Microsoft PowerPoint - 【資料 2】海老澤委員提出資料

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表1 - 1 食物に関連するアレルギー疾患

第3章 調査のまとめ

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様式 1 食物アレルギーを持つ児童の保護者との面談調査票 ( 保護者 保育園記入用 ) 面談実施日 : 平成年月日 面談出席者 : 保護者側 保育園側 児童の情報 ( 保護者記入欄 ) クラス : 組 児童氏名 : 性別 : 男子 女子 生年月日 : 平成 年 月 日 年齢 : 歳 住 所 : 保護

娠中の母親に卵や牛乳などを食べないようにする群と制限しない群とで前向きに比較するランダム化比較試験が行われました その結果 食物制限をした群としなかった群では生まれてきた児の食物アレルゲン感作もアトピー性皮膚炎の発症率にも差はないという結果でした 授乳中の母親に食物制限をした場合も同様で 制限しなか

2011 年 7 月 28 日放送第 47 回日本小児アレルギー学会シンポジウム7 アトピー性皮膚炎を考える から 学校保健における管理指導表の利用と課題 関東中央病院皮膚科部長日野治子はじめに私は市中の一診療病院に勤務しています アトピー性皮膚炎の患者さんも 小児から中年過ぎまで多数来院されます

有症率 食物アレルギー は どのような人に いつ どんな原因で発生するのでしょう 発生状況や原因 症状の割合など を知ることは このテーマと向き合う出発点になります ここでご紹介する 食物アレルギーの発症を数え上げる 視点 手法は このテーマに注目するべき領域をわかりやすく示すものでもあります 食物

独立行政法人国立成育医療研究センターエコチル調査メディカルサポートセンター特任部長生体防御系内科部アレルギー科医長 大矢幸弘 1

食物アレルギーの診療の手引き2014

スライド 1

食物アレルギーから見た離乳食の考え方

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

Q7 生活管理指導表の記入の際に費用はかかりますか? A7 生活管理指導表は 健康保険の適用にはならず 自由診療となりますので 文書料などが発生する場合があります Q8 生活管理指導表における個人情報の取り扱いは? A8 生活管理指導表には アレルギー疾患を持つ子どもたちが 安心して保育所生活を送る

食物アレルギーの基礎知識

鳥居薬品株式会社 ( 本社 : 東京都 代表取締役社長 : 髙木正一郎 ) は 全国の通年性アレルギー性鼻炎 花粉症のいずれかの症状を自己申告いただいた本人 (15~64 歳 )4,692 名 ( 各都道府県 100 名 山梨県のみ 92 名 ) と 子ども (5 歳 ~15 歳 ) が両疾患のいず

72 豊橋創造大学紀要第 21 号 Ⅱ. 研究目的 Ⅲ. 研究方法 1. 対象 A B

2 1食物アレルギーの基礎知識(12月6日)

食物アレルギーの診療の手引き 2011 検討委員会 ( 研究代表者 ) 海老澤元宏 小児科 相原雄幸赤澤晃伊藤浩明伊藤節子宇理須厚雄近藤直実柴田瑠美子眞弓光文今井孝成 耳鼻咽喉科 大久保公裕 内科 秋山一男鈴木直仁中川武正 皮膚科 池澤善郎古江増隆 ( 作成協力者 ) 小俣貴嗣杉崎千鶴子 国立病院機

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PowerPoint プレゼンテーション

相談内容 1 アトピー性皮膚炎 + 食物アレルギー ( アナフィラキシー歴有 )+ 喘息疾患の小学生男児 年齢が上がるにつれて自分が管理していくことになるが 家でできる子どもへの指導方法 ( 教育方法 ) を知りたいです ライフサイクルに合わせた対処方法を子どもに教えたいです 回 答 1 お薬につい

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/


スライド 1

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●アレルギー疾患対策基本法案

Q1 食物アレルギーってなんですか? A1 人の体には ウイルスや細菌などの有害なものが入ってきたときに これらを攻撃して体を守ろうとする 免疫 という仕組みが備わっています ところが 一部の人では この仕組みが過剰に働いてしまうことがあります ある特定の食物を異物と判断して 免疫の行き過ぎた反応が

食物アレルギーの診療の手引き2017

第76巻 第2号 直後に口腔内違和感を訴える患者は少なくなくこの 合もあります 原因食物は即時型と大きな違いはあり 場合その食物はや野菜に限ったことではありません ません このため一般臨床において遭遇することが多い花粉 診断は食物日誌を書いてもらったり除去試験をし 症患者にみられる

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スライド 1

平成 29 年中の救急出動件数等 ( 速報値 ) の公表 平成 30 年 3 月 14 日 消防庁 平成 29 年中の救急出動件数等の速報値を取りまとめましたので公表します U 救急出動件数 搬送人員とも過去最多 平成 29 年中の救急自動車による救急出動件数は 634 万 2,096 件 ( 対前

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

はじめに 近年 生活環境の変化や疾病構造の変化などに伴い 児童生徒におけるアレルギー疾患の増加が指摘されています 学校におけるアレルギー疾患対策については 文部科学省監修の下 ( 公財 ) 日本学校保健会が平成 20 年 3 月に 学校のアレルギー疾患に対するガイドライン を作成し その中で児童生徒

医療連携ガイドライン改

データの取り扱いについて (原則)

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

600人の耳鼻咽喉科医師とその家族対象 アレルギー疾患に関する全国調査

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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Ⅰ 2 食物アレルギーの主な原因食品 食物アレルギーを引き起こすことが明らかな食品のうち 症例が多いとされる食物は 卵 牛乳 小麦で 全体の約 70% を占めている また 症状が重篤化しやすいものとして 落花生 ( ピーナッツ ) そば えび かにが挙げられる この7 品目は 食品衛生関関連法令にお

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名前男 女平成年月日生 ( 歳 ) 学校年組提出日平成年月日学病型 治療学校生活上の留意点 A. 運動 ( 体育 部活動等 ) 3. 強い運動は不可 B. 動物との接触やホコリ等の舞う環境での活動 3. 動物へのアレルギーが強いため不可動物名 ( ) C. 宿泊を伴う校外活動 D. その他の配慮 管

アトピー性皮膚炎の治療目標 アトピー性皮膚炎の治療では 以下のような状態になることを目指します 1 症状がない状態 あるいはあっても日常生活に支障がなく 薬物療法もあまり必要としない状態 2 軽い症状はあっても 急に悪化することはなく 悪化してもそれが続かない状態 2 3

花粉症患者実態調査(平成28年度) 概要版

(2) アナフィラキシー 定義アレルギー反応により 蕁麻疹などの皮膚症状 腹痛や嘔吐などの消化器症状 ゼーゼー 息苦しさなどの呼吸器症状が 複数同時にかつ急激に出現した状態をアナフィラキシーという その中でも 血圧が低下し意識レベルの低下や脱力を来すような場合を 特にアナフィラキシーショックと呼び

第 1 章食物アレルギーについて 1 食物アレルギーの定義と分類 要約 食物アレルギーとは 原因食物を摂取した後に免疫学的メカニズムによって生体にとって不利益な症状が引き起こされる現象をいいます 免疫学的メカニズムを介さない場合は食物アレルギーではなく食物不耐症と呼びます ( 例 : 乳糖によって下

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

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2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

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子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

DOTS 実施率に関する補足資料 平成 26 年 12 月 25 日 結核研究所対策支援部作成 平成 23 年 5 月に改正された 結核に関する特定感染症予防指針 に DOTS の実施状況は自治体による違いが大きく実施体制の強化が必要であること 院内 DOTS 及び地域 DOTS の実施において医療

2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

歯科中間報告(案)概要

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

始前に出生したお子さんについては できるだけ早く 1 回目の接種を開始できるように 指導をお願いします スムーズに定期接種を進めるために定期接種といっても 予防接種をスムーズに進めるためには 保護者の理解が不可欠です しかし B 型肝炎ワクチンの接種効果は一生を左右する重要なものですが 逆にすぐに効

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

を余儀なくされ 時には成長の各段階で過ごす学校や職場等において 適切な理解 支援が得られず 長期にわたり生活の質を著しく損なうことがある また アレルギー疾患の中には アナフィラキシーショックなど 突然症状が増悪することにより 致死的な転帰をたどる例もある 近年 医療の進歩に伴い 科学的知見に基づく

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平成19年度学校保健統計調査結果

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平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

序 蕁麻疹は, 皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎, 接触皮膚炎などの湿疹 皮膚炎群, せつとびひ, 癤などの感染症と並ぶ, ありふれた疾患 ( コモンディジーズ )( 群 ) である. その病態は, 皮膚マスト細胞の急激な脱顆粒により説明され, 多くの場合は抗ヒスタミン薬の内服によりマスト細胞から遊離

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

38 第 2 章給食管理の相談 5 保育所での食物アレルギーへの対応のあり方は 相談内容 近年 食物アレルギー児が増加傾向にあります 食物アレルギーは 発育の盛んな乳幼児期に発症する場合が多く 乳幼児に食事を提供する保育所の食物アレルギー対応は 給食管理 献立調製上の重要課題です どのように対応すべ

岐阜市における「医薬品の正しい使い方」に関する調査アンケート結果



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発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) を前年度と比較すると 男子は 5~8,10,11,16 歳で 女子は 7~12,15,17 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 7 減少 4 女子は増加 8 減少 3) 全国平均と比較すると 男子は全ての年齢で 女子は 9~11 歳を除

食物アレルギー-そのしくみと治療の方向性-

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

ROSE リポジトリいばらき ( 茨城大学学術情報リポジトリ ) Title 食物アレルギーに対する学校での対応と情報収集システムの構築 Author(s) 佐久間, 瑞恵 ; 市川, 幸子 ; 柏, 光佐子 ; 石原, 研治 Citation 茨城大学教育学部紀要. 教育科学, 61: 299-3

2009年8月17日

0 0 0 アレルギー疾患対策の現状と問題点 () 我が国におけるアレルギー疾患対策の現状アアレルギー疾患の疫学 ( ア ) アレルギー疾患の罹患者数 00 年の全国小児喘息の有症率は ~ 歳で.% ~ 歳で.% - 歳で.% であった また幼稚園児での喘鳴有症率は.% であった さらに成人において

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日本内科学会雑誌第98巻第12号

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

課題名

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3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子

医療的ケア児について

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別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 本資料の作成日 :2016 年 10 月 12 日商品名 : ビフィズス菌 BB( ビービー ) 12 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) による食経験の評価ビフィズス菌 BB-12

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

診療所ごとの診療状況 一方 診療所では 外来診療を実施 と回答した診療所は 73 か所 (36.3%) 入院診療を実施 と回答した病院は 2 か所 (1.0%) となっており いずれも実施していない との回答が 124 か所 (61.7%) であった 診療所のてんかん診療実施状況 ( 有効回答数 =

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⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

Transcription:

食物アレルギー 資料 2 第 2 回アレルギー疾患対策推進協議会 2016 年 2 月 12 日 ( 金 ) 日本小児アレルギー学会における 気管支喘息 と 食物アレルギー の一般演題中の比率の推移 国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部海老澤元宏 1

アレルギー科標榜医師の実態 調査方法 対象者 : 全国の アレルギー科 標榜医療機関 6,725 施設調査期間 : 平成 26 年 2 月 10 日 -3 月 10 日調査方法 : アンケートの郵送調査有効回答数 :1,052 例 ( 回収率 15.6%) アレルギー専門医資格 日本アレルギー学会入会 最も中心的な診療科 無回答 10 1% 無回答 7 1% その他 21 2% 無回答 5 0% 資格なし 724 69% 資格あり 318 30% 非会員 498 47% 会員 547 52% 耳鼻咽喉科 188 18% 皮膚科 164 16% 小児科 347 33% 一般内科 194 18% アレルギー科 63 6% 呼吸器内科 70 7% n=1,052 厚生労働科学研究アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究 ( 研究代表者斎藤博久 ) 平成 25 年度研究報告書より 2

調査方法 対象者 : 疾患別アレルギー疾患診療の現状 医師からアトピー性皮膚炎 (AD) アレルギー性鼻炎 (AR) 気管支喘息 (BA) 食物アレルギー (FA) と診断されたことのある全国の成人およびその子どもを持つ養育者 調査期間 : 平成 26 年 2 月 10 日 -2 月 24 日調査方法 : インターネット調査 定期的にかかりつけの医療機関を受診していますか? 成人 n=1,030 小児 n=1,030 AD 673 354 3 AD 757 271 2 AR 504 523 3 AR 590 439 1 BA 806 223 1 BA 734 296 0 FA 252 773 5 FA 618 411 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 受診している 受診していない 不明 0% 20% 40% 60% 80% 100% 受診している 受診していない 不明 厚生労働科学研究アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究 ( 研究代表者斎藤博久 ) 平成 25 年度研究報告書より 3

調査方法 対象者 : 疾患別アレルギー疾患診療の現状 医師からアトピー性皮膚炎 (AD) アレルギー性鼻炎 (AR) 気管支喘息 (BA) 食物アレルギー (FA) と診断されたことのある全国の成人およびその子どもを持つ養育者 調査期間 : 平成 26 年 2 月 10 日 -2 月 24 日調査方法 : インターネット調査 かかりつけの医療機関は次のうちのどれですか? 成人 小児 AD n=673 44 225 404 AD n=757 39 274 444 AR n=504 15 170 319 AR n=590 7 210 373 BA n=806 116 296 394 BA n=734 82 267 385 FA n=252 46 113 93 FA n=618 121 216 281 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大学病院 国立病院 または同等規模 一般の病院 診療所 ( クリニック ) 大学病院 国立病院 または同等規模 一般の病院 診療所 ( クリニック ) 厚生労働科学研究アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究 ( 研究代表者斎藤博久 ) 平成 25 年度研究報告書より 4

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即時型食物アレルギーの疫学 平成 23 年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果 [ 調査対象 ] 食物摂食後 60 分以内に何らかの症状が出現し かつ医療機関を受診した患者 ( 無断転載禁 ) 全年齢における原因食物 年齢別原因食物 n=2,954 n=2,954 0 歳 (1,009) 1 歳 (600) 2,3 歳 (489) 4-6 歳 (376) 7-19 歳 (329) 20 歳 (151) 1 鶏卵 56.5% 鶏卵 43.7% 鶏卵 29.0% 鶏卵 33.0% 鶏卵 15.8% 小麦 36.4% 2 牛乳 25.6% 牛乳 21.3% 牛乳 25.6% 牛乳 22.9% 牛乳 12.8% 甲殻類 13.9% 3 小麦 13.1% 小麦 7.8% 小麦 10.0% ピーナッツ 11.4% 甲殻類 12.2% 魚類 11.3% 4 魚卵 7.3% 魚卵 7.6% 小麦 7.7% ピーナッツ 11.9% 果物類 7.9% 5 ピーナッツ 4.5% ピーナッツ 7.0% 果物類 5.6% 小麦 10.6% ソバ 6.0% 症状 年齢別新規発症例 n=1,706 0 歳 (884) 1 歳 (317) 2,3 歳 (173) 4-6 歳 (109) 7-19 歳 (123) 20 歳 (100) 1 鶏卵 57.6% 鶏卵 39.1% 魚卵 20.2% 果物 16.5% 甲殻類 17.1% 小麦 38.0% 2 牛乳 24.3% 魚卵 11.0% 鶏卵 13.9% 鶏卵 15.6% 果物 13.0% 魚類 13.0% 3 4 5 小麦 12.7% 牛乳 10.1% ピーナッツ 7.9% 果物類 6.0 % ピーナッツ 11.6% 木の実類 11.0% ソバ 果物類 8.7% ピーナッツ 11.0% 鶏卵小麦 9.8% 魚卵 9.2% 魚卵 8.1% 甲殻類 10.0% 果物類 7.0% 10

小児アレルギー疾患の有症率の推移 食物アレルギー 乳児 : 10% 保育園 : 5.1% 学童 : 2.6% 成人 :? アナフィラキシー 学童 : 0.14% 成人 :? 診断と治療社 : 小児アレルギーシリーズ 食物アレルギー より引用 11

アレルギー疾患罹患数 平成 16 年度との比較 ぜん息 アトピー性皮膚炎 5.7% 5.8% 5.5% 4.9% 平成 16 年度 平成 25 年度 アレルギー性鼻炎 9.2% 12.8% アレルギー性結膜炎 3.5% 5.5% 食物アレルギー 2.6% 4.5% アナフィラキシー 0.14% 0.48% 0% 5% 10% 15% 12

概要 目的 我が国の小児から成人までの食物アレルギーの 診断 治療のレベルの向上と 食物アレルギー患 者の生活の質の改善 対象 食物アレルギーの診療に関わる一般医 コンセプト 食物アレルギーの診断 治療の基本を示し 個々 の治療法の詳細を示すものではない 今回の改訂では病診連携に焦点を絞っている 内容 1. 総論 2. 診断 3. 治療 管理 予防 4. 社会的対応 5. アナフィラキシーへの対応 (FDEIAを含む) 13

臨床型分類 ( その 1) 臨床型発症年齢頻度の高い食物 耐性獲得 ( 寛解 ) アナフィラキシーショックの可能性 食物アレルギーの機序 新生児 乳児消化管アレルギー 新生児期乳児期 牛乳 ( 乳児用調製粉乳 ) 多くは寛解 (±) 主に非 IgE 依存性 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎 乳児期 鶏卵 牛乳 小麦 大豆など 多くは寛解 (+) 主に IgE 依存性 即時型症状 ( じんましん アナフィラキシーなど ) 乳児期 ~ 成人期 乳児 ~ 幼児 : 鶏卵 牛乳 小麦 そば 魚類 ピーナッツなど学童 ~ 成人 : 甲殻類 魚類 小麦 果物類 そば ピーナッツなど 鶏卵 牛乳 小麦 大豆などは寛解しやすい その他は寛解しにくい (++) IgE 依存性 特殊型 食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) 口腔アレルギー症候群 (OAS) 学童期 ~ 成人期 幼児期 ~ 成人期 小麦 エビ カニなど寛解しにくい (+++) IgE 依存性 果物 野菜など寛解しにくい (±) IgE 依存性 14

食物アレルギー診断のフローチャート ( 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎 ) 症状 ( 湿疹 ) 出現 詳細な問診症状 疑われる食物を摂取してからの時間経過 年齢 栄養方法 環境因子 家族歴 服薬歴など 症状不変 血液一般検査疑われる食物に対する特異的 IgE 抗体の検出 ( プリックテスト 血中抗原特異的 IgE 抗体検査など ) スキンケア指導 ( 注 1) 薬物療法 ( 注 2) 環境整備 症状改善 そのまま経過観察治療の見直し 3 か月ごと 注 1: スキンケア指導スキンケアは皮膚の清潔と保湿が基本であり 詳細は アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2012 などを参照する 注 2: 薬物療法薬物療法の中心はステロイド外用薬であり その使用方法については アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2012 などを参照する 非ステロイド系外用薬は接触皮膚炎を惹起することがあるので注意する 注 3: 特異的 IgE 抗体陰性生後 6 か月未満の乳児では血中抗原特異的 IgE 抗体は陰性になることもあるので プリックテストも有用である 特異的 IgE 抗体陽性 特異的 IgE 抗体陰性 ( 注 3) 多抗原陽性 問診内容, 検査結果の見直し必要に応じ食物除去 負荷試験 原因と判断された食物の除去 陽性抗原 2 項目以下 疑われる食物の除去試験 (1~2 週間 ) 症状改善 経母乳負荷試験陽性 食物除去の継続 症状不変 問診内容, 検査結果の見直し非 IgE 依存性の可能性考慮必要に応じ食物除去 負荷試験 必要に応じスキンケア指導 ( 注 1) 薬物療法 ( 注 2) の見直し 症状改善 そのまま経過観察治療の見直し 3 か月ごと 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎の専門医紹介のタイミング 1) 通常のスキンケアとステロイド外用療法にて湿疹が改善しない 繰り返す場合 2) 多抗原 (3 抗原以上 ) の感作陽性の場合 ( 離乳食開始までに紹介 ) 3) 診断および耐性獲得の確認のための食物経口負荷試験が必要な場合 耐性獲得の確認 血中抗原特異的 IgE 抗体検査 食物負荷試験など 専門の医師が実施 15

食物アレルギー診断のフローチャート ( 即時型症状 ) 症状出現 はい 詳細な問診症状 疑われる食物を摂取してからの時間経過, 年齢, 栄養方法, 環境因子, 家族歴, 服薬歴 (NSAIDs,β 遮断薬など ) 問診などからアナフィラキシー (FDEIA を含む ) であるもしくは原因抗原が容易に予測できない いいえ 血液一般検査疑われる食物に対する特異的 IgE 抗体の検出 ( プリックテスト 血中抗原特異的 IgE 抗体検査など ) 即時型食物アレルギーの専門医紹介のタイミング 1) 原因食物の診断が難しい場合や原因不明のアナフィラキシーを繰り返す場合 2) 遷延する食物アレルギーに対する診断の見直しや栄養指導が必要な場合 3) 耐性獲得の確認 リスクアセスメントのための食物経口負荷試験が必要な場合 特異的 IgE 抗体陽性 特異的 IgE 抗体陰性 多抗原陽性 陽性抗原 2 項目以下 経口負荷試験 症状陽性 症状陰性 原因と判断された食物の除去 経口摂取可経過観察 専門の医師において各種検査結果の見直し必要に応じ負荷試験 原因と判断された食物の除去 耐性獲得の確認, 必要に応じて食物負荷試験 専門の医師が実施 学童期以降発症の即時型症例は一般的に耐性を獲得する頻度は低い 16

検査 : プロバビリティカーブ ( イムノキャップ 値と症状誘発の可能性 ) プロバビリティカーブの読み方 牛乳の IgE 抗体価 3.0U A /ml の場合 症状を誘発する可能性は 1 歳未満の児では約 90% 1 歳児では約 50% 2 歳以上の児では約 30% である しかしあくまでも確率論であることに留意する 17

食物アレルギーの診断支援リーフレット (5 回シリーズ ) 20

栄養 食事指導 詳細は 食物アレルギーの栄養指導の手引き 2011 を参照 食物アレルギーの栄養 食事指導は診療と並行して下記指導項目に基づき継続的に行う なお 栄養 食事指導には管理栄養士が関与することが望ましい 除去すべき食品 食べられる食品など食物アレルギーに関する正しい情報を提供する 除去食物に関して摂取可能な範囲とそれに応じた食べられる食品を示す 過剰な除去に陥らないように指導し 食物アレルギーに関する悩みを軽減 解消する 指導のタイミング 1) 診断後 ( 完全除去 部分解除 完全解除時 ) 2) 患者 ( 保護者 ) から食事に関する相談を受けたとき 3) 定期的な食事指導 ( 除去解除できるまで ) 指導のポイント 1) 必要最小限の除去の考え方 (p12 参照 ) 2) アレルゲン性について ( 加熱 発酵による変化 ) 3) アレルギー物質を含む食品表示について (P.17 参照 ) 4) 栄養面での代替のための具体的な食品 ( 特に牛乳アレルギーの場合のカルシウム補給 ) 5) 調理上の注意点 19

治療 管理 原則 正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去 必要最小限の除去とは 1) 食べると症状が誘発される食物だけを除去する 念のため 心配だから といって 必要以上に除去する食物を増やさない 2) 原因食物でも 症状が誘発されない 食べられる範囲 までは食べることができる 食べられる範囲 の量を除去する必要はなく むしろ食べられる範囲までは積極的に食べるように指示することが望ましい 除去の程度は食物経口負荷試験等の結果に基づいた患者ごとの個別対応である 食物日誌を活用し その記録から除去ができていること 症状の出現がないこと 誤食時には症状が出現することを確認する 具体的な食物経口負荷試験のステップ (p9. 参考資料 1) を参照 食物除去実施上の注意 母子手帳を利用して成長曲線を経過観察し 成長発達をモニターしていくこと 食物除去を中止できる可能性を常に考慮する すでに感作が成立している食物を初めて食べさせるときには 食物経口負荷試験に準じる注意が必要である 保育所 幼稚園 小学校入学前には これまで未摂取の食品に関して食物経口負荷試験を行い 確定診断しておくことが望ましい 20

食物経口負荷試験の様子 専門の医師が誘発症状への緊急対応が十分可能な状況で行う 21

食物経口負荷試験の診療報酬 外来 9 歳未満 基準を満たした施設 * において年 2 回 1,000 点を算定 入院 出来高支払方式 年 2 回まで 年 3 回以降 入院期間が 5 日間以下の場合短期滞在手術等基本料 3 (6,130 点 ) を算定 入院管理料のみ算定 9 歳以上 入院管理料のみ算定 DPC 入院期間が 5 日間以下の場合短期滞在手術等基本料 3 (6,130 点 ) を算定 080270 食物アレルギー 080270 食物アレルギー * 小児食物経口負荷検査の施設基準 1. 小児科を標榜している保険医療機関 2. 小児食物アレルギーの診断及び治療の経験を10 年以上有する小児科を担当する常勤の医師が1 名以上配置されている 3. 急変時等の緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている 食物経口負荷試験の診療報酬 2006 年 4 月に入院して行う食物経口負荷試験が保険適応となり 2008 年 4 月からは外来における食物経口負荷試験に対しても適応が拡大された 2014 年 4 月には入院期間 5 日間以下の入院食物経口負荷試験は短期滞在手術等基本料 3(6,130 点 ) を算定する変更が行われた DPC: 包括支払方式,Diagnosis Procedure Combination 診断病名 と 医療サービス との組み合わせの分類をもとに 1 日当たりの包括診療部分の医療費を決める計算方式 食物経口負荷試験は診断群分類点数表 08 皮膚 皮下組織の疾患 080270 食物アレルギー に分類される 22

食物負荷試験実態調査調査結果 方法 全国の日本小児科学会専門医研修施設を対象に H20~23 年度および H25 年度の負荷試験の実施状況について郵送で調査票を送付した H25 年度調査は 521 施設を対象とした 結果 回答施設 381 施設 ( 回収率 73.1%) 実施なし 53 14% 入院負荷実施率 10 25 22 39 2 91 外来のみ実施 38 10% 入院のみ実施 106 28.0% 外来負荷実施率 1113 25 38 134 0 160 0% 20% 40% 60% 80% 100% 外来 入院 182 48% >501 件 201-500 件 101-200 件 51-100 件 <50 件 実施件数不明 未実施 いずれかで行っている施設 326/521 施設 (62.6%) 23

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日本アレルギー学会指導医 専門医数と専門医教育研修施設数 アレルギー指導医 専門医数 ( 小児科 ) 1,031 名 都道府県別人口 10 万人あたりの指導医 専門医数 5 23 = 0.3 未満 = 0.3-0.6 = 0.61-0.9 = 0.91-1.20 =1.20 以上 n = 指導医 専門医数 アレルギー専門医教育研修施設 ( 小児科 ) 207 施設 * 1 * 正施設 準施設の合計数 1 n 医療機関数 3 1 4 3 福岡 4 34 2 1 3 5 4 2 3 1 16 大阪 10 69 52 2 2 3 4 6 1 3 1 6 24 16 70 愛知 2 6 29 1 2 22 8 22 103 11 3 52 57 37 193 東京 1 1 28 2016.2.3 現在

経口免疫療法 (Oral Immunotherapy: OIT) OITは 事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認した症例に対し, 原因食物を医師の指導のもと施設で統一された計画的プロトコールで経口摂取させ耐性獲得を誘導する治療法 と定義され 専門の医師が患者及び保護者から十分なインフォームド コンセントを得るとともに 症状出現時の救急対応に万全を期した上で慎重に取り組むことが強く推奨さ れる 日本小児アレルギー学会誌 2012;26:158-66. 多くの例に即時型の症状を認め 時にアナフィラキシーを誘発する上 非即時型の好酸球性食道炎 胃腸炎等を誘発す ることもある Sánchez-García S, et al. J Allergy Clin Immunol 2012; 129: 1155-7. OIT により多くの患者が脱感作状態 に到達するが 必ず耐性獲得ができるわけではなく 原因食物を一定期間除去した 後に再び摂取させると症状が誘発されることも多い OIT により原因食物を摂取しても症状が出ない状態 耐性獲得と判断した症例の一部でも原因食物摂取後の運動や体調不良などにより重篤な症状が出現することがある OITの治療成績は抗原により異なり 特に牛乳では治療に難渋する Sato S, et al. Int Arch Allergy Immunol 2014; 164: 1. OITの長期的な安全性 有効性 費用対効果に対して十分なエビデンスがない Nurmatov U, et al. The Cochrane Library 2012, Issue 9 OIT は研究段階の治療法である ( 保険適応ではない ) Yeung JP, et al. The Cochrane Library 2012, Issue 11 29

園 学校への情報提供 ( 診断書 ) 保育所給食においては 保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表を 幼稚園 学校給食においては 学校生活管理指導表 ( アレルギー疾患用 ) をもとにした対応を基本とする 生活管理指導表の作成にあたって 保護者の希望だけに基づくのではなくて 家庭での摂取状況を十分に問診した上で できるだけ確実な診断情報を記載するように努めること アレルギーと診断するべきか迷う食物については 専門施設で正しい診断を受けるように患者を促すこと 保育所には 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン ( 厚生労働省 ) を参照し 学校には 学校におけるアレルギー疾患取り組みガイドライン ( 日本学校保健会 ) ( 下記参考資料 3) の提出を必須とし 対応の充実を促す 集団給食では安全面を優先し 段階的対応 ( 部分解除等 ) ではなく完全解除か完全除去のいずれか二者択一で対応することが望ましい 問題点 保育所では預かる児の年齢の幅が広く 食物アレルギーの患者数も多いため 給食対応は煩雑となり誤食事故が発生しやすい現状がある 参考資料 3 生活管理指導表 ( アレルギー疾患用 ) 生活管理指導表は アレルギー疾患と診断された児が 保育所 幼稚園 学校の生活におい て特別な配慮や管理が必要な場合に限って作成する 保育所 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03_005.pdf 幼稚園 学校 http://www.gakkohoken.jp/book/bo0002.html 30

学校生活管理指導表の運用率の推移 保護者の申し出に基づいて対応 ( 管理指導表やその他の医師の診断書は求めない ) a 管理指導表の提出を必須とし 管理指導表に基づいて対応 b 管理指導表又はその他の医師の診断書の提出を必須とし それらに基づいて対応 平成 16 年 98.3% a 28.9% 53.7% 平成 25 年 58.5% H25 平成 26 年 8.1% b 31.7% 73.4% H26 0% 50% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 31

日本学校保健会 都道府県 市町村のアレルギー対応に関するガイドライン マニュアルを使用している割合 ( 学校 ) 32

日本アレルギー学会 Anaphylaxis 対策特別委員会 2014 年 11 月 1 日発行 本ガイドラインは わが国の小児から成人までのアナフィラキシー患者に対する診断 治療のレベル向上と 患者の生活の質の改善を目的に 医師向けに作成した 本ガイドラインはアナフィラキシーの診断 治療の基本を示すものであり 個々の治療法の詳細を示すものではない 本ガイドライン作成における開示すべき利益相反 (COI) 関係にある企業などはない 33

医療機関におけるアナフィラキシー発症時の初期対応 アナフィラキシーに対する注意点 1) 症状の進行は早く アドレナリン投与を含めて迅速な対処行動が要求される 患者には至急医療機関を受診するように指導する 医療機関においては症状の進行経過を見るためにも 十分な観察を行うべきである 2) 気管支喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因子なのでコントロールを十分に行う 3) 一部の食物 ( ピーナッツなど ) によるアナフィラキシーでは 経過中に二相性反応が見られることがある このため 症状出現後 4 時間までは診療所 病院内にて経過観察することが望ましい 自施設での対応が困難であれば 入院施設のある医療機関へ搬送することが望ましい アナフィラキシーガイドライン ( 日本アレルギー学会 ) より引用 34

35

学校におけるエピペン使用者 (H20/4/1-H25/8/31) エピペン使用者男子女子合計 人数 % 人数 % 人数 % 本人自己注射 61 34.9% 48 26.8% 109 30.8% 学校職員注射 42 24.0% 50 27.9% 92 26.0% 保護者注射 51 29.1% 49 27.4% 100 28.2% 救急救命士注射 21 12.0% 32 17.9% 53 15.0% 合計 175 100.0% 179 100.0% 354 100.0% 小学校中学校高等学校中等教育学校合計 平成 25 年度生徒数 4,882,205 2,458,174 1,800,610 15,922 9,156,911 36

エピペン注射は立場に関係なく 全教職員の誰もが直ちに注射することになっている割合 37

食物アレルギー アナフィラキシーの社会的対応の歩み 2002 年 アレルギー物質を含む食品表示開始 ( 厚生労働省 ) 2005 年 エピペンの食物アレルギーおよび小児への適応拡大 ( 厚生労働省 ) 食物アレルギーの診療の手引き2005 ( 初版 ) ( 厚生労働省研究班 ) 食物アレルギー診療ガイドライン2005 ( 日本小児アレルギー学会 ) 2006 年 食物アレルギー関連 ( 入院での食物負荷試験 栄養指導 ) の診療報酬化 ( 厚生労働省 ) 2007 年 アレルギー疾患への対応の現状報告 ( 文部科学省 ) ( 食物アレルギー有病率 2.6% アナフィラキシー 0.1% との報告 ) 2008 年 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインおよび管理指導表 ( 日本学校保健会 ) 外来での食物負荷試験の診療報酬化 ( 厚生労働省 ) 診療の手引き2008 改訂, 栄養指導の手引き 2008 公開 ( 厚生労働省研究班 ) 2009 年 食物経口負荷試験ガイドライン2009 ( 日本小児アレルギー学会 ) 業務としての救急救命士へのエピペンの使用解禁 ( 厚生労働省 総務省 ) 食物負荷試験実施施設公開 ( 厚生労働省研究班 食物アレルギー研究会 ) 2011 年 保育所でのアレルギー対応ガイドライン ( 厚生労働省 ) エピペン保険診療の適応 ( 厚生労働省 ) 食物アレルギーガイドライン2012 ( 日本小児アレルギー学会 ) 診療の手引き2011 改訂, 栄養指導の手引き 2011 改訂 ( 厚生労働省研究班 ) 2012 年調布市での給食によるアナフィラキシーと思われる死亡事故発生 2013 年 日本小児アレルギー学会 一般向けエピペンの適応 ( 日本小児アレルギー学会 ) 2014 年 日本アレルギー学会 アナフィラキシー GL ( 日本アレルギー学会 ) 2015 年 診療の手引き2014 改訂 ( 厚生労働省研究班 ) 2015 年 文部科学省からアレルギー対応に関する資料 (DVD 等 ) を配付 ( 文部科学省 日本学校保健会 ) 38

まとめ ( まとめ1) 食物アレルギー アナフィラキシー対策はこの15 年で大幅に進歩したが 医療の均てん化の推進 病診連携の推進 食物経口負荷試験環境の改善 診断方法の改善 治療方法の確立に向けた臨床研究が必要である ( まとめ2) 食物アレルギー アナフィラキシーは社会 行政との関わりが大きく 縦割り行政の弊害を取り除くとともに行政の継続性 国と地方の連携 医療と行政の連携などが求められる ( まとめ3) 食物アレルギー. アナフィラキシー対策に関与する人材 ( 医療関係者 コメディカル 保育士 教諭 食品 / 外食産業の関係者など ) の育成が急務である 39

政策提言 ( 提言 1) 各都道府県 政令指定都市に食物アレルギー対策拠点病院を指定し財政的に支援するとともに以下の機能を持たせる ; 一般医への啓発活動 病診連携の推進活動 専門性の高い医療の提供 行政との連携 一般への啓発活動 & 相談業務 臨床研究の推進 ( 提言 2) 臨床研究の推進には患者データベースの構築 診断 / 治療の開発に関わる研究費の増額 長期的な視点での研究の支援 (AMEDでは不十分) ( 提言 3) 人材育成には教育現場 医療現場 行政 企業などに対して省庁を横断した取り組みが必要 40