包括的所得概念の優位性 1 所得課税ベースの包括化と各種所得の等しい課税上の取り扱いによって水平的公平を実現する 2 包括的総合所得への累進税率構造の適用によって垂直的公平を実現する 3 課税ベースの包括化によって (= 課税ベースが広がることで ) そうでない場合に比べて 税率の引き下げを図ること

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1 熊本学園大学リーガルエコノミクス学科 2011 年度 租税論 [7] 所得課税 ---- 個人所得税 [8] 所得課税 ---- 法人税 講義での既配布レジメは全て以下のホームページよりダウンロードできます 授業 中間試験のスケジュール 熊本学園大学経済学部リーガルエコノミクス学科 租税論 講義日程予定 /9/30 3(13:00-14:30) ガイダンス 税について 2 4(14:40-16:10) 税の役割と租税原則 /10/7 3(13:00-14:30) 税の分類 1 4 4(14:40-16:10) 税の分類 /10/14 3(13:00-14:30) 現代日本税制の成り立ち1 6 4(14:40-16:10) 現代日本税制の成り立ち /10/21 3(13:00-14:30) 所得課税 - 個人所得税 8 4(14:40-16:10) 所得課税 - 法人税 /11/4 3(13:00-14:30) 消費課税 10 4(14:40-16:10) 資産課税 /11/11 3(13:00-14:30) 社会保障と税 12 4(14:40-16:10) 地方税 /11/18 3(13:00-14:30) 環境税 14 4(14:40-16:10) 国際課税 /11/25 3(13:00-14:30) 租税理論についてのまとめ 16 4(14:40-16:10) 中間試験 Ⅰ /12/2 3(13:00-14:30) 税の実務 1 所得税と非課税所得 18 4(14:40-16:10) 税の実務 2 各種所得の意義と金額 /12/9 3(13:00-14:30) 税の実務 3 課税所得金額 20 4(14:40-16:10) 税の実務 4 損益通算 /12/16 3(13:00-14:30) 税の実務 5 所得控除 22 4(14:40-16:10) 税の実務 6 税額の計算 /1/6 3(13:00-14:30) 税の実務 7 税額控除 24 4(14:40-16:10) 税の実務 8 確定申告 /1/12 3(13:00-14:30) 税の実務 9 源泉徴収制度 26 4(14:40-16:10) 税の実務 10 給与所得者の確定申告 /1/20 3(13:00-14:30) 税の実務についてのまとめ 28 4(14:40-16:10) 中間試験 Ⅱ 2 * あくまでも予定です 講義の進行によって内容は異なりますので随時ご注意ください 1. 所得課税 ---- 個人所得税 1-1. 包括的所得概念とその実現性の限界 3 所得課税における課税ベース ( 課税対象所得 ) の概念 包括的所得概念 (Comprehensive Income)( シャンツ ヘイグ サイモンズ概念 ) 所得とは 2 時点間における経済力 ( 経済資源を支配する能力 ) の増加 を意味 現在における経済資源の支配力 ( 消費 ) と 現在は支配 ( 消費 ) していないが 将来において実行できる経済資源の支配力 ( 財産権価値の純増 ) の総和 Y = C + K 担税力の指標となる課税ベースは 経済力 ( 経済資源の支配力 ) の増加に寄与する全ての所得 従来の支配的学説であった 伝統的な分類所得税の考え方に対する批判として登場 4 従来の支配的学説であった 伝統的な分類所得税の考え方とは? 所得概念 = 源泉説ないし周期説 = 一定の源泉から周期的に生じるインカム ゲインのみを所得 < 生産要素 ( 労働 資本 土地 ) を投資し 投資先が利潤を分配することで得る収益 > 所得の異質性 ( 担税力 ) を認めて その異質性 ( 担税力 ) に応じて各種所得への適用税率に格差を設ける 批判 1 非周期的所得 とりわけキャピタル ゲインも経済力の増加に寄与するばかりでなく キャピタル ゲインを非課税にすることは 租税回避行動の増加を招く <( 生産要素のうち ) 資本や土地自体の値上がりによって それらを譲渡した場合に生じる収益 > 2 源泉が異なる異質な所得であっても 異なる額の所得は 異なる額の経済力を有する 3 所得源泉の多様化が進み 同一の納税者が複数種類の所得を獲得することが一般化してきている したがって 担税力の指標は それらの総合所得として把握する必要がある 包括的所得概念が登場 その優位性を主張 1

2 包括的所得概念の優位性 1 所得課税ベースの包括化と各種所得の等しい課税上の取り扱いによって水平的公平を実現する 2 包括的総合所得への累進税率構造の適用によって垂直的公平を実現する 3 課税ベースの包括化によって (= 課税ベースが広がることで ) そうでない場合に比べて 税率の引き下げを図ることが出来て 労働供給などへの経済的阻害効果を最小限に抑えるとともに 脱税行動への誘因を弱めて税務執行問題の改善を図る 包括的所得概念の注意点 (1) 包括的所得概念では 経済力 ( 経済資源の支配力 ) の増加に寄与する全てを所得とすることから 源泉が異なる労働所得 事業所得 資産所得 移転所得等はすべて 形態 実現 / 未実現などを問わずに 課税ベースに算入されることになる (2) 課税ベースに算入される所得は 2 時点間の経済力の増加に寄与するものであることから それぞれの 2 時点における経済力の評価が必要となる その場合 1 たとえ所得として実現 ( 受領または獲得 ) していなくても インカム ゲインまたはキャピタル ゲインとして発生していれば 2 時点間の所得として課税ベースに算入しなくてはならない ( 例えば 保有資産の値上がり ( 売却等によって実現はしていないが ) も経済力の増加に寄与するため ) 5 高さ = 税率 面積 = 税収 底辺 = 課税ベース 所得課税ベースの包括化によって課税ベースが広くなると? 高さ = 税率 面積 = 税収 底辺 = 課税ベース 税率は低くしても同額の税収が達成 6 2 所得には物価調整 ( インフレ / デフレ調整 ) を行って 実質的な所得部分だけを課税ベースに算入しなくてはならない ( 例えばインフレ下で 物価上昇を反映した単なる名目所得部分は 経済力実質的な増加には寄与していないため ) 3 経済力の増加に寄与するのは 純収益であることから 粗所得 ( 収入 ) から それを得るために費やした必要経費は控除した純所得部分だけを課税ベースに算入しなければならない 包括的所得概念は 理論的には優れているが その実現のために必要な経済力の正確な評価は困難であり 現実の制度化 ( および税務行政 ) とは乖離せざるを得ない! 7 包括的所得概念と現実の所得税制度における所得との乖離 (1) 現在は支配 ( 消費 ) していないが 将来において実行できる経済資源の支配力 ( 財産権価値の純増 ) (= K) の評価が 包括的所得概念では発生ベースであるが 現実には実現ベースになること (1) の問題 1 売却等の実現を延期して税負担の回避を図ることが出来る 贈与や遺産となれば所得税を完全に免れる 贈与 相続税の必要 (1) の問題 2 特に累進課税の下で 実現時に税負担の急増が生じる 課税負担を平均化する方法や 累進性の緩和などが必要 ( 例 : 土地の価格 02 年 1,000 万円で取得 03 年 1,800 万円 04 年 3,000 万円に値上り 03 年に売却 ) 未実現キャピタル ゲイン800 万円実現キャピタル ゲイン1,200 万円 実現キャピタル ゲイン 2,000 万円 (2) 包括的所得概念では 所得は 物価調整 ( インフレ / デフレ調整 ) を行った実質的な所得とされるが 現実には資産や税率構造などをすべて正確に物価調整行うことは困難である 持ち家から享受するサービスの価値 (3) 包括的所得概念では 市場を通さない自家消費 ( 例 : 帰属家賃 ) も 経済力 ( 経済資源の支配力 ) とみなすが 現実にはその評価は困難である 8 包括的所得概念と現実の所得税制度における所得との乖離 (4) 贈与や遺産については 包括的所得税では 経済力 ( 経済資源の支配力 ) の増加として所得税の課税対象とされるが 現実には贈与や遺産へ課税されるのは僅少なケースになること (5) 包括的所得税では その形態や源泉を問わず全ての所得が一様に課税ベースに算入されるが 現実には 様々な特別優遇措置が多用されており 例えば経済政策上の目的から貯蓄やキャピタル ゲインに軽課したり 社会政策上の目的から社会保障給付の非課税や特別な控除等が適用されたりする 課税ベースが現実には狭くなることで 必要な税収を徴収するために適用される税率が高くなる 水平的公平 垂直的公平および中立が達成困難 (6) 包括的所得税では その形態や源泉を問わず全ての所得が一様に課税ベースに算入されるが 現実には 税務執行の限界から捕捉されない所得が生じる 納税者番号の導入による全国民の全所得捕捉や 徹底した税務調査などが必要となるが 現実には行政コストの制約やプライバシーの保護といった理由から限界がある 2

3 インフレ調整を行わないと生じる ブラケット クリープとは?? 所得の捕捉率の格差 例 ) 下記の税率構造の下で 課税所得 超過累進税率 ~ 超 ~ 以下 2500 万円 65% 2000 万円 2500 万円 60% 1500 万円 2000 万円 55% 1300 万円 1500 万円 50% 1000 万円 1300 万円 45% 800 万円 1000 万円 40% 600 万円 800 万円 35% 500 万円 600 万円 30% 400 万円 500 万円 25% Aさんの03 年のお給料は500 万円 Aさんの所得に対して適用される最高税率 25% (= 限界税率 ) 03~04 年にかけて 10% という大幅なインフレ ( 物価上昇 ) が発生 市場における財 サービスの価格すべてが 10% 値上がりした状態 A さんの 04 年のお給料は 550 万円 (10%up) 実質的な経済力 (= 所得 ) は 03 年と同じ A さんの限界税率 30% 適用税率区分 ( ブラケット ) が上がったことで 税引後の所得 ( 実質購買力 ) は低下 包括的所得概念では 経済力 ( 経済資源の支配力 ) の増加に寄与する全てを所得とすることから 源泉が異なる労働所得 事業所得 資産所得等もすべて同等に所得とされるが 現実には 税務執行の限界から捕捉されない所得が生じる クロヨン問題 (9 :6 :4 ) 万円 400 万円 20% 200 万円 300 万円 15% 100 万円 200 万円 10% 0 円 100 万円 5% ブラケット クリープ ( 名目 ) 所得の増加にともなって その増加部分がより高い税率区分 ( ブラケット ) に押し上げられるために より高い限界税率が適用されるという問題 10 トーゴサン ( ピン ) 問題 ( 10 : 5 : 3 : 1 ) 包括的所得概念実現の限界 ~ 新たな租税理論 支出税論の議論 ( 年代 ) 支出税の提唱ホッブス ( ) が起源 ~1930 年代フィッシャーによる資本 所得理論 第二次世界大戦後 カルドアによる 支出税 (1955) 再提起 アンドリュース論文 (1974) によって 支出税制度の簡素化 簡略化を証明 支出税の主な前提 1 ライフサイクル モデル一世代モデル 生涯所得 = 生涯消費 2 生涯にわたる税率不変 3 将来の稼得所得等すべて現在価値で評価他 支出税とは Y = C 包括的所得税の主な主張 12 時点間の経済力の増加に着目 Y = C + K 生涯所得 = 生涯消費の前提で 課税ベースを消費とする税 ( 直接税 ) 支出税の課税ベースの算定は 労働所得 資産所得 資産売却収入 貯蓄引出額等のキャッシュインフローから 資産購入 貯蓄ないし投資 支払利子 借入金返済などの非消費的キャッシュアウトフローを控除することで 消費 ( にあてられる資金 ) ベースを算定 さらに 諸々の条件下における割引現在価値で 生涯消費 = 生涯労働所得が成立し この場合 課税ベースは 消費と労働所得で同質 12 支出税の優位性 : 簡素 1 資産純増の評価不要包括的所得税における 現在は支配 ( 消費 ) していないが 将来において実行できる経済資源の支配力 ( 財産権価値の純増 )= K の評価 ( 例 : 未実現のキャピタル ゲイン等 ) が不要 2 物価調整不要 3 減価償却不要 3 市場を通さない自家消費の評価不要 4 貯蓄収益 ( 利子 ) に対する課税を二重課税とみなす場合 二重課税は解消 支出税の問題点 1 消費されない生涯所得すなわち 遺産や贈与といった資産の移転をどうするか? 遺産や贈与への課税を行わない場合は 大きな不公平が生じ 機会の平等が損なわれ 税収不足が生じる 一方で遺産や贈与への課税を行う場合は 所得税と同様の資産評価の困難という問題が依然として生じる 2 生涯にわたって税率不変等という諸々の前提が非現実的 3 支出税では 資産の売買や借入れおよび返済等が課税ベースの算定に含まれることから むしろ評価の困難や消費 ( に充てられる資金 ) の捕捉の困難が生じる 所得税の難点を克服し 理論的にも優れた税として注目されるが 支出税の実現は困難 ( 過去 1950 年代にインドとスリランカで導入されたが 非現実的 との理由から すぐに廃止 ) 3

4 最適課税論 (1980 年代以降 ): 資源の最適な配分を重視 柔軟な租税理論 最適な資源配分を重視 = 納税者の経済行動 ( 労働供給や消費行動等 ) を歪めない税 労働所得や資産所得等 源泉が異なる各種所得の 異質性 を重視し この異質性 ( 一般には弾力性 ) に応じたふさわしい課税が各々提唱される ラムゼー ルール ( ラムゼーの逆弾力性命題 ) 価格弾力性の低い財 ( 課税により価格が上昇しても需要の減少が抑制される財 ex. 必需品 ) には重課 価格弾力性の高い財 ( 課税により価格が上昇すると需要が減少する財 ex. 奢侈品 ) には軽課することが課税の中立性に適う また 生産効率性に拡張すると 労働所得が非弾力的 ( 国境を越えた移動が困難 ) であれば重課 資本所得が弾力的 ( 資本移動が容易 ) であれば軽課することが課税の中立性に適う 批 判 近年の最適課税論 : 分配特性の異質性にも着目 ( 公平性への配慮 ) 源泉の異なる所得が 階層別の所得分配で一定の性質を有する (= 資産所得が主として高所得層に分布し 逆に労働所得が主として低所得層に分布している ) ことから 仮に分配特性を重視した場合は 労働所得には軽課 資産所得には重課が主張される 二元的所得税 ( 最適課税論 : 最適な資源配分を重視し 公平にも配慮 ) スウェーデン デンマーク ノルウェー フィンランドで1980 年代後半 ~1990 年代に導入 目的 : 優遇措置を利用した資産所得への課税回避を防止 ( 資本所得ベース拡大 ) 税率引き下げ 税率 50% 40% 30% 資本所得 ( 利子 配当 株 土地等譲渡所得 家賃など ) 比例税適用 勤労所得 ( 賃金 給与 賞与 社会保障給付 ( 年金や失業給付等 ) など ) 累進税適用 生産効率性の観点から 弾力的な資本よりも非弾力的な労働に重課することを主張するラムゼー ルールを前提に 公平性とのバランスに配慮 所得 利子所得課税が貯蓄行動に与える影響 図 4-1 課税前の最適貯蓄行動 ライフ サイクル貯蓄理論 ( 家計は現在と将来からなる二期間の最適な消費配分を考える ) ある家計は現在のみ働いてWだけ所得を得たとする ( 将来は引退して働かない ) 効用関数 U=U(X1, X2) この家計の生涯の予算制約線 所得 (W)= 現在消費 (X1)+ 貯蓄 (S) 1 この貯蓄 S には利子率 r の利子所得が生じる将来消費 (X2)=(1+r) S S= X2 (1+r) 生涯を通じた予算制約式 (1+2) 所得 (W) =X1 + 2 X2 (1+r) 将来消費 X2 来消費( 予算制約線の傾きの絶対値 =1+r) 現在消費貯蓄将W' 効用曲線と予算制約線の交わる点 = その人に最適な現在消費と将来消費の選択 1+r その人の効用曲線 W 現在消費 X1 利子所得課税が貯蓄行動に与える影響 図 4-1 前提の状態に対して 利子所得税が導入された場合の効果を考える 現在消費は利子所得税の影響は受けない ( 図 4-11 式は変わらず ) しかし 利子所得を得る将来消費は影響を受ける ( 図 4-12 式は変化 ) 課税後の生涯の予算制約線 利子所得に対する税額 T =S( 貯蓄 ) r( 利子率 ) t( 利子所得税率 ) 課税後の将来消費 (X2) =S (1+r) - T =S (1+r)-(S r t)=s {1+r(1-t)} S= X2 3 {1+r(1-t)} 生涯を通じた課税後の予算制約式 (1+3) 所得 (W) X2 =X1 + {1+r(1-t)} ( 予算制約線の傾きの絶対値 ={1+r(1-t)} 課税後の予算制約線の傾きは 課税前 (1+r) と比べて 利子率に対する税率分 rt だけ低下する 16 = 貯蓄収益率が低下 所得 (Y) この家計は 利子所得税を課税されたことで 貯蓄意欲を失って現在消費を増やす ( 代替効果 E A) が ある程度の将来の可処分所得を確保するために一定程度の貯蓄は増やす ( 所得効果 A E1) * 代替効果の程度は 貯蓄の収益弾力性によって異なる E A E1 課税後傾き ={1+r(1-t)} 課税前傾き =1+r 余暇 (L) 4

5 最適課税論のメリット : 柔軟性 現実性 1 所得の 異質性 に応じて 最適な資源配分を重視した中立的な (= 課税によって生産要素供給になるべく変化を生じさせないような ) 税体系が導出される 2 最適な資源配分のみならず分配特性という 異質性 にも応じた税体系の導出も可能である 3 現行の所得税体系は 包括的な所得ベースではなく 所得種類によって課税が異なる分類所得税体系にあることから 最適課税論に基づく それぞれの所得の異質性に応じた税体系は 実現可能性が高い 最適課税論の問題点 : 明確性 整合性の欠如 1 着目する 異質性 によって導出される税体系が異なる 2 異質性 の認識が多様化するほど 課税方法も複雑化し 最適な資源配分や所得分配のいずれの効果も減殺されることになる 3 一般に前提とされる各所得の 弾力性 を測定することが困難である ( 実証研究においても一致した結論は ( 現段階では ) みられない ) OECD 諸国 29カ国中 25カ国個人単位 ( 日本は戦後から個人単位へ ) 1-3. 所得課税の制度設計夫婦 ( 世帯 ) 単位 独身者世帯に比べて夫婦世帯が 共稼ぎ世帯に比べて片稼ぎ世帯が 低所得層に比べて高所得層課税単位が それぞれ有利になる等の問題点納税者の世帯のうちで 配偶者や扶養親族も所得を稼得している場合に 課税対象となる所得を 所得を有する個人ごとに捉えるのか 世帯全体として捉えるのか 夫婦単位又は世帯単位 類 型 個人単位 合算分割課税 均等分割法 (2 分 2 乗課税 ) 考え方 稼得者個人を課税単位とし 稼得者ごとに税率表を適用する ( 実施国 : 日本 イギリス アメリカ ドイツは選択制 ) 夫婦を課税単位として 夫婦の所得を合算し均等分割 (2 分 2 乗 ) 課税を行う 具体的な課税方式としては 次のとおり 独身者と夫婦に対して同一の税率表を適用する単一税率表制度 ( 実施国 : ドイツ ) 異なる税率表を適用する複数税率表制度 ( 実施国 : アメリカ ( 夫婦共同申告について夫婦個別申告の所得のブラケットを 2 倍にしたブラケットの税率表を適用した実質的な 2 分 2 乗制度 )) 夫婦及び子供 ( 家族 ) を課税単位とし 世帯員の所得を合算し 不均等分割 (n 不均等分割法分 n 乗 ) 課税を行う (n 分 n 乗課税 ) ( 実施国 : フランス ( 家族除数制度 )) 合算非分割課税 夫婦を課税単位として 夫婦の所得を合算し非分割課税を行う ( 注 ) 1. イギリスは 1990 年 4 月 6 日以降 合算非分割課税から個人単位の課税に移行した 2. アメリカ ドイツでは 夫婦単位と個人単位との選択制となっている ( 出所 ) 財務省ホームページ各種税金の資料 19 問題 累進税率構造 : 所得税の公平に寄与 ( 負担の垂直的公平を実現 ) 単純 ( 総額 ) 累進制度 : 前近代的な累進税率構造 日本では明治 20 年所得税創設 ~ 大正 2 年税制改正まで採用 単純 ( 総額 ) 累進制度における税負担額 一つの課税ベースに単一の税率を適用 課税所得単純 ( 総額 ) ~ 超 ~ 以下累進税率 2,000 万円 50% 1,000 万円 2,000 万円 40% 600 万円 1,000 万円 30% 300 万円 600 万円 20% 0 円 300 万円 10% A さん ( 所得 600 万円 ) 税負担 =600 万円 20%=120 万円税引後所得 =480 万円 B さん ( 所得 601 万円 ) 税負担 =601 万円 30%=180.3 万円税引後所得 =420.7 万円 C さん ( 所得 5000 万円 ) 税負担 =5000 万円 50%=2500 万円税引後所得 =2500 万円 税率区分の境界水準の所得で 税引後所得の逆転が生じる税負担の増加度が急進的である 20 超過累進制度 : 現代的な累進税率構造 現代の所得税においては この超過累進制度が採用される 超過累進制度における税負担額 一つの課税ベースをいくつかの所得区分 ( ブラケット ) に分けて 各所得階層ごとに次第に累進する税率を適用 ~ 超 課税所得 ~ 以下 超過累進税率 2,000 万円 50% 1,000 万円 2,000 万円 40% 600 万円 1,000 万円 30% 300 万円 600 万円 20% 0 円 300 万円 10% 逆転現象は生じず 平均税率は連続して上昇 A さん ( 所得 600 万円 ) 税負担 =(300 万円 ) 10% + (600 万円 -300 万円 ) 20%=90 万円税引後所得 =510 万円 Bさん ( 所得 601 万円 ) 税負担 =(300 万円 ) 10% + (600 万円 -300 万円 ) 20%+ (601 万円 -600 万円 ) 30%=90.3 万円税引後所得 =510.7 万円 C さん ( 所得 5000 万円 ) 税負担 =(300 万円 ) 10% + (600 万円 -300 万円 ) 20%+ (1000 万円 -600 万円 ) 30%+ (2000 万円 万円 ) 40%+ (5000 万円 万円 ) 50% =2110 万円税引後所得 =2890 万円 5

6 21 課税方式 総合課税 申告納税 源泉徴収 A さんの 1 年間の収入給与所得 500 万円 + 利子所得 1 万円 + 配当所得 10 万円 + 株の譲渡所得 100 万円 + 事業所得 200 万円 各種の所得はすべて合算して課税ベースとし その合算した一つの課税ベースに対して税率を乗じ 税額を算出する方式 水平的公平を達成する さらに累進税率構造の下で垂直的公平も達成する 分離課税 ( 分類所得税体系 ) 所得を発生形態 性質に応じて区分し それぞれ異なる課税ベースとする そしてそのそれぞれの課税ベースに対して 異なる税率を適用して税額を算出する方式 納税方式 確定申告によって自ら 所得および税額の算定を申告し 納税を行う方式 所得を稼得する時点で 所得支払者によって算定された税額があらかじめ徴収され代行して納税されることから その所得を稼得した者 ( 所得受取者 ) は 申告 納税が不要となる方式 22 控除 : 所得税の公平に寄与 ( 各人の人的事情や社会政策的見地を配慮 ) 算納税はか課 所ら出額得 税税税額ベ一ー定所額純控除ス額得所かをら控得除除外(所さ=得れ控る除控)額除 所得控除が除かれた純所得が 課税所得として税率が乗じられるので この税率が累進的である場合 控除額について適用される最高税率が高いほど ( 高所得層ほど ) 軽減額が大きくなる 所得控除の合計額 ( 課税最低限 ) が大きくなればなるほど 納税人員は少なくなることから 税務行政コストの抑制に寄与する *税額控除の性質 額から除外される)所得控除の性質 一定額を控除(=控除額は税*税率適用後の算定税額から税率純所得(収入マイナス経費) 所得の大小に関係なく 同一の事情に置かれた納税者について 税額控除によって軽減される所得税額が常に等しいという特徴 (= 累進税率の下で 低所得層ほど軽減相対額が大きくなる ) 同様の性質を有する所得控除の適用と比較すると 税額控除の算定 申告まで手続きが必要となる人員が増大することから 税務行政コストが上昇する 2. 所得課税 ---- 法人税 2-1. 法人の概念 法人の仕組み 出資 50 万円 出資 50 万円 出資金 100 万円を元手に開業 開業初年度 100 万円の利益 ( 法人所得 ) 株式会社 比例税 法人所得 100 万円 法人税率 30% =30 万円納税 政府 税引後の手元資金 =100 万円 -30 万円 =70 万円 全額出資者へ分配する場合 法人の考え方 1 独立説 ( 法人実在説 ) 法人という企業体は ( 出資者 ) から独立した それぞれ別々の経済主体である とする考え方 法人には法人の担税力 ( 税を負担する経済力 ) があり 法人への課税は正当とされる 法人の考え方 2 統合説 ( 法人擬制説 ) 株式会社 比例税 法人所得 100 万円 法人税率 30% =30 万円納税 政府 法人という企業体は ( 出資者 ) の集合体に過ぎない とする考え方です 法人の利益は最終的には配当という形式でに還元され ( るはずであり ) その配当には 所得税が課税されることから 法人への課税は正当ではなく 法人と個人 ( ) の二重課税とされる 23 6

7 際には 日本の法人税負担は重いため 法人税率を引き下げるべき として 法人税の実効税率を 5% 引き下げる案が国会提出されました 日本の法人の公的な負担は本当に重いのでしょうか? 図 4-2 法人所得課税の実効税率 ( 国 + 地方 ) の国際比較 25 ( 出所 ) 財務省ホームページ 平成 22 年度税制改正の大綱 参考資料 ( 出所 ) 財務省ホームページ各種税金の資料から筆者作成 年 10 月 17 日閲覧 実おり 現実には 独立説と統合説の折衷的な課税が多い 法人課税は ほぼいずれの国においても存在する ほとんどの国で の受け取る配当所得については ( 個人段階で ) 一定の負担軽減を図って 主要先進国における配当所得への各段階での課税方式 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 法人段階法人税率 30% 法人税率 35% 法人税率 28% 法人税率 15% 法人税率 33 1/3% + 税額の 5.5% の連帯付加 個人選択制 段階的 ( 総合 ) 課税 段階的 ( 総合 ) 課税 選択制 選択制 段階にお 申告不要を選択した場合 2 段階 0 15% 2 段階 % 申告不要を選択した場合 申告不要を選択した場合 ける配当 2011 年 12 月まで所得税 7% 25% 分離課税 18% 分離課税への課税方式 ( 本則の税率 : 所得税 15%) 法人との調整 総合課税を選択した場合 総合課税を選択した場合 総合課税を選択した場合 受取配当にその1/9を加えた超過累進税率が適用される 超過累進税率 10~50% 超過累進税率 10~50% 額を課税所得に算入し 算出 が 申告不要制度と比べて 法人との調整 税額から受取配当額の 1/9を 法人との調整 配当税額控除総合課税の方が納税者にとっ配当所得一部控除方式控除する部分的インピュテー 申告分離を選択した場合ション方式が採用 て不利になる場合は 25% の ( 受取配当の 60% をの 2011 年 12 月まで所得税 7% 源泉徴収のみ課税 課税所得に算入 ) しかし 法人の公的負担は 法人税だけではありません 主要先進国の法人は 従業員に対する社会保険も負担することが原則として義務付けられています 図 4-3 社会保険料事業主負担及び法人所得課税の税収の国際比較 ( 対国民所得比 ) 図 4-4 法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査 ( 平成 18 年 3 月 ) ( 注 ) 社会保険料事業主負担については 法人事業主及び個人事業主の負担分の他に 公共部門の社会保険料納付義務 ( 出所 ) 財務省ホームページ 平成 22 年度税制改正の大綱 参考資料 年 10 月 17 日閲覧 28 ( 出所 ) 財務省ホームページ 平成 22 年度税制改正の大綱 参考資料 年 10 月 17 日閲覧 日本企業の公的負担は先進国において 高い とは言えない! 7

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