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L46.00 新 6500 6400 6450 65006550 6600 L46.20 6650 6700 6750 6722.6 L46.40 6800 TA5 6850 R46.40 6900 R46.60 KP45.8 KP46.6 造成箇所 KP47.6 造成箇所 KP46.0 造成箇所 (~) 造成箇所 KP47.0 図 -1 造成区間 (KP45.8~KP47.6, 新 ~SP7900) の平面図 6950 7000 図 -2 KP46.0() における河床堆積状況の経年変化 写真 -1 は改修工事 4 年後の 2011 年 10 月に KP46.0 左岸に造成したの対岸, 右岸から撮影した河道の状況である. 右岸河床には土砂が堆積し, ヤナギ等の樹木も侵入している. この KP46.0 の河床横断の経年変化を図 -2 に示すと, 右岸河床は改修後の 3 年間で約 1.5 m も砂礫が堆積しており, 造成によって砂礫の堆積を促す効果があることが確認できる. ただし, 河道改修から現在までの期間では, 2009 年 7 月 28 日における最大流量 165 m 3 /s と同年 10 月 9 日における最大流量 176 m 3 /s 以外に大きな出水はなく, 低水路満杯流量 350 m 3 /s を越えるような大規模な洪水は一度も生起していない. そこで, 本研究は KP46.0 付近 ( 改修工事区間 ~ ) の造成区間を対象とし, 低水路満杯流量規模の洪水が生起した場合に, この造成部周辺の砂礫の挙動に注目し, を造成したことによる部分周辺の砂礫堆積状況と融雪出水, 夏期洪水との対応関係を明らかにし, 長期的な部分の維持 保全が可能かを, 水理模型実験により検討するものである. 2. 水理模型実験の概要 (1) 実験水路の概要実験で使用する模型水路 ( 写真 -2) は, 網走川のKP45.8 ~KP46.6( 新 ~SP7000) の約 800 m 区間を原型とし, 造成箇所であるKP46.0 付近 (~) における砂礫の堆積状況を再現 検証するものである. 模型水路の縮尺は1/80で, 水平縮尺と鉛直縮尺が等しい無歪模型としたので, 河床勾配は原型河川と同じく I 1/ 227 である. 模型水路に設定した河床横断面は, 写真 -2 網走川模型水路 ( 低水路満杯流量通水時 ) 河川改修で掘り下げた河床断面である. なお, 図 -1 に示す造成区間は改修断面より更に掘り下げてある. 実験では上流から砂礫を給砂することによって, 徐々に河床に砂礫が堆積し, 砂州も形成し始める. (2) 相似条件模型水路において原型河川の流れを再現するために, 模型と原型でフルード数を一致させるフルード相似則を適用すると, 次式が成り立つ. up g PhP u g h ここで, 添え字 P は原型値を, 添え字 は模型値を表しており,u : 流速, g : 重力加速度, h : 水深である. 縮尺 = 模型値 / 原型値 とし, 縮尺の添え字を R とすると, 水深の縮尺は h h / h 1/ 80 S となる. R Sl は長さの縮尺を表している. 同様に, 流速の縮尺 u R, P l (1) - 186 -

流量の縮尺 Q R 1/ 2 5 / 2 ur S l, QR S l,, 時間の縮尺 tr を, S l を用いて表すと 2 t となる. また, 原型 1/ R S l と模型で無次元掃流力を一致させると, hpi P h I (2) s d s d P P となる. ここで, I : 河床勾配, d : 河床材料の粒径, s : 河床材料の水中比重である. 無歪模型なので I R 1 であり, 原型と模型の河床材料の水中比重 s が 等しいとすると sr 1 なので, d / d P h / hp となる. 対象とした網走川の中流域における河床材料の平均粒 径 P d はd P 25.5mm であるので, 模型における河床材料の粒径 d は d 25.5/80 0.32mm となる. した がって, 模型水路実験には平均粒径が 0.321 mm である 6 号硅砂を使用することにした. また, 固定床における流砂量式はまだ確立されていな いため, 予備実験で 6 号硅砂による無次元掃流力と流砂 量の関係を求めた結果, 図 -3 に示すように eyer Peter- uller 式に近い傾向を示したので, 実験の給砂量は上流 端の無次元掃流力に対応した流砂量を eyer Peter-uller 式から算出して給砂する. 図 -3 流砂量の検討 (3) 粗度係数の検証模型水路の河床は写真 -2 のように 6 号硅砂を混ぜたモルタルで仕上げ, 砂礫の堆積状況を確認し易くするのと粗度係数を調整するためにペンキを塗布している. 原型水路の河道計画で設定している対象区間の低水路粗度係数は n P =0.034 であり, フルード相似から模型の粗度係数は n =0.016 となる. 模型水路が原型河川の粗度を再現しているかを検証するために,2009 年 11 月 6 日に北海道開発局網走開発建設部が調査した ~SP7000 の澪筋における観測水位と模型水路の水位データを比較した. なお, 模型水路に通水する流量は, 調査日の日流量 Q P =16.08 m 3 /s を模型値に換算した Q =0.281 l/s である. 原型値に換算した模型水路の水位と原型河川における実測水位を比較すると, 図 -4 に示すようにほぼ一致した結果が得られた. また, 図 -4 粗度係数の検証 ( 原型と模型の水位比較 ) 図 -5 低水路満杯流量時の水位 (KP46.0()) 改修後最大の出水であった 2009 年 10 月 9 日の Q P =176 m 3 /s (Q =3.075 l/s) の痕跡水位から 1 次元不等流計算によって粗度を逆算すると n P =0.030 となり, フルード相似から n =0.014 となる. 実験水位から同じく逆算した粗度も n =0.014 と一致した. したがって, 模型水路の粗度は n =0.014~0.016 と推定され, 原型河川の粗度を良好に再現していると判断した. なお, 改修後まだ経験していない低水路満杯流量 Q P =350 m 3 /s(q =6.114 l/s) 相当を通水した場合の各断面 (~SP7000) の水位を測定したところ, 高水敷まで溢れることなく低水路に収まって流下していた ( 一例として, 図 -5 に の観測水位を示す ). 3. 砂礫の堆積 洗掘実験結果と考察 前述したように,KP46.0 付近 ( 改修工事区間 ~ ) の河道横断図 ( 図 -2) から左岸造成部の対岸, 右岸河床に砂礫が堆積している. 実験 Ⅰ ではこの堆積状況の再現を試みる. 次に, 実験 Ⅱ では, 将来経験するであろう低水路満杯流量を通水した場合の砂礫の堆積 洗掘状況を検討する. (1) 実験 Ⅰ まず,2008 年 8 月の現地観測による横断データを基に河床面まで砂を敷き均し, それを初期状態とした ( 写真 -2). この状態から,2009 年 10 月の降雨出水 Q =2.475 l/sをt =1 時間 50 分通水し, その後,2010 年の融雪出水 Q =0.788 l/sをt =10 時間通水した ( 写真 -3). ちなみに, - 187 -

SP6500 写真 -2 初期状態 (~SP6500) 降雨出水通水後 ( 上 ) 図 -6 河道横断形状 (, 降雨出水後と融雪出水後 ) これらを原型値に換算すると,Q P =141.7 m 3 /sとq P =45.1 m 3 /s,t P =16 時間 30 分とt P =89 時間 30 分である. 図 -6は2009 年 10 月の降雨出水,2010 年の融雪出水後の砂の堆積状態を,2010 年 8 月に行った横断測量データと比較したもので,2010 年融雪出水後の実験結果は現地とほぼ同様な堆積状態を再現している.2009 年 10 月の降雨出水では右岸内岸の瀬の部分だけでなく, 外岸の造成部でも堆積し始め, 出水後には部の約半分に堆積していた ( 写真 -3). その堆積は融雪出水の外岸への流れの集中によって徐々に洗掘されて下流へと押し流され, 終に部の堆積が解消されている. その際の水位は右岸の堆積部分を僅かに被る位で流れがないため, その堆積は維持される. この右岸部分は緩い蛇行部の内岸にあたり,Q P =150 m 3 /s 程度の降雨出水規模になると右岸を流れ, 砂礫の堆積が出水の度に増加していくようである. 写真 -1は現在の右岸の状況であり, 堆積砂礫の上面は侵入してきた樹木が繁茂している. この実験から, 降雨出水により造成箇所の対岸, 内岸だけではなく, 外岸の部分にもある程度, 砂礫が堆積すると推定される. しかし, 融雪出水規模の流量が流れた場合, もしくは洪水の減水期に部分に流れが集中すると, 堆積した砂礫が洗掘され, の深さが維持されると考えられる. 本実験で用いた6 号硅砂 ( 平均粒径 d = 0.32 mm) は砂漣の形成条件 4) である砂粒レイノルズ数 Re * が10~20 以下の場合に該当する. 確かに実験中は, 写真 -3にあるような砂漣が砂面に形成され, 形状抵抗を増やしている. 砂漣を発生させないためには砂礫径を大きくし, 比重の軽 融雪出水通水後 ( 下 ) 写真 -3 付近の堆積状況 ( 降雨出水後と融雪出水後 ) い軽量骨材を用いる歪模型実験にする必要がある. 内島ら 5) は実験スペースを制限した小縮尺の歪模型実験を試みているが, 掃流力相似を与えて河床形状の再現は可能であるものの, 流れの条件がフルード相似を満たさないため, 水位の原型換算が難しくなる. したがって, 本研究では砂漣の発生は避けられないものの, 岩床河川のどこに砂礫が堆積し, 流況に応じてその増減がどのように推移するかを把握することは可能である. 一般に, 砂漣の波長, 波高は砂礫径に関係し, 波長が砂礫径の500~ 1,500 倍である. 砂漣の形状は写真 -3のように3 次元的であり水深の浅い瀬の部分では砂漣の峰々を縫うように流れるため砂礫の移動は遅く砂漣の変形もゆっくりである. したがって, 砂漣は流れが集中する部分の土砂流送より水深の浅い瀬部分の土砂流送に影響を与えるものと考えられる. (2) 実験 Ⅱ 本実験も 2010 年 8 月における堆積状況を初期状態におき, 低水路満杯流量である Q P =350 m 3 /s を通水した後, 洪水減水期に相当する Q P =200 m 3 /s,100 m 3 /s,50 m 3 /s の順に減水して通水した. なお, 模型における流量はそれぞれ Q =6.114 l/s,3.494 l/s,1.747 l/s,0.873 l/s である. また,Q P =350 m 3 /s,200 m 3 /s,100 m 3 /s のときの通水時間は既往の洪水波形を参考にして, それぞれ t P =30 分間で, 50 m 3 /s のときは t P =4 時間とした. 低水路満杯流量を通水すると, 図 -7 に示したように造成箇所とその対岸, 右岸側の堆積量も多く, 横断面の全体に堆積している. その状態から, 流量を減少させて - 188 -

図-7 河道横断形状 降雨出水後と融雪出水後 (1)低水路満杯流量QP=350 m3/s通水時 2010年8月の初期状態 上 (2) QP=200 m3/s通水時 全ての流量を通水後 下 写真-4 付近の堆積状況 低水路満杯流量通水 いくと 流れが外岸側の部分へ引っ張られるように落 ち込み 右岸側の砂礫もその流れによって少しずつ砂面 が洗掘され 河床が低下していく様子が確認できた ま た QP=100 m3/s以下になると流れは部分を主に流れ るため 右岸の砂州は大きく変化することなく維持され 融雪出水期規模のQP=50 m3/s程度になると 実験Ⅰと同 様にに堆積していた砂礫が下流へ押し流されて 堆積 状況は実験の初期状態に近い状態になった 写真-4 本実験では 区間の流速ベクトルを計 測するため トレーサを流下させて デジタルカメラで 0.1秒間隔毎に撮影した 撮影した画像をアンフィニ変 換して画像のゆがみを補正し トレーサを追跡して移動 量から流速ベクトルを描いたのが図-8である 前述した ように 流量の減少に伴って流れが造成部に集中する 様子を表している 水位低下に伴い 流れが部分へ集 中していくため 対岸側に過剰に堆積していた砂が 部分の流れに引っ張られるように洗掘されていったと考 えられる (3) QP=100 m3/s通水時 - 189 - (4) QP=50 m3/s通水時 図-8 区間の流速ベクトル

したがって, 低水路満杯流量規模の出水の場合, 洪水中は河床が堆積するものの, 洪水後の流量減少と共に砂礫掃流 洗掘されて, この造成区間に過大に堆積し続ける可能性は低いと判断できる. 4. おわりに 今後, 低水路満杯流量規模の出水が発生した場合, 造成箇所とその対岸, 右岸側における堆積量はかなり増加することが予想されるが,Q P =100 m 3 /s 程度まで減水していく際に, の対岸側に過剰に堆積した部分が削りとられ, そこからさらに減水していくと部分に堆積している砂礫が洗掘されるため, 造成部分は当初の形状を維持できることが期待される. 参考文献 1) 国土交通省多自然型川づくりレビュー委員会 : 多自然型川づくりへの展開,2006. 2) 国土交通省 : 第 19 回河川分科会 ( 平成 18 年 3 月 31 日 ) 参考資料 5-1 網走川水系の流域および河川の概要( 案 ),2006. 3) 早川博 宮本大 : 岩床河川における瀬との再生に関する研究, 河川技術論文集, 第 15 巻,pp.219-224,2009. 4) 水理委員会移動床流れの抵抗と河床形状研究小委員会 : 移動床流れにおける河床形態と粗度, 土木学会論文報告集, 第 210 号,pp.65-91,1973. 5) 内島邦秀 早川博 : 交互砂州河床河川の移動床歪模型の相似則に関する研究, 土木学会論文集,No.479/Ⅱ-25, pp. 71-79, 1993. (2012.4.5 受付 ) - 190 -