複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 塩害が促進されると考えられる 中性化が塩害を促進する機構として 中性化による塩化物イオン濃度分布の変化 すなわち 中性化したコンクリート中において セメント水和物による塩化物イオンの固定化能が低下することによって生じる中性化領域以深における塩化物

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1 大成建設技術センター報第 38 号 (005 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 LCC 算出によるコンクリート構造物の維持管理計画の試算 武田均 * 小山哲 * * 丸屋剛 Keywords : RC structure, combned deteroraton, chlorde attack, carbonaton, alkal slca reacton, LCC RC 構造物, 複合劣化, 塩害, 中性化, アルカリ骨材反応, ライフサイクルコスト. はじめに. RC 構造物の劣化曲線の検討 高度経済成長と共に建設されてきた 公共あるいは民鉄筋コンクリート (RC の劣化現象の中で コンクリー間の多くの土木構造物は 建設後 30 年あまりを経過してト中に配置された鉄筋が腐食し断面欠損する現象は構造何らかの対策を要する構造物が増加しつつある 対策に物においてしばしば観察され 維持管理において考慮さあたっては 構造物の劣化状況をできるだけ正確に把握れる主要な劣化現象となっている 本論文では 鉄筋腐して劣化機構を明らかにし 個々の劣化機構に応じて適食を指標としていくつかの劣化機構が複合して作用する切な対策方法を選定することが重要である また 限ら場合の構造物の劣化曲線を検討した 劣化曲線を求めるれた予算によっていくつかの構造物を維持管理するためために適用した手法は 塩化物イオンや中性化の進行をには いつ どの構造物のどの部位に どのような対策拡散現象として解析的に求め 次に これらの劣化要因を実施すべきかといった課題に対して 費用対効果によを入力とするニューラルネットワークによって鉄筋の腐って対策の意思決定が行なわれるのが理想的である こ食グレードを状態確率として求め 最終的に鉄筋腐食にのような観点から 構造物の供用期間中における劣化のよって構造物に生じる浮き はく離などの変状確率を求進展を予測することによって 維持管理におけるライフめるものである サイクルコスト (LCC を算定し LCCをできるだけ小. 鉄筋腐食の機構さくできるように 維持管理計画を策定するといった考コンクリート中にある鉄筋は セメントに由来する高え方が一般的になりつつある いpHのため表面が不動態化しており その電位に拘わ構造物のLCCに関する研究は 便益評価やリスク評価らず鉄の溶解反応速度は極めて小さい状態にある ( 腐食など 評価手法に特徴がある研究が多い しかし これ電流密度が非常に小さい領域 しかし 長期の供用にらの研究においては 劣化の進展を劣化機構に基づいておいて 空気中の二酸化炭素の影響によってコンクリー設定したものは少ない 構造物の劣化機構が ある程度トが表面から徐々に炭酸化されて鉄筋周囲のpHが低下明らかになってきた現状において その劣化機構に基づする場合がある 中性に近いpH 下で 鉄は活性溶解し いた劣化予測手法をLCC 評価に適用することは LCC 評このとき 鉄筋の腐食が進行する 一方 コンクリート価の精度向上のために非常に有意義である 本論文は 中の塩化物イオンの濃度が高い場合には 高いpHの条塩害 中性化およびASRなどの劣化機構の複合を供用環件下であっても 鉄の溶解反応が進行する場合がある 境に応じて考慮して構造物の劣化曲線を算出することに何れの場合にも 鉄の溶解反応は水の存在下で進行する よって 構造物のLCC 評価を試みたものである なお したがって 鉄筋周囲の塩化物イオン濃度 ph 酸素本論文では LCCは耐用期間内における維持管理に要す濃度および水の存在などが主要な鉄筋腐食の要因と考える補修費の累積値とした したがって 構造物のライフられる サイクルのうち 構造物の構築 取り壊し 更新などの. 複合劣化の機構費用は含まないものとした 本論文では 複合劣化機構として 塩害と中性化 塩害とASR 塩害 中性化とASRの複合について検討した * 技術センター土木技術研究所土木構工法研究室 * ( 株 篠塚研究所それぞれの劣化機構の複合によって図 -に示したように 8-

2 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 塩害が促進されると考えられる 中性化が塩害を促進する機構として 中性化による塩化物イオン濃度分布の変化 すなわち 中性化したコンクリート中において セメント水和物による塩化物イオンの固定化能が低下することによって生じる中性化領域以深における塩化物イオンの濃縮を考慮した また ASRが塩害を促進する機構として ASRによるひび割れに着目して ひび割れを考慮した塩化物イオンの拡散係数を適用することによって ASRによるひび割れの存在下で鉄筋位置の塩化物イオン濃度が高くなる現象を考慮した 以上の各劣化機構の影響を考慮して 図 -に示したように逐次の塩化物イオン濃度分布を求めた.3 劣化機構の複合を考慮した劣化進展モデル.3. 中性化と塩害の複合劣化 ( コンクリート中の ph 分布の中性化速度による評価塩化物イオンのコンクリートによる固定化能はコンクリートのpHの低下に伴って低下すると報告されている,3 これを 中性化と塩害の複合劣化に適用するために コンクリート中のpH 分布を求める必要がある コンクリートの中性化の進行を 空気中の炭酸ガスとセメント水和物との反応をモデル化して解析的に求める研究もある しかし 現存する構造物を対象にこのような解析を行なうためには 材料や環境に関して多くのパ 中性化 塩化物イオンのセメント水和物による固定化能の低下 図 - 塩害の促進 ASR ひび割れによる塩化物イオンの拡散の促進 鉄筋位置塩化物イオン濃度の上昇 中性化および ASR の複合による塩害の促進 Promoton of Chlorde Attack by Combned Deteroraton Mechansm ラメータを仮定する必要があり 手法は精緻であっても 現実に合っているかは検証できない場合がある したがって ここでは一般に構造物の中性化の進行予測に適用される t 則を拡散則で整理することによって 構造物の調査で得られる中性化速度係数に基づいて コンクリート内部のpH 分布を評価する手法を適用した 4 コンクリートの中性化深さは % フェノールフタレインアルコール溶液をコンクリート表面に噴霧したときの呈色の有無によって判定される したがって コンクリートのpHがあるしきい値 phよりも小さくなる表面からの深さを意味する 一般に コンクリートの中性化の進行は t 則で表されるので コンクリートのpH 分布の中性化による変化は 拡散則で表現できる 拡散方程式 中性化の影響塩化物イオンの移動計算 ASR の影響 コンクリートの ph 分布 乾湿繰返し条件 ASR 進行度の経時変化の仮定 中性化深さ コンクリートの含水率分布 調査データによる ASR 進行度とひび割れ指標との関係 ( ひび割れ幅 ひび割れ密度 中性化部および未中性化における塩化物イオンの固定化率 ひび割れ幅 ひび割れ密度の影響を考慮した自由塩化物イオンの拡散係数 自由塩化物イオン濃度分布 疑似吸着による自由塩化物イオンのフラックス 自由塩化物イオンの濃度勾配によるフラックス 中性化 ASR の影響を考慮した塩化物イオン濃度分布 図 - はニューラルネットワークへの入力となる劣化機構の複合を考慮した塩化物イオン濃度分布の計算 Influence of ASR and Carbonaton of Cover Concrete on Chlorde Movement n Concrete 8-

3 大成建設技術センター報第 38 号 (005 コンクリートの ph(= -log[h ] 表面からの深さ x,cm の解を適用して ph に関わる [H ] 濃度分布を表せば式 ( の ように表される ここで コンクリートが中性化しているか否かのしきい値となる [H ] 濃度またはpHとコンクリート表面における [H ] 濃度またはpHをそれぞれ仮定すれば [H ] の拡散係数 D H と t 則における比例定数である中性化速度係数 α c の関係は式 ( となる つまり 調査などによって中性化速度係数が得られれば 任意の時刻の ph 分布が得られる 図 -3に示したように 中性化判定の しきい値 ph(= -log(c H, bound となる表面からの深さが各時刻の中性化深さに対応する C H D H 各年の中性化深さ 5 年 0 年 0 年 7 年 ph 0 = -log(c H, 0 x, = C erf ( H,0 D t H ( x t = α c ( erf C C H, bound H, 0 ここに C H (x,t: 深さ x(cm 時刻 t(d における [H ] 濃 度 (mol/l C H, 0 : 表面の [H ] 濃度 (mol/l( 一定値 D H : [H ] の拡散係数 (cm /d α c : 中性化速度係数 ( cm d C H, bound : 中性化の判定に用いる [H ] のしきい値濃度 (mol/l( 一定値 ph=-log[h ] erf(: 誤差関数 erf - (: 誤差関数の逆関数である ( 中性化による塩化物イオンの濃縮 ph(x,t= -log(c H (x,t ph bound = -log(c H, bound 図 -3 コンクリート内部の ph の分布と中性化深さ Relatonshp between Dstrbuton of ph Value n Concrete and Carbonaton Depth セメント水和物による塩化物イオンの固定化能を表す 自由塩化物イオンと固定塩化物イオンの関係は 構造物の調査結果から得られた図 -4に示した関係を用いた ここで 自由塩化物イオンはコンクリート液相中を移動可能な塩化物イオンを 固定塩化物イオンはコンクリート ( 固定塩化物イオン量 C fxed,mg/g C C fxed fxed = v m = exp 未中性化部 free, L ( ( C free < C free A ( a lnc b ( C 中性化部 0 3 C free free 自由塩化物イオン濃度 C free,mol/l 未中性化部と中性化部の各係数 係数 未中性化部 中性化部 A v m,l a 7 7 b 図 -4 自由塩化物イオン濃度と固定塩化物イオン濃度の関係 Relatonshp between Free Chlorde Ion Concentraton and Amount of Total Chlorde Ion 中において セメント水和物などに固定されて 細孔中を容易に移動しない塩化物イオンをそれぞれ意味する 自由塩化物イオンと固定塩化物イオンの和を全塩化物イオンと呼ぶ 図の関係は 構造物の調査で得られた自由塩化物イオン濃度と固定塩化物イオン量との関係を用いて コンクリート中において液相の塩化物イオン濃度と固相に固定または細孔壁に吸着されている塩化物イオン量との関係を吸着現象として整理して得られたものである 関係式および中性化部と未中性化部に対する各係数を図中にそれぞれ示した 図に示したように 水和物に固定される塩化物イオン量 (C fxed は自由塩化物イオン濃度 (C free の関数で与えられる 両者の関係は 中性化部と未中性化部で変化し 中性化部では自由塩化物イオン量が相対的に増加する結果となる 中性化による塩化物イオンの濃縮量を推定する場合に 図 -4から得られる塩化物イオンの固定化率の変化のみを考慮する場合には 塩化物イオンの固定化率の分布を仮定することによって中性化による塩化物イオンの濃縮が表現される すなわち 固定塩化物が液相中に解離されることによって 液相中の自由塩化物イオン濃度が上昇し 自由塩化物イオンの濃度勾配を駆動力とする拡散が促進される 引続き 未中性化域では液相中の塩化物イオン濃度に比例して塩化物イオンの固定量が増加するため 見掛け上全塩化物イオンは中性化のフロントで濃縮されることになる しかし 構造物の塩化物イオン濃度分布を調査した場合に コンクリート中の塩化物イオン 8-3

4 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 濃度が環境の塩化物イオン濃度と比較してかなり高くな 4 る場合がある 既往の研究において コンクリート表層 における塩化物イオンの濃縮に対して 陰イオンである 0 塩化物イオンが細孔表面の正の電荷に引き寄せられて外 8 部からコンクリート内部に浸透する機構が提案されている 5 6 本論文においても セメント水和物への塩化物 4 イオンの吸着を駆動力とする塩化物イオンの移動を考慮することにした 吸着を駆動力とする塩化物イオンのフ ラックスは式 (3 により算定した 4 0 F cl, ads = A C free ( x, t { C ( x, t C ( x, t } OH OH C ( x, t OH dx (3 全塩化物イオン濃度,kg/m 3 図 -5 中性化深さ 4mm/7 年 マーク : 調査値,7 年時線 : 計算値 表面からの深さ,cm 中性化による濃縮を考慮した塩化物イオン濃度分布 Example of Calculaton of Chlorde Profle Affected by Carbonaton ここに C - OH (x,t:phから計算される時刻 t(d 深さ x(cm における [OH - ] 濃度 (mol/l C free (x-,t : 時刻 t 深さx-における自由塩化物イオン濃度 (mol/l A:[OH - ] 濃度勾配の疑似吸着への影響度を表す係数 dx: 差分要素の分割厚さ (cm 式 (3 は 液相のpHの勾配が大きいほど また 液相中のpHが小さいほど疑似吸着の影響が大きくなることを仮定したものである 中性化部と未中性化部では細孔表面のチャージが変化し 疑似吸着の影響がより大きくなる可能性があると考えられる 塩化物イオンのフラックスの全量は 式 (4 に示したように 自由塩化物イオンの濃度勾配によるフラックスと上述の吸着によるフラックスの和とした 塩化物イオン濃度分布の経時変化の計算においては 式 (4 のフラックスを用いて 差分法により逐次の濃度分布を求めた ここに F cl F cl = Fcl, conc Fcl, ads (ASR に着目すれば ASRによる主要な劣化現象は膨張性のひび割れである したがって ASRは鉄筋腐食の直接的な原因とはならない しかし 塩害とASRが複合する場合には ASRによって生じたひび割れが 塩化物イオンの鉄筋への到達を容易にし 鉄筋の腐食を促進することは考えられる,7,8,9 ( 塩化物イオンの移動に及ぼすひび割れ密度の影響本論文では 塩化物イオンの移動に及ぼすASRのひび割れの影響を考慮するために 示方書に示されている式 (5 で表される拡散係数の算定式 0 を参考にして ひび割れの影響を考慮した自由塩化物イオンの拡散係数を求めた w w = γ c Dk D0 l w (5 a (4 ここに D d : 塩化物イオンに対する設計拡散係数 : 自由塩化物イオンのフラックス (cm / 年 γ c : 材料係数 D k : 塩化物イオンに対する (mol/d/cm F cl, conc : 自由塩化物イオンの濃度勾配によ 拡散係数の特性値 (cm / 年 D 0 : 塩化物イオンの移動 るフラックス (mol/d/cm F cl, ads : 自由塩化物イオンの に及ぼすひび割れの影響を表す定数 (cm / 年 w a : 許 疑似吸着によるフラックス (mol/d/cm 容ひび割れ幅 (mm w: ひび割れ幅 (mm l: ひび割れ 図 -5はトンネルの漏水痕部で観察された塩化物イオン 間隔 (mm w/l: ひび割れ密度 濃度分布と本手法による計算結果を示したものである 式 (5 は ひび割れを含むコンクリートの平均的な拡 この構造物は 竣工後 7 年を経過し 漏水の影響を受け 散係数を与えることによってひび割れによる塩化物イオ る部分では高濃度の塩化物イオンが含有されていた 6 ンの移動を考慮するものである ASRの進行と共にひび 図に示した調査地点での中性化深さは4mmであった 割れ幅が増大すれば コンクリート中への塩化物イオン 本手法による計算値は 疑似吸着項に関する係数 Aを調 の侵入が促進され 鉄筋の腐食が促進されることになる 整することで調査結果と良く一致した 4 式 (5 の実構造物への適用性は十分に明らかでないが.3. 塩害と ASR の複合劣化 ASRのひび割れが鉄筋腐食に及ぼす影響を考慮する方法 コンクリートの劣化機構としてアルカリシリカ反応 としては有効であると考えた D d

5 大成建設技術センター報第 38 号 (005 ASR 進行度, α.0 0. α [ tanh{ k( t t } ] = α max h k =0.5 α max = α max t h =30 年 ひび割れ密度 d d w l ひび割れ幅 w,mm ひび割れ間隔 l,m 図 -6 ASR 進行度の経時変化 Varaton of ASR Reacton Factor along Servce Tme 図 -7 ASR ひび割れに関する各指標の経時変化 Varaton of Indexes of ASR Crack along Servce Tme (ASR の進行度とひび割れ密度の関係式 (5 をASRのひび割れが生じた構造物に適用する場合に ASRの進行によるひび割れ密度およびひび割れ幅の変化を考慮する必要がある ここでは 既往の研究を参考にして 式 (6 によってASRの進行度とひび割れ密度の関係およびASRの進行度とひび割れ幅の関係を仮定した 9 d = d w = w max max α k α ここに d: ひび割れ密度 (=w/l d max : 最大ひび割れ密度 (=w max /l mn w: ひび割れ幅 (mm w max : 最大ひび割れ幅 (mm α:asr 進行度 k k: 各部材ごとに決まる係数式 (6 において ASR 進行度 (α とは 構造物における ASRの進行度をその残存膨張性を指標として定義したものであり 全くASRが進行していないときに0 ASRが完全に進行してしまった状態でとなる 例えば 同一材料で施工された構造物において 雨掛りなどの環境条件によって 降雨の影響を受ける部位ではASRのひび割れが発生しているが 降雨の影響を受けない部位は全く健全であるといった場合がある このような環境条件にある構造物から コンクリートコアを採取して残存膨張性を調査した結果 健全部では残存膨張量 (ε ' が大きく 劣化部では残存膨張量 (ε ' が小さい結果が得られている 9 このとき 健全部では全くASRが進行していないと仮定すれば 劣化部におけるASR 進行度は 式 (7 に示したように 健全部の残存膨張量に対する 健全部と劣化部の残存膨張量の差の比によって評価される k (6 α ε ε ε = = (7 ε ε ここに ε ' : 健全部の残存膨張量 ( 長さ変化率 % ε ' : 劣化部の残存膨張量 ( 長さ変化率 % α:asr 進行度例えば 実構造物の調査結果から 式 (8 のような関係が得られている 9 d=α.0 l=0.350α -. (8 w=000dl=4.α 0.9 式 (8 を用いて 構造物における各種ひび割れ指標の経時変化を求めるためには ASR 進行度 αの時間変化を求める必要がある ASR 進行度の時間変化は各種構造物の置かれる環境条件や供用条件によって決定されると考えられるため 一律に決めることは難しい また 同一部位に対して供用年数の異なる複数回の調査を行なって ASR 進行度の時間変化を求める必要があり 現状ではそのようなデータは得られていない したがって ここでは 式 (9 のようにASR 進行度の経時変化を仮定した α = α max [ tanh{ k( t t h } ] (9 ここに α:asr 進行度 α max :ASR 進行度の最大値であり構造物の環境によって0-の間の値をとる t: 供用期間 ( 年 t h :ASR 進行度が最大値の50% となる時間 ( 年 k: 進行速度を表す係数例えば 式 (9 で表される曲線は適当な係数を用いれば 図 -6のように表され これにより 式(8 で計算され 8-5

6 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 るASRによるひび割れ指標の経時変化は図 -7のように決定される このようにして求めた ひび割れ密度およびひび割れ幅を用いて 各時刻における塩化物イオンの拡散係数を算定して 塩化物イオン濃度分布を求めることで ASRによるひび割れが塩害を促進する機構を考慮できる.4 補修の効果本論文では補修方法として 一般的に用いられている表面被覆工法 断面修復工法を対象とした その他 電気防食工法も最近では適用される場合があるが 電気防食工法が十分に機能すれば それ以降の劣化の進行は考慮しなくて良いことになるため 本論文の範囲からは除外した 表面被覆工法は 構造物の表面に塗膜層を作り これにより表面からの塩化物イオン 水等の物質の侵入を抑制するものである 塗膜層の寿命については十分に明らかでないが ここでは表面被覆材料の劣化モデルとして塗膜の物質透過性の低減率を累積正規分布関数によって与える式 (0 で表されるモデルを適用した 図 -8 各種劣化機構の複合を考慮した劣化要因の推定値 かぶり鉄筋位置塩化物イオン濃度中性化深さ気象データ 階層型ニューラルネットワーク 鉄筋の腐食グレード 推定誤差に基づく各腐食グレードの確率分布 腐食グレードと外観変状との相関表による外観変状確率 腐食グレード確率と外観変状確率の算出フロー Flow Chart of Calcuraton for Corroson Probablty and Probablty of Vsble Deteroraton F ( t = t σ ( t μ σ e dt π (0 ここに F(t: 時刻 tにおける塗膜の物質透過性の低減率 t: 塗膜施工後の経過時間 ( 年 μ: 塗膜の平均寿命 ( 年 σ: 塗膜の寿命の標準偏差 ( 年 物質透過性の低減率は 表面被覆材を通る塩化物イオンの浸透フラックスの低減率および中性化速度の低減率とすることによって 表面被覆材の劣化状況による鉄筋腐食の抑制効果の低下を表現する指標として用いた 次に断面修復工法については 対策実施時に断面修復を施した範囲では塩化物イオン濃度がゼロになること 断面修復材料の材質に応じて塩化物イオンの拡散係数や中性化速度を再設定すること 腐食した鉄筋は取り替えることを仮定して 腐食グレードが初期値に戻ることなどを仮定した 断面修復後には 構造物の環境条件に応じて再び中性化が進行したり 塩化物イオンが浸入することによって再劣化が生じる場合がある.5 劣化曲線前節までの検討によって 各種の劣化機構の複合による塩化物イオン濃度分布の変化が推定できる また 補修効果を考慮して塩化物イオン濃度分布や中性化の進行を推定することができる 本節では 上述のモデルを適用して 劣化機構が複合する場合の劣化曲線を試算した 8-6 構造物の劣化指標としては 最終的には 構造物に生じる浮きおよび剥離の面積率に相当する外観の変状確率を用いた.5. ニューラルネットワークを利用した腐食グレード確率および外観変状確率の評価ニューラルネットワークを利用した鉄筋腐食評価の概要を図 -8に示す 本手法の核となるモデルは 既往の調査データを用いて構築した 腐食要因と鉄筋の腐食グレードとを関連付けるニューラルネットワークであり これにより 任意の入力に対して鉄筋の腐食グレードを推定することができる 次に 調査データ全体に対する推定値の確率分布に対して対数正規分布を仮定することにより 式 ( を用いてニューラルネットワークによる腐食グレードの推定値を各腐食グレードの確率に変換した P( E P( E P( E P( E 3 4 lnα - ln μ = Φ( ζ lnα - ln μ lnα - ln μ = Φ( - Φ( ζ ζ lnα 3 - ln μ lnα - ln μ = Φ( - Φ( ζ ζ lnα 3 - ln μ = - Φ( ζ (

7 大成建設技術センター報第 38 号 (005 ここに P(E P(E P(E 3 P(E 4 : 各腐食グレード の確率 [P(E P(E P(E 3 P(E 4 =] Φ( : 標準正規確率 分布関数 α, α, α 3 : 腐食グレードのしきい値であ り 調査値と推定値との誤差の確率分布に対数正規分布を仮定して 隣り合う腐食グレードの確率分布のしきい値となる腐食グレードの推定値を求めた μ : 中央値であり ここではニューラルネットワークによる腐食グレードの推定値 ζ : 腐食グレードの推定値分布を対数正規分布と仮定したときの対数標準偏差であり 調査値と予測値の関係における対数尤度が最大となる条件で決定した対数標準偏差である 3 本研究で用いたニューラルネットワークモデルによる腐食グレードの推定値のしきい値および推定値分布に対する対数標準偏差は それぞれ α =.8 α =.4 α 3 =.9 ζ =0.であった 構造物において鉄筋の腐食は 浮きやはく離といった外観調査で把握される外観変状と強い相関がある このような観点で調査データを整理して 腐食グレードと外観変状の相関は表 -のように整理されている 4 ここで 変状ありとは構造物表面に浮きおよび剥離が観察される状態であり 変状なしとは 健全およびひび割れがある状態である 本論文では 腐食グレードの確率から 外観変状確率への換算は 表 -の換算式により行なった 表 -に従えば 概ね腐食グレードIおよびIIは変状なし 腐食グレードIIIおよびIVは変状ありとなる.5. 劣化機構の複合が劣化の進展に及ぼす影響表 -に示した条件で 各種劣化機構における劣化の進展を試算した結果を図 -9に示す 本研究では中性化は乾燥条件下でのみ進行し 塩化物イオンの浸透は湿潤条件下でのみ進行することを仮定した したがって 表に示したように 塩害単独および塩害とASRの複合の場合には 乾湿繰返し条件として 常に湿潤環境であることを仮定し 中性化が複合する場合には 乾燥と湿潤が一定のサイクルで作用することを仮定した このように 乾 4 表 - 鋼材の腐食グレードと外観変状の換算表 Converson Table for Probablty of Corroson Grade of Renforcement and Probablty of Vsble Deteroraton 鉄筋の腐食グ外観変状レードと確率変状なし変状あり 合計 I P P 00 P II P 0.958P 4P P III P P3 6P3 P3 IV P4 7P4 33P4 P4 合計 P0.958P 4P6P P37P4 33P4.000 乾湿サイクル 塩化物イオン濃度分布 中性化深さ ASR 進行曲線 ASR ひび割れ指標 表面被覆の仕様 断面修復の仕様 表 - 劣化曲線の検討条件 Condton for Tral Calcuraton of Deteroraton Curve 項目 単位 劣化機構塩害単独塩害 中性化塩害 ASR 塩害 中性化 ASR 湿潤 日 乾燥 日 初期塩化物イオン濃度 kg/m 3 環境の塩化物イオン濃度 mol/cc 045 自由塩分の拡散係数 cm /d 0 疑似吸着 Flux の係数 最表面のpH コンクリートのpH -.4 中性化境界のpH 中性化速度係数 cm y 3.65 最大値 % となる時間 年 30 曲率 最大ひび割れ密度 mm/mm ひび割れ密度曲率 -.0 最大ひび割れ幅 mm 4. ひび割れ幅曲率 最小ひび割れ間隔 m ひび割れ間隔曲率 - -. 寿命の平均値 年 5 寿命の標準偏差 年 3 修復厚さ cm 0 自由塩分の拡散係数 cm /d 0 中性化速度係数 cm y

8 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 a 劣化曲線 ( 変状確率の経時変化 b 鉄筋位置塩化物イオン濃度の経時変化 c40 年時の塩化物イオン濃度分布 変状確率.0 0. 塩害単独塩害と中性化の複合塩害と ASR の複合塩害 中性化と ASR の複合 kg/m 3 かぶり 4cm の鉄筋の Cl - 濃度 塩害単独塩害と中性化の複合塩害と ASR の複合塩害 中性化と ASR の複合 kg/m 3 全塩化物イオン濃度 塩害単独塩害と中性化の複合塩害と ASR の複合塩害 中性化と ASR の複合 表面からの深さ,cm 図 -9 各種劣化機構による劣化曲線の試算結果 Tral Calculaton Results of Deteroraton Curve wth Varous Deteroraton Mechansms 湿繰返し環境の設定によって 中性化と塩害の複合の有無を設定した 6 なお ASRについては 原因となる鉱物の含有の有無によってASRが発生するか否かが決まることから ASRを考慮する場合にはASR 進行度の最大値を0.5とし ASRを考慮しない場合には最大値を0とした 図 -9a は 各種劣化機構における変状確率の経時変化を示したものである 00 年間の変状確率の推移では 塩害 中性化とASRが複合する場合が最も変状確率が大きく 次に塩害と中性化が複合する場合であった 塩害単独の場合と比較すれば 00 年時の変状確率は劣化機構の複合を考慮するか否かで大きく異なっている 変状が現れる時期は 中性化が複合する場合に早く 約 0 年で変状が現れる 次に ASRと塩害が複合する場合に約 5 年 塩害単独の場合には約 50 年頃から変状が現れる結果となった 図 -9b に示したように 0 年頃までは中性化の複合の有無に拘わらず 鉄筋位置の塩化物イオン濃度は各劣化機構とも同等であることから 本論文で適用したニューラルネットワークモデルでは 中性化が影響する場合に変状が早期に現れると評価される 次に ASR の進行は 図 -6に示したように 0 年頃から開始し 50 年頃までに終了する この間 ひび割れ密度の増加に伴って 塩化物イオンの拡散係数が増大する したがって 図 -9b に示したようにASRが複合する場合には 5 年頃から 急激に鉄筋位置塩化物イオン濃度が増加するため 5 年頃から変状が現れるものと考えられる 本研究で仮定した各種複合劣化機構における劣化の進展は 図 -9c に示したように塩化物イオン濃度分布の変化で表される すなわち ASRが複合する場合には ひび割れの影響によって塩化物イオンの拡散係数が増大することによって 内部における塩化物イオン濃度がかなり大きくなる ま た 中性化が複合する場合には 最表面よりも表面から数センチメートル内部で塩化物イオンが濃縮するため 塩害単独の場合よりも鉄筋位置の塩化物イオン濃度は初期から高い値で推移する結果となる 表 -に示したように 中性化の複合の有無によって湿潤期間に約 5 倍の差があり 中性化が複合する場合には 塩害単独および ASRと塩害が複合する場合と比較して 塩化物イオンの浸透期間が/5 程度であるにも拘わらず より多くの塩化物イオンが内部に浸透していることがわかる なお 中性化が複合する場合の変状確率が階段状を示しているのは 差分要素のpHによって中性化深さの判定を行なったため 中性化深さの経時変化が階段状に評価されたことの影響である 差分要素の分割幅が十分に小さければ 本来は滑らかな曲線を示すものである.5.3 補修対策後の劣化の進展図 -0に 補修対策時期の違いが その後の劣化の進行に及ぼす影響についての試算結果を示す ここでは 構造物の竣工後 0 年毎に 表 -に示した断面修復の仕様 ( かぶり4cmに対して 修復深さ0cmで既設コンクリートと全く同じ材料を用いる仕様 で断面修復を行なった場合について試算した 図 -0a および図 -0b に示したように塩害単独および塩害と中性化が複合する場合には 対策時期に拘わらず 対策後の劣化の進展は無対策の場合とほぼ同様な履歴を示すと考えられる 一方 塩害と ASRが複合する場合には 図 -0c に示したように 対策時期が遅いほど その後の劣化の進展が早くなる傾向がある これは ASRにより構造物が劣化した場合に ひび割れの影響により 断面修復部以深のコンクリートにおける塩化物イオンの拡散係数がかなり大きくなること 断面修復時期が遅くなれば 修復範囲以深に残留する塩 8-8

9 大成建設技術センター報第 38 号 (005 a 塩害が単独で作用する場合 b 塩害と中性化が複合する場合 断面修復後の変状確率.0 0. 断面修復実施年 無対策 0 年 40 年 60 年 80 年 断面修復後の変状確率.0 0. 断面修復実施年 無対策 0 年 40 年 60 年 80 年 断面修復後の経過時間, 年 断面修復後の経過時間, 年 c 塩害と ASR が複合する場合 d 塩害 中性化と ASR が複合する場合 断面修復後の変状確率.0 0. 断面修復実施年 無対策 0 年 40 年 60 年 80 年 断面修復後の変状確率.0 0. 断面修復実施年 無対策 0 年 40 年 60 年 80 年 断面修復後の経過時間, 年 断面修復後の経過時間, 年 図 -0 補修対策後の劣化の進展 Calculaton Results of Deteroraton Progress after Repar Work 化物イオン濃度がより高くなることなどによって 修復後に既設コンクリート部から鉄筋位置に拡散する塩化物イオンが相対的に増加するためと考えられる また 断面修復対策後はASRの進行が停止することを仮定したため 無対策の場合と比較すれば 何れの時期に対策しても対策後の劣化の進展は遅くなる さらに 図 -0d に示したように塩害 中性化とASRが複合する場合にも 対策時期が遅いほど対策後の劣化の進展がやや早くなる傾向があるが 図に示したようにその差は僅かであり 対策時期に拘わらずほぼ同様な履歴とみなせる 以上の結果は かぶり4cmに対して非常に大きい断面修復厚さである0cmを仮定して得られたものである.5.4 断面修復厚が対策後の劣化の進展に及ぼす影響.5.3に示したように 断面修復厚さが十分に大きければ 対策後の劣化の進展は 対策時期に関係なくほぼ同様な劣化の進展を示す場合が多い しかし 断面修復深さが十分大きくない場合には 再劣化時期はさらに早期になると考えられる 図 -は塩害と中性化が複合して作用する場合に 供用後 60 年時に断面修復を行なったときのその後の劣化の進展を示したものである 図のよう に はつり深さが50mmの場合には対策後 0 年くらいから再劣化による変状が現れる これに対して00mmの場合には 対策後 0 年くらいから再劣化による変状が現れると考えられる 両ケースでは 対策後の中性化の進展は全く同じと見なせるので 鉄筋位置の塩化物イオン濃度の対策後の履歴がはつり深さによって異なることによって 再劣化の開始時期に違いが生じたと考えられる 図 -は対策直前(60 年時 から対策後 40 年 ( 供用 00 年時 までの塩化物イオン濃度分布の変化を示したものである はつり深さを00mmとすれば はつり深さ以深に残留する塩化物イオン濃度はかなり小さい 一方 はつり深さが50mmの場合には 図 -b に示した6 年時の濃度分布のように はつり深さ以深に多量の塩化物イオンが残留し この残留した塩化物イオンは対策後の時間経過に伴って 断面修復部 ( 表面方向 および内部方向の両方向に拡散する したがって はつり深さ00mmの場合よりも50mmの場合の方が鉄筋位置塩化物イオン濃度が高い値で推移することになる これにより 断面修復厚さが50mmの場合には より早期に再劣化が生じると考えられる 8-9

10 断面修復後の変状確率.0 0. 塩害と中性化の複合 60 年時断面修復 はつり厚さ 50mm はつり厚さ 00mm 断面修復後の経過時間, 年 図 - 断面修復厚さと変状確率の関係 Dfference n Deteroraton Progress by Secton Restoraton Thckness 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 a はつり深さ 00mm b はつり深さ 50mm 全塩化物イオン濃度, kg/m 表面からの深さ,cm 60 年 6 年 65 年 70 年 80 年 90 年 00 年かぶり 4cm 全塩化物イオン濃度, kg/m 表面からの深さ,cm 図 - 塩害と中性化が複合する場合の対策後の塩化物イオン濃度分布 Tme Varaton of Profle of Chlorde Concentraton after Repar 60 年 6 年 65 年 70 年 80 年 90 年 00 年かぶり 4cm 3. LCC の試算 3. LCC の算出方法本研究では 変状確率を変状面積率とみなして 構造物の見付け面積に変状確率を乗じたものを変状面積とした ここで 対策は 変状ありの部分に部分的に適用されるものとした 5 したがって 未対策の部分は 当初の条件のまま劣化が進行することになる 図 -3および式 ( に示すように 回目の対策時期における再劣化を考慮した対策面積率は 無対策のまま推移した場合の 回目の変状確率の増分と - 回目までに既に対策が終了している範囲の再劣化による 回目における変状確率の増分の和とした LCCは 式 (3 に示したように 再劣化を考慮した変状面積率に補修面積単価と構造物の見付け面積を乗じることにより算出する なお 構造物の管理上 ある程度の変状確率が許容される場合を想定して 式 ( に示したように 算出された変状確率から許容される変状確率を差引くこととした ここでは 再劣化以降の対策後の劣化については 劣化曲線の算定は可能だが LCC 算定の簡単のため考慮しなかった また 回目に対策したものの 回目における再劣化による変状確率は考慮しなかった 無対策範囲の劣化曲線無対策範囲の 回目における要対策面積率 - - ( 対策時期, 回目 j=-(- 回目の対策範囲の再劣化曲線 - 回目に対策した範囲の 回目における要対策面積率 - - j=-(- 回目の対策範囲の再劣化曲線 - 回目に対策した範囲の 回目における要対策面積率 - - M ( 変状確率 P P P P P P P P 対策面積率変状を許容しない場合のQ の累計 Q Q = P = P j j [ Q ( P P ] Q (, 3,... P j lm = j= ( n LCC A* C Q = ( (3 変状を許容しない場合の 回目の要対策面積率 Q - - 変状を許容する場合の要対策面積率 Q 変状を許容する場合のQ の累計許容される面積率 Q lm 図 -3 対策面積の算出方法ここに Q : 対策時期 回目の再劣化を考慮した対策 Evaluaton Method of Area Rato that Needs to be Repared 8-0

11 PP 大成建設技術センター報第 38 号 (005 面積率 P : 無対策の場合の対策時期 回目の変状確率 j :j 回目に対策した範囲の対策時期 回目における 再劣化による変状確率 : 対策番号 ( 回目 ただし 最終の対策時 における 回目は 構造物の管理期間の終了時を意味する j: 対策履歴番号 ( 回目 A: 構造物の見付け面積 C n : 回目の対策に適用される補修工 法 n の補修面積単価 Q lm : 構造物の管理上許容される変 状面積率 3. LCC の試算条件比較の対象とした劣化機構は塩害が単独で作用する場合 中性化と塩害が複合する場合 ASRと塩害が複合する場合および塩害 中性化とASRが複合する場合とし 劣化機構の複合によって劣化の進展が異なることが LCCに及ぼす影響について検討した さらに 維持管理において ある程度の変状を許容する場合を想定して 許容される変状確率の設定値がLCCに及ぼす影響についても検討した 対策を行なわない場合の劣化の進展には図 -9a に示した劣化曲線を適用し 各年時に断面修復によって対策した場合の対策後の劣化の進展には図 -0に示した劣化曲線を適用した なお.5.3 項と同様に 表 -に示した断面修復の仕様 ( かぶり4cmに対して 修復深さ0cmで既設コンクリートと全く同じ材料を用いる仕様 で断面修復を行なった場合について試算した 次に 塩害と中性化が複合する場合について 対策方法の違いがLCCに及ぼす影響を検討するため 断面修復と表面被覆を併用した場合のLCCを試算した このとき 表面被覆の仕様は表 -に示した通りとし 表面被覆の寿命は平均 5 年 標準偏差 3 年とした ここでは 3. 節に示したように 予め対策時期を決めて維持管理する場合について検討した 対策時期は 供用 0 年時 40 年時 60 年時および80 年時とした 式 (3 に示したように 本研究におけるLCCは 対策面積率に単価と面積を乗じたものであり 対策面積率に比例するものである したがって ここでは単価および面積をとして対策面積率の多少を検討することでLCC に及ぼす劣化機構の複合の影響について検討を行なった 3.3 LCC の試算結果 3.3. 劣化機構および許容される変状確率が LCC に及ぼす影響許容される変状確率および劣化機構をパラメータとして 対策面積率の累計を試算した結果を図 -4に示す 算出された累計の面積率に補修単価および構造物の面積を乗じればLCCとなる 図から 許容される変状確率の設定値に拘わらず 累計のLCCが最も大きいのは やはり 無対策での劣化が最も進展すると予想された塩害 中性化とASRが複合する場合であった 無対策の場合の各劣化機構における最終の変状確率の大きさの順位と各劣化機構のLCCの大きさの順位は一致している 塩害 中性化とASRが複合する場合の 00 年時における対策面積率の累計は構造物全体の面積の約 90% であると推定された この劣化機構における 無対策の場合の00 年時の変状確率は70% 程度であったことから これらの差である約 0% は再劣化による変状であると解釈できる 図 -4a b およびc を比較すれば 当然のことながら より大きい変状確率を許容するほど 累計のLCCは小さくなる 試算の結果では 0% の変状を許容した場合に 変状を許容しない場合と比較して約 50% 程度のLCCが低 a 変状を許容しない場合 b5% の変状を許容する場合 c0% の変状を許容する場合 断面修復面積率の累計.0 0. 塩害単独塩害 中性化塩害 ASR 塩害 中性化 ASR 断面修復面積率の累計.0 塩害単独塩害 中性化塩害 ASR 塩害 中性化 ASR 0. 断面修復面積率の累計.0 塩害単独塩害 中性化塩害 ASR 塩害 中性化 ASR 図 -4 断面修復を繰返し実施して構造物を管理した場合の LCC( 対策面積率 の経時変化 Calcuraton Results of LCC when Secton Restoraton s Repeatedly Executed and Structure s Managed 8-

12 複合劣化を受ける RC 構造物のライフサイクルの評価 減される結果となった これは 変状を許容することで.0 塩害 中性化 断面修復 無対策範囲の対策面積率が低減されること 対策面積率断面修復 表面被覆 が低減される為に再劣化する面積率もまた低減されるこ となどによると考えられる なお 塩害 中性化とASR が複合される場合以外の劣化機構では 5% および0% の変状を許容すれば 60 年時および80 年時の対策を実施 しなくても良い場合がある 対策方法の違いが LCC に及ぼす影響 対策方法の違いがLCCに及ぼす影響を図 -5に示す 図では 塩害と中性化が複合する場合を対象として 0 年ごとに断面修復を行う場合と0 年ごとに断面修復と表 対策方法断面修復実施年表面被覆実施年面被覆を併用した場合とを比較した 断面修復と表面被断面修復 0,40,60,80 - 覆を併用する場合には 供用開始時に表面被覆を構造物断面修復 表面被覆 0,40, 60,80 0,0,40,60,80 全面に適用したとして劣化予測を行なった ここで 断 面修復および表面被覆の仕様は表 -に示したとおりであ 図 -5 対策方法が LCC に及ぼす影響 る なお 図は構造物の変状を全く許容しない場合の Influence of Repar Method on LCC LCCの試算結果である 図に示したように 断面修復と 表面被覆を併用した場合の方が 断面修復のみを適用し 4 構造物の LCC は劣化曲線の設定によって大きく変 た場合よりも 累計の補修面積率を小さくすることがで 化する 劣化曲線は 劣化機構によっても劣化機構の複 きる 00 年時の補修面積率の累計を比較すれば 断面 合によっても異なると考えられるため これらの劣化機 修復のみを適用する場合の0.5に対して断面修復と表面 構および劣化機構の複合を詳細に考慮することが LCC 被覆を併用した場合には0.34となっており 補修面積は 評価の精度向上に繋がると考えられる 65% 程度に低減される したがって 両補修工法の単価 5 補修対策後の再劣化の進展について試算した結果 の差が.5 倍程度以下ならば 断面修復と表面被覆を併用した方がLCCは小さくなる 断面修復厚さが不十分な場合には 対策後の再劣化が早期に現れると考えられた また 無対策の場合に予想さ れる変状確率の進展が大きい場合には 再劣化による変 4. まとめ 状面積率が累計の変状面積率に占める割合が比較的大き くなると考えられた したがって LCC の精度向上の 本論文は 構造物の調査結果を検討して得られた複合 ためには 再劣化を考慮することが重要である 劣化の進展を予測するモデルの LCC 評価への適用につ いて検討したものである 得られた結果を以下にまとめる 中性化の影響により コンクリート中において塩 参考文献 土木学会 :00 年制定コンクリート標準示方書,[ 維持管理編 ], 同制定資料,00. 化物イオンが濃縮する現象をモデル化し 劣化曲線を求めた結果 中性化と塩害が複合することによって 塩害 日本コンクリート工学協会 : 複合劣化コンクリート構造物の評価と維持管理計画研究委員会報告書,00. 3 小林一輔 : コンクリ-トの炭酸化のメカニズム, 土木学 単独の場合と比較して より早期に劣化が開始し その 会論文集,No.433/V-5, pp. -4,99. 後の劣化の進展も促進されると考えられた 4 武田均, 丸屋剛 : 漏水の影響を受ける実構造物の中性化 ASR により発生するひび割れを考慮した塩化物イ と塩化物イオンの濃縮, 土木学会第 58 回年次学術講演会概要集, pp.63-64, 003. オンの拡散係数を適用することにより ASR による塩 5 丸屋剛, Somnuk,T., 松岡康訓 : コンクリート表層部にお 害の促進を評価した結果 ASR の複合により塩害によける塩化物イオンの移動に関するモデル化, 土木学会論文集,No.585/V-38,pp.79-95,998. る劣化が促進される結果となった 6 武田均, 道廣英司, 池田義明, 丸屋剛 : 漏水による塩 3 劣化機構が複合して作用する場合には単独の劣化 害を受けたコンクリート構造物の詳細調査, コンクリート 機構が作用する場合よりも 劣化の進展が早くなる場合 構造物の補修, 補強, アップグレード論文報告集, 第 3 巻, や 対策後の劣化の進展が早くなる場合があると考えら 武田均, 丸屋剛, 飯田一彦, 水田富久 : アルカリ骨材 れた 反応により変状を起こした構造物の劣化進行予測, 土木学 8- 補修面積率の累計

13 大成建設技術センター報第 38 号 (005 会第 59 回年次学術講演会概要集,pp , 飯田一彦, 武田均, 丸屋剛, 水田富久 : アルカリ骨材反応により変状を起こした構造物のライフサイクルコスト評価, 土木学会第 59 回年次学術講演会概要集,pp , 武田均, 奥田和浩, 仲健一, 鮫島力, 丸屋剛 : アルカリ骨材反応による構造物の変状の進行予測 コンクリート構造物の補修, 補強, アップグレード論文報告集, 第 4 巻,pp.03-0, 土木学会 :00 年制定コンクリート標準示方書 [ 施工編 ], [ 構造性能照査編 ],00. 武田均, 丸屋剛 : ニューラルネットワークを用いたコンクリート構造物中の鉄筋の腐食進行予測, コンクリート工学論文集,Vol.9, No., pp.33-4, 998. Takeda,H., Uzawa,T., Izum,H., Tanaka,Y., Maruya,T., Koyama,S. and Nakamura,T. : Lfe Cycle Cost Evaluaton to Effcently Repar and Mantan the Renforced Concrete Brdges Appled by Rsk Management Method, Proceedngs of the st fb Congress, Sesson, pp.9-6, 望月智也, 中村孝明 : 多項反応モデルによる地震時損傷度曲線の統計的推定, リアルタイム地震防災シンポジウム論文集,pp.47-50, 上東泰, 野島昭二, 紫桃孝一郎, 丸屋剛, 武田均, 宮川豊章 : コンクリート中の鋼材腐食と外観変状の予測および外観変状による予測の修正, 土木学会論文集, No.795/V-68,pp.7-37, 武田均, 大前博, 丸屋剛 : 実構造物の点検結果に基づく劣化進行予測とライフサイクルコストの評価, コンクリート構造物の補修, 補強, アップグレード論文報告集, 第 巻,pp.3-38,

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