The Sanwa Bank Limited

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関西 EPA 研究会 ( 仮称 ) 参加のご案内 2 国間から TPP まで - アジアの EPA/FTA を総合的に 2011 年 1 月 主催 : 関西地区 16 商工会議所 拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます ご高承の通り わが国の経済連携協定 (EPA) は シンガポール (2

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仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

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2. 両協定の主な内容両協定締結後は 貨物やサービス貿易における更なる開放 優遇措置のほか 投資 政府調達 知的財産権 人の移動 ビジネス環境整備など 幅広い範囲での提携により 締約国間の貿易 投資の往来が従来より円滑に進むことが見込まれる (1) AHKFTA 貨物貿易香港 ASEAN 間の貨物貿

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ドーハ ラウンド交渉の一分野である貿易円滑化については 平成 26 年 11 月のWTO 一般理事会において 貿易円滑化協定に関する改正議定書 が採択され 今後 3 分の2 以上の加盟国が受諾した時点で本協定は発効することになりました 各 WTO 加盟国がこの協定を実施することにより 貿易規則の透明

本誌に関するお問い合わせはみずほ総合研究所株式会社調査本部菅原淳一 電話 (03) まで 本資料は 情報提供のみを目的として作成されたものであり 法務 貿易 投資等の助言やコンサルティング等を目的とするものではありま

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政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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TPP11 協定 (CPTPP) の概要目次 協定の発効要件 税率差 : 国別譲許における税率適用国決定ルール 国別セーフガード その他 国別関税割当 牛肉の適用税率 ( 日豪 EPA 税率との比較 ) 輸入後のTPP 特恵税率の要求 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 Comp

目次 1. はじめに 2. 原産地基準 3. 原産地証明制度 4. 税関での手続き 本パンフレットは 税関での適正な手続きを行っていただくために 原産地規則についての基礎的な理解を深めていただくことを目的として作成したものです 理解しやすさの観点から 法令の用語と異なる用語を使用した部分 全てのEP

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

,112 1,630 1,992 1,879 2,674 3,912 はじめに ア

Title 日系食品企業の直接投資およびFTA/EPAがASEAN 諸国の食品貿易に与える影響に関する分析 ( Digest_ 要約 ) Author(s) 髙松, 美公子 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL ht

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EPA に関する各種試算 試算 1 EPA のマクロ経済効果分析 (3 ページ ) 内閣官房を中心に関係省庁と調整したシナリオに基づき 川崎研一氏 ( 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官 ) が分析 WTO はじめ広く関係機関が活用している一般均衡モデル (GTAP モデル ) を使用 EPA

TBT( 貿易の技術的障害 ) 貿易救済 ( セーフガード措置等 ) 政府調達 も高いレベルの措置を導入 維持できるとされている ) 個別品目の輸入解禁や輸入条件の変更について, 従来よりTPP 交渉参加国より要請されてきた案件が, 交渉参加のための条件とされ, あるいはTPP 協定に付随する約束を

利用状況から見えてくるEPAにおける今後の課題

ASEAN 包括的投資協定 (ACIA) 修正議定書 ブルネイ ダルサラーム国 カンボジア王国 インドネシア共和国 ラオス人民民主共和国 マレーシア ミャンマー連邦共和国 フィリピン共和国 シンガポール共和国 タイ王国 およびベトナム社会主義共和国の政府 東南アジア諸国連合 ( ASEAN ) の加


2015 年末までに交渉を妥結させるとの目標が明記されている 2 これまでの交渉では 基本指針に基づき 分野別の作業部会やその下部組織が設置され 交渉が進められている ( 図表 2) これを受けた今次閣僚会合の最大の注目点は モダリティ に合意できるかどうかであった モダリティとは 交渉の進め方に関

3 広域 FTA 4 域外との FTA に分けられる (AFTA および ASEAN+1FTA) 20 世紀の最初の 10 年間の成果は AFTA の実現と ASEAN とアジア太平洋地域の主要国との間の FTA の締結である 2010 年 1 月に ASEAN6 が関税を撤廃し AFTA はほぼ実

平成18年8月31日

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

第9章 タイの二輪車産業-好調な国内市場と中国の影響-

別紙 1 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案による主な改正内容 TPP 整備法の現状 整備対象となる11 本の法律のうち GI 法の改正 : 施行済他 10 本の法律の改正 : 未施行 ( 施行期日は環太平洋パートナーシップ協定 (TPP12 協

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資料 2 平成 27 年度の政策対話等の実施実績及び予定について ( 未定稿 ) 1. 概要 平成 27 年度は 以下の取組につき 各国の状況に応じ組み合わせて実施 (1) 各国との政策対話の実施 (2) 対話の場を活用した 我が国食関連産業と先方政府 先方民間企業のとの情報共有 マッチングの促進

本誌に関するお問い合わせ先みずほ総合研究所株式会社調査本部政策調査部主任研究員菅原淳一 電話 (03) 本資料は 情報提供のみを目的として作成されたものであり 法務 貿易 投資等の助言やコンサルティング等を目的とする

2 タイ-オーストラリア FTA 36 (4) マレーシア 37 1 日本 -マレーシア経済連携協定(JMEPA) 38 2 マレーシア-パキスタン経済緊密化連携協定 (CEPA) 40 3 マレーシア-ニュージーランド FTA 41 4 マレーシア-インド包括的経済協力協定 (MICECA) 41

のですか? (Q2-10)VNM( 非原産材料の合計価格 ) とは何の価額を使用するのでしょうか? (Q2-11) 関税番号の変更 ( 関税番号変更基準 (CTC)) とは何でしょうか? (Q2-12) 関税番号変更基準 (CTC) について どのレベルまでHSコードをさかのぼる必要がありますか?

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

ASEAN との経済関係が再び強まる韓国 ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN1 16 RCEP 1. ほぼピークに達した対中輸出依存度 (1) 上昇傾向にある対 ASEAN 輸出依存度 ASEAN 2 WTO 21 RIM 213 Vol.13 No.49

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1.EPA の輸出創出効果と課題 (1) 日本の EPA の現状 分類 EPA 締約国 地域 ( 発効月 ) 発効済み (13 協定 ) 交渉中 (10 協定 ) 2002 年シンガポール (11 月 ) 2005 年メキシコ (4 月 ) 2006 年マレーシア (7 月 ) 2007 年チリ (

及び必要性 低税率を適用して需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方 一定数量を超えた輸入分については高税率を適用することにより 国内の皮革産業及び革靴産業の保護を目的としている 2 政策目的達成時期我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しう

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EPA に基づく原産地証明書とは 日本はこれまでに複数の国や地域と経済連携協定 (EPA:Economic Partnership Agreement 以下 EPA と 記載します ) を締結しています EPA を活用すると 日本から EPA 締約相手国に輸出をする際 通常の関税率よりも低い関税率

東京センチュリー株式会社統合レポート2018

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タイトル□□□□□□□□□□

1. 経済連携協定 (EPA) 自由貿易協定 (FTA) とは 自由貿易協定 (FTA:Free Trade Agreement) 特定の国や地域の間で 物品の関 税やサービス貿易の障壁等を削減 撤廃することを目的とする協定 経 済連携協定の主要な内容の一つ 経済連携協定 (EPA:Economic

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出の好調続くも新型スマホ関連がピークアウトへ

< 目次 > 概要 1 1. 香港 2. 台湾 3. 韓国 4. 中国 5. シンガポール 6. マレーシア 7. ブルネイ 8. インドネシア 9. タイ 10. ベトナム ミャンマー 12. フィリピン 13. インド 14. 中

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ASEAN、中国のFTA と自動車・自動車部品貿易

日 EU EPA の主なメリット :EU 市場の開拓 平成 29 年 8 月外務省経済局 EU の関税の撤廃や規制の撤廃 緩和により, 様々な国産品の輸出拡大,EU の市場開拓が期待されます 工業製品 品目数 輸出額 (EU 向け約 5.8 兆円 ) で,100% の関税撤廃を達成し,EUへの輸出の

2 政策目的達成時期我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内皮革産業及び革靴産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めること

18 アジア アセアン生産拠点別の生産台数 マレーシア ( 旧カウント ) 生産拠点 ( タイ ) ( フィリピン ) ( インドネシア ) ( マレーシア ) ( 台湾 ) ( 中国 ) ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( インド ) ( バングラデシュ ) ( ベトナム )

サービス交渉 DDA のサービス交渉が停滞する中 2012 年 12 月 21 の有志国が今までの FTA 等で達成した水準を基に新協定 ( 新サービス貿易協定 :Trade in Services Agreement) を作成する交渉を開始することで合意 日 米 EU 諾 豪 加 香港 パナマ コ

国内の皮革産業及び革靴産業は中小 小規模事業者が大部分を占めていることから業界の構造改善及び競争力強化を実施し アジア諸国をはじめとする海外から大量に輸入される製品と対抗しうる日本製品の優位性が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内の皮革産業及び

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FTA・EPAアドバイザリー

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

四校

2017 電波産業調査統計

近畿圏における電気機器の貿易動向 平成 24 年 10 月 22 日大阪税関調査統計課 貿易額推移 近畿圏における電気機器の貿易額は 2000 年に初めて輸出額が 3 兆円を突破し 輸入額が 1 兆円を突破しました 輸出額は 2001 年に一旦減尐しますが その後は右肩上がりで増加し 2005 年に

18 アジア アセアン生産拠点別の生産台数 マレーシア ( 旧カウント ) 生産拠点 ( タイ ) ( フィリピン ) ( インドネシア ) ( マレーシア ) ( 台湾 ) ( 中国 ) ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( インド ) ( バングラデシュ ) ( ベトナム ) 合計 三菱自動車

牛田論文ブック.indb

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第 3 章九州の産業別貿易動向 1. 自動車 自動車の部分品 2017 年の九州の自動車輸出額は 1 兆 7,006 億円 ( 前年比 27.4% 増 ) で前年より増加し 4 年連続の増加となった 輸出先は 米国が最も多く 次いで中国 アラブ首長国連邦等であった 2017 年の九州の自動車生産台数

2011 年 7 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ASEAN 日本人商工会議所連合会 (FJCCIA) と ASEAN 事務局スリン事務総長との対話 ( 第 4 回 ) 及び ASEAN 経済相との対話について ( 概要 ) ASEAN 事務局スリン事務総長と ASEAN 日本人商工会議所連

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

日中主要経済発展指標の比較 平均寿命 ( 才 ) 乳児死亡率 ( 千分比 ) 一次産業の GDP 比 (%) 都市住民のエンゲル係数 (%) 1 人当り電力消費量 (kwh) 72 (1998 年 ) 31 (1999 年 ) 15.9 (2000 年 ) 39.2 (2000 年 ) 1071 (

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

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第4章 日系家電メーカーにおけるグローバル化の進展と分業再編成

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北米自由貿易協定(NAFTA)の概要

TPP 農林水産物市場アクセス交渉の結果 1 米 : (1) 米及び米粉等の国家貿易品目 1 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 ( 米の場合 341 円 /kg) を維持 2 米国 豪州に SBS 方式の国別枠を設定 米国 :5 万 t( 当初 3 年維持 ) 7 万 t(13 年目以

第 1 章 ASEAN の地域統合 第 1 章 ASEAN の地域統合 ASEAN 経済共同体 (AEC) への展開を中心に 清水一史 はじめに ASEAN( 東南アジア諸国連合 ) は従来東アジアで唯一の地域協力機構であり 1967 年の設立以来 政治協力や経済協力など各種の協力を推進してきた 加

はじめに (1) ASEAN は東アジアの経済統合の代表 従来東アジアで唯一の地域協力機構 1967 年以来 政治協力 経済協力を推進 加盟国も 5 カ国から 10 カ国へ 構造変化を続ける世界経済の下で AFTA を確立し 今年末の AEC 実現を目指す 2

2010 年 AIBA 認定アドバイザー試験公開問題 国際マーケティング 第 1 問経営戦略論の第一人者 ポーター (M. E. Porter) の競争戦略に関する代表的な考え方につ いて 問 1~ 問 3の空欄に入る最も適切なものをそれぞれ一つ選び 解答欄にその番号を記入しなさ い 問 1 業界の

1 アンチ ダンピング措置の新規調査開始件数の推移 AD 調査開始件数は 1 貿易自由化が進展した時と 2 景気後退の時に増加する傾向がある 世界金融危機時に増加した後しばらく下降傾向であったが 近年は再び増加傾向 世界的には 2 日に 1 件以上の割合で調査が開始されている

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平成 30 年 1 月から 6 月までの名古屋税関における知的財産侵害物品の差止状況 輸入差止件数は 936 件で 前年同期比 30.4% の減少となったものの 6 年連続で 900 件を超えました 輸入差止点数は 14,893 点で 前年同期比 46.2% の減少となりました 知的財産侵害物品の輸

はじめに ASEAN と中国との貿易は拡大しているが これは 1993 年発効の AFTA(ASEAN 自由貿易地域 ) や 2005 年に発効した ASEAN 中国 FTA(ACFTA) の影響もあると考えられる また ASEAN と日本との貿易の進展は ASEAN と日本との 2 国間 EPA

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

第 3 章 東アジアにおける貿易投資の深化と成長モデル転換に向けた我が国の貢献 第 1 節 第 2 節 第 3 節 東アジアにおける貿易投資動向 我が国企業と東アジアの関わり 我が国の貢献可能性

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今後の EPA 戦略について 国境措置のあり方について 平成 19 年 4 月 11 日農林水産省

2. 南部経済回廊 (1) 道路状況の改善 a. ネアックルン橋 ( カンボジ ネアックルン橋の建設促進 カンボジア ( 協力 : 日 2011 年 6 月に交換公文に調印後 2015 年 3 月の完工に向け建設を進めている 2015 年 3 月 Ⅰ.2.(4) b. 国道 1 号線 ( カンボジア

第 4 章地域経済統合への道筋 経済分析を中心に 第 章地域経済統合への 経済分析を中心に 一. はじめに日本は 2010 年ごろから TPP( 環太平洋戦略的経済連携協定 ) への参加を検討しはじめ それを契機として TPP に関する国民的な議論も拡大していった 2013 年 7 月には正式に交渉

Transcription:

MICA (P) No. 205/06/2007 SINGAPORE - AREA Report 160 2008 年 4 月 8 日 日本 ASEAN 包括的経済連携協定 (AJCEP) の署名について 三菱東京 UFJ 銀行アジア法人業務部 日本政府は 3 月 28 日の閣議において 日本 ASEAN 包括的経済連携協定 (AJCEP:ASEAN-Japan Comprehensive Economic Partnership) の署名に関する決定を行った これを受け 高村外務大臣が AJCEP 協定の署名を行う予定 なお 本協定については 署名本書を日本と ASEAN 各国で持ち回って署名することとなっている AJCEP により 日本は ASEAN からの輸入額の 90% を占める品目の関税を即時撤廃し 10 年以内にその比率を 93% まで引き上げる ASEAN6( ブルネイ インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ ) については 日本からの輸入額および品目数の 90% 以上について 10 年以内に関税撤廃する 本協定の条文 関税の撤廃 引き下げ品目については ASEAN10 ヵ国すべての国の署名が終了した後 発表される 1. 日 ASEAN 包括的経済連携協定 (AJCEP) の交渉経緯 2003 年 10 月 : 日 ASEAN 首脳会合において 交渉の枠組みについて合意 2004 年 2 月 : 交渉に向けた協議開始 2005 年 4 月 ~2007 年 11 月 : 計 11 回にわたる AJCEP 交渉を開催 2007 年 11 月 : 日本 ASEAN 首脳会合にて交渉妥結 2008 年発効目標 2. AJCEP の概要 2007 年財務省貿易統計によると ASEAN 地域は日本の貿易相手国として 中国 米国に次いで第 3 位である ( 表 1 ご参照 ) また 貿易額も年々増加している( 表 2 ご参照 ) 日本は二国間 EPA( 経済連携協定 ) を ASEAN ではシンガポール マレーシア タイと締結発効済み フィリピン ブルネイ インドネシアとは署名済み 今回の AJCEP は ASEAN 地域全体 (10 ヵ国 ) との経済連携を強化することを狙ったもの 日系企業へのメリットとしては二国間 EPA でカバーされない貿易の自由化 日本及び ASEAN 地域における原産地規則の累積ルールの適用がある AJCEP における物品貿易自由化は 以下の過程で進む (1) ASEAN6( ブルネイ インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ ) においては 日本からの輸入額および品目数の 90% 以上について 10 年以内に関税撤廃 (2) ベトナムは日本からの輸入額または品目数の 90% 以上について 15 年以内に関税撤廃 (3) CLM( カンボジア ラオス ミャンマー ) は日本からの輸入額または品目数の 85% 以上について 18 年以内に関税撤廃 (4) 日本側は ASEAN 全体からの 1 輸入額の 90% 以上にあたる品目を協定発効後即時に関税撤廃 2 輸入額の 92% 以上にあたる品目を 5 年以内に関税撤廃 3 輸入額の 93% 以上にあたる品目を 10 年以内に関税撤廃 Economic and Industry Reports 1

なお 今回の AJCEP における ASEAN 側の自由化率 (= 関税削減撤廃品目の比率 ) は 日本と ASEAN 各国との二国間経済連携協定 (EPA) における自由化率 (90~99.9%[ 国によって異なる ]) より低いため 品目によっては二国間 EPA のみで関税の削減 撤廃が行われるケースもある点には留意が必要である 表 1 日本からの米国 中国 ASEANへの輸出額 ( 億円 ) (%) 米国 148,054 169,335 168,962 - 中国 88,368 107,936 128,389 19.0% ASEAN 83,403 88,748 102,412 15.4% 日本の米国 中国 ASEANからの輸入額 ( 億円 ) (%) 米国 70,742 79,112 83,486 5.5% 中国 119,754 137,843 150,354 9.1% ASEAN 80,133 92,986 102,388 10.1% 日本の米国 中国 ASEANとの貿易額 ( 億円 ) (%) 米国 218,796 248,447 252,448 1.6% 中国 208,122 245,779 278,743 13.4% ASEAN 163,536 181,734 204,800 12.7% ( 出所 ) 財務省貿易統計より三菱東京 UFJ 銀行アジア法人業務部作成 表 2 日本とASEANとの輸出入額推移 ( 億円 ) (%) 日本からASEANへの輸出日本のASEANからの輸入 輸出入合計 前年比の伸び率 2003 年 70,803 67,804 138,607-2004 年 78,933 72,985 151,918 9.6% 2005 年 83,403 80,133 163,536 7.6% 2006 年 88,748 92,986 181,734 11.1% 2007 年 102,412 102,388 204,800 12.7% ( 出所 ) 財務省貿易統計より三菱東京 UFJ 銀行アジア法人業務部作成 Economic and Industry Reports 2

3. AJCEP のポイント今回の AJCEP のポイントは以下の 3 点が挙げられる (1) 原産地規則の累積ルールの適用 AJCEP では日本及び ASEAN 域内における原産地規則の累積ルールが認められることから 原産品の認定を得やすくなり 日本及び ASEAN 域内における貿易の更なる活発化が期待できる 原産地規則とは 物品の原産地 (= 物品の 国籍 ) を決定するためのルールのこと 関税政策等には その適用 不適用が物品の原産地に依存する場合がある ( 例 : 一般特恵関税 EPA( 経済連携協定 ) 特恵関税 WTO 協定税率 アンチ ダンピング税等 ) ため そのような場合には 原産地規則を用いて原産地を決定することが必要になる AJCEP における原産地規則は 1 全締約国 (11 ヵ国 ) に等しく適用される共通原産地規則方式 2 一般原則として付加価値 40% 又は関税番号 4 桁変更 (VA 又は CTH)( 並存ルール ) 3 上記一般原則を適用しない品目については その特性に応じて個別品目別規則を規定している 原産地規則の累積ルールとは 締約国 A の原産品が締約国 B で生産される産品の材料として使用される場合に その原産品が締約国 B の原産材料とみなされることをいう 今回の AJCEP には累積ルールがあることから 日本及び ASEAN で生み出された付加価値の合計が 40% を超えることで 原産品として認定されることが可能となる これにより 日本国内で生産する高付加価値の部品を用いた ASEAN 内での製品生産について 関税率削減のメリットを享受することが可能となる (2) 後発 ASEAN 諸国 ( カンボジア ラオス ミャンマー ) まで含めた広域にわたる関税の撤廃 AJCEP では後発 ASEAN 諸国を含めて EPA が適用されるため ASEAN 諸国内で日本との EPA がある国とない国が混在することはない 例えば 日本で高付加価値部品を生産し ASEAN 域内で製品に加工して ASEAN 域内に供給する生産ネットワーク構築が進展している電気 電子分野については 大部分の国で基本的に 10 年以内に関税が撤廃される 個別例では 薄型テレビは ASEAN7 ヵ国で 10 年以内に関税撤廃 薄型テレビモジュール ( 薄型テレビのパネルに部品を組み込んだもの ) も ASEAN8 ヵ国で 10 年以内に関税撤廃 ( 現行の関税率は表 3 ご参照 ) また 日本製の自動車ノックダウン部品などを用いて組み立てられた完成車やエンジンなどが ASEAN 域内を低関税で流通することが見込まれる 表 3 ASEAN 各国における薄型テレビ 薄型テレビモジュールの現行関税率 ブルネイインドネシアマレーシアフィリピンシンガポール タイ ベトナムカンボジア ラオスミャンマー 薄型テレビ 5% 15% 30% 15% 0% 20% 40% 15% 20% 15% 薄型テレビモジュール 5% 0% 5% 1% 0% 10% 3% 15% 10% 10% ( 出所 ) 財務省ホームページより三菱東京 UFJ 銀行アジア法人業務部作成 (3) 手続きコストの低減これまで二国間 EPA では 同一品目を日本から ASEAN の複数の国に輸出する場合 それぞれの EPA に基づき日本商工会議所で原産地審査を行い それぞれについて原産地証明書を取得する必要があった AJCEP の場合 原産地審査で一度 日本製品 と認定されれば ASEAN10 ヵ国すべての国で 特恵関税での輸出が可能となるなど 手続きコストの低減 簡素化が期待できる Economic and Industry Reports 3

ご参考 日本 ASEAN 包括経済連携協定における原産地規制の累積ルール適用のメリット 前提条件 薄型テレビパネルを製造 日本での部品生産における付加価値が 60% 以上 C 国から部品 Z を調達し A 国で薄型パネルの部品 Y を製造 D 国にて組立 B 国に完成品を輸出している AJCEP 締結前 AFTA 及び二国間 EPA のみ適用した場合 ASEAN 地域 部品 Z:0% 関税 日本 ( 部品 X を製造 ) A 国との二国間 EPAにより 0% 関税部品 X:0% 関税 A 国 ( 部品 Y を製造 ) ASEAN 域内の付加価値が 40% 以下であるため A 国から D 国への部品 Y の輸出は AFTA の適用が受けられず 通常の税率が適用される 部品 Y: 通常の関税適用 C 国 ( 部品 Z を製造 ) AFTA 適用のため C 国から A 国への部品 Z の輸出関税は 0% B 国 ( 完成品の販売 ) D 国 ( 完成品を製造 ) ASEAN 域内の付加価値が 40% 以下であるため D 国から B 国への完成品の輸出は AFTA の適用を受けられず 通常の税率が適用される 完成品 : 通常の関税適用 *ASEAN 域内での付加価値が 40% 未満の製品は AFTA( アセアン自由貿易地域 ) による関税撤廃の対象とならない AJCEPの締結後 AFTA 及び二国間 EPA AJCEPを適用した場合日本 ( 部品 Xを製造 ) A 国との二国間 EPA AJCEPにより 0% 関税 ASEAN 地域部品 X:0% 関税 A 国 ( 部品 Yを製造 ) 部品 Z:0% 関税 日本 ASEAN 域内を合わせた付加価値が 40% 以上であるため A 国から D 国への部品 Y の輸出は AJCEP の適用を受け 0% 関税 部品 Y: 0% 関税 C 国 ( 部品 Z を製造 ) D 国 ( 完成品を製造 ) AFTA 適用のため C 国から A 国への部品 Z の輸出関税は 0% 日本 ASEAN 域内を合わせた付加価値が 40% 以上であるため D 国から B 国への完成品の輸出は AJCEP の適用を受け 0% 関税 B 国 ( 完成品の販売 ) 完成品 : 0% 関税 ( 出所 ) 財務省ホームページより三菱東京 UFJ 銀行アジア法人業務部作成 Economic and Industry Reports 4

4. その他の AJCEP のポイント 投資およびサービスに関する自由化の取組み 知的財産分野 農林水産分野 ( 違法伐採を含む ) について 重要分野として協力を約束 ASEAN 共通投資環境構想 ASEAN 地域統合の取組みについて投資家の評価視点を導入 投資家の意見を反映させた政策立案プロセスの構築 国際物流競争力パートナーシップ 産業界ニーズに応じたソフト ハードインフラ整備 輸出入通関手続き効率化に向けた協力 ASEAN ブランドプロジェクト ( 一村一品支援活動の応用 ) CLMV( カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム ) を中心とした ASEAN の中小企業および地場産業の競争力強化による国際市場への参入支援 5. 東アジア構想 (AJCEP に関連して ) 今回の AJCEP は日本と ASEAN10 ヵ国の計 11 ヵ国が広域経済圏の形成を目指すものであるが 将来の構想として東アジア構想もある 以下に東アジア包括的経済連携 (CEPEA) 東アジア ASEAN 経済研究センター (ERIA) についての概要を記載する (1) 東アジア包括的経済連携 ( 東アジア EPA 構想 CEPEA) CEPEA は 2007 年 1 月の東アジアサミットで日本からの提案に基づき 16 ヵ国の首脳が民間専門家研究会の立ち上げに合意したもの ASEAN+6(ASEAN10 ヵ国と日中韓印豪 NZ) の 16 ヵ国で 包括的な経済連携協定を結び 自由で成熟した経済圏の構築を目指す構想 (2) 東アジア ASEAN 経済研究センター ( 東アジア版 CECD 構想 ERIA) ERIA は東アジア経済統合の深化 地域内格差是正 持続的な経済成長のため 調査研究 政策提言を行う 物品貿易の自由化のみならず 人材育成 インフラ整備 環境 エネルギーなど幅広い課題に対する地域一体となった取組みの中核機関を設立する なお 日 ASEAN 包括的経済連携協定の詳細は 次の経済産業省サイトをご参照 http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/html2/2-torikumi3-asean.html ( ご参考 ) FTA 関連レポート AREA Report 144 ASEAN インド 豪州におけるFTAの進行状況 2007 年 10 月 4 日 AREA Report 149 マレーシア パキスタンと経済緊密化連携協定(CEPA) 2007 年 12 月 26 日 AREA Report 150 シンガポール インド包括経済協力協定(CECA) を一部改定 2008 年 1 月 2 日 ( 本レポートに関するお問い合わせ先 ) アジア法人業務部北村広明 E-mail: hiroaki_kitamura@sg.mufg.jp TEL: ( シンガポール )65-6231786 宮崎治 E-mail: miyazaki@sg.mufg.jp TEL: ( シンガポール )65-6231793 本レポートは情報の提供を目的に作成しておりますが お取引の最終判断はお客様ご自身で行っていただきますようお願いいたします 資料は信頼できると思われるソースを基に作成しておりますが完全性を保証するものではありません Economic and Industry Reports 5