平成 26 年度 第 30 回 認定内科医資格認定試験問題 ( 抜粋 ) 本会は 認定内科医 と 総合内科専門医 の 2 種類の試験を行っており, 昨年度までに認定内科医は 30 回, 総合内科専門医は 42 回行われた. 現在の認定医数は, 認定内科医 78,448 名, 総合内科専門医 18,134 名である. 認定内科医試験は多選択肢問題 (MCQ) を使用し, 問題形式は,1 単純択一形式 (Aタイプ)2 多真偽形式 (X2 タイプ ) で, 問題内容は, 一般問題と臨床問題である. 以下に, 第 30 回認定内科医資格認定試験問題 ( 抜粋 ) を公表する. 1. 混合性結合組織病で最も生命予後に関わるのはどれか.1 つ選べ. (a) 腎炎 (b) 関節炎 (c) 肺高血圧症 (d) 間質性肺炎 (e)raynaud 現象 2.73 歳の男性. 呼吸困難を主訴に受診した. 現症 : 血圧 170/50 mmhg. 心エコー図の左室長軸断層像 ( 拡張期 ) と同部位のカラードプラ像 図 No. 1 を示す. この患者で予想される聴診所見はどれか.1 つ選べ. (a) 心尖部の収縮中期クリック音 (b) 心尖部に最強点を有する全収縮期雑音 (c) 心尖部に最強点を有する拡張期ランブル (d) 第 2 肋間胸骨右縁に最強点を有する収縮期駆出性雑音 (e) 第 3 または第 4 肋間胸骨左縁に最強点を有する拡張期灌水様雑音 3.26 歳の男性.10 日前から四肢の浮腫を自覚し, 通常より体重が 8 kg 増加したため受診した. 現症 : 身長 177 cm, 体重 74 kg( 通常 66 kg). 血圧 102/52 mmhg. 両下腿に浮腫を認める. 腎生検組織 PAS 染色標本 図 No. 2 を示す. この患者で予想される所見はどれか.1 つ選べ. (a)hba1c 8.2% (b)selectivity index 0.03 (c) 血清アルブミン 3.9 g/ dl (d) 血清クレアチニン 3.9 mg/ dl (e) 血清総コレステロール 180 mg/ dl 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 615
問題 2 図 No. 1 左室長軸断層像 ( 拡張期 ) 同部位のカラードプラ像 問題 3 図 No. 2 616 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
問題 4,5 次の文を読み,4,5 の問いに答えよ. 77 歳の女性. 全身倦怠感が強いため搬入された. 現病歴 :4 月下旬に山にタケノコ採りに行った.7 日後から 38~39 台の発熱が出現し, 翌日から全身に発疹が出現した. 徐々に全身倦怠感が増強し, 体動困難となった. 既往歴 家族歴 : 特記すべきことはない. 現症 : 身長 152 cm, 体重 60 kg. 体温 39.3. 脈拍 88/ 分, 整. 血圧 144/74 mmhg. 表在リンパ節は触知しない. 眼瞼結膜に貧血はない. 眼球結膜に黄疸はない. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は平坦, 軟で, 腸蠕動音に異常はなく, 圧痛はない. 肝, 脾および腎を触知しない. 全身の皮膚に粟粒大 ~ 小豆大の紅斑を認める. 左前腕に 1 cm 弱の痂皮化を伴う皮疹 図 No. 3, 図 No. 4 を認める. 下腿に浮腫はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 (-), 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ;Hb 15.5 g/ dl, 白血球 11,780/μl( 好中球 84.6%, 好酸球 0.1%, 単球 4.7%, リンパ球 10.6%), 血小板 15.3 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 7.3 g/ dl, 尿素窒素 16.7 mg/ dl, クレアチニン 0.4 mg/ dl, 総ビリルビン 0.4 mg/ dl, AST 47 IU/l,ALT 44 IU/l,LD 168 IU/l( 基準 115~245),CK 216 IU/l( 基準 32~180), Na 131 meq/l,k 3.9 meq/l. 免疫血清学所見 ;CRP 13.6 mg/ dl, リウマトイド因子陰性. 抗ツツガムシIgM,IgG 共に陰性. 胸部 X 線写真, 胸腹部単純 CTおよび 12 誘導心電図に異常はない. 4. 原因微生物として最も可能性が高いのはどれか.1 つ選べ. (a)rickettsia japonica (b)rickettsia prowazekii (c)rickettsia rickettsii (d)rickettsia sibirica (e)rickettsia typhi 5. 適切な抗菌薬はどれか.1 つ選べ. (a) アゾール系薬 (b) ペニシリン系薬 (c) カルバペネム系薬 (d) ニューキノロン系薬 (e) グリコペプチド系薬 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 617
問題 4, 5 図 No. 3 図 No. 4 618 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
6. 喀痰のGram 染色標本 図 No. 5 を示す. 推定される原因微生物はどれか.1 つ選べ. (a)haemophilus influenzae (b)legionella pneumophila (c)moraxella catarrhalis (d)staphylococcus aureus (e)streptococcus pneumoniae 問題 6 図 No. 5 7. 高カリウム血症の治療薬として適切でないのはどれか.1 つ選べ. (a) フロセミド (b) 塩化カルシウム (c) 重炭酸ナトリウム (d) スピロノラクトン (e) グルコン酸カルシウム 8. 特発性血小板減少性紫斑病でみられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 破砕赤血球 (b) 骨髄巨核球の減少 (c) 血小板寿命の短縮 (d) 末梢血への芽球出現 (e) プロトロンビン時間の延長 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 619
9.t-PA 治療の禁忌ではない急性期脳梗塞患者はどれか.1 つ選べ. (a) 来院時のてんかんによる痙攣発作 (b)10 日前の一過性脳虚血発作の既往 (c)2 週前の消化管出血の既往 (d)3 週前の脳梗塞の既往 (e)2 年前の高血圧性脳出血の既往 問題 10~14 次の文を読み,10~14 の問いに答えよ. あなたは地域中核病院総合内科をローテーション勤務する後期研修医である. 外来初診患者を担 当している. 28 歳の女性. 関節痛と発熱とを主訴に受診した. 診察前情報 :2 か月前から両手首の関節痛が持続している.1 週前から 37 台の微熱が出現した. 指導医との会話を示す. 指導医 : 関節痛とは, 関節を自動的, 他動的な運動時に疼痛が出現したものを指します. すなわち運動時痛 POM:Pain on motion があれば関節痛と判断できます. 関節痛だけでなく, 関節炎をきたしているか否かが鑑別診断上, 重要です. それでは炎症の 5 徴について説明できますか 10. 炎症の 5 徴に含まれないのはどれか.1 つ選べ. (a) 発赤 (b) 発熱 (c) 腫脹 (d) 機能障害 (e) チアノーゼ 指導医 : もし関節炎であれば, 鑑別診断上, 障害されている関節の個数 ( 単 小 多 ) と両側性か片側性か否かが重要です. この患者さんが両側性の手関節炎をきたしているとします. 患者の年齢, 性別,2 か月間の経過および微熱を伴う点から可能性の高い疾患を考えてください 11. この時点で可能性の高い疾患はどれか.1 つ選べ. (a) 痛風 (b) 線維筋痛症 (c) 変形性関節症 (d) 関節リウマチ RA (e) リウマチ性多発筋痛症 620 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
現病歴 :2 か月前から特に誘因がなく両手関節の疼痛, 腫脹および機能障害が持続した. 朝のこわばりは 10 分程度である.1 か月前から 37 の発熱が出現した. 最低体温は 36 台である. 感冒様症状はなかった. 指導医 : 鑑別診断上, 見逃しがないように, 以下の事項を聴取して下さい 後期研修医 : 分りました. 陽性, 陰性所見を記載しました 陽性所見 : 全身倦怠感, 発熱, 両手関節の疼痛 腫脹陰性所見 : 脱毛, 視力低下, 皮疹, 口腔内潰瘍, 口腔内乾燥感, 息切れ, 胸痛, 腹痛, しびれ, Raynaud 現象 12. 下線部の技法はどれか.1 つ選べ. (a)ros review of systems (b)ebm evidence-based medicine (c)pomr problem oriented medical record (d)soap subjective/objective/assessment/plan (e)rime reporter/interpreter/manager/educator 現症 : 意識は清明. 身長 151 cm, 体重 51 kg. 体温 37.1. 脈拍 88/ 分, 整. 血圧 128/74 mmhg. 呼吸数 14/ 分. 視力低下はない. 皮疹はない. 脱毛はない. 眼瞼結膜に軽度の貧血を認める. 口腔内に潰瘍や乾燥感はない. 頸部でリンパ節は触知しない. 甲状腺は触知しない. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は平坦, 軟で, 肝 脾を触知しない. 四肢に浮腫を認めない. 両手関節に運動時痛, 腫脹および機能障害を認める. 神経学的に異常はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 (-), 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ; 赤血球 340 万 /μl,hb 9.9 g/ dl,ht 33.0%, 白血球 3,400/μl, 血小板 8 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 7.9 g/ dl, アルブミン 4.0 g/ dl, 尿素窒素 19 mg/ dl, クレアチニン 0.9 mg/ dl,ast 20 IU/l,ALT 28 IU/l,LD 286 IU/ l( 基準 176~353),ALP 253 IU/l( 基準 115~359),γ-GTP 40 IU/l( 基準 8~50),CK 145 IU/ l( 基準 40~200).CRP 0.4 mg/ dl. 両手 X 線写真に異常はない. 後期研修医 : 膠原病の可能性が高いと考えます. 免疫血清学検査を追加するべきです. 抗核抗体, 抗 dsdna 抗体, 抗 Sm 抗体, 抗 CCP 抗体, 抗 RNP 抗体を提出してはどうでしょうか 指導医 : この患者で, ある免疫血清学検査が陰性であれば, 全身性エリテマトーデスは否定的です. 最初にこの検査項目を追加しましょう 13. 下線部の検査について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 感度は低い. (b) 感度は高い. (c) 特異度は低い. (d) 特異度は高い. (e) 感度と特異度とはほぼ等しい. 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 621
14. 下線部の免疫血清学検査項目はどれか.1 つ選べ. (a) 抗核抗体 (b) 抗 Sm 抗体 (c) 抗 CCP 抗体 (d) 抗 RNP 抗体 (e) 抗 dsdna 抗体 15.50 歳の男性. 感冒様症状の 1 か月後から 1 日 6 行の下痢を認めるため受診した. また, 同時期から頭皮の脱毛と爪甲の萎縮とを認めた. 足趾の写真 図 No. 6, 上部消化管内視鏡像 図 No. 7 および下部消化管内視鏡像 図 No. 8 を示す. 考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 大腸癌 (b) 虚血性大腸炎 (c) 潰瘍性大腸炎 (d) 家族性大腸腺腫症 (e)cronkhite-canada 症候群 問題 15 図 No. 6 622 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
問題 15 図 No. 7 上部消化管内視鏡像 図 No. 8 下部消化管内視鏡像 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 623
16.79 歳の女性.1 か月前から全身倦怠感, 頻尿および食欲不振が出現し, 進行するため受診した. 近医で骨粗鬆症の内服治療を受けている. 現症 : 身長 140 cm, 体重 30.4 kg. 検査所見 : 尿所見 ; 尿中 Ca 18.7 mg/ dl, 尿中クレアチニン 116.0 mg/ dl. 血液生化学所見 ; 血糖 142 mg/ dl, 総蛋白 6.6 g/ dl, アルブミン 3.9 g/ dl, 尿素窒素 49.9 mg/ dl, クレアチニン 2.36 mg/ dl, 尿酸 15.4 mg/ dl,na 149 meq/l,k 3.3 meq/l,cl 99 meq/l,ca 14.3 mg/ dl,p 4.5 mg/ dl. ホルモン検査所見 ; 副甲状腺ホルモン PTH 6 pg/ ml ( 基準 10~65),PTHrP 1.1 pmol/ l 未満 ( 基準 1.1 以下 ). 考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 中枢性尿崩症 (b) ビタミンD 中毒 (c) 原発性副甲状腺機能亢進症 (d) 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症 (e) 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症 17.64 歳の女性. 健康診断時の上部消化管造影検査で異常を指摘され受診した. 既往歴と家族歴とに特記すべきことはない. 現症 : 腹部は平坦, 軟で, 圧痛を認めない. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 360 万 /μl,hb 10.0 g/ dl,ht 30%, 白血球 9,000/μl, 血小板 15 万 / μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 7.2 g/ dl, アルブミン 3.5 g/ dl, 総ビリルビン 1.0 mg/ dl,ast 15 IU/l,ALT 30 IU/l. 腫瘍マーカー ;CEA 1.4 ng/ ml ( 基準 5 以下 ),CA19-9 5.8 U/ ml ( 基準 37 以下 ). 上部消化管内視鏡検査で中央に陥凹を伴う直径 18 mmの隆起性病変を認め, 陥凹部から生検を施行したところ, 病理組織所見でKIT 陽性,CD34 陽性,α-SMA 陰性,S-100 蛋白陰性, 核分裂像数 (/50 HPF) は 5 以下である. この疾患について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 放射線療法が有効である. (b) 食道に発生することが多い. (c) リンパ節転移することが多い. (d) 外科的手術が第 1 選択である. (e) 肉眼的には潰瘍浸潤型を呈することが多い. 18.70 歳の男性. 下肢のしびれ感を主訴に受診した.5 年前からの 2 型糖尿病でかかりつけ医で経口薬の内服治療を受けていた. 診断に有用な神経学検査はどれか.1 つ選べ. (a) 角膜反射 (b) 迷走神経反射 (c)babinski 反射 (d)achilles 腱反射 (e) 上腕二頭筋反射 624 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
問題 19,20 次の文を読み,19,20 の問いに答えよ. 23 歳の女性. 海水浴で日焼けした後に全身倦怠感, 全身の関節痛および 37 台の発熱を 2 週間以上認めたため受診した. 半年前から時々, 全身の関節痛がみられた. 現症 : 身長 156 cm, 体重 44 kg. 体温 37.8. 脈拍 92/ 分, 整. 血圧 108/62 mmhg. 呼吸数 18/ 分. 呼吸音は両下胸部で減弱している. 心音に異常はない. 両下腿に浮腫はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 2+, 糖 (-). 沈渣 ; 赤血球 30~49/1 視野, 顆粒円柱 3~5/1 視野. 血液所見 ; 赤血球 311 万 /μl,hb 9.3 g/ dl,ht 31%, 白血球 2,500/μl, 血小板 9.4 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 7.2 g/ dl, アルブミン 3.4 g/ dl, 尿素窒素 18 mg/ dl, クレアチニン 0.7 mg/ dl, Na 137 meq/l,k 4.9 meq/l,cl 102 meq/l.crp 1.5 mg/ dl. 19. この患者で認められる可能性の高い自己抗体はどれか.1 つ選べ. (a) 抗 Jo-1 抗体 (b) 抗 CCP 抗体 (c) 抗 SS-A 抗体 (d) 抗 Scl-70 抗体 (e) 抗 dsdna 抗体 20. この疾患の治療中, 疾患活動性の評価に有用な血液検査項目はどれか.1 つ選べ. (a)igg (b)crp (c)ch50 (d)kl-6 (e)mmp-3 21. 各種合成ステロイドの特徴を示す. ステロイドコルチゾール 1 2 3 血中半減期 ( 時間 ) 1.2 2.5 3.5 7 糖質コルチコイド作用 1 4 25 0 鉱質コルチコイド作用 1 0.8 0 10 組合せで正しいのはどれか.1 つ選べ. 1 2 3 (a) プレドニゾロン デキサメタゾン フルドロコルチゾン (b) プレドニゾロン フルドロコルチゾン デキサメタゾン (c) フルドロコルチゾン プレドニゾロン デキサメタゾン (d) デキサメタゾン プレドニゾロン フルドロコルチゾン (e) デキサメタゾン フルドロコルチゾン プレドニゾロン 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 625
22. 門脈に注ぐ血管でないのはどれか.1 つ選べ. (a) 上腸間膜静脈 (b) 下腸間膜静脈 (c) 肝静脈 (d) 脾静脈 (e) 胆囊静脈 23. 単クローン性ガンマグロブリン血症 MGUS でみられない検査所見はどれか.1 つ選べ. (a)hbは 10 g/ dl以上 (b) 血清 M 蛋白は 3 g/ dl未満 (c) 骨髄中の形質細胞が 10% 未満 (d) 骨 X 線写真で多発する骨打ち抜き像 (e)m 蛋白以外の血清免疫グロブリン定量値が基準範囲内 24.PFD 試験に影響を及ぼす薬物はどれか.1 つ選べ. (a) 硝酸薬 (b) 消化酵素薬 (c) 抗ヒスタミン薬 (d) プロトンポンプ阻害薬 (e) 非ステロイド抗炎症薬 NSAIDs 25. 急性呼吸促迫症候群 ARDS の人工呼吸管理の初期設定で正しいのはどれか.1 つ選べ. (a)simvモードが最適である. (b)paco2 は 35 Torr 以下に保つ. (c)peepは 20 cmh2o 以上とする. (d)1 回換気量は 10 ml /kg 以下とする. (e)spo2 97% 以上を保つように高濃度酸素を投与する. 26.ADH 不適合分泌症候群 SIADH に合致しないのはどれか.1 つ選べ. (a) 血中 Na 120 meq/l (b) 尿中 Na 80 meq/l (c) 血漿浸透圧 250 mosm/kg H2O (d) 尿浸透圧 150 mosm/kg H2O (e) 血中クレアチニン 0.6 mg/ dl 27. 筋強直性ジストロフィーでみられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 緑内障 (b) 心伝導障害 (c) 下腿偽性肥大 (d) 男性にのみ発症 (e) 近位筋優位の障害 626 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
28. 接触皮膚炎の診断に有用な検査はどれか.1 つ選べ. (a) パッチテスト (b) プリックテスト (c) 血清総 IgE (d) 血清補体価 (e) 皮膚スクラッチテスト 29. 関節リウマチに対する生物学的製剤の使用前に施行する必要のない検査はどれか.1 つ選べ. (a)hbc 抗体 (b)β-d-グルカン (c) ツベルクリン反応 (d) 末梢血リンパ球数 (e) 尿中肺炎球菌抗原 30. 発症に喫煙が最も関与する間質性肺炎はどれか.1 つ選べ. (a) 特発性肺線維症 (b) 剝離性間質性肺炎 (c) 特発性器質化肺炎 (d) リンパ球性間質性肺炎 (e) 特発性非特異性間質性肺炎 31. メタボリックシンドロームの診断基準に該当しない検査所見はどれか.1 つ選べ. (a) 男性腹囲 95 cm (b) 血圧 140/90 mmhg (c) 空腹時血糖 125 mg/ dl (d) 血中トリグリセリド 160 mg/ dl (e)hdlコレステロール 49 mg/ dl 32.42 歳の男性.4 日前に感冒様症状があり, 昨日から咳嗽と喀痰とが出現し, 本日, 食欲不振, 発熱および膿性痰を認めたため受診した. 現症 : 体温 38.7. 左下胸部でcoarse cracklesを聴取する. 検査所見 : 血液所見 ; 白血球 19,700/μl. 免疫血清学所見 ;CRP 32.5 mg/ dl. 喀痰塗抹 Gram 染色標本 図 No. 9 と胸部 X 線写真 図 No. 10 とを示す. この感染症について誤っているのはどれか.1 つ選べ. (a) 血液培養が診断に有用である. (b) 成人市中肺炎の約 1/4 を占める. (c) 髄膜炎の代表的原因菌の 1 つである. (d) 重症化防止にはワクチンが有用である. (e) 治療薬はクラリスロマイシン内服を選択する. 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 627
問題 32 図 No. 9 図 No. 10 628 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
33.25 歳の男性.3 日前から 37 台の発熱, 咽頭痛および鼻汁が出現し, その後, 前胸部痛がみられたため受診した. 既往歴と家族歴とに特記すべきことはない. 前胸部痛は持続性で, 深吸気時や仰臥位で増強する. 動悸や呼吸困難はない. 12 誘導心電図 図 No. 11 を示す. 最も考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 心筋炎 (b) 急性心膜炎 (c) 収縮性心膜炎 (d) 労作性狭心症 (e) 感染性心内膜炎 問題 33 図 No. 11 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 avr V4 avl V5 avf V6 34. 血漿浸透圧の予測式を示す. 血漿浸透圧 (mosm/kg H2O)= Na+グルコース / + 尿素窒素 /,, に入る数値の組合せで正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 1 2.8 18 (b) 1 18 2.8 (c) 2 2.8 18 (d) 2 18 2.8 (e) 3 2.8 18 (f) 3 18 2.8 (g) 4 2.8 18 (h) 4 18 2.8 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 629
35.39 歳の男性.2 週前からの体動時の動悸と息切れとを主訴に受診した. 現症 : 脈拍 120/ 分, 整. 血圧 130/72 mmhg. 眼球結膜に黄染を認める. 腹部は平坦で, 肝 脾を触知しない. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 190 万 /μl,hb 5.5 g/ dl,ht 19%, 網赤血球 110, 白血球 8,300/ μl, 血小板 26 万 /μl. 血液生化学所見 ; ハプトグロビン 10 mg/ dl以下 ( 基準 19~170), 尿素窒素 20 mg/ dl, クレアチニン 0.8 mg/ dl, 総ビリルビン 4.5 mg/ dl, 直接ビリルビン 1.0 mg/ dl,ast 72 IU/l,ALT 29 IU/l,LD 780 IU/l( 基準 115~245). 直接 Coombs 試験陽性. まず行う治療として適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 腹腔鏡下脾臓摘出術 (b) 新鮮凍結血漿の輸注 (c) 免疫グロブリン製剤の静注 (d) 副腎皮質ステロイドの投与 (e) エリスロポエチン製剤の投与 36.40 歳の女性.1 か月前から多関節痛, 発熱および下腿浮腫が出現したため受診した.1 年前, 転倒を契機に右小脳梗塞を指摘され, 抗血小板薬が開始された. 既往歴 :27 歳時に流産,34 歳時に妊娠高血圧症候群. 現症 : 右第 4 手指中手指節 MCP 関節, 左肘関節および両膝関節に腫脹を認める. 右下肢の不全麻痺と両下腿の浮腫とを認める. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 3+(4.2 g/g Cr), 潜血 2+. 顆粒円柱 +, 赤血球円柱 +. 血液所見 ; 赤血球 446 万 /μl,hb 12.5 g/ dl,ht 37.2%, 白血球 5,200/μl( 好中球 65%, 好酸球 1.7%, 好塩基球 0.8%, 単球 5.3%, リンパ球 27.2%), 血小板 15 万 /μl,aptt 60.5 秒 ( 基準 25~40). 血液生化学所見 ; 総蛋白 5.8 g/ dl, アルブミン 2.0 g/ dl, 尿素窒素 14 mg/ dl, クレアチニン 0.82 mg/ dl. 免疫血清学所見 ;CRP 0.02 mg/ dl, 抗核抗体 1,280 倍 ( 均質型, 細胞質型 ), 抗 dsdna 抗体 47 IU/ ml ( 基準 10 以下 ), 抗カルジオリピン-β2-GP I 複合体抗体 102 U/ ml ( 基準 0 ~3.4). 腎生検組織 H-E 染色標本 図 No. 12 と蛍光染色(IgG) 標本 図 No. 13 とを示す. 治療法として適切でないのはどれか.1 つ選べ. (a) 食事療法 (b) 抗凝固療法 (c) 免疫抑制薬投与 (d) 抗 TNF 製剤投与 (e) 副腎皮質ステロイド大量投与 630 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
問題 36 図 No. 12 H-E 染色標本 図 No. 13 蛍光染色 (IgG) 標本 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 631
37.75 歳の男性. 最近, 物忘れが目立ち, 転倒しやすくなったため受診した.3 か月前から小刻み歩行, すり足となり, バランス障害も認めるようになった. 現症 : 意識は清明. バイタルサインに異常はない. 近時記憶障害と強制把握とを認め, 手掌頤反射が両側で陽性である. 筋力 感覚に異常はない. 頭部単純 MRI T1 強調像の水平断像 図 No. 14 と冠状断像 図 No. 15 とを示す. この疾患にみられやすい症状はどれか.1 つ選べ. (a) 幻覚 (b) 片麻痺 (c) 尿失禁 (d) 視野障害 (e) 常同行動 38.50 歳の女性. 左耳痛と左口角からの流涎とを主訴に受診した. 今朝から左難聴と回転性めまいも出現した. 原因として考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a)ebウイルス感染症 (b) サイトメガロウイルス感染症 (c) 単純ヘルペスウイルス感染症 (d) 水痘 帯状疱疹ウイルス感染症 (e) インフルエンザウイルス感染症 図 No. 14 問題 37 図 No. 15 R R L L 冠状断像 水平断像 632 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
39.33 歳の男性.2 か月前から労作時呼吸困難があり, 徐々に増悪したため入院した. これまで心疾患の既往はなく, 治療歴もない. 階段は休み休みなら登ることができる. 現症 : 脈拍 92/ 分, 整. 血圧 92/60 mmhg. 聴診で心尖部に収縮期雑音を認める. 下腿に軽度の浮腫を認める. トイレまでの歩行は可能である. 胸部 X 線写真 図 No. 16 と心エコー図の左室長軸断層像 図 No. 17 とを示す. 心エコーでの左室拡張末期径は 72 mm, 駆出率は 12% である. この患者について誤っているのはどれか.1 つ選べ. (a) 僧帽弁逆流を認める. (b) 心尖部にⅢ 音を聴取する. (c)nyha 心機能分類 Ⅳ 度である. (d) 血漿 BNP 濃度 920 pg/ mlである. (e) アンジオテンシン変換酵素 ACE 阻害薬を少量から開始する. 40. 末梢動脈疾患の間欠性跛行の症状改善に最も適切な薬物はどれか.1 つ選べ. (a) アスピリン (b) ニフェジピン (c) イソソルビド (d) シロスタゾール (e) クロピドグレル 図 No. 16 問題 39 図 No. 17 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 633
41.79 歳の女性. 半年前から物忘れを認め, 改善がないため長男に連れられて受診した. 整容と礼節とは保たれる. 内服中の薬物はない. 現症 : 神経学所見で左上肢に軽度の筋固縮を認める.MMSEは 23 点. 診察中に虫を捕るような動作を繰り返し, 本人へ聞いてみると, 小さい白い虫がたくさんいるので捕っています とのことであった. 長男の話では, 自宅の二階に見知らぬ人が住んでいる と言うことも多いという. 頭部 MRIでは軽度の前頭葉萎縮以外, 海馬を含め異常はない. 認知機能障害の原因として最も考えられる疾患はどれか.1 つ選べ. (a)alzheimer 病 (b) 脳血管性認知症 (c) 前頭側頭型認知症 (d)lewy 小体型認知症 (e) 特発性正常圧水頭症 42.43 歳の女性. 息切れを主訴に受診した. 心エコー図の長軸断層像 図 No. 18 を示す. この疾患について誤っているのはどれか.1 つ選べ. (a) 発熱をきたす. (b) 開心術を要する. (c) 突然死の危険がある. (d) リウマチ熱が原因である. (e) 体位によって症状が変化する. 問題 42 図 No. 18 634 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
43.72 歳の男性. 呼吸困難をきたし搬入された. トイレに行こうと立ち上がったところ, 突然意識を消失した. すぐに意識は回復したが, 呼吸困難が出現した. 胸部造影 CT 図 No. 19 を示す. この患者で認められないのはどれか.1 つ選べ. (a) 右室拡大 (b) 三尖弁逆流 (c)paco2 低下 (d) 肺動脈楔入圧上昇 (e) 血中 Dダイマー高値 問題 43 図 No. 19 R L 44.3 歳の男児.1 歳過ぎから出血傾向をきたして受診した. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 405 万 /μl,hb 12.0 g/ dl,ht 39%, 白血球 6,800/μl, 血小板 18.9 万 /μl,pt 12.8 秒 ( 基準対照 12.1),APTT 86.0 秒 ( 基準対照 32.1), 第 Ⅷ 因子活性 <1%, 第 Ⅸ 因子活性 78%,von Willebrand 因子活性 114%,von Willebrand 因子抗原 98%. この疾患について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 常染色体優性遺伝である. (b) 男女間の発症率に差はない. (c) 軽症例でも出血傾向は強い. (d) 家族歴のない孤発例は 10% 未満である. (e) 皮下出血よりも深部出血が特徴的である. 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 635
45. 痛風発作の極期にまず使用する薬物はどれか.1 つ選べ. (a) コルヒチン (b) 尿酸生成抑制薬 (c) 尿酸排泄促進薬 (d) 副腎皮質ステロイド (e) 非ステロイド抗炎症薬 NSAIDs 46. マクロライド耐性が増加している病原微生物はどれか.1 つ選べ. (a)chlamydia trachomatis (b)chlamydophila pneumoniae (c)chlamydophila psittaci (d)legionella pneumophila (e)mycoplasma pneumoniae 47.20 歳の男性. 全身の皮疹を主訴に受診した. バナナとメロンとを食べた後に息苦しくなり, 体幹と四肢とに多数の膨疹が生じた. 診断に最も有用な検査はどれか.1 つ選べ. (a)rist (b)rast (c) パッチテスト (d) プリックテスト (e) 気道可逆性の評価 48. 我が国で男性に比べ女性に多い膵疾患はどれか.1 つ選べ. (a) 急性膵炎 (b) 慢性膵炎 (c) 通常型膵管癌 (d) 粘液性囊胞腫瘍 MCN (e) 膵管内乳頭粘液性腫瘍 IPMN 49.T 細胞腫瘍はどれか.1 つ選べ. (a) 菌状息肉症 (b) 多発性骨髄腫 (c) 濾胞性リンパ腫 (d)maltリンパ腫 (e) マントル細胞リンパ腫 636 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号
50. アスピリン過敏症について正しいのはどれか.2 つ選べ. (a) 鼻茸を伴うことが多い. (b) 高齢者と比べ若年者に多い. (c) 外用薬では発作が起こらない. (d) 診断に皮内反応が有用である. (e) アスピリンの用量依存的に過敏反応が起こる. 51. 急性好酸球性肺炎について正しいのはどれか.2 つ選べ. (a) 喫煙と関連する. (b) 気管支喘息に合併する. (c) 副腎皮質ステロイドは無効である. (d) 画像上, 移動する肺浸潤影を認める. (e) 気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率の上昇を認める. 52. 症候と責任病巣の組合せで正しいのはどれか.2 つ選べ. (a) 失外套症候群 大脳 (b) 閉じこめ症候群 間脳 (c)pinpoint pupil 中脳 (d) 失調性呼吸 小脳 (e) 中枢性過換気 橋 53.31 歳の女性.4 日前から全身倦怠感,38 の発熱および黄疸が出現し入院した. 入院時, 右肋骨弓下に肝を 2 cm 触知し, 血液生化学検査では総ビリルビン 8.2 mg/ dl,ast 1,810 IU/l,ALT 1,530 IU/l であった. 入院 5 日後, 肝は触知できなくなり,PT 22.4 秒 ( 基準対照 12.0), 総ビリルビン 22.1 mg/ dl,ast 107 IU/l,ALT 122 IU/l で傾眠状態になった. この患者で低値が予想される血液生化学検査項目はどれか.2 つ選べ. (a)ld (b) アンモニア (c) 芳香族アミノ酸 (d) 総コレステロール (e) コリンエステラーゼ 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号 637
正解表 問題 No. 正解記号問題 No. 正解記号 1 c 28 a 2 e 29 e 3 b 30 b 4 a 31 e 5 d 32 e 6 c 33 b 7 d 34 d 8 c 35 d 9 b 36 d 10 e 37 c 11 d 38 d 12 a 39 c 13 b 40 d 14 a 41 d 15 e 42 d 16 b 43 d 17 d 44 e 18 d 45 e 19 e 46 e 20 c 47 d 21 a 48 d 22 c 49 a 23 d 50 a,e 24 b 51 a,e 25 d 52 a,e 26 d 53 d,e 27 b 638 日本内科学会雑誌 104 巻 3 号