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心臓血管外科カリキュラム Ⅰ. 目的と特徴心臓血管外科は心臓 大血管及び末梢血管など循環器系疾患の外科的治療を行う診療科です 循環器は全身の酸素 栄養供給に欠くべからざるシステムであり 生体の恒常性維持において 非常に重要な役割をはたしています その異常は生命にとって致命的な状態となり 様々な疾患

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72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m


Vol.42 No.10( 2010)

胸痛の鑑別診断持続時間である程度の鑑別ができる 数秒から1 分期外収縮筋 骨格系の痛み 心因性 30 分以内 狭心症食道痙攣 逆流性食道炎 30 分以上 急性心筋梗塞 解離性大動脈瘤 肺塞栓症 急性心膜炎自然気胸 胸膜炎胃 十二指腸潰瘍 胆嚢炎 胆石症帯状疱疹 急性心筋梗塞の心電図変化 R P T

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背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

概要 214 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症 215 ファロー四徴症 216 両大血管右室起始症 1. 概要ファロー四徴症類縁疾患とは ファロー四徴症に類似の血行動態をとる疾患群であり ファロー四徴症 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖 両大血管右室起始症が含まれる 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症は ファ

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WBC 5700 / l Gran 58.5% Lym 29.0% Eosin 0.3% RBC 499x10 6 / l Hb 14.8 g/dl Hct 44.40% PLT 15.3x10 3 / l PT 157% Fbg 616 mg/dl DD 0.99 g/ml GOT GPT LDH

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

Transcription:

循環器救急疾患 循環器科石原靖大 モーニングセミナー 2014.04.17

代表的疾患 急性冠症候群 肺血栓塞栓症 急性大動脈症候群 ( 大動脈瘤破裂 大動脈解離 )

急性冠症候群 急性冠症候群 (acute coronary syndrome: ACS) は 冠動脈プラークの破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈内腔が急速に狭窄 閉塞し 心筋が虚血 壊死に陥る病態を示す症候群であり ST 上昇型急性心筋梗塞症 非 ST 上昇型急性冠症候群 心臓突然死の 3 つの病態が含まれる ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン (JCS 2013) ST 上昇型急性心筋梗塞 : STMEI (ST Elevated Myocardial infarction) 非 ST 上昇型急性心筋梗塞 : NSTEMI (Non-ST Elevated Myocardial infarction) 心臓突然死 : 不安定狭心症 : SCD (Sudden Cardiac Death) UAP (Unstable Angina Pectoris)

急性冠症候群 狭心症 心筋梗塞 ( 冠動脈の狭窄 閉塞 ) ST 上昇型心筋梗塞の診療に関するガイドライン JCS 2013

症例 : 66 歳 男性 主訴現病歴既往歴生活歴 胸部不快感 全身麻酔下での手術直後のため HCU (High Care Unit) 入室中であった モニター上心室性期外収縮の連発あり その後持続する胸部不快感を認めた 12 誘導心電図にて 異常所見あり当科へコンサルトとなった 右腎盂癌 ( 右腎尿管全摘出 膀胱部分摘出術 ) 喫煙 : 喫煙歴なし飲酒 : 機会飲酒

身長 : 171 cm 体重 : 64.0 kg 血圧 : 100/64 mmhg 脈拍 : 105 bpm 整 体温 : 36.7 意識 : 清明 (E4V5M6) 心音 : 整 雑音なし 呼吸音 : 整 ラ音なし 腹部四肢 : 平坦 軟 下腹部正中に術後創あり : 浮腫なし 両橈骨 大腿 膝下 足背動脈触知良好 神経学的異常所見なし 身体所見

心電図 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 avr V4 avl V5 avf V6 10mm/mV, 25mm/s

血液検査 Alb BUN Cr GOT LDH CK CK-MB 3.2 mg/dl 14.3 mg/dl 1.32 mg/dl 80 U/l 227U/l 810 U/l 88.2 U/l CRP 0.29 mg/dl WBC 12000 /μl RBC 410 104/μl Hb 12.5 g/dl Ht 36.2 % Plt 14.4 10 4 /μl Na K Cl 140 mmol/l 3.9 mmol/l 105 mmol/l トロポニン T 0.96 ng/ml

胸部 Xp

心臓超音波検査

診断 治療 (1) 急性冠症候群 ST 上昇型急性心筋梗塞 (STEMI) 鑑別診断たこつぼ型心筋症急性心筋炎 冠動脈造影 (CAG) 経皮的冠動脈形成術 (PCI)

診断 治療 (2) 急性冠症候群の初期治療 M: モルヒネ硝酸剤でも胸痛が持続する場合に適応となる 特に肺うっ血合併例に有効である O: 酸素投与 N: 硝酸薬 ( ニトログリセリンなど ) 禁忌 低血圧 90mmHg 以下 頻脈 100/ 分以上 徐脈 50/ 分以下 右室梗塞合併例 シルデナフィル ( バイアグラ ) 内服例 A: アスピリン禁忌がない場合は 160~325mg を投与する 内科救急診療指針 1st Edition

冠動脈造影検査 : CAG

経皮的冠動脈形成術 : PCI (1)

経皮的冠動脈形成術 : PCI (2)

経過 Max-CK: 3870 Max-CKMB: 317.9 IU/l IU/l 主要重大合併症なし 急性心不全 急性僧帽弁逆流 ( 乳頭筋断裂等による ) 致死性不整脈 心室中隔穿孔 心破裂

ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン (JCS 2013)

非 ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン (JCS 2012) 急性冠症候群の鑑別診断においては特に重篤な疾患を見逃さないことが重要であり その意味で肺血栓塞栓症ならびに急性大動脈症候群が最も重要である 急性冠症候群が疑われる患者の初期診療においては 1 回の評価で急性冠症候群を否定してしまうのではなく 救急室に一定時間患者を留まらせることや緊急入院の閾値を低くすることの重要性を強調した

肺血栓塞栓症 急性肺血栓塞栓症は 静脈内あるいは心臓内で形成された血栓が遊離して 肺動脈を閉塞する疾患であり その塞栓源の約 90% 以上は 下肢あるいは骨盤内静脈である 院外発症 : 49% 院内発症 : 51% ( うち約 70% が術後症例 ) 整形外科領域 産婦人科領域消化器外科領域など腹部 骨盤 下肢に対する手術が多い 高齢 肥満 (BMI>25.3) 長期臥床 悪性腫瘍 外傷 骨折後 妊娠出産 中心静脈カテーテル留置などがリスクである 内科救急診療指針 1st Edition

症例 : 23 歳 男性 現病歴 2009 年 7 月 起床直後に突然の意識消失を認めた 救急車にて近医へ搬送されるも 異常は指摘されなかった 数日後より労作時の動悸 息切れが増悪し 当院を受診した 心電図 心臓超音波検査等にて右心負荷所見を認め 精査 加療目的に入院となった 既往歴 18 歳より統合失調症にて加療中 家族歴両親 : 高血圧症 母方祖父 : 大腸癌 生活歴喫煙 : なし 飲酒 : なし アレルギー : なし 内服薬 (1 日量 ) ビペリデン 6mg カルバマゼピン 300mg ゾテピン 150mg ジアゼパム 15mg オランザピン 30mg フルニトラゼパム 2mg ファモチジン 40mg レボメプロマジン 25mg ( 頓用 )

現症 血液検査所見 (Room Air) 身長 : 171 cm 血圧 : 104/30 mmhg 体温 : 36.5 呼吸音 : 異常所見なし下腿浮腫なし WBC RBC Hb Ht Plt Na K Cl Alb 7510 439x10 4 12.4 37.7 23.8x10 4 143 3.9 108 3.8 /μl /μl g/dl % /μl meq / l meq / l meq / l g/dl CRP BUN Cr T-bil GOT GPT ALP LDH PT APTT 体重 : 70 kg (BMI:23.9) 脈拍 : 93 bpm 整心音 : 収縮期雑音 (4LSB, Ⅱ/Ⅵ) 腹部 : 異常所見なし神経学的異常所見なし 4.53 9.2 0.84 0.4 27 40 305 192 52 34.4 mg/dl mg/dl mg/dl mg/dl U/l U/l U/l U/l % 秒 D-dimer FDP BNP 2.5 5.8 141.7 μg/ml μg/ml pg/dl Protein C 112 % Protein S 36 % ループスアンチコアグラント 1.10 抗カルジオリピン抗体 3.0 U/ml PH 7.443 PO2 76.6 Torr PCO2 38.4 Torr

胸部 Xp 心電図 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 avr V4 avl V5 avf V6 10mm/mV, 25mm/s

心臓超音波検査 造影 CT 三尖弁逆流 : peak velocity=3.63m/s ( 推定肺動脈圧 : 63mmHg) 矢印の部分に造影欠損を認める

造影 CT 下部消化管内視鏡検査 直腸および周囲に炎症性変化を認める 直腸はびまん性に発赤し 点状出血を認める 小潰瘍が散在し 一部は輪状潰瘍を形成している 直腸型潰瘍性大腸炎

41 40 39 38 37 36 5 4 3 2 1 0 BT ( ) D-dimer (μg/ml) 1 10 経過 CRP (mg/dl) PT-INR 0 20 30 40 50 病日 30 24 18 12 6 0 6 4 2 IVC filter 留置 メサラジン (g/day) 抜去 PSL (mg/day) 40 60 50 40 ワルファリン (mg/day) 3 2 2 3 1.5 4 2.5

肺血栓塞栓症 ( 診断 ) 急性肺血栓塞栓症の診断手順 No 循環虚脱あるいは心停止 Yes 低い 正常 臨床的に見た肺血栓塞栓症の可能性 *1 D ダイマー 急性肺血栓症の除外 上昇 高い 以下の 1 項目あるいは組み合わせ造影 CT 肺動脈造影 肺シンチ 経皮的心肺補助装置の装着 *2 造影 CT 肺動脈造影 経食道心エコー検査 肺血栓塞栓症を疑った時点でヘパリンを投与する 深部静脈血栓症も同時に検索する *1: スクリーニング検査として胸部 X 線 心電図 動脈血ガス分析 経胸壁心エコー 血液生化学検査を行う *2: 経皮的心肺補助装置が利用できない場合には心臓マッサージ 昇圧薬により循環管理を行う 内科救急診療指針 1st Edition

肺血栓塞栓症 ( 内科治療 ) 抗凝固療法薬物治療の第一選択は抗凝固療法であり 禁忌でない限り施行する 未分画ヘパリンを5,000 単位静注し 以降時間当たり18 単位 /kgあるいは1,300 単位を持続静注する APTT 値がコントロールの1.5~2.0 倍程度に調節し ワルファリンの効果が安定するまで継続する (Class Ⅰ) 血栓溶解療法血栓溶解療法は 血行動態的に不安定な もしくは心エコーで右心系の拡大を認める広範な血栓塞栓症例に対し行われることが多い 現在 本邦で本疾患の治療に保険適応があるのはmonteplase ( クリアクター ) だけである 内科救急診療指針 1st Edition

肺血栓塞栓症 ( 下大静脈フィルター ) 非永久留置型下大静脈フィルターの適応 数週間の間, 急性肺血栓塞栓症が予防できればよい病態が適応の原則である. ClassⅠ : なし ClassⅡa : 永久留置型下大静脈フィルターの適応のうち 数週間の間, 急性肺血栓塞栓症が予防できればよい病態 ClassⅡb: 回収可能型フィルターの長期留置 Class Ⅲ: 右心不全及び深部静脈血栓がない抗凝固療法施行中の急性肺血栓塞栓症抗凝固療法施行中の末梢性深部静脈血栓症 フィルターの永久留置は静脈血栓症を増加すため 回収可能型下大静脈フィルターは極力抜去する 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断治療に関するガイドライン 2009 年改訂版

大動脈瘤破裂 大動脈瘤は 大動脈の一部の壁が 全周性 または局所性に ( 径 ) 拡大または突出した状態 とする 大動脈瘤の一部が局所的に拡張して瘤を形成する場合 または直径が正常径の 1.5 倍 ( 胸部で 45mm 腹部で 30mm) を超えて拡大した ( 紡錘状に拡大した ) 場合に 瘤 (aneurysm) と称している 治療可能な限り早く手術室に搬送し 血腫の状況で腹腔動脈上部の大動脈あるいは腎動脈下部の大動脈を遮断し 出血をコントロールする 治療成績病院へ到着した患者でも死亡率は 40~70% である 循環不全に伴う多臓器不全 呼吸不全 腎不全 結腸虚血を合併する 大動脈瘤 大動脈解離診療ガイドライン JCS 2011

症例 : 90 歳 男性 主訴 現病歴 既往歴 身の置き場のない苦悶 疼痛 夜間就寝中に 突然うめき声をあげるようになった 家人が救急要請し 当院へ搬送となった 数十年来の高血圧症 ( 降圧薬内服中 ) 生活歴 喫煙 : 過去に喫煙 ( 不詳 ) 飲酒 : 機会飲酒 内服薬アスピリン 100mg/ 日 ロサルタンカリウム 100mg/ 日イフェンプロジル酒石酸塩 60mg/ 日

身長 : 163cm 体重 : 63.0 kg 血圧 : 54/29 mmhg 脈拍 : 50 bpm 整 体温 : 36.2 意識 : 混濁 (JCS: 20-R) 心音 : 整 雑音なし 呼吸音 : 減弱 頻回 ( 浅くて速い ) 腹部四肢 身体所見 : 下腹部軽度膨隆 拍動性あり : 浮腫なし 両橈骨 大腿 膝下 足背動脈触知不良 神経学的所見は評価できず

心電図 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 avr V4 avl V5 avf V6 10mm/mV, 25mm/s

血液検査 TP BUN Cr GOT GPT LDH CK CK-MB Na K Cl 4.9 mg/dl 18.9 mg/dl 1.27 mg/dl 22 U/l 17 U/l 227 U/l 59 U/l 16.9 U/l 133 mmol/l 3.7 mmol/l 98 mmol/l CRP 0.37 mg/dl WBC 10200 /μl RBC 423 104/μl Hb 12.5 g/dl Ht 36.4 % Plt 19.6 10 4 /μl PT APTT FDP D-Dimer 11.0 sec 27.2 sec 25.6 μg/ml 14.1 μg/ml

胸部 Xp

単純 CT

造影 CT

経過 初期治療血行動態の安定化 ( 輸液 尐量カテコラミン ) 専門的治療心臓血管外科にて Urgent Operation として EVAR (Endovascular Aortic Repair) を施行 イメージ 術後は独歩にて退院 Zenith Flex

大動脈解離 大動脈解離 (aortic dissection) とは 大動脈壁が中膜のレベルで二層に剥離し 動脈走行に沿ってある長さを持ち二腔になった状態 で 大動脈壁内に血流もしくは血腫が存在する動的な病態である 解離範囲による分類 Stanford 分類 A 型 : 上行大動脈に解離があるもの B 型 : 上行大動脈に解離がないもの 大動脈瘤 大動脈解離診療ガイドライン JCS 2011

症例 : 56 歳 男性 主訴現病歴既往歴生活歴 胸背部痛 突然の胸背部痛が出現し改善ないため救急要請 緊急搬送となった 55 歳時十二指腸潰瘍穿孔 腹膜炎 喫煙 : 20 本 / 日 35 年飲酒 : 機会飲酒

身長 : 171cm 体重 : 60.5 kg 血圧 : 160/92 mmhg 脈拍 : 55 bpm 整 体温 : 36.2 意識 : 清明 (E4V5M6) 心音 : 整 雑音なし 呼吸音 : 整 ラ音なし 腹部四肢 : 平坦 軟 圧痛なし 手術痕あり : 浮腫なし 両橈骨 大腿 膝下 足背動脈触知良好 神経学的異常所見なし 身体所見

心電図 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 avr V4 avl V5 avf V6 10mm/mV, 25mm/s

胸部 Xp

血液検査 TP BUN Cr T.Bil GOT GPT LDH ALP CPK TG LDL Na K Cl 6.6 g/dl 10.6 mg/dl 0.59 mg/dl 0.8 mg/dl 15 U/l 11 U/l 194 U/l 383 U/l 231 U/l 99 mg/dl 84 mg/dl 138 mmol/l 4.1 mmol/l 99 mmol/l CRP 0.43 mg/dl WBC 16260 /μl RBC 485 104/μl Hb 15.2 g/dl Ht 45.2 % Plt 24.4 10 4 /μl D-Dimer FDP 3.4 μg/ml 6.8 μg/ml

造影 CT1

臨床経過 降圧療法 (CCB, β-blocker, ARB, etc) 40 35 30 25 20 15 10 5 0 mg/dl 造影 CT 1 BUN Cr 第 1 病日 腰痛 間欠性跛行 第 7 病日第 14 病日第 20 病日 造影 CT2

造影 CT2 偽腔 真腔

経過 40 35 30 25 20 15 10 5 0 mg/dl 造影 CT 2 降圧療法 (CCB, β-blocker, ARB, etc) 無尿 造影 CT 3 経カテーテル的開窓術 BUN Cr

造影 CT3 偽腔 真腔

血管造影 経カテーテル的開窓術 (1)

血管造影 経カテーテル的開窓術 (2)

血管造影 経カテーテル的開窓術 (3)

急性期治療 (Stanford B 型 ) 大動脈瘤 大動脈解離診療ガイドライン JCS 2011

大動脈解離に対する血管内治療 大動脈瘤 大動脈解離診療ガイドライン JCS 2011

急性期治療 (Stanford A 型 ) 大動脈瘤 大動脈解離診療ガイドライン JCS 2011

Take Home Message 救急疾患において 救命率を左右する大きな要因 病院までの搬送 診断 初期対応 適切な専門医への引き継ぎ