資料 2-3 平成 27 年 11 月 30 日火力部会資料 神戸製鉄所火力発電所 ( 仮称 ) 設置計画 環境影響評価方法書 補足説明資料 平成 27 年 11 月株式会社神戸製鋼所
目次 1. 内部境界層によるフュミゲーション発生の予測について 1 2. 定点水温連続測定地点の選定及び周辺海域の環境特性の把握について 5 3. 周辺海域における溶存酸素の状況について 7 4. 重要な群落等の文献調査結果について 9 5. 生態系の調査及び予測手法について 13 6. 緑化計画 ( 樹種の選定 ) について 19 7. 方法書及び要約書の記載内容の誤りについて 20
1. 内部境界層によるフュミゲーション発生の予測について 内部境界層によるフュミゲーション発生時における標高差を検討すべきである 内陸部の高層気象調査地点は 海岸部に近いのではないか 1. 内部境界層によるフュミゲーション発生時における標高差の検討について内部境界層によるフュミゲーション発生時については 対象事業実施区域の北部に位置する六甲山系の標高差を考慮した予測及び評価を検討します 具体的には フュミゲーションモデル (Lyons&Cole,1973 年 ) において 内部境界層の地上高さから標高高さ分を減じて予測する手法を実施する計画とします ( 図 -1 図 -2 参照 ) 図 -1 内部境界層における六甲山系の標高差を考慮するイメージ図 図 -2 対象事業実施区域と北部に位置する六甲山系 1
2. 内陸部の高層気象観測地点について 内部境界層の高度 L は 次式に示すように海岸線からの距離 (m) の 1/2 乗に比例する式で表され 内陸側にいくに従い 高度が高くなります 経験的に比例定数 A は 4~ 10 程度といわれています ( 図 -3 参照 ) L(x)=A X [ 記号 ] L(x) : 内部境界層の高度 (m) A : 比例定数 (m 0.5 ) X : 海岸線からの風下距離 (m) 今回選定した内陸部の高層気象観測地点 ( 図 -4 参照 ) は 海岸線から約 1,800m 離れた地点としています 神鋼神戸発電所 環境影響評価に係る現況調査の補完調査として 平成 8 年から平成 9 年にかけて 今回の調査計画地点とほぼ同様の地点において高層気象観測を実施した結果を表 -1 に示します 内陸部の内部境界層の出現高度は 100m~1,100m となっており 内陸部の高層気象観測は 50m 間隔で高度は 1,500m まで測定することから 内部境界層高度を十分検出可能であり 予測条件の設定は可能と考えています 図 -3 比例定数 A の範囲 平坦な沿岸地域における海風時の熱的内部境界層高度 -TOKAI 1982~83 大気拡散実験の再解析および KASHIMA 1972~77 飛行機観測との比較 - ( 安達ら 平成 15 年 ) より作成 2
図 -4 大気環境調査地点の位置 3
表 -1 神鋼神戸発電所 環境影響評価に係る現況調査( 補完調査 ) における内部境界層出現状況内部境界層高層気象出現日時内陸比例対象事業実施区域内陸部 150m 風海水地点定数出現気温出現気温温風向気温 A 高度勾配高度勾配年月日時刻 m m - m/s m 0.5 /100m /100m 1 8 7 26 12:00 300-1.2 450-5.8 WSW 3.9 33.3 27.4 2.9 2 8 7 26 13:30 250-2.4 550-6.8 WSW 6.9 34.2 26.9 3.5 3 8 7 26 15:00 50-2.6 250-4.2 SW 6.3 33.1 27.2 3.0 4 8 7 27 15:00 0-0.6 150-6.6 SW 5.7 34.8 28.1 1.8 5 8 7 28 13:30 200-1.4 450-5.6 SW 5.7 34.2 28.5 5.3 6 8 7 28 15:00 0-0.6 150-6.4 SW 4.6 34.2 28.5 1.8 7 8 7 29 12:00 50-1.8 450-8.0 SW 4.8 34.4 28.5 5.3 8 8 7 29 13:30 50-1.2 250-5.2 SW 4.0 35.6 28.2 3.0 9 8 7 29 15:00 50-1.8 100-5.4 SW 5.8 33.9 28.6 1.2 10 8 7 30 12:00 50-2.4 200-5.0 SW 3.9 33.4 28.4 2.4 11 8 7 30 15:00 150-1.6 150-7.6 SW 7.5 34.2 28.5 1.8 12 8 7 31 10:30 150-1.6 550-6.4 SSW 4.0 33.1 28.0 7.6 13 8 7 31 12:00 350-3.0 800-6.4 SW 2.9 35.0 28.7 9.5 14 8 7 31 15:00 250-3.0 350-6.6 SW 7.5 33.8 28.4 4.2 15 8 8 1 12:00 50-1.8 650-5.4 SW 3.6 34.8 28.2 7.7 16 8 8 1 15:00 200-2.6 300-3.4 SW 8.4 34.3 28.4 3.6 17 9 4 18 9:00 750-2.2 850-3.6 WSW 3.6 18.5 12.7 5.4 18 9 4 18 12:00 400-3.0 900-6.2 SW 8.8 21.2 13.3 10.7 19 9 4 18 13:30 350-3.0 450-4.4 SW 8.6 20.6 13.2 5.3 20 9 4 18 15:00 350-2.0 450-3.8 SW 9.3 20.5 13.4 5.3 21 9 4 18 16:30 150-1.8 450-2.4 SW 7.4 19.1 13.3 5.3 22 9 4 18 18:00 250-1.0 750-1.4 WSW 7.0 18.7 13.2 4.7 23 9 4 20 10:30 50-2.4 200-7.0 ESE 1.2 18.2 13.2 3.2 24 9 4 20 12:00 0-0.4 350-4.6 SSW 1.7 19.5 13.7 4.9 25 9 4 20 15:00 0 0.4 1100-5.6 SSW 3.3 22.0 15.1 15.3 26 9 4 20 18:00 150-1.6 300-2.4 SW 7.4 18.5 13.4 3.6 27 9 4 22 12:00 0-0.2 1000-6.2 SSW 1.4 22.0 14.5 13.9 28 9 4 22 13:30 50-0.8 350-5.2 SW 3.8 22.3 15.2 4.2 29 9 4 22 15:00 350-0.8 800-5.0 SW 4.9 22.1 16.1 9.5 30 9 4 22 16:30 450-1.8 650-3.2 WSW 3.6 21.4 15.0 4.1 注 ) 1: 調査期間 夏季 ) 平成 8 年 7 月 26 日 ~8 月 1 日 秋季 ) 平成 8 年 10 月 17 日 ~10 月 23 日 冬季 ) 平成 9 年 1 月 20 日 ~1 月 26 日 春季 ) 平成 9 年 4 月 18 日 ~4 月 24 日 2: 内部境界層判定条件 海風が吹走する日中の時間帯であること 対象事業実施区域( 二工区 ) における地上付近の風が海からの風であること 内陸の地点における接地層が不安定であること 地上から高度 50mの気温勾配が-1.0 /100m 未満 または パスキル安定度階級が A~C 海水温に比べて内陸地点の気温が高いこと( 気温 - 海水温 5 ) ただし 以下の条件を満たす場合は除外した 対象事業実施区域( 二工区 ) における混合層高度の方が内陸の地点の混合層高度より高くなっている 内陸の調査地点で明らかに陸風になっている 内陸の調査地点で混合層高度が対象事業実施区域( 二工区 ) における海風の上限高度より高くなっている 4
2. 定点水温連続測定地点の選定及び周辺海域の環境特性の把握について 定点水温連続測定地点として 取放水口計画位置から約 6km 離れた防波堤の外の地点を選定しているが 防波堤内外では水塊が異なる 定点水温連続測定は 取放水口近傍 ( 防波堤内 ) の地点で調査すべきではないか 定点水温連続測定の目的は 発電所地先海域の環境特性を把握することであり 改訂 発電所に係る環境影響評価の手引 ( 平成 27 年 7 月 経済産業省 ) では 調査地点は 原則として取放水口前面海域の 1 点とし 測定深度は表層 中層及び下層とすることが記載されています 本事業においても 取放水口近傍に定点水温連続測定点を設けることが望ましいと考えておりますが 当該海域は航路 泊地が多く設定され航行船舶が非常に多いことや 港内では浚渫工事及び護岸工事等が実施されており 1 年間の長期にわたる連続観測を実施するための測器を 取放水口近傍に設置することは 航行船舶への安全上困難であるため 各部関係先等と相談 調整の上 現計画地点に設置することといたしました なお 対象事業実施区域及び周辺海域の環境特性を把握するために 定点水温連続測定及び四季ごとに行う水温 塩分 流況調査に加え 図 1 及び図 2 に示します曳航式の水温塩分流況調査 (4 測線 ) を実施する計画としています 図 -1 水温塩分調査点 定点水温連続測定点 曳航式水温塩分流況測線図 5
参考 曳航式の水温塩分流況調査の概要 調査時期 : 四季 ( 冬季 春季 夏季 秋季 ) の大潮期における 2 潮時 ( 下げ潮 上げ潮 ) 測定層 : 水温 塩分は海面下 0.5m 1m 2m 3m 5m の 5 層流向 流速は海面下 2m から 1m 間隔で水深の約 8 割まで機器仕様 : 水温塩分計 (Compact-CT) センサータイプ : サーミスタ ( 水温 ) 電磁誘導セル ( 塩分 ) 測定範囲 :-5~40 ( 水温 ) 0~60mS/cm 測定精度 :±0.05 ( 水温 ) ±0.05mS/cm( 塩分 ) 超音波式流向流速計 (Workhorse ADCP) 発信周波数 :1,200kHz 測流範囲 :±5m/s 設定層厚 :5cm~4m 測定精度 :±0.25% または ±0.25cm/s 図 -2 曳航式水温 塩分 流況調査の概要 6
3. 周辺海域における溶存酸素の状況について 周辺海域の海底における溶存酸素 ( 貧酸素 ) はどのように状況になっているか 対象事業実施区域の周辺海域の図 1 に示す調査地点における表層 ( 海面下 0.5m) 中層 ( 海面下 2m) 下層 ( 海面下 10m) の溶存酸素量経年変化は 図 2 に示すとおりです 2003 年度から 2007 年度の 5 年間における溶存酸素量の経年変化は ほぼ横ばいで推移しています 現況調査では 図 1 に示す地点を含む周辺海域 18 地点で 表層 ( 海面下 0.5m) 中層 ( 海面下 2m) 下層 ( 海面下 10m) の 3 層で溶存酸素量を四季調査するとともに 夏季においては 海底上 1m の溶存酸素量についても調査する計画としています 1 2 3 4 5 図 -1 溶存酸素量調査地点 7
現況調査 神鋼神戸発電所 1 号機稼働 神鋼神戸発電所 2 号機稼働 事後調査 図 -2 溶存酸素量の経年変化 (1996 年 ~1997 年 2001 年 ~2007 年 ) 8
4. 重要な群落等の文献調査結果について 重要な群落等の文献調査結果について p134 第 3.1.5-24 表のうち NO.21~26 は神社名だけであり どのような樹種があるか不明である NO.21~26 の群落は 神戸市民の環境を守る条例 神戸市市民公園条例 に基づいて指定された 市民の森 について記述しました 市民の森については こうべの名木 古木 ~ 市民の木 市民の森ガイドブック ~ ( 神戸市 平成 14 年 ) に指定年 面積 特徴 構成樹種などが記載されています 市民の森 の記載概要については 表 1 に示すとおりです また 市民の森 の位置については 図 1 に示すとおりです 図中番号 21 灘区 22 灘区 表 -1 市民の森概要 区市民の森名指定年面積特徴構成樹種 敏馬 ( みぬめ ) 神社 昭和 49 年 河内国魂 ( かわちくにたま ) 神昭和 49 年社 2,300 m2 500 m2 万葉の浜辺の名残をとどめる鎮守の森 クスノキを中心にアラカシ ムクノキなどの高木がこんもりとした樹相を形づくってている 下草にはオニヤブソテツなどが育ち敏馬の浦の海岸の名残をとどめている クスノキを中心にした常緑樹の森 クロマツ イチョウの大木がある クスノキ イチョウ クロガネモチ ニレ ケヤキ ツバキ サンゴジュほか クロマツ クスノキ イチョウ サクラ カヤ タイサンボク オガタマノキ モチノキほか 23 灘区 大土 ( おおつち ) 神社 昭和 49 年 1,300 m2 六甲川に沿って新緑が美しく広がる クスノキ アラカシを中心にした高木が植えられている イヌマキ クロマツ アラカシ クスノキ ヒノキ サクラ ネズミモチ モミジほか 24 灘区 十善 ( じゅうぜん ) 寺 昭和 49 年 28,000 m2 早朝登山でも親しまれている社寺林 寺の裏山の東半分はモウソウチクの林で 西側はアラカシなどの生い茂る照葉樹林となっている ヒメユズリハが多いのが珍しい クロマツ サクラ クロガネモチ アラカシ ネズミモチ スギ エノキ クスノキ タケ ヤマモモ モミジ ツバキ ヒメユズリハ ソヨゴほか 25 東灘区 弓弦羽 ( ゆづるは ) 神社 昭和 49 年 2900 m2 自然林らしさが残る静寂な森 市街地には珍しいシイ アラカシなどがあり 自然らしさの残る森 エノキ クスノキ クロマツ アラカ大きなムクノキがあり ウバメガシ クロガネモチほかシ トベラ イスノキなど海辺に多い照葉樹が生育している 26 東灘区 保久良 ( ほくら ) 神社 昭和 50 年 15,500 m2 樹齢 100 年を超えるヤマモモ林が見事 兵庫県下最大と認められているヤマモモ クロガネモチがあヤマモモ クロガネモチほかる 自然性の高い森林となって優れた風致景観を形成している 出典 : こうべの名木 古木 ~ 市民の木 市民の森ガイドブック ~ ( 神戸市 平成 14 年 ) 上記 6 箇所の 市民の森 については 平成 27 年 10 月 19 日に現地踏査を行い 構成樹種について現地確認を行いました 現地で確認された構成樹種は 表 2 に示すとおりです 9
23. 大土神社 26. 保久良神社 24. 十善寺 25. 弓弦羽神社 22. 河内國魂神社 21 敏馬神社 凡例 : 対象事業実施区域 : 発電設備の設置予定地 : 市民の森 図 -1 市民の森位置図 10
市民の森の外観 ( 平成 27 年 10 月 19 日撮影 ) 21. 敏馬神社 22. 河内国魂神社 23. 大土神社 24. 十善寺 25. 弓弦羽神社 26. 保久良神社 11
表 -2 NO.21~26 の市民の森で確認された樹種 No.21 No.22 No.23 No.24 No.25 No.26 形態区分 常緑落葉 種名 灘区 東灘区 出現頻度 敏馬神社 河内国魂神社 大土神社 十善寺 弓弦羽神社保久良神社 中 高木常緑クスノキ 6 クロガネモチ 5 スギ 4 サカキ 4 ヒノキ 4 アラカシ 4 ヤブツバキ 4 ヒメユズリハ 3 イヌマキ 3 ヒサカキ 3 サンゴジュ 3 カゴノキ 2 マサキ 2 スダジイ 2 トベラ 2 モチノキ 2 トウネズミモチ 2 ヤブニッケイ 2 ヤマモモ 2 アカガシ 1 カクレミノ 1 ヒマラヤスギ 1 カヤ 1 モウソウチク 1 ソヨゴ 1 オガタマノキ 1 タイサンボク 1 サザンカ 1 タブノキ 1 マテバシイ 1 アセビ 1 イスノキ 1 ウバメガシ 1 カナメモチ 1 クロマツ 1 シャシャンボ 1 シロダモ 1 落葉ムクノキ 6 サクラ類 5 イロハモミジ 5 アカメガシワ 4 エノキ 4 ハゼ 3 イチョウ 2 センダン 2 クヌギ 2 アキニレ 2 カキノキ 2 コナラ 2 トウカエデ 1 エゴノキ 1 マユミ 1 ニセアカシア 1 ヤマハゼ 1 ネジキ 1 アベマキ 1 低木常緑ネズミモチ 5 アオキ 3 シャリンバイ 1 クチナシ 1 落葉 イヌビワ 3 コバノミツバツツジ 2 モチツツジ 1 ホソバイヌビワ 1 イボタノキ 1 サンショウ 1 計 23 19 20 29 25 26 - : 主要構成種 ( 本数が多く大きな個体を主要構成種とした ) : 構成種 注 ) 園芸用の低木種は確認種から除外した 12
5. 生態系の調査及び予測手法について 生態系の調査及び予測手法については 方法書段階であらかじめ決めておく必要がある 1. 注目種の選定生態系の注目種に関する選定結果は 以下のとおりです (1) 上位性の注目種生態系の上位種については 既存事例として近隣のポートアイランドで実施された 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸市, 平成 24 年 ) 及び当社が 対象事業実施区域及びその周辺で実施した鳥類予備調査 ( 平成 27 年 2 月 ~ 平成 27 年 8 月 ) 結果をもとに検討しました なお 哺乳類については 既存事例で上位性の種は確認されなかったため 鳥類の猛禽類を上位性の候補種としました 既存事例または鳥類予備調査において確認された猛禽類 ( トビを除く ) は 表 1 に示すとおりです このうち 既存事例及び鳥類予備調査で繁殖期に生息が確認された種は 5 種で このうち繁殖が確認された種はチョウゲンボウ 1 種でした 以上のことから 生態系の上位性の注目種は猛禽類のチョウゲンボウを想定しています 上位性の注目種を選定した理由は 表 2 に示すとおりです 種名 表 -1 上位性の注目種候補種既存事例 * において繁殖期 (2 月 ~8 月 ) に生息を確認 既存事例 * において生息を確認 予備調査において繁殖期 (2 月 ~8 月 ) に生息を確認 予備調査において対象事業実施区域周辺で繁殖を確認 ミサゴ ハイタカ サシバ ノスリ チョウゲンボウ コチョウゲンボウ ハヤブサ *: 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸市, 平成 24 年 ) : 該当する : 該当しない 表 -2 上位性の注目種とその選定理由 視点 注目種 選定理由 上位性 チョウゲンボウ 近隣のポートアイランドで実施された既存事例 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸 市, 平成 24 年 ) で繁殖期に生息が確認されていること 鳥類予備調査において 対象事業実施区域及びその周 辺で 繁殖が確認されていること ネズミ類を捕食するなど生態系の上位に位置すること 13
(2) 典型性の注目種生態系の典型種については 既存事例として近隣のポートアイランドで実施された 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸市, 平成 24 年 ) 及び当社が 対象事業実施区域及びその周辺で実施した鳥類予備調査 ( 平成 27 年 2 月 ~ 平成 27 年 8 月 ) 結果及び営巣環境の特性をもとに検討しました なお 哺乳類については 既存事例では外来生物のハツカネズミ ネズミ科の一種しか確認されなかったため 鳥類を典型性の候補種としました 既存事例または鳥類予備調査において確認された鳥類は 表 3 に示すとおりです このうち 既存事例及び予備調査ともに確認された種のうち 営巣環境が樹林地 草地などの緑地である種は キジバト ヒヨドリ カワラヒワ及びムクドリの 4 種となりました 4 種のうち カワラヒワは 繁殖期がキジバトより短期間であり 繁殖期調査を集中して行うことができること 年間を通して植物食であるため 現地調査により餌内容の把握が可能であることから カワラヒワを典型性の注目種として想定しています 典型性の注目種を選定した理由は 表 4 に示すとおりです 種名 既存事例 * において繁殖期 (5 月 6 月 ) に生息を確認 表 -3 典型性の注目種候補種予備調査において対象事業実施区域で繁殖期 (5 月 6 月 ) に生息を確認 樹林地 草地などの緑地を営巣環境とする 現地調査により餌内容の把握が可能 キジバト 2 ヒバリ 2 ツバメ ハクセキレイ ヒヨドリ 2 セッカ メジロ 2 カワラヒワ スズメ 2 ムクドリ 1 2 * : 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸市, 平成 24 年 ) : 該当する : 該当しない 1 : 一部該当する ( 緑地以外の営巣環境も利用するため ) 2 : 一部該当する ( 餌内容に植物以外が含まれるため ) 14
表 -4 典型性の注目種とその選定理由視点注目種選定理由典型性カワラヒワ 近隣のポートアイランドで実施された既存事例 第 11 次クリーンセンター建設事業環境影響評価書 ( 神戸市, 平成 24 年 ) で繁殖期に生息が確認されていること 鳥類予備調査の結果 対象事業実施区域及びその周辺の緑地において 繁殖期に生息が確認されていること 営巣環境が人工構造物ではなく 樹林地などの緑地であること キク科 イネ科 タデ科 マメ科などの植物の種子を食べる * 一次消費者で 猛禽類など高次消費者に捕食されるなど 当該地域の生態系において中間的な位置を占める種であること * 参考 : 原色日本野鳥生態図鑑 < 陸鳥編 >( 中村登流ほか,1995 年 ) 15
2. 調査内容及び調査 解析及び予測 評価のフロー生態系調査の調査概要は表 5 に 上位性注目種 ( チョウゲンボウ ) の調査 解析及び予測 評価のフローは図 1 に 典型性注目種 ( カワラヒワ ) の調査 解析及び予測 評価のフローは図 2 に示すとおりです 上位性注目種の調査では 調査結果をもとに チョウゲンボウの繁殖箇所 主要行動圏 主要ハンティング場所などを解析するとともに 事業計画 ( 改変区域と面積 ) による繁殖環境 餌資源の変化などを予測 評価します 典型性注目種の調査では 調査結果をもとに カワラヒワの繁殖箇所 採餌環境などを解析するとともに 事業計画 ( 改変区域と面積 ) による繁殖環境 餌資源の変化などを予測 評価します なお 植物の種類及び種子量は 植生調査 ( 春季及び秋季 ) において種ごとに被度 (%) を測定し 一定面積あたりの種子量を相対的に推定します 調査項目 上位性注目種 ( チョウゲンボウ ) 典型性注目種 ( カワラヒワ ) 生息状況調査 繁殖状況調査 採餌環境調査 生息状況調査 繁殖状況調査 採餌環境調査 表 -5 生態系調査の概要 調査内容 対象事業実施区域及びその周辺に定点を設置し 出現する猛禽類の行動 飛行軌跡等を把握する ハンティング行動 幼鳥の行動など把握する 繁殖行動が確認された場合に 営巣地及び巣立ち雛の有無など繁殖状況を把握する 餌となるネズミ類 両生類 爬虫類 鳥類を定量的に把握する 調査は 陸生動物調査の哺乳類調査 両生類調査 爬虫類調査で把握する 対象事業実施区域及びその周辺の鳥類ルート調査において 出現する個体の行動 確認地点等を把握する 任意観察法によりテリトリー行動 営巣箇所 巣立ち雛 幼鳥の有無等を把握する 環境類型区分を行い 区分ごとに植物の種数 種子生産量を把握する 植物の種数 種子量は キク科 イネ科 タデ科 マメ科の草本植物の被度 (%) を指標として相対的に評価する 植生調査は繁殖期の春季 秋季に実施する 調査地域及び調査地点 対象事業実施区域及び周辺 対象事業実施区域及び周辺 対象事業実施区域及び周辺 対象事業実施区域及び周辺 調査時期 2~8 月 春季 夏季 秋季 冬季 ( 両生類 爬虫類は除く ) 春季 夏季 春季 秋季 16
調査 < 生息 繁殖状況 > チョウゲンボウ生息 繁殖状況調査 ( 定点調査 3 地点で適宜実施 ) 平成 28 年 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月対象事業実施区域及び周辺 < 採餌環境 > 餌となるネズミ類の生息量を把握 ( 哺乳類調査の捕獲調査で実施 ) 両生類 爬虫類 小型鳥類の量の把握 ( 両生類 爬虫類 鳥類調査で実施 ) 対象事業実施区域内及び周辺区域 ハンティング行動 ( 定点調査で観察 ) 植生調査 解析 環境類型区分図 チョウゲンボウの繁殖箇所の把握主要行動圏の把握 チョウゲンボウの採餌環境主要なハンティング場所の把握 チョウゲンボウの生息状況 繁殖環境 採餌環境の解析 予測 評価 事業計画図 ( 改変区域と面積の把握 ) 事業実施前後でのチョウゲンボウの繁殖環境 餌資源の変化 チョウゲンボウへの影響の予測 評価 図 -1 上位性注目種 ( チョウゲンボウ ) の調査 解析及び予測 評価のフロー 17
調査 < 生息 繁殖状況 > カワラヒワの生息 繁殖状況調査鳥類春季 夏季調査 ( ルート調査 任意観察法 ) 対象事業実施区域内緑地及び周辺区域緑地 < 採餌環境 > カワラヒワの餌量調査植生調査単位面積あたりの餌となる種子量の把握対象事業実施区域内緑地及び周辺区域緑地 植生調査 解析 環境類型区分図 カワラヒワの繁殖箇所営巣環境 ( 樹種 樹高等 ) の把握つがい数の把握 カワラヒワの採餌環境採餌環境 ( 植物種数 種子量等 ) の把握 カワラヒワの繁殖箇所 繁殖環境 採餌環境の解析 予測 評価 事業計画図 ( 改変区域と面積の把握 ) 事業実施前後でのカワラヒワの繁殖環境 餌資源の変化 カワラヒワへの影響の予測 評価 図 -2 典型性注目種 ( カワラヒワ ) の調査 解析及び予測 評価のフロー 18
6. 緑化計画 ( 樹種の選定 ) について 対象事業実施区域周辺の神社 街路樹及び隣接する神鋼神戸発電所の緑地等の植生状況を緑化計画に反映すべきである 1. 隣接する神鋼神戸発電所における緑化 ( 樹種選定 ) の考え方 緑化にあたっては 客土及び土壌改良を行って植栽基盤を整備し 植生調査結果を踏まえて スダジイ タブノキ アラカシ等の常緑広葉樹を主体とする樹林及び草地を設けるとともに 常緑広葉樹を主体に鳥類の好む食餌植物等を取り入れて 鳥類等の生息環境として整備いたしました 2. 今回の事業計画における緑化計画について 対象事業実施区域周辺の公園及び 神戸市市民公園条例 に基づき市民の森に指定されている神社 並びにポートアイランド 六甲アイランド等の周辺の埋立地で整備されている街路樹の構成樹種等を考慮するとともに 隣接する神鋼神戸発電所の緑地帯における樹種の生育状況を当初計画と比較検証 ( 潮風等による影響有無等 ) し 最適な緑化計画を作成する予定です 19
7. 方法書及び要約書の記載内容の誤りについて 方法書及び要約書の記載内容について 誤りがありましたので 以下のとおり訂正します なお 下線部は訂正箇所を示しています 方法書 p.169 誤 2. 住宅対象事業実施区域の周辺における住宅の配置の状況については 第 3.2.2-2 図のとおりである 対象事業実施区域の最寄りでは北約 0.9km* の新在家が準住居地域に指定されており 発電設備の設置予定地から最寄りの住居までの距離は北北西約 0.4km* である 正 2. 住宅対象事業実施区域の周辺における住宅の配置の状況については 第 3.2.2-2 図のとおりである 対象事業実施区域の最寄りでは北約 0.6km* の新在家が準住居地域に指定されており 発電設備の設置予定地から最寄りの住居までの距離は北北西約 0.4km* である 要約書 p.28 誤 2. 住宅対象事業実施区域の周辺における住宅の配置の状況については 最寄りでは北約 0.9km* の新在家が準住居地域に指定されており 発電設備の設置予定地から最寄りの住居までの距離は北北西約 0.4km* である 正 2. 住宅対象事業実施区域の周辺における住宅の配置の状況については 最寄りでは北約 0.6km* の新在家が準住居地域に指定されており 発電設備の設置予定地から最寄りの住居までの距離は北北西約 0.4km* である 20