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適正使用に関するお願い 臨床試験の副作用の重症度評価は NCI(National Cancer Institute) の CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)Ver. 3.0 のグレード分類に準じています 有害事象共通用語規準 v3.0 日本語訳 JCOG/JSCO 版 [ 日本癌治療学会誌 9(Suppl.2), 1, 2004 / JCOG Web サイト http://www.jcog.jp/ ] 2 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

目次 Ⅰ 癌の薬物療法による口内炎 4 4 5 6 7 Ⅱ 発現状況 発現時期 8 8 10 12 14 Ⅲ 減量 休薬及び治療 16 16 18 Ⅳ ケースレポート 60 代男性 20 20 22 Ⅴ セルフケア 24 24 24 25 26 27 27 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 3

Ⅰ 癌の薬物療法による口内炎 主な臨床所見 自覚的症状 口腔内 接触痛 出血 冷温水痛口腔乾燥口腔粘膜 腫脹開口障害 咀嚼障害嚥下障害味覚障害 他覚的症状 口腔粘膜 発赤紅斑 潰瘍偽膜出血 厚生労働省 : 重篤副作用疾患別対応マニュアル : 抗がん剤による口内炎 ( 平成 21 年 5 月 ) [http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1l09.pdf] より引用 4 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅰ 癌の薬物療法による口内炎 口内炎の発現部位 癌薬物療法における口内炎の発症部位 大田洋二郎 : がん治療による口腔粘膜炎 口のトラブルに備える静岡県立がんセンター発行パンフレットより引用 患者によるセルフケアでは 以下の点を指導してください 図に示した発現部位を注意して観察する 粘膜の変化 ( 紅斑 潰瘍 出血等 ) をみつけたら主治医や看護師 薬剤師に連絡する 口腔内セルフチェックについて P.27 参照 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 5

グレードと診察所見 機能 / 症状 口腔粘膜炎 のグレード分類 (CTCAE Ver4.0) 症状 中等度 疼痛高度 疼痛生命 脅軽度 症状 / 食事 変更 要 治療 要 経口摂取 支障 経口摂取 支障 緊急処置 要 有害事象共通用語規準 v4.0 日本語訳 JCOG 版 [JCOG Web サイト http://www.jcog.jp] より引用 改変 口腔粘膜 浮腫状変化 感 喉 違和感 潰瘍部分 痛 固形物嚥下時 軽度 痛 潰瘍部 刺 強 痛 唾液 飲 込 嚥下時 痛 鎮痛剤 効果 強 痛 全身的 発熱 敗血症 危険性 6 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅰ 癌の薬物療法による口内炎 口内炎のリスク因子 口腔衛生状態不良 歯 歯周病 舌苔 多 歯磨 含嗽 義歯不適合 免疫能の低下 高齢者副腎皮質 剤 使用糖尿病等 栄養状態の不良 放射線治療の併用 ( 頭頸部 ) 放射線 直接的 粘膜障害 唾液分泌 抑制 口腔乾燥 喫煙 ニコチンによる影響 : 口腔粘膜血管 収縮 口腔粘膜 血流量低下 生体 免疫機構 影響 白血球 機能低下 喫煙による歯石形成の促進 : 嫌気性菌 増加 環境 作 考 厚生労働省 : 重篤副作用疾患別対応マニュアル : 抗がん剤による口内炎 ( 平成 21 年 5 月 ) [http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1l09.pdf] より一部引用 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 7

Ⅱ 発現状況 発現時期 発現頻度 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌 RECORD-1 試験 n=274n=15 例数 (%) n=15 例数 (%) 口内炎 99 36.1 9 3.3 性口内炎 25 9.1 0 口腔内潰瘍形成 4 1.5 0 舌潰瘍 3 1.1 0 進行性胃癌対象国内第 Ⅱ 相臨床試験 (n=53) 例数 (%) 口内炎 3871.7 35.7 RECORD-1 試験における副作用データは試験中止時 (2008 年 2 月 ) のものです RECORD-1 試験 進行性胃癌対象国内第 Ⅱ 相臨床試験 口内炎 9 60.0 0 性口内炎 1 6.7 0 舌潰瘍 2 13.3 0 発現時期 0RECORD-1 試験 [ 癌 ](n24 日本人 n15) 国内臨床試験 [ 行 癌 ](n53) () 0 60 50 40 30 20 10 29.9% 66.0% 1-28 7.7% 5.7% 1.5% 0% () 1-28 40 35 30 35.8% 25 20 8.8% 11.3% 13.9% 11.3% 15 5.8% 7.5% 10 1.5% 50 1-8-14 15-21 22-28 ( 日 ) 1.1% 0% 0.7% 0% 0.7% 0% 0.7% 0% 29-56 5-84 85-112 113-140 141-168 169-( 日 ) RECORD-1 試験の国内症例 (n=15) 発現率 例 60.0% 9 例 6.7% 1 例 発現率 例 26.7% 4 例 33.3% 5 例 0% 0% 0% 0% 0% 0% 6.7% 1 例 8 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅱ 発現状況 発現時期 アフィニトールの安全性の評価について本剤 根治切除不能又 転移性 腎細胞癌 効能 効果 日本人 含 第 Ⅲ 相国際共同臨床試験 RECORD-1 試験 承認 安全性 日本人 情報 補完 目的 日本人進行性胃癌患者 国内未承認 10mg/ 日投与 第 Ⅱ 相国内臨床試験 成績 加 安全性 検討 腎細胞癌対象第 Ⅲ 相国際共同臨床試験 (RECORD-1) の試験の概要 試験 多施設共同 二重盲検 化 対照 並行群間比較試験 投与方法 群 10mg1 日 1 回 空腹時 連日経口投与 評価項目 主要評価項目 無増悪生存期間 PFS 副次的評価項目 全生存期間 OS 奏効率 奏効期間 PROFKSI-DRSEORTC QLQ-C30 VEGF 416 21 n277 n139 RECORD-1 試験の詳細については アフィニトール錠製品情報概要等をご参照ください アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 9

膵神経内分泌腫瘍 発現頻度 RADIANT-3 試験 n=204n=23 例数 (%) n=23 例数 (%) 口内炎 10852.9 104.9 口内炎 1773.9 0 性口内炎 2210.8 10.5 口腔内潰瘍形成 125.9 31.5 舌潰瘍 73.4 0 発現時期 RADIANT-3 試験 1-28 55.9% 21.1% 16.2% 15.2% 3.4% 発現率 26.1% 34.8% 8.7% 4.3% 例 6 例 8 例 2 例 1 例 2.9% 2.5% 1.0% 1.5% 0.5% 0% 0% RADIANT-3 試験の国内症例 (n=23) 発現率 例 73.9% 17 例 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 10 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅱ 発現状況 発現時期 膵神経内分泌腫瘍対象第 Ⅲ 相国際共同臨床試験 (RADIANT-3) の試験の概要 試験 多施設共同 二重盲検 化 対照 並行群間比較試験 投与方法 群 10mg1 日 1 回 空腹時 食後 同一条件 連日経口投与 評価項目 主要評価項目 無増悪生存期間 PFS * 副次的評価項目 全生存期間 OS 抗腫瘍効果 奏効率 腫瘍縮小効果 安全性 410 11 3 n207 3 n203 RADIANT-3 試験の詳細については アフィニトール錠製品情報概要等をご参照ください アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 11

結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫 発現頻度 EXIST-2 試験 n=79n=7 例数 (%) n=7 例数 (%) 口内炎 3949.4 11.3 口内炎 571.4 0 性口内炎 1417.7 22.5 性口内炎 114.3 0 口腔内潰瘍形成 1215.2 22.5 歯肉痛 11.3 0 舌炎 11.3 0 EXIST-1 試験 n=78 例数 (%) 口内炎 2532.1 67.7 口腔内潰瘍形成 2532.1 11.3 口唇潰瘍 11.3 0 発現時期 57.0% 38.5% 11.4% 9.0% 1.3% 2.6% 1.3% 2.6% 2.5% 3.8% 1.3% 1.3% 1.3% 0% 0% 0% 0% 0% 1.3% 0% 0% 0% 12 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅱ 発現状況 発現時期 (1) 日本人を含む第 Ⅲ 相国際共同臨床試験 (EXIST-2 試験 ) の概要 試験 多施設共同 二重盲検 化 対照 並行群間比較試験 投与方法 群 10mg1 日 1 回食後 連日投与 評価項目 主要評価項目 腎 AML 対 奏効率副次的評価項目 腎 AML 進行 期間 皮膚病変 対 奏効率等 LAM AML 118 10 21 1 10mg/ n=79 7 n=39 3 (2) 第 Ⅲ 相海外臨床試験 (EXIST-1 試験 ) の概要 海外データ 試験 多施設共同 二重盲検 化 対照 並行群間比較試験 投与方法 群 又 1 日 1 回食後 投与 4.5mg/m 2 / 日 開始用量 濃度 515ng/mL 範囲 増量 濃度 測定 LC- MS/MS 法 行 評価項目 主要評価項目 SEGA 対 奏効率副次的評価項目 発作 頻度 24 週時点 変化 SEGA 進行 期間 皮膚病変 対 奏効率等 SEGA 117 21 1 n=78 4.5mg/m 2 / 515ng/mL n=39 EXIST-2 試験 EXIST-1 試験の詳細については アフィニトール錠またはアフィニトール分散錠の製品情報概要等をご参照ください アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 13

0手術不能又は再発乳癌 発現頻度 BOLERO-2 試験 n=482n=71 例数 (%) 口内炎 27757.5 387.9 口腔内潰瘍形成 214.4 20.4 性口内炎 183.7 0 舌痛 51.0 0 舌炎 40.8 0 口唇潰瘍 40.8 0 n=71 例数 (%) 口内炎 6490.1 79.9 舌炎 34.2 0 口腔内潰瘍形成 11.4 0 舌痛 11.4 0 発現時期 BOLERO-2 試験 () 60.0 51.7% 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 1-28 症例 (n482 日本人 n1) 国内症例 (n1) 7.3% 2.3% 1.2% 0.4% () 25.0 16.6% 20.0 15.0 10.0 5.0 01-28 19.1% 11.2% 1-8-14 15-21 4.8% 22-28( 日 ) 0.6% 0.2% 0.2% 0.6% 0.0% 0.0% 29-56 5-84 85-112 113-140 141-168 169-196 19-224 225-252 253-280 281-( 日 ) 発現率 例 42.3% 30 例 35.2% 25 例 5.6% 4 例 4.2% 3 例 BOLERO-2 試験の国内症例 (n=71) 発現率 例 87.3% 62 例 4.2% 3 例 0% 0% 0% 1.4% 1 例 0% 0% 0% 0% 0% 14 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅱ 発現状況 発現時期 日本人を含む第 Ⅲ 相国際共同臨床試験 (BOLERO-2 試験 ) の概要 試験 多施設共同 二重盲検 化 対照 並行群間比較試験 投与方法 群 10mg25mg 毎日同 時刻 1 日 1 回食後 連日経口投与 評価項目 主要評価項目 無増悪生存期間 PFS * 副次的評価項目 全生存期間 OS 奏効率 率 奏効 期間及 奏効期間 ECOG PS 悪化 期間 PROEORTC QLQ-C30 安全性等 ER HER2 724 21 10mg/ 25mg/ n485 25mg/ 2 n239 BOLERO-2 試験の詳細については アフィニトール錠製品情報概要をご参照ください アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 15

Ⅲ 減量 休薬及び治療 減量 休薬基準 / 治療指針 1 2 3 4 口内炎のグレード分類 (CTCAE Ver4.0) について P.6 参照 腎細胞癌 膵神経内分泌腫瘍 結節性硬化症 伴 腎血管筋脂肪腫 場合 手術不能又 再発乳癌 場合 結節性硬化症 伴 上衣下巨細胞性星細胞腫 場合 16 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅲ 減量 休薬及び治療 1 2 3 処置の際における注意事項 ( グレード 2~3) 結節性硬化症 伴 上衣下巨細胞性星細胞腫 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 17

治療方法 含嗽剤等による保存的処置 ( 口腔ケア ) 消炎及び鎮痛薬 粘膜保護 18 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅲ 減量 休薬及び治療 口腔ケア対処例 軟膏 口腔用軟膏 1 日 1 数回 生理食塩水 NaCl 9g 水 1,000mL 溶解 含嗽水 酸 水和物 10mg 水又 微温湯 500mL 溶解 含嗽水 2% 重曹水 1 日量 又 潰瘍 伴 口内炎 口腔 介入 困難 程 重症口内炎 口腔乾燥 手術周術期 口腔 咽頭炎 扁桃炎 口内炎 発症 粘膜炎 性口内炎 同 病態 潰瘍面 塗布 接触痛 軽減 頭頸部領域 放射線化学療法 造血幹細胞移植時 重症口内炎 対 1 日 5 回 8 回含嗽 口内炎 疼痛 強 場合 粘膜 刺激 少 含嗽 一般的 軽度 口内炎 粘膜炎 対 1 日 5 回 8 回含嗽 粘膜保護 創部治癒促進作用 消毒作用 酸 水和物 10mg 60mL 水 500mL 溶解 含嗽水 塩酸塩 1mL 中 40mg 液剤 5mL/10mL/15mL 添加 鎮痛剤入 含嗽水 口腔内乾燥症 放射線治療 唾液分泌減少時 口腔乾燥 放射線性口内炎 化学療法 口内炎 疼痛 咽頭炎 嚥下痛 使 食事 口内痛 毎食前 直前 含嗽 1 回 20mL 口腔内 含 口腔内 含嗽 2 分間行 非 系抗炎症薬 消炎鎮痛 300g 中 0.1g 含有 軟膏剤 150g 塩酸塩 1mL 中 20mg 含有 剤 1 本 30mL 混合 軟膏剤 放射線性口内炎 化学療法 口内炎 口腔粘膜 痛 咽頭炎 嚥下痛 口唇部 頬粘膜部 放射線 化学療法時 粘膜炎 口内炎 強 食事 際 粘膜疼痛 嚥下時痛 有効 食事 15 30 分前 服用 酸 水和物 塩酸塩 含嗽水 併用 注意 使 FP-R 腎機能障害 増大 変更 1,200mg 分 31 日 口唇 舌等 口腔粘膜炎患部 直接塗布 効果持続時間 10 分 15 分 短 口内炎 限局 局所的 使 場合 有効 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 19

Ⅳ ケースレポート ケース 1 60 代男性 患者背景 1998/-/- * 混合型 Ⅱ 100 根治的腎摘除術 1998/2/2 前治療歴 2009/ 6/ 20 2010/ 4/ 4 SD PD 2008/ 7/ 8 2008/ 12/ 26 SD 2010/ 1/ 26 * SD 療法希望 症例 : 近畿大学医学部泌尿器科学教室 20 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅳ ケースレポート 経過の詳細 1998 腎細胞癌指摘 1998/2/2 根治的腎摘除術施行 2010/4/5 day1 2010/4/13 day9 2010/4/17 day13 2010/4/19 day15 2010/5/10 day36 10mg/ 日 投与開始 口内炎自覚 OTC 口内炎用塗薬 用 効果得 患部 下唇 疼痛 現 外来日 口内炎 1 診断 投与 継続 含嗽液 含嗽 開始 毎食後 口内炎回復 含嗽液 含嗽 継続 アフィニトール投与による口内炎 ( グレード 1)2010/4/19(day 15) 症例 : 近畿大学医学部泌尿器科学教室 参考 代謝拮抗剤投与による口腔粘膜炎の症状 ( グレード 2) 投与 伴 口内炎 症状 右 示 殺細胞性抗癌剤 口腔粘膜炎 異 性口内炎 似 症状 出 確認 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 21

ケース 2 60 代女性 患者背景 女性 60 代 転移性乳癌 肺 肝 骨転移 高血圧症 高脂血症 薬物 系 子宮内膜 肝嚢胞 腎嚢胞 胆石 10mg12 日間 5mg14 日間 国内臨床試験 経過の詳細 投与開始日 投与 9 日目 投与 13 日目 中止日 投与 14 日目 中止翌日 投与 15 日目 中止 2 日後 投与 22 日目 中止 9 日後 投与 23 日目 中止 10 日後 投与 27 日目 中止 14 日後 投与 38 日目 中止 25 日後 本剤 10mg/ 日 +25mg/ 日投与開始 口腔内 違和感 自覚 口内炎 2 確認 経口摂取 困難 輸液施行 本剤及 投与中止 口内炎 3 確認 輸液施行 口内炎 3 持続 経口摂取 全 持続的 輸液 必要 判断 入院 口内炎改善傾向 流動食開始 口内炎 1 改善 確認 経口摂取量 増 退院可 判断 25mg/ 日投与再開 本剤 5mg/ 日 投与再開 併用薬 22 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅳ ケースレポート アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 23

Ⅴ セルフケア セルフケアの基本 口腔ケア ( ブラッシング ) ブラッシングの回数 毎食後 就寝前の1 日 4 回行う 食事をしていなくても 歯垢は歯面に付着するため 1 日 1 回は行う 歯ブラシ 歯磨剤の選択 柄がストレート ヘッドが小型で 軟毛 超軟毛の動かしやすいブラシを用いる ( 粘膜に触れず 歯牙のみを磨くことができる ) 通常のブラシの届きにくい奥歯等の清掃や 悪心 開口障害がある場合には シングル タフトブラシが有用である 歯磨剤は メントールやアルコールを含有しない低刺激性のものがよい 洗口剤を用いる場合も同様に低刺激性で 保湿効果のあるものを選択する ヘッドが小型のブラシ ( 右 ) シングルタフトブラシ 24 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅴ セルフケア 磨き方 基本的なブラッシング方法であるバス法を指導する 何らかの制限によりバス法の実施が困難な場合は 患者のできる方法を指導する 汚れの残りやすい部位 ( 咬合面の溝 歯と歯肉の境目 歯と歯の間 ) を教える バス法による磨き方 1 親指 人差し指 中指で歯ブラシの柄を軽く持つ ( ペングリップ ) 2 歯面に対して 45 でブラシを当て 毛先を歯と歯肉の境に集中させる 3 毛先がほとんど動かないほどの小刻みな横振動で 1 歯ずつずらしながら磨く 口腔ケア ( 義歯の扱い ) 細菌や真菌の温床となるため 常に清潔に保つ [ 義歯の裏側 ( 粘膜面 ) や局部義歯のクラ スプ ( 装着のための金属バネ ) は汚れが付きやすい ] 義歯の裏側 ( 粘膜面 ) 局部義歯のクラスプ 専用の保管容器を用い 日常で用いる湯呑みやコップは使わない アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 25

口腔ケア ( 保湿 ) 含嗽の回数 最低 1 日 3 回 できれば1 日 8 回 ( 約 2 時間毎 ) 行う 市販の保湿剤の使い方 スプレー型 : 携帯性に優れ外出時の使用に便利であり 指を使わず直接塗布できるため衛生的である 低刺激性のものを選ぶ スプレー型保湿剤の使い方 1 舌を真っすぐ突き出し 表面舌中央に向け 2~3 回噴霧する ジェル型 : 又は 左右の頬内側の粘膜に 2 ~ 3 回噴霧する 2 噴霧後は 舌を使って口腔粘膜全体 ( 唇 頬粘膜 口蓋粘膜 ) に薄く伸ばす チューブから適量を手指もしくはスポンジにとり舌表面にのせ 舌を使って口腔内全体に 薄く行き渡らせる 洗口型 : 保湿洗口液を用いる (30 秒間ブクブクうがいする ) 生理食塩水による含嗽 水 500mL: 食塩 4.5g の割合でペットボトルに作り置きし 1 日で使い切る 30 秒間のブクブクうがいを基本とする 衛生面からコップに含嗽剤を移して行う 口内炎の強い疼痛でブラッシングができない場合 生理食塩水の含嗽で 口腔内清掃と保湿を図る 26 アフィニトール副作用マネジメント口内炎

Ⅴ セルフケア 口腔内セルフチェック 図 癌薬物療法における口内炎の発症部位 P.5 参照 チェックのポイント 室内灯では見えにくいため ペンライトを用いて観察する 口腔粘膜の変化 ( 紅斑 潰瘍 出血等 ) をみつけたら主治医や看護師 薬剤師に連絡する 食事に関する注意点 食事の工夫 熱いものは避ける : 炎症部への刺激を避けるため 人肌程度の温度にさます 刺激物を控える : 塩分や酸味 香辛料等の強い食事は控える 食べやすい形状に : よく煮込む とろみをつける 裏ごし等で軟らかくする 疼痛で食事を摂れない場合 : バランス栄養飲料 ( 濃厚流動食 ) や栄養補助食品を利用する 飲酒 喫煙は禁止 : 口内炎の発症や症状増悪の原因となるためやめさせる 監修独立行政法人国立がん研究センター中央病院歯科医長 上野 尚雄先生 静岡県立静岡がんセンター泌尿器科部長 庭川 要先生 杏林大学医学部内科学腫瘍内科教授 古瀬 純司先生 アフィニトール副作用マネジメント 口内炎 27