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1 免疫学 1 第 6 回 / 全 18 回日時 : 10/23( 火 ) 2 講目授業課題 : 自然免疫と適応免疫の関連 2 学習内容 : 抗原提示細胞, 免疫シナプス担当教員 : 鈴木健史主な項目 : 抗原提示細胞 ( 樹状細胞, マクロファージ,B 細胞 ) と抗原提示抗原提示経路 ( 外因性抗原, 内因性抗原 ), クロスプレゼンテーション, 免疫シナプス目的 : 各種抗原提示細胞の特徴と, 抗原提示経路を学ぶ. 免疫シナプスについて学ぶ. 行動目標 : 各種抗原提示細胞の特徴と, 抗原提示経路について説明できる. 免疫シナプスの構造について説明できる. 学習目標と要点 : 1. 抗原提示細胞 (APC:antigen presenting cell) 貪食した異物の一部 ( 外因性抗原 ) を抗原として細胞表面に提示する細胞で, すべて食細胞 (phagocyte) である. ほとんどすべての体細胞も, 細胞内で合成したタンパク質の分解産物 ( 内因性抗原 ) を細胞表面に抗原提示しているが, これらは抗原提示細胞とはいわない. 食細胞 = 樹状細胞, マクロファージ, 好中球, B 細胞の4 種類抗原提示細胞 = 樹状細胞, マクロファージ,B 細胞の3 種類 2. 抗原提示 (antigen presentation) 主要組織適合性複合体 (MHC) に, 抗原ペプチドが貼り付いた状態で, 細胞表面に提示される. 提示された抗原は,T 細胞の細胞表面にあるT 細胞受容体 (T cell receptor;tcr) が識別する. 3. 抗原提示経路抗原提示経路は, 外因性抗原と内因性抗原で異なる. 外因性抗原 : リソソームで分解され,MHC クラスⅡ 分子に付着し提示される内因性抗原 : プロテアソームで分解され,MHC クラスⅠ 分子に付着し提示される 4. クロスプレゼンテーション貪食した外因性抗原を MHC クラスⅠに乗せて抗原提示することで, 樹状細胞のみがおこなう. 後期エンドソームから, 貪食した異物の分解産物が細胞質に漏れ出ることによって起こる. CD8 陽性ナイーブT 細胞を活性化させるのに有効. 5. 免疫シナプス (immunological synapse,immune synapse) 免疫細胞 ( ナイーブT 細胞, ヘルパー T 細胞, キラー T 細胞, ナチュラルキラー細胞など ) と, 抗原提示細胞あるいは標的細胞の間にできる, 一時的な細胞間接着装置. 細胞間情報伝達のインターフェイスとして機能する. 6. 免疫シナプスの構造免疫シナプスには, 膜タンパク質やシグナル伝達分子など, さまざまなタンパク質が同心円状に規則的に配置した超分子活性化複合体 (SMAC;supramolecular activation cluster) が構築される. csmac:t 細胞側 = TCR,CD4 or CD8,CD28, アダプタータンパク質, シグナル伝達分子など APC 側 = MHC+ 抗原ペプチド,CD80,CD86 psmac:t 細胞側 = LFA1,talin APC 側 = ICAM1 dsmac:t 細胞側 = CD45 課題 :1.3 種類の抗原提示細胞の特徴を説明しなさい. 2. 内因性抗原と外因性抗原の, 抗原提示経路の違いを説明しなさい. 3. クロスプレゼンテーションの意義について説明しなさい. 4. 免疫シナプスの構造を説明しなさい. 1

2 抗原提示細胞 免疫シナプスの要旨 by suzuki 抗原提示細胞 (APC:antigen presenting cell) 貪食した異物の一部を抗原として細胞表面に提示する細胞を抗原提示細胞という. 抗原提示細胞は, 病原微生物などの異物を貪食する能力を持ち, すべて食細胞 (phagocyte) ある. 食細胞には, 樹状細胞, マクロファージ, 好中球, および B 細胞があるが, このうち好中球には抗原提示能力がなく, 好中球は抗原提示細胞には含まれない ( 好酸球も弱い貪食能力を持ち, 希だが好酸球も食細胞に含まれる場合がある ). 抗原提示細胞が, 提示する抗原に特異的なT 細胞受容体 (TCR) を持つT 細胞にであうと, 抗原提示細胞とT 細胞が結合し免疫応答がおこる. このときの抗原提示細胞とT 細胞の結合面にできる細胞間接着装置を, 免疫シナプス (immunological synapse, immune synapse) という. 食細胞のうち, 樹状細胞とマクロファージおよび好中球は, トル様受容体 (TLR:Toll like receptor) などの自然免疫センサーにより, 病原微生物などに特徴的な分子構造のパターン ( 病原体関連分子パターンという ) や, 異物に付着した補体や抗体を認識して貪食する. 樹状細胞とマクロファージは, 貪食した異物の分解産物の一部を, 抗原として抗原提示する. 好中球は, 抗原提示細胞ではなく, 異物を貪食するだけで, 異物由来抗原の抗原提示は行わない. 一方,B 細胞は,B 細胞受容体 (BCR:B cell receptor) という細胞膜結合型の抗体に結合する, 特定の抗原分子を持つ異物のみを特異的に貪食し, 貪食した異物の分解産物を抗原として抗原提示する. 2

3 食細胞 (phagocyte) 抗原提示細胞と食細胞の種類 樹状細胞 (dendritic cell:dc) マクロファージと同様に強い貪食能力を持つ抗原提示細胞である. 抗原提示能力がマクロファージより強く, CD4 陽性ナイーブT 細胞を活性化させることができる. また, 外因性抗原を MHC クラス Ⅰ 分子に乗せて提示するクロスプレゼンテーション ( 後述 ) を行うことができ, CD8 陽性ナイーブT 細胞の活性化も行う. つまり樹状細胞は, ナイーブT 細胞の活性化を行う細胞である. 皮膚や消化管, 呼吸管の粘膜など, 外界に面する組織に多い. ランゲルハンス細胞は表皮に存在する樹状細胞である. 貪食様式 :TLR などの自然免疫センサーで, 病原体関連分子パターンを認識し貪食する 異物に付着した補体や抗体を認識し貪食する 特異性が低く, 多様な侵入異物を貪食する 変質した自己細胞や, それが死んで断片化した残骸 ( アポトーシス小胞 ) を貪食する 免疫応答 : 抗原提示能力が強く, ナイーブ T 細胞を活性化させることができる 発展抗原特異的なヘルパー T 細胞を活性化し, サイトカインの分泌を促す 発展 : 樹状細胞やマクロファージは, ヘルパー T 細胞が分泌するサイトカインであるインターフェロンガンマ (IFN- ) を受けて活性化し, 殺菌効果の高い一酸化窒素を合成し, 細胞内寄生性の病原菌をも効率的に殺菌 消化できるようになる. リーシュマニアやリステリア, チフス菌, 赤痢菌などの細胞内寄生性の病原微生物は, 貪食されても, 細胞内で生存でき増殖してしまうことがある. これは, これらの細菌が貪食された後に, 食胞とリソソームの融合を阻害したり, 食胞から細胞質に脱出するなど, リソソームによる殺菌機構を回避するための能力を持つためである. 一酸化窒素は生体膜を自由に透過するガスなので, これらの細菌も効果的に殺菌できる. なお, 通常の細菌は, 食胞にリソソームが融合することで効率よく殺菌 消化されてしまうので, 特に一酸化窒素を合成しなくても対処可能である. 樹状細胞とマクロファージは, ヘルパー T 細胞が分泌する IFN- を受けると, 誘導型一酸化窒素合成酵素 (inos;induced nitric oxide synthase) を発現して, 一酸化窒素を生産し殺菌能力が著しく亢進する. 注意 : 濾胞樹状細胞 (follicular dendritic cell) という細胞があるが, 樹状細胞とは関係のない細胞で食細胞ですらないので注意すること. 濾胞樹状細胞は, リンパ小節 ( リンパ濾胞 ) の胚中心に存在する間質細胞で, 捕捉した抗原を貪食せずにそのまま細胞表面に保持しB 細胞に提示する.B 細胞の親和性成熟に関与する.B 細胞に抗原を提示するが,MHC による抗原提示とはまったく別のもので, 濾胞樹状細胞による抗原の提示を 抗原提示 とはいわない. 3

4 用語解説 : ナイーブT 細胞 : 胸腺で選抜された成熟 T 細胞のうち, 抗原刺激を受けていないものをナイーブT 細胞という. ナイーブT 細胞には, 活性化するとヘルパー T 細胞に分化する CD4 陽性ナイーブT 細胞と, キラー T 細胞に分化する CD8 陽性ナイーブT 細胞がある. いずれも樹状細胞による抗原提示を受けてはじめて活性化し, エフェクター T 細胞とメモリー T 細胞に分化する. 樹状細胞によるナイーブT 細胞の活性化をプライミングという. エフェクター T 細胞 :T 細胞としての機能を持つ細胞で, 異物の排除や感染の終息にはたらく. T 細胞受容体 (TCR;T cell receptor) で, 抗原提示細胞が提示する抗原を識別し結合する. エフェクター T 細胞には,B 細胞やマクロファージを活性化するヘルパー T 細胞と, 感染細胞を傷害するキラー T 細胞がある. ヘルパー T 細胞は, サイトカインを分泌することで, 結合した相手の細胞を刺激し活性化させる. キラー T 細胞は, タンパク質分解酵素のグランザイムや細胞膜に穴を開けるパーフォリンを分泌して, 標的細胞を攻撃し, 標的細胞にアポトーシスを誘導し死滅させる. いずれも寿命が短く, ナイーブT 細胞から分化した後 1~2 週間で死滅する. メモリー T 細胞 : 数十年以上の寿命を持ち,TCR に特異的に結合する病原体などが再び侵入した際に, 抗原提示細胞による抗原提示を受け, 速やかに増殖しエフェクター T 細胞に分化する. マクロファージ (macrophage,mφ) 血球の単球 (monocyte) が組織内に出て分化した細胞で, 強い貪食能を持つ遊走性の細胞である. さまざまな組織中に存在し, 病原微生物や細胞が死んで断片化した細胞の残骸 ( アポトーシス小胞という ), アミロイドや尿酸結晶などの老廃物, 侵入した病原菌など, さまざまなものを貪食する. 特に, リンパ節や脾臓などのリンパ組織に大量に存在し, 組織液やリンパ液, 血液を流れる異物を捕食する. 貪食した物質の分解産物を抗原提示する抗原提示細胞であるが, 樹状細胞と違ってナイーブT 細胞の活性化はできない. 組織によって特徴的なマクロファージが存在し, 肝臓のクッパー細胞や, 肺胞に存在する肺胞マクロファージ ( 塵埃細胞じんあいさいぼう :dust cell ともいう ) などがある. この他, 中枢神経のミクログリアや骨の破骨細胞も, 特殊化したマクロファージである. また, マクロファージは異物を細胞表面に付着させて, リンパ節などの二次リンパ組織に運搬する機能を持つ. つまりマクロファージは, 異物の一部を貪食せずに細胞表面に付着させた状態で二次リンパ組織に運ぶこともできるのである. 二次リンパ組織には大量のB 細胞が存在しており, マクロファージは付着した異物をB 細胞に提示し, 特異的な抗原を含む異物であれば B 細胞が貪食する ( 抗原提示とはいわない ).B 細胞の免疫応答は, 異物の識別と貪食が不可欠で,B 細胞が特異的な異物に出会う必要がある. 組織内に侵入した異物は, リンパの流れによって自然にリンパ節に流れてB 細胞に出会い貪食されるが, マクロファージによる積極的な異物の運搬は,B 細胞と抗原が出会う可能性を著しく高めている. 貪食様式 :TLR などの自然免疫センサーで, 病原体関連分子パターンを認識し貪食する異物に付着した補体や抗体を認識し貪食する特異性が低く, 多様な侵入異物や死んだ自己細胞の残骸などを貪食する免疫応答 : 抗原特異的なヘルパー T 細胞を活性化し, サイトカインの分泌を促す樹状細胞と同様に, ヘルパー T 細胞が分泌するサイトカイン (IFN- ) を受けて一酸化窒素を合成し, 細胞内寄生性の病原微生物を効率的に殺滅できるようになる. ヘルパー T 細胞は, サイトカインを分泌することで, 細胞内寄生性細菌の殺滅を助けている. 4

5 好中球 (neutrophil; 食細胞だが抗原提示細胞ではないので注意 ) 白血球 ( 顆粒球 ) の1 種で, 侵入した病原菌を捕食 殺菌し無害化する. ごく希に, マクロファージに対して小さい食細胞という意味で ミクロファージ と呼ばれることがある. 病原菌が侵入すると, 組織内のマクロファージや肥満細胞がただちに反応し, ケモカインやサイトカインを放出し炎症を引き起こす. 好中球は, このケモカインに向かって遊走し, 血管を出て炎症部の組織に集結する. 病原菌を貪食 殺菌した好中球は死滅し, その死骸は膿になり, マクロファージや樹状細胞により処理される. ブドウ球菌や連鎖球菌, 緑膿菌, 大腸菌など, 多くの化膿菌の殺菌に効注果を発揮する. 貪食様式 :TLR などの自然免疫センサーで病原体関連分子パターンを認識し貪食する 異物に付着した補体や抗体を認識し貪食する 抗原提示 : 貪食した抗原を抗原提示する能力はない 抗原提示細胞ではない ただし,MHC クラス Ⅰ 分子を持っており, 内因性の自己抗原の抗原提示は行う 注意 : 好中球も細胞内寄生性の病原菌を貪食するが, マクロファージや樹状細胞と違って外因性抗原の抗原提示を行わないのでヘルパー T 細胞の援助を受けない. このため, 細胞内寄生性細菌に対する対処能力は, 樹状細胞やマクロファージに比べ弱い. B 細胞 (B cell,b lymphocyte) リンパ球の1 種で抗体をつくる. 貪食能力を持つ抗原提示細胞であるが, 食細胞としては極めて偏食で,B 細胞受容体 (BCR) に特異的に結合する抗原をもつ異物のみを貪食する. 貪食様式 : BCR で, 特定の抗原分子を特異的に識別する 極めて特異性が高く,BCR に結合する抗原を持つものだけを貪食する 免疫応答 : 抗原特異的なヘルパー T 細胞を活性化し, サイトカインの分泌を促す B 細胞自身は, ヘルパー T 細胞が分泌するサイトカインを受けて活性化し, 増殖した上で抗体を大量生産する形質細胞や, メモリー B 細胞に分化する. 注意 : BCR に結合する抗原と,B 細胞が抗原提示する抗原は, 違うものなので注意すること.BCR は膜結合型の抗体で, その B 細胞が形質細胞に分化した後に分泌する抗体と同じ抗原を認識する.B 細胞は, この抗体が認識する抗原を含んでいる異物 ( 病原微生物や毒素など ) のみを貪食する. 貪食した異物の分解産物には, たくさんの種類の抗原が含まれれおり,B 細胞はこれらの抗原を同時に抗原提示する. ひとつのB 細胞が提示する抗原の種類が多いのに対し, ひとつのB 細胞は1 種類の抗体しかつくらず, ひとつのB 細胞が認識する抗原は1 種類しかない. 同様に, 5

6 抗原提示 (antigen presentation) ひとつのT 細胞に発現するT 細胞受容体 (TCR) は1 種類で, ひとつのT 細胞が認識する抗原は1 種類のみである.B 細胞が, 異物に含まれる多種類の抗原を同時に抗原提示することは, 反応するT 細胞に出会える可能性を増やすのに役立っている. たとえば, 細菌 X の細胞表面のある分子の一部を認識する BCR( すなわち抗体 ) を持つB 細胞があるとする. このB 細胞は, 細菌 X の表面分子を認識しこれを貪食し, 細菌 X に含まれるさまざまなタンパク質の断片を抗原ペプチド鎖として同時に抗原提示する. これらの抗原を x1,x2,x3 とすると,x1,x2,x3 のいずれかの抗原ペプチドを認識する TCR を持つヘルパー T 細胞に出会えれば,B 細胞の活性化が起こることになり, 免疫応答が起こる可能性が高まるのである. 抗原提示とは, タンパク質が分解されて生じた断片, すなわちペプチド鎖を, 主要組織適合性複合体注 (MHC:major histocompatibility complex) に結合させた状態で, 細胞表面に提示することをいう. 提示された抗原ペプチドは MHC と共にT 細胞が認識し, 免疫反応を引き起こす. 細胞表面には, 抗原となりうる糖鎖や脂質などのさまざまな化合物が存在し, 生体内において抗原抗体反応を惹起することがあるが, 注, 発展 MHC に結合させた状態でT 細胞に提示される抗原はペプチド鎖のみである. 抗原提示を行うのは抗原提示細胞だけではない. ほとんどすべての体細胞が, 自身の細胞の構成要素として合成したタンパク質の分解産物を抗原として抗原提示している. これらの抗原を内因性抗原という. これら自己のタンパク質に由来する内因性抗原は, 免疫反応を惹起しないししてはならない. 自己抗原を提示する細胞を, 免疫系が攻撃 排除してしまうと, 組織や器官の機能が損なわれてしまうからである. 免疫系は, 自己タンパク質に由来する抗原を認識するT 細胞をあらかじめ除去しておくことで, 自己抗原を抗原提示する細胞を攻撃しない仕組みを持っている. ちなみに, 免疫細胞が自己抗原に反応してしまう疾患があり, これを自己免疫疾患という. 癌化した細胞やウイルスに感染した細胞では, 正常な細胞には発現しないタンパク質, すなわちウイルスのタンパク質や, 突然変異により構造が変化したタンパク質が発現する. これらは自己のタンパク質とは違うので, 内因性抗原として提示されると免疫応答を惹起する. このようにして, 癌化した細胞やウイルスに感染した細胞が排除されるのである. 一方, 貪食した異物に由来する抗原を外因性抗原といい, これは抗原提示細胞のみが抗原提示する ( 抗原提示細胞は, 内因性抗原も同時に提示する ). 内因性抗原のみを提示する体細胞は, 外因性抗原を提示しないので抗原提示細胞には含まれない. なお, 癌やウイルス由来の抗原を内因性抗原として提示する細胞は, キラー T 細胞やナチュラルキラー細胞 ( 後述 ) の標的となることから, 標的細胞 ( ターゲット細胞 ) と呼ばれる. 標的細胞と抗原提示細胞を一緒に論じる際には, 誤解を避けるために, 樹状細胞などの外因性抗原を提示する細胞を プロフェッショナル抗原提示細胞 (professional APC) ということがある. 内因性抗原と外因性抗原では, 抗原提示の経路が異なる. 内因性抗原の提示は, ウイルス感染や細胞内寄生菌の感染, 癌化して変異した遺伝子の存在などを, 免疫系に知らせる働きがある. 注意 : 抗原提示は,MHC に結合したペプチド鎖をT 細胞に提示することをいう. 血液型を決める A/B 抗原などのように, 細胞の表面にはさまざまな表面抗原が存在する. その種類は 350 種類以上にもなるが, これらの表面抗原を指して抗原提示とはいわない. 表面抗原の多くは, 糖タンパクや糖脂質の糖鎖によるもので, 細胞を見分けるために表面抗原に特異的な抗体を人為的に作製したことから 表面抗原 と呼ばれる (CD 分類 ). 生体では, 表面抗原は細胞が他の細胞を識別するマーカーとして機能している. ちなみに, 赤血球の A/B 抗原など血液型の表面抗原には, それを認識する自然抗体が生まれつきに存在するため, 輸血時などで免疫反応を惹起する. 発展 : 脂質の抗原提示 : 樹状細胞は, 微生物由来の脂質を CD1 という MHC 様の分子複合体に結合させて,T 細胞に抗原提示することが知られている. 6

7 外因性抗原の抗原提示経路外因性抗原 :TLR や BCR の認識により貪食した異物の分解産物抗原タンパク質の由来 : 貪食した異物に含まれる. 病原微生物や虫毒, ヘビ毒など外因性のタンパク質以外にも, 死滅した自己の細胞に含まれる自己タンパク質の場合もあるタンパク分解 : エンドソーム リソソームが融合しタンパク質を分解 後期エンドソーム抗原ペプチドの大きさ :10~30 個以上のアミノ酸からなるペプチド鎖で,10~16 個が多い抗原ペプチド輸送経路 : 抗原ペプチドを含む後期エンドソームと,CPL(compartment for peptide loading) という MHC クラスⅡを含む分泌小胞が融合する主要組織適合性複合体 :MHC クラスⅡ. MHC クラスⅡは粗面小胞体でつくられるが, 小胞体内では抗原ペプチド結合部位がインバリアント鎖というタンパク質により覆われており, 内因性の抗原ペプチドの結合を防いでいる. インバリアント鎖は分泌経路で分解され,CPL 内の MHC クラスⅡはインバリアント鎖で覆われていない細胞表面までの輸送経路 : 抗原ペプチドを含む後期エンドソームが,CPL という MHC クラスⅡを含む分泌小胞と融合することで, 抗原ペプチドが MHC に結合する.CPL が後期エンドソームと融合したあと, 開口分泌により細胞表面に出る. 抗原を提示する細胞 : 抗原提示細胞 ( 樹状細胞, マクロファージ,B 細胞 ) 応答するT 細胞 : ヘルパー T 細胞 (Th cell:t helper cell ともいう ) 抗原受容体 :T 細胞受容体 (TCR),CD4( 共受容体 ;MHC クラスⅡ 分子自体に結合する ) 外因性抗原の抗原提示経路抗原提示細胞は,MHC クラスⅠにより内因性抗原も同時に抗原提示している 7

8 内因性抗原の抗原提示経路内因性抗原 : 自己タンパク質, および細胞内に侵入した細菌やウイルスなどによって細胞質で合成されるタンパク質の分解産物抗原タンパク質の由来 : 細胞質のリボソームで合成タンパク分解 : プロテアソーム ( 細胞内にある巨大な酵素複合体でタンパク質の分解を行う ) 抗原ペプチドの大きさ :8~11 個のアミノ酸からなるペプチド鎖抗原ペプチド輸送経路 : 粗面小胞体の膜に存在する輸送タンパク質 (TAP:transporter associated with antigen processing) により小胞体内に輸送される主要組織適合性複合体 :MHC クラスⅠ 細胞表面までの輸送経路 :TAP により小胞体内に輸送された抗原ペプチドは, 小胞体内で MHC に結合する. 抗原ペプチドが結合した MHC はゴルジ体,TGN(trans Golgi network), 分泌小胞を経て細胞膜に送られ, 開口分泌により細胞表面に出る. 抗原を提示する細胞 : ほとんどすべての細胞 ( 抗原提示細胞を含む ). 赤血球など, まったく抗原提示を行わない細胞も存在する.* 成熟赤血球には, MHC の発現がなく, リボソームなどのタンパク質合成系すら存在しない. 応答するT 細胞 : キラー T 細胞 (CTL:cytotoxic T lymphocyte, あるいは細胞傷害性 T 細胞ともいう ) 抗原受容体 :T 細胞受容体 (TCR:T cell receptor),cd8( 共受容体 ;MHC クラスⅠ 分子自体に結合する ) 内因性抗原の抗原提示経路さまざまな内因性タンパク質に由来するペプチド鎖を同時に抗原提示する内因性抗原の抗原提示は, 赤血球などの例外を除きすべての体細胞で行われている抗原提示細胞も, この図に示す経路により内因性抗原の提示を行っている 8

9 クロスプレゼンテーション ( 交叉抗原提示 ;cross-presentation) 樹状細胞は, 貪食した外因性の抗原ペプチドを MHC クラスⅡだけでなく MHC クラスⅠにも乗せて抗原提示する. これをクロスプレゼンテーションという. クロスプレゼンテーションでは, 貪食された異物がエンドソーム内で消化された後, 消化されたタンパク質の断片がエンドソームの外側, すなわち細胞質に漏出する. 細胞質に漏出したタンパク質の断片は, 内因性抗原と同様にプロテアソームによってペプチド鎖に分解され TAP により小胞体に輸送され,MHC クラスⅠと結合して細胞表面に抗原提示される. なお, クロスプレゼンテーションを行うのは樹状細胞だけである. クロスプレゼンテーションを理解するには, 以下の5つの事項をおさえておくとよい. 1 貪食された外因性抗原は, 通常 MHC クラスⅡが抗原提示する 2 癌やウイルス感染などによる内因性抗原は,MHC クラスⅠが抗原提示する 3 キラー T 細胞は,MHC クラスⅠの提示する抗原を認識する 4 ヘルパー T 細胞は,MHC クラスⅡの提示する抗原を認識する 5 樹状細胞のみがナイーブT 細胞を活性化させ, エフェクター T 細胞に分化させることができるウイルス感染細胞や癌化細胞の除去には, キラー T 細胞による細胞性免疫が効果的だが, CD8 陽性ナイーブT 細胞を活性化してキラー T 細胞に分化させることができるのは樹状細胞のみである. つまり, これらの細胞を特異的に攻撃 除去するキラー T 細胞を生み出すためには, 樹状細胞へのウイルス感染や樹状細胞の癌化が必要になる. 実際, 樹状細胞は, ウイルス感染の足がかりとなる細胞表面分子を多数持ち, 他の細胞に比べウイルスに感染しやすい. しかし, 樹状細胞に感染しないウイルスも存在し, 樹状細胞が癌化するとは限らない. このような場合にクロスプレゼンテーションのしくみが役立つ. つまり, 樹状細胞が, ウイルス感染細胞や癌化した細胞, あるいはそれらが死んで断片化した残骸 ( アポトーシス小胞という ) を貪食し, 含まれる外因性抗原を MHC クラスⅠに結合させて抗原提示するのである. たとえば, 樹状細胞に感染しないタイプのウイルスに感染した体細胞は,MHC クラスⅠにウイルスに由来する抗原ペプチドをのせて抗原提示する. しかし, 体細胞はナイーブT 細胞を活性化できない. またこの場合, ウイルスに感染した樹状細胞が存在せず, それによる CD8 陽性ナイーブT 細胞の活性化も当然起こらない. 一方で, 樹状細胞は, ウイルス感染により変質した体細胞やその残骸を貪食する. この樹状細胞は当然, ウイルス感染細胞に含まれるウイルス由来の抗原ペプチドを MHC クラスⅡに結合させて抗原提示する. しかしこれは, ヘルパー T 細胞に分化する CD4 陽性ナイーブT 細胞の活性化しかできない. ここで役立つのがクロスプレゼンテーションで, 樹状細胞が貪食したウイルス抗原を MHC クラスⅠに結合させて抗原提示することを可能にする. これにより, ウイルス抗原を認識する CD8 陽性ナイーブT 細胞を活性化でき, これが増殖 分化してキラー T 細胞が生じる. これは, 抗原提示する感染細胞を直接攻撃し, ウイルス感染を終息させる. なお,MHC クラスⅡによって抗原提示されたウイルス抗原は, ヘルパー T 細胞を誘導し, ウイルスに特異的な抗体の生産を促す. この抗体は, 細胞内のウイルスには無効だが, 細胞外のウイルスに有効で, ウイルスの感染拡大の防止に役立つ. クロスプレゼンテーションの抗原提示経路 9

10 免疫シナプス (immunological synapse,immune synapse) MHC が提示する抗原ペプチドをT 細胞受容体 (TCR) が認識すると, 抗原提示細胞とT 細胞が結合し, その結合面に免疫シナプスという細胞間接着装置が構築される. 免疫シナプスは,T 細胞と抗原提示を行う細胞の間に一時的に生じる細胞間接着装置で, 免疫シナプスを通じて, 結合する2つの細胞が会話でもするかのようにお互いに刺激し合い (2ページの図), それぞれの細胞が特定の反応すなわち免疫応答を起こす. 免疫シナプスは, 細胞間の情報伝達装置という意味で神経シナプスに似るが, 神経シナプスと違って両方向性に刺激を伝達する. 免疫シナプスは,T 細胞と抗原提示細胞 ( 樹状細胞, マクロファージ,B 細胞 ), あるいは, キラー T 細胞とその標的細胞の間にできる細胞間情報伝達装置である. ただし, ナチュラルキラー細胞が標的細胞を攻撃する場合にも, その細胞間にシナプス様構造が構築され, これも免疫シナプスに含まれることが多い. ナチュラルキラー細胞を含め免疫シナプスを定義すると, 免疫細胞と抗原提示細胞あるいは標的細胞の間に一時的にできる, 細胞間情報伝達インターフェイスとして機能する細胞接着装置 となる. 用語解説 : ナチュラルキラー細胞 (NK 細胞 ): リンパ球の一種で, キラー T 細胞と同様にグランザイムやパーフォリンを分泌して標的細胞を攻撃し, 標的細胞にアポトーシスを誘導して死滅させる. キラー T 細胞と違い,T 細胞受容体 (TCR) をもっておらず,Fc レセプター, 抑制性レセプター, 活性化レセプターなどの受容体により標的細胞を識別する. Fc レセプターは, 抗体 (IgG) の Fc 部に結合する受容体で, 抗体が付着した細胞を認識する. 健常な体細胞に自己の抗体が付着することはなく, 抗体の付着はウイルス感染や癌化などによる細胞の変質を示唆する. 抑制性レセプターは,MHC クラスⅠを直接認識する受容体で,NK 細胞の攻撃を抑制する.MHC クラスⅠの発現が減弱したり消失してしまった細胞に対しては, 攻撃の抑制がなくなる. ウイルス感染や癌化により変質した細胞では,MHC クラスⅠの発現が減弱するので,NK 細胞の攻撃を受けやすくなる. 活性化レセプターは, 細胞表面の糖タンパク質や糖脂質につく糖鎖に結合する受容体で, これに糖鎖が結合することで, 標的細胞への攻撃を開始する. ほとんどすべての体細胞が, 活性化レセプターに結合する糖鎖を細胞表面にもっているが, 抑制性レセプターに結合する MHC クラスⅠ 分子も同時に表出しているので,NK 細胞の攻撃を免れている. なお, 赤血球は,MHC クラスⅠ 分子を表出しないが, 活性化レセプターに結合するリガンドもないので, ナチュラルキラー細胞の攻撃を受けない. 免疫シナプスの種類免疫細胞や相手の細胞の種類によって, 免疫シナプスを作った後の細胞の反応が違う. ナイーブT 細胞 : 特異抗原を提示する樹状細胞と免疫シナプスを作る CD4 陽性ナイーブT 細胞 + 樹状細胞 増殖しヘルパー T 細胞に分化する CD8 陽性ナイーブT 細胞 + 樹状細胞 増殖しキラー T 細胞に分化するエフェクター T 細胞 : 特異抗原を提示する抗原提示細胞や標的細胞と免疫シナプスを作るヘルパー T 細胞 + 樹状細胞 樹状細胞を活性化し, 貪食した異物の消化を促すヘルパー T 細胞 + マクロファージ マクロファージを活性化し, 貪食した異物の消化を促すヘルパー T 細胞 + B 細胞 B 細胞を活性化し, 形質細胞に分化させるキラー T 細胞 + 標的細胞 標的細胞を攻撃し破壊するメモリー T 細胞 : 特異抗原を提示する樹状細胞と免疫シナプスを作るメモリー T 細胞 + 樹状細胞 速やかに増殖しエフェクター T 細胞に分化するナチュラルキラー細胞 : 癌化した細胞やウイルスに感染した標的細胞と免疫シナプスを作るナチュラルキラー細胞 + 標的細胞 標的細胞を攻撃し破壊する 10

11 免疫シナプスの構造と機能抗原提示細胞あるいは標的細胞と,T 細胞あるいはナチュラルキラー細胞の細胞接着面に構築される細胞間情報伝達装置で, さまざまな膜タンパク質が同心円状に配置する. この同心円状に配置するタンパク質の集合体を, 超分子活性化複合体あるいは英略号で SMAC ( スマックと読む ;supramolecular activation cluster の略 ) という. SMAC の同心円構造の中央部には, 抗原提示細胞側に抗原ペプチドのついた MHC 分子があり,T 細胞側にはそれを認識する TCR が存在する. この SMAC 中央部のタンパク質集合体を central-smac (csmac) という. ヘルパー T 細胞の csmac には TCR に加えて, MHC クラスⅡと特異的に結合する CD4 分子がある. 同様に, キラー T 細胞には CD8 分子があり, これは MHC クラスⅠと特異的に結合する. ヘルパー T 細胞が外因性抗原を提示する抗原提示細胞と結合し, キラー T 細胞が内因性抗原を提示する標的細胞と結合するのはこのためである. なお,TCR 直下の細胞質には, リン酸化酵素や脂質分解酵素などシグナル伝達関連分子が集合し, シグナル伝達分子が順次リン酸化され, 細胞応答を引き起こす ( これをリン酸化カスケードという ). なお, キラー T 細胞と標的細胞の間にできる免疫シナプスでは,cSMAC の領域の半分程度が分泌物を開口分泌する分泌区画になっており, 免疫シナプスで繋がった標的細胞のみを攻撃できるようになっている. csmac の周囲にはリング状に細胞接着分子 (ICAM1 と LFA1) が配置しており, この部分を, peripheral-smac(psmac) という.T 細胞側の細胞接着分子膜タンパク質 (LFA1) の細胞質側には, talin( タリンと発音する ) がつき, 細胞接着分子をアクチン細胞骨格に繋ぎとめることでシナプス構造を安定化させている. この構造は, キラー T 細胞や NK 細胞では, 分泌物がシナプス間隙外に漏れるのを防ぐのに役立っている.pSMAC の周囲にはさらにリング状に, 他の膜タンパク質が配置しており, この部分を distal-smac(dsmac) という.dSMAC には膜貫通型の脱リン酸化酵素 (CD45) が存在する. 抗原提示細胞とT 細胞の情報伝達が終了すると, 免疫シナプスが解離して,CD45 が csmac 領域に侵入して csmac にある分子を脱リン酸化する. これにより, リン酸化カスケードによるシグナル伝達が終結する. 11

12 発展 :T 細胞膜面の csmac 領域には, 抗原提示細胞の細胞膜に存在する CD80 および CD86 と結合する CD28 受容体が存在する.T 細胞の活性化は,CD28 とそのリガンド ( すなわち,CD80 と CD86) との結合が不可欠で, TCRと抗原ペプチドを提示する MHC との結合だけでは,T 細胞の活性化は起こらない. このときの CD80 および CD86 と CD28 との結合を,T 細胞の共刺激という. つまり,T 細胞の活性化には,TCR が MHC に提示された抗原ペプチドを認識することが最重要条件であるが, これだけでは不充分で, CD28の共刺激が不可欠なのである. 共刺激がない状態で抗原提示細胞による抗原提示を受けると, そのT 細胞の細胞応答すなわちクローン増殖が, 今後一切起こらなくなってしまう. これを,T 細胞アナジー (anergy; または不応答, 無力化 ) といい,T 細胞の自己寛容のしくみの一つになっている.T 細胞アナジーは, 抗原提示細胞の CD80 や CD86 の発現がないときや, 低下したときに生じる. 免疫シナプスを介した細胞の反応ナイーブT 細胞は, その細胞が持つ TCR に特異的な抗原ペプチドを提示する樹状細胞と, 免疫シナプスを作ることで活性化する. 活性化したナイーブT 細胞は, 自身が分泌するサイトカインで自身の細胞を刺激し ( オートクリンという ), 増殖しエフェクター T 細胞に分化する. このとき一部の細胞はメモリー T 細胞に分化し, 再度の異物の侵入に備える. 免疫シナプスは, 数時間以上保持される. B 細胞は, ヘルパー T 細胞と免疫シナプスを作り, ヘルパー T 細胞が分泌するサイトカインを受け, 活性化する. このとき, 免疫シナプスは数時間 ~24 時間程度保持される. 活性化したB 細胞は増殖し, 多くは抗体を大量に生産 分泌する形質細胞に分化するが, 一部はメモリー B 細胞に分化し, 再度の異物の侵入に備える. このように, 特定の抗原を認識する TCR を持つT 細胞や, 特定の抗体を生産するB 細胞が大量増殖することを, クローン増殖 (clonal expansion) という. クローン増殖は, 病原体に対抗する免疫細胞を, 病原体の感染に応じて一時的に大量に準備するのに役立っている. 一方, キラー T 細胞と標的細胞の間にできる免疫シナプスの場合は, 反応が早く進み, 接触後わずか数分でシナプス構造が完成し,5 分後にはパーフォリンやグランザイムの分泌による標的細胞の攻撃が始まる. そして, 細胞の接触後十数分程度で標的細胞を破壊する. シナプス構築後の細胞増殖はない. 12

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