有機 EL デバイスと生産プロセス 現状と将来の可能性 2009 年 4 月 28 日有機薄膜研究会 技術コンサルタント當摩照夫
1. はじめに 最近の話題 目次 2. 有機 EL の基礎 有機 EL とは 有機材料と素子構造 有機 EL の特徴 最新の特性 3. 有機 EL ディスプレイ 有機 EL ディスプレイの優位性 有機 EL ディスプレイデバイス 開発の歴史 現状と課題 市場動向 4. 有機 EL 照明の現状と課題 有機 EL 照明の優位性 現状と課題 将来展望 5. 有機 EL デバイスの生産工程 有機デバイスの特殊性 有機成膜プロセス プリンティング手法の導入 6. まとめ夢の実現に向けて
有機 EL がより身近に 有機 EL テレビと有機 EL 携帯テレビの CM にも登場 Sony 11 インチテレビは日本に続き米国 欧州市場にも 携帯電話は日本 韓国 そして米国 欧州へ 新しいアプリも登場携帯テレビ ピクチャーフレーム等 サムソンから 3.2 インチ VGA タッチセンサー付き携帯登場 KODAK Nokia から OLED 搭載携帯登場 有機 EL 搭載 au 携帯 S001 Sony Ericsson
有機 EL 大型テレビへの挑戦 25~40 インチテレビの発表相次ぐ SONY 27 inchi prototype Samsung 40 inch prototype FPD International 2008 にて展示 SGS TFT バックプレーンを使用 サムソン電子 31 インチ有機 EL テレビプロトタイプ at SID 08 CMEL 25 inch prototype FPD International 2008 にて展示
有機 EL とは 有機材料を用いた薄膜発光デバイス 有機半導体による PIN 発光 Organic LED(OLED)
Dr.Tang s Paper Alq Diamine 600A 700A
有機 EL とは Dr. Tang の発明のポイント 有機薄膜を用いた発光素子 Alq 陰極 (Mg-Ag) N N O Al O O N 50~100 nm + + + + + + 電子輸送層 ホール輸送層 TPAC CH 3 = 10 5 cm2/vs H 3 C 陽極 (ITO) H 3 C N N CH 3 ガラス基板 = 10 3cm2/Vs 陰極と陽極の間にホール輸送層 発光層 電子輸送層をサンドイッチ各層の厚さは 20~30 nm 有機薄膜は蒸着 スピンコート インクジェット等で形成される
低分子有機材料 現在生産されている有機 EL はほぼ全て低分子型 多層構造を取る 真空蒸着により成膜される 最近低分子材料のインク化の試みが盛ん 高輝度での耐久性が大幅に改善 赤色 緑色では既に実用レベルの実力 青色でさらなる改善が望まれる
代表的な低分子 OLED 材料の例 Hole injection materials Hole transport materials CH 3 N N CH 3 N N N N Cu N N N N N N N N N N CH 3 CH 3 MTDATA Cu-PC TPD NPB Emissive materials (hosts) Electron transport materials CH 3 N O Al O N O N C HC CH C N O Al O N O N Alq (Green) DPVBi (Blue) Alq NC CN H N O N O t-bu O DCM2 (Red) Qd (Green) Perylene (Blue) N H
高分子有機 EL 材料 共役系高分子 多機能性材料による 2 層構造 塗布型プロセス --- 大型パネルに対応可 長寿命化に課題 高純度化 多層化 非共役系高分子 --- ホスト高分子に燐光発光高分子を結合
低分子 vs 高分子 低分子積層型有機 EL 高分子型有機 EL 陰極 電子注入層電子輸送層発光層ホール輸送層ホール注入層陽極 (ITO) ガラス基板 陰極多機能発光層バッファー層陽極 (ITO) ガラス基板 機能別に 5~6 層を積層 蒸着が主流 性能 寿命ともに進んでいる現在生産されているのは低分子タイプ 2~3 層構造 ひとつの層にいろいろな機能を持たせる 塗布型 インクジェットが主流 性能面では低分子型に後れを取る
低分子 vs 高分子 低分子 高分子 分子量 数千 数十 ~ 数百万 作製プロセス ドライプロセス真空蒸着 ウェットプロセススピンコーティング 印刷 デバイス構造 多層構造 多機能小数層構造 パターニング マスク蒸着 インクジェット等の印刷 現状の課題 複雑な層構造 高精細パターニングが困難 性能 特に寿命に課題 プリンティング技術の最適化 市場導入 1997 2002
有機 EL の基本特性 1. ダイオード特性 発光輝度は電流に比例 発光開始は3V 程度の低電圧 2. 発光効率が高く 高輝度 3. 入力電流に対する応答が極めて早い 4. 発光色は材料の変更で自由に変えられる Luminance ( cd/m 2 ) 10 4 10 3 10 2 10 1 10 0 10-2 10-1 10 0 10 1 10 2 Current density ( ma/cm 2 ) (a.u) 1 EL 発光 Current density ( ma/cm 2 ) 150 100 50 0-50 -100-150 -25-20-15-10 -5 0 5 10 15 20 25 Driving voltage ( V ) 駆動電圧 (V) 15 10 5 0 0 Time 200 ns/div
有機 EL の特徴 1. 有機半導体 LED 高効率 低消費電力 高輝度 高コントラスト 高速応答 2. 有機材料を用いたアモルファス薄膜発光 大面積面発光デバイス 無定型基板 フレキシブルデバイス 薄型 軽量 ディスプレイ 1. 高輝度 高コントラスト 視野角に依存しない画質 2. 優れた動画特性 3. 低消費電力 薄型 軽量 照明 1. 平面拡散照明 2. 高効率 低消費電力 3. 薄型 軽量
有機 EL は大きな期待を受けているが 課題はまだまだ山積 残された課題 1. 基本デバイス性能 さらなる発光効率の向上 純青りん光材料の実現 駆動電圧の低減 デバイス構造の最適化 (PIN 構造 ) 大幅な長寿命化 2. 生産技術 成膜とパターニング 封止技術 低コスト化
最近の低分子有機 EL 材料特性例 各社の HP より編集 Color 材料タイプ CIE(X,Y) Efficiency (cd/a) Lifetime (hrs) Initial Luminance Blue 出光 ( 低分子蛍光 ) (0.14, 0.16) 7 12,000 1,000 UDC( 低分子りん光 ) (0.14, 0.13) 9 NA NA SUMATION( 高分子 ) (0.14, 0.20) 9.3 10.000 1,000 Light Blue 出光 ( 低分子蛍光 ) (0.17, 0.32) 12 21,000 1,000 UDC( りん光 ) (0.16, 0.29) 21 3,000 500 Green 出光 ( 低分子蛍光 ) (0.33, 0.63) 30 60,000 1,000 UDC( 低分子りん光 ) (0.36, 0.61) 56 75,000 1,000 SUMATION( 高分子 ) (0.29, 0.64) 16 78,000 1,000 Red 出光 ( 低分子蛍光 ) (0.67, 0.33) 11 160,000 1,000 UDC( 低分子りん光 ) (0.66, 0.34) 27 200,000 1,000 SUMATION( 高分子 ) (0.67, 0.32) 10 67,000 1,000 White 出光 ( 低分子蛍光 ) (0.33, 0.39) 16 70,000 1,000 UDC( 低分子りん光 ) (0.38, 0.39) 33 4,000 1,000
有機 EL の発光過程 基本的に無機半導体 LED と同等の発光過程 電子 三重項励起子 熱失活 ホール 一重項励起子 内部量子効率 1 重項励起子からの発光 : 蛍光 3 重項励起子からの発光 : りん光 発光 デバイス内部損失 外部へ発光 光取り出し効率 ηext 外部量子効率 = 内部量子効率 x 光取り出し効率
りん光発光 一重項励起からの発光が蛍光 三重項励起からの発光がりん光蛍光 : りん光 =1:3 りん光を活用しないと 75% のエネルギーが無駄になる 一般的に三重項励起は室温では観測されない この状況をプリンストン大の Baldo 等がブレークスルー 量子収率が理論上 100% に!
最新のりん光材料 UDC( 米国 ) での進展 赤 緑においては充分に実用レベル 全りん光白色素子で 100 lm/w を達成 PHOLEDs CIE Color Coordinates External Quantum Efficiency (%) Luminous Efficiency (cd/a) Lifetime to 50% L o (hrs) Initial Luminance (cd/m 2 ) Voltage [V] Deep red (0.67, 0.33) 21 21 80,000 1,000 4.3 (0.66, 0.34) 19 22 200,000 1,000 2.8 Red (0.64, 0.36) 21 28 500,000 1,000 2.8 Green (0.36, 0.60) 16 58 100,000 1,000 2.8 (0.38, 0.59) 19 67 250,000 1,000 4.6 青色は色合いの改善が進んだ CIE(0.16, 0.14) 寿命はまだ大幅改善が必要
青色リン光材料 UDC における進展 マイクロキャビティとの組み合わせで Deep Blue が実現 高効率化 長寿命化も大きく前進 発光効率 :45 cd/a, 20% EQE 初期輝度 500cd/m2 で半減時間 15,000 時間を達成色相はスカイブルー λmax = 472 nm
駆動電圧の低減 一対の電子 - ホールペアからどれだけ発光するか ----- 内部量子効率 どれだけ光をデバイスの外へ取り出せるか ----- 外部量子効率 次の課題は如何に容易に電子 - ホールを有機膜に注入し 発光層まで輸送するか 動作電圧の大幅削減 ------ エネルギー効率の向上 対策 : 1. 注入障壁の最小化 2. 各層のモビリティの向上 LUM EA O Electron IP EF Barrier Recombination EF HOMO MgAg Hole ITO Injection Transportation TPD Alq 3 IP : Ionization Potential EA : Electron Affinity
光取り出し効率 外部光取りだし効率 : 一般的には 20% 程度 有機膜内導波 これを大きくすることが有機 EL の発光効率を高めるために非常に重要 基板内導波 有機膜 基板 外部取り出し光 対策 1. 基板表面に凹凸やマイクロレンズ加工を施す 2. 低屈折率基板を用いる 3. キャビティ効果を活用等が試みられている
有機 EL も 高効率発光デバイスの仲間入り 各種発光デバイスの性能 発光効率 (lm/w) 動作寿命 ( 時間 ) 白熱電球 15~20 1,000~2,000 蛍光灯 60~100 3,000~10,000 白色 LED 30~60(100) >10,000 CCFL 30~60 10,000~60,000 ハロゲンランプ 20 ~3,000 有機 EL 10~30(64) >10,000 最近 白色 OLED デバイスで 102 lm/w at 1,000 cd/m 2 を達成
代表的なディスプレイ技術 CRT (Cathode Ray Tube 発光型 FED (Field Emission Display) VFD (Vacuum Fluorescent Display) PDP (Plasma Display Panel) ガラス管 Display EL (Electro Luminescent Display) LED (Light Emitting Diode Display) OLED (Organic LED Display) 固体 非発光型 LCD (Liquid Crystal Display) EPID (Electro-Phoretic Image Display) ECD (Electro-Chromic Display)
有機 EL ディスプレイの優位性 1. 他の方式を圧倒する最高の画質 高いピーク輝度と完全な黒の沈み込みによる完璧なコントラスト 輝度ばかりでなく色相もコントラストも変化しない完璧な広視野角 液晶の千倍以上の高速応答性 2. 液晶方式に比べ 1/3 以下になる優れた低消費電力 3. シンプルな構造と環境に優しい有機材料を使用する真のエコロジー 4. オールプラスティック 全薄膜による優れたフレキシビリティ 5. プリンティング手法の導入による低コスト生産
有機 EL の優れた画質 有機 EL CRT 広いダイナミックレンジ白の突き抜け バックライト付き液晶 輝度 黒 白 白ピーク 真の広視野角 輝度色度コントラスト NTSC100% を超える色度 有機 EL バックライト付き液晶 視野角 CRT
LED バックライト付き液晶 vs 有機 EL 入力電力がどれだけ光として取り出せるか 光学フィルム 光学フィルム LCD 導光板 LCD 最終の光透過率は 5% 程度 LED OLED 光の利用率は 15% 以上が期待される
OLED Panel 液晶と有機 EL の消費電力比較 100 100 LCD Panel 消費電力(% )Back Light ON Back Light OFF LCD Panel 75 50 25 0 1 100 75 力(50 % )25 Power needs to be supplied only to ON Pixels 0 All White OLED Panel 100 消費電 100 % 50 30 Static Picture Motion Picture 50% 30% Ratio of On Pixels 15 Icons in Black Back 15%
ディスプレイデバイスにするには 全面発光 ドットマトリクス 照明 バックライト向け ディスプレイ向け
パッシブ駆動 Anode Driver 高輝度パルス発光 Cathode Driver Luminance A B C OEL Panel Time
アクティブ駆動 data line 連続発光 Address line Luminance A B C TFT + OEL Panel Refreshing Time
パッシブ vs アクティブ パッシブ : アクティブ : シンプルな構造 低コスト しかしながら瞬時高輝度発光のため寿命が短く 電力効率も不利 ライン数に制限 製品レベルでは 100 ライン程度が限界 従って パッシブではドットマトリックス構造で 1 インチクラスが現実的には限界 セグメント表示に適する 効率高く ライン数に制限なし 2 インチ以上の高精細パネルはアクティブが必須 TFT 基板を必要とするのでコストは高めとなる 有機 EL に特性を合わせた TFT の開発を要する
3 つのカラー化方式 1. RGB 塗り分け 現在の有機 EL 生産での主流高精細メタルマスクを用いた真空蒸着インクジェット等の印刷生産プロセスでは大型基板での高精細パターニングが大きな課題 RGB 発光層 2. 白色発光 + カラーフィルター 高精細パターニングがないので現実的 効率が低い 効率改善のためRGBW 構成が必要 複雑 高効率長寿命白色発光素子が必要 3. Blue Emitter+CCM(Color Changing) Filter 色変換層の効率と耐久性の改善要高効率長寿命の青色発光素子が必要 白色発光層カラーフィルター青色発光層 CCM 層
封止技術 カバーガラス 捕水剤 ( シート ) 接着層 ガラス基板 有機 EL 層 封止技術は有機 EL の今後を大きく左右する基幹重要技術 現状の主流は上記のように捕水剤を必要としているため 高コストでかつ薄くできない 今後捕水剤封止 捕水剤なし密着封止 膜封止
有機 EL パネルの構成部材 (1) < 基板 > パッシブ型 ITO ガラス 充填剤 発光 反射防止フィルター封止ガラス陰極有機層 ITO 透明電極 基板 STN 液晶用の ITO ガラスを流用 但し 表面の平滑性については厳しい要求 サイズは 370x470 が標準 Zoom Passive Column Driver 有機 EL ピクセル 陰極 陽極 (ITO) Row Driver TCP に実装された駆動 IC パッシブ型有機 EL アクティブ型 TFT 基板 現状 モバイル用は低温ポリシリコン (LTPS)TFT が主流 駆動回路を内蔵する 但し 液晶用 TFTをそのまま使うことは困難 補償回路つき アクティブ型有機 EL Zoom Active Row Driver Column Driver 内蔵駆動回路有機 ELピクセルゲートライン TFT コモンラインドレインライン
有機 EL パネルの構成部材 (2) < 有機材料 電極材料 > 1. 陰極 Al Mg-Ag 等が一般的 2.EIL LiO 2 LiF が最も普通 3.ETL EML HTL HIL すべて基本的に有機材料であり 材料メーカから各種材料の提案がある 発光色毎の最適組み合わせなどもあり 各社のノーハウとなっている 4. 陽極 ITO が一般的であるが トップエミッション構造では反射性が必要で Cr 等の金属陽極も用いられる 各層の膜厚は数 nm から数百 nm と非常に薄く 材料歩留まりが悪いと言っても 使用料は少ない 充填剤陰極電子注入層電子輸送層発光層ホール輸送層ホール注入層陽極 発光 反射防止フィルター封止ガラス陰極有機層 ITO 透明電極基板 Cathode EIL ETL EML HTL HIL Anode 有機 EL 素子の基本的構成
有機 EL パネルの構成部材 (3) < 封止材料 > 従来型 - ボトムエミッション用 反射防止フィルター 1. 封止カバーガラス製乾燥剤を封入するため 凹みを付ける必要がある サンドブラスト エッチングなどが用いられ 高価 充填剤 発光 封止ガラス陰極有機層 ITO 透明電極基板 2. 捕水剤 (Moisture Getter) 酸化バリウム 酸化ストロンチウム等を練り込んだシート 接着層 Moisture Getter( シート ) ( 乾燥剤 ) 3. 接着剤 エポキシ系が一般的 発光 従来型の封止構造 有機 EL 層
有機 EL パネルの構成部材 (4) < 封止材料 > 改良型 - トップエミッション用 1. 封止カバー平板ガラス充填剤発光 2. 充填剤 適度な粘性と接着性 適切な光学特性 有機 ELにダメージを与えない 安定性 捕水機能を併せ持てばさらに良い 生産性高いプロセスが大きな課題 3. バリア膜 透明で封止性高いこと 有機 EL 膜にダメージを与えない 生産性の高いプロセス現状では CVDによるSiN 系の膜が最も実績があるが 生産性 コストに接着層有機 EL 膜大きな課題 各種スパッタも要検討 4. 接着剤エポキシ系 反射防止フィルター ITO 透明電極 発光 密着封止構造 封止ガラス陰極有機層 基板 充填剤 パッシベーション
有機 EL パネルの構成部材 (5) < 反射防止フィルター > 円偏光板フィルターソニーの STE 構造ではカラーフィルター を用いる 充填剤 発光 反射防止フィルター封止ガラス陰極有機層 ITO 透明電極基板 < 駆動回路部品 > パッシブ駆動型 TCP フレキ基板等に IC を実装し ガラス基板に圧着 IC は専用 IC 液晶用の流用はできない Passive Column Driver Row Driver パッシブ駆動 TCP に実装された駆動 IC アクティブ型低温ポリシリコン TFT では駆動回路を基本的に内蔵 その他 制御用 IC 電源 IC などそれぞれ専用設計 Active Column Driver Row Driver アクティブ駆動 内蔵駆動回路
有機 EL と液晶の構造比較 有機 EL ディスプレイパネル断面 液晶ディスプレイパネルパネル断面 偏光板 反射防止フィルター 位相差板 封止ガラス ガラス基板 透明電極 充填材 発光 陰極有機層 液晶層 配向膜 オーバーコート層 カラーフィルタ TFT 基板 ITO 透明電極 位相差板 TFT 基板 発光 LED 偏光板 バックライトユニット
有機 EL ディスプレイ市場導入の歴史 1987 年 : Dr. Tang s Paper 1997 年 : パイオニア 世界初の有機 EL ディスプレイの市場導入 1999 年 : サンヨー / コダック 低温ポリシリコン TFT を用いた 2.4 インチ アクティブフルカラーパネルを試作 2000 年 : TDK 白色 + カラーフィルターパッシブパネルを市場導入 2001 年 : SNMD 携帯電話のメイン表示向けにフルカラーパッシブパネルを市場導入 : emagin シリコンチップ組み込み型 0.72 インチフルカラー AM 有機 EL ヘッドマウントディスプレイを市場導入 2002 年 : Philips 単色高分子有機 EL パネルをシェーバー向けに市場導入 : 携帯電話サブディスプレイに有機 EL 進出 2003 年 : SK Display 低温ポリシリコン TFT を用いたフルカラー AM 有機 EL パネルをデジタルカメラ向けに市場導入 : 携帯電話サブディスプレイ カラー化 2004 年 : Sony PDA 向けにトップエミッションフルカラー AM 有機 EL パネルを市場導入 MP-3 プレーヤに有機 EL 搭載始まる 2006 年 : Sanyo 3.5 インチ AM フルカラーパネル ( 白 + カラーフィルター ) をハイビジョンムービーに搭載 2007 年 : Sony CE ショーにて 27 インチと 11 インチの完成度の高い AM フルカラーパネルを展示 12 月には 11 インチ有機 EL テレビを日本市場に投入 : KDDI/AU メインディスプレイに 2.2 インチ AM フルカラー有機 EL 搭載の携帯電話を日本市場に導入 2008 年 : Sony11 インチ有機 ELTV を欧米に展開 : コダック 7 インチ AMOLED のフォトフレームを製品化 2009 年 : サムソン 3.2 インチ VGA タッチセンサー付きパネル導入
History of OLED Device 1987 1997 2007
有機 EL ディスプレイ市場の現状は パッシブパネルは 1~3 インチの小型パネルが実用化された 携帯電話のサブディスプレイ 携帯用ミュージックプレーヤのディスプレイ またカーステオの表示デバイス等として定着した 世界の生産量は年間 7 千万個以上 売り上げは 500 億円以上 アクティブパネルは 2~3.5 インチパネルがデジカメ PDA 等に搭載された 2007 年にはは 11 インチ有機 EL テレビが登場し 携帯電話のメイン表示にも数多く使われて本格的アクティブ元年になった 美しい画質と薄型形状は高い評価を得た しかし 現状は 1~3 インチの小型パネルがほとんどで 応用範囲も限られている なぜか? 液晶に対し 有機 EL の性能優位性がはっきりせず 高コスト体質からも脱却できていない
2008 年の有機 EL パネル市場 2008 年有機 EL 出荷数量見通し :76,050 K unit/ 年 前年比 2 % 増 2008 年有機 EL 出荷金額 : 5 億 9 千万ドル ( 日本円換算 : 約 534 億円, 前年比 20 % 増 ) Display Search 社による 有機 EL の出荷数量は横ばい 金額はアクティブパネルの増加により増加 パッシブパネルの出荷数量は微減だが 金額は単価下落により大幅ダウン アクティブの携帯向けが成長が予測を下回る TV 向けはまだ水面下
有機 EL ディスプレイ市場 直近の予測 世界的な経済の減速により当面 大きな伸びは期待できない しかし 各分野で新しい流れを模索 携帯電話メインパネルでも VGA タッチセンサー付きが新たな流れに 有機 EL にも登場 NOKIA Samsung など主要携帯電話メーカーでの採用が期待される TV 向けはもう少し時間が必要
有機 EL ディスプレイ市場 将来動向予測 Display Search 社の予測では 今後 2015 年まで年率 40% の上昇 2015 年には FPD 全体の 5% に達し 市場規模は 60 億ドル ( 約 6,000 億円 ) 以上 その間 FPD 全体では年平均 3% の上昇 今年から携帯電話メインディスプレイの有機 EL 採用が加速する 有機 EL 加速の条件 技術課題の克服 特に発光性能向上とコストダウン 照明などディスプレイ以外のアプリへの展開 フレキシブル化など新技術開発の加速
照明分野でのエネルギー消費 全世界 (2005) 出典 : Light s Labour s Lost -- Policies for Energy-efficient Lighting (International Energy Agency) 総エネルギー使用量 13,700 TWh 照明 ~ 2,600 TWh ~ 19% 二酸化炭素排出量 - 約 1,900 M トンに相当 この後の 25 年間に全世界での照明でのエネルギー消費量は約 1.6 倍に増大する見込み 松下電工作成資料 ( 年平均 1.9% の増加を仮定した場合 )
固体照明 (SSL) の優位性 高発光効率 低消費電力電球 20 lm/w 蛍光灯 80 lm/w に対し 100 lm/ 以上が可能 環境負荷物質を使用しない 紫外 赤外を放射しない 信頼性の高い固体構造 シンプルな構造で低価格
2 つの新らしい照明技術 LED vs OLED LED 高輝度点光源 ものを照らし出す Illumination OLED 大面積拡散光源 全体を明るく Lighting Source 両者は競合ではなく 相互に補完
有機 EL 照明への期待 環境問題解決への貢献 LED Lighting との比較 : 点光源 vs 面光源 全く違う応用分野 TFT 基板に悩む必要が無い フレキシブル化が容易 発光効率 動作寿命 コストなどの課題 克服が条件
ディスプレイと照明 要求性能の違い ディスプレイ 照明 輝度 500~1,000 cd/m2 3,000~10.000 cd/m2 色 RGB 飽和度 White 演色性 寿命 5 万時間以上 1 万時間以上 (1,000cd/m2 換算では10 万時間以上 ) 課題 大判化 高精細パターニング TFT バックプレーン 封止 大判化封止熱制御より厳しいコスト
有機 EL 照明デバイスの試作例 Lumiotec の試作デモ 山形有機エレクトロニクス研究所の試作品デモ Philips Lighting の試作デモ
2009 Lighting Fair での各社展示 Lumiotec ローム ( 株 ) 山形有機エレクトロニクス研究所
有機 EL 照明 課題と取り組み 発光効率の向上現状 20 lm/w 蛍光灯 (80 lm/w) にいつ追いつけるか目標は 100~150 lm/w 高輝度の達成 5.000~10.000 cd/m2 演色性 大面積薄型構造熱伝導性も考慮したバリア膜を用いた封止技術 低コスト化 ( 大判高速成膜 封止など ) フレキシブル特に Roll-to-Roll で塗布による生産
新らしい照明技術有機 EL 照明はヨーロッパから ヨーロッパでは有機 EL 照明の研究開発が国家レベルで盛ん 多くの国家プロジェクトが進行 環境意識の高さ CO2 削減 水銀削減 ヨーロッパでは照明に対する要求が異なる 照明は一般的に日本より暗い 好まれる色温度も低い デザイン重視 独特の文化 照明産業はヨーロッパで古い伝統と歴史 大手メーカも多数 Philips, Osram, Siemens 等々 FPD 産業が衰退する中 照明産業は健在
ヨーロッパの OLED 照明プロジェクト OLED100.eu CombOLED FAST2LIGHT AEVIOM Rollex 等々 各国 各組織のファンディングによる数億 ~ 数 10 億円規模の大型プロジェクトが 目白押し
有機 EL 照明の市場予測 有機 EL 照明の市場拡大は性能 生産技術 の改善次第 2012 年に LED 照明に追いつき 3,000 億円 市場 という強気の見通しもある 比較的スペックの要求が緩く 環境対策に 非常に積極的なヨーロッパから普及が始まる
有機 EL デバイス生産プロセス ガラス基板 ITO 陽極 TFT プロセス LTPS a-si 等 洗浄 有機膜製膜陰極製膜 蒸着 インクジェット等 蒸着 スパッタ等 封止カバー 洗浄 金属缶 ガラス等 保護膜製膜 CVD スパッタ等 捕水剤 シート リキッド等 封止 貼り合わせ 外部部品 ( 反射防止フィルム 駆動 IC 等 ) 取り付け
有機 EL デバイスの特殊性 ナノメータースケールの超薄膜 成膜時に同時にパターニング成膜後のフォトリソ工程は不可 多層積層 大型ディスプレイ 照明用には大面積成膜 有機材料の特性を生かしてインク化 塗布が可能
有機膜成膜プロセス < 低分子材料の蒸着 > 有機材料の蒸発は 300 度以下の低温度 基板加熱も無い 蒸発プロセスでは材料精製も同時に行われる 多層積層も比較的容易 しかし 最大の問題は高精細パターニング 現状はメタルマスクを用いる 大型基板化 精細度 コストに限界がある 現状は Gen4 のハーフカットが最大 メタルマスクを用いた蒸着
有機 EL ディスプレイ 成膜とパターニングに対する要求 基板サイズと精細度の要求仕様 大判成膜とパターニング 中小型パネル G4 基板からG5あるいはそれ以上 3インチでVGA 300 ppi 大型 TV 液晶との競合 G6 以上フルハイビジョンは必須 いずれの場合もタクトタイムは 2 分以下 提案されている解決手法 塗布法低分子積層型 vs 高分子 レーザー転写 LITI vs LIPS
塗布型 vs レーザー転写 ドナーフィルム 有機膜 R G バンク B vs 有機膜 基板 塗布プロセス レーザー転写
塗布型低分子有機 EL 積層構造を踏襲 塗布プロセス従来よりある高分子材料に加え 低分子材料をインク化 積層デバイス構造 DuPont 三菱化学 セイコーエプソン /UDC 等で検討が進んでいる 性能は蒸着素子レベルに急激に近づきつつある Cathode EIL ETL EML HTL HIL Anode 蒸着 塗布
DuPont, DNS, CMEL Solution Processed OLED SID2008/FPD International 2008 にて
塗布型有機 EL の課題 材料の安定性改善 インク Formulation の最適化 成膜条件の安定化 標準化 パターニング精度 150 ppi の壁をどう破るか 大型高速塗布機の開発 各色共通の HTL ETL 材料の開発
LITI プロセス 3M/Samsung SDI 3M が特殊フィルムドナーを供給 Samsung SDI でプロセス開発 既に 300 ppi の高精細パネルも試作されている SID 05 にて
ソニー LIPS 方式 (Laser Induced Pattern-wise Sublimation) SID07 におけるソニーの発表資料より
レーザー転写の課題 材料性能の劣化防止 特に寿命 プロセスのシンプル化 デバイス構造のシンプル化 大型 高速レーザー描画装置の開発 各色共通の HTL ETL 材料の開発
マスク蒸着の大型化追求 塗布型有機 EL もレーザー転写も難度の高い課題が多く 量産レベルでの解決には時間が必要 大型有機テレビの実現を最短時間で図るなら 白色発光有機 EL+ カラーフィルターが現実的 SID 08 では発表が多かった しかし 白色の複雑なデバイス構造 色再現範囲 写り込み防止など課題もある マスク蒸着の大型化が最も現実的か Gen5 Gen6 をねらう? 縦型基板搬送が必須効率の高いリニア蒸発源マスク塗り分け層を最少におさえ 共通層を多用する
封止プロセス有機 EL 高性能化と低コスト化のキーテクノロジー 有機 EL は水分に極端に弱い 初期状態 大気中に放置 86 H 15 H 284 H 大気との遮断が必須条件 従来の封止性能と比較して 2~3 桁の性能向上が必要 水分透過率 (WVTR) で 10 ー 5 ~10 ー 6 g/m 2 day のレベル現状では測定限界を超える 生産では捕水剤を用いることが多い 200μm 大型化 高輝度化に伴い放熱性の重要度が増大 有機 EL の大型化 薄型化と低コスト化の鍵を握る
性能と生産性の両立が困難な 封止膜 欠陥の無い SiN 等の無機膜はバリア膜として充分な性能を有する バリア膜 SiN SiON Al 2 O 3 等 プロセスは CVD あるいはスパッタリング 高速成膜とダメージフリーの両立が大きな課題 ピンホール 亀裂などの欠陥が問題 下地の影響を避けるために平坦化膜を敷く場合もある 平坦化膜 平坦化のため厚膜と付き回りの良さが必要 有機膜を用いることが多い 高速成膜とダメージフリーの両立が大きな課題 多層化 有機膜 / 無機膜あるいは無機膜 / 無機膜の多層化が試みられている 現状は平坦化膜 / バリア膜は複数セット必要
有機 EL 生産 評価装置 材料 基本素子性能 CV 測定 輝度 効率測定 光学測定 寿命測定 プロセス 膜厚測定 水分透過率評価 環境 パーティクル評価 クリーン度評価 等々
フレキシブル有機 EL パネル 有機 EL の真の特徴はプラスティック基板をと膜封止を用いたフレキシブルパネルで発揮される 薄い 軽い 割れない 曲げられる 安い 携帯機器用ディスプレイパネルとして究極の姿 プラスティック基板 有機 EL 膜 バリア膜
フレキシブル有機 EL ディスプレイの課題 他のディスプレイ技術がまねの出来ない有機 EL の独壇場 < 実現への課題 > 膜封止以外にも 駆動回路 (TFT) プラスティック基板上の Si 系 TFT は実現が難しい 有機 TFT の開発盛ん 最近 低温スパッタ成膜可能な酸化物半導体が注目浴びる しかし いずれにせよ実用化に時間がかかる TFT の要らないフレキシブル有機 EL 照明デバイスが先行する可能性大
フレキシブル有機 EL パネルの試作例 Sony OTFT AMOLED at SID 07 Pioneer GE Flexible OLED Display with TFT on Stainless Foil by UDC/LG
オールプラスティックデバイス 全固体 全薄膜 フレキシブル 高効率 省エネルギー シンプルなデバイス構造 生産プロセス Low Cost, Less CO2 環境負荷物質フリー Most Economical, Ecological and Emotional Next generation Display Technology
プラスティック エレクトロニクスがもたらすもの 出版文化とエレクトロニクスの融合新しい文化の創造 真のエコロジー 天然資源の直接消費から有機合成材料の賢い消費へ
Future Newspaper 電子ペーパ - 有機 TFT 有機 OPV OLED 等全員集合 Future Flexible Newspaper All Printed!! 広告 動画ディスプレイ Plastic Battery Printed Circuits 通信 メモリーなど
まとめ 有機 ELにとって <2008 年 > 大飛躍に向けた準備の年 <2009 年 > 大飛躍のスタートの年の予感 課題はまだ多く 重い 材料 プロセス 装置の三位一体の開発が重要 有機 EL は真のエコロジー エレクトロニクスと出版の融合による大革命の先導役