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KPMG Japan Tax Newsletter

タックスヘイブン対策税制 年度税制改正 -

税制改正大綱―外国子会社合算税制の見直し

新規文書1

KPMG Insight Vol.2_税務01

恒久的施設(PE)と外国子会社合算税制の見直し

労働基準法が改正されます

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

別紙 平成 30 年 1 月 ( 平成 30 年 8 月改定 ) 国税庁 平成 29 年度及び平成 30 年度改正外国子会社合算税制に関する Q&A 特定外国子会社等に係る所得の課税の特例 ( 外国子会社合算税制 ) については 平成 29 年度改正において 外国子会社の経済実態に即して課税すべき

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

第 5 章 N

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

?? TAX LAW NEWSLETTER 2017 年 1 月号 (Vol 合併号 1 ) 外国子会社合算税制 ( タックスヘイブン対策税制 ) の総合的見直し < 平成 29 年度税制改正大綱 > Ⅰ. はじめに Ⅱ. 外国子会社合算税制とは Ⅲ. 本改正案の概要 1. 合算対象とさ

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新設 ( 大法人により発行済株式等の全部を保有される場合の適用対象金額の計算 ) 66 の 6-10 の 2 措置法令第 39 条の 15 第 1 項第 1 号の規定により特定外国子会社等の適用対象金額につき本邦法令の規定の例に準じて計算するに当たり 特定外国子会社等の発行済株式等の全部を直接又は間

外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) の改正と今後の海外投資 M&A に与える影響 PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー山岸哲也 はじめに 2016 年 12 月 22 日に閣議決定された 2017( 平成 29) 年度税制改正の大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱

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東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

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シティジャパン 租税条約等の実施に伴う所得税法 法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づく届出書 ( 事業体のお客様用 ) 手順 本届出書にご記入いただく前に 以下の手順を注意深くお読みください 共通報告基準 (CRS:Common Reporting Standard) が採用されている国に

24年度税制改正(案)の解説

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税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

税が課税される所得を生み出す事業活動に使われているか否かを基準に損金算入規制を設けていると考えられます 株式などの出資の取得のために資金を使った場合, 株式から生じる配当やキャピタルゲインは資本参加免税により非課税となります このケースでは, オランダでの課税所得を生じないことが想定されるため, 出

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

「恒久的施設」(PE)から除外する独立代理人の要件

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

上場株式等の配当等に対する課税

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

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6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

目次 Ⅰ タックス ヘイブン対策税制の概要 3 Ⅱ 非課税所得の範囲 連結納税を適用している場合の取扱い 1 非課税所得の範囲 2 連結納税を適用している場合の租税負担割合の算定方法 Ⅲ 各国の事例に基づく検討 1 米国 ( 現物分配 連結納税 LLC) 2 英国 ( グループリリーフ ) 3 ドイ

3 減免の期間及び割合 下表の左欄の期間に終了する事業年度又は課税期間に応じて右欄の減免割合を適用します H27.6.1~H 減免割合 5/6 納付割合 1/6 H28.6.1~H 減免割合 4/6 納付割合 2/6 H29.6.1~H 減免割合 3/6 納

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成 30 年度改正版 平成 30 年 6 月 1 日から平成 31(2019) 年 5 月 31 日までの間に終了する事業年度に ついては 減免割合が 2/6 に変更となりましたので 30 年度改正版をご使用くださ 1 減免の対象 ( 変更はありません ) 詳細は次ページをご覧ください 1 資本金

( 外国 ) 同上 ケース ( ) 相続人が取得した全 2 財産に対して課税 ( 外国 ) 国内財産に対しての み課税 ケース ( ) 相続人が取得した全 3 財産に対して課税 ( 外国 ) 同上 ( 平成 25 年度税制改正より ) ケース ( ) 被相続人 相続人いず 4 れも 5 年超居住の場


海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

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海運関係事項

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

平成16年版 真島のわかる社労士

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国外転出時課税制度(出国税)の導入

外国税額控除 この取り扱いは 平成 21 年度税制改正の 海外子会社の配当の益金不算入制度 ( 法法 23 条の 2) により廃止されました 原則として 平成 21 年 4 月 1 日以降に開始する親会社の事業年度から適用されます ( 附則 6) ただし 租税負担率 25% 以下の軽課税国に所在する

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第5回税制調査会 総5-4

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085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

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実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

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各位 2019 年 2 月 21 日 インフラファンド発行者名 東京インフラ エネルギー投資法人 代表者名 執行役員 杉本啓二 ( コード番号 9285) 管理会社名 東京インフラアセットマネジメント株式会社 代表者名 代表取締役社長 杉本啓二 問合せ先 管理本部長 真山秀睦 (TEL: 03-65

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~ タックスヘイブン対策税制の範囲拡大について ~ 平成 29 年度税制改正により タックスヘイブン対策税制 ( 外国子会社合算税制 ) に関して改正が加 えられました 本ファームニュースでは平成 29 年度改正により改正により本税制の適用本税制の適用判定判定対象に加わることと なった 特定外国関係会社 の概念についてご説明いたします タックスヘイブン ( 租税回避地 ) とは 香港やシンガポール カリブ海のケイマン諸島など 日本の法定実効税率 ( 約 30%) に比べて著しく低い税率の国や地域をいい これらは日本の税務当局の調査や規制が届かないことが多いことから 日本国内の企業や富裕層の課税逃れの手段として利用されていることが問題となってきました そこで これらの国や地域に租税回避のため設立された外国関係会社 ( 1) の所得を日本の居住者や国内法人の収益とみなして日本国内で課税しようとしたのがタックスヘイブン対策税制です 平成 29 年度改正前は 租税負担割合 ( 2) が 20% 未満の国に所在する外国関係会社が一律に本税制の適用判定対象とされていました この 20% という税率は トリガー税率 と呼ばれ 20% 未満の国に所在する法人は例え実際に事業を行っている場合でもタックスヘイブン対策税制の適用対象となる可能性がある一方 20% 以上であれば実体のないペーパーカンパニー等であっても適用の対象外とされることなり制度の趣旨から問題がありました 平成 29 年度改正では外国関係会社のうち次のような租税回避リスクが高い会社を特定外国関係会 社として定義し その本店所在地国の租税負担割合が 20% 以上となる場合であっても 30% 未満の場合 には本税制の適用対象とされることになりました ( 措法 66 条の 62 二 ) ペーパーカンパニー 事実上のキャッシュボックス ブラックリスト国所在外国関係会社 なお 本税制による納税義務があるのは外国関係会社の 10% 以上の持分を保有している 又は外国関係会社との間に実質支配関係 ( 3) がある内国法人又は居住者などとなります また 上記に該当しない外国関係会社 ( 特定外国関係会社以外の外国関係会社 ) については経済活動基準等によって適用の有無を判定していくことになりますが 本ファームニュースでは割愛させて頂きます

ペーパーカンパニーとは次のいずれにも該当しない外国関係会社を言います (2) 実体基準主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有している (2) 管理支配基準その本店所在地国において その事業の管理 支配等を自ら行っている < 例 1> 内国法人であるP 社が国外において事業を行うA 社の管理を目的として F 国 ( 租税負担割合 25%) に A 社を子会社とするS 社を設立しており S 社がA 社の管理のための事務所を賃借し 同社の役員がその事務所を使ってA 社の管理業務を行っている場合 株式 10% P 社 以上保有 S 社 A 社 事務所賃借 管理業務 この場合には S 社の主たる事業は A 社の管理ということとなり そのための固定施設を有してい ると考えられ実体基準に該当するため 例え S 社の資産が A 社の株式のみだったとしてもペーパ ーカンパニーに該当しないこととなります

< 例 2> < 例 1> における S 社が F 国において工業所有権を保有するだけの会社であり その工業所有権に 係る使用料が銀行口座に振り込まれているだけの状況で S 社が事務所を賃借している場合 株式 10% P 社 以上保有 S 社 工業所有権に係る使用料の受け取り 事務所賃借 この場合には S 社の主たる事業は工業所有権の保有であり 借りている事務所は主たる事業に必要のないものと考えられることから 実体基準に該当しないこととなります さらに S 社が P 社の事業計画に従って工業所有権を保有しているなど P 社から独立して事業を執行していないと認められる場合には管理支配基準にも該当しないこととなるため S 社はペーパーカンパニーに該当し P 社にタックスヘイブン対策税制が適用されることになります 事実上のキャッシュボックスとは 総資産の額に対する受取配当や受取利子などの受動的所得の割合が30% を超える会社をいいます このような会社は自ら事業を行いリスクを管理するのに必要な機能がほとんどないといえることからペーパーカンパニーと同様に特定外国関係会社に該当することになります

ただし セーフハーバー ( 4) として下記の算式によって求められる割合が 50% 超となる会社に限 ると規定されています 資産の額として貸借対照表に計上されている有価証券 + 貸付金 + 固定資産 ( 貸付の用に供しているもの ) + 無形資産等 貸借対照表に計上されている総資産額の帳簿価額 つまり 上記の算式で求められる割合が 50% 超となり かつ 受動的所得の総資産に占める割合が 30% 超となる という 2 つの基準を満たす場合にキャッシュボックスと呼ばれる会社に該当することと なります 租税に関する情報交換に関する国際的な取り組みへの協力が著しく不十分な国または地域に本店等を有する法人をブラックリスト国所在外国関係会社といい特定外国関係会社に該当することとなります なお該当する国または地域については財務大臣により指定され告示されるものとされています ( 1) 外国関係会社 居住者 内国法人等が発行済株式等の 50% 超を直接及び間接的に保有している外国法人 ( 措法 66 条の 6 2 一 ) ( 2) 租税負担割合 外国関係会社の各事業年度の所得に対して課される租税の額を その所得の金額で除して計算した割合 ( 措法令 39 の 17 の 2) ( 3) 実質支配関係 居住者又は内国法人 ( 居住者等 ) が外国法人の残余財産のおおむね全部を請求する権利を有する場合における当該居住者等と当該外国法人との間の関係その他政令で定める関係 ( 措法 66 条の 6 2 五 ) ( 4) セーフハーバー あらかじめ定められた一定のルールのもとで行動する限り 違法ないし違にならないとされる範囲をいいます 包括的に定められた規制に対して この範囲で行動する限り適法となるという一定の基準として示されるものになります

平成 29 年度税制改正によって租税負担割合が 20% 以上となる国に所在する会社についても その実態に応じてタックスヘイブン対策税制の対象に含まれることとなりました これに伴い税務当局員はペーパーカンパニーの要件である実体基準と管理支配基準に該当するかの判定のため その該当性をしめす資料の提供を求めることができることとなりました この資料を期限までに提出できなかった場合 当該基準に該当しないと推定されペーパーカンパニーとみなされる可能性がありますので注意が必要です ( 措法 66 の 63) 本紙に関するお問合せ 税務に関するご相談等は 下記までご連絡くださいませ 税理士法人 EOS 東京都港区西新橋 1-2-9 日比谷セントラルビル 5 階 TEL: 03-4577-1806 FAX: 03-4577-1898 E-mail: accounting@epcs.co.jp http://www.epcs.co.jp