副腎皮質ステロイドの使い方

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

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報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

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知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

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10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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通常の単純化学物質による薬剤の約 2 倍の分子量をもちます. 当初, 移植時の拒絶反応抑制薬として認可され, 後にアトピー性皮膚炎, 重症筋無力症, 関節リウマチ, ループス腎炎へも適用が拡大しました. タクロリムスの効果機序は, 当初,T 細胞のサイトカイン産生を抑制するということで説明されました

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

_乾癬外来に通院されるみなさんへ


RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

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に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

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されており これらの保菌者がリザーバーとして感染サイクルに関与している可能性も 考えられています 臨床像ニューモシスチス肺炎の 3 主徴は 発熱 乾性咳嗽 呼吸困難です その他のまれな症状として 胸痛や血痰なども知られています 身体理学所見には乏しく 呼吸音は通常正常です HIV 感染者に合併したニ

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一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

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脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

MTX を使用している患者に発症するリンパ増殖性疾患は WHO 分類では 移植後リンパ増殖性疾患や HIV 感染に伴うリンパ増殖性疾患と類縁の Other iatrogenic immunodeficiency associated LPD に分類されている 関節リウマチの治療は 近年激変し 早期の

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

スライド 1

なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

Fri. アダカラム治療が解明してきた CMV 感染の機序 講演 1 潰瘍性大腸炎における CMV 再活性化と GMA の役割 サイトメガロウイルス ( C M V ) 感染は潰瘍性大腸炎 ( U C) の増悪因子であり ステロイドがウイルスの再活性化を促進することが知られている

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

Transcription:

免疫抑制療法 リウマチ膠原病センター 副部長押領司健介

全身性エリテマトーデスー生命予後の昔と今ー % 100 最新の治療による救命 90% 50 ステロイドがない時代 ステロイドの副作用あるいは疾患自体による障害の回避 20% 診断技術の向上 0 0 5 10 年

メトトレキサートが効くと RA 患者の寿命が延びる 生存率 MTX が効いた方 MTX が効かなかった または使えなかった方 Arthritis Rheum. 2000 Jan;43(1):14-21.

免疫のどこが異常か? 微生物 自然免疫 皮膚 粘膜などのバリア B リンパ球 獲得免疫 抗体をつくる 食細胞 T リンパ球 免疫を強化 補体 NK 細胞 数時間 数日 感染からの時間

免疫抑制剤 商品名作用代表的副作用 アルキル化剤 代謝拮抗剤 T 細胞活性阻害剤 エンドキサン イムラン リウマトレックスメトレート ネオーラル プログラフ 活発なリンパ球を殺す (B>T) 活発なリンパ球を抑える (B>T) リンパ球 好中球 マクロファージを抑える T リンパ球のみ抑える T リンパ球のみ抑える 骨髄抑制 出血性膀胱炎 不妊 骨髄抑制 肝障害 骨髄抑制 肝障害 胸やけ 肺障害 腎障害 中枢神経障害 高血圧 糖尿病 * ステロイドはだいたい全部抑える

副腎皮質ステロイド

糖質コルチコイド ( ステロイド ) の生理作用と薬理作用 生理作用 薬理作用 副作用 代謝作用 アミノ酸代謝異化作用 ( 蛋白質 アミノ酸 ) 糖代謝糖新生促進 ( アミノ酸, グリセロール ブドウ糖 ) 筋蛋白減少骨基質減少皮膚萎縮 血糖上昇 筋力低下骨粗鬆症皮膚線条 耐糖能異常, 糖尿病 脂肪代謝脂肪分解 脂肪酸 ( 脂肪組織 ) コレステロール合成促進 ( 肝臓 ) 許容作用 ( アドレナリン, 成長ホルモン等 ) 視床下部 下垂体のフィードバック作用 骨 カルシウム代謝 水 電解質代謝 遊離脂肪酸上昇コレステロール上昇体脂肪の増加 下垂体 副腎の抑制 腸管カルシウム吸収低下尿中カルシウム排泄増加骨粗鬆症骨芽細胞増殖 分化抑制, アポト-シス促進 ミネラルコルチコイド作用 ( 塩分貯留 ) 降圧ホルモン活性低下 高脂血症中心性肥満 急激な中止による副腎不全 高血圧 動脈硬化 炎症 免疫 アラキドン酸カスケード抑制 ( プロスタグランジン, ロイコトリエン ) 炎症性サイトカイン産生抑制接着分子発現の抑制好中球, マクロファージ機能抑制抗体産生抑制 抗炎症易感染性抗アレルギー抗免疫 鈴木康夫 : ステロイドの上手な使い方 ( 川合眞一編 ),2004, p. 23, 永井書店, 東京

内因性ステロイドと外因性ステロイドの違い ステロイドの使用は 1948 年に Philip S. Hench が RA に対して行い奏功したのが最初だが 翌年にはその副作用 ( ナトリウム貯留など ) に気づくこととなる 1950-60 年代に新規合成ステロイドが複数開発されたが いずれも鉱質コルチコイド活性を抑えたものであった これら合成ステロイドと内因性ステロイドの違いは 力価 代謝 半減期 脂溶性 レセプターとの相互作用 転写を介さない作用にある ヒト内因性ステロイドの量は コルチゾール 10mg PSL 換算 3mg くらい

副腎皮質ステロイドの作用機序 1. 細胞質内ステロイド受容体 (cgr) による遺伝子転写を介した古典的作用 2. cgr による遺伝子転写を介さない作用 3. 膜結合型 GR(mGR) による遺伝子転写を介さない作用 4. 細胞膜とステロイドの相互作用により生じる非特異的かつ遺伝子転写を介さない作用

古典的作用 4つのうち最も重要な作用であるが 作用の段階は 1) 細胞膜を通過し 2) 非活性型 cgrと結合して 3) 糖質ステロイド /cgr 複合体を形成し核内へ移行し 4) 転写を活性化もしくは抑制し作用する 転写活性化は 2 量体を形成した GR がステロイドにより調節を受ける遺伝子の promotor に結合し種々の制御性蛋白を合成して作用する 高脂血症などの副作用はこれに由来すると考えられる 転写抑制は 1 量体 GR により炎症性転写因子の AP-1 NF-B IRF-3 等を阻害することで生じる 抗炎症作用に重要 古典的作用は発現に少なくとも 30 分を要し 実際細胞 組織 器官が変化するには数時間から数日を要する

転写を介さない作用 mgr を介して T cell に作用し Lck や Fyn を抑制し TCR シグナルを抑制したり calcium signaling を逆転させ下流のイノシトール 1,4,5-3 リン酸受容体を抑制する 細胞膜に作用し 安定化させる ( 抗ショック作用 ) 高用量で リンパ球のアポトーシスを誘導する 投与後速やかに作用を発揮する 1mg/kg 以上を投与するのは この作用を期待してのこと

脂溶性 ステロイド剤の種類 静注製剤では薬剤利用率が経口より劣る可能性があり 増量することがすすめられている ソルコーテフ等は半減期が短いため 最低 1 日 2 回投与

剤形間 ( 内服薬 注射薬 ) の対応量 ( 経口不能又は腸管浮腫のとき ) プレドニゾロ ンを静注に変えるなら, 経口予定量の 1.5 倍又は 2 倍の水溶性プレドニゾロンを 2 分割する 三森明夫 : 膠原病診療ノート,2006, pp. 28-30, 日本医事新報社, 東京

分割投与? 一括投与? ループス腎炎では朝 1 回投与と分割投与で差はない 巨細胞性動脈炎では分割投与が勝る 病態により異なるが 一般的に疾患急性期では効果の切れる時間帯を作らない方が無難

無視できない副作用 1. 骨粗鬆症 PSL 5mg を 3 ヶ月以上投与する際は 予防をする ビスホスホネート 活性型ビタミン D K テリパラチドなど 2. 感染症 PSL 20mg 以上のとき リスク 2 倍 PSL 0.6mg/kg 以上のとき さらにリスク増 細菌感染は早期に 抗酸菌 ウイルス 感染 ( 帯状疱疹など ) 真菌は長期治療時に生じやすい 3. 耐糖能異常血糖値に合わせ インスリン 経口糖尿病薬を使い分ける 朝食前が低血糖となりやすいため DPP-4 阻害薬などが使いやすい 4. 消化性潰瘍ステロイド単独ではリスクは高くないと考えられている 胃粘膜保護薬程度で良い NSAIDs との併用でリスク高く PPI 併用が望ましい

無視できない副作用 5. 無菌性骨壊死 SLE で最もハイリスク IgA 腎症では 1/4000 程度 6. 白内障 7. 精神障害原病 low T3 syndrome によるものが多い 突発性難聴で精神障害が出ることはほとんどない 8. 高血圧プレドニゾロンにはコルチゾールの 40% 程度の Na 貯留作用があり 発症する可能性がある

無視できない副作用 9. 副腎不全 プレドニゾロン10mgを半年服用すると副腎不全状態 好酸球増加 低 Na K 上昇などで疑う 感染症を発症したからといってステロイドを中止するのはもってのほか むしろ増量する必要がある時もある 手術に際したステロイドカバーは 小手術 : 術前にソルコーテフ100mg iv 中手術 : 術前からソルコーテフ100mg iv 8 時間毎 計 4 回大手術 ( 心血管系など ):4-6 時間毎

使用量とねらい 多くは下記の様であるが 疾患により微妙にプロトコールは異なる 減量スピードは疾患が寛解を維持 していることを前提に概ね右表の ような感じ

膠原病なら必ずステロイドを使うということはない IFX 投与前 IFX 投与後 インフリキシマブ初回投与より 2 年が経過するが 腸管病変の再発はない

ベーチェット病の病態 サイトカイン産生 抗 TNFα 薬など T リンパ球の閾値低下 シクロスポリン等 コルヒチン 患者 T リンパ球が健常人 T リンパ球に比して in vitro で種々の細菌抗原に対し過敏に反応することが知られている (Arthritis Res Ther 5:139-146.2003) 本症患者には扁桃炎 う歯の既往が多く 手術 外傷 抜歯などでの増悪がみられる 活動性のベーチェット病では末梢血単核球の TNFα 産生能が亢進している (J Rheumatol 17: 1428-1429, 1990) 本症の基本病態がこのような T リンパ球の過剰反応性に基づくサイトカイン産生による好中球機能の亢進であり ターゲットを恒常的に阻害することで好中球機能亢進による急性炎症の発症を抑制できる T 細胞の活性化や好中球の動員が生じた場所では どこでも炎症を惹起しうる

感染症対策

サイトメガロウイルス (CMV) 感染症 腸炎 血球貪食症候群 肺炎などを生じる 年齢 間質性肺炎 腸の器質的病変の有無により感染しやすさが異なる PSL 単独では 0.6mg/kg 以上でリスク PSL<0.6mg/kg でも 免疫抑制剤併用でかなりリスク上昇 定期モニタリングないし予防内服を!

ニューモシスチス肺炎 (PCP) 関節リウマチにおける致死率は約 30 パーセント 年齢 肺疾患の有無 他の免疫抑制剤やステロイドの使用でリスク上昇 予防内服を! 予防率 98%! 呼吸困難や倦怠感あり CRP が上昇し 胸写で違和感あり βd グルカンが陽性で 動脈ガスで CO2 が著明に低下し カンジダ アスペルギルス抗原陰性ならほぼ PCP

ニューモシスチスは症状なく肺にいることがある ニューモシスチスを持っている方 ( 平均 75 歳 ) は持っていない方 ( 平均 64 歳 ) よりかなり高齢 65 歳以上の患者さんでは約 2 割もっている Case1 は検査の 1 か月後にニューモシスチス肺炎を発症 Mod Rheumatol (2008) 18:240 246

B 型肝炎 B 型肝炎ウイルスをもらったことがある方で 肝炎を発症していないがリウマチの治療を始めることで眠っていたウイルスが再び出てくることがある 初診時の検査で B 型肝炎をもらったことがある方を発見し 治療開始後ウイルスが出てこないか定期的に検査をする必要がある

メトトレキサート単独で HBV 再活性化を来したリウマチ患者の報告 Diagnosis/ Age/ sex 1 RA/ 59/F 2 RA/ 72/F Base line serology HBsAg(-) Anti-HBs(+) Asymptomatic Carrier 3 RA/ 58/F HBeAg(-) HBsAg(+) Anti-HBe(+) 4 RA/ 49/M Anti-HBc(+) 5 RA/ 75/F 6 RA/ 67/M 7 RA/ 57/F HBsAg(+) HBeAg(+) Immunosuppressive regimen MTX duration (why stop), MTX discon to ALT flare Treatment of HBV reactivation Outcome, after onset of symptom MTX 10mg/wk po, PSL 5 mg/day 7 years (ALT), LVD 100mg/d Died, 8wks MTX 4mg/wk, PSL 5 mg/day 2y (ALT), Discontinue MTX MTX 15mg/wk, LD Pred (<7.5mg/d) 2y (ALT) LVD 100mg Infliximab 6mg/8wk + MTX 10mg/wk 1y7m (ALT) LVD 100mg/d MTX 5-7.5mg/week PSL, 7.5 mg/day 3 ys (ALT), 2 mos IFN-β (3MU/d) Died MTX 7.5mg/wk, Pred 5mg/day 2y (RS*), 3wk Discontinue MTX Died MTX 7.5-10mg po/week 3y (RS*), 41d Discontinue MTX Died Died of fungal pheumonia Alive, INFL ETN +LVD Alive, Normalized after 2mos RS, respiratory symptom; indicates time between discontinuation or reduction of immunosuppressive therapy and hepatitis B flare. RA, rheumatoid arthritis; MTX, methotrexate; Pred, prednisolone; LVD, lamivudine. 1) Gwak GY, Clin Exp Rheumatol 2007;25:888-889 2) Hagiyama H, Clin Exp Rheumatol 2004;22:375 6 3) Calavrese LH, Ann Rheum Dis 2004;63 (s2):18-24 4) Ostuni P, Ann Pheum Dis 2003;62:686-7 5) Ito S, Arthritis Rheum 2001;44:339 42 6) Narvaez J, J Rheumatol 1998;25:2037 8 7) Flowers MA, Ann Intern Med 1990;112:381 2 L H Calabrese (Dept of Rheumatic and Immunological Disease, Cleveland Clinic), Ann Rheum Dis 2006; 65: 983 Hepatitis B virus (HBV) reactivation with immunosuppressive therapy in rheumatic diseases: assessment and preventive strategies. http://ard.bmj.com/cgi/content/abstract/65/8/983

Hepatitis B reactivation after chemotherapy: two decades of clinical research George K. K. Lau (The University of Hong Kong), Block K (Queen Mary Hospital) Hepatol Int. 2008 June; 2(2): 152-162. HBV 再活性化による肝炎は 2 段階で進行する 1) 免疫抑制によるHBV 複製が増強 まずHBV DNAが増える 炎症は抑えられているのでALTは上昇しない 2) 化学療法終了後の免疫回復 感染細胞に対する免疫の反応が強まり 肝障害がおこる 肝炎 ( 一過性 ALT 上昇 慢性肝炎 ) 肝不全 死亡するケースも 初期の段階で 抗 HBV 作用のある核酸アナログを投与すれば HBV の再生が 効果的に抑制され その結果 HBVに起因する肝炎の頻度を下げることがでもしきる HBV-DNAが検出された場合は 免疫抑制療法を中止せず 抗ウイルス薬を開始したほうがよい

まとめると MTX 単独治療で 既感染例で発症したのは 1 例のみ 3 例は治療前からHBs 抗原陽性 3 例はスクリーニングされていない 1 年間のフォローでは足りない ほぼ死んでいる

結核 TNFα 阻害薬は結核のリスクが増す レミケードとヒュミラが同等で エンブレルのほうがリスクが低い TNFα 阻害薬投与中の患者では肺外に播種性に感染する率が高い スクリーニングとして問診 ツベルクリン クオンティフェロン 胸部レントゲン撮影が必要 いずれかに異常がある場合 TNFα 阻害療法開始 1-2ヶ月前からイスコチンを開始し 抗 TNF-α 製剤投与開始 9ヶ月後まで継続する 抗 TNFα 抗体製剤使用中の患者の方が結核の治癒効率が良いという報告もある TNF 阻害薬投与前には問診 ツ反 or クオンティフェロン 胸写を施行し いずれか陽性ならイスコチンの予防投与を!

生物学的製剤ごとの感染症発現頻度 感染症総数 433/5000 (8.7%) インフリキシマブエタネルセプトアダリムマブトシリズマブアバタセプト 1206/13894 (8.7%) 610/7972 (7.7%) 615/6424 (9.6%) 139/5333 (2.6%) 重篤な感染症 202 (4.0%) 334 (2.4%) 208 (2.6%) 233 (3.6%) 35 (0.7%) 肺炎 ( 細菌性肺炎 気管支肺炎 ) ニューモシスチス肺炎 24.9% 14.4% 16.4% 15.8% 12.9% 5.0% 2.1% 4.4% 1.6% 2.9% 結核 3.2% 1.0% 1.5% 0.7% 0% 非定型抗酸菌 1.6% 1.2% 1.0% 2.4% 0% 敗血症 2.3% 2.1% 2.6% 2.0% 0.7% 真菌 3.5% 0.5% 3.3% 2.6% 6.5% サイトメガロウイルス 0.7% 0.2% 0.3% 0.3% 0.7% 帯状疱疹 14.8% 9.4% 9.2% 11.5% 15.8% 蜂窩織炎 3.9% 3.1% 3.6% 7.6% 5.0% 製剤間でかかりやすい感染症が微妙に異なり ある程度予想して治療 予防することが重要

まとめ ステロイド 免疫抑制剤は個々の病態に応じて使い分ける 薬剤による副作用を先回りして予防することが重要 現在できる感染症予防に加え 個々の患者さんに適した薬剤を選択することで さらに合併症を減らすことが今後の目標

朝早くから お疲れ様でした