さかはらあつし )) メンバーチェンジ ( 感謝の挨拶をして, かぶらないよう別のグループへ移動 ) 3. 焦点化セッション (10~15 分 ) はじめに挨拶 指定されたテーマに沿って意見交換 時間があれば, メンバーチェンジしてもう 1 セッション阪井 井出 原田 片桐 6

結晶化ワールドカフェ 4. 結晶化セッション (5~10 分 ) キーワードを3~5 個相談しながら選び出す ( 千本木友博 ) ( 結晶化 の命名由来は, 矢野直明 ) 5. シェア ( 任意 ) ホスト役または適任者が, はじめにキーワードを挙げる 次に, キーワードを用いて説明する おさんおさん 行きたかった 行きたくなかった 計 行きたかった行きたくなかった 計 阪井 井出 原田 片桐 7

意図せざる結果 おさんとおさんは どこかへ出かける予定がある そして 朝食をとっている 食卓で向い合せに座っている おさん 雨が降ってきたようだね ふと窓の外を見て雨が降ってきたのに気がつく おさん 行くの やめましょうか? おさん 出かけるのが嫌なんだ と思う おさん そうしようか そういうつもりで言ったわけではないのに とちょっと驚く しかし おさんは行きたくないのかも とおさんに配慮する おさん ええ やはりおさん 出かけたくなかったんだ と思ってうなずく 石井淳蔵, ビジネス インサイト ( 創造の知とは何か ), 岩波新書 1183, 岩波書店,p. 216, 2009 年 4 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 8

場とコミュニケーション わたくし に事前に意図があり, それがなんらかの行為へと変換されて あなた に渡され, それを あなた が解釈する, というコミュニケーション像は不十分 ( 安冨歩,p.65) 場があり, そこに行為が生成されると同時に意図と解釈が生まれ ( 創発 ), コミュニケーションが実現し, それが場を再生産する ( 安冨歩,p.65) 意図と解釈が一致するかどうかは問題外 ( 安冨歩,p.68) 通じたことにする ことでコミュニケーションが成立 ( 安冨歩, pp.68-69) 安冨歩, 複雑さを生きる( やわらかな制御 ), フォーラム共通知をひらく, 岩波書店,2006 年 2 月 22 日. 阪井 井出 原田 片桐 9

自己の卵モデルと 相互誘導合致 認知的メカニズムの仮説

自己の卵モデル 二重生命 (Dual Mode Thinking) 場所的領域 自己的領域 A: 場所的領域 (Domain of place) 遍在的自己 ( 情動脳 + 反射脳 ) B: 自己的領域 (Domain of self-centered ego) 局在的自己 ( 理性脳 ) A と B が同時に働いている 清水博, 場の思想, 東京大学出版会,pp.44-50,2003 年 7 月 17 日. 2011 年 11 月 26 日阪井和男 栗山健 11

場所的領域の相互誘導合致 個人 A 個人 B 場所的領域が未融 相互誘導合致 (Induced Fit) まずコンテクスト ( 鍵穴 ) がある それに合うように発話 ( 鍵 ) がある コンテクストと発話は 鍵穴と鍵のように相互に誘導して合致する関係 清水博, 場の思想, 東京大学出版会,pp.44-50,2003 年 7 月 17 日. 井出祥子, 日本語には何故敬語が必要なのか?( 日本語と場の論理 ), 信学技報 IEICE Technical Report, 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5. 2010 年 1 月 20 日 明治大学阪井和男 栗山健 12

場所的領域の相互誘導合致 自己の卵モデル 安全ゾーン 危険ゾーン 心地よさ リバーサル理論 リラックスした気分 クレーム覚醒が高い 不快感 低い 穏やか 不安 高い 覚醒 安全ゾーン危険ゾーン外傷ゾーン 2010 年 1 月 20 日明治大学阪井和男 栗山健 13

場所的領域の相互誘導合致 自己の卵モデル 安全ゾーン 危険ゾーン 心地よさ リバーサル理論 リラックスした気分 クレーム覚醒が高い 興奮 反 (1 次相転移的 ) 転 プロテクティブ フレーム 不快感 低い 退屈 穏やか 不安 高い 覚醒 里山的領域 * 安全ゾーン 安心ゾーン興奮 不安 プロテクティブ 外傷ゾーン フ危険ゾーンレー * 清水博, 場の設計原理と日本のこころ 公開シンポジウム 地球時代の未来をム設計する : 場の論理の展開 早稲田大学総合研究機構情報教育研究所 2009 年 12 月 26 日. 2010 年 1 月 20 日明治大学阪井和男 栗山健 14

里山的領域 * 自己の卵モデル 危険ゾーン リバーサル理論 A B 里山的領域 * プロテクティブ フレーム 場所的領域 B 外傷ゾーン 場所的領域 A 安全ゾーン プロテクティブ フレーム 安心ゾーン興奮 不安 危険ゾーン 安心ゾーン興奮 不安 危険ゾーン プロテクティブ フレー 安全ゾーン 外傷ゾーン * 清水博, 場の設計原理と日本のこころ 公開シンポジウム 地球時代の未来をム 設計する : 場の論理の展開 早稲田大学総合研究機構情報教育研究所 2009 年 12 月 26 日. 2010 年 1 月 20 日明治大学阪井和男 栗山健 15

里山的領域 * 自己の卵モデル 危険ゾーン リバーサル理論 A 里山的領域 * 安心ゾーン B プロテクティブ フレーム 場所的領域 B 外傷ゾーン 場所的領域 A 安全ゾーン プロテクティブ フレーム 里山的領域 * 安心ゾーン興奮 不安危険ゾーン 安心ゾーン興奮 不安危険ゾーン プロテクティブ フレー 安全ゾーン 外傷ゾーン * 清水博, 場の設計原理と日本のこころ 公開シンポジウム 地球時代の未来をム 設計する : 場の論理の展開 早稲田大学総合研究機構情報教育研究所 2009 年 12 月 26 日. 2010 年 1 月 20 日明治大学阪井和男 栗山健 16

場の共有 相互誘導合致 (Induced Fit) まずコンテクスト ( 鍵穴 ) がある それに合うように発話 ( 鍵 ) がある コンテクストと発話は 鍵穴と鍵のように相互に誘導して合致する関係 場の生成プロセスをよく表現できる 清水博, 場の思想, 東京大学出版会,pp.44-50,2003 年 7 月 17 日. 井出祥子, 日本語には何故敬語が必要なのか?( 日本語と場の論理 ), 信学技報 IEICE Technical Report, 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5. 2010 年 1 月 20 日明治大学阪井和男 栗山健 17

夫婦の会話における 相互誘導合致

学習としての相互誘導合致 出会い 自己の卵モデル による解釈 清水博, 場の思想, 東京大学出版会,pp.44-50,2003 年 7 月 17 日. 恋人 男 女 夫婦 * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 当事者間の了解 ( 定延利之 *) 阪井 井出 原田 片桐 19

自己の卵モデルによる 場 おさんとおさんは どこかへ出かける予定がある そして 朝食をとっている 食卓で向い合せに座っている おさん 雨が降ってきたようだね ふと窓の外を見て雨が降ってきたのに気がつく おさん 行くの やめましょうか? おさん 出かけるのが嫌なんだ と思う おさん そうしようか そういうつもりで言ったわけではないのに とちょっと驚く しかし おさんは行きたくないのかも とおさんに配慮する おさん ええ やはりおさん 出かけたくなかったんだ と思ってうなずく 石井淳蔵, ビジネス インサイト ( 創造の知とは何か ), 岩波新書 1183, 岩波書店,p. 216, 2009 年 4 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 20

自己の卵モデルによる 場 おさんとおさんは どこかへ出かける予定がある そして 朝食をとっている 食卓で向い合せに座っている ふと窓の外を見て雨が降ってきたのに気がつく 雨が降ってきたようだね 阪井 井出 原田 片桐 21

当事者間の了解 * のゆらぎ 確信状態の変容 おさん 出かけるのが嫌なんだ と思う 行くの やめましょうか? * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 22

当事者間の了解 * のゆらぎ 確信状態の変容 おさん 出かけるのが嫌なんだ と思う (1 次相転移的 ) 相互誘導合致の崩壊 行くの やめましょうか? * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 23

による相互誘導合致 そういうつもりで言ったわけではないのに とちょっと驚く 学習 : 相手に合わせて自分を変える しかし おさんは行きたくないのかも とおさんに配慮する 阪井 井出 原田 片桐 24

無限後退問題 * の打ち切り そうしようか やはりおさん 出かけたくなかったんだ と思ってうなずく ええ * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 25

スピーチアクト ( 発話行為 ) 理論 による解釈不可能性 朝の食卓での夫婦の会話 聞き手が話し手の含意を 思い遣り 配慮 をもって推し量り 話し手の含意でなく 聞き手の含意で会話が流れている したがって この会話はスピーチアクト理論では解釈不可 場の理論の二重生命 ( 卵の黄身と白身 ) をもった場を設定し 白身の領域で起こる 配慮交渉 がなされている会話 阪井 井出 原田 片桐 26

まとめ

自己の卵モデルによる 場 おさんとおさんは どこかへ出かける予定がある そして 朝食をとっている 食卓で向い合せに座っている ふと窓の外を見て雨が降ってきたのに気がつく 雨が降ってきたようだね 阪井 井出 原田 片桐 28

当事者間の了解 * のゆらぎ 確信状態の変容 おさん 出かけるのが嫌なんだ と思う 行くの やめましょうか? * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 29

による相互誘導合致 そういうつもりで言ったわけではないのに とちょっと驚く 学習 : 相手に合わせて自分を変える しかし おさんは行きたくないのかも とおさんに配慮する 阪井 井出 原田 片桐 30

無限後退問題 * の打ち切り そうしようか やはりおさん 出かけたくなかったんだ と思ってうなずく ええ * 定延利之, 当事者間の了解 に関する無限後退の問題について, 思考と言語研究会, 電子情報通信学会, 大阪電気通信大学,2014 年 12 月 21 日. 阪井 井出 原田 片桐 31

1 次相転移的な場の崩壊 自己の卵モデル 安全ゾーン 危険ゾーン 心地よさ リバーサル理論 リラックスした気分 クレーム覚醒が高い 興奮 反 (1 次相転移的 ) 転 プロテクティブ フレームの認知的消失? 不快感 低い 退屈 穏やか 不安 高い 覚醒 里山的領域 * 安全ゾーン 安心ゾーン興奮 不安 プロテクティブ 外傷ゾーン フ危険ゾーンレー * 清水博, 場の設計原理と日本のこころ 公開シンポジウム 地球時代の未来をム設計する : 場の論理の展開 早稲田大学総合研究機構情報教育研究所 2009 年 12 月 26 日. 阪井 井出 原田 片桐 32

スピーチアクト ( 発話行為 ) 理論 による解釈不可能性 配慮交渉 これに関わる場の要素として 場面 会話参加者の役割 そこにいたるまでの来歴などがある 日本人は相手のことを思い遣りそれに基づいてやりとり コミュニケーションが行われていることによるもの 思い遣りの推論の考えは 欧米先導の言語使用理論 ( 語用論 ) にはなく 日本から発信すべきもので 世界的に見てユニーク 阪井 井出 原田 片桐 33

まとめ 話し手の意図の不在 話し手が確たる意図を持っているという前提がそもそも日本人の場合にはあてはまらない ( 原田 ) 応用 ロメオとジュリエット や 風と共に去りぬ のあらすじを分析 阪井 井出 原田 片桐 34

おまけ

場の形成と学習 場の形成 互いに相手についての理論を作り続けるという努力 (= 学習 ) が不可欠 このような学習過程が背後で作動することで コミュニケーションは事後的に成立し続ける ( 安冨歩,p.72) 学習過程を悪用すると? 安冨歩, 複雑さを生きる( やわらかな制御 ), フォーラム共通知をひらく, 岩波書店,2006 年 2 月 22 日. 阪井 井出 原田 片桐 36

コミュニケーションの危険性 ハラスメント = 学習過程の悪用相手にのみ無駄な学習を続けさせること ( 安冨,p.75) コミュニケーションが持つ本質的な危険性 ( 安冨,p.74) ひとがコミュニケーションを実現するために形成する信念 ( 相手も自分と同じ世界をもっているだろう ) と その信念を基盤として相手を理解するための理論を構築しようという努力を悪用し 他者を操作しようとすること ( 安冨,p.74) 人々を苦しめ 社会を崩壊させるのは 学習過程の停止である ( 安冨,p.210) 自分の感覚を裏切り 他者の心の動きに対する感覚を失った人間は 他者を支配しようとしてハラスメントを行う ( 安冨,p.210) ハラスメントへの対応? 安冨歩, 複雑さを生きる( やわらかな制御 ), フォーラム共通知をひらく, 岩波書店,2006 年 2 月 22 日. 阪井 井出 原田 片桐 37

ハラスメントへの対応 ハラスメントの悪魔に立ち向かう 相互に学習過程を開いた形でコミュニケーションを形成すること ( 安冨,p.210) 方法 : 1. 自分の感覚を信頼すること ( 安冨,p.146) 2. 自分の学習過程を鍛えること ( 安冨,p.94) 3. 他人の学習過程の作動を促すこと ( 安冨,p.94) 安冨歩, 複雑さを生きる( やわらかな制御 ), フォーラム共通知をひらく, 岩波書店,2006 年 2 月 22 日. 阪井 井出 原田 片桐 38

やわらかな制御 やわらかな制御 リアルタイムの柔軟な処理 ( 安冨,p.123) cf. リアルタイムの創出知 ( 清水博,1996 年 ) 共生的価値創出 ( 安冨 ) 働きかける側と対象となる側を 相互に依存し 影響しあう一つのシステムとして認識する姿勢 ( 安冨,p.128) cf. ブリコラージュ ( レヴィ = ストロース ) 教える側と教えられる側がすでに持っているものを繋ぎ合わせ そこにひとつのコミュニケーションの運動を創り出し そこから新しい動きを生み出していく ( 安冨,p.129) 安冨歩, 複雑さを生きる( やわらかな制御 ), フォーラム共通知をひらく, 岩波書店,2006 年 2 月 22 日. 清水博, 生命知としての場の論理( 柳生新陰流に見る共創の理 ), 中公新書 1333, 中央公論新社,1996 年 11 月 25 日. 阪井 井出 原田 片桐 39

共鳴場 共鳴場とは 異質な活動が連鎖する接点 創造性が発揮され ブレークスルーが起る! ブレークスルーの連鎖がイノベーションを起こす!( 山口栄一 2006) なぜ共鳴場がよいか? 相手が嫌いでも共鳴できる 共感 ではない! 相手に従わなくても共鳴できる 支配 ではない! 相手に頼らなくても共鳴できる 依存 ではない! 自律性を失わずに互いの力を生かしあえる! 個人が問題なのではなくて 場の活動が問題!( 伊丹 2005) 山口栄一 イノベーション破壊と共鳴 NTT 出版 東京 2006 年伊丹敬之, 場の論理とマネジメント, 東洋経済新報社,2005 年 12 月 29 日. 阪井 井出 原田 片桐 40

おわり