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いいますD 図 1 3(b) のように反転入力 ( ー入力 ) に1ボルト 非反転入力(+ 入力 ) に2ボルトを加えたときこのアンプの増幅度を5 倍とすれば ー入力による出力が-5 ボルト + 入力による出力が10ボルト つまり差し引き5ボルトが出力電圧ということになります ( この + は非反転入力の意味 ) 1V ro, L ム 図 1 3(a) 5J f 非反転増幅回路と反転増幅回路の違い ' - 5V よ + 図 1 3(b) 差動増幅回路の動作例 ここで 差動入力の一方の入力端子をアース つまりゼロ電位に接続したらどうなるでしょうか この場合 アースされていない方の入力端子に加えられた電圧は そのまま差し引きの入力電圧ということになるので 実質的には図 1 3(a) の回路と同じく 入力端子一本の増幅器として使つことになります 1-3 ネガティブフィードノてックトランジスタなどの半導体素子の特性は 温度の影響を非常に受けやすく そのうえ電源電圧の変動 部品の経年変化等の不安定要素により 正確な増幅度を持つ増幅器を作るのは大変難しくなってしまいます これを解決してくれるのがネガテイブフィードパック ( 負帰還 ) の技術です この回路技術をひとくちでいえば 増幅度の非常に大きな反転増幅器の外部に2 個 ( またはそれ以上 ) の抵抗器を接続し それらの抵抗の比で増幅度を決めてしまおう というものです 図 1-4で 増幅器を増幅度カf 非常に大きい (104...106 倍以上 ) ものであるとします いま 入力点 Aに 1\1の入力電圧 Eを加えると その電圧は抵抗 Ri(lkQ) を通じて 増幅器の入力端子

B 点に加えられますD その瞬間 増幅器が増幅度の非常に大きな反転増幅器ですから 出力点 CにはEiと逆極性の非常に大きなー出力電圧が出てくるはずですD しかしこのC 点には Rf{lOkn) を経由して B 点に接続されているので このー電圧がB 点に送り返され Eiを打ち消す方向に働きます しかもその電圧は非常に大きいので Eiをほとんど打ち消してしまいますが B 点入力が完全にゼロになるまで打ち消してしまうと それを増幅したC 点のー出力電圧もゼロになってしまいますから B 点の電圧がゼロになる寸前で 打ち消しはストップし C 点の一出力電圧は Eとバランスした一定値 Eoとなって落ち着きます このめの大きさを計算すると Eo=E; Rj/ R; ということになりますc つまりこの回路の増幅度 Gま G = Eo / E; = Rf / R; となり 増幅度 αま二つの抵抗値の値だけで決まることになります Rf Z IV( ヘよ図 1-4 ー lo V( Eo) 大問題 1 この回路では増幅度は 増幅器本体の増幅度が 5 倍や 10 倍変化しでも 不変であることを確認してみよう

2 非反転増幅器回路 さてここで 今回の実験で作成する回路の説明に入ります オペアンプとは増幅度 の非常に大きい差動入力の増幅器です これを一定の増幅度を持った増幅器として 使いたければ 必ずネガテイブフィードパックのお世話にならなければなりません D このことを考慮した非反転増幅回路が図 2-1 です 入力電圧 は + 入力端子に加えら れ 他方のネガテイブフィードパックのルートは 出力端子から R2 を経由して Rl と R2 で出力電圧 Eo を分割した電圧波が一入力に加えられるようになっています 理想 OP アンフ では. 入力端子と 一入力端子の差をほとんどゼロ に保つような動作をするようド作られている V チ 出力 E O 上v- 図 2 1 いま Ej が + 入力に加えられると この 1; と同じ極性の非常に大きな電圧が出力端子 に出てくるはずですが その瞬間にこの出力電圧を Rlとんで分割した電圧がー入力から加えられ このー入力を増幅した出力電圧は 1;を増幅した出力電圧とは逆極性なので 互いに打ち消すように働きますD しかし このー入力の電圧 (R1の両端の電圧 ) が と完全に等しくなってしまったのでは 出力電圧も打ち消されてゼロに なってしまいネガテイブフィードパックもなくなってしまいます もしそうなれば もとの がなくなったわけではないので再び非常に大きな出力電圧が出てくること になりますから 結局 Rlの両端の電圧 ( 一入力 ) が Ejと等しくなる直前のある一点 (Ejとほぼ等しい) で出力電圧が一定の電圧にバランスして 落ち着くことにな るのです このことから非反転増幅回路の増幅度らは オベアンプのもともとの増 幅度を A. とすると R) +R G = 2 (1) R) + (R) + R2)1 A" R.+R となります しかしオペアンプの A" が非常に大きいためー 一之の項がゼロになって しまい 結局 A

Gn = 旦土主 V RJ となります (2) 図 2-1のようにR1=lkO,R2=9μユのときに理想 オペアンプならば増幅度はちょうど 10 倍になりますが, が100 倍しかない場合は図 2-2に示したように 出力を10V 出すのに入力にO.lVが必要で ネガテイブフィードパックの1Vを加えた1.1Vが入力電圧になります l a 9V _. a a j 'A 10V 出力するには O.lV 必要 GB 1.5~ E O 10V 図乙 2 図 2-2 の回路でも前記の方法によって R, _ En = 一二 E + (3) RJ +R2 V という式を変形して出すことができます 実際のオペアンプは 数万から数百万と いう高いA の値を持っているので Eo/ の項は無視できます しかし 高い周波数になると オペアンプ自体のAνが低くなってしまうので 誤差が無視できなくなります 一般のオペアンプでは 高周波での利得は小さくなっています

3 理想のオペアンプ オペアンプの増幅率は電圧利得が非常に大きな値になっているのが特徴ですD 一般のモノシリックオペアンプでは 100dB (1000 倍 ) 以上の電圧利得があります ただし 理想では無限大であるのがよいのです その他 理想 オベアンプには次のような条件があります (1) 電圧利得無限大 (2) 入力抵抗無限大 (3) 出力抵抗ゼロ (4) 入力オフセット電圧ゼロ (5) 入力バイアス電流ゼロ (6) 周波数特性直流から無限大とは言っても現実にこの条件を満たす ( たった一項目でも ) オペアンプは存在しませんD オペアンプは上記の特性に近づけるように設計されていると考えて下さい この理想オペアンプをもとにして回路設計を行うのが一般的な手段となっています 以下にこの諸特性について簡単に触れてみます (1) 電圧利得 オペアンプ本体の 裸の増幅度のことを言います 現在一般に市販されている IC で は この電圧利得が 1 04-1 08 倍程度のものが多いようです (2) オペアンプの入力抵抗 ( 入力インピーダンス ) 反転 非反転入力端子を外部から見た オペアンプの入力回路の電気的内部抵抗のことを言います この内部抵抗は 一般に純粋な抵抗成分だけでなく 容量 ( コンデンサ ) 成分などもあるので それらを全部ひっくるめて入力インピーダンスといいます 入力抵抗 Zjがある場合の非反転増幅器の増幅度は G= R') +}も (4) R) +(R) +R2)/ ' + (R)}も)/AvZj と表すことができます, この式からオペアンプ自体の, が十分に大きければ との積となっているため無視できてしまうことがわかります Z; は 交問題 2 図 3-1を参考にして (4) 式を導き出してみましょう また この回路では例えば.=1 0 Zj =100knとすると 利得は9.08 倍となり Z; が無限大のときと比べてほとんど差がないこと さらに.=10000とすると 9.99と9.9899 の差となり完全に無視できることを確かめてみましょう

E O 〆: :,, 入力の1 枠制こより1mV B の電位が発生ノ I1+12J 図 3-1 (3) オペアンプの出力抵抗 ( 出力インピーダンス ) オペアンプの出力側の内部抵抗のことです オペアンプ自体の出力抵抗は μa741cpの場合 750 程度ですが ネガテイブフィードパック回路で使うと数 Q- 数 100であまり問題にならないようですD また 出力抵抗の意味については 簡単に 言えば 負荷に変化があったときに出力電圧がどのように変化するかということに 関連しますc 図 3-2の例で 無負荷時に10V 出ていたのに 1knの負荷を接続したら8Vになってしまった場合 出力抵抗は2500ということです 10V 一/1li 一力-出一-一五三ふ意巴apJ一h無負荷 -a1ip一一=一/---vn一u-.. L Jrz R4孟j =1 (! 0 =0.25 kn 図 3 2 出力抵抗の意味すること A が十分に大きければ 出力抵抗も見かけ上ゼロになってしまいます この説明の ために図 3-3 を見て下さい ここではわかりやすくするために 出力抵抗以外は理 想オペアンプと仮定します また 出力抵抗は外部につけてあると考えます そして 図 (a) で は 利得 A,,= 図 (b) ではAγ=100と仮定します どちらの場合も 負荷が接続されると オペアンプは負荷抵抗の前の電圧をあげて 出力端子の電圧

低下を防ぎ 見かけ上の抵抗を小さくします ただし A - の場合は 出力抵抗 が見かけ上ゼロであるのに対し,=100 の場合は 22.70, の出力抵抗が見かけ上現 れています 出力に変化がないため見かけ上ゼロになっている A..,= V Av= 4且_.-". l 唱ハ _ ^ fþ A lk 図 3 3(a) G かけ上 22.70 となみ / A,F100 C 戸おり Q.) 付 且 R 2 R ー.+R 一っ =10 R 1 R 2 R1+R 2っ = 10 R 1 τユ,?h ー r 1k 図 3 3(b) r'= 1(10-9.777) = O.0227kn 9.777 (4) 周波数特性 増幅器である以上 直流から高周波の信号まで 一様に増幅してくれるのが望まし いのですが オベアンプの周波数一電圧利得特性を見ると 図 3-4のようになり理 想とはかけ離れた状態ですD しかし これはネガテイブフィードパックによって解 決できるので よほどの高周波を対象としない限り まず心配はありませんo 図 3-4で オベアンプの増幅利得が1 倍 ワまり増幅しなくなってしまう周波数のことを 利得帯域幅積 または単に帯域幅といいます これは 100kHz 25l\1Hzまで オ ペアンプの種類によってかなり異なります

106 105 章 104 目土利 10j q 得 ( 倍 ) 102 K 理想の OP アンプの場合 ネガティブフィードパックをかけ 増幅度を 100 とした場合 10 10 100 1k 10K 100K 1M 10M 周波数 (Hz) 図 3-4 周波数一電圧利得特性の一例 交問題 3 いまここで説明しなかった入力オフセット電圧 入力バイアス電流に ついて調べてみましょう 会問題 4 この実験では非反転増幅器回路を用いますが 反転増幅回路とはどう いうものか調べてみましょう D

4 実験それでは実際にOPアンプを使って非反転増幅器を作ってみましょう 図で Ri= 10kn, Rl=lk!1, R2=10 厄lとして下図のような回路を作ヮてみて下さい op アンプのピンの位置を間違えないこと 抵抗の足が他の抵抗の足と接触しないことを心がけて下さい (2) の式に従うた増幅が得られれば完成ですc 入力信号は Vpp=IV, 100Hzくらいでよいでしょう Vppとは正弦波のピークからピークまでの電圧の全振幅のことですD R2 Ri Ei 八 八ん 10V 実験課題 1 増幅率変化 RlとR2の組み合わせをいろいろに変えて増幅率を測定してみましょう 入力信号はVpp=10mV, 100Hzとし RlとR2は以下の値としますD Rl=100, lk, 10kQ R2=100, lk, 10k, 100k, lmn 測定値と計算値を比較し 両方の値をグラフにしましょう 実験課題 2 周波数特性 R 1 = 1 ko, R2=100k!1 として 発振器の周波数を変えて増幅率の変化をみてみましょう Vppは 10mVでよいでしょう 測定の結果は周波数を横軸 増幅率を縦軸にとってグラフにし このopアンプの利得帯域幅積を見積もってみましょう

実験課題 3 下の図のように出力に抵抗 Rmをつないだときの増幅率の変化を測定しましょう Rj=lK!l R2=10Kílとして 100Hzの信号を入力します そこで出力に抵抗 Rmをつないで 発振器からの入力電圧 Eiを変化させたときの入力電圧 Eiと出力電圧 EOの関係を Rm==lKD.とRm=50nの場合について測定しましょう またこのとき なぜ増幅率が理想的な値からずれるかを考察してくださいD 6 Rm EO く レポートについて四つの問題の解答と3つの実験課題の結果に加えて オペアンプの基本的な応用方法を三つ以上 回路図 特徴などとともに 調べてレポートして下さい また 実験方法についてのご意見 ご感想 があればそれも書き添えて下さいD