注釈 * ここでニッケルジメチルグリオキシム錯体としてのニッケルの重量分析を行う場合 恒量値を得るために乾燥操作が必要だが それにはかなりの時間を要するであろう ** この方法は, 銅の含有量が 0.5% 未満の合金において最も良い結果が得られる 化学物質および試薬 合金試料, ~0.5 g, ある

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注釈 * ここでニッケルジメチルグリオキシム錯体としてのニッケルの重量分析を行う場合 恒量値を得るために乾燥操作が必要だが それにはかなりの時間を要するであろう ** この方法は, 銅の含有量が 0.5% 未満の合金において最も良い結果が得られる 化学物質および試薬 合金試料, ~0.5 g, あるいは試験溶液 ( およそ 1 g L 1 の Ni 2+, 0.5-0.7 g L 1 の Fe 3+, 5-6 g L 1 の Cu 2+ を含む溶液 ) 希硝酸 (1: 1, v/v) 希塩酸 (1: 1, v/v) 希硫酸 (1: 1, v/v) クエン酸もしくは酒石酸 濃アンモニア溶液 ジメチルグリオキシム (10 g L 1 エタノール溶液 ) 塩化アンモニウム, 10 % 水酸化ナトリウム (200 g L 1 ) 過酸化水素水, 3% エリオクロムブラック T (NaCl との 1:100 w/w 混合物 ) 0.05 M EDTA 標準溶液 : 18.61 g のエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を 500 ml の蒸留水に溶解し 1 L メスフラスコでメスアップ ( 希釈 ) する アンモニア- 塩化アンモニウム緩衝液 ph 10: 70 g の NH 4 Cl を 600 ml の濃アンモニア水 (~15 M) に溶解し 蒸留水で 1 L にメスアップする 硫酸マグネシウム溶液 (0.05 M):12.33 g の硫酸マグネシウム7 水和物を 500 ml の蒸留水に溶解し 1L にメスアップする 2

物質 化合物名 状態 GHS 危険有害性情報 HNO 3 硝酸 水溶液 H290, H314, H318 C 10 H 14 N 2 O 8 Na 2 2H 2 O エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物 Na 2 H 2 EDTA 2H 2 O 固体 H302, H315, H319, H335 HCl 塩酸 水溶液 H314, H318 H 2 SO 4 硫酸 水溶液 C 6 H 8 O 7 クエン酸 固体 H319 C 4 H 6 O 6 酒石酸 固体 H315, H319, H335 NH 3 アンモニア 水溶液 H314, H400 C 4 H 8 N 2 O 2 ジメチルグリオキシム エタノール溶液 H232 NH 4 Cl 塩化アンモニウム 水溶液 H302, H319 NaOH 水酸化ナトリウム 水溶液 H314 H 2 O 2 過酸化水素水溶液 H271, H302, H314, H333, H402 C 20 H 12 N 3 O 7 SNa エリオクロムブラック T 固体 H319 NaCl 塩化ナトリウム 固体 Not classified MgSO 4 *6H 2 O 硫酸ナトリウム六水和物 固体 Not classified 使用装置とガラス器具 : 化学天秤 (± 0.0001 g) ガラスビーカー, 250 および 400 ml 時計皿 ホットプレートスターラー メスフラスコ, 500 および 100 ml 濾紙 (3 枚 ) 漏斗 ph 試験紙 ビュレット, 25 または 50 ml (2 本 ) 漏斗 ( ビュレットに溶液を入れるために用いる ) メスピペット, 10 ml 三角フラスコ, 100 ml (3 個 ) メスシリンダー, 10 および 25 ml 蒸留水入り洗浄ビン 3

実験方法 A. MgSO 4 標準液の調製 1) ビュレットに Na 2 H 2 EDTA 標準溶液を入れる その溶液 5 ml を 100 ml の三角フラスコに移す 三角フラスコの溶液にアンモニウム緩衝液 (3 4 ml) を加えて ph を 10 にする 20-30 mg のエリオクロムブラック T 指示薬を三角フラスコの溶液に加える 2) 他のビュレットに MgSO 4 溶液を入れる 三角フラスコの EDTA 溶液を撹拌しながら MgSO 4 を滴下し 溶液の色が青色から紫色に変わるまで滴定を行う ( 撹拌しても色が戻らなくなるまで ) 滴定に要した MgSO 4 溶液の体積を記録する 同じ結果が得られるまで滴定を繰り返す MgSO 4 溶液の濃度 (M) は, 次の式により算出される C 1 =V 0 C 0 /V 1, V 0 : 滴定用にビュレットから採取した Na 2 H 2 EDTA 標準液の体積 (ml) V 1 : 滴定に要した硫酸マグネシウム溶液の体積 (ml) C 0 : Na 2 H 2 EDTA 標準液の濃度 B. 合金試料の溶解 ( 実験は必ずドラフトチャンバーで行うこと ) ( 合金試料を用いずに試験溶液を分析する場合は, この章を飛ばして C に進むこと ) 1) 合金試料の重量を精秤し 250mL のビーカーに入れる. 純水で 1:1 v/v に希釈した希硝酸 15mL で注意しながら溶解し 時計皿でビーカーにふたをする 2) ビーカーをホットプレートに乗せて穏やかに加熱し, 完全に溶解するまで沸騰させる ( ビーカー内の溶液の量は 5 ml 程度になる ) 溶液を 500mL のメスフラスコに移す. 時計皿とビーカーを蒸留水で洗浄し 洗浄液もメスフラスコに移す. 洗浄ビンを使用し, 蒸留水でメスアップする 3) 合金試料が完全に溶解しない場合 ( その場合 タングステンやシリコンを含んでいる可能性がある ) は ビーカーを加熱して乾燥させ 10 ml の希塩酸 (1:1 v/v) を加えた後 再度加熱して乾燥させる ビーカーに 10mL の濃塩酸を加えて乾燥物を溶解し 蒸留水 100mL で希釈する 析出したタングステン酸を二枚の濾紙と長脚漏斗を用いて濾過する 4

洗浄液 ( 濾液 ) 中に Ni 2+ が検出されなくなるまで, 熱希塩酸 (1:10 v/v) で濾紙を洗浄する (Ni 2+ の確認はジメチルグリオキシムで行う ) 4) 試料が 0.1 重量 % 以上のシリコンを含んでいる場合は 10 ml の希硫酸 (1:1 v/v) を添加し 大量の硫酸蒸気が発生するまで減圧蒸留を行う 懸濁液を冷却し 10 ml の冷水を注意深く少量ずつ注ぐ その後 100mL の熱水を加え 加熱しながら溶解させる 析出したケイ酸は濾紙で濾過し 熱水で洗浄する タングステンやシリコンを除去した際の濾過物 ( 濾液 ) を 500mL メスフラスコに移し 蒸留水でメスアップする C. ニッケルジグリムオキシム錯体の析出 1) 50.00mL の試験溶液を 400mL のヒ ーカーに入れ 蒸留水を 200mL の目盛りまで注ぎ 6-8 g のクエン酸もしくは酒石酸を添加する 添加した酸が完全に溶解するまでホットプレート上で溶液を加熱する 溶液の ph が 4-5 になるように 5-10 ml のアンモニア溶液を加える (ph 試験紙で確認する ) 2) この 400 ml ビーカーに ジメチルグリオキシムエタノール溶液 25mL を激しく撹拌しながら滴下する 次に 2-3 ml の濃アンモニア溶液を ph が 10 になるまで加え 更に 2-3 ml 追加し,NH 3 が過剰となる様にする この段階で, ニッケルジメチルグリムオキシム錯体の析出を確認できるであろう 3) 溶液がアルカリ性になった際に水酸化鉄が析出した場合は クエン酸もしくは酒石酸を更に加える 4) 析出物の入った溶液をホットプレート上で沸騰前まで加熱し ( 沸騰させてはならない!) 温かい場所で 40-50 分間放置する 5) 析出物を濾紙により濾過し 加熱した蒸留水で 4-5 回洗浄する さらに 400mL のビーカーの中で洗浄を行う まず 30 50 ml の HCl (1:1 v/v) で洗った後に温水で洗浄する もし析出物が溶解しなかった場合は 溶液を加熱し 撹拌しながらゆっくり沸騰させる 6) 溶液を室温まで冷やした後 100mL メスフラスコに移し 蒸留水でメスアップする D.Ni 2+ の定量 1) 調整済みの Ni 2+ 溶液 10.00mL を 100mL の三角フラスコに移す アンモニウム緩衝液 (4-6 ml) を用いて ph を 10 に調整した後に ビュレットで 10.00 ml の Na 2 H 2 EDTA 標準液を加える 20-30 mg のエリオクロムブラック T 指示薬を加え, 青色の溶液にする 5

2) ビュレットを MgSO 4 溶液で満たし そのときのビュレットの初期値を読んでおく 青色の Ni 2+ 溶液を 溶液の色が完全に紫色になるまで MgSO 4 溶液で滴定する 滴定完了時のビュレットの値を読み取る 一致した結果が得られるまで滴定を繰り返す 3) Ni 2+ の滴定に使われた Na 2 H 2 EDTA の量を ビュレットで採取した Na 2 H 2 EDTA 溶液の体積と滴定で使用した MgSO 4 溶液の体積から算出する 問題とデータ解析 1. 以下の反応における正しい化学式を記述せよ 1 合金試料を硝酸に溶解したとき 2 試験溶液を硫酸マグネシウム溶液で滴定したとき 2. ニッケルジメチルグリオキシム錯体の生成に至る過程でのクエン酸もしくは酒石酸 の役割について説明せよ 対応する化学式を記述せよ 3. ニッケルジメチルグリオキシム錯体を析出させる必要性について説明せよ 試料中 に存在する銅やマグネシウムが, どのようにニッケルの定量に影響を与えるか説明せよ 説明では, 適切な化学式を記述せよ 4. 滴定した溶液の ph を 10 以下にしなければならない理由を説明せよ 計算には次の 錯形成定数を使用せよ K[Ni(EDTA)] 2 = 4.2 10 18, K([Mg(EDTA)] 2 = 4.9 10 8. 5. ph が 10 のとき,EDTA の最も安定な形態は何か?HEDTA 3 と EDTA 4 のモル比を比較せよ なお H 4 EDTA は次の酸解離定数を有する弱酸である K 1 = 1.0 10 2, K 2 = 2.1 10 3, K 3 = 6.9 10 7, K 4 = 5.5 10 11. 6. 試験溶液中の Ni 2+ 濃度を計算する式を導け 合金中のニッケルの質量比を計算せよ 6