外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) の改正と今後の海外投資 M&A に与える影響 PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー山岸哲也 はじめに 2016 年 12 月 22 日に閣議決定された 2017( 平成 29) 年度税制改正の大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱

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1 PwC s View 特集 : 組織再編税制等に関する税制改正 Vol. 8 May

2 外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) の改正と今後の海外投資 M&A に与える影響 PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー山岸哲也 はじめに 2016 年 12 月 22 日に閣議決定された 2017( 平成 29) 年度税制改正の大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱 ) では 外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) について 外国子会社の経済実態に即して課税すべき との BEPSプロジェクトの基本的考え方を踏まえ 経済実体がない いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で 実体ある事業からの所得であれば 子会社の税負担率にかかわらず合算対象外とする趣旨の改正が入ることが予定されています 今回の改正はBEPS 対応の一環としての大規模な改正となっており今後の日系企業における税務コンプライアンス対応もさることながら今後の海外投資や M& Aに大きな影響を及ぼす改正と考えられます 本稿では 今回の改正の概要と日系企業による海外投資ストラクチャーに及ぼす影響について概括的に解説します 1 改正の概要 2017 年度税制改正大綱では 以下に列挙する改正が予定されています ( 図表 1-1 図表 1-2を参照 ) 適用時期としては 外国関係会社の2018( 平成 30) 年 4 月 1 日以降に開始する事業年度から適用されるものとされています 合算課税の枠組みとして 1 会社単位の合算課税 ( 従前どおり ) 2 受動的所得の部分合算課税 ( 資産性所得の部分合算課税を拡充 ) 3 特定外国関係会社に係る会社単位の合算課税 ( 新設 ) の 3つの合算課税を規定する 外国関係会社の判定について 持株割合の計算方法を見直すとともに経済実質基準等を導入する また これまで特定外国子会社の判定にあたって適用されていたいわゆるトリガー税率を廃止する ペーパーカンパニーやキャッシュボックス 情報交換協定のない国等に所在する外国関係会社 ( 特定外国関係会社 ) に対する会社単位の合算課税制度を新設する 現行の適用除外基準を より企業の事業実態を考慮した 経済活動基準 に改組する 部分合算対象所得について 現行の資産性所得に比して対象所得をより拡充するとともに詳細に区分し 新たな部分合算対象金額の算定方法を規定する 納税者の事務負担軽減に配慮し 上記 1~3の適用においては 外国関係会社の居住地国における租税負担割合に基づく適用免除基準を設けるとともに 少額免除基準等に係る確定申告書への添付要件を廃止する (1) 合算課税の枠組みの改組 現行法と改正法における合算課税の枠組みは 図表 2に示すとおりとなります (2) 外国関係会社の判定 1 間接保有割合の算定方法の変更現行法では 外国関係会社の判定上 間接保有割合の算 14 PwC s View Vol. 08. May 2017

3 止)図表 1-1: 外国子会社合算税制 : 現行制度 資産性所得の合算課税受動的所得の合算課税1 算課税特集 : 組織再編税制等に関する税制改正 居住者又は内国法人 同族株主グループ 居住者又は内国法人 特殊関係者 ( 個人 法人 ) イ直接及び間接の保有割合が 10% 以上である居住者 内国法人株主ロ直接及び間接の保有割合が 10% 以上である同族株主グループに属する居住者 内国法人株主 図表 1-2: 外国子会社合算税制 : 改正の概要 居住者 内国法人等が合計で50 %超を直接及び間接に保有外国関係会社制度の対象外特定外国子会社等会社単位の合算課税所在する外国関係会社 納税義務者の範囲 租税負担割合が20 %未満の国に( 事業形態の変化への対応 ) 適用除外判定 次のすべての要件を満たす 1 事業基準主たる事業が株式の保有等でないこと ( 被統括会社の株式保有を主たる事業とする統括会社は除外 ) 2 実体基準本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること 3 管理支配基準本店所在地国において事業の管理 支配及び運営を自ら行っていること 4 所在地国基準 ( 下記以外の業種 ) 主として所在地国で事業を行っていること非関連者基準 ( 卸売業など 7 業種 ) 主として関連者 (50% 超出資 ) 以外の者と取引を行っていること ( 卸売業を主たる事業とする統括会社と取引する被統括会社を除く ) 経済活動基準 満たさない すべて満たす 3(事租会A 事業基準務税社主たる事業が株式の保有 IPの提供 船舶 航空機リース 全てを負負単担位等でないこと満たす担の軽割 減合の判(措定1一定の要件を満たす航空機リース会社を除く外B 実体基準置ト国本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること)リ関ガ係ーC 管理支配基準税会本店所在地国において事業の管理 支配及び運営を自ら 3率社行っていること(租会の事社いずれかを務税廃負単D 所在地国基準 ( 下記以外の業種 ) 満たさない負担担位主として所在地国で事業を行っていること割の軽5 製造子会社に係る判定方法の整備減合の判非関連者基準 ( 卸売業 保険業など 7 業種 ) 措定主として関連者以外の者と取引を行っていること置保)6 関連者取引の判定方法の整備)有2 ペーパーカンパニー / 事実上のキャッシュボックス / ブラックリスト国所在のもの 合算課税適用除外資産性所得あり 資産性所得なし 実体ある事業からの所得であれば合算対象外とし 経済実体がない受動的所得であれば合算対象とする 居住者又は内国法人 同族株主グループ 居住者又は内国法人 特殊関係者 ( 個人 法人 ) 20% 未満 20% 未満 30% 未満 なし3 2 居住者 内国法人等が合計で50 %超を直接及び間接に(4実質支配基準の導入と持株割合の計算方法の見直し( 少対象所得の範囲設定)額免除あり会社単位の合 定においては資本関係の連鎖の中でそれぞれの持分比率 を乗じて求めていました 改正法では 内国法人等が 50% 超の株式等を保有する外国法人が有する判定対象の外国 法人に対する持分割合に基づいて算定することとなります ( 図表 3 参照 ) 例えば 図表 4 に示すとおり 現行法では外国法人と 50: PwC s View Vol. 08. May

4 図表 2: 現行法と改正法における合算課税の枠組みの比較 外国関係会社の租税負担割合 特定外国関係会社 ( ペーパーカンパニー等 ) の該当性 適用除外基準または経済活動基準の充足性 現行法 改正法 30% 以上 - - 合算課税なし 合算課税なし 20% 以上 30% 未満 該当する - 合算課税なし 会社単位の合算課税あり 該当しない - 合算課税なし 合算課税なし 20% 未満 - 充足する 資産性所得の部分合算課税あり 受動的所得の部分合算課税あり - 充足しない 会社単位の合算課税あり 会社単位の合算課税あり 図表 3: 外国関係会社の判定方法の変更 図表 4:50:50 の JV における外国関係会社の判定 P 社日本海外 80% S1 社 60% < 間接保有割合の判定 > 現行法 :80%(P 社 S1 社 ) 60%(S1 社 S2 社 )= 48% 外国関係会社に該当しない改正法 :60%(P 社とS1 社の間に50% 超の支配関係があることから S1 社のS2 社に対する持分割合で判定する ) 外国関係会社に該当する 日本海外 50% P1 社 X 社 1% P2 社 ( 上場 ) 50% 99% 他の株主 S2 社 S 社 50で組成していた外国でのジョイントベンチャー (JV) がそのJVパートナーである外国法人 ( 例えば外国上場企業 ) の株主に一人でも日本居住者や内国法人が存在するとその JVは外国関係会社と認定されてしまい租税負担割合が 20% 未満であると特定外国子会社として合算課税されるといった事態が生じておりました 本改正により こうした合算課税がなくなるため日系企業が海外上場企業でJVを組成する際の外国子会社合算税制上の懸念点が解消される改正と考えられます 2 実質支配基準の導入改正法では 新たに実質支配基準が導入されることとなっており 内国法人等との間に実質支配関係がある外国法人は外国関係会社に該当することとされています ここでいう 実質支配関係 とは 内国法人等が外国法人の残余財産のおおむね全部を請求する権利を有している場合における内国法人等と当該外国法人との間の関係その他政令で定める関係をいうとされています より詳細は政省令が出ないとわかりませんが これまでにない企業の支配の実態を重んじる新しい考え方ですので 今後のジョイントベンチャー等に係る外国関係会社の判定においては注意する必要があります (3) 特定外国関係会社に対する会社単位の合算課税の創設本改正において いわゆるペーパーカンパニー キャッ < 間接保有割合の判定 > 現行法 :50%(P1 社 S 社 ) 0.5% (=X 社 P2 社 1% P2 社 S 社 50%)= 50.5% 外国関係会社に該当する改正法 :50%(X 社とP2 社の間に50% 超の支配関係がないことから P2 社のS 社に対する持分割合は考慮しない ) 外国関係会社に該当しない シュボックス ブラックリスト カンパニーに該当する外国関係会社を 特定外国関係会社 と定義し ( 図表 5 参照 ) 特定外国関係会社については所得の内容いかんにかかわらず会社単位の合算課税の適用対象とされることとなりました ただし 企業の事務負担の軽減のため 当該事業年度における租税負担割合が 30% 以上である場合には合算課税は免除されることとされています なお ペーパーカンパニーについて 税務当局が図表 5に記載する ( イ ) 又は ( ロ ) の要件を明らかにする書類等の提出等を求めた場合に納税者がその提出期限までに提出しないときは その外国関係会社は ( イ ) 又は ( ロ ) の要件を満たさないものと推定されることになる点留意が必要です また 理論上 上記 ( イ ) 又は ( ロ ) のいずれかの要件を満たしさえすれば ペーパーカンパニーに該当しないわけですが 例えば単純にその国で事務所を借りていたら従業員が存在しなくても上記 ( イ ) の要件を充足できると考えてよいのか等 実務上明確なところが多いため慎重に検討するとともに実務上の蓄積が待たれるところです 16 PwC s View Vol. 08. May 2017

5 図表 5 特定外国関係会社 ペーパーカンパニー キャッシュボックス ブラックリスト カンパニー (4) 経済活動基準の導入 ( 現行法における適用除外基準を 衣替え ) 定義 要件 次のいずれの要件も満たさない外国関係会社 ( イ ) その主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有していること ( ロ ) その本店所在地国においてその事業の管理 支配及び運営を自ら行っていること のいずれの要件も満たさない外国関係会社 次の 2 つの基準を充足する外国関係会社 < 外国金融子会社以外の外国関係会社の場合 > 図表 7-1に記載する1から10 までの受動的所得の合計額 > 30% 総資産の額 有価証券 貸付金及び無形固定資産等の合計額の額総資産の額 > 50% < 外国金融子会社に該当する外国関係会社 > 図表 7-2に記載する12 の受動的所得または 8から10 の合計額のうちいずれか大きい方 > 30% 総資産の額 有価証券 貸付金及び無形固定資産等の合計額の額総資産の額 > 50% 租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店等を有する外国関係会社 上記で説明したペーパーカンパニー等の特定外国関係会 社を除く外国関係会社については 会社単位の合算課税と対象となる 対象外国関係会社 となるのかもしくは受動的所得の部分合算課税の対象となる 部分対象外国関係会社 となるのかを判定する上で経済活動基準を充足できるかどうか検討する必要があります ここでいう経済活動基準とは より企業の事業実態を考慮すべく従来の適用除外基準に以下の一定の見直しを加えたものとなります ( 図表 6 参照 ) 改正法では 企業の事業実態に即した課税となるように 本店所在地国において主体的に航空機リース事業を行っている場合には事業基準を満たすものとされるとともに これまでの所在地国基準ではなく新たに非関連者基準の適用対象事業と整理することでリース対象となる航空機そのものが本店所在地国以外に所在していたとしても取引の過半が関連者以外の者との取引であれば経済活動基準を満たすものとされています 現行法ではアイルランドで航空機リース事業を行う外国法人は適用除外基準を充足できず合算課税の対象となっているケースが多くありましたが これらの手当てにより事業実態のある航空機リース事業を営む外国関係会社は合算課税の対象から除外されることとなると考えられます また 所在地国基準についても企業の事業実体に即した課税となるように改正され これまで合算課税の対象とされていた来料加工を営む香港法人等についても今後は所在地国基準を満たすものとされる予定です なお 上述した特定外国関係会社と同様に 税務当局の職員が外国関係会社が経済活動基準を満たすことを明らかにする書類等の提出等を求めた場合に 納税者がその提出期限までに提出しないときには その外国関係会社は経済活動基準を満たさないものと推定されることとされておりますのでやはり留意が必要です 図表 6: 経済活動基準の概案 要件内容改正内容 事業基準 実体基準 管理支配基準 株式もしくは債券の保有 工業所有権等もしくは著作権等の提供または船舶 航空機の貸付けを主たる事業とするものでないこと 主たる事業に必要な事務所 店舗 工場等の固定施設を本店所在地に有していること 本店所在地国においてその事業の管理 支配を自ら行っていること 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社について 例外的にその役員または使用人がその本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることその他の政令で定める要件を満たすものは事業基準を満たす 保険業を営む一定の外国関係会社 ( 保険委託者 ) からその免許の申請等の際に保険業に関する業務を委託するものとして申請等をされた者で一定の要件を満たす者 ( 保険受託者 ) が実体基準又は管理支配基準を満たしている場合には その外国関係会社 ( 保険委託者 ) は実体基準または管理支配基準を満たす 非関連者基準 ( 卸売業 銀行業 信託業 証券業 保険業 水運航空運送業 航空機貸付け業 ) 取引 ( 売上または仕入 ) の過半を関連者以外の者と行っていること ( イ ) 非関連者との間で行う取引対象資産 役務提供が 関連者に移転又は提供されることがあらかじめ定まっている場合にはその非関連者との間の取引は 関連者との間で行われたものとみなす ( ロ ) 保険委託者と保険受託者の間で行う取引は関連者取引に該当しないものとする ( ハ ) 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社については 非関連者基準を適用する 所在地国基準 ( 上記以外の事業 ) その事業を主としてその本店所在地国において行っていること 製造業を主たる事業とする外国関係会社のうち 本店所在地国において製造に主体的に関与していると認められるものは所在地国基準を満たす PwC s View Vol. 08. May

6 (5) 会社単位の合算課税に係る適用対象金額の計算に関する特例 ( 資源投資法人の例外 ) 会社単位の合算課税に係る適用対象金額の計算については大きな改正が予定されていませんが 資源投資法人に関して 1 点改正が入ることが予定されております 現行法においても改正法においても保有割合が 25% 以上の株式に係る受取配当は適用対象金額の計算上除外することが認められています しかしながら 資源関連の投資において25% 以上を投資するケースが稀である実態に鑑みて 主たる事業が化石燃料 ( 原油 石油ガス 可燃性天然ガスまたは石炭 ) を採取する事業である外国法人で日本と租税条約を締結する国に化石燃料を採取する場所を有するものは その持株割合要件を10% 以上に引き下げられることとなりました (6) 受動的所得に対する部分合算課税 1 受動的所得の範囲現行法においても適用除外基準を充足する特定外国子会社については資産性所得の部分合算課税制度の対象とされていますが 改正法では部分対象外国関係会社を 外国金融子会社等 と 外国金融子会社等以外の子会社 に区分した上で その区分ごとに部分合算課税の対象となる受動的所得を規定しています 具体的には それぞれ図表 7-1 図表 7-2に記載のとおりですが 改正法における受動的所得 の範囲は現行の資産性所得の範囲に比べて大幅に拡充されています ここでいう 外国金融子会社等 とは 本店所在地国の法令に準拠して銀行業 金融商品取引業又は保険業を営む外国関係会社で 本店所在地国においてその役員または使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすものをいいます 2 部分合算課税に係る部分適用対象金額の計算部分合算課税に係る部分適用対象金額の計算は 図表 8 に記載するとおりです 金融子会社以外の外国関係会社に係る部分適用対象金額の計算においては 図表 8に記載する ( イ ) と ( ロ ) で損益通算が認められない点に留意が必要です 例えば ある事業年度に多額の有価証券の譲渡損 ( 図表 8( ロ ) がマイナス ) が生じたとしても当該事業年度に稼得した利子や配当等 ( 図表 8( イ ) がプラス ) とは相殺できず その利子や配当等は全額部分合算課税の対象となります ただし 図表 8( ロ ) に掲げる金額がマイナスとなる場合には部分適用対象金額の計算上欠損金として 7 年間繰り越すことが認められることとなり 将来年度において図表 8( ロ ) の所得が生じる場合に相殺できる手当てがなされています 金融子会社についても同様の措置が手当てされています ( 図表 8( 二 ) の計算上損益 図表 7-1: 外国金融子会社等以外の部分対象外国関係会社に係る受動的所得 1 2 所得の種類 剰余金の配当等 受取利子等 除外項目等 持分割合 25% 以上等の要件を満たす法人 ( 資源投資法人の場合には持分割合 10% 以上等の要件を満たす外国法人 ) から受ける配当等は除く 金銭の貸付けが主たる事業でありかつ業務実体がある場合や通常の業務の過程で生じる預金利子等は除く 3 有価証券の貸付けの対価 - 4 有価証券の譲渡損益 持分割合 25% 以上等の要件を満たす法人の株式等に係る譲渡損益は除く 5 デリバティブ取引損益 デリバティブ取引を業として行う場合でかつ業務実体がある場合等は除く 6 外国為替差損益 通常の業務の過程で生じる外国為替差損益等は除く 上記 1 から 6 までに掲げる所得を生ずべき資産から生ずるこれらの所得に類する所得 固定資産の貸付けの対価 無形資産等の使用料 無形資産等の譲渡損益 外国関係会社の当該事業年度の利益の額から上記 1 から 10 までに掲げる所得種類の所得の金額 ( 除外項目を考慮しない ) 及び所得控除額を控除した残額に相当する所得 - 本店所在地国で使用に供される固定資産の貸付け 本店所在地国にある不動産等の貸付け及び固定資産の貸付けに係る業務実体がある場合等は除く 自己開発した無形資産及び相当の対価を支払って取得しまたは使用許諾された無形資産で事業の用に供しているものは除く 自己開発した無形資産及び相当の対価を支払って取得しまたは使用許諾された無形資産で事業の用に供しているものは除く 所得控除額 = その外国関係会社の総資産額 減価償却累計額及び人件費の額の合計額に 50% を乗じた額 18 PwC s View Vol. 08. May 2017

7 図表 7-2: 外国金融子会社等に係る受動的所得 所得の種類 除外項目 8 有形固定資産の貸付けの対価有形固定資産の貸付けに係る業務実体がある場合等は除く 無形資産等の使用料 無形資産等の譲渡損益 外国関係会社の当該事業年度の利益の額から上記 1 から 10 までに掲げる所得種類の所得の金額 ( 除外項目を考慮しない ) 及び所得控除額を控除した残額に相当する所得 自己開発した無形資産及び相当の対価を支払って取得しまたは使用許諾された無形資産で事業の用に供しているものは除く 自己開発した無形資産及び相当の対価を支払って取得しまたは使用許諾された無形資産で事業の用に供しているものは除く 所得控除額 = その外国関係会社の総資産額 減価償却累計額及び人件費の額の合計額に 50% を乗じた額 12 金融子会社等の異常な水準の資本に係る所得 - 図表 8: 部分合算課税に係る部分適用対象金額の計算 外国関係会社 外国金融子会社等以外の部分対象外国関係会社 外国金融子会社等 部分適用対象金額 当該事業年度の次に掲げる金額の合計額 ( イ ) 配当等 利子 有価証券の貸付の対価 有形固定資産の貸付の対価 無形資産等の使用料 及び図表 7-1 に記載する 11 に掲げる所得の金額の合計額 ( ロ ) 有価証券の譲渡損益 デリバティブ取引損益 外国為替差損益 無形資産の譲渡損益 図表 7-1 に記載する 7 に掲げる所得の金額の合計額 ( 当該合計額が零を下回る場合には 零 ) 当該事業年度の次に掲げる金額のうちいずれか大きい額 ( ハ ) 金融子会社等の異常な水準の資本に係る所得 ( ニ ) 有形固定資産の貸付けの対価 無形資産等の使用料 図表 7-2 に記載する 11 に掲げる所得の金額並びに無形資産の譲渡損益 ( 当該合計額が零を下回る場合には 零 ) の合計額 通算ができない ) なお 納税者の事務負担を軽減する目的から 外国関係会社の租税負担割合が 20% 以上であれば この受動的所得に係る部分合算課税の適用は免除されることとされています また これまでの部分合算課税に係る少額免除基準が現行の1,000 万円から2,000 万円に引き上げられるとともに 少額免除基準を満たす旨を記載した書面の確定申告書への添付要件及びその適用があることを明らかにする資料等の保存要件を廃止しています (7) 適用免除基準としての租税負担割合 ( 現行法における特定外国子会社判定に係る租税負担割合と同様 ) 現行法では租税負担割合が20% 未満の外国関係会社に加えて そもそも法人所得税がない国に所在している外国関係会社はその租税負担割合の多寡にかかわらず特定外国子会社として取り扱われて会社単位の合算課税の適用対象とされています この点 現地国の規制等 事業上の理由からその現地国に法人を設置できず やむなくケイマンやバミューダのように会社法制が緩やかな軽課税国に法人を設置してその支店として現地国で事業を遂行するケースも実務上ありました こうしたストラクチャーにおいて当該外国法人の支店で税金負担している実態があるにもかかわらず ( 租税負担割合が 20% 以上 ) 合算課税されるのは不合理であるとの声もあり 改正法では法人税がない国に所在する 外国関係会社を合算対象とする旨の規定は削除されて 租税負担割合による判定が20% 以上であれば合算課税の適用が免除される規定に一本化されることが予定されています 2 本改正による潜在的な影響及びその対応 本改正が日系企業に与える潜在的な影響と考えられる対応は以下のとおりです (1) 外国関係会社の判定方法の変更外国関係会社の判定方法が変更となることにより これまで適用対象となっていた外国関係会社が適用対象でなくなる あるいは 逆に実質支配基準等の適用により新たに対象となることが見込まれます 従って 自社グループの外国子会社の持分比率や支配の状況等を把握して本改正後に適用対象となる外国関係会社を分析 把握することが必要となります (2) ペーパーカンパニーの該当性 ( オランダ等 ) と海外投資ストラクチャーの見直し現行法では たとえペーパーカンパニーであっても租税負担割合が 20% 以上であれば会社単位の合算課税も資産性 PwC s View Vol. 08. May

8 図表 9: オランダ経由間接投資ストラクチャーへの影響 P 社 S1 社は実体基準及び管理支配基準を満たさない持株会社であり かつ S2 社からの配当収入のみ有すると仮定 P 社 S1 社は実体基準及び管理支配基準を満たさない持株会社であり かつ S2 社からの配当収入のみ有すると仮定 日本オランダ 100% S1 社 ( オランダ ) 1 現行法 :S1 社の租税負担割合は 25%( オランダ法定税率 ) となるため 特定外国子会社に該当しない 会社単位の合算課税なし 日本オランダ 100% S1 社 ( オランダ ) 1 現行法 :S1 社の租税負担割合は 25%( オランダ法定税率 ) となるため 特定外国子会社に該当しない 会社単位の合算課税なし X 国 S2 社 (X 国 ) 25% 2 改正法 :S1 社の租税負担割合が 25%( オランダ法定税率 ) となることには変わりはないが 特定外国関係会社 ( ペーパーカンパニー ) となる 会社単位の合算課税あり ただし S2 社からの配当が適用対象金額計算上除外されるため ( 持分割合が 25% 以上であるため ) 実質的に合算所得は生じない X 国 S2 社 (X 国 ) <25% 2 改正法 :S1 社の租税負担割合が 25%( オランダ法定税率 ) となることには変わりはないが 特定外国関係会社 ( ペーパーカンパニー ) となる 会社単位の合算課税あり かつ S2 社からの配当が合算対象となる ( 持分割合が 25% 未満であるため ) 所得に係る部分合算課税の適用もありません 一方 改正後は租税負担割合が30% 未満のペーパーカンパニーは会社単位の合算課税の適用対象とされることになります 典型的には オランダやルクセンブルクなどが該当しますが 法定税率が20% 以上 30% 未満である国に SPCを有する場合には 固定施設の状況や管理支配の状況を勘案して特定外国関係会社 ( ペーパーカンパニー ) に該当しないか慎重に検討 判定する必要があります これまでは 25% 未満の海外投資にあたってはオランダやルクセンブルク等の投資ビークルを通じて間接投資するケースがありましたが 改正後は当該投資ビークルがペーパーカンパニーに該当すると当該保有比率 25% 未満の株式に係る配当は合算課税の対象となってしまいますので留意する必要があります ( 図表 9 参照 ) 既存の海外投資のなかでこれに該当する投資がある場合には 本改正が適用される前に 当該投資ビークルが上記で述べた実体基準または管理支配基準のいずれかを満たせるだけの事業実態をもたせるか あるいは 単純譲渡 資本取引または組織再編等により合算課税の適用対象となる配当の基因となる株式 ( 保有比率 25% 未満 ) を別会社に移管する さらには逆に持分比率を25% 以上に引き上げるなど何らかの手当てをする必要があります 別会社への移管に際して現地国で非課税となる譲渡益が生じる場合には現行法において合算課税される可能性があるため 事前配当や自己株式取得等を通じて非課税譲渡益を極力小さくすることでストラクチャー変更に係る税負担を軽減することが肝要です (3) 受動的所得の範囲拡大による影響と部分合算課税の回避持分割合が25% 未満である場合の株式に係る配当や株式譲渡益が受動的所得として部分合算課税の適用対象となりますので まずは自社グループにおける株式の持ち合い関係を把握した上で 持分割合が 25% 未満に該当する保有関 係が確認できた場合には その潜在的な影響を把握する必要があります ( 図表 10) そして その影響が無視できないときには 本改正が適用される前に単純譲渡 資本取引または組織再編等により当該株式を日本親会社や合算課税の対象とならない別の外国法人に移管する あるいは 逆に出資等を通じて持分割合を25% 以上に引き上げるなど 改正による潜在的な影響を軽減するための施策を検討 実行していく必要があります なお 持分割合が10% 未満である株式を別会社へ移管する際には 現行法では持分割合が 10% 未満の場合 剰余金の配当は資産性所得として部分合算課税の対象となる一方 株式譲渡益は市場での売買により生じたものでない限り部分合算課税の対象とされないため 移管に際して単純譲渡や現物分配など株式譲渡益が生じる取引により移管するほうが税負担の観点からは有利となる可能性が高いことにご留意ください (4) 英国 米国の法定税率の引き下げによる影響英国は近く法定税率を20% 未満に引き下げることを予定していますので あらためて改正法における経済活動基準を充足できるか否かを確認するとともに 改正法における受動的所得の有無 課税される場合の影響額を把握した上で 必要に応じて影響を軽減するための手当てをする必要があります 特に 日系企業の英国子会社は欧州の統括機能を有する場合も多く その一環として持分割合が 25% 未満の株式やグループ内貸付けを有しているケースも散見されるところですので 特に注意が必要です また 米国においてもトランプ政権による税制改正が実現すると法定税率が 20% 未満に引き下げられる可能性もあるため 今後の動向に注意を要します (5) 受動的所得に関する情報収集プロセス構築の必要性現行法では 適用除外基準を充足する特定外国子会社に 20 PwC s View Vol. 08. May 2017

9 図表 10: 適用除外基準 ( 経済活動基準 ) を満たすシンガポール法人経由間接投資ストラクチャーへの影響 P 社 S1 社は適用除外基準 ( 経済活動基準 ) を満たすシンガポール法人であると仮定 P 社 S1 社は適用除外基準 ( 経済活動基準 ) を満たすシンガポール法人であると仮定 日本シンガポール 100% S1 社 ( シンガポール ) X 国 S2 社 (X 国 ) 25% 1 現行法 : 適用除外基準を充足する 会社単位の合算課税なし かつ S2 社からの配当も部分合算課税もなし ( 持分割合が 25% 以上であるため ) 2 改正法 : 経済活動基準を充足する 会社単位の合算課税なし かつ S2 社からの配当も部分合算課税もなし ( 持分割合が 25% 以上であるため ) 日本シンガポール 100% S1 社 ( シンガポール ) X 国 S2 社 (X 国 ) <25% 1 現行法 : 適用除外基準を充足する 会社単位の合算課税なし かつ ( 持分割合が 10% 以上である場合 )S2 社からの配当も部分合算課税なし ( 持分割合が 10% 未満である場合 )S2 社からの配当は部分合算課税あり 2 改正法 : 経済活動基準を充足する 会社単位の合算課税なし かつ S2 社からの配当は部分合算課税あり ( 持分割合が 25% 未満であるため ) ついて部分合算課税される資産性所得は持分割合が 10% 未満の株式に係る配当や債券の利子等限定的ですが 本改正後はより広範な所得が受動的所得として合算されることとなっています 現行法では合算課税の対象となっていない貸付金の利子や為替差損益などはこれまで捕捉するための手続きも未整備であると考えられますので 海外子会社との間で受動的所得を正確に捕捉するための報告 情報共有プロセスの整備が必要となります (6) 今後の海外投資やクロスボーダー M&Aへの影響本改正は今後の海外投資やクロスボーダー M&Aに大きな影響を及ぼすことが見込まれます 上述したとおり ペーパーカンパニーに対する会社単位の合算課税の導入や 10% 以上 25% 未満の株式に係る配当の受動的所得化の影 響により これまで頻繁に利用されてきたオランダ ルクセンブルク 英国に所在するSPCや地域統括会社を中間投資ビークルとして使うのが必ずしも税務上有効ではないケースも出てくると考えられます 特に 保有割合が25% 未満の海外投資については オランダ ルクセンブルクの代わりに 法定税率が 30% 以上で かつ 配当の受払に対する課税がないあるいは僅少であるとともに広範な租税条約ネットワークを有する国 例えばドイツやフランスなどを通じて海外投資するケースも出てくるものと考えられるところです 日系企業の場合 自動車メーカーをはじめドイツやフランスに地域統括会社 工場 販社等を有していることも珍しくありませんので そうした企業においてはより経済実態 管理支配に合致した投資ストラクチャーとなることが見込まれます 山岸哲也 ( やまぎしてつや ) PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー 1999 年 PwC 税理士法人へ入所 2004 年より 2007 年まで PwC 米国シカゴ事務所へ出向 2007 年イリノイ大学アーバナシャンペーン校 (UIUC) ビジネススクール (Master of Tax) を卒業 PwC 税理士法人 M&Aタックスグループの責任者として培った M&A 及び国際税務に関する豊富な経験に基づき ストラテジック バイヤー フィナンシャル バイヤー双方にデュー ディリジェンスや買収ストラクチャリングを中心とした M&A 税務サービスを提供するとともに 国内外のさまざまな企業に対して国際税務プランニング クロスボーダー組織再編に関する国際税務アドバイスを提供している また PwC 税理士法人税務ガバナンス支援チームのメンバーとして主に日系多国籍企業に対する税務管理体制の構築支援 税務戦略 ポリシーの導入支援 PwCが提供する海外税務リスク管理のための ITプラットフォームである Tax Operations Managerの導入支援等に深く関与している 日本租税研究協会 国際的組織再編等課税問題検討会 国際課税等実務検討会 専門委員公認会計士 税理士 米国公認会計士 ( イリノイ州 ) メールアドレス :[email protected] PwC s View Vol. 08. May

10 PwCあらた有限責任監査法人 東京都中央区銀座 住友不動産汐留浜離宮ビル Tel: Fax: PwC Japanグループは 日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社 (PwCあらた有限責任監査法人 PwC 京都監査法人 PwCコンサルティング合同会社 PwCアドバイザリー合同会社 PwC 税理士法人 PwC 弁護士法人を含む ) の総称です 各法人は独立して事業を行い 相互に連携をとりながら 監査およびアシュアランス コンサルティング ディールアドバイザリー 税務 法務のサービスをクライアントに提供しています 2017 PricewaterhouseCoopers Aarata LLC. All rights reserved. PwC Japan Group represents the member firms of the PwC global network in Japan and their subsidiaries (including PricewaterhouseCoopers Aarata LLC, PricewaterhouseCoopers Kyoto, PwC Consulting LLC, PwC Advisory LLC, PwC Tax Japan, PwC Legal Japan). Each firm of PwC Japan Group operates as an independent corporate entity and collaborates with each other in providing its clients with auditing and assurance, consulting, deal advisory, tax and legal services.

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