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新車販売台数のシェア 分析の前提条件 燃費 [km/l] 燃料種別新車販売台数のシェアは 自動車産業戦略 の平成 42 年度のシェアに向かって線形に変化し 技術開発等により乗用車販売平均燃費も改善すると仮定 2 この仮定を踏まえつつ 平成 27 年度燃費基準と平成 32 年度燃費基準の

分析手法の選択 燃費や車体重量 排気量に応じて減税措置が異なるエコカー減税 グリーン化特例の分析には 車種別データ等を扱うことができる非集計モデルが適切である 分析手法の分類 車体課税における税制グリーン化の分析に係る先行研究の多くは 部分均衡分析の手法が使われている 本分析手法のロジットモデルは

取組概要 ( 申請書からの転記 ) 全 般 排 出 量 の 認 識 取組名称 認証取得者名取組の概要 適用したカーボン オフセット第三者認証基準のバージョン認証の有効期間オフセット主体認証ラベルの使途 認証対象活動 認証番号 :CO 有効期間満了報告書受領済み 持続可能な島嶼社会の発展に

電気自動車・燃料電池車の普及について

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お知らせ

. 第 回エコカー補助金 の概要 第 回エコカー補助金 の目的は 環境性能に優れた新車の購入を促進することで 環境対策に貢献するとともに 国内市場の活性化を図ることを目的としている この制度内容は 平成 年度燃費基準達成または平成 年度燃費基準 % 達成している車を対象に 乗用車は 万円 軽乗用車は

第 4 回 動 リサイクルに係る情報発信の在り 等に関する検討会 参考 2-5 別添 2 輸 のリサイクル関連の 情報発信に関する取組み 2016 年 5 31 ( ) 日本自動車輸入組合 (JAIA) Japan Automobile Importers Association Contents

配慮事項 1 鉛の使用量 ( バッテリーに使用されているものを除く ) が可能な限り削減されていること 2 資源有効利用促進法の判断の基準を踏まえ 製品の長寿命化及び省資源化又は部品の再使用若しくは材料の再生利用のための設計上の工夫がなされていること 特に 希少金属類の減量化や再生利用のための設計上

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1 平成 22 年度の取組み結果 平成 22 年度の取り組み結果は 下記のとおりです 温室効果ガスの総排出量 平成 22 年度 温室効果ガス総排出量 (t-co2) 26,876 27, % 具体的取り組み 平成 22 年度 電気使用量 (kwh) 37,334,706 38,665,4

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2.1 標準式 : 燃料法 ( 燃料使用量から二酸化炭素排出量を算定 ) 燃料の使用に伴う二酸化炭素の発生は 燃料に含有される炭素分が燃焼することで酸化され 大気中に二酸化炭素として放出されることによります このため 燃料が完全燃焼することを前提にすれば 燃料の使用量から二酸化炭素排出量を算定する方

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J I S J A S O 廃止提案書 1. 対象規格 JASO M 304:02 ( 自動車用発泡体 ) 2. 廃止の背景と理由この規格は自動車用の断熱 防音 防振及びクッション用材料の性能 試験方法を標準化する趣旨で 1969 年に制定され 以後 4 回の改正が行われた なお 本年度の定期見直し

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資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について

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表 1 乗用自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製 造事業者等の判断の基準等 ( 平成 25 年経済産業省 国土交通省告示第 2 号 ) に定められた燃費基準における各車種の燃費試験法一覧 乗用自動車小型バス 路線バス 一般バス 2015 年度基準 JC08 JC08 JE0

H26 年度 JCM 方法論和文要約 A. 方法論タイトル 電気自動車による地球温室効果ガス排出量削減 B. 用語の定義 用語定義電気自動車 ( 以下 EV) 車載電池からの電力のみで走行する自動車をいう 送電線経由で車載 2 次電池に蓄電し 走行時に電動機に電力を供給する 2 次電池車が一般的であ

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目次 LCA 実施委託概要 3 LCI 結果 製品データシート 8 リユース食器 PSP トレイライフサイクルフロー 13 参照資料

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2017 年 1 月 18 日 植物由来プラスチック 合成繊維を対象に含む商品類型における 認定基準の部分的な改定について 公益財団法人日本環境協会 エコマーク事務局 1. 改定の概要エコマークでは 植物由来プラスチック 合成繊維に関して 2014 年から調査を行い 2015 年 4 月に エコマー

Fr. CO 2 [kg-co 2e ] CO 2 [kg] [L] [kg] CO 2 [kg-co 2e] E E E

また 革新鋼板 新アルミ合金 CFRPなどを 新開発の高強度接合技術を介してマルチマテリアル化することで 世界に類を見ない自動車ボディの革新 ( 軽量化 安全性 高剛性 空間特性の向上 ) を実現する 今後 ユーザー企業と共に適用部素材のベストミックス 仕様スペックを仕上げていく なお 自動車用途高

1クラブメンバー 10 名の年間交通移動 ( クラブの主将として現在活動頂いております NMB48 加藤夕夏さんの年間交通移動を含む ) 2 運営事務局責任者 1 名の年間交通移動 クラブ活動会場のどうぎんカーリングスタジアムの年間電気使用 1 平均月間電気使用量実績 (2014 年 2 月 ~20

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参考資料2 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 2016年

自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令に規定する国土交通大臣が告示で定める方法 ( 平成十八年三月十七日国土交通省告示第三百五十号 ) (10 15モード燃費値及びJC08モード燃費値の算定方法) 第一条自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令 ( 昭和 54 年通商産業省 運輸省令第

1 プロジェクト実施者の情報 1.1 プロジェクト実施者 ( 複数のプロジェクト実施者がいる場合は代表実施者 ) 実施者名 住所 イッハ ンサ イタ ンホウシ ンフ ナノサトシラカミコウシャ一般財団法人ブナの里白神公社 青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田 プロジェク

別添 4 レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較とエネルギー収支 A4.2. CO 2 排出量の差異について 1990~2012 年度における CO 2 排出量の差異の変動幅は -1.92%(2002 年度 )~1.96%(2008 年度 ) となっている なお エネルギーとして利用された廃

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( 出所 ) 中国自動車工業協会公表資料等より作成現在 中国で販売されている電気自動車のほとんどは民族系メーカーによる国産車である 15 年に販売された電気自動車のうち 約 6 割が乗用車で 約 4 割弱がバスであった 乗用車の中で 整備重量が1,kg 以下の小型車が9 割近くを占めた 14 年 8

エコカー減税グリーン化特例(自動車税 軽自動車税)(自動車税 軽自動車税)環境性能割車体課税の見直し ( 自動車重量税 自動車取得税 自動車税 軽自動車税 ) トラック バス タクシーについては 営自格差 を堅持するとともに 一部見直しを行った上で エコカー減税 グリーン化特例を 2 年間延長 また

1 プロジェクト実施者の情報 1.1 プロジェクト実施者 ( 複数のプロジェクト実施者がいる場合は代表実施者 ) ( フリガナ ) エンジニアウッドミヤザキジギョウ実施者名キョウドウクミアイエンジニアウッド宮崎事業協同組合住所 宮崎県都城市吉尾町 プロジェクト代


経済論集 46‐2(よこ)(P)☆/2.三崎


A.3 排出削減量の算定方法 A.3.1 排出削減量 ER EM BL EM PJ ( 式 1) 定義単位 数値 4 ER 排出削減量 1 kgco2/ 年 0 t<1 年 年 t<2.5 年 年 <t EM BL ベースライン排出量 2 kgco2/

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第 2 章各論 1. フェーズ 1( 水素利用の飛躍的拡大 ) 1.2. 運輸分野における水素の利活用 FCV は 水素ステーションから車載タンクに充填された水素と 空気中の酸素の電気化学反応によって発生する電気を使ってモーターを駆動させる自動車であり 一般ユーザーが初めて水素を直接取り扱うことにな

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5 ii) 実燃費方式 (499GT 貨物船 749GT 貨物船 5000kl 積みタンカー以外の船舶 ) (a) 新造船 6 申請船の CO2 排出量 (EEDI 値から求めた CO2 排出量 ) と比較船 (1990~2010 年に建造され かつ 航路及び船の大きさが申請船と同等のものに限る )

(*2) ハイブリッド自動車 ハイブリッドバス トラック ハイブリッド乗用車等車両総重量 3.5t 以下は 車 (*4) かつ燃費基準 +25% 達成車 (*5) 車両総重量 3.5t 超は重量車 車 (*9) かつ重量車燃費基準達成車 (*7) (*3) クリーンディーゼル乗用車平成 21 年排出

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1 排出削減事業者の情報排出削減事業者会社名株式会社シンセラ排出削減事業を実施する事業所事業所名株式会社シンセラ排出削減事業共同実施者 ( 国内クレジット保有予定者 ) 排出削減事業共同実施者名一般社団法人低炭素投資促進機構 1

平成 31 年度の軽自動車税の税率について 平成 31 年度の軽自動車税は下記のとおりとなりますのでご確認ください 原動機付自転車 小型特殊自動車 二輪の小型自動車 軽二輪 区分 税率 原動機付自転車 小型特殊自動車 50cc 以下 90cc 以下 125cc 以下三輪以上のもの ( ミニカー )

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概要:プラスチック製容器包装再商品化手法およびエネルギーリカバリーの環境負荷評価(LCA)

平成 30 年度朝倉市地球温暖化対策実行計画 ( 事務事業編 ) 実施状況報告書 ( 平成 29 年度実績 ) 平成 30 年 9 月 朝倉市環境課

2. 調査の内容 2.1 日欧のディーゼル車比率の相違ディーゼル車は ガソリン車と比較して燃費が良く CO 2 排出量の点から優れた特性を有しているが 排出ガス中の NOx PMのレベルが高く 大気環境汚染の要因となっている このような中で わが国でのディーゼル乗用車の 2001 年における新車販売

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番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

平成 30 年 1 月現在禁無断転載 複製 7 平成 29 年度の税制改正の概要について エコカー減税 ( 自動車重量税 自動車取得税 ) の概要 適用期間 自動車取得税( 取得税 ): 平成 29 年 4 月 1 日 ~ 平成 31 年 3 月 31 日 自動車重量税( 重量税 ): 平成 29

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再生材料や部品の利用促進を具体的に進めていることから その努力を示すものとして 本規格では マテリアルリサイクル及びリユースのみを対象としている 機器製造業者が直接その努力に関わるという 観点からも 本規格では 再生資源をマテリアルリサイクルのみに限定している Q5) 自らが資源循環利用をコントロー

(2) ベースラインエネルギー使用量 それぞれの排出起源のベースラインエネルギー使用量の算定方法は以下のとおり 1) 発電電力起源 EL BL = EL ( 式 1) 記号定義単位 ELBL ベースライン電力使用量 kwh/ 年 EL 事業実施後のコージェネレーションによる発電量 kwh/ 年 2)

4 推進体制別途添付いたします 5 公表の方法等 ホームページアドレス 閲覧場所 窓口で閲覧 所在地 冊 子 閲覧可能時間 冊子名 入手方法 その他

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今までの省エネ GHG 削減努力 ーエネルギー効率の国際比較ー 化学 石油化学産業全体 また製品別にみるとエチレン製造装置 か性ソーダのエネルギー効率において 世界最高レベルを達成している 2

< 新車新規登録等時における自動車重量税の税額 > 平成 30 年 5 月 1 日以降に新車新規登録をする乗用車 ( 軽自動車及びハイブリッド自動車を除く ) については 排ガス規制要件を満たし かつ平成 27 年度燃費基準 +10% を達成している車両については 納付すべき税額がとなります 1.

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資料 5-1 燃料電池自動車 バスの普及に向けた導入支援策について 平成 29 年 9 月 21 日 国土交通省自動車局環境政策課環境省水 大気環境局自動車環境対策課

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自動車税 納税義務者 ( 法 123) 1 自動車の所有者に課税します ( 所有者課税 ) なお 割賦販売などで売主が自動車の所有権を留保している場合は 買主を自動車の所有者とみなして課税します 2 国または地方公共団体等が所有する自動車の貸与を受けてその自動車を使用する場合は その使用者が納税義務

自動車NOx・PM法適合車ステッカーについて

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Microsoft Word - 1.B.2.d. 地熱発電における蒸気の生産に伴う漏出

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省エネルギーその 1- 自動車用材料 ( 炭素繊維複合材料 ) 1. 調査の目的自動車用材料としての炭素繊維複合材料 (CFRP) は 様々な箇所に使用されている 炭素繊維複合材料を用いることにより 従来と同じ強度 安全性を保ちつつ自動車の軽量化が可能となる CFRP 自動車は 車体の 17% に炭素繊維複合材料を使用しても 従来自動車以上の強度を発揮することができる さらに炭素繊維複合材料を使用することによって機体の重量を低減することができ 走行時に消費されるガソリンの消費量を削減することができる 本事例では 炭素繊維複合材料を導入した場合における従来型自動車からの燃費向上による CO2 排出削減量を定量的に把握するために clca による評価を行った 8) CFRP 自動車 図 5. 自動車向け炭素繊維複合材料 1CO 2 排出削減貢献の内容軽量化により燃費が向上し 燃料消費量が削減される 2 自動車に使用される化学製品例 炭素繊維 熱硬化性樹脂 ( エポキシ樹脂など ) 熱可塑性樹脂 (PP 樹脂など ) 2. バリューチェーンにおけるレベル本事例は自動車を対象としたものであり そのバリューチェーンを下図に示す 図 6. 本事例のバリューチェーン 1

3. 製品の比較本事例は 従来材料を炭素繊維複合材料に代替した自動車 (CFRP モデル ) と炭素繊維複合材料を使用しない自動車 ( 従来モデル ) を対象としたものである 2008 年における評価対象製品 (CFRP 自動車 ) のシェアはほぼ 0% 2020 年においては 1% 未満と考えられる 表 5. 評価対象製品と比較製品 評価対象製品 比較製品 CFRP 自動車 従来自動車 4. 機能単位 4.1 機能及び機能単位の詳細本事例は異なる素材を用いて製造した自動車の比較であり 評価対象製品と比較製品の車体重量に違いがあるため 走行時のガソリン消費量に差が生じる どちらの製品も自動車としての機能は同じであり 機能単位は自動車 1 台とした CFRP 自動車を使用するによって便益を受けるユーザーは自動車の利用者である 機能自動車の走行 機能単位自動車 1 台 便益を受けるユーザー自動車の利用者 4.2 品質要件 CFRP 自動車は 車体の 17% に炭素繊維複合材料を使用することによって 従来自動車と同じ強度 安全性を保ちつつ 車体の重量を低減することができ 走行時に消費されるガソリンの消費量を削減できる 2

図 7. 自動車の車体構造と炭素繊維 (CFRP) の使用量 4.3 製品のサービス寿命本事例では自動車の使用年数を 10 年とした 4.4 時間的基準と地理的基準 CO2 排出量の算定に用いたデータは 2006 年頃のデータを使用し 2020 年の需要予測は 2007 年実績をベースに予想した 排出削減貢献量は 対象年 (2020 年 )1 年間に製造された製品をライフエンドまで使用した際の CO 2 排出削減貢献量として算定されている 対象地域は日本と世界 ( 日本を含む ) とした 5. 算定の方法論 5.1 システム境界原料の製造から部品製造 自動車組立 使用 ( 走行 ) 自動車の廃棄段階を CFRP モデルと従来モデルのそれぞれについて評価を実施した なお 本モデルでは 自動車向け樹脂及び炭素繊維は粉砕し 射出成形時に添加することにより CFRP として再利用するベースで計算している 3

評価対象製品のシステム境界 比較製品のシステム境界 注 : 本図ではプロセス間の輸送を省略している CO2 排出量を考慮しているプロセスシステム境界 図 8. システム境界 5.2 前提条件 自動車のタイプガソリンのみを燃料とする乗用自動車を対象とした 車重 CFRP モデルは 970kg/ 台 従来モデルは 2006 年時点の平均的な車両重量である 1,380kg/ 台とした したがって CFRP モデルは従来モデルよりも車重が 30% 軽量化されている CFRP モデルに使用する CFRP は 174kg/ 台である 燃費 9) CFRP モデルの燃費は 12.40km/l 従来モデルは 9.83km/lとした 注 :clca ガイドライン 10) の別紙 1に示されているとおり 燃費に関するデータは様々な数値があるが 4

生涯走行距離 11) 全ての事例で統一することは困難なため 本事例の燃費は改訂前のデータから変更していない 自動車 1 台の総走行距離は 10 年間の使用で 9.4 万 km とした 5.3 主要パラメータ CO2 排出量全体に与える影響が大きい主要パラメータは走行距離 カーエアコンの使用状況 運転方法 道路状況 乗員数などが考えられる 5.4 不確実性と将来的進展シナリオの統合シナリオ分析 : 将来何の変化も起こらないと想定 (2007 年時の CO2 削減貢献量を使用 ) した 2020 年の CO2 排出量の算定をベースケースとして行った 6. 貢献の度合い ( 重要性 ) 評価対象製品を使用することによって車体重量を軽量化し 走行時に消費されるガソリンの消費量を削減することができる 軽量化は燃費向上の重要な要素の一部であり CO2 排出削減に貢献している ただし CO2 排出削減貢献量は 化学産業だけに帰属しておらず 原料調達から自動車の走行 廃棄 リサイクルを通じたバリューチェーン全体に帰属している 7.CO2 排出量の算定結果評価対象製品と比較製品の CO2 排出量を以下に示す 評価対象製品である CFRP モデル 1 台あたりの CO2 排出量は 26.8t-CO2 比較製品は 31.4t-CO2 である 原料調達 ~ 組立段階の CO2 排出量評価対象製品の原料調達段階における CO2 排出量は 5.1t-CO2/ 台 組立段階 0.8t-CO2/ 台である 比較製品の原料調達段階における CO2 排出量は 3.9t-CO2 組立段階が 1.2t-CO2 である 使用段階の CO2 排出量評価対象製品の使用段階における CO2 排出量は 20.6t-CO2/ 台 比較製品は 26.0t-CO2/ 台である 廃棄段階の CO2 排出量評価対象製品の廃棄段階における CO2 排出量は 0.3t-CO2/ 台 比較製品は 0.3t-CO2/ 台である 自動車 1 台あたりの CO2 排出削減貢献量評価対象製品と比較製品の GHG 排出量の差から算出した CO2 排出削減貢献量は 10 年間で 4.6t -CO2/ 台となる 5

表 6. 自動車 1 台当たりの CO 2 排出量と CO 2 排出削減貢献量 CFRP モデル 従来モデル 原料 ~ 材料製造段階 CO2 排出量 (t-co2/ 台 ) 5.1 3.9 自動車組立段階 CO2 排出量 (t-co2/ 台 ) 0.8 1.2 実走行燃費 (km/l-ガソリン) 12.40 9.83 自動車 生涯走行距離 (km) 94,000 使用 生涯ガソリン使用量 (l) 7,580 9,560 段階 ガソリン燃焼時 CO2 排出量 12)(kg-CO2/l) 2.72 使用段階 CO2 排出量 (t-co2/ 台 10 年 ) 20.6 26.0 廃棄 リサイクル段階 CO2 排出量 (t-co2/ 台 ) 0.3 0.3 ライフサイクル全体の CO2 排出量 (t-co2/ 台 10 年 ) 26.8 31.4 CO2 排出削減貢献量 (t-co2/ 台 10 年 ) 5 (t CO 2 / 台 ) 50.0 40.0 5 30.0 26.0 26.8 31.4 20.0 20.6 10.0 0.0 5.1 3.9 0.8 1.2 0.3 0.3 原料調達組立使用廃棄合計 評価対象製品 比較製品 図 9. 自動車 1 台当たりの CO 2 排出量と CO 2 排出削減貢献量 8. 今後の予測 (1) 日本での導入効果日本の 2020 年における CO2 排出削減貢献量は 以下の設定に基づいて算定した 1 予想台数 2020 年 1.5 万台国内メーカーによる自動車用途の炭素繊維使用量の推計値 13) は 1,500 トン ( 世界の約 5%) であり 1 台当たり 100kg 使用されるものと仮定し 導入台数を 1.5 万台と推計した 2CFRP 自動車 1 台当たりの CO2 排出削減貢献量 5t-CO2/ 台 3CO2 排出削減貢献量 CFRP 自動車 1 台当たりの CO2 排出削減貢献量 導入予想台数 6

=5t-CO2/ 台 15,000 台 =75 kt-co2 表 7. 2020 年に日本で販売される CFRP 自動車による CO 2 排出削減貢献量 日本 1)2020 年の導入量 2020 年の自動車用途炭素繊維使用量 ( トン ) 1,500 炭素繊維複合材料使用自動車の導入台数 ( 万台 ) 1.5 2)CO2 排出削減貢献量 1 台あたりの CO2 排出削減貢献量 (t-co2/ 台 10 年 ) 5 2020 年の自動車 ( 炭素繊維複合材料使用 ) による CO2 排出削減貢献量 ( 万トン -CO2/10 年 ) 7.5 評価対象製品 1 台当たりの CO2 排出量は 26.8t-CO2 であり 導入予想台数は 1.5 万台であることから 評価対象製品の CO2 総排出量は 40 万 t-co2(26.8t-co2/ 台 15,000 台 =402kt-CO2) となる (2) 世界での導入効果世界の 2020 年における CO2 排出削減貢献量は 以下の設定に基づいて算定した 1 予想台数 2020 年 30 万台国内メーカーによる自動車用途の炭素繊維使用量の推計値 13) は 3 万トンであり 1 台当たり 100kg 使用されるものと仮定し 導入台数を 30 万台と推計した 2CFRP 自動車 1 台当たりの CO2 排出削減貢献量 5t-CO2/ 台 3CO2 排出削減貢献量 CFRP 自動車 1 台当たりの CO2 排出削減貢献量 導入予想台数 =5t-CO2/ 台 300,000 台 =1,500 kt-co2 表 8. 2020 年に世界で販売される CFRP 自動車による CO 2 排出削減貢献量 世界 1)2020 年の導入量 2020 年の自動車用途炭素繊維使用量 ( トン ) 30,000 炭素繊維複合材料使用自動車の導入台数 ( 万台 ) 30 2)CO2 排出削減貢献量 1 台あたりのライフサイクル CO2 排出削減貢献量 (t-co2/ 台 10 年 ) 5 2020 年の自動車 ( 炭素繊維複合材料使用 ) による CO2 排出削減貢献量 7 ( 万トン -CO2/10 年 ) 150

評価対象製品 1 台当たりの CO2 排出量は 26.8t-CO2 であり 世界での導入予想台数は 30 万台であることから 評価対象製品の CO2 総排出量は 804 万 t-co2(26.8t-co2/ 台 300,000 台 = 8,040kt-CO2) となる 9. 調査の限界と将来に向けた提言本事例は従来材料を炭素繊維複合材料に代替したガソリン車 (CFRP モデル ) と炭素繊維複合材料を使用しない自動車 ( 従来モデル ) を評価しており 2020 年の需要予測に基づいて CO2 排出削減貢献量を算定したものである したがって 前提条件に示した車体の重量 燃費 走行距離が異なる場合は個別の評価が必要であり その結果によっては CO2 排出削減貢献量の算定結果が異なる また将来の伸びが予想される電気自動車 燃料電池自動車等の燃料が異なるモデルについても CO2 排出削減貢献量の算定が別途必要である 参考文献 8) 炭素繊維協会ウェブサイト http://www.carbonfiber.gr.jp/ 9) 自動車工業会の資料をもとに設定 (2008 年資料 2006 年実績 ) 10) CO 2 排出削減貢献量算定のガイドライン一般社団法人日本化学工業協会 11) 国土交通省の資料をもとに設定 (2008 年 3 月調査 2006 年実績 ) 12) 環境省 各協会 各自動車メーカーの値より設定 13) 炭素繊維協会推定 8