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従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

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特別寄稿 大卒女性の活躍推進に向けて 東京圏で暮らす働き方等に関するアンケート調査結果 (2015) 女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査結果 (2015) ESG ESG 2015 2015 25 44 2,064 30040 50 516 就業を継続しなかった女性の職場環境を比較したとこ 1 出産後も働き続けられた女性とそうでない女性 職場環境と家事負担はどう違うか 東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果 (2015) 女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査結果 (2015) の調査結果 ( 以下 アンケート調査結果 ) によれば 卒業後の進路として正規雇用の職に就き 結婚した1,364 人の女性のうち 結婚後も正規雇用で働き続けた女性の割合は65.1% 第一子出産時点では 48.1% にまで下がります 1 大卒女性の就業継続に与える影響 では 女性の就業継続の可否に影響を与える 職場環境と育児 家事分担の状況に着目します 1. 職場環境 有休の取りやすさ 勤務時間の調整しやすさ 残業の有無な ろ ( ) 希望すればいつでも有給休暇を取得することができた 遅れて出社したり 早めに退社することが柔軟にできた といった勤務時間等にかかる柔軟性に関する項目で 就業継続した女性の職場のほうが上回っています 一方 休みの日が不規則だった 残業時間が多かった 等の項目は 就業継続しなかった女性の職場のほうが上回っています 就業継続をした女性の割合が多い業種と少ない業種を比べると 就業継続をした女性の割合が高い上位 2 業種は IT 情報通信 (90.4%) インフラ( 電力 ガス 鉄道 エアラインなど ) 官公庁(86.7%) であり 少ない上位 2 業種は食品 農林 水産 (40.0%) 繊維 アパレル (45.0%) です IT 情報通信が上位である理由は 在宅勤務等の普及が考えられます 勤務時間等 柔軟な働き方ができることが 第一子出産後の女性の就業継続に好影響を与える可能性が指摘できます ( 図表 1) ど働き方の柔軟さが女性の就業継続に好影響 第一子出産後 同じ会社で就業を継続した女性と 42 人事実務 2016 年 8 月号

図表 1 第一子出産後 就業継続した女性 しなかった女性の職場環境 希望すればいつでも有給休暇を取得することができた遅れて出社したり 早めに退社することが柔軟にできた子育て中の女性従業員と そうでない女性従業員で仕事の割り当てや勤務時間が全く異なる職場だった突発的に発生する業務が多く 仕事のスケジュールを前もって立てることが難しかった 夜間勤務があるなど 勤務時間が変則的だった どんなことがあってもこの日は自分が出社しないと仕事が回らない という日が多かった 残業時間が多かった 休みの日が不規則だった 51.9% 50.7% 37.5% 24.6% 16.3% 23.1% 23.1% 12.7% 17.3% 32.8% 37.5% 39.6% 44.2% 11.9% 20.2% 66.4% 同じ会社で就業継続就業継続せず 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 注 1. 第一子妊娠時点において正規雇用の職に就いていた女性 238 人を対象に 第一子出産後 同じ会社で就業を継続した女性 134 人と 就業を継続しなかった女性 ( 他の会社への転職を含む )104 人を比較 2. 各々の職場環境について 全く当てはまらない から とても当てはまる までの5 件法で質問を行い とても当てはまる または どちらかというと当てはまる と回答した者の割合を算出している 図表 2 共働き世帯の第一子出産時点における妻の家事負担割合 ( 左 ) 育児負担割合 ( 右 ) 0.4% 3.8% 13.4% 0.4% 2.5% 7.5% 全体の 20% 未満 全体の 20% 未満 全体の 20% 以上 40% 未満 全体の 20% 以上 40% 未満 57.7% 24.7% 全体の40% 以上 60% 未満全体の60% 以上 80% 未満全体の80% 以上 62.8% 26.8% 全体の40% 以上 60% 未満全体の60% 以上 80% 未満全体の80% 以上 注. サンプル数は アンケート回答時点で配偶者がいると回答した者のうち 専業主婦を除いた 239 人である 2. 育児 家事分担 配偶者と家事 育児を分担できているかで就業継続状況に違い 共働き世帯の育児 家事分担について 第一子出産時点で 妻の家事負担割合が全体の80% 以上と回答した割合は57.7% 妻の育児負担割合が全体の80% 以上と回答した割合は62.8% です 夫婦共働きであっても 家事および育児の大半を妻が担うという構図が一般的であることがわかります ( ) さらに 第一子出産後に 仕事と子育てが両立できずに仕事を離職した女性と 同じ職場で就業継続した女性を比べると 配偶者 ( 夫 ) による家事や育児の負 担状況に差がみられます ( ) 離職した女性の場合 妻による育児負担割合が全体の80% 以上と回答した割合は77.3% 妻による家事負担割合が全体の 80% 以上と回答した割合は86.4% です 同じ会社で就業継続した女性の場合 妻による育児負担割合が全体の80% 以上と回答した割合は56.1% 妻による家事負担割合が全体の80% 以上と回答した割合は44.5% です 離職をした後は家庭内での男女の役割分担が変わるため 女性の家事 育児の負担割合が高くなることは当然ではあるものの 就業継続した女性の配偶者 ( 夫 ) が 家事および育児ともに一定程度負担する傾 人事実務 2016 年 8 月号 43

特別寄稿 図表3 第一子出産後 就業継続した女性と離職した女性の家事 育児負担割合 同じ会社で就業継続 3.7% 56.1% 妻による育児負担割合 30.5% 9.8% 3.7% 44.5% 妻による家事負担割合 32.3% 19.5% 両立困難による離職 0.0% 77.3% 妻による育児負担割合 22.7% 0.0% 1.5% 妻による家事負担割合 86.4% 0% 全体の80 以上 10% 20% 30% 40% 全体の60 以上80 未満 10.6% 50% 60% 70% 80% 1.5% 90% 100% 全体の20 以上40 未満 全体の40 以上60 未満 注. サンプル数は 第一子出産後の両立困難による離職が66人 第一子出産後同じ会社で就業継続が164人である 図表4 労働価値観に関する質問に対する回答分布 就職活動時点 外的報酬に 対する欲求 13.5% 出世 昇進のために働くことが重要だ 終身雇用を前提とした組織に勤めることが重要だ 36.5% 11.0% より高い報酬を得るために働くことが重要だ 5.3% 給与の他諸手当 福利厚生含む 27.5% 26.7% 19.4% 25.4% 内的報酬に 対する欲求 3.2% 12.0% 21.8% 3.4% 9.1% 16.8% 自己成長のために働くことが重要だ 3.1% 興味 好奇心を追求し 喜びや充足感を得るために働く 13.7% 24.6% ことが重要だ ハードワークに 対する許容度合い 23.0% やりたい仕事であれば 体力的にきつくても仕方がない 8.8% 21.9% やりたい仕事であれば 精神的にきつくても仕方がない 10.5% 全くそう思わない そう思わない 13.0% 42.6% 20.4% 23.0% 47.7% 40.0% 25.5% 25.7% 40% どちらでもない そう思う 10.9% 37.3% 22.9% 20% 18.7% 32.9% 21.7% 10.3% 33.4% 60% 5.5% 10.5% 35.5% 自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ 0% 26.4% 26.8% やりたい仕事であれば 仕事以外の時間が削られても仕 7.7% 方がない 16.9% 7.4% 80% 100% 強くそう思う 注. サンプル数は 大学 大学院卒業後に大学 大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち 労働価値観に関する いずれかの質問において 当時のことは覚えてない と回答したサンプルを除いた1,204人である 向がみられることには特徴があるといえます 子どもをもつ妻の就業継続のためには 配偶者 夫 からの家事 育児の協力が必要であることが指 2 大卒女性の労働価値観とその変化 昇進意欲ややりがい ハードワークへの意識は ライフイベントを挟んでどう変わるのか 摘できます 女性活躍推進の阻害要因を考えるうえでは 育児等 44 人事実務 2016 年 8 月号

16.1% 外的報酬に対する欲求対する欲求内的報酬に対する許容度合ハードワーク図表 5 労働価値観に関する質問に対する回答分布 ( アンケート回答時点 ) 出世 昇進のために働くことが重要だ 終身雇用を前提とした組織に勤めることが重要だ 14.5% 12.1% 22.6% 33.3% 34.5% 34.1% 23.8% 2.1% 7.1% より高い報酬を得るために働くことが重要だ ( 給与の他諸手当 福利厚生含む ) 12.2% 5.0% 32.4% 41.9% 8.6% 自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ 自己成長のために働くことが重要だ 興味 好奇心を追求し 喜びや充足感を得るために働くことが重要だ 3.1% 6.5% 2.7% 6.8% 3.4% 7.9% 27.9% 28.4% 28.7% 49.5% 47.6% 47.3% 13.0% 14.5% 12.7% にやりたい仕事であれば 仕事以外の時間が削られても仕方がない やりたい仕事であれば 体力的にきつくても仕方がない やりたい仕事であれば 精神的にきつくても仕方がない い0% 20% 40% 60% 80% 100% 全くそう思わない そう思わない どちらでもない そう思う 強くそう思う 20.8% 22.3% 25.9% 29.7% 32.3% 34.0% 31.2% 28.6% 27.7% 2.4% 15.9% 2.2% 14.6% 1.8% 10.5% 注. サンプル数は 図表 4 と同じ 1,204 人である を行いながら就業継続を可能とするような環境の整備という物理的な問題と 仕事や職場にやりがいを感じられるという心理的な問題を考える必要があります 1 大卒女性の就業継続に与える影響 では 前者の物理的な問題に着目をしましたが 2 大卒女性の労働価値観とその変化 では 後者の心理的な問題について着目し 女性がもつ労働価値観の特徴とライフイベント等に伴う変化を取り上げます 1. 労働価値観の特徴 やりがい を重視する女性は多く 若いうちはハードワー クも許容 一般に 就業継続にあたっては 仕事に対する本人の考え方が影響すると考えられます 具体的には 働くことによって得られる便益 と 働くことに伴う費用 を天秤にかけ 便益が費用を上回れば就業を行うという意思決定が下されると考えられます ただし 便益 費用ともそのとらえ方は個人によって異なる主観的なものと考えられます 一方 働くことによって得られる便益 は 働くことによって得られる給与 所得や会社における安定的な地位の確保といった外的報酬と 仕事を通じて得られる自己成長や仕事そのものの面白さ 楽しさといった内的報酬に大別することができます 働くことに伴う費用 は 仕事をすることによってあきらめなければならない家族 プライベートの時間といった時間に関するものに加え 仕事によって負わなければならない精神的なストレスや肉体的な疲労といったものが含まれます これをまとめると 働くことに伴う費用 は ハードワークに対する許容度合いと言い換えることができます 就業継続に関する意思決定には 1 外的報酬に対する欲求 2 内的報酬に対する欲求 3 ハードワークに対する許容度合い の 3つにより構成される 労働価値観 が総合的に影響して考えられます なお アンケート調査結果 を用いて行った確認的因子分析の結果 * からも 就業をめぐる価値観として 前述の3つの共通因子が得られており 本稿では 1 ~3の3つを女性の労働価値観の特徴として考察しま * 日本総合研究所 東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果 (2015)P.19 人事実務 2016 年 8 月号 45

就職活動時職活動時点特別寄稿 図表 6 アンケート回答時点で管理職 ( 課長相当職以上 ) とそれ以外の労働価値観の比較 4.00 3.80 3.60 3.40 3.20 3.00 2.92 2.80 2.60 2.40 2.20 2.00 就3.09 2.99 2.98 回答時点アンケート3.90 4.00 3.66 3.64 就職活動時点回答時点アンケート3.45 3.10 点外的報酬への欲求内的報酬への欲求ハードワークに対する 3.10 回答時点アンケート2.42 管理職 非管理職 許容度合い 注 1. サンプルは 大学 大学院卒業後に大学 大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364 人のうち 労働価値観に関するいずれかの質問において 当時のことは覚えてない と回答したサンプルを除いた1,204 人から アンケート回答時点で無職と回答した318 人およびアンケート回答時点の役職が その他 と回答した35 人を除いた 851 人である なお851 人中 44 人が 課長相当以上の役職に就いていると回答している 2. グラフの値は 外的報酬に対する欲求 内的報酬に対する欲求 ハードワークに対する許容度合い に関係する各々 3 問の質問に対する回答結果を基に 全くそうは思わなかった ( 思っている ) を 1 強くそう思っていた( 思っている ) を 5 として それぞれ数値に置き換え 平均値を算出したものである したがって 当該平均値はそれぞれ 1 以上 5 以下の値である す 就職活動時点の労働価値観に関する質問に対する回答分布 ( ) をみると 外的報酬に対する欲求 に関して 出世 昇進といった役職に対する欲求は必ずしも強くなく 報酬等に対する欲求は強い傾向にあることがわかります 内的報酬に対する欲求 に関して 外的報酬に対する欲求と比べ 総じて強いことが特徴的です 自分の能力やスキルを発揮したいと考える専門家志向の女性や 仕事に伴う喜びや充足感に重きをおく女性が多いと考えられます ハードワークに対する許容度合い に関して ハードワークを許容できると考えている女性は許容できないと考えている女性よりも数が多く 若いうちは ある程度ワードワークを許容していることがわかります 出世 昇進といった役職に対する欲求は必ずしも強くないものの 仕事のやりがいを重視する女性は多いという結果だといえます 出世 昇進への志向が低いからといって 仕事の内容や責任範囲を限定したりしてしまうのではなく 女性がやりがいを感じ 能力を発揮できるような仕事や責任の与え方を検討する余地 があると指摘できます 2. 労働価値観の変化 結婚 出産を経て ハードワークはしにくくなるがやりがい に対する意欲は変わらず高いアンケート回答時点の労働価値観に関する質問に対する回答分布 ( ) は 就職時点 ( 図表 4) と比べると 多くの女性が 結婚 出産等のライフイベントを経験していることに留意して分析結果をみてみましょう 外的報酬に対する欲求 に関して 出世 昇進といった役職に対する欲求に変化はありませんが 報酬等に対する欲求はやや強くなることがわかります 内的報酬に対する欲求 に関して 大きな変化はなく 総じて強いことが特徴的です ライフイベントが生じても 仕事のやりがいを重視する女性は多いといえます ハードワークに対する許容度合い に関して アンケート回答時点では 大きく低下し ハードワークを許容できないと考える女性のほうが多くなっています これは 結婚 出産等で時間に制約ができ 46 人事実務 2016 年 8 月号

図表7 女性の登用に賛成する理由 女性の視点が入ることで 商品開発等イノベー ション創出につながる 53.1% 優秀な女性管理職が組織に増えれば 生産性や 売上の向上等につながる 38.3% 働いた時間ではなく成果で評価される人事制度 の導入が期待できる 32.8% コミュニケーションが活性化するなど職場の雰 囲気が良くなる 25.5% 長時間労働の改善など 労働時間の改善につな がる 23.9% 時間に制約のある働き方をする女性管理職が増 えれば 会社全体の業務改善 23.2% 在宅勤務の導入など時間や場所の面で柔軟な働 き方ができるようになる 15.9% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 注 サンプル数は 女性の登用について 非常に賛成している やや賛成している と回答した439人である る女性が増えることが理由として考えられます ハードワークに対する許容度合い については ハードワークが許容できなくても 仕事へのやりが 就職活動時点からアンケート回答時点にかけて低下す いを求める女性は多く存在します 働き方の改革等 る傾向がみられますが その低下幅は管理職の女性の ハードワークをしなくても成果を出せば評価をされる ほうが 非管理職の女性よりも小さくなっています ように配慮することが 子育て等で時間に制約のある 就職活動時点およびアンケート回答時点の両時点で 女性も含め 意欲のある女性の活躍促進につながる可 管理職の女性のほうが 非管理職の女性よりもハード 能性があることが指摘できます ワークを許容する傾向にあることがわかります 管理 さらに 就職時点とアンケート回答時点における 管理職の女性と非管理職の女性の労働価値観の比較 職に昇進するためには ハードワークを許容すること が前提となっている可能性があります 図表6 をみてみると 外的報酬に対する欲求 に 職場環境の長時間労働等を改善することで ハード ついては 就職活動時点およびアンケート回答時点の ワークは許容できない女性であっても 意欲の高い女 両時点で 管理職と非管理職でほとんど差がみられま 性の管理職登用の道を開き 女性の管理職の拡大につ せん 出世 昇進といった役職に対する欲求があるか なげていく可能性があることが指摘できます 否かが 管理職への昇進の決定要因ではない可能性が あります 内的報酬に対する欲求 については 就職活動時 3 男性管理職の意識の現状 男性管理職の女性活躍に対する意識は 点およびアンケート回答時点の両時点で 管理職の女 性と非管理職の女性の両者ともに 外的報酬に対する 女性に対する制度や支援等を手厚くしたところで 欲求 に比べて高くなっています さらに 管理職の 管理職の約9割を占める男性管理職の意識や行動が変 女性と非管理職の女性を比べると 管理職の女性のほ わらなければ 女性が活躍しやすい企業の風土づくり うが 非管理職の女性よりも当該欲求が高く 管理職 にはつながっていきません 第3章 男性管理職の意 への昇進の決定要因の1つになっている可能性があり 識の現状 では とくに 女性登用に賛成する男性管 ます 理職の意識の現状に着目します 人事実務 2016 年 8 月号 47

女性登用賛成派れた仕事を行うのは仕方がない全体特別寄稿 図表 8 組織で昇進をするための働き方に関する意識定時以降の労働について / 女性登用賛成派 全体 定時以降でも 上司から依頼された仕事を行うのは仕方がない 64.9% 35.1% 定時以降でも 会議へ出席するのは仕方がない 63.8% 36.2% そう思う 定時以降でも 上司から依頼さ 67.2% 32.8% そう思わない 定時以降でも 会議へ出席するのは仕方がない 64.0% 36.0% 0% 50% 100% 注. サンプル数は 全体 =516 人 女性登用賛成派 439 人が対象 そう思う どちらかといえばそう思う を そう思う に そう思わない どちらかといえばそう思わない を そう思わない として集計している 1. 女性登用の賛否 女性登用への理解は高いが アンケート調査結果 のなかで 男性管理職に対して 女性の登用に対する賛否を尋ねたところ 賛成する男性管理職は85.1% 反対する男性管理職は 14.9% で 約 9 割近くの男性管理職が女性の登用に賛成していることがわかっています 女性の登用に賛成する男性管理職に対して 女性の登用に賛成する理由を尋ねたところ 約半数の男性管理職が 女性の視点が入ることで 商品開発等イノベーション創出につながること をあげています ( ) 女性の登用について 男性管理職の理解は十分得られていると考えられます 2. 男性管理職の意識のギャップ 女性部下との仕事はやりづらい 残業は仕方がない 母 親は育児に専念すべき 根強く残る意識ギャップ アンケート調査結果 では 男性管理職に対して 1 女性部下との仕事の経験に対する印象 2 働き方に対する意識 3 男女の役割分担に関する固定的価値観への理解 を尋ねています 女性部下との仕事の経験に対する印象については 仕事をやりづらいと感じたことがある と回答した男性管理職は全体の64.9% に上っています 女性の登 用に賛成していると回答した男性管理職においても その傾向は変わりません さらに 女性の登用に賛成している男性管理職を対象に 女性部下との仕事がやりづらい理由を尋ねたところ セクハラやパワハラに必要以上に配慮しなければならない (57.5%) 男性部下と比べて女性部下とはコミュニケーションが取りづらい (29.3%) 時間に制約のある働き方をする女性部下には 仕事の公平な配分が難しい (26.1%) などがあげられています 男性管理職の意識の課題として 女性部下に対する苦手意識の克服が 1つ目の課題であることが指摘できます 組織で昇進をするための働き方に関しては 定時以降でも 上司から依頼された仕事を行うのは仕方がない 定時以降でも 会議へ出席するのは仕方がない と回答した割合は 全体の約 6 割に上り 女性の登用に賛成をしている男性管理職においても その傾向は変わりません ( ) 女性の活躍推進のためには 働きやすい職場環境の整備が重要な課題の1つですが 女性の登用に賛成している男性管理職でさえも 時間外労働を許容しているのが現状です 在宅勤務制度の導入や業務の生産性向上 強制的な退社の仕組み等を通じて 男性管理職の働き方を変えていくことが2つ目の課題であると指摘できます 男女の役割分担に関しては 子どもが3 歳くらい 48 人事実務 2016 年 8 月号

図表9 男女の役割分担に関する意識 女性登用賛成派 子どもが3歳くらいまでは 母親は仕 事を持たずに育児に専念すべきだ 子どもが小学生くらいまでは 母親は 仕事を持たずに子育てに専念すべきだ 育児 家事について 女性登用賛成派 全体 58.8% 41.0% 全体 子どもが3歳くらいまでは 母親は仕 事を持たずに育児に専念すべきだ 子どもが小学生くらいまでは 母親は 仕事を持たずに子育てに専念すべきだ 0% 41.2% 59.0% 61.6% 44.2% 20% そう思う 38.4% そう思わない 55.8% 40% 60% 80% 100% 注 サンプル数は 全体 516人 女性登用賛成派439人が対象 そう思う どちらかといえばそう思う を そう 思う に そう思わない どちらかといえばそう思わない を そう思わない として集計している までは母親は仕事を持たずに育児に専念すべきだ と 識と行動の変革に向けた現状の課題に着目しました 回答した割合は 全体の約6割に上り 女性の登用に 4課題の解消に向けて では それらの課題を踏ま 賛成をしている男性管理職においても その傾向は変 えた解決策を導き出します わりません 図表9 女性の活躍推進のためには 女性の家事 育児分担の負担軽減が課題であることを 1 就業継続の実現 1で述べました 男性管理職自身が意識を変え 子育 1からは 就業継続の実現に向けて ①働きやす てをしながら働き続ける女性部下 子どもをもつ男性 い環境の提供 ②女性の家事 育児負担の軽減といっ 部下に対して配慮を行うこと 男性管理職自身が 子 た大きくは2つの課題の解消が必要であることを指摘 どもをもつ父親であるならば 自身の家庭への参画を しました 積極的に果たすことが求められます 男女の役割分担 ①働きやすい環境の提供については 働く場所や時 に対する固定的価値観に対する理解を変えていくとい 間の柔軟度を高め 在宅勤務制度や 出社 退社時間 うことが3つ目の課題であると指摘できます を柔軟に選択して働ける制度 柔軟に休暇を取得でき ることなどがあげられます 女性の活躍推進法施行の 4 課題の解消に向けて 影響に伴い 制度の拡充等への関心は高まっていると 考えられますが 制度が整備されても それが特定の 1大卒女性の就業継続に与える影響 と 2大卒 事由 育児 介護 をもつ従業員に限定される ある 女性の労働価値観とその変化 では アンケート調 いは 職場の雰囲気から 男性は上司の目が気になっ 査結果 から 女性の活躍推進のための物理的 心理 て利用しづらいケースなども少なくありません 今後 的な問題に付随する課題に着目しました 3男性管 は すべての従業員が育児だけではなく 介護を担う 理職の意識の現状 では 男性管理職の意識に着目 可能性を考慮すれば 全従業員にとって働きやすい環 し 女性の活躍推進を進めるうえで 男性管理職の意 境づくりをいまから行っていくことが必要です 3 人事実務 2016 年 8 月号 49

特別寄稿 で述べたとおり 女性の登用に賛成をしている男性管理職自身が 旧態依然とした働き方を変えていないケースもあります 男性管理職に制度を率先して利用をしてもらうことも 組織の風土を変えることにつながると考えられます 2 女性の家事 育児負担の軽減については 男女ともに従業員を対象とした意識啓発活動 男性向けの家事能力向上に向けた研修機会の提供などがあげられます 1 働きやすい環境の提供を通じて 男性の育児 家事参画のための時間は確保しやすくなりますが 夫婦間の家事能力の差を埋めるのは 容易なことではありません 長い間 妻が多くの家事を行っていた家庭では 夫の家事能力は低い可能性があり 夫婦の分担を上手に行っていくためには 夫の家事能力の向上に向けた支援は必要だと考えます また 女性の登用に賛成している男性管理職であっても いまだに育児は母親が専念すべきと考える傾向があります 子育てをしながら働き続ける女性部下や 子どもをもつ男性部下が仕事と家庭の両立が気兼ねなくできるように 男性管理職の固定的価値観への理解を変えていくための意識啓発活動も必要だと考えます 2. 更なる活躍に向けて 2をとおして 女性の更なる活躍のためには 意欲のある女性に対する活躍の機会の提供が必要であることを指摘しました 多くの女性は 出世や昇進に対する欲求は低いものの 仕事にやりがいを求めており より責任ある仕事や職種等に挑戦できる機会を提供することが必要です 具体的な施策として ( コース別雇用管理制度を設けている企業であれば ) 意欲のある女性に対して職系変更の機会の提供 研修制度の充実や女性が積極的に参加しやすい環境づくり 責任ある仕事を任せることなどがあげられます 3で述べたとおり 女性の登用に賛成している男性管理職であっても 約 6 割が 女性部下との仕事をやりづらさを感じています 女性には活躍の機会を提供すると同時に 男性管理職に対しては 女性の部下を上手に育成するための研修の機会等も必要だと考えられます また 出産 結婚等に伴い 長時間労働等のハードワークを許容できる女性は減りますが 仕事にやりがいを求める女性の意欲に変わりはありません 現状では ハードワークを許容できる女性ほど 管理職に昇進する傾向が高い可能性があります 今後は 働く時間ではなく 成果で評価を行うことに重点をおくことで 意欲のある女性が能力を発揮でき 管理職候補の拡大につなげていくこともできると考えられます 女性の活躍推進のためには 結婚 出産等を経ても就業継続ができる環境の整備に加えて 仕事にやりがいをもてるような活躍の機会を提供することが重要です さらに 組織のなかで 具体的に施策を推進していくために 男性管理職の意識と行動の変革を促すことも必要です 変化には 必ず一部の従業員からの反発や抵抗を伴います しかし 女性の活躍推進に向けて 小さな変化を積み重ねていくことは 人事施策にとどまらず さまざまな変化を受け入れる柔軟な組織に導いていくはずです 小島明子 ( こじま あきこ ) ESG ESG ESG 50 人事実務 2016 年 8 月号